説明

発泡体及びその製造方法

【目的】 パッキング材として好適な、柔軟で反発弾性に優れ、永久歪が小さく、着色可能であり、押出発泡成形で製造可能な独立気泡型の低発泡体及びその製造方法の提供。
【構成】 発泡倍率が1.2〜3倍の独立気泡型塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ発泡体、及び塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイと化学発泡剤からなる組成物を溶融押出しし、発泡させることからなる上記独立気泡型塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ発泡体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面状態良好な均一性に優れた独立気泡型発泡体に関する。さらに詳しくは、押出発泡成形で製造可能なゴム弾性に優れた発泡体及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】建材用ガスケット、自動車用ウェザーストリップ、カバンパッキングなどのパッキング用途には、弾性によるクッション性及びシール性が要求されるため、従来、EPDM、クロロプレンゴム、シリコンゴムなどの発泡体が用いられてきた。しかしこれらの発泡体の製造には、押出成形後に加硫、発泡を行う工程が必要となり、成形サイクルが長いという欠点がある。またEPDMやクロロプレンゴムは、機械的強度や耐候性の向上のためにカーボンブラックの添加が必須となり任意の着色ができず、デザインの自由度が低いという欠点があり、またシリコンゴムは高価であるという難点もあった。オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用すればこのような欠点乃至難点は回避できるが、ゴム的弾性に劣るのみならず、薄肉化が困難であるという欠点を有しているため、異形押出成形を行うような分野では使用が制限され、また得られる製品の外観や性能についても満足すべきものとは言い難かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、前記パッキング類として好適な素材について検討を行った。その結果、塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイの独立気泡型低発泡体がゴム的弾性に優れており、かつカーボンブラックの配合を行なわなくても機械的強度や耐候性に優れること、またこのような低発泡体が押出発泡により、外観の優れた均一な製品として容易に製造できることを見出すに至り、本発明に到達した。
【0004】従って本発明の目的は、パッキングとして好適な柔軟で反発弾性に優れ、永久歪が小さく、かつ着色可能な独立気泡型の低発泡体及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、発泡倍率が1.2〜3倍の独立気泡型塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ発泡体に関する。本発明はまた、塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイと化学発泡剤からなる組成物を溶融押出しし、発泡させることを特徴とする独立気泡型上記発泡体の製造方法に関する。
【0006】本発明の塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイの発泡体は、発泡倍率が1.2〜3倍、好ましくは1.4〜2.7倍の独立気泡型低発泡体である。またその泡径は通常50〜300μm程度の範囲にある。発泡倍率が前記範囲を越えるものは、クッション性に劣るようになるので好ましくない。
【0007】発泡体原料の塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイは、米国デュポン社が開発し、三井・デュポンポリケミカル社からアルクリン(登録商標)の商品名で販売されているものである。これらの中ではカーボンブラック配合品と無配合品があるがいずれも使用することができる。発泡体原料としては、23℃におけるショア硬度(A)(JISK 7215)が50〜90、永久伸び(JISK 6301)が20%以下、反発弾性(JISK 6301)が30%以上、引張強度(JISK 6301)が5MPa以上のものを用いるのが好ましい。
【0008】また前記発泡体には、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、無機充填剤などが配合されていてもよい。
【0009】前記低発泡体は溶融押出発泡により、外観が優れ、泡径が小さく均一に分布した製品として得ることができる。すなわち、塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイと化学発泡剤を溶融混練した後、140〜190℃程度で押出し、所定形状のダイ内で発泡させる方法である。塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイは、上記成形温度域で急激な粘度変化がなく溶融張力が大きいため、押出発泡によって発泡セルが均一で物性良好な発泡体を得ることができる。
【0010】化学発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド、スルホニルヒドラジド、p、p′−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、スルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジントリアジン、5−フエニルテトラゾール、モノ及びポリアゾホルムアミド、ジニトロソメチレンアミン、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウムあるいはこれらの2種以上を使用することができる。また発泡を低温でかつ均一に行わせるため、発泡助剤を用いることが好ましい。このような発泡助剤として、脂肪酸塩、炭酸塩、金属酸化物、有機酸等を例示することができる。
【0011】発泡体の製造は、塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ、化学発泡剤、必要に応じ使用される発泡助剤や添加剤を押出機中で混練し、所定温度で所定形状のダイ中に溶融押出しすることによって行われる。押出機への供給に際し、化学発泡剤、発泡助剤、添加剤などの成分は、予め適当な重合体をベースとするマスターバッチにして供給することが望ましい。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、外観、均一性、ゴム弾性に優れた発泡体が提供できる。上記発泡体原料組成物は薄肉成形性に優れているところから、シート、棒、チューブ等の単純な形状のみならず、複雑な形状の異形押出成形品でも性状の優れた製品として得ることができる。また通常のゴムの発泡体と異なり、任意の色に着色できるという利点もある。一般に硬質PVCや半硬質PVCと、各種発泡体、例えば軟質PVCやゴムの発泡体とからなる外観良好な複合体を一段の成形で製造することは困難であるが、本発明の押出発泡に際し、硬質PVCや半硬質PVCと共押出しを行いながら発泡させると、強固に接着した外観良好で、へたりの少ない2色成形品を容易に製造できるという利点もある。かかる特性を生かし、建材用ガスケット、自動車用ウェザーストリップ、モール、プロテクター、カバンパッキング、断熱パッキング、足ゴム、制振マット、各種目地材、パッキング材、ダンパー材、クッション材などに使用することができる。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】[実施例1]塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ(三井・デュポンポリケミカル株式会社製、アルクリン2070BK)100重量部にアゾジカルボンアミド1.0重量部、ステアリン酸亜鉛0.8重量部、酸化マグネシウム2重量部を140℃の6インチロールで混練した後ペレット化した。このペレットを40mmφ押出機(フルフライトスクリュー、L/D=26、圧縮比3.0)を用いてシリンダー温度150〜170℃、ノズル温度150℃、吐出量6kg/Hr で混練すると共に押出発泡成形し、巾3mm厚さ6mmの厚さのベルト状の発泡体を得た。
【0015】得られた発泡体成形物の密度は0.67g/cm3 (発泡体倍率約1.7倍)であり、均一な発泡セルを有していた。
【0016】[実施例2]塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイとしてアルクリン1060BKを用い、その100重量部に対して、アゾジカルボンアミド等の粉体成分を予じめ6インチロールを用い、軟質塩化ビニル樹脂(DOP 40phr含有)に混練して作成した発泡剤マスターバッチ(軟質塩化ビニル樹脂100重量部、アゾジカルボンアミド10重量部、酸化亜鉛10重量部)2.2重量部を配合し実施例1と同様にして発泡体シートを作成した。
【0017】得られた発泡体密度は0.62g/cm3 (発泡倍率約2倍)で均一な発泡セルを有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 発泡倍率が1.2〜3倍の独立気泡型塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ発泡体。
【請求項2】 塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイと化学発泡剤からなる組成物を溶融押出しし、発泡させることを特徴とする独立気泡型塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ発泡体の製造方法。