発泡充填具
【課題】複数の箇所で中空構造体に取り付ける場合であっても、円滑に取り付けることのできる発泡充填具を提供する。
【解決手段】発泡充填具11は、加熱されることで発泡及び硬化して発泡体となる各発泡性部材12,13と、その加熱に対して耐熱性を有する第1及び第2取付部材14,15とを備える。第1取付部材14は、第1本体部14aと中空構造体に固定される第1固定部14bとを有する。第2取付部材15は、第2本体部15aと中空構造体に固定される第2固定部15bとを有する。第1本体部14a及び第2本体部15aは、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容するとともに、その変位の方向を案内する案内部23を介して組み付けられる。発泡充填具11は、中空構造体に取り付けられることで、中空構造体の中空部には、各発泡性部材12,13が配置される。
【解決手段】発泡充填具11は、加熱されることで発泡及び硬化して発泡体となる各発泡性部材12,13と、その加熱に対して耐熱性を有する第1及び第2取付部材14,15とを備える。第1取付部材14は、第1本体部14aと中空構造体に固定される第1固定部14bとを有する。第2取付部材15は、第2本体部15aと中空構造体に固定される第2固定部15bとを有する。第1本体部14a及び第2本体部15aは、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容するとともに、その変位の方向を案内する案内部23を介して組み付けられる。発泡充填具11は、中空構造体に取り付けられることで、中空構造体の中空部には、各発泡性部材12,13が配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造体の有する中空部に発泡体を充填する発泡充填具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空構造体の有する中空部に発泡体を充填するには、加熱により発泡及び硬化する発泡性部材を取付部材に支持した発泡充填具が用いられる(特許文献1参照)。取付部材には、中空構造体に形成された貫通孔に係止することで中空構造体に固定する固定部が設けられている。こうした取付部材により、中空部の所定の位置に配置された発泡充填具は、中空構造体とともに加熱される。これにより、発泡性部材の発泡及び硬化が開始され、中空部の所定の位置に発泡体が充填される。中空構造体は、例えば車両の一部を構成し、中空部に発泡体が充填されることで、例えば中空部における空気の流通を要因とする異音の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−79955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、取付部材を中空構造体に固定する固定部は、例えば発泡充填具の安定した固定を考慮して複数設けられることがある。この場合、中空構造体には複数の固定部に対応して複数の貫通孔が予め形成される。ここで、例えば、中空構造体を複数のパネルから構成し、複数のパネルに貫通孔を形成した後にそれらパネルが溶接等により組み付ける場合、組付精度等により複数の貫通孔の間隔がばらつき易くなる。このように中空構造体に形成された複数の貫通孔の間隔と、発泡充填具の有する複数の固定部の間隔とが異なることで、発泡充填具の取り付けを円滑に行うことが困難になるおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の箇所で中空構造体に取り付ける場合であっても、円滑に取り付けることのできる発泡充填具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、加熱されることで発泡及び硬化して発泡体となる発泡性部材と、前記加熱に対して耐熱性を有する取付部材とを備えてなり、前記取付部材により中空構造体に取り付けることで前記中空構造体の中空部に前記発泡性部材を配置し、前記加熱により前記中空部に発泡体を充填する発泡充填具であって、前記取付部材は、第1本体部と前記中空構造体に固定される第1固定部とを有する第1取付部材と、第2本体部と前記中空構造体に固定される第2固定部とを有する第2取付部材とを備え、前記第1本体部及び前記第2本体部は、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容するとともに前記変位の方向を案内する案内部を介して組み付けられてなることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する組み付けにより、第1固定部と第2固定部との間隔を中空構造体の有する複数の被固定部の間隔に合わせることができる。また、第1本体部と第2本体部との組み付けは、前記変位の方向を案内する案内部を介しているため、第1固定部と第2固定部との間隔を調整する際に、安定した操作が実現される。このため、第1固定部と第2固定部との間隔を円滑に変更することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発泡充填具において、前記案内部により案内される方向において前記変位の範囲を規制する規制部を有することを要旨とする。
この構成によれば、第1固定部と第2固定部との間隔の過剰な変更が抑制される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発泡充填具において、前記案内部及び前記規制部が連続して形成されていることを要旨とする。
この構成によれば、案内部と規制部とを離間せずに構成することで、案内部及び規制部の構成を簡素化することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部は、突起部とその突起部が係止される係止孔との関係で組み付けられ、前記係止孔の内周面が前記案内部として構成されることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部は、突起部とその突起部が係止される係止突部との関係で組み付けられ、前記係止突部の外周面が前記案内部として構成されることを要旨とする。
【0012】
例えば、請求項4及び請求項5に記載するように、第1本体部及び第2本体部は、案内部を介して組み付けられる。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部のうち、一方の本体部に前記突起部が形成され、他方の本体部に前記係止孔が形成されることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が直接組み付けられてなることを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部のうち、一方の本体部に前記突起部が形成され、他方の本体部に前記係止突部が形成されることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が直接組み付けられてなることを要旨とする。
【0014】
上記の請求項6及び請求項7に記載するように、第1本体部及び第2本体部を直接組み付けることで、例えば、組み付け用の連結部材を別途設ける場合よりも、構成を簡素化できるようになる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部は、連結部材を介して組み付けられてなることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、例えば長さの異なる連結部材を複数準備し、それら連結部材の中から選択して各本体部を組み付けることで、第1固定部と第2固定部との間隔を調整できる範囲を容易に変更することができる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発泡充填具において、前記連結部材は、前記発泡性部材又は前記加熱に対して耐熱性を有する耐熱性部材であることを要旨とする。
このように、連結部材としては発泡性部材又は耐熱性部材を採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の箇所で中空構造体に取り付ける場合であっても、円滑に取り付けることのできる発泡充填具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図2】発泡充填具を示す斜視図。
【図3】(a)は発泡充填具の基準間隔の状態を示す平面図、(b)は最小間隔の状態を示す平面図、(c)は最大間隔の状態を示す平面図。
【図4】(a)は中空構造体に取り付けた発泡充填具を示す部分断面図、(b)は発泡体が形成された状態を示す断面図。
【図5】第2実施形態の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図6】(a)は発泡充填具を示す斜視図、(b)はA−A線に沿った部分断面図。
【図7】第3実施形態の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図8】発泡充填具を示す斜視図。
【図9】第4実施形態の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図10】発泡充填具を示す斜視図。
【図11】変更例の発泡充填具を示す斜視図。
【図12】(a)は、変更例の発泡充填具における最小間隔の状態を示す部分平面図、(b)は最大間隔の状態を示す部分平面図。
【図13】(a)は、変更例の発泡充填具における最小間隔の状態を示す部分平面図、(b)は最大間隔の状態を示す部分平面図。
【図14】変更例の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図15】発泡充填具を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明を具体化した第1実施形態について図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、発泡充填具11は、加熱されることで発泡及び硬化して発泡体となる第1発泡性部材12及び第2発泡性部材13と、前記加熱に対して耐熱性を有する第1取付部材14及び第2取付部材15とを備える。発泡充填具11は、各取付部材14,15によって中空構造体の中空部に取り付けられる。これにより、中空構造体の中空部に各発泡性部材12,13が配置され、この状態で各発泡性部材12,13が加熱されることにより、中空部の所定の箇所には発泡体が充填される。
【0021】
図1及び図2に示すように、第1取付部材14は、板状をなす第1本体部14aと中空構造体に固定するための第1固定部14bとを有する。第2取付部材15は、板状をなす第2本体部15aと、中空構造体に固定するための第2固定部15bとを有する。各固定部14b,15bは、中空構造体を構成するパネルの有する貫通孔に係止される周知の形状をなしている。
【0022】
第1本体部14aの上面には、爪状の先端部を有する突起部21が複数突設されている。突起部21は、第1本体部14aの長さ方向に沿って並設される二つの第1突起部21aと、同じく第1本体部14aの長さ方向に沿って並設される二つの第2突起部21bとから構成されている。第2本体部15aには、複数の突起部21に対応して複数の係止孔22が貫設されている。係止孔22は、第1突起部21aに対応した第1係止孔22aと、第2突起部21bに対応した第2係止孔22bとから構成されている。
【0023】
第1突起部21a及び第2突起部21bは、それぞれ第1係止孔22a及び第2係止孔22bに係止される。すなわち、突起部21が係止孔22に挿入され、突起部21の先端が係止孔22の周縁に係止されることで、突起部21が抜け止めされる。これにより、第1本体部14aと第2本体部15aとが組み付けられる。なお、第1本体部14aには、段差部14cが形成され、第1本体部14aの一部と第2本体部15aの一部とを重ね合わせて組み付けられた際に、第1本体部14aの上面と第2本体部15aの上面との高さの差が縮小されるようになっている。
【0024】
ここで、各係止孔22a,22bは、一定方向(第2本体部15aの長さ方向)に沿って延びる形状をなし、その方向に沿って各突起部21a,21bは移動可能となっている。こうした各本体部14a,15aの組み付けは、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する。なお、突起部21が係止孔22を移動させる際の抵抗は、例えば、第1突起部21aと第2突起部21bとの間隔、又は、第1係止孔22aと第2係止孔22bとの間隔の寸法設定により調整される。また、係止孔22の幅寸法は、突起部21の先端部が挿入可能な寸法とされている。
【0025】
図3(a)に示すように、係止孔22の長さ方向に沿った内周面は、突起部21の変位する方向を案内する案内部23となる。また、係止孔22の長さ方向における両端部に位置する内周面は、突起部21が変位する方向において、変位の範囲を規制する規制部としての最小規制部24a及び最大規制部24bとなっている。こうした各係止孔22によって、案内部23、及び各規制部24a,24bは連続して形成されている。
【0026】
各取付部材14,15を形成する材料としては、上記の耐熱性を有する材料から適宜選択することが可能である。こうした材料としては、成形の容易性から樹脂材料が好ましく、例えばポリアミド系樹脂が好適に用いられる。各取付部材14,15は、例えば射出成形により成形することができる。
【0027】
図1及び図2に示すように、各発泡性部材12,13は、全体として板状をなし、それぞれ第1本体部14aの上面及び第2本体部15aの上面に固定される。各発泡性部材12,13は、接着剤や粘着剤、インサート成形等により固定することができる。なお、第2発泡性部材13には、第1係止孔22a及び第2係止孔22bに対応して窓部13aが貫設され、突起部21の第2発泡性部材13への接触が回避されている。こうした窓部13aは、例えば凹部に変更してもよい。また、凹部に変更した場合、突起部21が移動可能であれば、突起部21は第2発泡性部材13に接触していてもよい。
【0028】
各発泡性部材12,13は、発泡性材料を押出成形、プレス成形、射出成形等の周知の成形法により成形することで得られる。発泡性材料には、基材、発泡剤、及び架橋剤を含有する他に、充填剤、可塑剤等が適宜含有されている。基材としては、合成樹脂、エラストマー及びゴムが挙げられる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、EVA(エチレン/ビニルアセテートコポリマー)等が挙げられる。エラストマーとしては、RB(ポリブタジエンエラストマー)、SBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体)等が挙げられる。ゴムとしては、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IR(イソプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)、UR(ウレタンゴム)、ENR(エポキシ化天然ゴム)、EPM(エチレン/プロピレンゴム)等が挙げられる。発泡剤としてはアゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン等、架橋剤としては周知のジメチルウレア、ジシアンジアミド、充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フェライト、シリカ等が挙げられる。
【0029】
次に、発泡充填具11の作用について説明する。
図3(a)に示す発泡充填具11では、各係止孔22の長さ方向の略中央に、各突起部21が位置している。このときの第1固定部14bと第2固定部15bとの間隔を基準間隔とした場合、基準間隔を狭めるように、各本体部14a,15aの少なくとも一方を押圧することで、第1固定部14bと第2固定部15bとが接近し、図3(b)に示す最小間隔の状態となる。一方、基準間隔を拡げるように、各本体部14a,15aの少なくとも一方を引っ張ることで、第1固定部14bと第2固定部15bとが離間し、図3(c)に示す最大間隔の状態となる。このように基準間隔の状態から第1固定部14bと第2固定部15bとの間隔を調整する際に、突起部21が案内部23に案内されるため、安定した操作が実現される。
【0030】
また、最小間隔の状態では、突起部21が最小規制部24aに当接する一方、最大間隔の状態では、突起部21が最大規制部24bに当接する。このように、発泡充填具11は最小規制部24a及び最大規制部24bを有することで、各固定部14b,15bの間隔は、最小間隔の状態から最大間隔の状態の範囲に規制される。これにより、第1固定部14bと第2固定部15bとの間隔の過剰な変更が抑制される。
【0031】
次に、発泡充填具11の使用方法について説明する。
図4(a)に示すように、発泡充填具11は、中空構造体71の中空部に取り付けられる。中空構造体71は、金属製のパネルから形成され、具体的には、平板状の第1パネル72及び第2パネル73、並びに膨出した形状の第3パネル74を備えている。この中空構造体71は、車両構造の一部(ピラー)を構成している。
【0032】
第1パネル72には第1貫通孔72aが貫設される一方、第2パネル73には第2貫通孔73aが貫設される。各貫通孔72a,73aは、それぞれ各固定部14b,15bに対する被固定部として設けられる。そして、第1パネル72及び第2パネル73は、溶接等により組み付けられる。このときの組付精度等により第1貫通孔72aと第2貫通孔73aとの間隔がばらつき易くなる。こうした第1貫通孔72aに第1固定部14bを固定するとともに、第2貫通孔73aに第2固定部15bを固定する。このとき、発泡充填具11の各固定部14b,15bの間隔を各貫通孔72a,73aの間隔に合わせて固定することができる。続いて、発泡充填具11の固定された各パネル72,73に第3パネル74が溶接等により組み付けられる。これにより、中空部には、各本体部14a,15aとともに各発泡性部材12,13が配置される。
【0033】
次に、発泡充填具11を所定の温度で外部から加熱することにより、発泡性部材12,13の発泡及び硬化が開始される。この加熱を所定時間行うことで、図4(b)に示すように発泡体75が形成され、中空部の一部が遮断される。こうした加熱には、例えば中空構造体71を塗装する際の乾燥工程を利用することができるが、これに限定されず、電気、蒸気等を利用した周知の加熱装置を用いてもよい。
【0034】
以上のように、中空構造体71に発泡充填具11を適用することで、強度、剛性、制振性等が向上される。また、中空部における空気の流通が抑制されることで、空気の流通を要因とする異音の発生が抑制される。
【0035】
上述した第1実施形態によって発揮される効果について以下に記載する。
(1)各本体部14a,15aのうち、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する組み付けにより、第1固定部14bと第2固定部15bとの間隔を中空構造体71の有する各貫通孔72a,73aの間隔に合わせることができる。また、各本体部14a,15aの組み付けは、前記変位の方向を案内する案内部23を介しているため、各固定部14b,15bの間隔を調整する際に、安定した操作が実現される。このため、各固定部14b,15bの間隔を円滑に変更することができる。従って、こうした発泡充填具11によれば、複数の箇所で中空構造体71(パネル72,73)に取り付ける場合であっても、円滑に取り付けることができる。
【0036】
(2)案内部23により案内される方向において、前記変位の範囲を規制する規制部24a,24bを有している。このため、各固定部14b,15bの間隔の過剰な変更が抑制される。従って、各固定部14b,15bの間隔を各貫通孔72a,73aの間隔に合わせることが容易となるため、発泡充填具11を中空構造体71(パネル72,73)に更に円滑に取り付けることができる。
【0037】
(3)案内部23及び各規制部24a,24bは、連続して形成されている。すなわち、案内部23及び各規制部24a,24bが離間せずに構成することで、案内部23及び各規制部24a,24bの構成を簡素化することができる。
【0038】
(4)第1本体部14aに突起部21が形成される一方で、第2本体部15aに係止孔22が形成されることで、各本体部14a,15aが直接組み付けられている。この場合、例えば、組み付け用の部材を別途設ける場合よりも、構成を簡素化できるようになる。
【0039】
(第2実施形態)
本発明を具体化した第2実施形態について図5及び図6を参照して第1実施形態と異なる点を中心に説明する。この実施形態では、各本体部14a,15aの組み付け態様が第1実施形態と異なっている。このため、第1実施形態と同様の部材には、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図5に示すように、突起部21は、第1本体部14aの下面に突設されている。一方、第2本体部15aの上面には、複数の突起部21に対応して第1係止突部31a及び第2係止突部31bが突設されている。第1突起部21a及び第2突起部21bは、それぞれ第1係止突部31a及び第2係止突部31bに係止される。これにより、図6(a)に示すように第1本体部14aと第2本体部15aとが組み付けられる。
【0041】
ここで、各係止突部31a,31bは、一定方向(第2本体部15aの長さ方向)に沿って延びる形状をなし、その方向に沿って突起部21が移動可能となっている。こうした各本体部14a,15aの組み付けは、第1本体部14a及び第2本体部15aのうち、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する。なお、突起部21が各係止突部31a,31bを移動する際の抵抗は、例えば、第1突起部21aと第2突起部21bとの間隔、又は、第1係止突部31aと第2係止突部31bとの間隔の寸法設定により調整される。
【0042】
図5及び図6(b)に示すように、各係止突部31a,31bの長さ方向に沿った外周面は、突起部21の変位する方向を案内する案内部32となる。また、各係止突部31a,31bの長さ方向における両端部は、案内部32に案内されて突起部21が変位する方向において、変位の範囲を規制する規制部としての最小規制部33a及び最大規制部33bとなる。こうした各係止突部31a,31bによって、案内部32、及び各規制部33a,33bは連続して形成されている。なお、第1発泡性部材12は二分割された構成とされ、第1本体部14aの上面に支持されている。
【0043】
上述した第2実施形態の発泡充填具11によれば、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果が発揮される。
(第3実施形態)
本発明を具体化した第3実施形態について図7及び図8を参照して第1実施形態と異なる点を中心に説明する。この実施形態では、第1本体部14aに発泡性部材を支持させない点が第1実施形態と異なっている。このため、第1実施形態と同様の部材には、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図7に示すように、第1突起部21a及び第2突起部21bは、第2本体部15aの有する一つの係止孔22に係止される。これにより、図8に示すように第1本体部14aと第2本体部15aとが組み付けられる。この組み付けにおいて、案内部23は、係止孔22の長さ方向に延びる内周面により構成されている。また、各本体部14a,15aは、第1本体部14aの上面が第2本体部15aの下面に重なり合うようにして、直接組み付けられる。
【0045】
ここで、例えば、前記第1実施形態のように各本体部14a,15aに各発泡性部材12,13を支持させる場合、各発泡性部材12,13が一方の本体部に対する他方の本体部の変位を妨げないように、各発泡性部材12,13を離間して支持させることになる。この発泡充填具11を中空構造体に取り付けた状態では、各貫通孔72a,73aの間隔に応じて、各発泡性部材12,13の間隔が異なることになる。すなわち、各貫通孔72a,73aの間隔のばらつきに基づいて、各発泡性部材12,13の間隔が変更される。こうした各発泡性部材12,13の間隔が広がるに伴って、各発泡性部材12,13の間で形成される発泡体の体積が不足するおそれがある。このため、より精度の高い発泡体の充填を実現するためには、上記の発泡体の体積不足を考慮して、各発泡性部材12,13の体積設定の手間が生じることになる。
【0046】
この点、第3実施形態では、第1本体部14aの外形は、第2本体部15aの外形よりも小さく形成されている。そして、第1本体部14aに発泡性部材を支持させずに、第2本体部15aに発泡性部材13を支持させている。この構成によれば、発泡性部材13が前記変位を妨げたり、前記変位に伴って発泡性部材が離間したりすることは回避されるため、前記変位を考慮した発泡性部材13の設定の手間を回避することができる。なお、この発泡充填具11では、例えば、第1本体部14aに操作部を延設して、その操作部を例えば手指で操作するように構成してもよい。
【0047】
上述した第3実施形態の発泡充填具11によれば、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果に加えて以下の効果が発揮される。
(5)第1本体部14aの外形は、第2本体部15aの外形よりも小さく形成され、第1本体部14aに発泡性部材を支持させずに、第2本体部15aに発泡性部材13を支持させている。この構成によれば、前記変位を考慮した発泡性部材13の設定の手間を回避することができる。
【0048】
(第4実施形態)
本発明を具体化した第4実施形態について図9及び図10を参照して第1実施形態と異なる点を中心に説明する。この実施形態では、発泡性部材を介して各本体部14a,15aを組み付けている点が第1実施形態と異なっている。このため、第1実施形態と同様の部材には、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0049】
各本体部14a,15aは、発泡性部材41を連結部材として組み付けられる。第1本体部14aの上面には、第1連結用突起部42a及び第2連結用突起部42bが突設される一方、発泡性部材41には、第1連結用係止孔43a及び第2連結用係止孔43bが貫設されている。そして、各連結用突起部42a,42bが各連結用係止孔43a,43bに係止されることで、発泡性部材41は、第1本体部14aに固定される。
【0050】
第2本体部15aの上面には、各突起部21a,21bが突設される一方、発泡性部材41には、各突起部21a,21bが係止される第1係止孔44a及び第2係止孔44bが貫設されている。
【0051】
ここで、各係止孔44a,44bは、第1実施形態の各係止孔22a,22bと同様に、一定方向(発泡性部材41の長さ方向)に沿って延びる形状をなし、その方向に沿って各突起部21a,21bが移動可能となっている。こうした各本体部14a,15aの組み付けは、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する。また、係止孔44a,44bの長さ方向に沿った内周面は、突起部21a,21bの変位する方向を案内する案内部45となる。そして、係止孔22の長さ方向における両端部に位置する内周面は、突起部21a,21bが変位する方向において、変位の範囲を規制する規制部としての最小規制部46a及び最大規制部46bとなる。こうした各係止孔44a,44bによって、案内部23、及び各規制部46a,46bは、連続して形成されている。
【0052】
上述した第4実施形態の発泡充填具11によれば、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果に加えて以下の効果が発揮される。
(6)各本体部14a,15aは、発泡性部材41を連結部材として組み付けられる。この構成によれば、例えば長さの異なる発泡性部材41を複数準備し、それら発泡性部材41の中から選択して各本体部14a,15aを組み付けることで、各固定部14b,15bの間隔を調整できる範囲を容易に変更することができる。
【0053】
(変更例)
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・各実施形態の各本体部14a,15aの組み付けについて、突起部とその突起部が係止される凹部との関係を採用し、その凹部の内周面を案内部とした組み付けに変更してもよい。例えば、図11に示すように、第2本体部15aに第1凹部51a及び第2凹部51bを設けるとともに、各突起部21a,21bが各凹部51a,51bに係止されるように構成してもよい。この場合、各凹部51a,51bの内周面は、案内部23とされるとともに、各凹部51a,51bの長手方向の両端部は各規制部24a,24bとされる。この場合、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果が発揮される。
【0054】
・各実施形態の最小規制部24a,33a,46a、及び最大規制部24b,33b,46bは、案内部23,32,45の両端に位置しているが、案内部の両端以外の位置に規制部を配置しても、案内部及び規制部を連続して形成することができる。例えば、図12(a)及び図12(b)に示す変更例(発泡性部材の図示を省略)では、第2本体部15aの一端側にL字状をなす第1切り欠き凹部52a及び第2切り欠き凹部52bが設けられ、各切り欠き凹部52a,52bに各突起部21a,21bが係止される。切り欠き凹部52a,52bの外周面には、規制突起53が突設される。図12(a)に示す最小間隔の状態では、規制突起53の一側面が最小規制部24aとなる。一方、図12(b)に示す最大間隔の状態では、規制突起53の他側面が最大規制部24bとなる。こうした規制突起53の一側面及び他側面は、切り欠き凹部52a,52bの外周面である案内部23と連続して形成されている。この場合、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果が発揮される。
【0055】
・前記各実施形態の規制部は、最小規制部24a,33a,46a及び最大規制部24b,33b,46bによって前記変位の範囲を規制しているが、最小規制部24a,33a,46a及び最大規制部24b,33b,46bの少なくとも一方を省略し、前記変位の範囲が規制されない構成としてもよい。
【0056】
・前記規制部を案内部と連続して形成せずに、離間して設けることもできる。例えば、図13(a)及び図13(b)に示す変更例(発泡性部材の図示を省略)では、第1本体部14aの上面において突起部21と離間して規制突起54を立設するとともに、第2本体部15aに規制孔55を貫設し、各本体部14a,15aの組み付けにより規制突起54が規制孔55に挿入される構成とされる。この場合、規制孔55の寸法を設定することで、規制突起54の可動範囲が規制される。すなわち、規制孔55の内周面が最小規制部24a及び最大規制部24bとなることで、図13(a)に示す最小間隔の状態から図13(b)に示す最大間隔の状態の範囲に規制される。この場合、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果が発揮される。また、例えば、図1に示す発泡充填具11において、第1本体部14aの有する段差部14cが第2本体部15aに当接するように構成することで、段差部14cを最小規制部として構成することもできる。
【0057】
・前記第4実施形態を図14及び図15に示すように変更することもできる。この発泡充填具11では、第1本体部14aに係止孔44a,44bが貫設される一方で、第2本体部15aに連結用係止孔43a,43bが貫設される。また、発泡性部材41には、突起部21a,21b、及び連結用突起部42a,42bが突設される。そして、各本体部14a,15aは、図15に示すように発泡性部材41を介して組み付けられる。この場合、第1実施形態の(1)〜(3)及び第4実施形態の(6)に記載の効果と同様の効果が発揮される。
【0058】
・前記第2実施形態において、第1係止突部31a及び第2係止突部31bを一体に形成し、その係止突部31a,31bに各突起部21a,21bが係止されるように変更してもよい。
【0059】
・前記第2実施形態において、第1係止突部31a及び第2係止突部31bの対向する面とは反対側の面を案内部32として構成されているが、各係止突部31a,31b及び各突起部21a,21bの向きを変更することで、各係止突部の対向する面を案内部として構成してもよい。
【0060】
・前記第4実施形態において、係止孔44a,44bは、一定方向に沿って延びる形状をなし、その方向に沿って各突起部21a,21bは移動可能となっている。係止孔44a,44bと同様に、連結用係止孔43a,43bを前記一定方向に沿って延びる形状に変更し、その方向に沿って各連結用突起部42a,42bが移動可能となるように変更してもよい。この場合、係止孔44a,44b、及び連結用係止孔43a,43bの少なくとも一つの係止孔の内周面を規制部として構成することもできる。
【0061】
・前記第4実施形態、並びに図14及び図15に示す変更例において、発泡性部材41の代わりに耐熱性部材を連結部材として各本体部14a,15aが組み付けられるように変更してもよい。この場合、各本体部14a,15a、及び耐熱性部材の少なくとも一つに発泡性部材を支持させる。なお、耐熱性部材は、発泡性部材の発泡及び硬化の際の加熱に耐え得るものであれば特に限定されず、例えば、樹脂材料や金属材料から形成することができる。
【0062】
・前記各実施形態では、各本体部14a,15aの形状は長さ方向を有する形状をなし、その方向に沿って各固定部14b,15bの間隔が調整されるが、各本体部14a,15aの形状は適宜変更することができる。すなわち、各固定部14b,15bの間隔が調整される方向は、各本体部14a,15aの全体形状に応じて設定されるものではなく、中空構造体71(パネル72,73)に形成される各貫通孔72a,73aの間隔がばらつき易くなる方向を考慮して設定することができる。
【0063】
・前記各実施形態及び変更例において、発泡性部材12,13,41の形状又は数を適宜変更することができる。各固定部14b,15bの形状又は数についても適宜変更することができる。例えば、各固定部14b,15bの少なくとも一方を複数に変更してもよいし、各固定部14b,15bの形状は、中空構造体71(パネル72,73)の所定の位置に発泡性部材12,13,41が保持される形状に適宜変更してもよい。
【0064】
・前記発泡充填具11は、各取付部材14,15に加えて第3取付部材を連結した構成に変更することができる。第3取付部材は、各取付部材14,15と同様に、第3本体部及び第3固定部を有した構成とされる。第3本体部には、必要に応じて発泡性部材が支持される。第3本体部は、第1本体部14a又は第2本体部15aに組み付けられる。第3本体部と、第1本体部14a又は第2本体部15aとの組み付けは、特に限定されず、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する組み付けであってもよいし、さらに案内部を介した組み付けであってもよい。
【0065】
・前記発泡充填具11は、車両構造の一部を構成する中空構造体71に適用されているが、例えば鉄道用、船舶用、航空機用、建築用等に用いられる中空構造体に適用してもよい。また、中空構造体及び中空部の形状は、特に限定されず、例えば円筒状の中空構造体であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
11…発泡充填具、12…第1発泡性部材、13…第2発泡性部材、13a…窓部、14…第1取付部材、14a…第1本体部、14b…第1固定部、14c…段差部、15…第2取付部材、15a…第2本体部、15b…第2固定部、21…突起部、21a…第1突起部、21b…第2突起部、22…係止孔、22a,44a…第1係止孔、22b,44b…第2係止孔、23,32,45…案内部、24a,33a,46a…最小規制部、24b,33b,46b…最大規制部、31a…第1係止突部、31b…第2係止突部、41…発泡性部材、42a…第1連結用突起部、42b…第2連結用突起部、43a…第1連結用係止孔、43b…第2連結用係止孔、51a…第1凹部、51b…第2凹部、52a…第1切り欠き凹部、52b…第2切り欠き凹部、53,54…規制突起、55…規制孔、71…中空構造体、72…第1パネル、72a…第1貫通孔、72b…第2貫通孔、73…第2パネル、74…第3パネル、75…発泡体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造体の有する中空部に発泡体を充填する発泡充填具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空構造体の有する中空部に発泡体を充填するには、加熱により発泡及び硬化する発泡性部材を取付部材に支持した発泡充填具が用いられる(特許文献1参照)。取付部材には、中空構造体に形成された貫通孔に係止することで中空構造体に固定する固定部が設けられている。こうした取付部材により、中空部の所定の位置に配置された発泡充填具は、中空構造体とともに加熱される。これにより、発泡性部材の発泡及び硬化が開始され、中空部の所定の位置に発泡体が充填される。中空構造体は、例えば車両の一部を構成し、中空部に発泡体が充填されることで、例えば中空部における空気の流通を要因とする異音の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−79955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、取付部材を中空構造体に固定する固定部は、例えば発泡充填具の安定した固定を考慮して複数設けられることがある。この場合、中空構造体には複数の固定部に対応して複数の貫通孔が予め形成される。ここで、例えば、中空構造体を複数のパネルから構成し、複数のパネルに貫通孔を形成した後にそれらパネルが溶接等により組み付ける場合、組付精度等により複数の貫通孔の間隔がばらつき易くなる。このように中空構造体に形成された複数の貫通孔の間隔と、発泡充填具の有する複数の固定部の間隔とが異なることで、発泡充填具の取り付けを円滑に行うことが困難になるおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の箇所で中空構造体に取り付ける場合であっても、円滑に取り付けることのできる発泡充填具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、加熱されることで発泡及び硬化して発泡体となる発泡性部材と、前記加熱に対して耐熱性を有する取付部材とを備えてなり、前記取付部材により中空構造体に取り付けることで前記中空構造体の中空部に前記発泡性部材を配置し、前記加熱により前記中空部に発泡体を充填する発泡充填具であって、前記取付部材は、第1本体部と前記中空構造体に固定される第1固定部とを有する第1取付部材と、第2本体部と前記中空構造体に固定される第2固定部とを有する第2取付部材とを備え、前記第1本体部及び前記第2本体部は、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容するとともに前記変位の方向を案内する案内部を介して組み付けられてなることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する組み付けにより、第1固定部と第2固定部との間隔を中空構造体の有する複数の被固定部の間隔に合わせることができる。また、第1本体部と第2本体部との組み付けは、前記変位の方向を案内する案内部を介しているため、第1固定部と第2固定部との間隔を調整する際に、安定した操作が実現される。このため、第1固定部と第2固定部との間隔を円滑に変更することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発泡充填具において、前記案内部により案内される方向において前記変位の範囲を規制する規制部を有することを要旨とする。
この構成によれば、第1固定部と第2固定部との間隔の過剰な変更が抑制される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発泡充填具において、前記案内部及び前記規制部が連続して形成されていることを要旨とする。
この構成によれば、案内部と規制部とを離間せずに構成することで、案内部及び規制部の構成を簡素化することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部は、突起部とその突起部が係止される係止孔との関係で組み付けられ、前記係止孔の内周面が前記案内部として構成されることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部は、突起部とその突起部が係止される係止突部との関係で組み付けられ、前記係止突部の外周面が前記案内部として構成されることを要旨とする。
【0012】
例えば、請求項4及び請求項5に記載するように、第1本体部及び第2本体部は、案内部を介して組み付けられる。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部のうち、一方の本体部に前記突起部が形成され、他方の本体部に前記係止孔が形成されることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が直接組み付けられてなることを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部のうち、一方の本体部に前記突起部が形成され、他方の本体部に前記係止突部が形成されることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が直接組み付けられてなることを要旨とする。
【0014】
上記の請求項6及び請求項7に記載するように、第1本体部及び第2本体部を直接組み付けることで、例えば、組み付け用の連結部材を別途設ける場合よりも、構成を簡素化できるようになる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡充填具において、前記第1本体部及び前記第2本体部は、連結部材を介して組み付けられてなることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、例えば長さの異なる連結部材を複数準備し、それら連結部材の中から選択して各本体部を組み付けることで、第1固定部と第2固定部との間隔を調整できる範囲を容易に変更することができる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発泡充填具において、前記連結部材は、前記発泡性部材又は前記加熱に対して耐熱性を有する耐熱性部材であることを要旨とする。
このように、連結部材としては発泡性部材又は耐熱性部材を採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の箇所で中空構造体に取り付ける場合であっても、円滑に取り付けることのできる発泡充填具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図2】発泡充填具を示す斜視図。
【図3】(a)は発泡充填具の基準間隔の状態を示す平面図、(b)は最小間隔の状態を示す平面図、(c)は最大間隔の状態を示す平面図。
【図4】(a)は中空構造体に取り付けた発泡充填具を示す部分断面図、(b)は発泡体が形成された状態を示す断面図。
【図5】第2実施形態の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図6】(a)は発泡充填具を示す斜視図、(b)はA−A線に沿った部分断面図。
【図7】第3実施形態の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図8】発泡充填具を示す斜視図。
【図9】第4実施形態の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図10】発泡充填具を示す斜視図。
【図11】変更例の発泡充填具を示す斜視図。
【図12】(a)は、変更例の発泡充填具における最小間隔の状態を示す部分平面図、(b)は最大間隔の状態を示す部分平面図。
【図13】(a)は、変更例の発泡充填具における最小間隔の状態を示す部分平面図、(b)は最大間隔の状態を示す部分平面図。
【図14】変更例の発泡充填具を示す分解斜視図。
【図15】発泡充填具を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明を具体化した第1実施形態について図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、発泡充填具11は、加熱されることで発泡及び硬化して発泡体となる第1発泡性部材12及び第2発泡性部材13と、前記加熱に対して耐熱性を有する第1取付部材14及び第2取付部材15とを備える。発泡充填具11は、各取付部材14,15によって中空構造体の中空部に取り付けられる。これにより、中空構造体の中空部に各発泡性部材12,13が配置され、この状態で各発泡性部材12,13が加熱されることにより、中空部の所定の箇所には発泡体が充填される。
【0021】
図1及び図2に示すように、第1取付部材14は、板状をなす第1本体部14aと中空構造体に固定するための第1固定部14bとを有する。第2取付部材15は、板状をなす第2本体部15aと、中空構造体に固定するための第2固定部15bとを有する。各固定部14b,15bは、中空構造体を構成するパネルの有する貫通孔に係止される周知の形状をなしている。
【0022】
第1本体部14aの上面には、爪状の先端部を有する突起部21が複数突設されている。突起部21は、第1本体部14aの長さ方向に沿って並設される二つの第1突起部21aと、同じく第1本体部14aの長さ方向に沿って並設される二つの第2突起部21bとから構成されている。第2本体部15aには、複数の突起部21に対応して複数の係止孔22が貫設されている。係止孔22は、第1突起部21aに対応した第1係止孔22aと、第2突起部21bに対応した第2係止孔22bとから構成されている。
【0023】
第1突起部21a及び第2突起部21bは、それぞれ第1係止孔22a及び第2係止孔22bに係止される。すなわち、突起部21が係止孔22に挿入され、突起部21の先端が係止孔22の周縁に係止されることで、突起部21が抜け止めされる。これにより、第1本体部14aと第2本体部15aとが組み付けられる。なお、第1本体部14aには、段差部14cが形成され、第1本体部14aの一部と第2本体部15aの一部とを重ね合わせて組み付けられた際に、第1本体部14aの上面と第2本体部15aの上面との高さの差が縮小されるようになっている。
【0024】
ここで、各係止孔22a,22bは、一定方向(第2本体部15aの長さ方向)に沿って延びる形状をなし、その方向に沿って各突起部21a,21bは移動可能となっている。こうした各本体部14a,15aの組み付けは、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する。なお、突起部21が係止孔22を移動させる際の抵抗は、例えば、第1突起部21aと第2突起部21bとの間隔、又は、第1係止孔22aと第2係止孔22bとの間隔の寸法設定により調整される。また、係止孔22の幅寸法は、突起部21の先端部が挿入可能な寸法とされている。
【0025】
図3(a)に示すように、係止孔22の長さ方向に沿った内周面は、突起部21の変位する方向を案内する案内部23となる。また、係止孔22の長さ方向における両端部に位置する内周面は、突起部21が変位する方向において、変位の範囲を規制する規制部としての最小規制部24a及び最大規制部24bとなっている。こうした各係止孔22によって、案内部23、及び各規制部24a,24bは連続して形成されている。
【0026】
各取付部材14,15を形成する材料としては、上記の耐熱性を有する材料から適宜選択することが可能である。こうした材料としては、成形の容易性から樹脂材料が好ましく、例えばポリアミド系樹脂が好適に用いられる。各取付部材14,15は、例えば射出成形により成形することができる。
【0027】
図1及び図2に示すように、各発泡性部材12,13は、全体として板状をなし、それぞれ第1本体部14aの上面及び第2本体部15aの上面に固定される。各発泡性部材12,13は、接着剤や粘着剤、インサート成形等により固定することができる。なお、第2発泡性部材13には、第1係止孔22a及び第2係止孔22bに対応して窓部13aが貫設され、突起部21の第2発泡性部材13への接触が回避されている。こうした窓部13aは、例えば凹部に変更してもよい。また、凹部に変更した場合、突起部21が移動可能であれば、突起部21は第2発泡性部材13に接触していてもよい。
【0028】
各発泡性部材12,13は、発泡性材料を押出成形、プレス成形、射出成形等の周知の成形法により成形することで得られる。発泡性材料には、基材、発泡剤、及び架橋剤を含有する他に、充填剤、可塑剤等が適宜含有されている。基材としては、合成樹脂、エラストマー及びゴムが挙げられる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、EVA(エチレン/ビニルアセテートコポリマー)等が挙げられる。エラストマーとしては、RB(ポリブタジエンエラストマー)、SBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体)等が挙げられる。ゴムとしては、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IR(イソプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)、UR(ウレタンゴム)、ENR(エポキシ化天然ゴム)、EPM(エチレン/プロピレンゴム)等が挙げられる。発泡剤としてはアゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン等、架橋剤としては周知のジメチルウレア、ジシアンジアミド、充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フェライト、シリカ等が挙げられる。
【0029】
次に、発泡充填具11の作用について説明する。
図3(a)に示す発泡充填具11では、各係止孔22の長さ方向の略中央に、各突起部21が位置している。このときの第1固定部14bと第2固定部15bとの間隔を基準間隔とした場合、基準間隔を狭めるように、各本体部14a,15aの少なくとも一方を押圧することで、第1固定部14bと第2固定部15bとが接近し、図3(b)に示す最小間隔の状態となる。一方、基準間隔を拡げるように、各本体部14a,15aの少なくとも一方を引っ張ることで、第1固定部14bと第2固定部15bとが離間し、図3(c)に示す最大間隔の状態となる。このように基準間隔の状態から第1固定部14bと第2固定部15bとの間隔を調整する際に、突起部21が案内部23に案内されるため、安定した操作が実現される。
【0030】
また、最小間隔の状態では、突起部21が最小規制部24aに当接する一方、最大間隔の状態では、突起部21が最大規制部24bに当接する。このように、発泡充填具11は最小規制部24a及び最大規制部24bを有することで、各固定部14b,15bの間隔は、最小間隔の状態から最大間隔の状態の範囲に規制される。これにより、第1固定部14bと第2固定部15bとの間隔の過剰な変更が抑制される。
【0031】
次に、発泡充填具11の使用方法について説明する。
図4(a)に示すように、発泡充填具11は、中空構造体71の中空部に取り付けられる。中空構造体71は、金属製のパネルから形成され、具体的には、平板状の第1パネル72及び第2パネル73、並びに膨出した形状の第3パネル74を備えている。この中空構造体71は、車両構造の一部(ピラー)を構成している。
【0032】
第1パネル72には第1貫通孔72aが貫設される一方、第2パネル73には第2貫通孔73aが貫設される。各貫通孔72a,73aは、それぞれ各固定部14b,15bに対する被固定部として設けられる。そして、第1パネル72及び第2パネル73は、溶接等により組み付けられる。このときの組付精度等により第1貫通孔72aと第2貫通孔73aとの間隔がばらつき易くなる。こうした第1貫通孔72aに第1固定部14bを固定するとともに、第2貫通孔73aに第2固定部15bを固定する。このとき、発泡充填具11の各固定部14b,15bの間隔を各貫通孔72a,73aの間隔に合わせて固定することができる。続いて、発泡充填具11の固定された各パネル72,73に第3パネル74が溶接等により組み付けられる。これにより、中空部には、各本体部14a,15aとともに各発泡性部材12,13が配置される。
【0033】
次に、発泡充填具11を所定の温度で外部から加熱することにより、発泡性部材12,13の発泡及び硬化が開始される。この加熱を所定時間行うことで、図4(b)に示すように発泡体75が形成され、中空部の一部が遮断される。こうした加熱には、例えば中空構造体71を塗装する際の乾燥工程を利用することができるが、これに限定されず、電気、蒸気等を利用した周知の加熱装置を用いてもよい。
【0034】
以上のように、中空構造体71に発泡充填具11を適用することで、強度、剛性、制振性等が向上される。また、中空部における空気の流通が抑制されることで、空気の流通を要因とする異音の発生が抑制される。
【0035】
上述した第1実施形態によって発揮される効果について以下に記載する。
(1)各本体部14a,15aのうち、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する組み付けにより、第1固定部14bと第2固定部15bとの間隔を中空構造体71の有する各貫通孔72a,73aの間隔に合わせることができる。また、各本体部14a,15aの組み付けは、前記変位の方向を案内する案内部23を介しているため、各固定部14b,15bの間隔を調整する際に、安定した操作が実現される。このため、各固定部14b,15bの間隔を円滑に変更することができる。従って、こうした発泡充填具11によれば、複数の箇所で中空構造体71(パネル72,73)に取り付ける場合であっても、円滑に取り付けることができる。
【0036】
(2)案内部23により案内される方向において、前記変位の範囲を規制する規制部24a,24bを有している。このため、各固定部14b,15bの間隔の過剰な変更が抑制される。従って、各固定部14b,15bの間隔を各貫通孔72a,73aの間隔に合わせることが容易となるため、発泡充填具11を中空構造体71(パネル72,73)に更に円滑に取り付けることができる。
【0037】
(3)案内部23及び各規制部24a,24bは、連続して形成されている。すなわち、案内部23及び各規制部24a,24bが離間せずに構成することで、案内部23及び各規制部24a,24bの構成を簡素化することができる。
【0038】
(4)第1本体部14aに突起部21が形成される一方で、第2本体部15aに係止孔22が形成されることで、各本体部14a,15aが直接組み付けられている。この場合、例えば、組み付け用の部材を別途設ける場合よりも、構成を簡素化できるようになる。
【0039】
(第2実施形態)
本発明を具体化した第2実施形態について図5及び図6を参照して第1実施形態と異なる点を中心に説明する。この実施形態では、各本体部14a,15aの組み付け態様が第1実施形態と異なっている。このため、第1実施形態と同様の部材には、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図5に示すように、突起部21は、第1本体部14aの下面に突設されている。一方、第2本体部15aの上面には、複数の突起部21に対応して第1係止突部31a及び第2係止突部31bが突設されている。第1突起部21a及び第2突起部21bは、それぞれ第1係止突部31a及び第2係止突部31bに係止される。これにより、図6(a)に示すように第1本体部14aと第2本体部15aとが組み付けられる。
【0041】
ここで、各係止突部31a,31bは、一定方向(第2本体部15aの長さ方向)に沿って延びる形状をなし、その方向に沿って突起部21が移動可能となっている。こうした各本体部14a,15aの組み付けは、第1本体部14a及び第2本体部15aのうち、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する。なお、突起部21が各係止突部31a,31bを移動する際の抵抗は、例えば、第1突起部21aと第2突起部21bとの間隔、又は、第1係止突部31aと第2係止突部31bとの間隔の寸法設定により調整される。
【0042】
図5及び図6(b)に示すように、各係止突部31a,31bの長さ方向に沿った外周面は、突起部21の変位する方向を案内する案内部32となる。また、各係止突部31a,31bの長さ方向における両端部は、案内部32に案内されて突起部21が変位する方向において、変位の範囲を規制する規制部としての最小規制部33a及び最大規制部33bとなる。こうした各係止突部31a,31bによって、案内部32、及び各規制部33a,33bは連続して形成されている。なお、第1発泡性部材12は二分割された構成とされ、第1本体部14aの上面に支持されている。
【0043】
上述した第2実施形態の発泡充填具11によれば、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果が発揮される。
(第3実施形態)
本発明を具体化した第3実施形態について図7及び図8を参照して第1実施形態と異なる点を中心に説明する。この実施形態では、第1本体部14aに発泡性部材を支持させない点が第1実施形態と異なっている。このため、第1実施形態と同様の部材には、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図7に示すように、第1突起部21a及び第2突起部21bは、第2本体部15aの有する一つの係止孔22に係止される。これにより、図8に示すように第1本体部14aと第2本体部15aとが組み付けられる。この組み付けにおいて、案内部23は、係止孔22の長さ方向に延びる内周面により構成されている。また、各本体部14a,15aは、第1本体部14aの上面が第2本体部15aの下面に重なり合うようにして、直接組み付けられる。
【0045】
ここで、例えば、前記第1実施形態のように各本体部14a,15aに各発泡性部材12,13を支持させる場合、各発泡性部材12,13が一方の本体部に対する他方の本体部の変位を妨げないように、各発泡性部材12,13を離間して支持させることになる。この発泡充填具11を中空構造体に取り付けた状態では、各貫通孔72a,73aの間隔に応じて、各発泡性部材12,13の間隔が異なることになる。すなわち、各貫通孔72a,73aの間隔のばらつきに基づいて、各発泡性部材12,13の間隔が変更される。こうした各発泡性部材12,13の間隔が広がるに伴って、各発泡性部材12,13の間で形成される発泡体の体積が不足するおそれがある。このため、より精度の高い発泡体の充填を実現するためには、上記の発泡体の体積不足を考慮して、各発泡性部材12,13の体積設定の手間が生じることになる。
【0046】
この点、第3実施形態では、第1本体部14aの外形は、第2本体部15aの外形よりも小さく形成されている。そして、第1本体部14aに発泡性部材を支持させずに、第2本体部15aに発泡性部材13を支持させている。この構成によれば、発泡性部材13が前記変位を妨げたり、前記変位に伴って発泡性部材が離間したりすることは回避されるため、前記変位を考慮した発泡性部材13の設定の手間を回避することができる。なお、この発泡充填具11では、例えば、第1本体部14aに操作部を延設して、その操作部を例えば手指で操作するように構成してもよい。
【0047】
上述した第3実施形態の発泡充填具11によれば、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果に加えて以下の効果が発揮される。
(5)第1本体部14aの外形は、第2本体部15aの外形よりも小さく形成され、第1本体部14aに発泡性部材を支持させずに、第2本体部15aに発泡性部材13を支持させている。この構成によれば、前記変位を考慮した発泡性部材13の設定の手間を回避することができる。
【0048】
(第4実施形態)
本発明を具体化した第4実施形態について図9及び図10を参照して第1実施形態と異なる点を中心に説明する。この実施形態では、発泡性部材を介して各本体部14a,15aを組み付けている点が第1実施形態と異なっている。このため、第1実施形態と同様の部材には、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0049】
各本体部14a,15aは、発泡性部材41を連結部材として組み付けられる。第1本体部14aの上面には、第1連結用突起部42a及び第2連結用突起部42bが突設される一方、発泡性部材41には、第1連結用係止孔43a及び第2連結用係止孔43bが貫設されている。そして、各連結用突起部42a,42bが各連結用係止孔43a,43bに係止されることで、発泡性部材41は、第1本体部14aに固定される。
【0050】
第2本体部15aの上面には、各突起部21a,21bが突設される一方、発泡性部材41には、各突起部21a,21bが係止される第1係止孔44a及び第2係止孔44bが貫設されている。
【0051】
ここで、各係止孔44a,44bは、第1実施形態の各係止孔22a,22bと同様に、一定方向(発泡性部材41の長さ方向)に沿って延びる形状をなし、その方向に沿って各突起部21a,21bが移動可能となっている。こうした各本体部14a,15aの組み付けは、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する。また、係止孔44a,44bの長さ方向に沿った内周面は、突起部21a,21bの変位する方向を案内する案内部45となる。そして、係止孔22の長さ方向における両端部に位置する内周面は、突起部21a,21bが変位する方向において、変位の範囲を規制する規制部としての最小規制部46a及び最大規制部46bとなる。こうした各係止孔44a,44bによって、案内部23、及び各規制部46a,46bは、連続して形成されている。
【0052】
上述した第4実施形態の発泡充填具11によれば、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果に加えて以下の効果が発揮される。
(6)各本体部14a,15aは、発泡性部材41を連結部材として組み付けられる。この構成によれば、例えば長さの異なる発泡性部材41を複数準備し、それら発泡性部材41の中から選択して各本体部14a,15aを組み付けることで、各固定部14b,15bの間隔を調整できる範囲を容易に変更することができる。
【0053】
(変更例)
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・各実施形態の各本体部14a,15aの組み付けについて、突起部とその突起部が係止される凹部との関係を採用し、その凹部の内周面を案内部とした組み付けに変更してもよい。例えば、図11に示すように、第2本体部15aに第1凹部51a及び第2凹部51bを設けるとともに、各突起部21a,21bが各凹部51a,51bに係止されるように構成してもよい。この場合、各凹部51a,51bの内周面は、案内部23とされるとともに、各凹部51a,51bの長手方向の両端部は各規制部24a,24bとされる。この場合、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果が発揮される。
【0054】
・各実施形態の最小規制部24a,33a,46a、及び最大規制部24b,33b,46bは、案内部23,32,45の両端に位置しているが、案内部の両端以外の位置に規制部を配置しても、案内部及び規制部を連続して形成することができる。例えば、図12(a)及び図12(b)に示す変更例(発泡性部材の図示を省略)では、第2本体部15aの一端側にL字状をなす第1切り欠き凹部52a及び第2切り欠き凹部52bが設けられ、各切り欠き凹部52a,52bに各突起部21a,21bが係止される。切り欠き凹部52a,52bの外周面には、規制突起53が突設される。図12(a)に示す最小間隔の状態では、規制突起53の一側面が最小規制部24aとなる。一方、図12(b)に示す最大間隔の状態では、規制突起53の他側面が最大規制部24bとなる。こうした規制突起53の一側面及び他側面は、切り欠き凹部52a,52bの外周面である案内部23と連続して形成されている。この場合、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果が発揮される。
【0055】
・前記各実施形態の規制部は、最小規制部24a,33a,46a及び最大規制部24b,33b,46bによって前記変位の範囲を規制しているが、最小規制部24a,33a,46a及び最大規制部24b,33b,46bの少なくとも一方を省略し、前記変位の範囲が規制されない構成としてもよい。
【0056】
・前記規制部を案内部と連続して形成せずに、離間して設けることもできる。例えば、図13(a)及び図13(b)に示す変更例(発泡性部材の図示を省略)では、第1本体部14aの上面において突起部21と離間して規制突起54を立設するとともに、第2本体部15aに規制孔55を貫設し、各本体部14a,15aの組み付けにより規制突起54が規制孔55に挿入される構成とされる。この場合、規制孔55の寸法を設定することで、規制突起54の可動範囲が規制される。すなわち、規制孔55の内周面が最小規制部24a及び最大規制部24bとなることで、図13(a)に示す最小間隔の状態から図13(b)に示す最大間隔の状態の範囲に規制される。この場合、第1実施形態の(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果が発揮される。また、例えば、図1に示す発泡充填具11において、第1本体部14aの有する段差部14cが第2本体部15aに当接するように構成することで、段差部14cを最小規制部として構成することもできる。
【0057】
・前記第4実施形態を図14及び図15に示すように変更することもできる。この発泡充填具11では、第1本体部14aに係止孔44a,44bが貫設される一方で、第2本体部15aに連結用係止孔43a,43bが貫設される。また、発泡性部材41には、突起部21a,21b、及び連結用突起部42a,42bが突設される。そして、各本体部14a,15aは、図15に示すように発泡性部材41を介して組み付けられる。この場合、第1実施形態の(1)〜(3)及び第4実施形態の(6)に記載の効果と同様の効果が発揮される。
【0058】
・前記第2実施形態において、第1係止突部31a及び第2係止突部31bを一体に形成し、その係止突部31a,31bに各突起部21a,21bが係止されるように変更してもよい。
【0059】
・前記第2実施形態において、第1係止突部31a及び第2係止突部31bの対向する面とは反対側の面を案内部32として構成されているが、各係止突部31a,31b及び各突起部21a,21bの向きを変更することで、各係止突部の対向する面を案内部として構成してもよい。
【0060】
・前記第4実施形態において、係止孔44a,44bは、一定方向に沿って延びる形状をなし、その方向に沿って各突起部21a,21bは移動可能となっている。係止孔44a,44bと同様に、連結用係止孔43a,43bを前記一定方向に沿って延びる形状に変更し、その方向に沿って各連結用突起部42a,42bが移動可能となるように変更してもよい。この場合、係止孔44a,44b、及び連結用係止孔43a,43bの少なくとも一つの係止孔の内周面を規制部として構成することもできる。
【0061】
・前記第4実施形態、並びに図14及び図15に示す変更例において、発泡性部材41の代わりに耐熱性部材を連結部材として各本体部14a,15aが組み付けられるように変更してもよい。この場合、各本体部14a,15a、及び耐熱性部材の少なくとも一つに発泡性部材を支持させる。なお、耐熱性部材は、発泡性部材の発泡及び硬化の際の加熱に耐え得るものであれば特に限定されず、例えば、樹脂材料や金属材料から形成することができる。
【0062】
・前記各実施形態では、各本体部14a,15aの形状は長さ方向を有する形状をなし、その方向に沿って各固定部14b,15bの間隔が調整されるが、各本体部14a,15aの形状は適宜変更することができる。すなわち、各固定部14b,15bの間隔が調整される方向は、各本体部14a,15aの全体形状に応じて設定されるものではなく、中空構造体71(パネル72,73)に形成される各貫通孔72a,73aの間隔がばらつき易くなる方向を考慮して設定することができる。
【0063】
・前記各実施形態及び変更例において、発泡性部材12,13,41の形状又は数を適宜変更することができる。各固定部14b,15bの形状又は数についても適宜変更することができる。例えば、各固定部14b,15bの少なくとも一方を複数に変更してもよいし、各固定部14b,15bの形状は、中空構造体71(パネル72,73)の所定の位置に発泡性部材12,13,41が保持される形状に適宜変更してもよい。
【0064】
・前記発泡充填具11は、各取付部材14,15に加えて第3取付部材を連結した構成に変更することができる。第3取付部材は、各取付部材14,15と同様に、第3本体部及び第3固定部を有した構成とされる。第3本体部には、必要に応じて発泡性部材が支持される。第3本体部は、第1本体部14a又は第2本体部15aに組み付けられる。第3本体部と、第1本体部14a又は第2本体部15aとの組み付けは、特に限定されず、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容する組み付けであってもよいし、さらに案内部を介した組み付けであってもよい。
【0065】
・前記発泡充填具11は、車両構造の一部を構成する中空構造体71に適用されているが、例えば鉄道用、船舶用、航空機用、建築用等に用いられる中空構造体に適用してもよい。また、中空構造体及び中空部の形状は、特に限定されず、例えば円筒状の中空構造体であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
11…発泡充填具、12…第1発泡性部材、13…第2発泡性部材、13a…窓部、14…第1取付部材、14a…第1本体部、14b…第1固定部、14c…段差部、15…第2取付部材、15a…第2本体部、15b…第2固定部、21…突起部、21a…第1突起部、21b…第2突起部、22…係止孔、22a,44a…第1係止孔、22b,44b…第2係止孔、23,32,45…案内部、24a,33a,46a…最小規制部、24b,33b,46b…最大規制部、31a…第1係止突部、31b…第2係止突部、41…発泡性部材、42a…第1連結用突起部、42b…第2連結用突起部、43a…第1連結用係止孔、43b…第2連結用係止孔、51a…第1凹部、51b…第2凹部、52a…第1切り欠き凹部、52b…第2切り欠き凹部、53,54…規制突起、55…規制孔、71…中空構造体、72…第1パネル、72a…第1貫通孔、72b…第2貫通孔、73…第2パネル、74…第3パネル、75…発泡体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されることで発泡及び硬化して発泡体となる発泡性部材と、前記加熱に対して耐熱性を有する取付部材とを備えてなり、前記取付部材により中空構造体に取り付けることで前記中空構造体の中空部に前記発泡性部材を配置し、前記加熱により前記中空部に発泡体を充填する発泡充填具であって、
前記取付部材は、
第1本体部と前記中空構造体に固定される第1固定部とを有する第1取付部材と、
第2本体部と前記中空構造体に固定される第2固定部とを有する第2取付部材とを備え、
前記第1本体部及び前記第2本体部は、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容するとともに前記変位の方向を案内する案内部を介して組み付けられてなることを特徴とする発泡充填具。
【請求項2】
前記案内部により案内される方向において前記変位の範囲を規制する規制部を有することを特徴とする請求項1に記載の発泡充填具。
【請求項3】
前記案内部及び前記規制部が連続して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の発泡充填具。
【請求項4】
前記第1本体部及び前記第2本体部は、突起部とその突起部が係止される係止孔との関係で組み付けられ、前記係止孔の内周面が前記案内部として構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡充填具。
【請求項5】
前記第1本体部及び前記第2本体部は、突起部とその突起部が係止される係止突部との関係で組み付けられ、前記係止突部の外周面が前記案内部として構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡充填具。
【請求項6】
前記第1本体部及び前記第2本体部のうち、一方の本体部に前記突起部が形成され、他方の本体部に前記係止孔が形成されることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が直接組み付けられてなることを特徴とする請求項4に記載の発泡充填具。
【請求項7】
前記第1本体部及び前記第2本体部のうち、一方の本体部に前記突起部が形成され、他方の本体部に前記係止突部が形成されることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が直接組み付けられてなることを特徴とする請求項5に記載の発泡充填具。
【請求項8】
前記第1本体部及び前記第2本体部は、連結部材を介して組み付けられてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡充填具。
【請求項9】
前記連結部材は、前記発泡性部材又は前記加熱に対して耐熱性を有する耐熱性部材であることを特徴とする請求項8に記載の発泡充填具。
【請求項1】
加熱されることで発泡及び硬化して発泡体となる発泡性部材と、前記加熱に対して耐熱性を有する取付部材とを備えてなり、前記取付部材により中空構造体に取り付けることで前記中空構造体の中空部に前記発泡性部材を配置し、前記加熱により前記中空部に発泡体を充填する発泡充填具であって、
前記取付部材は、
第1本体部と前記中空構造体に固定される第1固定部とを有する第1取付部材と、
第2本体部と前記中空構造体に固定される第2固定部とを有する第2取付部材とを備え、
前記第1本体部及び前記第2本体部は、一方の本体部に対する他方の本体部の変位を許容するとともに前記変位の方向を案内する案内部を介して組み付けられてなることを特徴とする発泡充填具。
【請求項2】
前記案内部により案内される方向において前記変位の範囲を規制する規制部を有することを特徴とする請求項1に記載の発泡充填具。
【請求項3】
前記案内部及び前記規制部が連続して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の発泡充填具。
【請求項4】
前記第1本体部及び前記第2本体部は、突起部とその突起部が係止される係止孔との関係で組み付けられ、前記係止孔の内周面が前記案内部として構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡充填具。
【請求項5】
前記第1本体部及び前記第2本体部は、突起部とその突起部が係止される係止突部との関係で組み付けられ、前記係止突部の外周面が前記案内部として構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡充填具。
【請求項6】
前記第1本体部及び前記第2本体部のうち、一方の本体部に前記突起部が形成され、他方の本体部に前記係止孔が形成されることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が直接組み付けられてなることを特徴とする請求項4に記載の発泡充填具。
【請求項7】
前記第1本体部及び前記第2本体部のうち、一方の本体部に前記突起部が形成され、他方の本体部に前記係止突部が形成されることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が直接組み付けられてなることを特徴とする請求項5に記載の発泡充填具。
【請求項8】
前記第1本体部及び前記第2本体部は、連結部材を介して組み付けられてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡充填具。
【請求項9】
前記連結部材は、前記発泡性部材又は前記加熱に対して耐熱性を有する耐熱性部材であることを特徴とする請求項8に記載の発泡充填具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−86629(P2013−86629A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228152(P2011−228152)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000101905)イイダ産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000101905)イイダ産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
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