説明

発泡型防火性組成物

【課題】成形加工性に優れ、加熱により膨張、発泡した耐火・断熱性に優れた炭化層及び、又は灰化層を形成し、柔軟性、施工性に優れた防火性シート状成形体を提供する。
【解決手段】メタアクリル系重合体ブロック(a)および(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)と、リン化合物(B)、多官能アルコール(C)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物により達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡型防火組成物に関し、詳しくは一般建造物の梁や天井裏や扉などの開口部周辺に張り付けて使用し、火炎にさらされた際に、発泡炭化層及びまたは灰化層を形成して、木材等の可燃物を防火したり、煙、炎、燃焼により発生するガス等の外部への流出を防いだりする効果を有する発泡型防火組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建造物の防火性能を高める目的で、建造物の梁等を耐火性材料で被覆されており、耐火被覆材としては、例えば、ロックウール、パーライト、アスベスト、バーミュキュライト等の無機質軽量骨材を含む材料がよく知られている。しかしながら、このような耐火被覆材を使用する場合は、十分な耐火性能を得るために20〜50mm程度の厚みで施工しなければならない。このため、施工時に多量の材料が必要となり、作業上の負担が大きく、また乾燥に時間を要する等の問題も発生しやすい。さらには、空間の有効利用を妨げたり、外観上圧迫感を与えたりするおそれもある。
【0003】
そこで、近年これらの欠点を改良した発泡性耐火塗料が注目されている。発泡性耐火塗料は、火災時の温度上昇によって被膜が膨張し、炭化断熱層を形成することができるため、初期段階の被膜を薄膜化することが可能である。例えば、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂等の結合剤と、ポリリン酸アンモニウム等の難燃剤と、多糖類、多価アルコール等の炭化剤と、メラミン、ジシアンジアミド等の含窒素発泡剤とを主要成分とする発泡性耐火材料が挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等参照)。
【0004】
しかしながら、従来の発泡性耐火塗料では、塗膜としての使用であるため、発泡層の厚みを確保するために、厚い塗膜が求められる場合は、重ね塗りなどにより対応せざるを得ず、施工性や膜厚の均一性を確保する点で問題があった。
【0005】
これらの課題を解決するために、シート状の成形体も提案されているが、(例えば、特許文献4、特許文献5等参照)、結合剤となる樹脂の硬度や配合物の組成から、シートの硬度が高く、曲率が高い曲面への追従性に課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平4−504135号公報
【特許文献2】特開平7−331124号公報
【特許文献3】特開2004−155889号公報
【特許文献4】特開2000−192570号公報
【特許文献5】特開2003−64261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の従来技術の課題に鑑み、成形加工性に優れ、加熱により膨張、発泡した耐火・断熱性に優れた炭化層及び、又は灰化層を形成し、柔軟性、施工性に優れた防火性シート状成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、本発明者は、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、メタアクリル系重合体ブロック(a)および(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)と、リン化合物(B)、多官能アルコール(C)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0010】
好ましい実施態様としては、さらにアミノ基含有化合物(D)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、さらに金属酸化物(E)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、さらに可塑剤(F)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体(A)が、(a−b)n型、b−(a−b)n型および(a−b)n−a型からなる群より選択される少なくとも1種の構造を有することを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0014】
好ましい実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が、15,000〜300,000であることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0015】
好ましい実施態様としては、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル、およびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%と、これらと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%からなることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0016】
好ましい実施態様としては、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸−n−ブチル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%からなることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0017】
好ましい実施態様としては、メタアクリル系重合体ブロック(a)が、メタアクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%からなることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0018】
好ましい実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体(A)が、少なくとも1種の官能基(C)を1分子中に少なくとも1個以上有することを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0019】
好ましい実施態様としては、官能基(C)が、エポキシ基、加水分解性シリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、アルケニル基、活性塩素基およびオキサゾリン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基であることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0020】
好ましい実施態様としては、官能基(C)が、メタアクリル系重合体ブロック(a)中に含まれることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0021】
好ましい実施態様としては、官能基(C)が、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)中に含まれることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0022】
好ましい実施態様としては、(B)リン化合物が被覆リン化合物であることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0023】
好ましい実施態様としては、被覆リン化合物がポリリン酸塩及び/又はポリリン酸アミドであることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0024】
好ましい実施態様としては、金属酸化物(E)が酸化チタンであることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0025】
好ましい実施態様としては、可塑剤(F)がポリαオレフィンまたはポリブテンであることを特徴とする発泡型防火性組成物に関する。
【0026】
また本発明は、上記記載の発泡型防火性組成物からなることを特徴とする発泡型防火性シート状成形体に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の発泡型硬化性組成物は、成形加工性に優れ、加熱により膨張、発泡した耐火・断熱性に優れた炭化層及び、又は灰化層を形成し、柔軟性、施工性に優れた防火性シート状成形体として使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、メタアクリル系重合体ブロック(a)および(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)と、リン化合物(B)、多官能アルコール(C)を含有してなることを特徴とする発泡型防火性組成物であり、好ましくは、アミノ基含有化合物(D)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物であり、さらに好ましくは金属酸化物(E)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物であり、さらに好ましくは可塑剤(F)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物である。
【0029】
以下、本発明の各成分につき、詳細に説明する。
【0030】
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)の構造は、特に制限はなく、線状ブロック共重合体または分岐状(星状)ブロック共重合体またはこれらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、適宜選択すれば良いが、コスト面や重合容易性の点で、線状ブロック共重合体が好ましい。また、線状ブロック共重合体はいずれの構造(配列)のものであってもよいが、線状ブロック共重合体の物性、または組成物の物性の点から、メタアクリル系重合体ブロック(a)をa、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)をbと表現したとき、(a−b)n型、b−(a−b)n型および(a−b)n−a型(nは1以上の整数、たとえば1〜3の整数)からなる群より選択される少なくとも1種の構造を持つアクリル系ブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い容易性や、組成物の物性の点からa−bで表わされるジブロック共重合体、a−b−aで表わされるトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
【0031】
アクリル系ブロック共重合体(A)の分子量はとくに制限されず、メタアクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体系ブロック(b)にそれぞれ必要とされる分子量から決めればよいが、アクリル系ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した分子量は数平均分子量で15,000〜300,000が好ましく、より好ましくは35,000〜150,000、さらに好ましくは50,000〜130,000である。数平均分子量が15,000よりも低い場合には組成物の物性が十分に発現されず、一方、300,000を超える場合には加工性の面で不利である。
【0032】
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の組成比は、メタアクリル系重合体ブロック(a)が5〜90重量%、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が95〜10重量%に設定するのが好ましく、メタアクリル系重合体ブロック(a)が5〜70重量%、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が95〜30重量%に設定するのがより好ましく、メタアクリル系重合体ブロック(a)が15〜50重量%、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が85〜50重量%に設定するのが更に好ましい。メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が5重量%より少ない場合は、硬度が低くなり、組成物作成時及び成形後の取り扱いが困難になる。(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の割合が10重量%より少ない場合には、発泡型防火性組成物成形体の柔軟性が不十分となる。
【0033】
アクリル系ブロック共重合体を構成するメタクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の関係は、メタクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度をTga、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のそれをTgbとして、下式の関係を満たすことを特徴とする。特に、TgaとTgbの差が50℃以上であることが組成物の柔軟性、シート成形時の形状追従性の観点から好ましい。
Tga>Tgb
【0034】
前記重合体のガラス転移温度(Tg)の設定は、下記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2 /Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
式中、Tgは重合体部分のガラス転移温度を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmは各重合単量体のガラス転移温度を表わす。また、W1,W2,…,Wmは各重合単量体の重量比率を表わす。
【0035】
前記Fox式における各重合単量体のガラス転移温度は、たとえば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience,1989)記載の値を用いればよい。
【0036】
なお、前記ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができる。
【0037】
<メタアクリル系重合体ブロック(a)>
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。メタアクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、メタアクリル酸エステルの特徴である、耐候性や透明性などが損なわれる場合がある。
【0038】
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタアクリル酸トリフルオロメチル、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−トリフルオロエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルなどがあげられる。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、加工性、コストおよび入手しやすさの点で、メタアクリル酸メチルが好ましい。すなわち、メタアクリル系重合体ブロック(a)が、メタアクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%からなることが好ましい。
【0039】
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
【0040】
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどをあげることができる。
【0041】
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
【0042】
シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。
【0043】
共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
【0044】
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。
【0045】
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。
【0046】
マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
【0047】
これらの化合物は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、メタアクリル系重合体ブロック(a)に要求されるガラス転移温度の調整、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)との相溶性などの観点から好ましいものを選択する。
【0048】
メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、アクリル系ブロック共重合体の熱変形性(耐熱性や保持力)の観点および成形性の観点から、25〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃である。ガラス転移温度が200℃より高くなると、成形性が低下する傾向にあり、50℃より低くなると、熱変形性が悪化する傾向にある。
【0049】
この点から、メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸メチルを主成分とするのが望ましく、メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度を調整する目的で、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を重合することが好ましい。このうち、メタアクリル酸メチルとの相溶性の点でアクリル酸エチルが特に好ましい。
【0050】
メタアクリル系重合体ブロック(a)のTgaの設定は、前記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
<(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)>
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステル及び/またはメタアクリル系重合体ブロック(a)の主成分であるメタアクリル酸エステルを除くメタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、(メタ)アクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。アクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、アクリル酸エステルを用いた場合の特徴である組成物の物性、とくに柔軟性が損なわれる場合がある。
【0051】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体として例示したアクリル酸エステルと同様の単量体をあげることができる。メタアクリル酸エステルも同様に、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体として例示した単量体をあげることができる。
【0052】
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、柔軟性、ゴム弾性、低温特性およびコストのバランスの点で、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルが好ましく、これらを組み合わせて用いてもよい。すなわち、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル、およびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%と、これらと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%からなることが好ましい。また(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸−n−ブチル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%からなることが好ましい。
【0053】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができ、これらの具体例としては、メタアクリル系重合体ブロック(a)に用いられる前記のものと同様のものをあげることができる。
【0054】
これらのビニル系単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)に要求されるガラス転移温度およびメタアクリル系重合体ブロック(a)との相溶性などのバランスを勘案して、適宜好ましいものを選択する。
【0055】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、アクリル系ブロック共重合体の柔軟性やゴム弾性の観点から、25℃以下であるのが好ましく、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度が環境の温度より高いと柔軟性が発現されにくい。
【0056】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のTgbの設定は、前記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
【0057】
<官能基(C)>
本発明においては、必要に応じて、アクリル系ブロック共重合体(A)が、少なくとも1種の官能基(C)を1分子中に少なくとも1個以上有していてもよい。さらに官能基(C)が、エポキシ基、加水分解性シリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、アルケニル基、活性塩素基およびオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種の官能基であることが好ましい。官能基を導入することにより、リン化合物(B)、多官能アルコール(C)、アミノ基含有化合物(D)、金属酸化物(E)などの分散性に好ましい傾向になる。さらには、官能基を利用して架橋点として利用することができる。
【0058】
本発明において官能基は、耐熱性やリン化合物(B)、多官能アルコール(C)、アミノ基含有化合物(D)、金属酸化物(E)との分散性付与やアクリル系ブロック共重合体(A)への導入の容易さ、コストなどの点から、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0059】
官能基(C)は、メタクリル系重合体ブロック(a)中、および(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)中のいずれに存在してもよく、発泡型防火性組成物に求められる特性に応じて選択することができる。発泡型防火性組成物成形体の高温での変形を抑制する場合は、官能基(C)が、メタアクリル系重合体ブロック(a)中に含まれることが好ましく、リン化合物(B)、多官能アルコール(C)、アミノ基含有化合物(D)、金属酸化物(E)との分散性付与が求められる場合は、官能基(C)が、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)中に含まれることが好ましい。
【0060】
これらの官能基(C)の含有量は、発泡型防火性組成物として必要とされる、分散性、粘度、耐熱変形性、反応性から適宜選択することができるが、含有量が多くなると(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)中に存在すると、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度が高くなる恐れがあるため、柔軟性やゴム弾性の観点から、5重量%以下であることが好ましく、2重量%以下が更に好ましい。
【0061】
官能基(C)のアクリル系ブロック共重合体への導入方法としては特に限定されず、官能基(C)を有する単量体を共重合させる方法、官能基(C)の前駆体となる官能基を有する単量体を共重合させた後、公知の化学反応にて官能基(C)を生成させる方法などがある。
【0062】
カルボキシル基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸化合物、マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸化合物およびそのモノエステル化合物などが挙げられる。また、カルボキシル基は、その前駆体となる官能基から変換することができる。カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸トリメチルシリル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、(メタ)アクリル酸α−メチルベンジルなどが挙げられる。これらの単量体を重合させた後、加水分解や酸分解、熱分解などによりカルボキシル基を生成させることができる。
【0063】
酸無水物基を有する単量体としては、たとえば、無水マレイン酸などが挙げられる。また、酸無水物基の前駆体となる官能基としては、カルボキシル基が挙げられ、カルボキシル基を導入する方法としては前記の方法を挙げることができる。
【0064】
ヒドロキシル基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ブレンマーPEシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAEシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーP(日本油脂(株))、ブレンマーPPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPEPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAEPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPETシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAETシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPPTシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAPTシリーズ(日本油脂(株))などが挙げられる。
【0065】
エポキシ基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸とエポキシ環を含有する有機基含有アルコールとのエステル、4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2エポキシドなどのエポキシ基含有不飽和化合物などを挙げることができる。
【0066】
<アクリル系ブロック共重合体の製法>
アクリル系ブロック共重合体を製造する方法としては、制御重合法を用いることが好ましい。制御重合法としては、リビングアニオン重合法(特開平11−335432)、有機希土類遷移金属錯体を重合開始剤として用いる重合法(特開平6−93060)、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法(特開平2−45511)、制御ラジカル重合法などが挙げられる。本発明においては、特に官能基を有するモノマーの重合容易性の点から、制御ラジカル重合が好ましい。
【0067】
制御ラジカル重合法としては、たとえば、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いる重合法、コバルトポルフィルン錯体を用いる重合法、ニトロキシドを用いる重合法(WO2004/014926)、有機テルル化合物などの高周期ヘテロ元素化合物を用いる重合法(特許第3839829号)、可逆的付加脱離連鎖移動重合法(RAFT)(特許第3639859号)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(特許第3040172号)などが挙げられる。
【0068】
本発明においては、安価な原料と穏和な反応条件で制御されたアクリル系ブロック共重合体が得られる点で、原子移動ラジカル重合法が好ましい。原子移動ラジカル重合に用いる触媒の中心金属としては、重合制御およびコストの点から銅であることが好ましい。原子移動ラジカル重合法を用いてアクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法としては、たとえば、WO2004/013192に挙げられた方法などを用いることができる。
【0069】
<リン化合物(B)>
リン化合物(B)としては特に制限はないが、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル類;リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;リン酸アンモニウム;リン酸とメラミン等の有機塩基との塩類またはアミド;ポリリン酸アンモニウム;ポリリン酸とメラミン等の有機塩基との塩類またはアミド、;及びこれらのリン化合物を樹脂等で被覆した被覆リン化合物が例示できる。また、前記ポリリン酸はリン酸が縮合しているものであれば、特に制限はないが、リン酸の2〜5000量体が好ましい。前記被覆リン化合物とは、常温で固体であるリン化合物粒子の周りを樹脂等で覆ったリン化合物のことであり、被覆物質としては特に制限はないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、有機化合物を使用することができ、例えば、ポリリン酸アンモニウムをメラミンで被覆したメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0070】
これらのリン化合物(B)は、加熱環境下において、有機物の脱水及び/又は炭化触媒として作用するほか、自らも不燃性の無機質リン酸被膜を形成する働きをもつものである。上記リン化合物のうち、マトリクス樹脂であるアクリル系ブロック共重合体(A)への分散性、耐水性の観点から被覆リン化合物が好ましい。
【0071】
リン化合物(B)のうち、被覆されていないリン化合物としては、リン酸またはポリリン酸の塩、リン酸またはポリリン酸アミドが好ましい。一方、被覆リン化合物としては特に制限は無いが、例えば赤リン、リン酸またはポリリン酸の塩、リン酸またはポリリン酸アミド等の常温で固体であるリン化合物の被覆体が挙げられる。前記被覆リン化合物のうち取り扱い易さの点で、リン酸またはポリリン酸の塩、リン酸またはポリリン酸アミドの被覆体が好ましい。
【0072】
被覆の有無に関わらず、リン酸またはポリリン酸の塩としては、リン酸またはポリリン酸のアンモニアまたは有機塩基との塩が好ましく、特にポリリン酸アンモニウムまたはその誘導体が更に好ましい。また、前記塩を形成するアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン及びメラミン等が挙げられるが、特にポリリン酸のメラミン塩が好ましい。また被覆の有無に関わらず、リン酸またはポリリン酸アミドとしては、特にリン酸またはポリリン酸メラミンアミドが好ましい。リン酸またはポリリン酸アンモニウムまたはアミンとの塩やアミドは加熱により分解温度に達すると、脱アンモニア等脱アミンによりリン酸及び縮合リン酸を生じる。この酸が有機物の脱水触媒として作用し、有機物を炭化させる結果、炭化層の形成につながる。また、この際発生するアンモニアガス及び窒素ガス等は、発泡剤として作用し、組成物全体を膨張させることになり、また酸素濃度を減少し燃焼を抑えることになる。本発明に使用するリン化合物(B)は、リン含有量10重量%以上、窒素含有量9重量%以上のものが適している。
【0073】
このようなリン酸またはポリリン酸アンモニウムまたはアミンとの塩やアミドとしては、特に制限はないが、例えば、ポリリン酸アンモニウムからなる住友化学工業株式会社製の不溶化高分子リン化合物(商品名「スミセーフPM」)が挙げられ、また、リン酸またはポリリン酸アンモニウムまたはアミンとの塩やアミドを被覆したものとしては、特に制限はないが、例えば、チッソ株式会社製の被覆ポリリン酸アンモニウム(商品名「テラージュC80」)等が挙げられる。
【0074】
リン化合物(B)の配合量は、特に限定されるわけではないが、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、10〜120重量部配合するのが好ましい。リン化合物の配合量がこの範囲を下回ると、組成物全体を効果的に炭化、発泡させることが期待できなくなる。一方、リン化合物の配合量がこの範囲を上回ると、配合物の粘度が高くなり成形性が低下することから好ましくない。
【0075】
<多官能アルコール(C)>
多官能アルコール(C)は、リン化合物(B)により脱水され炭化膜を形成するものである。加熱により炭化する分解温度が180℃以上、好ましくは220℃以上のものが使用できる。このような多官能アルコールとしては、モノ、ジ、トリペンタエリスリトール等の多価アルコールや、でんぷんやセルロース等の多糖類、グルコース、フルクトース等の少糖類等が例示され、特に制限はないが、発泡特性の点で、特にモノ、ジ、トリペンタエリスリトールが好ましい。また、これらは単独で使用するほか、2種以上併用してもよい。
【0076】
多官能アルコール(C)の配合量は、特に限定されるわけではないが、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して5〜90重量部であることが好ましい。多官能アルコール(C)成分の配合量がこの範囲を下回ると膨張が不十分となり、逆に、多官能アルコール(C)成分の配合量がこの範囲を上回ると発泡炭化膜の形成が不十分となり、またブリードアウトし易くなるため成形性に問題が生じる。
【0077】
<アミノ基含有化合物(D)>
さらに、本発明の発泡型防火性組成物には、上記成分以外に、さらなる添加成分としてアミノ基含有化合物(D)を使用してもよい。アミノ基含有化合物(D)は、膨張剤として作用し、加熱による分解に伴い、窒素やアンモニア等の不燃性ガスを発生し、組成物全体を適度の大きさに膨張させるものである。具体的にはジシアンジアミド、メラミン、グアナミン、グアニジン、尿素、アゾジカルボンアミンやメラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂等が例示されるが、これに限定されるものではない。また、これらは単独で使用するほか、2種以上併用してもよい。
【0078】
このアミノ基含有化合物の配合量は、特に限定されるわけではないが、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましい。アミノ基含有化合物(D)の配合量がこの範囲を上回ると、形成される発泡炭化膜の強度が不十分となるので好ましくない。
【0079】
<金属酸化物(E)>
(B)リン化合物と(C)多官能アルコールから形成される炭化層は、約600℃でそのほとんどが分解し、ガス化してしまうため、アクリル系ブロック共重合体(A)、リン化合物(B)、及び多官能アルコール(C)からなる組成物では、600℃以上で耐火性能を発揮する炭化層を形成することは困難である。そこで、600℃以上でも耐火性能を維持するためには、1000℃という高温域でも灰化層として残存する金属酸化物(E)を添加することができる。
【0080】
金属酸化物(E)としては特に制限はなく従来公知のものを使用することができるが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化スズよりなる群から選択される少なくとも1種を使用する。前記金属酸化物としては、発泡倍率、灰化層強度の観点から酸化チタンが特に好ましい。
【0081】
金属酸化物(E)の配合量は、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、20〜200重量部であることが好ましい。金属酸化物(E)の配合量が200重量部を越えると、炭化層の発泡倍率が低下し高い耐火性能が発揮されず、また組成物の柔軟性が低下するため好ましくない。また20重量部未満では、600℃以上において灰化したときに、その灰化層の密度が疎となり貫通部が生じるため、断熱層としての寄与が低下するといった問題が生じやすくなる。
【0082】
この様な酸化チタンとしては特に制限はないが、例えば、石原産業株式会社製のルチル型酸化チタン(商品名「タイペークR−820」)、同社製のアナタース型酸化チタン(商品名「タイペークA−220」)等が挙げられる。
【0083】
<可塑剤(F)>
さらに、本発明の発泡型防火性組成物には、上記成分以外に、さらなる添加成分として可塑剤(F)を含有することができる。可塑剤(F)を含有させることにより、アクリル系ブロック共重合体(A)以外の成分であるリン化合物(B)、多官能アルコール(C)、金属酸化物(E)などをより多量に含有させることができ、より耐火性能に優れた発泡型防火性組成物を得ることができる。さらに、可塑剤(F)は、組成物の粘度を適度に下げ破泡等を防ぐため高発泡倍率をもたらし、また、炭化層の形状保持性(強度)が湿気や水によって低下することを防ぐ役割も合わせ持っている。
【0084】
可塑剤(F)としては特に限定されず、一般的なものを用いることが出来るが、アクリル系ブロック共重合体(A)と相溶性が良いものが好ましい。例えば、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、α−メチルスチレンオリゴマー、アタクチックポリプロピレン等よりなる群から選択される少なくとも一種が使用される。前記可塑剤のうち、発泡炭化を阻害しないポリαオレフィン及びポリブテンより選択される少なくとも一種が好ましい。
【0085】
可塑剤(F)の配合量は、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、1〜100重量部であることが好ましい。可塑剤(F)の配合量が100重量部を越えるとブリードアウトが発生しやすく、成形性に問題が生じ、また組成物の粘度が下がり過ぎるために、加熱または火炎により組成物が流れ出し、炭化層の発泡倍率が低下するといった問題が生じやすくなる。
【0086】
<発泡型防火性組成物>
本発明の発泡型防火性組成物には、アクリル系ブロック共重合体(A)、リン化合物(B)、多官能アルコール(C)、アミノ基含有化合物(D)、金属酸化物(E)、可塑剤(F)以外に、さらには、各用途に合わせた要求特性に応じて、発泡助剤、補強剤、滑剤のほか、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料等を適宜配合することができる。
【0087】
発泡助剤としては、アゾジカルボンアミドや炭酸水素ナトリウム−クエン酸等の化学発泡剤、膨張性黒煙や未膨張バーミキュライト等の無機系発泡粒子などが挙げられる。
【0088】
本発明の発泡型防火性組成物の最も好ましい組成物としては、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、リン化合物(B)10〜120重量部、多官能アルコール(C)5〜90重量部、アミノ基含有化合物(D)0.1〜20重量部、金属酸化物(E)20〜200重量部である。さらに可塑剤(F)を含有してなる場合は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、可塑剤(F)1〜100重量部添加することが好ましく、アクリル系ブロック共重合体(A)と可塑剤(F)の合計100重量部に対し、リン化合物(B)10〜120重量部、多官能アルコール(C)5〜90重量部、金属酸化物(E)20〜200重量部であるのが好ましい。
【0089】
本発明の発泡型防火性組成物の調製法には特に制限はなく、例えば、上記各成分を配合し、ミキサーやロール、ニーダーや押出機等を用いて常温または加熱下において混練したり、適量の溶剤に成分を溶解させた後混合するなど、通常の方法を採用することができる。得られた発泡型防火性組成物は、射出成形、押出成形、熱プレス成形、カレンダー成形等通常熱可塑性樹脂で用いられる成型法により発泡型防火性シート状成形体にすることができる。
【0090】
上記発泡型防火性シート状成形体の厚みには特に制限はないが、0.2〜15mmであるのが好ましい。厚みが0.2mm未満では発泡炭化層及び/又は灰化層を形成しても十分な断熱性を発現せず、15mmを超えるとシート重量が重くなり取り扱い性、施工性が悪くなる。
【0091】
本発明の発泡型防火性組成物及びシート状成形体の用途は特に制限はないが、例えば建築用としては、壁、柱、梁、扉、可燃物等に張り付けまたは積層し、火炎にさらされた際に断熱性の発泡炭化層を形成して、対象物を防火、耐火する目的で使用することができる。また、耐火金庫、家電ハウジング、自動車内装材等の耐火性を求められている部分に用い、耐火性能を発現する目的で使用できる。
【0092】
本発明の発泡型防火性組成物及びシート状成形体を耐火・防火の被覆対象物の表面に固定する方法には特に制限はないが、長期にわたる使用の観点から熱硬化性樹脂等からなる接着剤で対象物に接着する方法、対象物に熱融着させて固定する方法、及びネジ、ボルト、ビス等で物理的に対象物に固定する方法の少なくとも1方法で固定することが好ましい。上記発泡型防火性シート積層体を耐火・防火の被覆対象物の表面に固定する方法に関しては、特に、ネジ、ボルト、ビス等で物理的に固定する方法が好ましく、更に熱硬化性樹脂からなる接着剤で対象物に接着する方法、及び対象物に熱融着させて固定する方法の少なくとも1方法を併用することもできる。
【実施例】
【0093】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。尚、実施例に先立ち各種測定法、評価法について説明する。
【0094】
(発泡倍率)20×20×2mmの発泡型防火性シート状成形品を、坩堝底面上にて坩堝下部からのガスバーナーにより、坩堝下面の3分後の到達温度が約600℃となるような炎で3分間加熱し、加熱発泡後の炭化したシートの厚み/加熱発泡前の厚みの比として求めた。
【0095】
(柔軟性)JIS K6253に従い、23℃における硬度(直後、JIS A)をタイプAデュロメータにより測定した。
【0096】
(灰化性:灰化層の形状)25×25×2mmの発泡型防火性シート状成形品を、電気炉にて2時間、1000℃まで加熱した後のシート(灰化層)状態を観察し、外観が良好なものを○とし、外観不良のものを×とした。
【0097】
(製造例1)
MMA−BA−MMA(BA/MMA=80/20重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下BA8と略称する)の合成
窒素置換したのち真空脱気した500L反応器に、反応器内を減圧にした状態で、BA 94360gを仕込んだ。次に、臭化第一銅 574gを仕込み、30℃で15分間攪拌した。その後、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル 576gをアセトニトリル 8278gに溶解させた溶液を仕込み、75℃に昇温しつつ更に60分間攪拌を行った。ペンタメチルジエチレントリアミン 69.3gを加えて、第一ブロックとなるBAの重合を開始した。BA転化率が97%に達したところで、トルエン 64933g、塩化第一銅 396g、MMA 23394gを仕込み、ペンタメチルジエチレントリアミン 69.3gを加えて、第二ブロックとなるMMAの重合を開始した。
【0098】
45分ごとにペンタメチルジエチレントリアミン 69.3gを加えてゆき、MMA転化率が90%に到達したところで、トルエン 268055gを加えて反応溶液を希釈するとともに反応器を冷却した。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnが108800であった。
【0099】
得られたブロック共重合体溶液に対しトルエンを加えて重合体濃度を25wt%になるよう調整し、及びp−トルエンスルホン酸を1598g加え、反応機内を窒素置換し、室温で3時間撹拌した。反応液をサンプリングして中和処理を行い、溶液が無色透明になっていることを確認して反応を停止させた。その後溶液を払い出し、固液分離を行って固形分を除去した。このブロック共重合体溶液に対し、キョーワード500SH(協和化学工業(株)製)3450gを加え、反応機内を窒素置換し、室温で1時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応を停止させた。その後溶液を払い出し、固液分離を行って吸着剤を除去した。
【0100】
上記重合体溶液をベント口付き横形蒸発機(株式会社栗本鉄工所製、横型蒸発機SCP−100)に供給し溶媒及び未反応モノマーの蒸発を行なうことで重合体を単離した。蒸発機の胴部ジャケット及びスクリューは熱媒で180℃に温度調節し、蒸発機内部は真空ポンプにより約0.01MPa以下の減圧状態を保持した。このようにして標記ブロック共重合体を作製した。
【0101】
(製造例2)
MMA−(BA/AA)−MMA((BA/AA)/MMA)=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下BA7-COOHと略称する)の合成
重合体中へのカルボキシル基の導入はWO2003/068836を参考に行なった。
【0102】
窒素置換した500L反応器に、アクリル酸n−ブチル(nBA) 87.1kg、アクリル酸t−ブチル(tBA) 2.23kgを仕込み、続いて臭化第一銅 625gを仕込んで撹拌を開始した。その後、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル 628gをアセトニトリル 7.84kgに溶解させた溶液を仕込み、ジャケットを加温して内温75℃で30分間保持した。その後、ペンタメチルジエチレントリアミン 76gを加えて、アクリル系重合体ブロックの重合を開始した。重合開始から一定時間ごとに、少量の重合溶液を抜き取り、ガスクロマトグラム分析によりアクリル酸ブチルの転化率を決定した。ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。
【0103】
アクリル酸ブチル(nBA)の転化率が95%に到達したところで、トルエン 106.5kg、塩化第一銅 431g、ペンタメチルジエチレントリアミン 76g及びメタアクリル酸メチル(MMA) 38.4kgを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。メタアクリル酸メチル(MMA)の転化率が90%に到達したところで、トルエン 220kgを加えて反応溶液を希釈すると共に反応器を冷却して重合を停止させた。
【0104】
得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)が108,900であった。
【0105】
得られたブロック共重合体溶液に対しトルエンを加えて重合体濃度を22重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物を1.49kg加え、30℃で3時間撹拌した。これにより、アクリル酸t−ブチル(tBA)単位をアクリル酸(AA)単位に変換した。ブロック共重合体全体当たりのアクリル酸単位の含有量は1.0重量%であった。
【0106】
反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、濾過助剤である昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2.47kg添加した。その後、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて0.1〜0.4MPaGにて加圧濾過し、固体分を分離した。
【0107】
濾過後のブロック共重合体溶液を500L反応器に仕込み、150℃で4時間加熱した。冷却後、残存する有機酸を除去する目的で塩基性吸着剤である協和化学製キョーワード500SHを6.18kg加えて1時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて0.1〜0.4MPaGにて加圧濾過して固体分を分離し、重合体溶液を得た。
【0108】
上記重合体溶液をベント口付き横形蒸発機(株式会社栗本鉄工所製、横型蒸発機SCP−100)に供給し溶媒及び未反応モノマーの蒸発を行なうことで重合体を単離した。蒸発機の胴部ジャケット及びスクリューは熱媒で180℃に温度調節し、蒸発機内部は真空ポンプにより約0.01MPa以下の減圧状態を保持した。このようにして標記ブロック共重合体を作製した。
【0109】
(実施例1)
製造例1で得られたアクリル系ブロック共重合体(BA8)100重量部,ポリリン酸アンモニウム(住友化学(株)社製スミセーフPM)70重量部,多価アルコールとしてペンタエリスリトール50重量部,アミノ基含有化合物としてメラミン10重量部を170℃において溶融混練した後、170℃でプレス成形した。得られた成型品の発泡特性及び柔軟性を評価した。結果を表1に示す。
【0110】
(実施例2)
製造例2で得られたアクリル系ブロック共重合体(BA7-COOH)100重量部,ポリリン酸アンモニウム(住友化学(株)社製スミセーフPM)70重量部,多価アルコールとしてペンタエリスリトール50重量部,アミノ基含有化合物としてメラミン10重量部を170℃において溶融混練した後、170℃でプレス成形した。得られた成型品の発泡特性及び柔軟性を評価した。結果を表1に示す。
【0111】
(比較例1)
スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(クラレ製セプトン2007、SEPSと略称する)100重量部,ポリリン酸アンモニウム(住友化学(株)社製スミセーフPM)70重量部,多価アルコールとしてペンタエリスリトール50重量部,アミノ基含有化合物としてメラミン10重量部を170℃において溶融混練した後、170℃でプレス成形した。得られた成型品の発泡特性及び柔軟性を評価した。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
(実施例3)
製造例1で得られたアクリル系ブロック共重合体(BA8)100重量部、可塑剤としてポリブテン(出光石油化学社製:ポリブテン300H)40重量部、ポリリン酸アンモニウムとしてスミセーフPM (住友化学社製)50重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール(三菱ガス化学社製)20重量部、アミノ基含有化合物としてメラミン(日産化学社製)7.5重量部、金属酸化物として酸化チタン(石原産業社製:タイペークR−820)50部を150℃においてラボプラストミルで溶融混練した後、150℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成型品の発泡倍率、柔軟性、及び灰化性を評価した。結果を表2に示す。
【0114】
(実施例4)
製造例2で得られたアクリル系ブロック共重合体(BA7-COOH)100重量部、可塑剤としてポリブテン(出光石油化学社製:ポリブテン300H)20重量部、被覆ポリリン酸アンモニウムとしてテラージュC−80 (チッソ社製)75重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール(三菱ガス化学社製)50重量部、アミノ基含有化合物としてメラミン(日産化学社製)7.5重量部、金属酸化物として酸化チタン(石原産業社製:タイペークR−820)75部を150℃においてラボプラストミルで溶融混練した後、150℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成型品の発泡倍率、柔軟性、及び灰化性を評価した。結果を表2に示す。
【0115】
(実施例5)
製造例2で得られたアクリル系ブロック共重合体(BA7-COOH)100重量部、可塑剤としてポリブテン(出光石油化学社製:ポリブテン300H)40重量部、ポリリン酸アンモニウムとしてスミセーフPM (住友化学社製)50重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール(三菱ガス化学社製)20重量部、金属酸化物として酸化チタン(石原産業社製:タイペークR−820)50部を150℃においてラボプラストミルで溶融混練した後、150℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成型品の発泡倍率、柔軟性、及び灰化性を評価した。結果を表2に示す。
【0116】
(比較例2)
製造例2で得られたアクリル系ブロック共重合体(BA7-COOH)100重量部、可塑剤としてポリブテン(出光石油化学社製:ポリブテン300H)20重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール(三菱ガス化学社製)50重量部、アミノ基含有化合物としてメラミン(日産化学社製)7.5重量部、金属酸化物として酸化チタン(石原産業社製:タイペークR−820)75部を150℃においてラボプラストミルで溶融混練した後、150℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成型品の発泡倍率、柔軟性、及び灰化性を評価した。結果を表2に示す。
【0117】
(比較例3)
製造例2で得られたアクリル系ブロック共重合体(BA7-COOH)100重量部、可塑剤としてポリブテン(出光石油化学社製:ポリブテン300H)20重量部、被覆ポリリン酸アンモニウムとしてテラージュC−80 (チッソ社製)75重量部、アミノ基含有化合物としてメラミン(日産化学社製)7.5重量部、金属酸化物として酸化チタン(石原産業社製:タイペークR−820)250部を150℃においてラボプラストミルで溶融混練した後、150℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成型品の発泡倍率、柔軟性、及び灰化性を評価した。結果を表2に示す。
【0118】
(比較例4)
クロロプレンゴム(東ソー社製:スカイプレンB−11)100重量部、可塑剤としてポリブテン(出光石油化学社製:ポリブテン300H)40重量部、ポリリン酸アンモニウムとしてスミセーフPM (住友化学社製)50重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール(三菱ガス化学社製)20重量部、アミノ基含有化合物としてメラミン(日産化学社製)7.5重量部、金属酸化物として酸化チタン(石原産業社製:タイペークR−820)50部を150℃においてラボプラストミルで溶融混練した後、150℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成型品の発泡倍率、柔軟性、及び灰化性を評価した。結果を表2に示す。
【0119】
【表2】

【0120】
表1の実施例1,2では、アクリルブロック共重合体を用いることにより、組成物シートの硬度が比較例1と比較して低くなり、シートの柔軟性が高いことがわかる。表2の実施例3〜5では、アクリルブロック共重合体を用いることにより、組成物シートの硬度が低く、比較例2〜4と比較して柔軟性が高い。また、灰化性、発泡倍率のバランスも比較例に比較して、優れている。比較例2ではリン化合物を添加しておらず、発泡しないとともに灰化性が劣る。比較例3では、多官能アルコールを添加しておらず、金属酸化物の量が過剰であり発泡倍率が低い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタアクリル系重合体ブロック(a)および(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)と、リン化合物(B)、多官能アルコール(C)を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物。
【請求項2】
さらにアミノ基含有化合物(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載の発泡型防火性組成物。
【請求項3】
さらに金属酸化物(E)を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡型防火性組成物。
【請求項4】
さらに可塑剤(F)を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項5】
アクリル系ブロック共重合体(A)が、(a−b)n型、b−(a−b)n型および(a−b)n−a型からなる群より選択される少なくとも1種の構造を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項6】
アクリル系ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が、15,000〜300,000であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル、およびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%と、これらと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%からなることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項8】
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸−n−ブチル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%からなることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項9】
メタアクリル系重合体ブロック(a)が、メタアクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%からなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項10】
アクリル系ブロック共重合体(A)が、少なくとも1種の官能基(C)を1分子中に少なくとも1個以上有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項11】
官能基(C)が、エポキシ基、加水分解性シリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、アルケニル基、活性塩素基およびオキサゾリン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基であることを特徴とする請求項10に記載の発泡型防火性組成物。
【請求項12】
官能基(C)が、メタアクリル系重合体ブロック(a)中に含まれることを特徴とする請求項10または11に記載の発泡型防火性組成物。
【請求項13】
官能基(C)が、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)中に含まれることを特徴とする請求項10または11に記載の発泡型防火性組成物。
【請求項14】
(B)リン化合物が被覆リン化合物であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項15】
被覆リン化合物がポリリン酸塩及び/又はポリリン酸アミドであることを特徴とする請求項14に記載の発泡型防火性組成物。
【請求項16】
金属酸化物(E)が酸化チタンであることを特徴とする請求項3から15のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項17】
可塑剤(F)がポリαオレフィンまたはポリブテンであることを特徴とする請求項4から16のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の発泡型防火性組成物からなることを特徴とする発泡型防火性シート状成形体。

【公開番号】特開2011−52192(P2011−52192A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204990(P2009−204990)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】