説明

発泡および発泡性高ガラス転移温度ポリマ

【課題】難燃性、耐熱性、および広範囲の温度において熱安定性を有する発泡体を提供する。
【解決手段】本発明の発泡性あるいは発泡材料は、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃以上のガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンドか、b)217℃以上の単一のガラス転移温度を有するポリマ類の相溶性ブレンドか、c)247℃以上の1つのガラス転移温度を有する単一の未使用ポリマ、のいずれかを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、発泡性および発泡ポリマ材料に関し、特に、高ガラス転移温度を有する発泡性および発泡熱可塑プラスチックに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性発泡体としても知られる発泡熱可塑性材料は、比較対象の非発泡熱可塑性材料に比べて材料密度を低減させる気泡(ポアあるいはセルとしても知られる)を含んだ熱可塑性材料である。この熱可塑性発泡体にはさらに、粒状充填材や繊維状充填材が含まれていてもよい。この発泡熱可塑性材料は応用分野に応じて、圧縮性であっても剛体であってもよい。発泡性材料とは、所定の条件下で膨張し、発泡組成物を作る熱可塑性材料である。
【0003】
発泡熱可塑性材料は、衝撃吸収、遮音、熱絶縁、構造的用途など、広範囲の用途を有する。航空宇宙、潜水艦、高速列車、およびサーマルイメージング用途などにおいては、難燃性、耐熱性、および広範囲の温度において熱安定性を有する発泡体が求められている。機械的強度が求められる場合もある。発泡材料は、最終用途で求められる特性に応じて、フィルム類、シート類など他の材料と任意に組合せられてもよい。
【0004】
欧州特許第0373402号、米国特許第4,543,368号、同第4,683,247号、同第4,980,389号、同第5,064,867号、同第5,135,959号、同第6,057,379号に教示されたポリエーテルイミド発泡体によって、これらのニーズの中には検討されてきたものもあるが、しかし、発泡体がますます過酷な条件で使用されるようになるにつれて、高ガラス転移温度を持つ発泡体が絶えず求められている。
【発明の詳細な説明】
【0005】
本発明は、
a)複数のガラス転移温度を有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類のうち、1つが217℃より高いガラス転移温度を有するポリエーテルイミド類を含むポリマ類の非相溶性ブレンドか、
b)180℃より高いガラス転移温度を1つ有するポリエーテルイミド類を1つあるいは複数含むポリマ類の相溶性ブレンドか、
c)247℃より高いガラス転移温度を1つ有する単一のポリエーテルイミド、のいずれかを含む、発泡体などの発泡性あるいは発泡組成物に関する。
【0006】
上記の発泡性組成物にはさらに発泡剤が含まれていてもよい。
【0007】
本明細書で用いられる用語「水素原子数と炭素原子数との比」とは、上記のポリマ、あるいはポリマを構成する繰り返し単位(モノマ)中の水素原子数と炭素原子数との比である。
【0008】
ベンジルプロトンの定義は当分野では周知であり、本発明の観点では、それは、フェニル環あるいはベンゼン環などの少なくとも1つの芳香族環に化学的に直接結合した少なくとも1つの脂肪族炭素原子であって、この炭素原子に直接結合した少なくとも1つのプロトンを有する脂肪族炭素原子を包含する。
【0009】
本文脈において、実質的にあるいは本質的にベンジルプロトンを含まないとは、例えばポリイミドスルホン生成物などの上記ポリマが、含有するベンジルプロトンから誘導される構造単位を約5モル%未満含み、実施形態によっては約3モル%未満を含み、また実施形態によっては約1モル%未満の場合もある。ベンジル水素としても周知のベンジルプロトンを含まないとは、ベンジルプロトンあるいはベンジル水素含有のモノマおよび末端キャップから誘導される構造単位が0モル%である上記ポリエーテルイミド物品を指す。ベンジルプロトン量は、化学構造に基づいた通常の化学分析によって決定することができる。
【0010】
本明細書に記述された発泡熱可塑性組成物は、優れた熱安定性と難燃性とを有しており、特に熱安定性が重要な用途範囲において有用である。
【0011】
本発明は、
a)複数のガラス転移温度を有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類のうち、1つが217℃より高いガラス転移温度を有するポリエーテルイミド類を含むポリマ類の非相溶性ブレンドか、
b)180℃より高い単一のガラス転移温度を有するポリエーテルイミド類を1つあるいは複数含むポリマ類の相溶性ブレンドか、
c)247℃より高い1つのガラス転移温度を有する単一のポリエーテルイミド、のいずれかを含む、発泡体などの発泡性あるいは発泡組成物に関する。
【0012】
実施形態によっては、該発泡組成物のかさ密度は、20〜200kg/m±10%である。この範囲内で、かさ密度は、90kg/m以下、より具体的には75kg/m以下、あるいは50kg/m以下、あるいは40kg/m、35kg/m、30kg/m、25kg/mおよび20kg/m以下である。またこの範囲内で、該かさ密度は、材料全体にわたって実質的に均一である。
【0013】
この発泡熱可塑性組成物は、連続気泡構造あるいは独立気泡構造をであってもよい。さらに、この組成物は柔軟性であっても剛体であってもよい。
【0014】
本発明の発泡体は、無線を透過させることもできる。この点で、本発明の発泡体を透明にして該ポリマに当たった無線の実質的にすべてを透過させ、あるいは半透明にして無線の40〜95%を透過させ、あるいは不透明にして40%未満だけを透過させることができる。
【0015】
本発明の上記発泡体は、約0.75〜約2.00の範囲の誘電率、あるいは1.00〜1.50、あるいは1.05〜1.11の範囲の誘電率を有していてもよい。
【0016】
上記の発泡熱可塑性組成物には、1つあるいは複数の充填材が含まれていてもよい。充填材が造核剤として働いて発泡中の気泡形成の安定化に役立つ場合もある。代表的な充填材には、融解シリカや結晶シリカなどのシリカパウダ、窒化ホウ素パウダやホウ素シリカパウダ、酸化アルミナおよび酸化マグネシウム(あるいはマグネシア)、表面処理珪灰石を含む珪灰石、硫酸カルシウム(その無水物、二水和物、あるいは三水和物)、チョーク、石灰石、大理石、および、一般的には粉砕微粒子の形態をした人工の沈降性炭酸カルシウムなどを含む炭酸カルシウム、繊維状、モジュール状、針状、および層状タルク、中空および中実ガラス球、硬質および軟質カオリン、焼成カオリン、および、高分子マトリックス樹脂との共溶性を促進する、当分野で既知の種々のコーティングを含むカオリン、雲母、長石、シリカ球、煙塵(flue dust)、セノスフェア、フィライト、アルミノケイ酸塩、天然ケイ砂、石英、ケイ岩、パーライト、トリポリ石、珪藻土、合成シリカ、およびそれらの混合物などがある。上記の充填材のすべてはシランで表面処理することによって、高分子マトリックス樹脂への付着および分散を改良できる。
【0017】
さらに典型的な強化充填材としては、ガラスフレーク、シリコンカーバイドフレーク、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレークおよび鋼フレークなどの補強材を提供するフレーク状充填材を含む。典型的な強化充填材はさらに、無機短繊維、天然繊維充填材、単結晶繊維、ガラス繊維および有機補強繊維充填材などの繊維充填材も含む。無機短繊維は、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび硫酸カルシウム半水塩の少なくとも1つを含むブレンド類から誘導されるブレンド類を含む。天然繊維充填材は、木を粉砕して得られる木粉および、セルロース、綿、サイザル、ジュート、スターチ、コルク粉、リグニン、粉砕ナットシェル、トウモロコシ、米もみ穀などの繊維質生産物を含む。単結晶繊維すなわち「ウィスカ」は、炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケルおよび銅の単結晶繊維を含む。E、A、C、ECR、R、S、D、およびNEガラスなどの織物ガラス繊維を含むガラス繊維や石英なども使用される。さらに、繊維形成可能な有機ポリマを含む有機補強繊維充填材も使用可能である。そのような有機繊維充填材の具体的な例としては、例えば、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエステル類、ポリエチレン類、芳香族ポリアミド類、芳香族ポリイミド類またはポリエーテルイミド類、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂類およびポリ(ビニルアルコール)などが含まれる。そのような補強充填材は、モノフィラメントあるいはマルチフィラメントの形態で提供されて単独で、用いられたり、あるいは、他の種類の補強材、例えば、共製織あるいはコア/シース(sheath)、並列配置、オレンジタイプ、またはマトリックスおよびフィブリル組織形成など組み合わせて用いられ、あるいは、繊維製造分野の当業者に周知の他の方法などによって用いることができる。典型的な共製織構造には、ガラス繊維―炭素繊維、炭素繊維―芳香族ポリイミド(アラミド)繊維および芳香族ポリイミド繊維―ガラス繊維などが含まれる。繊維充填材は、例えば、ロービング類、0〜90度織物などの織布繊維補強材類、連続ストランドマット、チョップドストランドマット、薄織物類、紙類、フェルト類、および3次元的織物補強材類、パフォーム(performs)、組紐などの不織布繊維補強材類などの形態で供給されてもよい。
【0018】
任意の導電性添加剤には、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、あるいはこれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。導電性カーボンブラックは限定されないが、S.C.F.(Super Conductive Surface)、E.C.F.(Electrical Conductive Furnace)、Ketjen Black EC(Akzo社から販売されている)、あるいは、アセチレンブラックなどの種々の商標名で販売されている。ある実施形態では、この導電性カーボンブラックは、200nm以下、より具体的には100nm以下、さらに具体的には50nm以下の平均粒径を有している。該導電性カーボンブラックはさらに、200m/gより大きい、より具体的には400m/gより大きい、さらに具体的には1000m/gより大きい表面積を有していてもよい。この導電性カーボンブラックは、ジブチルフタレート吸収法で測定して、40cm/100g以上、より具体的には100cm/100g以上、さらに具体的には150cm/100g以上の細孔容積を有していてもよい。
【0019】
使用されるカーボンナノチューブには、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、気相成長炭素繊維(VGCF)、および、それらの2つ以上を含む組合せなどが含まれる。カーボンナノチューブも強化充填材として考慮される。
【0020】
単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、グラファイトのレーザ蒸着法、炭素アーク合成法、あるいは、高圧一酸化炭素転化法(HIPCO)プロセスなどによって製造される。これらのSWNTは一般に、外径が0.7〜2.4nmのグラフェン層を有している。またこのSWNTは、金属SWNTと半導体SWNTとの混合物を含んでいてもよい。金属SWNTは金属に似た電気特性を呈し、一方、半導体SWNTは電気的に半導体のSWNTである。金属SWNTの割合ができるだけ大きな組成物が望ましい実施形態もある。SWNTは、アスペクト比を5以上、より具体的には100以上、さらにより具体的には1000以上とすることができる。上記SWNTは一般に、それぞれのチューブの各端に半球状のキャップを持つ閉鎖構造であるが、開放端を1つ有する、あるいは両方が開放端であるSWNTが考えられる。上記SWNTは一般に中心部は中空であるが、非晶質炭素で充填することができる。
【0021】
ある実施形態では、上記SWNTはその全重量に対して、1重量%以上、より具体的には20重量%以上、より具体的には30重量%以上、さらにより具体的には50重量%以上、あるいは、さらにより具体的には99.9重量%以上の金属ナノチューブを含んでいる。
【0022】
ある実施形態では、上記SWNTはその全重量に対して、1重量%以上、より具体的には20重量%以上、より具体的には30重量%以上、さらにより具体的には50重量%以上、あるいは、さらにより具体的には99.9重量%以上の半導体ナノチューブを含んでいる。
【0023】
MWNTは、レーザアブレーション法および炭素アーク合成法などのプロセスで製造される。MWNTは、内部の中空コア周りに拘束された少なくとも2つのグラフェン層を有する。一般に、半球状キャップはMWNTの両端部を閉鎖しているが、半球状キャップが1つのみMWNTを用いることも、あるいは、両端共にキャップのないMWNTを用いることもできる。MWNTは一般に直径が2〜50nmである。この範囲内で平均直径は、40nm以下、より具体的には30nm以下、あるいはより具体的に20nm以下であってもよい。MWNTの平均アスペクト比は、5以上、より具体的には100以上、さらにより具体的には1000以上とすることができる。
【0024】
気相成長炭素繊維(VGCF)は一般に、化学蒸着法で製造される。「年輪」構造あるいは「魚の骨」構造を持つVGCFは、適度な温度、つまり800〜1500℃において微粒子状の金属触媒の存在下で、気相中の炭化水素から成長させられる。「年輪」構造では、実質的にグラファイト状の複数のシートがコアの回りに同軸的に配列される。「魚の骨」構造では、繊維は、中空コアの軸芯から伸びるグラファイト層によって特徴づけられる。
【0025】
直径が3.5〜2000nmでアスペクト比が5以上のVGCFを使用することができる。VGCFの直径は、3.5〜500nm、より具体的には3.5〜100nm、あるいはさらに具体的には3.5〜50nmとすることができる。VGCFの平均アスペクト比は、100以上、あるいは、より具体的には1000以上とすることができる。
【0026】
組成物には、様々な種類の導電性炭素繊維を用いることができる。炭素繊維は一般に、直径、モルフォロジー、および黒鉛化の程度(モルフォロジーと黒鉛化の程度とは相互に関連する)によって分類される。これらの特性は、現時点では、炭素繊維の製造方法によって決まる。例えば、直径が5mmまでの炭素繊維と、(放射状、平面状、あるいは円周周辺配置において)上記繊維軸心に平行なグラフェンリボンは、フェノール類、ポリアクリロニトリル(PAN)あるいはピッチなどを含む繊維状の有機前駆体を熱分解することによって商業的に製造される。
【0027】
炭素繊維の直径は一般に、1000nm以上〜30mmである。この範囲内で、2mm以上、より具体的には3mm以上、あるいはより具体的には4mm以上の直径を有する炭素繊維が用いられる。また、この範囲内で、直径が25mm以下、より具体的には15mm以下、さらにより具体的には11mm以下の炭素繊維が用いられる。
【0028】
発泡熱可塑性組成物は、発泡性熱可塑組成物を膨張(あるいは発泡)させることによって得られる。発泡性熱可塑組成物は多くの方法により製造される。第1の実施形態では、ポリマ前駆体あるいはポリマ前駆体類の組み合わせを含む組成物を、マイクロ波エネルギ、熱、あるいは、それらの組合せにかけて発泡させる。上記のポリマ前駆体はオリゴマであり、マイクロ波エネルギおよびまたは熱にかけられると、さらに重合化する。このさらなる重合化によって、その重合化が起こっている温度と圧力下で揮発性の副産物が作られる。上記副産物は発泡剤として作用する。上記発泡組成物は、その後さらに重合させるために、例えば、200〜500℃で0.5〜4時間熱処理される。
【0029】
典型的なポリマ前駆体類は、二無水物とアルコールとを反応させてエステルを形成することによって作られる。上記二無水物とアルコールとは、適切な溶剤中で反応させてもよい。ある実施形態では、上記アルコールは溶剤として使用される。典型的なアルコール類としては、炭素原子数が1〜7の脂肪族アルコール類と芳香族アルコール類とがある。通常、二無水物を溶解させる量よりもわずかに多い量のアルコールが最も良好な結果を生む。上記反応は高温で、例えば溶剤の沸点以上の温度で行われる。その後、エステルがジアミンなどのポリアミンと反応してポリマ前駆体が作られる。上記の任意の添加剤をこの時点で溶剤に加える。前駆体を濃縮あるいは乾燥させて溶剤を除去する。通常、スプレードライ、真空ドライ、あるいは50℃〜90℃での加熱が用いられる。ある実施形態では、上記任意の充填材を乾燥前駆体と乾燥混合している。
【0030】
ある実施形態では、ポリマ前駆体と、任意の充填材と、少なくとも1つの極性プロトン性気泡化促進添加剤と、を含む溶剤あるいはスラリを発泡に用いる。上記のプロトン性気泡化促進添加剤はROHの構造を有し、ここで、Rは水素またはC〜C12の直鎖あるいは分枝鎖アルキルあるいはシクロアルキルラジカルであり、これらは未置換あるいは、ハロ、アリール、アルコキシ、および水酸基で置換されたものであってもよい。上記の極性プロトン性気泡化促進添加剤は、前記ポリマ前駆体と混和する必要がなく、あるいは、周囲条件すなわち室温下で、組成物の任意の成分の溶剤として作用する。極性プロトン性気泡化促進添加剤の使用については、米国特許第5,234,966号に開示されている。
【0031】
ポリマ前駆体を含む組成物は、発泡のために温度を上昇させる前に、組成物全体に実質的に均一な温度を得るのに十分な時間、発泡温度以下の温度まで予備加熱する。ある実施形態では、ポリマ前駆体を含む組成物は、発泡前に体積減少処理を行う。
【0032】
典型的な実施形態では、ポリマ前駆体を含む組成物を、熱対流炉中で120℃〜180℃で1〜30分間予備加熱する。予備加熱温度は、前駆体の流動性が得られるまで上げるが前駆体の粒子が溶出しない温度とし、この温度範囲は均一な構造を得るために重要である。
【0033】
発泡組成物が非相溶性ブレンドを含む場合、2つのポリマ相は共連続であるか、あるいは、1つのポリマ相が他方のポリマ相に分散していてもよい。発泡組成物を複数のポリマ前駆体類を用いて作る実施形態では、このポリマ前駆体リ類は、ポリマ相の1つあるいは両方のためのものであってもよい。ポリマ前駆体が1つのポリマ相だけのものである実施形態においては、このポリマ前駆体を、発泡前に第2のポリマとブレンドすることができる。
【0034】
発泡組成物が2つのポリマ類の相溶性ブレンドを含む場合には、上記ポリマ類の1つあるいは両方は、上記に議論したポリマ前駆体を用いて作ることができる。
【0035】
発泡ポリマ組成物の代替製造方法としては、ポリマ組成物を発泡剤と組み合わせるステップを含む。適切な発泡剤は、例えば米国特許第4,543,368号に記載されており、その全体は参照により本明細書に援用される。発泡剤としては化学発泡剤およびまたは物理発泡剤がある。化学発泡剤は、特定の条件下、例えば狭い温度範囲内で分解して多量のガスを発生させる化学物質である。分解で生じた分解産物は生理学上安全で、発泡ポリウレタンシートの熱安定性や機械的特性に大きく悪影響を及ぼさないことが望ましい。さらに、分解産物が風解したり、発泡製品への変色効果がないことが望ましい。
【0036】
別の態様においては、発泡剤は、室温で樹脂に可溶性であると共に導入ステップ時の処理温度でも可溶性であり、吸入樹脂のガラス転移温度あるいはその近傍で行われる発泡ステップの間、溶液として出てくる。そのような方法の1つでは、発泡剤は、樹脂のガラス転移温度以下の温度(発泡剤はそのうち樹脂に溶解する)および高圧化で、発泡剤の飽和状態雰囲気に樹脂を暴露して樹脂と混合する。他の方法では、高温下、つまり、発泡剤が樹脂に十分可溶な温度において、発泡剤と不活性キャリア流体との混合物中に樹脂を懸濁させる。
【0037】
発泡剤を選択する場合に考察しなければならない1つの重要な点は、加熱によりポリマが軟化すると、ポリマ壁を拡張させるのに十分な蒸気圧を発泡剤が作り出さなければならない、ということである。この点に関する発泡推進体の選択は、微小球のシェル壁を形成するポリマの軟化温度とこの軟化温度における発泡剤の蒸気圧とに依存する。大気圧下で、ポリマの軟化温度(あるいはガラス転移温度Tg)より10℃以下高い温度の沸点を持つ溶剤は、通常、ポリマを発泡剤の沸点まで加熱すると、前記のポリマシェル壁を拡張させるに十分な蒸気圧を提供する。大気圧下における液体の発泡推進体の沸点がポリマのTg以下であることがより好ましく、さらに、その沸点がTgよりも少なくとも10℃以下であることがより好ましい。
【0038】
小さな鎖式炭化水素は、それらがほとんどのポリマ類に対して不活性であり、ほとんどの溶剤に相溶性であり、しかも外気温度に近い沸点を有しているので、特に好適な液体発泡剤である。
外気温度より低い沸点を持つ液体発泡剤の場合には、上記の反応を低温度でおよびまたは加圧下で好都合に行うことができる。
【0039】
上記にリストアップしたポリマ類および溶剤類と共に使用される液体の推進体には、限定されないが、炭化水素類(n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、トリメチル−2−ペンテン、ヘキサン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエンなど)、エーテル類およびケトン類(エチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、メチルエチルケトンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロジメタンなどなど)、アンモニアあるいはアンモニア系液体類、シランあるいはシロキサン系液体(ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン)、および水あるいは他の水混合物などがある。これらの例は網羅的に示そうとしたものではなく、当業者であれば、与えられたポリマ−溶剤混合物には相溶性を呈し、純水のポリマに対しては非相溶性を呈し、同時に、ポリマの軟化温度あるいはそれ以上の温度において前記ポリマのシェル壁を拡張させるに十分な蒸気圧を出す多くの液体を知るであろう。
【0040】
物理発泡剤も、単独あるいは組合せて用いることができ、あるいは、1つあるいは複数の化学発泡剤に共に用いることができる。物理発泡剤は、樹脂と発泡剤との混合物、あるいは樹脂ブレンドと発泡剤との混合物(本明細書ではそれらの両方とも、「吸入樹脂(imbibed resin)」と記載する)のガラス転移温度より低い沸点を持っている。発泡剤は、吸入樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも十分に低い温度(例えば、約20℃の室温)の上記樹脂あるいは樹脂ブレンドに比較的可溶でなければならず、さらに、吸入樹脂のTgにおいて比較的不溶でなければならない。物理発泡剤としては、エステル、特に酢酸エチル、酢酸メチルおよびイソプロピルアセテートなどの低級アルコールエステル、およびそれらのハロゲン化物類、ケトン類、特にアセトン、メチルエチルケトン、およびシクロヘキサノンなどの低級アルコールケトン類およびこれらのハロゲン化物類などがある。「比較的可溶」とは、物理発泡剤が樹脂に十分溶解して、物理発泡剤が十分な量また効果的な量溶解した吸入樹脂が提供されることを意味する。「比較的不溶」とは、溶液から十分な量および効果的な量の物理発泡剤が現れて樹脂を発泡させることを意味する。発泡剤は、このようにして樹脂あるいは樹脂ブレンドに溶解して、保存安定性のよい吸入樹脂(発泡性組成物)を提供する。発泡剤は溶液から現れて、次の発泡ステップで吸入樹脂がTgまで加熱されると樹脂を発泡する。樹脂に溶解した発泡剤の量は、次の発泡ステップで組成物の膨張(発泡)を生じるに十分な量、効果的な量でなければならない。発泡性の樹脂組成物は、好都合に発泡でき同時に種々の有用な物品に成形できるペレットあるいは粒子の形態で提供することができる。
【0041】
樹脂あるいは樹脂ブレンドと物理発泡剤との混合物(すなわち「吸入樹脂」)がガラス転移温度に達するまで確認を行う。これは、発泡剤を添加することによって樹脂のTgが変化する(低下する)可能性があるためである。
【0042】
化学発泡剤の場合と同様に、物理発泡剤は、気泡を形成させて所望のかさ密度を得るに十分な量を用いる。物理発泡剤は通常、組成物の約5〜約50重量%の量で用いられる。
【0043】
物理発泡剤は、加熱されると相変化によって蒸気を発生させる。室温では固体として存在し、多くのポリマを軟化させるために通常用いられる温度に達すると蒸発する化学物質は数多く存在する。この種の発泡剤には、加熱されると中間の液体状態を経由するものもあり、また直接ガスに昇華するものもある。好適な物理発泡剤としては、限定されないが、ネオペンチルアルコール、ヘキサメチルエタン、カルバジン酸t−ブチル、塩化t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルN−アリルカルバマート、またテトラメチル−1,3−シクロブタンジオンなどがある。これらのリストは網羅的に示そうとしたものではなく、当業者であれば、上記の基準を満たす多くの物質を見出すであろう。適切な物理発泡剤の選択にあたっては、考慮中の特定のポリマ−溶剤に応じて、毒性、ポリマ相溶性、溶剤相溶性、融点、沸点、蒸気圧あるいはその他の事項について考慮する。
【0044】
大気圧、大気温度においては通常固体の化学発泡剤は、分解あるいは他の化学反応を受けて、少なくとも1つの反応副産物としてガス蒸気を発生する。これらの反応は熱によって誘引されることが最も多いが、共反応体の存在によっても誘引される。例えば、化学発泡剤は、構造中に含まれていて熱が加わった場合にのみ反応に利用される水の存在によって誘引される可能性がある(そのようなことは、化学発泡剤水素化ホウ素ナトリウムと混合したある水和塩化合物などに見られるケースである)。化学発泡推進体は、有機化学発泡剤かあるいは無機化学発泡剤のいずれかに分類される。無機化学発泡剤は通常、分解して吸熱反応で二酸化炭素を発生する。有機化学発泡剤は通常、分解して発熱反応で窒素ガス(ほとんどのポリマに対して拡散速度が小さい)を発生する。
【0045】
化学発泡剤としては、限定されないが、重炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化ホウ素ナトリウム(水のようなプロトン供与体を添加すると分解する)、ポリ炭酸、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アンモニアジエチルジチオカルバマート、ジニトロソペンタメチレン−テトラアミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルセミカルボジド、5−フェニルテトラゾール、ジアゾアミノベンゼンなどがある。化学発泡剤の1つの利点は、通常発生する二酸化炭素あるいは窒素ガスが不活発で、不燃性で、無毒であるということである。別の利点は、無機発泡剤はそれ自身が非常に不活性で毒性がなく、製造中および最終製品において、作業が容易かつ安全に行えることである。
【0046】
固体発泡剤では、物理的であれ化学的であれ、揮発性で可燃性の液体に関連した本質的な危険を回避している。固体推進体の場合に実現される他の利点としては、微小球膨張が発生する温度が、微小球シェル壁を作るポリマに無関係に変えられることである。従来の微小球では、膨張が発生する温度は、ポリマの軟化温度によって決定される。すなわち、ポリマシェル壁が軟化する時に膨張が起こり、揮発性液体の蒸気圧によって該壁が外側に広がる。
【0047】
しかしながら、本発明による上記の固体推進体を用いると、ポリマと推進体の組合せは、発泡温度が樹脂の軟化温度ではなく、固体推進体の分解温度によって決められるように選択することができる。このことは、ポリマの軟化温度が該推進体の分解温度以下の場合に発生する。微小球が加熱されるにつれてポリマは軟化するが、ガスが発生しない限り発泡は起こらない。さらに推進体の分解温度まで加熱された時のみ、ポリマシェル壁を膨張させるに十分な蒸気圧が発生する。このように、分解開始前には実質的に何の蒸気圧も発生しない固相発泡剤を用いることによって、微小球の膨張が起こる温度は、ポリマの軟化温度ではなく、推進体を選ぶことによって制御することができる。この特徴によって、最終製品の生産に用いられる成形プロセスにおいて、増産のための温度設計において、柔軟性を増すことができる。
【0048】
化学発泡剤は、物理発泡剤に対して(液体であれ固体であれ)さらに、対応する物理発泡剤に比べてより高い発泡圧力を生み出せるという利点を有する。これは、物理発泡剤が常に液相と気相間の可逆的な平衡の状態にあるためである。対照的に、化学発泡剤は、本質的に不可逆プロセスで分解して不活性ガスを生成する。分解が事実上不可逆であり、造られたガスが圧縮しにくいために、化学発泡剤は、最も揮発性の物理発泡剤で生成されたものよりもはるかに大きな圧力を作ることができる。
【0049】
ポリマと溶剤との混合物中の推進体の溶解性、生成ガス量、生成蒸気圧、および蒸気生成が生じる温度はすべて、本発明に従って用いられる適切な固体推進体の選択に影響するパラメーターである。
【0050】
この化学発泡剤は、ポリマあるいはポリマブレンドのガラス転移温度あるいは軟化温度を考慮して選ばれる。一般に、化学発泡剤は、ポリマあるいはポリマブレンドの軟化温度あるいはガラス転移温度以上の温度で分解する。化学発泡剤としては、
例えば、
アゾイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド(すなわち、アゾ−ビス−ホルムアミど)およびバリウムアゾジカルボキシラートなどのアゾ化合物類、例えば、
ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド、
4,4’−ヒドロキシ−ビス−(ベンゼンスルホヒドラジド、
トリヒドラジノトリアジンあるいは
アリール−ビス−(スルホヒドラジド)などの置換ヒドラジン類、
例えば、p−トリレンスルホニルセミカルバジドあるいは
4,4’−ヒドロキシ−ビス−(ベンゼンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド類、
例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール類、および例えば、
N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、
あるいは、N,N−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタールイミドなどのN−ニトロソ化合物類、例えば、
イサト酸無水物などのベンズオキサジン類、あるいは例えば、
炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物、
5−フェニルテトラゾール、シュウ酸カルシウム、
トリヒドラジノ−s−トリアジン、
5−フェニル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オンおよび
3,6−ジヒドロ−5,6−ジフェニル−1,3,4−オキサジアジン−2−オンなどの混合物類が含まれる。前記の発泡剤の量は発泡剤と所望する発泡体密度とによって異なり、当業者であれば容易に決定することができる。一般に、これらの発泡剤は、全組成物に対して、約0.1〜約10重量%の範囲で使用される。
【0051】
ある実施形態では、上記化学発泡剤はジヒドロオキサジアジノンを含む。ジヒドロオキサジアジノンは、米国特許番号第4,097,425号、同第4,097,671号、同第4,158,094号、同第4,160,088号および同第4,163,037号に記載されている。典型的なジヒドロオキサジアジノンとしては、例えば、
5,6−ジメチル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5,6,6−トリメチル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5−エチル−6−メトキシ−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5−フェニル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキシジアジン−2−オン、5,6−ジフェニル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5−(p−ブロモフェニル)−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5−フェニル−6−メチル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5,6−ビス(p−メトキシルフェニル)−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5−ナフチル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、5−(o,o,p−トリブロモフェニル)−6−プロピル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5−(p−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、
5−フェニル−6,6−シクロペンチレン−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オンおよびそれらの1つあるいは複数の組み合わせなどがある。
【0052】
発泡性組成物の生産に当たって、ポリマブレンドあるいはポリマと化学発泡剤との混合には様々な方法が使用可能である。ポリマあるいはポリマ類のブレンドを、分解温度以下の溶融状態にある発泡剤と接触させることができる。例えば、ポリマあるいはポリマ類のブレンドと化学発泡剤とを混合して化学発泡剤が溶融状態になるまで加熱することによって、樹脂あるいはブレンドに組み入れることができる。その後、処理された樹脂あるいはブレンドを冷却して使用時まで保管する。
【0053】
ポリマあるいはポリマブレンドと溶融発泡剤とを混合する他の方法は、ポリマあるいはポリマブレンドを化学発泡剤の分解温度以下まで予備加熱して溶融状態の発泡剤を添加し、混合、冷却すると、発泡性組成物が出来上がる。
【0054】
本発明の方法では、発泡剤は例えば、水系懸濁液中にできる熱可塑性樹脂ビーズ中に取り込まれる。発泡剤含浸中の熱可塑性樹脂ビーズの結合や合体を防ぐために懸濁化剤を添加することが好ましい。懸濁化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸カルシウムおよびエチレン−ビスステアルアミドなどの有機化合物、およびまれには、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウムおよび酸化マグネシウムなどの無機化合物の水溶性微粒子などが用いられる。本発明の方法において無機化合物を懸濁化剤として用いる場合には、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネートなどの界面活性剤と一緒に用いることが望ましい。
【0055】
本発明の方法では容易に揮発する発泡剤が用いられる。発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、iブタン、n−ペンタン、イソペンタンおよびn−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、および、塩化メチル、塩化エチル、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタンおよびトリクロロフルオロメタンなどのハロゲン化炭化水素類などがある。これらの発泡剤は、熱可塑性ポリマ間の樹脂ビーズおよび発泡剤100重量部に対して一般的に、1〜40重量部、好適には最大30重量部までの範囲で用いられる。少量、例えば1〜5重量%の、トルエンやキシレンなどの有機溶媒を一緒に使用することができる。
【0056】
発泡剤の含浸は、例えば、オートクレーブで懸濁化剤を含んだ水に重合成分を懸濁させ、例えば、上記ポリマ間ビーズの形成前あるいは後に加圧下で加熱して発泡剤を導入する。この方法により発泡性熱可塑性樹脂ビーズが作られる。
【0057】
他には、ポリマあるいはポリマブレンドを発泡剤溶液でスプレーしその後で溶剤を飛ばして、発泡剤をポリマあるいはポリマブレンド上にコーティングする方法など、様々な変形方法がある。他の方法としては、ひも状の樹脂を溶融発泡剤溶液に通した後、ひもを裁断するしてペレット状の発泡性組成物を作る方法などがある。あるいは、樹脂全体に実質的に均一に分散するのであれば、パウダ状の発泡剤を用いることもできる。
【0058】
経済上の目的から、比較的高濃度の化学発泡剤をポリマあるいはポリマブレンドに組み入れて濃縮物を作ることが好都合な場合もある。5−フェニル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オンは可塑剤として作用する。この特性を利用して、ポリマあるいはポリマブレンドのガラス転移温度を低減させて低温で処理することもできる。したがって、発泡剤を分解させずに、ポリマあるいはポリマブレンド中に約15〜50重量%の発泡剤を含んだ濃縮物を作ることができる。こうした濃縮物を従来技術を用いてポリマあるいはポリマブレンドと混合して均質な発泡性組成物を作ることができる。
【0059】
その後、上記の発泡性組成物の反応に際して、発泡剤の分解に適した温度で、また、ポリマあるいはポリマブレンドのガラス転移温度以上の温度で、発泡組成物が作られる。
【0060】
上記に参照したように、実施形態によっては、発泡性組成物を保存しておいて後日発泡させる。あるいは、押出成形機を出た時に発泡させてもよい。いずれの場合も、発泡組成物を所望の形状に発泡させることができる。あるいは、発泡組成物をトリミングして所望の形状にできる。複数の発泡材料は、任意に、例えば米国特許第5,798,160号に教示される接着剤を用いて付着させて単一のものにすることができる。また、発泡組成物をシートやフィルムで積層して複合材料とすることもできる。
【0061】
本発明の他の実施形態では、ポロゲンを熱可塑性材料に組み入れ、それが燃焼して該材料から逸出すると、平均粒径分布が1〜150nmの範囲の、あるいは他の実施形態では約1〜50nmの範囲の、一般に球状の気泡が形成される。理論に拘束されずに、マトリックス前駆体とポロゲンとを含む溶液を反応中には、次のことが生じると考えられる。マトリックス前駆体とポロゲンとの溶液を、スピンコーティングなどの方法で基材に塗布する。塗布中に溶剤は蒸発してより高濃度の溶液が基材上に残る。コーティングされた基材をその後ホットプレート上で加熱して残った溶剤を除去し、マトリックス前駆体中に分散したポロゲンを残す。上記の溶剤除去反応中およびまたはその後の熱処理中、ポロゲン相はマトリックス前駆体から分離している。この相分離は、溶剤の逸出(溶液の濃縮効果およびまたは溶解度パラメータの変化)や、マトリックス前駆体の分子量の上昇、特定の場所における十分なポロゲン質量の集合または凝集、あるいはこれらの組み合わせによってもたらされる。さらに熱処理を行うことによって、マトリックスはより完全に硬化する。ポロゲンは、高温下で小さく分解し始めてコーティングフィルムから逸散し、後に気泡が残ることによって多孔質マトリックスができる。ポロゲンと、ポロゲンの製造方法、およびポロゲンを用いて作られたマトリックスについては当分野では既知であり、また、例えば米国特許第6,887,910号、同第6,653,358号、および同第6,630,520号などに記載されており、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0062】
本発明の環状物品に好適に用いられるポリマ類、コポリマ類およびブレンド類の代表的な例を以下に示す。
A. スルホン系ポリマあるいはブレンドからなる高Tgポリマブレンド類、シリコーン共重合体、レゾルシノール誘導ポリアリールエステル
【0063】
本明細書に開示されたものは、ポリマブレンド表面の一部あるいは全部を被覆材でコーティングしたポリマブレンドを含む電気コネクタであり、ここで、該被覆材は上記のポリマブレンドとは異なる組成物であり、該ポリマブレンドは、
a)高ガラス転移温度(Tg3180℃)を有するポリスルホン(PSu)類、ポリ(エーテルスルホン)(PES)、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)(PPSU)類の群から選択される第1の樹脂と、
b)例えば、シリコーンポリイミドあるいはシリコーンポリカーボネートなどのシリコーン共重合体と、
c)そのブレンドが驚くほどの低発熱量であるレゾルシノール系ポリアリレートと、
を含む。
1.上記ブレンド中のポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンエーテルスルホン成分
【0064】
本明細書に記述の物品に有用なポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、例えば、米国特許第3,634,355号、同第4,008,203号、同第4,108,837号および同第4,175,175号に記載された熱可塑性樹脂である。
【0065】
ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、耐熱性、良好な電気特性、良好な加水分解安定性などの多くの魅力的な特徴を有する直鎖状の熱可塑性ポリマである。
【0066】
ポリスルホン類は、式(I)の構造を有する繰り返し単位を含み、
【0067】
【化1】

【0068】
式中、Rは炭素−炭素間単結合と、炭素−酸素−炭素間結合とを含み、あるいは、炭素−炭素間単結合と炭素−酸素−炭素間単結合とを含んでおり、上記単結合は、ポリマの骨格鎖を形成している芳香族基である。
【0069】
ポリ(エーテルスルホン)類は、式(II)で示されるようなポリマの骨格鎖に、エーテル結合とスルホン結合の両方を有する繰り返し単位を含んでおり、
【0070】
【化2】

【0071】
式中、ArおよびAr’は、同じ芳香族基であっても異なる芳香族基であってもよい。ArとAr’が共にフェニレン基の場合、このポリマはポリ(フェニレンエーテルスルホン)として既知である。ArおよびAr’が共にアリーレン基の場合、このポリマはポリ(アリーレンエーテルスルホン)として既知である。スルホン結合の数とエーテル結合の数は同じであっても異なっていてもよい。スルホン結合の数とエーテル結合の数が異なる場合の典型的な構造を式(III)に示す。
【0072】
【化3】

【0073】
式中、Ar、Ar’およびAr’’は芳香族基であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、例えば、ArおよびAr’はともにフェニレン基であり、Ar’’はビス(1,4−フェニレン)イソプロピル基であってもよい。
【0074】
様々なポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類が市販されており、その中には、ジヒドロキシジフェニルスルホンとジクロロジフェニルスルホンとの重縮合製品と、ビスフェノールAおよびまたはビフェニールとジクロロジフェニルスルホンとの重縮合製品が含まれる。市販の樹脂例としては、ソルベイ社(Solvay,Inc.)から販売されているRADEL R、RADEL AおよびUDELが、また、バスフ社(BASF Co.)から販売されているULTRASON Eなどがある。
【0075】
ポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類の調製方法は広く知られており、いくつかの適切なプロセスが当該技術に良く記述されている。カーボネート法とアルカリ金属水酸化物法の2つの方法は当業者に既知である。アルカリ金属水酸化物法では、二価フェノールの2倍のアルカリ金属塩が、実質的に無水条件下で、双極性非プロトン溶媒の存在下において、ジハロベンゼノイドと接触する。カーボネート法では、二価フェノールおよびジハロベンゼノイド化合物は、例えば、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ソーダと、第2のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダと共に加熱されるが、この方法も、例えば、米国特許第4,176,222号に開示されている。あるいは、上記のポリスルホンおよびポリ(エーテルスルホン)は、既知の種々の方法の任意の方法によって調製されてもよい。
【0076】
塩化メチレンやクロロホルム、N−メチルピロリドン等の適当な溶剤中での粘度低下によってわかるように、上記ポリスルホンあるいはポリ(エーテルスルホン)の分子量は、約0.3dl/g以上、より具体的には約0.4dl/g以上することができ、また通常、約1.5dl/gを超えない。
【0077】
ポリスルホンあるいはポリ(エーテルスルホン)の重量平均分子量は、ASTM D5296法に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定して、約10,000〜約100,000の範囲にできる場合もある。このポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類が、約180℃〜約250℃の範囲のガラス転移温度を有していてもよい場合もある。上記ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、本明細書に記述の樹脂類とブレンドされると、約180℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する。ポリスルホン樹脂は、ASTM D6394のスルホンプラスチック標準仕様書にも記述されている。
【0078】
ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類およびそれらのブレンド品が、約0.85以下の水素原子数と炭素原子数との比率(H/C)を有する場合もある。理論に縛られずに、水素含有量に対して炭素含有量が高い、つまり、水素原子数対炭素原子数の比が小さいポリマでは、難燃性が向上することが多い。これらのポリマは、燃焼値が低く燃焼時のエネルギ放出が少ない。それらはポリマ燃料と点火源との間に絶縁性の炭化層を形成することにより耐燃焼性も有する。特定のメカニズムあるいは作用形態は別にして、低H/C比を持つそのようなポリマが優れた耐炎性を有することが確認されている。上記H/C比を、0.75以下あるいは0.65未満にできる場合もある。また、ポリマ構造に十分にフレキシブルな結合を与えて溶融加工性を実現するために、約0.4以上のH/C比が好適な場合もある。あるポリマあるいは共重合体のH/C比は、化学的繰り返し単位中の他の原子とは無関係に、炭素原子および水素原子をカウントすることによりその化学構造から決定される。
【0079】
ポリマブレンド中、ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類およびそれらのブレンドは、該ポリマブレンド全量に対して約1〜約99重量%存在してもよい。この範囲内では、上記のポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、およびそれらの混合物の量は、約20重量%以上、より具体的には、約50重量%以上、さらにより具体的には、約70重量%以上であってもよい。当業者であれば、上記ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類およびそれらの混合物は、ポリマブレンド全量に対して約1〜約99重量%の間の任意の数値で存在でき、特に、1〜70重量%の範囲で存在できることは理解するであろう。
2.ブレンドのシリコーン成分
【0080】
上記のシリコーン共重合体は、組成物の発熱性能の向上に有効な任意のシロキサン共重合体を含む。ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、ポリスルホン類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、ポリ(エーテルスルホン)類あるいはポリ(フェニレンエーテル)類のシロキサン共重合体が用いられる場合もある。シロキサンポリエーテルイミド共重合体類あるいはシロキサンポリカーボネート共重合体類が、熱放出の低減および流量性能の向上に効果的な場合もある。異なるタイプのシロキサン共重合体類の混合物も考慮される。上記シロキサン共重合体が、共重合体全重量に対して、約5〜70重量%のシロキサン含有量を含む場合もあれば、20〜約50重量%含む場合もある。
【0081】
共重合体中のシロキサン部のブロック長さは任意の有効長とすることができる。上記ブロック長さが、約2〜約70のシロキサン繰り返し単位である実施例もあり、約5〜約50の繰り返し単位の例もある。ジメチルシロキサンが用いられる例が多い。
【0082】
シロキサンポリエーテルイミド共重合体類は、ポリマブレンドに使用されるシロキサン共重合体の特定の実施形態である。そのようなシロキサンポリエーテルイミド共重合体の例は、米国特許第4,404,350号、同第4,808,686号および同第4,690,997号に示されている。ある例では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、有機ジアミン反応物の一部あるいは全部を、例えば、式(IV)のアミン末端オルガノシロキサンで置換する点を除いて、ポリエーテルイミド類に用いられる方法と同様に調製され、式(IV)において、gは1〜約50の範囲の整数であり、より具体的には約5〜約30の整数であり、R’は、炭素原子数が2〜約20のアリール、アルキルあるいはアリールアルキル基である。
【0083】
【化4】

【0084】
上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、式(V)の芳香族ビス(エーテル無水物)反応を含め、当業者に既知の任意の方法によって調製することができ、
【0085】
【化5】

【0086】
式中、Tは−O−、−S−、−SO−あるいは式−O−Z−O−の官能基であり、−O−あるいは−O−Z−O−基の二価結合は3,3’、3,4’、4,3’あるいは4,4’の位置に存在し、ここで、Zは限定されないが、
(a)炭素原子数が約6〜約20の芳香族炭化水素ラジカル類、およびそのハロゲン化誘導体、
(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖あるいは分枝鎖アルキレンラジカル類、
(c)炭素原子数が約3〜約20の環式アルキレンラジカル類、
あるいは
(d)式(VI)の一般式を持つ二価ラジカル基などの、置換あるいは未置換の二価有機ラジカル類を含み、
【0087】
【化6】

【0088】
式中、Qは限定されないが、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−C2y−(yは1〜8の整数)および、式(VII)の有機ジアミンを有するパーフルオロアルキレン基類を含むフッ素化誘導体と、からなる群から選択される二価官能基を含み、
【0089】
【化7】

【0090】
式中、R基は限定されないが、
(a)炭素原子数が約6〜約24の芳香族炭化水素ラジカルおよびそのハロゲン誘導体、
(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖あるいは分枝鎖アルキレンラジカル類、
(c)炭素原子数が約3〜約20の環式アルキレンラジカル類、あるいは
(d)式(VI)の一般式を持つ二価ラジカル基などの、置換あるいは未置換の二価有機ラジカル類を含む。
【0091】
具体的な芳香族ビス無水物と有機ジアミンの例は、例えば、米国特許第3,972,902号および同第4,455,410号に開示されている。具体的には、式(XIV)の芳香族ビス無水物は、
3,3−ビス [4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4、4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
2,2−ビス [4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、および
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、およびそれらの種々の混合物が挙げられる。
【0092】
上記のシロキサンジアミンに加えて適切なジアミンの例としては、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、
トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラアミン、ヘキサメチレンジアミン、
ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、
ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、
1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、
3−メチルヘプタメチレンジアミン、
4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、
4−メチルノナメチレンジアミン、
5−メチルノナメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、
3−メトキシヘキサメチレンジアミン、
1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、
ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、
1,4−シクロヘキサンジアミン、
ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、
m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、
2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、
m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、
2−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、
5−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、
ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、
3,3’−ジメトキシベンジジン、
1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、
ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,
5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(アミノ−t−ブチル)トルエン、
ビス(p−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、
ビス(p−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、
ビス(p−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、
ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、
およびこれらの2つ以上を含む組み合わせなどがある。シロキサンジアミンの特定の例は、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンである。ある実施形態では、シロキサンジアミンと一緒に用いられるジアミノ化合物は芳香族ジアミン類であり、具体的には、m−およびp−フェニレンジアミン、スルホニルジアニリンおよびそれらの混合物である。
【0093】
いくつかのシロキサンポリエーテルイミド共重合体類は、上述のように、式(VII)の有機ジアミンあるいはジアミン類の混合物と、式(VI)のアミン末端オルガノシロキサンとの反応によって製造してもよい。上記ジアミノ化合物は、ビス無水物(s)との反応前に物理的に混合して、実質的にランダムな共重合体としてもよい。あるいは、その後に互いに反応するポリイミドブロックを作るために、式(VII)と式(VI)を、例えば式(V)などの二無水物と選択的に反応させて、ブロック共重合体あるいは交互共重合体を形成してもよい。
【0094】
ポリエーテルイミド共重合体の調製に用いるシロキサンが、アミン官能性末端基ではなく、無水物を有する例もある。ある場合には、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、式(VIII)で示されるものであり、式中、T、R’およびgは上記の通りであり、bは約5〜約100の範囲の値を有し、Arは炭素原子数が6〜約36のアリールまたはアルキルアリールである。
【0095】
【化8】

【0096】
シロキサンポリエーテルイミド共重合体類の中には、シロキサンポリエーテルイミド共重合体のジアミン成分には、約20〜50モル%の式(IV)のアミン末端オルガノシロキサンと、約50〜80モル%の、式(VII)の有機ジアミンが含まれてもよいものがある。シロキサン共重合体類の中には、上記シロキサン成分が、約25〜約40モル%のアミン、あるいは無水物末端オルガノシロキサンから誘導されるものがある。
【0097】
上記ポリマブレンドのシリコーン共重合体成分は、ポリマブレンドの全重量に対して、約0.1〜約40重量%の範囲で、あるいは、約0.1〜約20重量%の範囲で存在していてもよい。この範囲内で、シリコーン共重合体は、0.1〜約10%、さらに0.5〜約5.0%の範囲とすることができる。
3.ブレンド中のレゾルシノール系ポリアリレート成分
【0098】
レゾルシノール系ポリアリレートは、ジフェノールと芳香族ジカルボン酸との反応生成物であるアリレートポリエステル構造単位を含むポリマである。上記アリレートポリエステル構造単位の少なくとも一部は、本明細書全体にわたって共通的にレゾルシノールあるいはレゾルシノール基として言及される、式(I)に示す1,3−ジヒドロキシベンゼノ基を含む。本発明に使用されるレゾルシノールまたはレゾルシノール基は、特に明記されない限り、未置換1,3−ジヒドロキシベンゼンと、置換1,3−ジヒドロキシベンゼンとを含んでいる。
【0099】
【化9】

【0100】
式(IX)において、Rは独立に、C1−12アルキル、C−C24アリール、C−C24アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンであり、nは0〜4である。
【0101】
ある実施形態では、レゾルシノール系ポリアリレート樹脂は、レゾルシノールと、例えば、カルボン酸ハライド、カルボン酸エステル、カルボン酸塩などのアリールエステル結合の形成に適したアリ−ルジカルボン酸あるいはアリールジカルボン酸誘導体と、の反応生成物から誘導される約50モル%以上の単位を含んでいる。
【0102】
適切なジカルボン酸は単環式および多環式芳香族ジカルボン酸を含んでいる。典型的な単環式ジカルボン酸には、イソフタル酸、テレフタル酸、あるいはイソフタル酸とテレフタル酸の混合物が含まれる。多環式ジカルボン酸には、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸および、例えば、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸が含まれる。
【0103】
したがって、ある実施形態では、上記ポリマブレンドは、式(X)で示されるレゾルシノールアリレートポリエステル単位を有する熱安定性ポリマ類を含んでおり、式中、Rおよびnは前述の定義通りである。
【0104】
【化10】

【0105】
レゾルシノールアリレートポリエステル単位を含むポリマ類は、界面重合法によって製造することができる。無水物結合を実質的に含まないレゾルシノールアリレートポリエステル単位を含むポリマを調製するために、第一のステップとして、水と水に実質的に不混和の有機溶剤との混物中で、レゾルシノール基と触媒とを混合する方法が用いられる。適切なレゾルシノール化合物は式(XI)のものであり、
【0106】
【化11】

【0107】
式中、Rは独立に、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、C−C24のアルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンであり、nは0〜4である。アルキル基が存在する場合には、通常、直鎖、分岐鎖、あるいは環式アルキル基であり、他の環式位置も考慮されるが、2つの酸素原子に対してオルトの位置の場合が最も多い。好適なC1−12のアルキル基には、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ノニル、デシル、およびベンジルを含むアリール置換アルキルなどが含まれる。特定の実施形態では、アルキル基はメチルである。好適なハロゲン基は、臭素、塩素、およびフッ素である。様々な実施形態において、nの値は0〜3とすることができ、場合によっては0〜2であり、さらに0〜1の場合もある。ある実施形態では、レゾルシノール基は2−メチルレゾルシノールである。別の実施形態では、レゾルシノール基は、nが0の未置換レゾルシノール基である。該方法はさらに、少なくとも1つの触媒を上記反応混合物と反応させるステップを含む。種々の実施形態において、この触媒は、全量が0.01〜10モル%の範囲であり、塩酸基の全モル数に対して全量を0.2〜6モル%とする場合もある。好適な触媒類としては、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩類、第四級ホスホニウム塩類、ヘキサアルキルグアニジニウム塩類、およびそれらの混合物を含む。
【0108】
好適なジカルボン酸ジハロゲン化物類には、例として、イソフタロイルジクロライド、テレフタロイルジクロライド、あるいはそれらジクロライドの混合物などを含む単環式部分から誘導される芳香族ジカルボン酸ジクロライド類を含んでもよい。好適なジカルボン酸ジハロゲン化物類はさらに、例として、ジフェニルジカルボン酸ジクロライド、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド、および、特にナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジクロライドなどのナフタレンジカルボン酸ジクロライドなどの多環式部分から誘導される芳香族ジカルボン酸ジクロライド類、あるいは、単環式および多環式芳香族ジカルボン酸ジクロライド類の混合物から誘導される芳香族ジカルボン酸ジクロライド類を含んでもよい。ある実施形態では、ジカルボン酸ジクロライドは、代表的に式(XII)で示されるイソフタロイルジクロライドおよびまたはテレフタロイルジクロライドを含む。
【0109】
【化12】

【0110】
イソフタロイルジクロライドおよびテレフタロイルジクロライドのいずれかが、あるいはその両方が存在してもよい。該ジカルボン酸ジクロライドは、イソフタロイルジクロライドとテレフタロイルジクロライドのモル比が約0.25〜4.0:1となる混合物を含む場合もあり、該モル比が約0.4〜2.5:1となる混合物を含む場合も、さらには、該モル比が約0.67〜1.5:1となる混合物を含む場合もある。
【0111】
ジカルボン酸ハロゲン化物類は、上記のポリマを調製する唯一の方法を提供する。該レゾルシノールアリレート結合を作る他のルートとしては、例えば、上記のジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、特に活性化エ−テル、あるいはジカルボン酸塩類か、その部分塩類を用いるルートなども考えられる。
【0112】
連鎖停止剤(以下、キャッピング剤と呼ぶこともある)を用いてもよい。該連鎖停止剤を添加する目的は、レゾルシノールアリレートポリエステル鎖物質を含むポリマの分子量を制限するためであり、それによって分子量を制御したポリマと望ましい加工性を提供するためである。通常、レゾルシノールアリレート含有ポリマに、さらに反応性末端基を付ける必要がなくなった時点で、連鎖停止剤を添加する。連鎖停止剤を用いない場合は、レゾルシノールアリレート含有ポリマは、レゾルシノールアリレートポリエステル部に、通常は水酸基である反応性末端基の存在が必要な共重合などの形で次に使用するために、溶液中で使用することも、あるいは溶液から回収して使用することもできる。連鎖停止剤は、モノフェノール化合物類、モノカルボン酸塩化物類、およびモノクロロギ酸エステル、あるいはこれらの2つ以上の組合せとすることができる。連鎖停止剤の量は、モノフェノール化合物類の場合にはレゾルシノールに対して、モノカルボン酸塩化物類およびまたはモノクロロギ酸エステルの場合には、二塩基酸に対して、通常、0.05〜10モル%の量でよい。
【0113】
好適なモノフェノール化合物類としては、フェノール、C〜C22のアルキル置換フェノール、p−クミルフェノール、p−第三級ブチルフェノール、ヒドロキシジフェニルなどの単環式フェノール、p−メトキシフェノールなどのジフェニールのモノエーテルなどがある。アルキル置換フェノールには、米国特許第4,334,053号に記載されている炭素原子数8〜9の分枝鎖アルキル置換基を有するものも含まれる。モノフェノール連鎖停止剤が、フェノール、p−クミルフェノール、およびレゾルシノールモノベンゾエートの場合もある。
【0114】
好適なモノカルボン酸塩化物類としては、ベンゾイルクロライド、C1−22アルキル置換ベンゾイルクロライド、トルオイルクロライド、ハロゲン置換ベンゾイルクロライド、ブロモベンゾイルクロライド、塩化シンナモイル、4−ナジミドベンゾイルクロライド、およびそれらの混合物などの単環式モノカルボン酸塩化物類、無水トリメリットクロライドやナフトイル塩化物などの多環式モノカルボン酸塩化物類、および単環式モノカルボン酸塩化物類および多環式モノカルボン酸塩化物類の混合物などがある。炭素原子数が22までの脂肪族モノカルボン酸類の塩化物類も好適である。アクリロイルクロライドやメタクリロイルクロライドなどの脂肪族モノカルボン酸類の機能的塩化物類もまた好適である。好適なモノクロロギ酸エステル類には、フェニルクロロギ酸エステル、アルキル置換フェニルクロロギ酸エステル、p−クミルフェニルクロロギ酸エステル、トルエンクロロギ酸エステル、およびそれらの混合物などの単環式モノクロロギ酸エステル類が含まれる。
【0115】
連鎖停止剤はレゾルシノールと組合せてもよく、ジカルボン酸二塩化物溶液中に含有させてもよく、あるいは、予備凝縮物を作って上記反応混合物に添加して用いてもよい。モノカルボン酸塩化物類およびまたはモノクロロギ酸エステル類を連鎖停止剤として用いる場合には、ジカルボン酸二塩化物と共に導入されることも多い。これらの連鎖停止剤は、ジカルボン酸の塩化物が実質的に反応しきった、すなわち反応終了時点で、反応混合物に添加してもよい。フェノール化合物類を連鎖停止剤として用いる場合には、反応中の反応混合物に添加してもよく、あるいは、レゾルシノールと酸塩化物間の反応開始前に添加してもよい。水酸基末端レゾルシノールアリレートを含有する予備凝縮物、あるいはオリゴマを調整する場合は、連鎖停止剤は用いなくてもよく、あるいは少量をオリゴマ分子量制御のために用ることもできる。
【0116】
別の実施形態では、三官能基以上のカルボン酸塩化物、およびまたは三官能基以上のフェノール官能基などの分岐剤が含まれていてもよい。そのような分岐剤を用いる場合には、その量は通常、使用されるジカルボン酸二塩化物あるいはレゾルシノールそれぞれに対して、0.005〜1モル%の量とすることができる。好適な分岐剤としては、例えば、
トリメシン酸トリ酸塩化物、
3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸四塩化物、
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸四塩化物
あるいはピロメリット酸四塩化物のなどの三官能基以上のカルボン酸塩化物類、および,
4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、
4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、
トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、
2,2−ビス− [4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン
2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)−フェノール、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、
2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、
テトラ−(4− [4−ヒドロキシフェニルイソプロピル]−フェノキシ)−メタン、
l,4−ビス− [(4,4−ジヒドロキシトリフェニル)メチル]−ベンゼンなどの三官能基以上のフェノール類などがある。酸塩化物分枝剤は酸二塩化物と共に用いられるが、フェノール分枝剤はレゾルシノール部と共に最初に用いてもよい。
【0117】
ある実施形態では、製品は、ポリエステル鎖の少なくとも2つの部分で結合した無水結合を実質的に含まない熱安定性のレゾルシノールアリレートポリエステルを含む。特定の実施形態では上記ポリエステルは、式(XIII)で示されるイソフタル酸とテレフタル酸との混合物から誘導されるジカルボン酸残基類を含む。
【0118】
【化13】

【0119】
式中、Rは独立に、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンであり、nは0〜4であり、mは約5以上である。様々な実施形態では、nは0、mは、約10〜約300である。イソフタレート対テレフタレートのモル比は、ある実施形態では約0.25〜4.0:1であり、他の実施形態では約0.4〜2.5:1であり、さらに他の実施形態では約0.67〜1.5:1である。実質的に無水物結合を含まないとは、ある実施形態では、上記ポリエステルを温度280℃〜290℃で5分間加熱時の分子量低下率が30%未満であり、また他の実施形態では、10%未満であることを示す。
【0120】
さらに、共通に所有する米国特許第5,916,997号に開示されるソフトブロックセグメントを含むレゾルシノールアリレートコポリエステルを含む物品も含まれる。本明細書で用いられるソフトブロックという用語から、該ポリマのセグメントには、非芳香族モノマ単位から構成されるものがあることがわかる。そのような非芳香族モノマ単位は一般に脂肪族であり、ソフトブロック含有ポリマに柔軟性を付与するものとして既知である。この共重合体は、式(IX)、(XIV)および(XV)の構造単位を含む構造単位を含んでおり、
【0121】
【化14】

【0122】
【化15】

【0123】
【化16】

【0124】
式中、Rとnは上記定義の通りであり、Zは二価の芳香族ラジカル、RはC3−20の直鎖アルキレン、C3−10の分枝鎖アルキレン、あるいはC4−10の環式、あるいはビシクロアルキレン基、RおよびRは各々独立に、
【0125】
【化17】

【化18】

【0126】
を表し、ここで、式(XV)は、上記ポリエステルのエステル結合に対して約1〜約45モル%寄与している。添付の実施形態では、式(XV)が種々の実施形態において、約5〜約40モルパーセントの範囲で該ポリエステルのエステル結合に寄与しており、また他の実施形態においては、約5〜約20モルパーセントの範囲で該ポリエステルのエステル結合に寄与している。別の実施形態では、RがC3−14の直鎖アルキレンあるいはC5−6の環式アルキレンである場合の組成物が提供される実施形態もあり、また、C3−10の直鎖アルキレンあるいはCの環式アルキレンを表わす実施形態もある。式(XIV)は芳香族ジカルボン酸残基を表わす。式(XIV)の二価芳香族ラジカルZは、種々の実施形態において、上記に定義されるような好適なジカルボン酸残基類から誘導されてもよく、また実施例によっては、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、あるいは2,6−ナフチレンまたはこれらの2つ以上からなる組み合わせを含む場合もある。様々な実施形態において、Zは、約40モル%以上の1,3−フェニレンを含む。式(IX)のソフトブロック鎖部材を含むコポリエステルの種々の実施形態では、式(IX)のnは0である。
【0127】
他の実施形態では、上記レゾルシノール系ポリアリレートは、有機カーボネートブロック部に結合したレゾルシノールアリレート含有ブロック部を含むブロックコポリエスルカーボネートであってもよい。そのような共重合体中のレゾルシノールアリレート鎖部材を含むセグメントは、実質的に無水物結合を含まない。実質的に無水物結合を含まないとは、該コポリエステルカーボネート類の約280℃〜290℃で5分間加熱時の分子量の低下率が、実施例によっては10%未満の場合もあり、また、5%未満の場合もあることを意味する。
【0128】
カーボネートブロック部は、ビスフェノールと、ホスゲンなどのカーボネート形成種と、の反応から誘導されるカーボネート結合を含んでポリエステルカーボネート共重合体を作る。例えば、上記レゾルシノールポリアリレートカーボネート共重合体は、イソフタル酸、テレフタル酸、レゾルシノール、ビスフェノールAおよびホスゲンの反応生成物を含むことができる。該レゾルシノールポリエステルカーボネート共重合体は、ビスフェノールジカルボン酸エステル結合の数が最小になる方法で作られ、例えば、レゾルシノールをジカルボン酸と予め反応させてアリールポリエステルブロックを形成し、次に、このブロックをビスフェノールと炭酸塩に反応させて、共重合体のポリカーボネート部分を形成する方法である。
【0129】
最良の効果を得るためには、レゾルシノールポリエステルカーボネート中のレゾルシノールエステルの含有量(REC)は、レゾルシノールから誘導されるポリマ結合の約50モル%以上とする。用途に応じて、これらの結合から誘導されるレゾルシノールの約75モル%以上の、あるいは約90あるいは100モル%と高いRECが望ましい場合もある。
【0130】
ブロックコポリエステルカーボネートは、典型的に式(XVI)に示されるように、アリレートと有機カーボネートブロックを交互に配置するものを含み、式中、Rとnは上記に定義したものであり、Rは二価有機ラジカルである。
【0131】
【化19】

【0132】
該アリレートブロックは、mで表される重合度(DP)を有しており、ある実施形態では重合度は約4以上、他の実施形態では約10以上、他の実施形態では約20以上、さらに別の実施形態では約30〜約150である。pで表わされる有機カーボネートブロックのDPは、ある実施形態では約2以上であり、他の実施形態では約10〜約20であり、さらに他の実施形態では約2〜約200である。これらの2つのブロックの配合は、カーボネートブロックに対してアリレートブロックの重量割合を任意の所望の値とする共重合体を提供するようになすことができる。一般に、アリレートブロックの含有量は、ポリマの全重量に対して、ある実施形態では約10〜約95重量%であり、他の実施形態では約50〜約95重量%である。
【0133】
イソフタレートおよびテレフタレートの混合物は式(XVI)に示されるが、アリレートブロック中のジカルボン酸残基は、上記の定義の通り、任意の好適なジカルボン酸残基から誘導されてもよく、あるいは、脂肪族二酸二塩化物(いわゆる「ソフトブロック」セグメント)から誘導されるジカルボン酸残基を含む好適なジカルボン酸残基類の混合物から誘導されてもよい。様々な実施形態においてnは0であり、またアリレートブロックは、イソフタル酸残基とテレフタル酸残基との混合物から誘導されるジカルボン酸残基類を含み、イソフタレートとテレフタレートのモル比は、ある実施形態では約0.25〜4.0:1、他の実施形態では約0.4〜2.5:1、さらに別の実施形態では約0.67〜1.5:1である。
【0134】
有機カーボネートブロックでは、各Rはそれぞれ独立に二価の有機ラジカルである。様々な実施形態において、該ラジカルは、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素を含んでおり、また、該ポリマ中のR基の総数の約60パーセント以上が芳香族有機ラジカルであり、それらのバランスは、脂肪族ラジカル、脂環式ラジカル、あるいは芳香族ラジカルである。好適なRラジカルは、m−フェニレン、p−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、4,4’−ビ(3,5−ジメチル)−フェニレン、2,2−ビス(4−フェニレン)プロパン、6,6’−(3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ [1H−インダン])であり、米国特許第4,217,438号に名前あるいは式(属名あるいは種名)が開示されているジヒドロキシ置換芳香族炭化水素に相当するラジカルと同様なラジカルを含む。
【0135】
それぞれのRが芳香族有機ラジカルの実施形態もあれば、式(XVII)のラジカルである実施形態もあり、
【0136】
【化20】

【0137】
式中、AおよびAはそれぞれ、単環式二価アリールラジカル、Yは、1つあるいは2つの炭素原子がAおよびAを隔離している架橋ラジカルである。式(XVII)の遊離原子価結合は通常、Yに対してAおよびAのメタあるいはパラの位置にある。Rが式(XVII)を有する化合物はビスフェノールであり、また、簡略化のために、用語「ビスフェノール」は、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素を指すこともある。しかしながら、このタイプの非ビスフェノール化合物も適宜使用されることは理解されるであろう。
【0138】
式(XVII)において、AとAは通常、未置換フェニレン、あるいはその置換誘導体(1つまたは複数)を表し、例としては、アルキル、アルケニル、およびハロゲン(特に臭素)などの置換基が挙げられる。ある実施形態では、未置換フェニレンラジカルが好適である。AおよびとAは両方ともp−フェニレンであることが多いが、両方がo−フェニレン、m−フェニレンでもよく、あるいは1つがo−フェニレンあるいはm−フェニレンで、もう1つがp−フェニレンであってもよい。
【0139】
架橋ラジカルYは、1つあるいは2つの原子によってAとAとが分離しているラジカルである。特定の実施形態では、1つの原子がAおよびとAを分離し、このタイプのラジカルとしては、−O−、−S−、−SO−、あるいは−SO−、メチレン、シクロヘキシルメチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチルメチレン、エチレン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデン、および他の同種のラジカルなどが挙げられる。
【0140】
いくつかの実施形態では、ゲムアルキレン(一般にアルキリデンとして既知)ラジカルが好適である。しかしながらさらに、未置換ラジカルも含まれる。いくつかの実施形態では、好適なビスフェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAすなわちBPA)であり、ここで、Yはイソプロピリデン、AおよびAは各々p−フェニレンである。反応混合物中のレゾルシノール部分の過剰モル数によって、カーボネートブロック中のRは、少なくとも部分的にレゾルシノール基を含んでもよい。すなわち、実施形態によっては、式(X)のカーボネートブロックは、少なくとも他の1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と結合したレゾルシノール基を含むものがある。
【0141】
ジブロック、トリブロック、および多重ブロックコポリエステルカーボネートは本発明に包含される。レゾルシノールアリレート鎖部材と、有機カーボネート鎖部材と、を含むブロック間の化学結合は、
(a)アリレート基の好適なジカルボン酸残基と、例えば典型的に式(XVIII)で示される、有機カーボネート基の−O−R−O−基と、のエステル結合か、(ここでRは、上記に定義されたもの)
【0142】
【化21】

【0143】
(b)レゾルシノールアリレート基のジフェノール残基と、式(XIX)に示される有機カーボネート基の−(C=O)−O−基と、のカーボネート結合、(ここでRおよびnは上記に定義されたもの)
の少なくとも1つを含んでもよい。
【0144】
【化22】

【0145】
ある実施形態では、コポリエステルカーボネートは実質的に、レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとのカーボネート結合を有するジブロック共重合体から構成される。別の実施形態では、該コポリエステルカーボネートは実質的に、レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネート末端ブロックとの間のカーボネート結合を有するトリブロックカーボネート−エステル−カーボネート共重合体で構成される。
【0146】
熱安定性レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとの間のカーボネート結合を有するコポリエステルカーボネートは通常、レゾルシノールアリレート含有オリゴマ類から調製され、そして、ある実施形態では少なくとも1つ、別の実施例では少なくとも2つの、ヒドロキシ末端部位を包含する。該オリゴマは通常、ある実施形態では約10、000〜約40,000の重量平均分子量、別の実施形態では、約15、000〜約30,000の重量平均分子量を有している。熱安定性コポリエステルカーボネートは、上記のレゾルシノールアリレート含有オリゴマを、第三級アミンなどの触媒の存在下で、ホスゲン、連鎖停止剤、およびジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と反応させることによって調製してもよい。
【0147】
ある例では、物品は、ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、およびそれらの混合物からなる群から選択された樹脂ブレンドと、シリコーン共重合体と、レゾルシノール系ポリアリレートと、を含み、上記アリールポリエステル結合の50モル%以上は、レゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であることを特徴とする。
【0148】
物品の製造に使われるポリマブレンド類に使用されるレゾルシノール系ポリアリレートの量は、物品の最終用途に応じて大きく変わる場合がある。例えば、物品が、発熱量あるいは最大発熱量到達時間の上昇が重要であるような最終用途に使用される場合には、レゾルシノールエステル含有ポリマの量を最大にして、発熱量を低下させ最大発熱量到達時間を延ばすことになる。レゾルシノール系ポリアリレートは、ポリマブレンドの約1〜約50重量%とすることができる場合もある。注目される組成物では、ポリマブレンドの全量に対して約10〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレートを有する。
【0149】
別の実施形態では、
a)約1〜約99重量%のポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、あるいはそれらの混合物と、
b)約0.1〜約30重量%のシリコーン共重合体と、
c)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約99〜約1重量%のレゾルシノール系ポリアリレートと、
d)0〜約20重量%の金属酸化物と、
からなるポリマブレンドを含み、重量%はこのポリマブレンドの全重量に対するものであることを特徴とする物品が考慮される。
【0150】
別の態様では、
a)約50〜約99重量%のポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、あるいはそれらの混合物と、
b)約0.1〜約10重量%のシリコーン共重合体と、
c)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約1〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレートと、
d)0〜約20重量%の金属酸化物と、
e)0〜約2重量%のリン含有安定剤と、
からなるポリマブレンドを含む物品が考慮される。
B.PEI、PI、PEISおよびそれらの混合物と、シリコーン共重合体と、レゾルシノール系アリールポリエステル樹脂と、の高Tgブレンド
【0151】
例えば、シリコーンポリエーテルイミド共重合体類またはシリコーンポリカーボネート共重合体類と、高ガラス転移温度(Tg)ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)あるいはポリエーテルイミドスルホン(PEIS)樹脂類と、レゾルシノール系ポリアリレートと、の組合せは、驚くほど低い発熱量と改善された耐溶剤性を持つ。
【0152】
上記レゾルシノール誘導アリールポリエステルは、例えば、レゾルシノール−ビスフェノール−Aコポリエステルカーボネートなどの非レゾルシノール系結合を含有するコポリマであってもよい。最良の効果を得るためには、レゾルシノールエステル含有量(REC)は、レゾルシノールから誘導されるポリマ結合の約50モル%以上とする。RECは高ければ高いほど好ましい。これらの結合から誘導されるレゾルシノールの75モル%より高い、あるいは90あるいは100モル%のRECが望ましい場合もある。
【0153】
難燃性ブレンドに使用されるレゾルシノールエステル含有ポリマの量は、発熱量の低減や、最大発熱量到達時間の上昇、あるいは耐溶剤性を向上させるための有効な量によって大きく異なる。レゾルシノールエステル含有ポリマが、ポリマブレンドの約1〜約80重量%でよい例もある。10−50%のレゾルシノール系ポリエステルを含有する組成物は注目される。ポリエーテルイミドあるいはポリエーテルイミドスルホンと、REC含有量が高い共重合体とのブレンドは、約150℃〜約210℃の単一のガラス転移温度(Tg)を有する場合もある。
【0154】
レゾルシノール系ポリアリレート樹脂は、レゾルシノールあるいは官能化レゾルシノールと、例えばカルボン酸ハロゲン化物類、カルボン酸エステル類、カルボン酸塩類などの、アリールエステル結合の形成に好適なアリールジカルボン酸あるいはアリールジカルボン酸誘導体類と、の反応生成物から誘導される、約50モル%以上の単位を含む。
【0155】
本発明に従って使用されるレゾルシノール系ポリアリレートについて、他のポリマブレンドに用いるためにさらに詳述する。
【0156】
熱安定性レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとの間の少なくとも1つのカーボネート結合を有するコポリエステルカーボネートは通常、本発明の種々の実施形態によって調製されるレゾルシノールアリレート含有オリゴマ類から調製され、そして、ある実施形態では少なくとも1つ、別の実施形態では少なくとも2つの、ヒドロキシ末端部位を包含する。該オリゴマは通常、ある実施形態では約10、000〜約40,000の重量平均分子量、別の実施形態では、約15、000〜約30,000の重量平均分子量を有している。熱安定性コポリエステルカーボネートは、上記のレゾルシノールアリレート含有オリゴマを、第三級アミンなどの触媒の存在下で、ホスゲン、少なくとも1つの連鎖停止剤、および少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と反応させることによって調製してもよい。
【0157】
ある例では、難燃性改良ポリマは、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物からなる群から選択された樹脂と、シリコーン共重合体と、レゾルシノール系ポリアリレートと、を含み、上記アリールポリエステル結合の50モル%以上は、レゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であることを特徴とする。「ポリマ結合」あるいは「1つのポリマ結合」という用語は、該ポリマを形成する少なくとも2つのモノマの反応生成物として定義される。
【0158】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物は、水素原子数と炭素原子数の比(H/C)が約0.85以下の場合もあり、これは注目される。水素含有量に比較して炭素含有量の多いポリマすなわち、水素原子数対炭素原子数の比が小さいポリマでは、難燃性が向上することが多い。これらのポリマは燃焼値が低く燃焼時のエネルギ放出が少ない。それらはポリマ燃料と点火源との間に絶縁性の炭化層を形成することにより耐燃焼性も有する。特定の作用機構や作用形態は別にして、そのような低H/C比を有するポリマが優れた難燃性を有することが知られている。上記H/C比を0.85未満にできる場合がある。また、ポリマ構造に十分にフレキシブルな結合を与えて溶融加工性を実現するために、約0.4以上のH/C比が好適となる例もある。あるポリマあるいは共重合体のH/C比は、化学的繰り返し単位中の他の原子とは無関係に、炭素原子および水素原子をカウントすることによりその化学構造から決定される。
【0159】
難燃性ポリマブレンドおよびそれを使用した物品では、2分後発熱量が約65kW−分/m未満の場合もある。また、上記の最大発熱量が約65kW/m未満の場合もある。最大発熱量到達時間が約2分以上であることも、ある組成物とそれから作られる物品にとって有益である。最大発熱量到達時間が約4分以上が実現される場合もある。
【0160】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類あるいはそれらの混合物と、シリコーン共重合体と、約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含むアリールポリエステル樹脂と、のブレンドは透明である。上記のブレンドが、ASTM D1003に準拠して測定し、約2mm厚みにおいて約50%を超える透過率を有する場合もある。これらの透明組成物のヘイズ率が、ASTM D1003に準拠して測定し、約25%未満となる例もある。上記透過率が約60%以上、かつヘイズ率が約20%未満となる実施形態もある。さらに、その組成物から作られる化合物および物品が、最大発熱量が50kW/m以下で、透過率が約50%以上、ヘイズ値が約25%未満の場合もある。
【0161】
上記の難燃性ブレンドでは、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、あるいはそれらの混合物は、組成物全重量に対して約1〜約99重量パーセントの範囲で存在させることができる。この範囲内で、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、あるいはその混合物の量は、約20重量%以上、より具体的には約50重量%以上、さらに具体的には約70重量%以上とすることができる。
【0162】
別の実施形態では、組成物は、
a)約1〜約99重量%のポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドスルホン、およびそれらの混合物と、
b)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約99〜約1重量%のアリールポリエステル樹脂と、
c)約0.1〜約30重量%のシリコーン共重合体と、
d)約0〜約20重量%の金属酸化物と、
を含み、
上記の重量%は組成物の全重量に対するものであることを特徴とする難燃性ポリマブレンドを含んでいる。
【0163】
他の態様では、組成物は、
a)約50〜約99重量%のポリエーテルイミドまたはポリエーテルイミドのスルホン樹脂と、
b)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約1〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレートと、
c)約0.1〜約10重量%のシリコーン共重合体と、
d)約0〜約20重量%の金属酸化物と、
e)0〜約2重量%のリン含有安定剤と、
からなる難燃性ポリマブレンドを含む組成物が考慮される。
【0164】
ポリマブレンドは一般式(XX)を有しており、
【0165】
【化23】

【0166】
式中、aは2以上であり、通常約10〜約1000以上、より具体的には約10〜約500であり、Vは四価のリンカーであり、上記ポリイミドの合成あるいは使用に支障を及ぼさない限り特に制限されない。好適なリンカーは、限定されないが、
(a)炭素原子数が約5〜約50の、置換あるいは未置換、飽和あるいは不飽和、芳香族単環式および芳香族多環式の基、
(b)炭素原子数が1〜約30の、置換あるいは未置換、直鎖あるいは分枝鎖、飽和あるいは不飽和のアルキル基、
あるいはそれらの混合物を含む。好適なリンカーは、限定されないが、式(XXI)などの構造式を有する四価の芳香族ラジカルを含み、
【0167】
【化24】

【0168】
式中、Wは、−O−、−S−、−C(O)−、SO−、−SO−、−C2y−(yは1〜8の整数)と、パーフルオロアルキレン基類あるいは、−W−あるいは−O−Z−O−基の二価結合が3,3’、3,4’、4,3’あるいは4,4’の位置にあり、ここで、Zは上記で定義されたものである、パーフルオロアルキレン基を含むフッ素化誘導物と、から構成される群から選択される二価基である。Zは、式(XXII)の典型的な二価ラジカルを含んでもよい。
【0169】
【化25】

【0170】
式(XX)中のRは、限定されないが、
(a)炭素原子数が約6〜24の芳香族炭化水素ラジカル類、およびそのハロゲン化誘導体、
(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖あるいは分枝鎖アルキレンラジカル類、
(c)炭素原子数が約3〜約24の環式アルキレンラジカル類、あるいは、
(d)一般式(VI)の二価ラジカル類、
などの、置換あるいは未置換二価有機ラジカル類を含み、
【0171】
【化26】

【0172】
式中、Qは上記に定義されたものである。
【0173】
ポリイミド類の分類中には、ポリアミドイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類およびポリエーテルイミド類が含まれ、特に、溶液での加工が可能で、米国特許第3,803,085号および同第3,905,942号にその調製法および物性が記載されており、当分野では既知のポリエーテルイミド類が含まれる。
【0174】
ポリエーテルイミド樹脂類は、式(XXIII)の構造単位を2以上、通常は約10〜約1000以上、より具体的には約10〜約500を含んでおり、
【0175】
【化27】

【0176】
式中、Tは、その二価結合が3,3’、3,4’、4,3’あるいは4,4’の位置にある−O−あるいは−O−Z−O−基、Zは上記に定義されたものである。ある実施形態では、上記ポリイミド、ポリエーテルイミド、あるいはポリエーテルイミドスルホンは共重合体であってもよい。ポリイミド、ポリエーテルイミド、あるいはポリエーテルイミドスルホンの混合物を用いてもよい。
【0177】
該ポリエーテルイミドは、式(XVIII)の芳香族ビス(エーテル無水物)と式(VII)の有機ジアミンとの反応を含む、当業者に既知の任意の方法で調製され、
【0178】
【化28】

【0179】
【化29】

【0180】
式中、TおよびRは上記に定義したものである。ポリエーテルイミドは、式(XVIIII)に芳香薬の反応を2度(エーテル無水物)含む当業者に有名な方法のうちのどれによっても準備することができる。
【0181】
芳香族ビス無水物類および有機ジアミン類の具体例は、例えば、米国特許第3,972,902号および同第4,455,410号に開示されている。芳香族ビス無水物には、
3,3−ビス [4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
2,2−ビス [4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン)二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、および
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、およびそれらの種々の混合物類が含まれる。
【0182】
上記の式(XVIII)で包含される別の分類の芳香族ビス(エーテル無水物)類は、限定されないが、Tが式(XXIV)であり、
【0183】
【化30】

【0184】
そのエーテル結合は、例えば好適には、3,3’、3,4’、4,3’、あるいは4,4’の位置に存在する化合物およびその混合物を含んでおり、ここで、Qは上記の定義の通りである。
【0185】
任意のジアミノ化合物が用いられてもよい。
適切な化合物の例としては、エチレンジアミン、
プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、
ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、
オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、
デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、
1,18−オクタデカンジアミン、
3−メチルヘプタメチレンジアミン、
4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、
4−メチルノナメチレンジアミン、
5−メチルノナメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、

3−メトキシヘキサメチレンジアミン、
1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、
ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、
1,4−シクロヘキサンジアミン、
ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、
m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、
2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、
m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、
2−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、
5−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、
ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、
3,3’−ジメトキシベンジジン、
1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、
ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、
2,4−ビス(p−アミノ−t−ブチル)トルエン、
ビス(p−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、
ビス(p−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、
ビス(p−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、
ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、および
ビス(4−アミノフェニル)エーテルが挙げられる。これらの化合物の混合物も用いられる。好適なジアミノ化合物は芳香族ジアミンであり、特に、m−およびp−フェニレンジアミン、スルホニルジアミンおよびそれらの混合物は好適である。
【0186】
ある実施形態では、ポリエーテルイミド樹脂は、式(XVII)の構造単位を含んでおり、式中、各Rは独立に、p−フェニレン、m−フェニレン、あるいはその混合物であり、Tは式(XXV)の二価ラジカルである。
【0187】
【化31】

【0188】
多くのポリイミド類の製造方法の中で、特にポリエーテルイミド類の製造方法は、米国特許第3,847,867号、同第3,852,242号、同第3,803,085号、同第3905,942号、同第3,983,093号および同第4,443,591号の開示に含まれる。これらの特許は、教示の目的で、ポリイミド類の総括的および具体的調製方法について例示として言及している。
【0189】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、およびポリエーテルイミドスルホン類は、6.6kgの樹脂を用い、ASTM D1238に準拠して340〜約370℃で測定したメルトインデックスが約0.1〜約10g/minである。ある実施形態では、上記ポリエーテルイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリエチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定して、約10、000〜約150,000g/モルである。別の実施形態では、該ポリエーテルイミドは、20,000〜60,000の範囲のMwを有する。このようなポリエーテルイミド樹脂の固有粘度は、25℃のm−クレゾール中で測定し、通常、0.2dl/gより大、より具体的には約0.35〜約0.7dl/gの固有粘度を持っている。本明細書に記載のブレンドに有用なポリエーテルイミド類のいくつかは、ASTM D5205「ポリエーテルイミド(PEI)材料標準分類システム」にリストされている。
【0190】
該共重合体のシロキサン部分のブロック長さは任意の有効長さとすることができる。ある場合には、2〜70のシロキサンの繰り返し単位であってもよい。また、シロキサンブロックの長さが、5〜30の繰り返し単位の場合もある。多くの場合、ジメチルシロキサンが用いられる。
【0191】
シロキサンポリエーテルイミド共重合体類は、使用されるシロキサン共重合体の特定の実施形態である。そのようなシロキサンポリエーテルイミド類の例は、米国特許第4,404,350号、同第4,808,686号および同第4,690,997号に示されている。ポリエーテルイミドシロキサン類は、有機ジアミン反応剤の一部あるいは全部を、例えば、式(XXII)のアミン末端オルガノシロキサンで置換することを除いて、ポリエーテルイミド類の調製に用いられるものと同じような方法で調製される例もあり、式中、gは1〜約50までの整数であり、他の例では、gは、約5〜約30の整数、またR’は、炭素原子数が約2〜約20のアリール、アルキル、あるいはアリールアルキルである。
【0192】
【化32】

【0193】
いくつかのポリエーテルイミドシロキサン類は、有機ジアミンあるいは式(XIX)のジアミン類の混合物と、式(22)のアミン末端オルガノシロキサンと、式(XVIII)の1つあるいは複数の二無水物と、の反応によって形成される。ジアミノ成分を、反応に先立ってビス無水物(類)と物理的に混合し実質的にランダム共重合体を形成してもよい。あるいは、式(XIX)および式(XXII)と二無水物との選択的反応によってブロックポリマあるいは交互共重合体を形成し、その後に互いに反応するポリイミドブロックを作ってもよい。別の例では、ポリエーテルイミド共重合体の調製に用いるシロキサンは、例えば、米国特許第4,404,350号に記載されているように、アミン官能性末端基ではなく無水物を有していてもよい。
【0194】
ある例では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、T、R’およびgが上記に記載されるもので、nが約5〜約100、またArは、炭素数が6〜約36のアリールあるいはアルキルアリール基である式(XXIII)であってもよい。
【0195】
【化33】

【0196】
あるシロキサンポリエーテルイミド類では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体のジアミン成分は、式(XXII)の約20モル%〜約50モル%のアミン末端オルガノシロキサンと、式(XIX)の約50〜約80モル%の有機ジアミンと、を含んでいてもよい。シロキサン共重合体類の中には、上記シロキサン成分が約25〜約40モル%のアミンあるいは無水物末端オルガノシロキサンを含むものもある。
C.高Tg相分離ポリマブレンド
【0197】
本明細書ではさらに、
a)ポリアリールエーテルケトン類と、ポリアリールケトン類と、ポリエーテルケトン類と、ポリエーテルエーテルケトン類と、を含む群から選択されるポリアリールエーテルケトン(PAEK)と、
b)50モル%以上の、アリールスルホン基を含む結合を有するポリエーテルイミドスルホン(PEIS)と、
の混合物を含む相分離ポリマ類が開示される。
【0198】
分離相とは、PAEK樹脂とPSEI樹脂とが、例えば、顕微鏡検査、示差走査熱量分析、あるいは動的機械分析などの標準的な分析技術を用いて識別できる分離した化学物質の混合物として存在することを意味し、少なくとも2つの異なるポリマ相、つまり1つはPAEK樹脂を含み1つはPSEI樹脂を含んだポリマ相を示すことを指す。この相が、約80重量%を超える上記樹脂を含む場合もある。また、該ブレンドが、大きさが約0.1〜約50μmの相分離領域を形成する場合もあり、また、上記の領域が約0.1〜約20μmの大きさの場合もある。領域の大きさとは、顕微鏡検査で見られる最長の直線長さを指す。上記の相分離ブレンドは、完全に非混合性であるか、あるいは部分的に混合性を示すことができるが、少なくとも溶液状態においては、2つあるいはそれ以上の分離ポリマ相を示すように作用しなければならない。
【0199】
PAEKとPEISとの比は任意に設定できるが、それによって改良された特性、すなわち、樹脂単独で用いた場合よりも、最終用途によって良好であったり、あるいは悪くなったりする特性を有する。上記の重量部比は、最終用途および所望の改良特性に応じて、1:99重量部から99:1重量部の範囲内で任意に選択される。上記の比は、15:85から85:15とすることもでき、さらに、25:75から75:25とすることもできる。用途によっては、40:60から60:40の範囲とすることもできる。当業者であれば、上記PAEKとPEISとの比を変化させてゆけば、所望の結果に応じて、上記の引用された範囲内でいずれかの実際の範囲に入ることは理解されるであろう。
【0200】
最終ブレンドの特性、それは成分の比を変化させることによって調整可能であるが、その特性には、熱変形温度と耐加重性能とが含まれる。例えば、ある実施形態では、ポリエーテルイミドスルホン樹脂は、添加量を増やすことによって、個々の成分に対するPAEKブレンドの耐加重性能を変える、すなわち向上させるのに有効な任意の量存在させることができる。全混合物に対して、PAEK量を約30〜約70重量%とし、PEISの量を約70〜約30重量%とする場合もある。ここで、重量%はPAEKとPEISの合計重量に対するものである。
【0201】
実施形態によっては、上記相分離ポリマは、ASTM D5418に準拠して、0.46MPa(66psi)の応力下、厚み3.2mmの棒で測定した熱変形温度(HDT)は約170℃以上である。0.46MPA(66psi)の応力下でのHDTが200℃以上になる場合もある。さらに、PAEK−PEISの耐加重性能は、ASTM D1525に準拠して50ニュートン(N)の荷重下で測定したビカット軟化温度で200℃以上であることから示される場合もある。
【0202】
上記の相分離ポリマブレンドの耐加重性能は、ASTM D5418に準拠して厚み3.2mmの棒に対して200℃で測定した曲げ弾性率が200MPa以上であることから示される場合もある。
【0203】
上記の相分離ポリマブレンドは、ある量のPAEKとある量のPEISとを溶液状態で混合して製造することができる。この2つの成分は、当業者に既知の、任意の相分離ブレンド製造方法を用いて混合することができる。そのような方法には、押出法、焼結法などがある。
【0204】
本明細書で用いられるように、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)類には、主として配列の異なるケトン基およびエーテル基で結合された芳香族環、通常はフェニル環を含むいくつかのポリマタイプが含まれる。PAEK樹脂の例としては、ポリエーテルケトン(PEK)類、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)類、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)類、およびポリエーテルケトンケトン(PEKK)類、およびそれらの基とそのブレンドを含む共重合体類などがある。上記のPAEKポリマには、芳香族環、通常はフェニル環と、任意の配列のケト基およびエーテル基を含むモノマ単位が含まれてもよい。基本的にPAEK樹脂の特性を変更しない限り、例えば10モル%未満など、低レベルの結合基を添加してもよい。
【0205】
例えば、融点が300℃以上の、高度に結晶性の数種類のポリアリールエーテルケトン類を、上記の相分離ブレンドに用いることができる。これらの結晶性ポリアリールエーテルケトン類の例を、構造式(XXVI),(XXVII),(XXVIII),(XXIX)および(30)に示す。
【0206】
【化34】

【0207】
【化35】

【0208】
【化36】

【0209】
【化37】

【0210】
【化38】

【0211】
ここで好適に用いられる結晶性ポリアリールエーテルケトン類の他の例は、一般的に、下記の式(XXXI)の繰り返し単位を含むことによって特徴付けられ、
【0212】
【化39】

【0213】
式中、Arは独立に、フェニレン、ビフェニレン、あるいはナフチレンから選ばれる二価の芳香族ラジカルであり、Lは独立に、−O−、−C(O)−、−O−Ar−C(O)−、−S−、−SO−、あるいは直接結合であり、hは0から約10の整数である。
【0214】
当業者であれば、ここには、ポリアリールエーテルケトン類の製造および特性に係る、十分に発展した実質的な特許主要部とその他の文献が存在する、ことは理解できるであろう。例えば、米国特許第3,065,205号などの以前の研究のあるものは、芳香族ジアシルハロゲン化物類とジフェニルエーテルなどの未置換芳香族化合物類との求電子芳香族置換反応(例えば、フリーデルクラフツ反応)に関係している。この種の発展は米国特許第4,175,175号で実現されており、そこには、広範囲の樹脂類が、例えば、活性化された芳香族ジハライドと、芳香族ジオールあるいはその塩との芳香族求核置換反応によって作られることが示されている。
【0215】
そのようなポリアリールケトン調製方法の1つは、時にビスフェノール塩として作用するビスフェノールと、ジハロベンゾイド化合物と、あるいは場合によっては、ハロフェノール化合物と、の実質的に等モル混合物を加熱するステップを含む。また、これらの化合物の混合物を用いる場合もある。例えば、ヒドロキノンを、ジフルオロベンゾフェノンのジクロロベンゾフェノンまたはジフルオロベンゾフェノンなどのジハロアリールケトンと反応させて、ポリアリールエーテルキノンを形成することができる。また、ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシアリールケトンを、ジクロロベンゼンなどのアリールジハライドで重合化してPAEK樹脂を形成する場合もある。さらに、ジヒドロキシジフェニールエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類を、ジフルオロベンゾフェノンなどのジハロアリールケトン類と反応させる場合もある。他の方法として、ジヒドロキシビフェニルあるいはヒドロキノンなどのエーテル結合を持たないジヒドロキシ化合物を、例えば、ビス−(ジクロロフェニル)ベンゾフェノンなどのエーテル結合とケトン結合の両方を有するジハロ化合物と反応させてもよい。ジアリールエーテルカルボン酸類、あるいはカルボン酸ハライド類を重合化してポリアリールエーテルケトン類を形成することもできる。このような化合物として、ジフェニルエーテルカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸塩化物、フェノキシ−フェノキシ安息香酸、あるいはそれらの混合物がある。また、ジカルボン酸類あるいはジカルボン酸ハライド類を、例えば、イソあるいはテレフタロイルクロライド(あるいはその混合物)などのジアリールエーテル類を用いて縮合し、ジフェニールエーテルと反応させてPAEK樹脂を形成することもできる。
【0216】
そのプロセスは、例えば、米国特許第4,176,222号に記載されている。このプロセスは、
(a)ビスフェノールと、
(b.i)、ジハロベンゼノイド化合物と、およびまたは、(b.ii)ハロフェノールと、の実質的に等モル混合物を、100〜400℃に加熱するステップを含み、前記ジハロベンゼノイド化合物あるいはハロフェノール中で、ハロゲン原子はオルトあるいはパラ位置にある−C=O−基で活性化され、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ソーダと第2のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダとの混合物は、前記第2のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダのアルカリ金属がナトリウムよりも大きな原子番号を有しており、上記第2のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダの量は、ナトリウム1グラム原子当たり、上記のより大きな原子番号を持つアルカリ金属が0.001〜0.2グラム原子存在するようになされており、上記のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダの全量は、存在するフェノール基毎に少なくとも1つのアルカリ金属原子が存在するようになされており、それによって上記のポリマをアルカリ金属ハロゲン化物から分離することを特徴としている。
【0217】
さらに、例えば米国特許第4,396,755号に記載されているプロセスに従って、他のポリアリールエーテルケトン類を調製してもよい。そのようなプロセスでは、
(a)ジカルボン酸と、
(b)二価芳香族ラジカルおよびモノ芳香族ジカルボン酸と、
(c)(a)と(b)との組合せ、などの反応物を、フルオロアルカンスルホン酸、特にトリフルオロメタンスルホン酸の存在下で反応させる。
【0218】
添付のポリアリールエーテルケトン類は、例えば米国特許第4,398,020号に記載されるようなプロセスに従って調整されてもよく、この場合には、芳香族ジアシル化合物は、芳香族化合物およびモノアシルハライドで重合化される。
【0219】
上記のポリアリールエーテルケトン類は、25℃濃硫酸中で測定して少なくとも約0.4〜約5.0dl/gの範囲の低減した粘度を有していてもよい。PAEKの重量平均分子量(Mw)は、約5,000〜約150,000g/モルの範囲であってもよい。Mwが約10,000〜約80,000g/モルの範囲の場合もある。
【0220】
第2の樹脂成分はポリスルホンエーテルイミド(PSEI)樹脂である。ここで用いられるように、PSEIは、一般式(VII)を有する構造単位を含み、式中、50モル%以上の上記ポリマ結合はアリールスルホン基を有し、
【0221】
【化40】

【0222】
ここで、aは2以上、通常は約10〜約1000以上であり、より具体的には約10〜約500であり、Vは四価リンカーであり、上記ポリスルホンエーテルイミドの合成あるいは使用に支障を及ぼさない限り限定されない。
好適なリンカーは、限定されないが、
(a)炭素原子数が約5〜約50の、置換あるいは未置換、飽和あるいは不飽和、あるいは、芳香族単環式あるいは芳香族多環式基と、
(b)炭素原子数が1〜約30の、置換あるいは未置換、直鎖あるいは分枝鎖、飽和あるいは不飽和のアルキル基と、あるいは
(c)それらの組合せと、を含む。
好適なリンカーは、限定されないが、式(VIII)の四価芳香族ラジカルを含み、
【0223】
【化41】

【0224】
式中、Wは、いくつかの実施形態においては、−SO−、−O−、−S−、−C(O)−、C2y−、(yは1から5までの整数)および、パーフルオロアルキレン基あるいは式−O−D−O−の基を含む上記のハロゲン化誘導体からなる群から選択される二価基である。上記の基Dは、ビスフェノール化合物の残基を含んでいてもよい。例えば、Dは式(IX)で示される任意の分子であってもよい。
【0225】
【化42】

【0226】
−W−あるいは−O−D−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、あるいは4,4’の位置に存在してもよい。前述の化合物の混合物を用いてもよい。ベンジルプロトンがない基は、溶液安定性が優れているために好適であることが多い。Wが−SO−である基は、ポリスルホンエーテルイミド樹脂類にアリールスルホン結合を導入する1方法であるために特に注目される。
【0227】
本明細書で用いられるように、「ポリマ結合」あるいは「1つのポリマ結合」という用語は、少なくとも1つが二無水物あるいはその化学的均等物であり、第2のモノマが少なくとも1つのジアミンあるいはその化学的均等物であることを特徴とするポリマを形成する少なくとも2つのモノマの反応生成物として定義される。上記のポリマは、100モル%のその結合から構成される。例えば、50モル%のアリールスルホン結合を有するポリマは、その結合の半分(モル基準で)が、少なくとも1つのアリールスルホン基を有する二無水物あるいはジアミンから誘導される結合を含んでいる。
【0228】
−O−D−O−基の前駆体として用いられる好適なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素も、式(X)の構造を有しており、
【0229】
【化43】

【0230】
式中、Rは独立に、水素、塩素、臭素、アルコキシ、アリールロキシ、あるいはC1−30の1価炭化水素か、炭化水素オキシ基であり、RとRは独立に、水素、アリール、アルキルフルオロ基、あるいはC1−3O炭化水素基である。
【0231】
O−D−O−基の前駆体として用いられるジヒドロキシ置換芳香族炭化水素には、米国特許第2,991,273号、同第2,999,835号、同第3,028,365号、同第3,148,172号、同第3,153,008号、同第3,271,367号、同第3,271,368号および、同4,217,438号で物質名あるいは式が開示されたものを含む。使用可能なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の例としては、限定されないが、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、
1,4−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−オキシジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、
1−1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、
ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、
2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、
2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、
ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル置換レゾルシノール、メチルレゾルシノール、
1,4−ジヒドロキシ−3―メチルベンゼン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニル、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,4−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
3,3−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、および
ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどがある。前述のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素のうちの任意のものを含む混合物も用られる。
【0232】
特定の実施形態では、スルホン結合を有するビスフェノールを含有する上記のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素は、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂にアリールスルホン結合を導入する別の手段であるために注目される。ベンジルプロトンがないビスフェノール化合物が、優れた溶液安定性を有するポリエーテルイミドスルホンの製造に好適な場合もある。
【0233】
式(VII)において、R基は、ジアミノ化合物あるいはその化学的均等物の残基であり、限定されないが、
(a)約6〜約24の炭素原子数を有する芳香族炭化水素ラジカルおよびそのハロゲン化誘導体、
(b)約2〜約20の炭素原子数を有する直鎖あるいは分枝鎖のアルキレンラジカル、
(c)約3〜約24の炭素原子数を有するシクロアルキレンラジカル、あるいは(d)一般式(XXI)で表される二価ラジカル、
などの置換あるいは未置換の二価有機ラジカルを含み、
【0234】
【化44】

【0235】
式中、Qは限定されないが、−SO−、−O−、−S−、−C(O)−、C2y−、(yは1から5までの整数)から構成される群から選択される二価基および、パーフルオロアルキレン基を含むそのハロゲン化誘導体を含んでいる。特定の実施形態においては、Rは本質的にベンジルプロトンを含まない。ベンジルプロトンの存在は化学構造から推定される。
【0236】
いくつかの特定の実施形態では、好適な芳香族ジアミンは、
m−フェニレンジアミンと、
p−フェニレンジアミンと、m−およびp−フェニレンジアミンの混合物と、2−メチルおよび5−メチル−4,6−ジメチル−1,3−フェニレン−ジアミンの異性体またはそれらの混合物と、
ビス(4−アミノフェニル)−2,2−プロパン、
ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニル、
3,4’−ジアミノフェニルジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリンと呼ばれることもある)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
4,4’−ジアミノジフェニルケトン、
3,4’−ジアミノジフェニルケトン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン(共通的に、4,4’−メチレンジアニリンと呼ばれる)
4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、
1,5−ジアミノナフタレン、
3,3−ジメチルベンジジン、
3,3−ジメトキシベンジジン、ベンジジン、
m−キシレンジアミン、ビス(アミノフェノキシ)フルオレン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
ビス(アミノフェノキシ)フェニルスルホン、
ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、
ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、
ジアミノベンズアニリド、
3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
4,4’−ジアミノベンゾフェノン、
2,2’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス [4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、
4,4’−ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、
1,2−ビス(3−アミノフェノキシ)エタン、
2,4−ビス(b−アミノ−t−ブチル)トルエン、
ビス(p−b−メチル−o−(アミノフェニル)ベンゼン、
ビス(p−b−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、および
2,4―トルエンジアミンなどを含む。2つ以上のジアミンの混合物も用いられる。ジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン(BAPS)およびそれらの混合物は、好適な芳香族ジアミンである。
【0237】
本明細書に記載の熱可塑性ポリスルホンエーテルイミドは、1つあるいは複数の芳香族ジアミンあるいはそれらと化学的に均等な誘導体と、1つあるいは複数の芳香族テトラカルボン酸環式二無水物(以後、芳香族二無水物と呼ぶこともある)、芳香族テトラカルボン酸、あるいは、環式無水物形成能または前に形成されたポリイソイミドを熱的/触媒的に転移するそれらの誘導体と、を含む反応物質から誘導される。さらに、芳香族ジアミンと芳香族二無水物とを含む反応物質の、一部および他方の少なくとも一部、すなわち、それぞれの少なくとも一部は、少なくとも50モル%の合成されたポリマ結合が少なくとも1つのアリールスルホン基を含有するようにアリールスルホン結合を含んでいる。特定の実施形態では、芳香族ジアミンと芳香族二無水物とを含有する反応物質の一方あるいは他方のすべて、すなわち、それぞれの反応物質は、少なくとも1つのスルホン結合を有している。上記反応物質は重合して環式イミド結合およびスルホン結合を含むポリマを形成する。
【0238】
芳香族二無水物の具体的な例としては、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0239】
他の有用な芳香族二無水物には、
2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4、4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
2,2−ビス( [4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4、4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
2− [4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−2− [4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、
2,3,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ピロメリット酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
1、4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、および、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。2つ以上の二無水物を含む混合物から誘導される構造単位を有するポリスルホンエーテルイミド類も考慮される。
【0240】
上記のポリスルホンエーテルイミドが、オキシジフタル酸無水物である芳香族エーテル無水物から誘導される、約50モル%以上のイミド結合を有する場合もあり、別の実施形態においては、イミド結合から誘導される約60モル%〜約100モル%のオキシジフタル酸無水物を有する。他の実施形態では、約70モル%〜約99モル%のイミド結合は、オキシジフタル酸無水物あるいはその化学的均等物から誘導される。
【0241】
「オキシジフタル酸無水物」とは、式(XII)のオキシジフタル酸無水物を意味しており、
【0242】
【化45】

【0243】
それらの誘導体はさらに以下のように定義される。
【0244】
式(XII)のオキシジフタル酸無水物には、4,4’−オキシビスフタル酸無水物、3,4’−オキシビスフタル酸無水物、3,3’−オキシビスフタル酸無水物、およびこれらの任意の混合物が含まれる。例えば、オキシジフタル酸無水物から誘導される約50モル%以上のイミド結合を含むポリスルホンエーテルイミドは、式(XIII)の4,4’−オキシビスフタル酸無水物構造単位から誘導されてもよい。
【0245】
【化46】

【0246】
上記の通り、オキシジフタル酸無水物の誘導体は、ポリスルホンエーテルイミド類の製造に用いられる。イミド形成反応において、上記のオキシジフタル酸無水物と化学的な均等物として機能する誘導された無水物の例には、式(XIV)のオキシジフタル酸無水物誘導体が含まれ,
【0247】
【化47】

【0248】
ここで、式(VII)のRおよびRは、水素、アルキル基、およびアリール基の任意のものであってよい。RとRは同じであっても異なっていてもよく、オキシジフタル酸無水物酸、オキシジフタル酸無水物エステル、および、オキシジフタル酸無水物酸エステルを作る。
【0249】
ここでのポリスルホンエーテルイミドには、例えば、オキシジフタル酸無水物誘導体が式(XV)で表されるような、2つの誘導化無水物基を有するオキシジフタル酸無水物誘導体から誘導されるイミド結合が含まれてもよく、
【0250】
【化48】

【0251】
ここで、式(XV)のR、R、RおよびRは、水素、アルキル基、アリール基の何れであってもよい。R、R、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、オキシジフタル酸と、オキシジフタルエステルと、オキシジフタル酸エステルと、を作る。
【0252】
2つ、3つ、あるいはそれ以上の異なる二無水物を有する上記のオキシジフタル酸無水物と、フレキシブルな結合を持った多かれ少なかれ等モル量の有機ジアミンと、の混合物のイミド化反応から誘導される構造単位を含むポリスルホンエーテルイミド類の共重合体も考慮される。さらに、上に定義されたオキシジフタル酸無水物(その誘導体も含む)から誘導される約50モル%以上のイミド結合と、約50モル%以下の、オキシジフタル酸無水物とは異なるもう一方の二無水物と、の共重合体類もまた考慮される。すなわち、オキシジフタル酸無水物から誘導される約50モル%以上の結合の他に、例えば、ビスフェノールA二無水物(BPADA)、ジスルホン二無水物、ベンゾフェノン二無水物、ビス(カルボフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビスフェノール二無水物、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニル二無水物、サルファ二無水物、スルホ二無水物およびそれらの混合物などの、オキシジフタル酸無水物とは異なる芳香族二無水物から誘導されるイミド結合を含む共重合体類を作ることが望ましい実施例もある。
【0253】
本発明の別の実施形態では、上記のように、この二無水物は、スルホン結合を有するアリールジアミンと反応する。ある実施形態では、上記ポリスルホンエーテルイミドは、式(XVI)のアリールジアミノスルホンから誘導される構造単位を含み、
【0254】
【化49】

【0255】
式中、Arは単一環あるいは複数環を含むアリール基種であってもよい。いくつかのアリール環は、例えば、エーテル結合や、スルホン結合あるいは2つ以上のスルホン結合などによって、互いに結合してもよい。上記のアリール環は縮合していてもよい。
【0256】
他の実施形態では、上記アリールジアミノスルホンのアミン基は、例えば、式(XVII)のように、スルホン結合に対してメタ、あるいはパラの位置とすることができる。
【0257】
【化50】

【0258】
芳香族二無水物は、限定されないが、例えば、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)およびビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン類(BAPS)などを含む。上記のオキシジフタル酸無水物は、アリールジアミノスルホンとの反応によるポリイミド結合の形成に用いられてポリスルホンエーテルイミドを作る。
【0259】
いくつかの実施形態においては、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂は、芳香族二無水物モノマ(あるいは芳香族ビス(エーテル無水物)モノマ)と有機ジアミンモノマとの反応によって調製され、ここで、上記2つのモノマは、本質的に等モル量か、あるいは、一方のモノマが他方のモノマに対し多くてもモル比で約20%以下、好適には多くても約10%以下、あるいは、約5%以下存在する。上記2つのモノマ量の差を、モル比で1%未満とする場合もある。
【0260】
メチルアミンなどのアルキル第一級モノアミン類を連鎖停止剤として用いてもよい。第一級モノアミン類を、ポリスルホンエーテルイミドの末端キャップあるいは連鎖停止用に用いても良く、例えば、ポリスルホンエーテルイミドの分子量制御に用いてもよい。特定の実施形態では、第一級モノアミン類には、具体的には、アニリン、クロロアニリン、パーフルオロメチルアニリン、ナフチルアミン類等の芳香族第一級モノアミン類が含まれる。芳香族第一級モノアミン類には、さらに芳香環に結合した官能基、例えば、限定されないが、アリール基類、アルキル基類、アリールアルキル基類、スルホン基類、エステル基類、アミド基類、ハロゲン類、ハロゲン化アルキルあるいはアリール基類、アルキルエーテル基類、アリールエーテル基類、あるいはアリールケト基類などの官能基を有していてもよい。この付加官能基によって、芳香族第1級モノアミンのポリスルホンエーテルイミドの分子量制御機能に支障が生じてはいけない。好適なモノアミン化合物類は、米国特許第6,919,422号にリストアップリストされている。
【0261】
芳香族ジカルボン酸無水物類、つまり、1つの環式無水物基を含む芳香族グループは、さらにポリイミドスルホンの分子量制御にも用いられる。具体的な例としては、クロロフタル酸無水物類などの無水フタル酸、置換無水フタル酸などがある。上記無水物類は、芳香族環に結合する官能基をさらに有していてもよく、それらの具体的な例としては、芳香族第一級モノアミン類として上記に記述した官能基類を含む。
【0262】
低レベルのイソアルキリデン結合を持つポリスルホンエーテルイミド類が望ましい場合もある。PAEKブレンドの中には、イソアルキリデン結合が存在することによって混和性が促進され、それによって高温での耐加重性能が低下するので望ましくないものもあると考えられている。相溶性のPEEK樹脂とイソアルキリデン含有ポリマとのブレンドについては、例えば、米国特許第5,079,309号、同第5,171,796号などに記載されている。低レベルのイソアルキリデン基類とは、ポリスルホンエーテルイミド結合の30モル%未満がイソアルキリデン基類を含むことを意味する場合もあり、また、20モル%未満のイソアルキリデン基類を含む場合もある。また、上記ポリスルホンエーテルイミド結合に10モル%未満のイソアルキリデン基類が存在する場合もある。
【0263】
ポリスルホンエーテルイミドは、温度340℃〜425℃でASTM D1238に準拠して測定したメルトインデックス値が約0.1〜約10g/minであってもよい。ある実施形態では、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィで測定した重量平均分子量(Mw)が約10,000〜約150,000g/モルである。別の実施形態では、ポリスルホンエーテルイミドは、Mwが20,000〜60,000g/モルである。いくつかのポリエーテルイミド類の例が、ASTM D5205「ポリエーテルイミド(PEI)材料用の標準分類システム」にリストアップされている。
【0264】
特に、フィルムおよび繊維の形成が望ましい場合には、組成物に、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、あるいは金属繊維などの繊維強化材を本質的に含ませない。本質的に含まないとは、全組成物量に対して5重量%未満を指す場合もあれば、1重量%未満の場合もある。
【0265】
冷却時にある程度結晶化する組成物を有することが有効な場合もある。これは、高表面積を有するためにすぐに冷却し、そのために最適な特性を得るために必要となる十分な結晶化ができない繊維やフィルムなどの、高表面積を持つ物品においてはより重要である。結晶の形成は結晶化温度(Tc)に反映される場合もあり、それは、例えば、ASTM D3418などの示差走査熱量計(DSC)等の方法によって測定される。最大結晶化速度となる温度はTcとして測定される。例えば、冷却速度80℃/minにおいて、約240℃以上のTcが望ましい場合もある。また、例えば、20℃/minという遅い冷却速度において、約280℃以上の結晶化温度が望ましい場合もある。
【0266】
上記組成物が少なくとも2つの別個のガラス転移温度(Tg)を有する場合もあり、第1のTgは、PAEK樹脂あるいは部分混和性PAEKブレンドからのものであり、第2のTgは、ポリスルホンエーテルイミド樹脂、あるいはその樹脂を優勢とする混合物に関連するものである。これらのガラス転移温度(Tg)は、DSC法あるいは動的機械分析法(DMA)などの任意の従来法を用いて測定できる。上記第1のTgを約120〜約200℃とし、第2のTgを約240〜約350℃とする場合もある。約280〜から約350℃と、より高温の第2のTgが有用な場合もある。特定の樹脂、分子量およびブレンド組成によって、これらのTgは別個のものでも、あるいは転移状態が部分的に重なっていてもよい場合もある。
【0267】
別の実施形態では、ポリスルホンエーテルイミドPEAKブレンドは、キャピラリーレオメータにより、せん断速度100〜1000sec−1、温度380℃にてASTM D3835に準拠して測定して、約200Pa・S〜約10、000Pa・Sの溶融粘度を有する。380℃で約200Pa・S〜約10,000Pa・Sの溶融粘度を持つ樹脂ブレンドであれば、該組成物を溶液加工技術を用いて容易に物品に形成することができる。約200〜約5,000Pa・Sのより低い液粘度が有用な実施例もある。
【0268】
溶液加工の別の態様、特に、本明細書に記載のPAEK−ポリスルホンエーテルイミド組成物に必要な高温における態様としては、該組成物の液粘度が成型中あるいは押出加工中に過剰な変化を受けないということである。溶液安定性を測定する1つの方法として、パラレルプレート型レオメータを用いて、加工温度、例えば380℃における粘度の時間変化を調べる方法がある。実施例によっては、上記温度に約10分間以上保持して、初期粘度の約50%以上を保持していなければならないものもある。また、少なくとも約10分間後、上記の液粘度変化が初期値の約35%未満でなければならない実施例もある。上記初期液粘度値は、組成物が溶融し平衡に達した後の1〜5分の間に測定される。サンプルを加熱して十分に溶解させ平衡に達したことを確認後、通常1〜5分間待つ。液粘度の時間変化の好適な測定方法は、例えばASTM D4440法である。液粘度は、ポイズ(P)あるいはパスカル・秒(Pa・s)で得られ、lPa・s=10Pである。
C.コポリエーテルイミド類
【0269】
有用なポリマは、218℃以上のガラス転移温度を有する、式(I)と式(II)とおよび任意に式(III)の構造単位を含むコポリエーテルイミドのコポリマも含むことができ、
【0270】
【化51】

【0271】
【化52】

【0272】
【化53】

【0273】
式中、Rは、ハロゲンあるいはアルキル置換基を含む未置換C6−22二価芳香族炭化水素あるいは置換C6−22二価芳香族炭化水素、あるいは、一般式(IV)の二価ラジカルを含み、
【0274】
【化54】

【0275】
該芳香環の割当てのない位置異性体が、Qに対してメタあるいはパラのいずれかであり、さらにQは、共有結合、−C(CHB)あるいは式(V)
【0276】
【化55】

【0277】
から選択される要素、および、式C2y(yは1〜約5の整数)のアルキレンあるいはアルキリデン基であり、Rは、二価芳香族ラジカル、式(I)の単位と式(II)の単位との重量比は、約99.9:0.1〜約25:75の範囲である。これらの要素を持つ共重合体は、Brunelle等の発明になる「コポリエーテルイミド」(2005年2月1日公布の特許第6,849,706号)に十分に議論されており、その内容のすべては参照により本明細書に援用される。
【0278】
本発明の物品に用いられるポリマブレンドは、上記の材料と処方中の任意の望ましい添加剤との密接混合を含む種々の方法により、上述の成分とブレンドすることができる。溶液混合も用いられるが、溶融混合も好適である。商用のポリマ加工設備で溶融混合装置が入手しやすいことから、溶融加工方法が一般に好適である。溶融加工方法で用いられる装置の例としては、共回転押出機、逆転押出機、単軸スクリュ押出機、コニーダ、ディスクパックプロセッサ、およびその他の種々のタイプの押出成形装置が挙げられる。本プロセスにおける溶融温度は、樹脂の余分な分解を避けるために最小にすることが望ましい。実施形態によっては、溶融加工される組成物は、押出機などの加工設備から金型内の小さな出口孔にかけて存在し、得られるひも状の溶融樹脂は水浴中を通過することで冷却される。冷却されたひもは裁断されるか、およびまたは、包装、運搬あるいは最終製品生産に便利な形状すなわちペレットに成形される。
【0279】
本明細書で議論されるブレンドは、種々の溶融混合技術で調製される。良好な混合スクリュを備えた真空式の一軸あるいは二軸スクリュ押出機の使用は好適である。そのような押出成形機を運転する溶解加工温度は、一般に、熱可塑性プラスティックのTgより高温の約100℃〜約150℃とされる。上記の成分の混合物はすべて、個々のフィーダーを用いて押出機口に供給されても、あるいは最初から混合物として供給されてもよい。例えば、2つあるいはそれ以上の樹脂ブレンドにおいて、最初に成分の一部を第1の押出機に押出し、次に混合物の残りを第2の押出機内に添加する方法が好都合な場合もある。最初に着色剤を樹脂凝縮物と混合し、次に樹脂組成物の残りの成分と混合する方法が有用なこともある。押出機口よりもさらに下流で混合物の一部を添加する方法が有益な場合もある。溶融ポリマを押出してひも状にし冷却した後に、次の生産工程に適した大きさのペレットに裁断または切断する。好適なペレットは長さが約1/16〜1/8インチであるが、当業者であれば、ペレットの大きさは任意であることは理解するであろう。ペレット化された熱可塑性樹脂は次に乾燥して水分を除去し、本発明の物品に成形される。温度約135℃〜約150℃で約4〜約8時間の乾燥が好適であるが、乾燥時間は樹脂の種類に応じて変ってくる。適切な温度、圧力および締付けによる射出成形は、光沢面を持つ物品の生産に好適である。成形時の溶融温度は、樹脂のTgを上回る約100℃〜約200℃となる。油加熱の型がより高温のTg樹脂に好適である。型温度は約50℃〜約175℃の範囲で変えられるが、約120℃〜約175℃が好適である。当業者であれば、本発明の組成物および物品の製造には、その混合方法と成形条件に関して多くのバリエーションがあり得ることは理解されるであろう。
【0280】
(実施例)
当業者であれば、これ以上の説明がなくても、本明細書の記述を用いて本発明を作り利用できるものと考えられる。以下の実施例は、クレームされた発明を実践する当業者への追加的ガイダンスを提供するために含まれている。これらの実施例は、研究を表すものとして提供され、本発明の教示に貢献するものである。従って、これらの実施例は、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するように意図されるものではない。他に明記されない場合は、すべての部は重量である。
【0281】
実施例1
材料
PCEは、約60重量%の、1:1のイソフタル酸エステル基およびテレフタル酸エステル基と、残りのBPAカーボネート基と、を含み、Mwが28,300、Tgが約175℃のBPAコポリカーボネートエステルである。
PSEI−1は、4,4’−オキシジフタル無水物(ODPA)と、ほぼ等モル量の4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)と、の反応により得られるポリスルホンエーテルイミドであり、Mwは33,000、Tgは約310℃である。
PSEI−2は、約80モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)と約20モル%のビスフェノール−A二無水物(BPADA)との混合物と、ほぼ等モル量の4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)と、の反応により得られるポリスルホンエーテルイミド共重合体であり、Mwは28,000、Tgは約280℃である。
PSEI−3は、ビスフェノール−A二無水物(BPADA)と、ほぼ等モル量の4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)と、の反応により得られるポリスルホンエーテルイミドであり、Mwは34,000、Tgは約247℃である。
PSEI−4は、ビスフェノールAジナトリウム塩と、等モル量の1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2,2’−(スルフォニルジ−4,1−フェニレン)ビス [4−クロロ(9CI)との反応により得られるポリスルホンエーテルイミドであり、Mwは50,000、Tgは約265℃である。
【0282】
発明的処方1〜9は、表1に記載の組成物を用いて調製される。すべての成分量は、樹脂100重量部当たりの部で表され、全樹脂量には、存在するならば安定剤が含まれる。ポリカーボネートエステル(PCE)共重合体は、塩基とトリエチルアミン相間移動触媒の存在下、イソフタロイルおよびテレフタロイル二酸塩と、ビスフェノールAと、の二相反応(メチレンクロライド/水)において調製される。このタイプの合成反応の詳細は、例えば、米国特許第5,521,258号の第13欄、15−45行目に記載されている。生成されるポリエステルカーボネート共重合体は、ビスフェノールAに対して、60%のエステル単位(イソフタレート単位とテレフタレート単位が1:1重量比の混合物として)と、40%のカーボネート単位と、を有する。表1に示される成分は、ペイント撹拌器で混合され、2.5インチ真空式単軸スクリュー押出機に、80〜90rpmで575〜640°Fで押し出される。得られたブレンドはペレット化されて275°Fで4時間乾燥後、5×7×1/8インチのプラークに射出成形される。成形機は、溶融温度を675°F、金型温度を275°Fに設定する。
【0283】
【表1】

【0284】
実施例2
濃縮した発泡性樹脂を、5−フェニル−3,6−ジヒドロー−1,3,4−オキサジアジン−2−オン(PDOX)20重量部と、事前に20メッシュ以下に粉砕した処方1〜9のそれぞれ80重量部とを、機械的に混合することによって作る。発泡性樹脂は、クロロホルム中で0.38〜0.42の固有粘度を有している。該樹脂を121℃で8時間、事前に乾燥する。
【0285】
上記のプレミックスをバレル温度が188〜199℃の押出成形機に載置する。押出成型機は摩擦熱を最小化するために、低せん断「混合スクリュ」を使用する。生成した材料の温度は199〜216℃である。押出されたひもを水冷し切断する。PDOXの存在量は熱重量分析によって決定される。
【0286】
上記濃縮物を次に、10重量%の事前乾燥させた樹脂、および2重量%のガラスを充填した樹脂30重量%と混合する。得られたブレンドを押出バレル温度が306〜370℃の発泡成形プレス機(Reed)に押出す。該成形機は型は93℃に設定されている。標準の引っ張り試験片および曲げ試験片(厚み63.5mm)を成形する。
【0287】
実施例3
処方10−11
材料
これらの処方に用いられるレゾルシノールエステルポリカーボネート(ITR)樹脂は、イソフタロイルクロライドとテレフタロイルクロライドの1:1混合物と、レゾルシノール、ビスフェノールA(BPA)およびホスゲンとの凝縮物から得られるポリマである。このITRポリマは、エステル結合とカーボネート結合との概略モル比によって名づけられる。ITR9010は、約82モル%のレゾルシノールエステル結合と、8モル%のレゾルシノールカーボネート結合と、約10モル%のBPAカーボネート結合と、を有する。Tgは131℃。PEI=ULTEM1000は、ビスフェノールA二無水物とほぼ等モル量のm−フェニレンジアミンとの反応から得られるポリエーテルイミドであり、GEプラスチック社から販売されている。PEIシロキサンは、m−フェニレンジアミンと、BPA二無水物と、平均で約10シリコーン原子を含むビス−アミノプロピル基メチルシリコーンと、のイミド化反応から得られるポリエーテルイミドジメチルシロキサン共重合体である。上記PEIシロキサンは、シロキサン含有量が約34重量%、Mnがゲルペーミエーションクロマトグラフィで測定して約24,000である。PCはBPAポリカーボネートであり、LEXAN130はGEプラスチック社から販売されている。ブレンド類は、レゾルシノール系ポリエステルカーボネート樹脂と、ポリエーテルイミドと、シリコーンポリイミド共重合体樹脂とを、真空式の2.5インチ単軸スクリュ押出機内で混合押出しすることによって調製される。組成物は特に明記されない限り、全組成物中の重量%で示される。押出機は約285〜340℃の範囲に設定される。上記のブレンド類は真空下、約90rpmの運転で得られる。押出し品を冷却しペレット化して120℃で乾燥する。
【0288】
【表2】

【0289】
処方10および11を温度121℃で一晩乾燥させる。十分乾燥後にPDOXを0.5重量%、乾燥混合する。このプレミックスを発泡成形機(Reed)を用いてシートに成形する。押し出し温度は306〜343℃であった。
【0290】
実施例4
ブレンド12〜18は、前記実施例で記載のブレンド製造方法と同じ方法により製造されたものである。
【0291】
【表3】

【0292】
処方12〜18のそれぞれの99.5重量部と、Olin Chemicals of Stamford, ConnからExpandex 150(5−フェニルテトラゾールのカルシウム塩)およびExapnadex 175(5−フェニルテトラゾールのbバリウム塩)として市販されている5PT(5−フェニルテトラゾール)発泡剤0.5重量部とを乾燥混合する。これらの発泡剤はOlin Chemicals of Stamford, Connから市販されている。得られたブレンドを次にシートに押出成形する。
【0293】
実施例5
ブレンド19〜25は、前記実施例で記載のブレンド製造方法と同じ方法により製造されたものである。
【0294】
【表4】

【0295】
およびExapnadex 175(5−フェニルテトラゾールのbバリウム塩)これらの発泡剤はOlin Chemicals of Stamford,Connから市販されている。0.5重量部の発泡剤と99.5重量部の樹脂とを乾燥混合させて各サンプルを調製した。
【0296】
実施例6
処方26〜31は、前記実施例で記載のブレンド製造方法と同じ方法により製造されたものである。
【0297】
【表5】

【0298】
各処方26〜31の1つを含むペレットをリアクタに入れ0.8%のオリビニールアルコール水溶液に懸濁させる。この懸濁液にアセトンを満たして温度を95℃に上げ1時間保持する。次に温度を195℃に上げて4時間保持するとリアクタ内の圧力が上がる。ペレットを室温まで冷却してPVA溶液から分離して水洗する。得られたペレットは中にアセトンが吸着している。210℃のオーブンに4分間入れてこのペレットを発泡させる。
【0299】
実施例7
材料
これらのサンプルに用いられるレゾルシノールエステルポリカーボネート(ITR)樹脂は、イソフタロイルクロライドとテレフタロイルクロライドの1:1混合物と、レゾルシノール、ビスフェノールA(BPA)およびホスゲンとの凝縮物から得られるポリマである。このITRポリマは、エステル結合とカーボネート結合との概略モル比によって名づけられる。ITR9010は、約82モル%のレゾルシノールエステル結合と、8モル%のレゾルシノールカーボネート結合と、約10モル%のBPAカーボネート結合と、を有する。Tgは131℃。PEIシロキサンは、m−フェニレンジアミンと、BPA二無水物と、平均で約10シリコーン原子を含むビス−アミノプロピル基メチルシリコーンと、のイミド化反応から得られるポリエーテルイミドジメチルシロキサン共重合体である。上記PEIシロキサンは、シロキサン含有量が約34重量%、Mnがゲルペーミエーションクロマトグラフィで測定して約24,000である。PSuは、ビスフェノールAとジクロロジフェニルスルホンとの反応から得られるポリスルホンであり、Solvay社からUDEL1700として販売されている。PESは、ジヒドロキシフェニルスルホンとジクロロジフェニルスルホンとの反応から得られるポリエーテルスルホンであり、BASF社からULTRASON Eとして販売されている。この実施例のブレンド類には、混合中に3%部の二酸化チタン(TiO)が添加されていることに留意のこと。ブレンド類は、レゾルシノール系ポリエステルカーボネート樹脂と、ポリスルホンまたはポリエーテルスルホンと、シリコーンポリイミド共重合体樹脂との混合物を、真空式の2.5インチ単軸押出機内で混合押出して調製される。組成物は特に明記されない限り、全組成物中の重量%で示される。押出機は約285〜340℃の範囲に設定される。上記ブレンド類は、真空下約90rpmの運転で得られる。押出し品を冷却しペレット化して120℃で乾燥する。
【0300】
【表6】

【0301】
アセトンと各処方32〜34の1つとを加圧リアクタに充填して発泡熱可塑性組成物を作る。各リアクタは圧力解放後直ちに180℃のオーブンに1時間入れ、気泡が破壊しないように急冷する。
【0302】
実施例8
表7の処方35および36は、PSuあるいはPESと、高含有量(60重量%)のレゾルシノールエステルポリカーボネート共重合体とのブレンド類を示す。これらのブレンド類は、前述の実施例に記載のプロセスにより製造される。
【0303】
【表7】

【0304】
20重量部の5−フェニル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン(PDOX)と、事前に20メッシュ以下に粉砕された処方35および36のそれぞれの80重量部とを機械的に混合して上記プリミックスを作る。このプリミックスを121℃で8時間、事前に乾燥する。
【0305】
上記のプレミックスをバレル温度が188〜199℃の押出成形機に載置する。押出成型機は摩擦熱を最小化するために、低せん断「混合スクリュ」を使用する。生成した材料の温度は199〜216℃である。押出されたひもを水冷し切断して濃縮物を作る。
【0306】
次にこの濃縮物を処方35および36のそれぞれと混合する。得られたブレンドを次に発泡成形機に押出す。
【0307】
本発明を典型的な実施形態で示し記述したが、その趣旨から逸脱することなしに様々な変更や置換が可能なために、本発明は記載したものに限定されるものではない。このように、当業者には、単に慣用にすぎない実験を用いて、本明細書で開示された発明をさらに変更したものやそれと均等なものが思い浮かぶかもしれないが、そうした変更や均等物はすべて、添付の特許請求の範囲で定義された発明の趣旨及び範囲に入るものである。本明細書に引用した前述の特許類および出版物のすべては参照により本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)複数のガラス転移温度を有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類のうち、1つが217℃より高いガラス転移温度を有するポリエーテルイミド類を含むポリマ類の非相溶性ブレンドか、
b)180℃より高いガラス転移温度を1つ有するポリエーテルイミド類を1つあるいは複数含むポリマ類の相溶性ブレンドか、
c)247℃より高いガラス転移温度を1つ有する単一のポリエーテルイミド、のいずれかを含む発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項2】
複数のガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンドを含み、前記ポリマ類の1つは180℃より高いガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項3】
217℃より高い単一のガラス転移温度を有するポリマ類の相溶性ブレンドを含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項4】
247℃より高い単一のガラス転移温度を有する単一の未使用ポリマを含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項5】
ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンエーテルスルホン類、およびそのそれらの混合物から構成される群から選択される第1の樹脂と、
シリコーン共重合体を含む第2の樹脂と、
レゾルシノール系アリールポリアリレート樹脂を含む第3の樹脂と、のブレンドを含み、前記アリールポリエステル結合の50モル%以上はレゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項6】
前記シリコーン共重合体は、
オリイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドスルホンシロキサン類、ポリカーボネートシロキサン類、ポリエステルカーボネートシロキサン類、ポリスルホンシロキサン類、ポリエーテルスルホンシロキサン類、ポリフェニレンエーテルスルホンシロキサン類およびそれらの混合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項7】
前記シリコーン共重合体の含有量は、前記ポリマブレンドの0.1〜10.0重量%であることを特徴とする請求項6に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項8】
前記シリコーン共重合体はシリコーン含有量が20〜50重量%であることを特徴とする請求項6に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項9】
前記ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンエーテルスルホン類およびそのそれらの混合物は、水素原子数と炭素原子数の比が0.85以下であることを特徴とする請求項5に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項10】
前記ポリマブレンドの0.1〜20重量%の金属酸化物を1つあるいは複数さらに含むことを特徴とする請求項5に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項11】
前記レゾルシノール系アリ−ルポリエステルは以下に示す構造を有しており、
【化1】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4、また、また、mは少なくとも約8であることを特徴とする請求項5に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項12】
前記レゾルシノール系ポリエステル樹脂は、下記に示す構造を有するカーボネート結合を含む共重合体であり、
【化2】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4であり、Rは少なくとも1つの二価有機ラジカルであり、mは約4〜150、pは約2〜200であることを特徴とする請求項5に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項13】
前記Rは、ビスフェノール化合物から誘導されることを特徴とする請求項12に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項14】
前記非相溶性ポリマ類ブレンドは、
a)ポリアリールエーテルケトン類と、ポリアリールケトン類と、ポリエーテルケトン類と、ポリエーテルエーテルケトン類と、を含む群の1つあるいは複数からから選択される第1の樹脂成分と、
b)少なくとも1つのアリールスルホン基を含む結合を50モル%以上有する、少なくとも1つのポリスルホンエーテルイミドを含む第2の樹脂成分と、の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項15】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、その繰り返し単位の少なくとも50モル%が、少なくとも1つのアリールエーテル結合と、少なくとも1つのアリールスルホン結合と、少なくとも2つのアリールイミド結合と、を含むように、アリールスルホンとアリールエーテル結合とを含むことを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項16】
前記ポリスルホンエーテルイミド結合の少なくとも50モル%は、オキシジフタル酸無水物あるいはその化学的均等物から誘導されることを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項17】
ポリスルホンエーテルイミド結合の30モル%未満は、イソアルキリデン基を含むジアミンあるいは二無水物から誘導されることを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項18】
前記基材は、ASTM D648に準拠して測定し、66psi(0.46MPa)の応力下、厚み3.2mmのサンプルを用いて測定した熱変形温度(HDT)が170℃以上であることを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項19】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、前記基材の30〜約70重量%の範囲で存在することを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項20】
前記ポリスルホンエーテルイミドは本質的にベンジルプロトンを含まないことを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項21】
前記ポリアリールエーテルケトン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトンおよびポリエーテルエーテルケトンの内の、前記の1つあるいは複数は、結晶融点が300℃〜380℃であることを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項22】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、ガラス転移温度(Tg)が250℃〜350℃であることを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項23】
前記ポリマブレンドは、ASTM D5418に準拠して測定し、少なくとも2つの異なるガラス転移温度を有し、第1のガラス転移温度は120℃〜200℃であり、第2のガラス転移温度は250℃〜350℃であることを特徴とする請求項14に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項24】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物から構成される群から選択される第1の樹脂と、
シリコーン共重合体を含む第2の樹脂と、
レゾルシノール系アリールポリエステル樹脂を含む第3の樹脂と、のブレンドを含み、前記アリールポリエステル結合の50モル%以上はレゾルシノールから誘導されたアリールエステル結合であることを特徴とする請求項1に記載の改良された難燃性能を有する発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項25】
前記シリコーン共重合体は、
オリイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドスルホンシロキサン類、ポリカーボネートシロキサン類、ポリエステルカーボネートシロキサン類、ポリスルホンシロキサン類、ポリエーテルスルホンシロキサン類、ポリフェニレンエーテルスルホンシロキサン類から構成される群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項26】
前記シリコーン共重合体の含有量は、前記ポリマブレンドの0.1〜10.0重量%の範囲であることを特徴とする請求項24に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項27】
前記シリコーン共重合体は、シリコーン含有量が20〜50重量%であることを特徴とする請求項24に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項28】
前記ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物は、水素原子数と炭素原子数との比が0.75以下であることを特徴とする請求項24に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項29】
前記ポリマブレンドの0.1〜20重量%の金属酸化物の1つあるいは複数をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項30】
前記レゾルシノール系アリールポリエステルは、下記に示す構造を有し、
【化3】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4、またmは少なくとも約8であることを特徴とする請求項24に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項31】
前記レゾルシノール系ポリエステル樹脂は、下記に示す構造を有するカーボネート結合を含む共重合体であり、
【化4】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4であり、Rは少なくとも1つの二価有機ラジカルであり、mは約4〜150、またpは約2〜200であることを特徴とする請求項24に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項32】
前記Rは、ビスフェノール化合物から誘導されることを特徴とする請求項31に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項33】
前記ポリイミド、ポリエーテルイミドあるいはポリエーテルイミドスルホンは、ビスフェノールA二無水物、オキシジフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ジフタル酸無水物、スルホニル二無水物、サルファ二無水物、ベンゾフェノン二無水物およびそれらの混合物から構成される群から選択されるアリール二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、オキシジアニリン、ビスアミノフェノキシベンゼン、ビスアミノフェノキシビフェニル、ビスアミノフェニルフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルフィドおよびそれらの混合物から構成される群から選択されるアリールジアミンと、から作られることを特徴とする請求項24に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項34】
少なくとも約218℃のガラス転移温度を有するコポリエーテルイミドを含み、
前記コポリエーテルイミドは、式(I)と(II)の構造単位と、任意に式(III)の構造単位を含み、
【化5】

【化6】

【化7】

式中、Rは、ハロゲンあるいはアルキル置換基を含む未置換C6−22二価芳香族炭化水素あるいは置換C6−22二価芳香族炭化水素、あるいは、一般式(IV)の二価ラジカルを含み、
【化8】

該芳香環の割当てのない位置異性体が、Qに対してメタあるいはパラのいずれかであり、さらにQは、共有結合あるいは式(V)
【化9】

から選択される要素、および、式C2y(yは1〜約5の整数)のアルキレンあるいはアルキリデン基であり、Rは二価芳香族ラジカル、式(I)の単位と式(II)の単位との重量比は、約99.9:0.1〜約25:75の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項35】
Tgが225℃より高いコポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項36】
前記の構造単位を含むコポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項37】
前記Rは、
m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、
2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、
ビス(4−アミノフェニル)−2,2−プロパン、
ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニル、
3,4’−ジアミノフェニルジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4’−ジアミノジフェニルケトン、
3,4’−ジアミノジフェニルケトン、
2,4―トルエンジアミン、およびそれらの混合物類から構成される群から選択される少なくとも1つのジアミンから誘導されることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項38】
前記のRは、式(VI)のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の少なくとも1つから誘導され、
【化10】

式中、Dは式(VII)の構造を有し、
【化11】

ここで、Aは芳香族基を表わし、Eは、スルフィド、スルホキシド、スルホンなどの硫黄含有結合と、ホスフィニル、ホスホニルなどのリン含有結合と、エーテル結合と、カルボニル基と、
第三級窒素基と、シラン、シロキシなどのシリコン含有結合と、シクロペンチリデン、3,3,5−トリメチルシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3−ヂメチルシクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、メチルシクロヘキシリデン、2− [2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、ネオペンチリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデンなどの脂環式基と、任意に、1つのヒドロキシ置換基を有する1つあるいは複数の芳香族基に接続した1つあるいは複数の縮合環の一部であるアルキレン基またはアルキリデン基と、不飽和のアルキリデン基と、あるいは、アルキレンまたはアルキリデンとは異なる部分が接続し、芳香族結合と、第3級窒素結合と、エーテル結合と、カルボニル結合と、シラン、シロキシなどのシリコーン含有結合と、スルフィド、スルホキシド、スルホンなどの硫黄含有結合と、ホスフィニル、ホスホニルなどのリン含有結合と、から構成される群から選択される2つ以上のアルキレンまたはアルキリデンと、を含み、Rは、水素と、アルケニル、アリル、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、あるいはシクロアルキルなどの1価炭化水素基と、を含み、
は独立に、無機原子、ハロゲン、ニトロ基などの無機基、アルケニル、アリル、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキル、およびアルコキシなどの1価の炭化水素基、などの有機基、から構成される群から選択され、文字「m」は、0以上で、置換可能なAの位置までの数の内の任意の整数であり、文字「p」は、0以上で、置換可能なEの位置までの数の内の整数であり、文字「t」は、少なくとも1以上の整数であり、文字「s」は、0あるいは1に等しい整数であり、「u」は、0を含む任意の整数であることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項39】
式(I)(II)および(III)のそれぞれにおけるRの構造単位は同じであることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項40】
式(I)(II)および(III)の内少なくとも2つの式におけるRの構造単位の少なくとも一部は同じでないことを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項41】
前記Rは、
4,4’−(シクロペンチリデン)ジフェノール
4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’−(シクロヘキシリデン)ジフェノール、
4,4’−(3,3−ジメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、
4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、
4,4’−(メチルシクロヘキシリデン)ジフェノール,
4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、
ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、
2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、
ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル置換レゾルシノール、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、
ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,4−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
3,3−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチリンダン−5オール、
1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチリンダン−5−オール、
2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1−スピロビ [1H−インデン]−6,6’−ジオールから構成される群から選択される少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素から誘導されることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項42】
前記Rは、式(IX)のものから構成される基から選択される、少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素から誘導され、
【化12】

式中、Rはそれぞれ独立に、水素、塩素、臭素あるいはC1−30の1価炭化水素またはヒドロカーボンオキシ基であり、少なくとも1つのZは塩素、臭素、および式(X)のものであることを条件として、
【化13】

はそれぞれ、水素、塩素あるいは臭素であり、ここでRはそれぞれ独立に前述に定義されたものであり、RおよびRは独立に、水素またはC1−30の炭化水素基であることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項43】
前記RはビスフェノールAから誘導されることを特徴とする請求項42に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項44】
少なくとも1つの連鎖停止剤から誘導される構造単位をさらに含むことを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項45】
前記連鎖停止剤は、ハロゲン化アルキル類、塩化アルキル類、ハロゲン化アリール類、
塩化アリール類および式(XVII)および(XVIII)の塩化物類から構成される群から選択される、少なくとも1つの未置換または置換要素であり、
【化14】

【化15】

式中、前記塩化物置換基は3位または4位の位置にあり、ZおよびZは、置換または未置換のアルキルあるいはアリールであることを特徴とする請求項44に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項46】
前記連鎖停止剤は、
モノクロロベンゾフェノン、
モノクロロジフェニルスルホン、
モノクロロフタルイミド、
4−クロロ−N−メチルフタルイミド、
4−クロロ−N−ブチルフタルイミド、
4−クロロ−N−オクタデシルフタルイミド、
3−クロロ−N−ブチルフタルイミド
3−クロロ−N−ブチルフタルイミド、
3−クロロ−N−オクタデシルフタルイミド、
4−クロロ−N−フェニルフタルイミド、
3−クロロ−N−フェニルフタルイミド、
モノ−置換ビス−フタルイミド、
モノクロロビスフタルイミドベンゼン、
1− [N−(4−クロロフタルイミド)]−3−(N−フタルイミド)ベンゼン、
1− [N−(3−クロロフタルイミド)]−3−(N−フタルイミド)ベンゼン、モノクロロビスフタルイミドジフェニールスルホン、
モノクロロビスフタルイミドジフェニルケトン、
モノクロロビスフタルイミドフェニルエーテル、
4− [N−(4−クロロフタルイミド)]フェニル−4’−(N−フタルイミド)フェニルエーテル、
4− [N−(3−クロロフタルイミド)フェニル]−4’−(N−フタルイミド)フェニルエーテル、および3,4’−ジアミノジフェニルエーテルから誘導される最後の2つの化合物の対応する異性体、から構成される群から選択される、少なくとも1つの要素であることを特徴とする請求項45に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項47】
式(I)の単位の重量と式(II)の単位の重量の比が、約99:1〜約25:75であることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項48】
0.455MPaの応力下における熱変形温度は少なくとも205℃であることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項49】
0.455MPaの応力下における熱変形温度は少なくとも210℃であることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項50】
ASTM D3763に準拠して測定し、脆性状態と延性状態間の遷移温度が最大30℃であることを特徴とする請求項34に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項51】
補強充填材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項52】
導電性添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項53】
多層構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡組成物。
【請求項54】
3〜25kg/mのかさ密度を有することを特徴とする請求項1に記載の発泡組成物。
【請求項55】
発泡材料は柔軟性を有することを特徴とする請求項54に記載の発泡材料。
【請求項56】
前記発泡材料は剛体であることを特徴とする請求項55に記載の発泡材料。
【請求項57】
1つあるいは複数の充填材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性あるいは発泡材料。
【請求項58】
1つあるいは複数のフィルムあるいはシートを積層したことを特徴とする請求項1に記載の発泡材料を含む物品。
【請求項59】
前記のフィルムあるいはシートは、
a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃以上のガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンドか、
b)217℃以上のガラス転移温度を1つ有するポリマ類の相溶性ブレンドか、
c)247℃以上のガラス転移温度を1つ有する単一の未使用ポリマ、のいずれかを含むことを特徴とする請求項58に記載の物品。
【請求項60】
互いに付着された、請求項1に記載の複数の発泡材料を含むことを特徴とする物品。

【公表番号】特表2009−521548(P2009−521548A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547313(P2008−547313)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/047418
【国際公開番号】WO2007/078737
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】