説明

発泡性エアゾール組成物

【課題】水分を多量に含んでいるにもかかわらず、その噴射物が塗布後の乾燥性にすぐれ、使用中および使用後のべたつきがなく、弾力性を有し、外部からの力で瞬時に消泡する泡を形成する発泡性組成物を提供すること。
【解決手段】タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種を含有してなり、弾力性を有する泡を形成することを特徴とする発泡性エアゾール組成物、ならびにケン化度が20〜80%である脂肪酸のケン化物を含有してなり、弾力性を有する泡を形成することを特徴とする発泡性エアゾール組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性エアゾール組成物に関する。さらに詳しくは、水分を多量に含んでいるにもかかわらず、その噴射物が塗布後の乾燥性にすぐれ、使用中および使用後のべたつきがない、弾力性を有する泡を形成する発泡性エアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より提供されている一般的な発泡性エアゾール組成物は、通常界面活性剤0.1〜5重量%、水70〜90重量%、低級アルコール0〜10重量%、有効成分0.1〜10重量%および噴射剤3〜15重量%からなるものである。かかる組成物を噴射させると直ちに発泡し、手や櫛などに取って皮膚や頭髪に塗布することができる。しかしながら、かかる組成物は水を多量に含んでいるため、乾燥が遅く、皮膚や頭髪がべたついてしまう。とくに頭髪用整髪剤として用いる場合には、多量の水分によって髪型が崩れてしまうため、ヘアスタイルの細かいデザイン作りには適したものではなかった。
【0003】
前記発泡性エアゾール組成物の問題点である乾燥性を向上させるには、通常以下の手段が考えられる。
(イ)アルコールの配合量を増加させる。
(ロ)噴射剤の配合量を増加させる。
【0004】
しかしながら、前記(イ)の場合、噴射剤の溶解性が高くなりすぎ、組成物が発泡しにくくなるほか、アルコールによる脱脂がいちじるしくなり、皮膚や頭髪にダメージを与えやすくなるといった問題が生じる。また前記(ロ)の場合、原液に対して噴射剤の量が多すぎることから、噴射物の泡が粗くなってしまうといった問題が生じる。しかも、環境問題、とくに揮発性有機化合物(V.O.C.)削減の点でこのように噴射剤の使用量を増加させることは好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、水分を多量に含んでいるにもかかわらず、その噴射物が塗布後の乾燥性にすぐれ、使用中および使用後のべたつきがない、弾力性を有する泡を形成する発泡性エアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種を含有してなり、弾力性を有する泡を形成することを特徴とする発泡性エアゾール組成物(以下、発泡性エアゾール組成物Iという)に関する。
【0007】
好ましくは、前記発泡性エアゾール組成物Iは、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種0.1〜5重量%、陰イオン型界面活性剤0.1〜10重量%、有効成分0.1〜20重量%、精製水50〜95重量%ならびに噴射剤4〜30重量%からなるものである。
【0008】
さらに好ましくは、前記発泡性エアゾール組成物Iは、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種と、陰イオン型界面活性剤と、有効成分と、精製水とを含有した原液の25℃におけるpHが7.5〜9.0のものである。
【0009】
またさらに好ましくは、前記発泡性エアゾール組成物Iは、陰イオン型界面活性剤が脂肪酸のケン化物であるものである。
【0010】
また本発明は、ケン化度が20〜80%である脂肪酸のケン化物を含有してなり、弾力性を有する泡を形成することを特徴とする発泡性エアゾール組成物(以下、発泡性エアゾール組成物IIという)に関する。
【0011】
好ましくは、前記発泡性エアゾール組成物IIは、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種を含有するものである。
【0012】
さらに好ましくは、前記発泡性エアゾール組成物IIは、脂肪酸のケン化物0.1〜10重量%、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種0.1〜5重量%、有効成分0.1〜20重量%、精製水50〜95重量%ならびに噴射剤4〜30重量%からなるものである。
【0013】
またさらに好ましくは、前記発泡性エアゾール組成物IIは、脂肪酸のケン化物と、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種と、有効成分と、精製水とを含有した原液の25℃におけるpHが7.5〜9.0であるものである。
【0014】
なお本明細書において、発泡性エアゾール組成物とは前記発泡性エアゾール組成物Iおよび発泡性エアゾール組成物II双方を示す。
【発明の効果】
【0015】
本発明の発泡性エアゾール組成物は、水分を多量に含んでいるにもかかわらず、その噴射物が塗布後の乾燥性にすぐれ、使用中および使用後のべたつきがない、弾力性を有する泡を形成し、この泡に外部から力を加えた場合には、瞬時に消泡するといったすぐれた効果を発現し得るものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず発泡性エアゾール組成物Iについて以下に説明する。
【0017】
本発明の発泡性エアゾール組成物Iは、前記したように、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種を含有してなり、弾力性を有する泡を形成することを特徴とするものである。
【0018】
本発明の発泡性エアゾール組成物Iにはタンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種が配合されているので、水を多量に配合した組成物であっても、べたつきのない弾力性のある泡を形成し、泡を塗布した場合の乾燥性にすぐれる。しかも、従来のごとき乾燥性を向上させるために多量のアルコールや多量の噴射剤が配合されていないので、発泡性、泡の粗さの問題や、環境問題が生じることもない。
【0019】
前記タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体の代表例としては、たとえばコラーゲン加水分解物、カチオン化加水分解コラーゲン、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲン、ケラチン、ケラチン加水分解物、カチオン化加水分解ケラチン、エラスチン、エラスチン加水分解物、カゼイン、カゼインナトリウム、カゼイン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、その他大豆タンパク、小麦タンパク、グルテリン、ホエー粉末、フィブロイン、グルカゴン、卵白、非熱凝固卵白、卵白リゾチーム、アルブミンフィブリノーゲン、ヘモグロビン、グロブリンおよびこれらの加水分解物などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらタンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体のなかでは、とくに水分保持性にすぐれ、乾燥性にすぐれた泡を形成し得ることから、ゼラチンおよびゼラチン加水分解物が好ましい。なお本発明において、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種は、たとえば薄片、細片、粉末、顆粒などの形態のものを1〜20%程度の水溶液として配合することができる。
【0020】
前記タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種の量は、水分を良好に吸収し、乾燥性にすぐれた泡を形成させるためには、発泡性エアゾール組成物I中0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、また原液の調製を容易にするため、またべたつかない泡を形成させるためには、発泡性エアゾール組成物I中5重量%以下、好ましくは3重量%以下であることが望ましい。
【0021】
本発明の発泡性エアゾール組成物Iに用いられる陰イオン型界面活性剤は、原液となる各成分と噴射剤とを乳化させ、弾力性を有する泡を形成させるための成分である。
【0022】
前記陰イオン型界面活性剤を配合することも本発明の大きな特徴の1つであり、この陰イオン型界面活性剤が配合された場合、その原液が特定のpHを有するものであることから、組成物が水分を多量に含んでいるにもかかわらず、弾力性を有する泡となるのである。さらにこの泡を指で押さえるなど、外部から力を加えると瞬時に消泡するという特徴を有する。
【0023】
前記陰イオン型界面活性剤としては、たとえば脂肪酸のケン化物、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウムなどの高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウムなどのN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウムなどの高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸などのリン酸エステル塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウムなどの高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ロート油などの硫酸化油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウムなどがあげられる。これら陰イオン型界面活性剤のなかでは、弾力性のある泡を形成しやいという点から脂肪酸のケン化物が好ましい。
【0024】
前記脂肪酸のケン化物の代表例としては、たとえばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの脂肪酸類と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカリ類との反応物などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
前記陰イオン型界面活性剤の量は、弾力性を有し、外部から力を加えた場合、瞬時に消泡する泡を形成するためには、発泡性エアゾール組成物I中0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、また皮膚への刺激性やべたつきなどがなく、すぐれた使用感を得るためには、発泡性エアゾール組成物I中10重量%以下、好ましくは8重量%以下であることが望ましい。
【0026】
本発明の発泡性エアゾール組成物Iに用いられる有効成分としては、該発泡性エアゾール組成物Iからなるエアゾール製品の目的に応じ、たとえば頭髪用発泡性エアゾール製品とする場合には、セット剤成分、トリートメント剤成分、紫外線吸収剤、アミノ酸、ビタミン類、染料、発色性粉体、酸化防止剤、各種抽出液、防腐剤、香料などがあげられる。
【0027】
また本発明の発泡性エアゾール組成物Iを人体用発泡性エアゾール製品とする場合には、たとえば保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、美白用薬剤、抗炎症剤、収れん剤、清涼化剤、ビタミン類、抗ヒスタミン剤、皮脂抑制剤、角質剥離・溶解剤、殺菌剤、消炎鎮痛剤、制汗剤、消臭剤、香料などの有効成分を配合することができる。
【0028】
前記有効成分の量は、その効果を充分に得るためには、発泡性エアゾール組成物I中0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、また有効成分濃度が高くなりすぎることによる過度の使用を防止するためには、発泡性エアゾール組成物I中20重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが望ましい。
【0029】
発泡性エアゾール組成物Iに配合される精製水は、前記タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種や、陰イオン型界面活性剤、有効成分、その他の原液成分などの溶媒である。
【0030】
なお、かかる精製水のかわりに、通常エアゾール組成物に用いられる蒸留水やイオン交換水を用いてもよい。
【0031】
精製水の量は、得られる発泡性エアゾール組成物Iの泡の状態や、かかる精製水以外の他の成分量を考慮し、発泡性エアゾール組成物I中50重量%以上、好ましくは55重量%以上であることが望ましく、また有効成分や他の成分などの効果が充分に発現され得る充填量を確保するためには、発泡性エアゾール組成物I中95重量%以下、好ましくは90重量%以下であることが望ましい。
【0032】
なお、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種と、陰イオン型界面活性剤と、有効成分と、精製水とを含有した原液の25℃におけるpHは、泡に弾力性を付与し、外部から力を加えたときの消泡性を向上させる点から、7.5以上、好ましくは7.6以上であることが望ましく、泡の乾燥性、消泡性および皮膚への刺激性の点から、9.0以下、好ましくは8.8以下であることが望ましい。
【0033】
本発明の発泡性エアゾール組成物Iに用いられる噴射剤にはとくに限定がなく、良好な発泡性を付与することができるものであればよい。
【0034】
前記噴射剤の代表例としては、たとえばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタンなどの炭化水素類およびそれらの混合物(液化石油ガス)、炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスがあげられるほか、発泡性に影響を与えない程度のジメチルエーテルも併用することができる。
【0035】
噴射剤の量は、噴射された発泡性エアゾール組成物Iを充分に発泡させるためには、発泡性エアゾール組成物I中4重量%以上、好ましくは5重量%以上であることが望ましく、また泡が粗くならないようにするためには、発泡性エアゾール組成物I中30重量%以下、好ましくは28重量%以下であることが望ましい。
【0036】
本発明の発泡性エアゾール組成物Iは、前記各成分からなるものであるが、これらのほかにも、必要に応じ、たとえば以下に示す界面活性剤、油成分、アルコール類、増粘剤、粉体などその他の成分を適宜配合させることができる。
【0037】
前記界面活性剤は、原液と噴射剤の乳化や発泡を補助する成分として、非イオン型界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、高分子界面活性剤、天然界面活性剤などのなかから、単独でまたは適宜2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
前記非イオン型界面活性剤としては、たとえばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル類;グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル類;デカグリセリルモノステアレート、デカグリセリルモノオレエート、デカグリセリルジステアレート、デカグリセリルジオレエート、デカグリセリルトリステアレート、デカグリセリルトリオレエートなどのデカグリセリン脂肪酸エステル類;ジグリセリルモノオレエート、テトラグリセリルモノオレエート、ヘキサグリセリルモノミリステートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル類;POE(n)−ソルビタンモノステアレート、POE(n)−ソルビタンモノオレエート、POE(n)−ソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;POE(n)−ソルビットテトラオレエート、POE(n)−ソルビットモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;POE(n)−グリセリルモノオレエート、POE(n)−グリセリルモノステアレートなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類;POE(n)−モノステアレート、POE(n)−モノオレエートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;POE(n)−セチルエーテル、POE(n)−ラウリルエーテル、POE(n)−ステアリルエーテル、POE(n)−オレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;POE(n)POP(m)−セチルエーテル、POE(n)POP(m)−デシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;POE(n)−ノニルフェニルエーテル、POE(n)−オクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;POE(n)−ヒマシ油、POE(n)−硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類やポリオキシエチレンヒマシ油誘導体;POE(n)−ステアリルアミン、POE(n)−オレイルアミン、POE(n)−ステアリン酸アミド、POE(n)−オレイン酸アミドなどのポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類などがあげられる。なお、前記(n)は(CH2CH2O)の重合数を、前記(m)は(CH2CH(CH3)O)の重合数を、前記POEはポリオキシエチレンを、前記POPはポリオキシプロピレンを表わす。
【0039】
前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などがあげられる。
【0040】
前記高分子界面活性剤としては、たとえばアルギン酸ナトリウム、トラガカントゴムなどがあげられる。
【0041】
前記天然界面活性剤としては、たとえばレシチン、サポニン、大豆リン脂質、大豆リゾリン脂質液などがあげられる。
【0042】
なお本発明の発泡性エアゾール組成物Iにおいて陰イオン型界面活性剤が用いられる場合、前記各種界面活性剤のなかでも、かかる陰イオン型界面活性剤の作用に影響を与える可能性がない非イオン型界面活性剤を用いることがとくに好ましい。
【0043】
陰イオン型界面活性剤以外の界面活性剤を配合する場合、その量は、組成物を良好な乳化状態にするためには、発泡性エアゾール組成物I中0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、またべたつきや皮膚への刺激性を考慮し、発泡性エアゾール組成物I中5重量%以下、好ましくは3重量%以下であることが望ましい。
【0044】
前記油成分は、溶媒の一部として用いられたり、艶や塗りやすさなどを付与するための成分であり、たとえばノルマルヘキサン、イソヘキサン、ケロシン、石油エーテル、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、ワセリン、パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素;ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、酢酸ラノリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジ2−エチルヘキシルなどのエステル油;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)ドコサヘキサエン酸(DHA)などの高級脂肪酸;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸・メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーン;アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、メドウフォーム油、サフラワー油、ホホバ油、胚芽油、ヤシ油、バーム油、硬化ヒマシ油などの油脂;ミツロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、カンデリラロウ、カウナウバロウ、鯨ロウ、モンタンロウなどのロウなどがあげられる。
【0045】
前記アルコール類は、溶媒の一部として用いられたり、泡質の調整や、温熱感や保水効果などを付与する成分であり、低級アルコール、多価アルコール、高級アルコールがあげられる。
【0046】
前記低級アルコールとしては、たとえばエタノール、イソプロパノールなどが上げられる。
【0047】
前記多価アルコールとしては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコール、ペンタエリストリールなどの4価のアルコール、キシリトールなどの5価のアルコール、ソルビトール、マンニトールなどの6価のアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリンなどの多価アルコールの重合体、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのアルコールアルキルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのアルコールエーテルエステルなどがあげられる。
【0048】
前記高級アルコールとしては、たとえばラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコールなどの直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの分枝鎖アルコールなどがあげられる。
【0049】
前記増粘剤は、原液粘度の調整や、泡を固くする効果があり、たとえば寒天、デキストリン、ペクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトルセルロース、結晶セルロース、キサンタンガム、変性ポテトスターチ、スクレロチウムガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸ナトリウムなどがあげられる。
【0050】
前記粉体は、粉体自体が有効成分として作用したり、他の有効成分を担持する担体、保護剤、付着剤、使用感を向上させるための成分であり、たとえばタルク、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などがあげられる。
【0051】
前記その他の成分の量にはとくに限定がなく、前記タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種や、陰イオン型界面活性剤、有効成分、精製水および噴射剤などの量を考慮して発泡性エアゾール組成物Iが全量で100重量%となるように調整すればよい。
【0052】
つぎに、本発明の発泡性エアゾール組成物IIについて説明する。
【0053】
本発明の発泡性エアゾール組成物IIは、ケン化度が20〜80%である脂肪酸のケン化物を含有してなり、弾力性を有する泡を形成することを特徴とするものである。
【0054】
発泡性エアゾール組成物IIでは、特定のケン化度を有する脂肪酸のケン化物を用いることに特徴がある。該特定のケン化度を有する脂肪酸のケン化物が配合されているので、発泡性エアゾール組成物IIは、水が多量に配合されても、べたつきのない弾力性のある泡を形成し、泡を塗布した場合の乾燥性にすぐれる。なお弾力性のある泡を形成するには、該脂肪酸のケン化物のケン化度は20%以上、好ましくは22%以上であり、泡の弾力性が低下しないようにするには、80%以下、好ましくは78%で以下である。
【0055】
前記脂肪酸のケン化物の代表例としては、たとえばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの脂肪酸類と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカリ類との反応物などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0056】
なお本明細書にいうケン化度は、脂肪酸に対するアルカリ類のモル%である。たとえば脂肪酸としてミリスチン酸を用い、アルカリとしてトリエタノールアミンを用いた場合、ミリスチン酸3g(0.013モル)に対して、トリエタノールアミン1.96g(0.013モル)を添加するとケン化度が100%であり、トリエタノールアミン0.98g(0.0065モル)を添加するとケン化度が50%である。
【0057】
前記脂肪酸のケン化物の量は、弾力性のある泡を形成するためには、発泡性エアゾール組成物II中0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、べとつきや乾燥性などの使用感を考慮すると、発泡性エアゾール組成物II中10重量%以下、好ましくは8重量%以下であることが望ましい。
【0058】
発泡性エアゾール組成物IIにおいても、前記発泡性エアゾール組成物Iと同様に、泡の弾力性および乾燥性を向上させるために、前記発泡性エアゾール組成物Iに配合されるものと同じタンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種が含有されることが好ましい。
【0059】
前記タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種の量は、その効果を充分に得るためには、発泡性エアゾール組成物II中0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、原液の粘度上昇により原液調合が困難とならないようにするためには、発泡性エアゾール組成物II中5重量%以下、好ましくは3重量%以下であることが望ましい。
【0060】
また前記発泡性エアゾール組成物Iと同様に、発泡性エアゾール組成物IIからなるエアゾール製品の目的に応じ、有効成分として、たとえば頭髪用発泡性エアゾール製品とする場合には、セット剤成分、トリートメント剤成分、紫外線吸収剤、アミノ酸、ビタミン類、染料、発色性粉体、酸化防止剤、各種抽出液、防腐剤、香料などを配合することができる。
【0061】
また本発明の発泡性エアゾール組成物IIを人体用発泡性エアゾール製品とする場合には、たとえば保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、美白用薬剤、抗炎症剤、収れん剤、清涼化剤、ビタミン類、抗ヒスタミン剤、皮脂抑制剤、角質剥離・溶解剤、殺菌剤、消炎鎮痛剤、制汗剤、消臭剤、香料などの有効成分を配合することができる。
【0062】
前記有効成分の量は、その効果を充分に得るためには、発泡性エアゾール組成物II中0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、また有効成分濃度が高くなりすぎることにより過度の使用を防止するためには、発泡性エアゾール組成物II中20重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが望ましい。
【0063】
発泡性エアゾール組成物IIにおいて、前記精製水は溶媒として用いられ、精製水以外にも蒸留水やイオン交換水などとくに限定されない。
【0064】
前記精製水の量は、精製水以外の成分の濃度が高くなることにより、泡が固くなって弾性力が低下したり、また原液の粘度が高くなる場合があり、原液の調合が困難とならないようにするためには、発泡性エアゾール組成物II中50重量%以上、好ましくは55重量%以上であることが望ましく、一方有効成分など他の成分の配合量が限定されず、所望の効果を有する泡を得るためには、発泡性エアゾール組成物II中95重量%以下、好ましくは90重量%以下であることが望ましい。
【0065】
なお、脂肪酸のケン化物と、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種と、有効成分と、精製水とを含有した原液の25℃におけるpHは、泡に弾力性を付与し、外部から力を加えたときの消泡性を向上させる点から、7.5以上、好ましくは7.6以上であることが望ましく、泡の乾燥性、消泡性および皮膚への刺激性の点から、9.0以下、好ましくは8.8以下であることが望ましい。
【0066】
本発明の発泡性エアゾール組成物IIに用いられる噴射剤も、前記発泡性エアゾール組成物Iと同様にとくに限定がなく、良好な発泡性を付与することができるものであればよい。
【0067】
前記噴射剤の代表例としては、たとえばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタンなどの炭化水素類およびそれらの混合物(液化石油ガス)、炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスがあげられるほか、発泡性に影響を与えない程度のジメチルエーテルも併用することができる。
【0068】
噴射剤の量は、噴射された発泡性エアゾール組成物IIを充分に発泡させるためには、発泡性エアゾール組成物II中4重量%以上、好ましくは5重量%以上であることが望ましく、また泡が粗くならないようにするためには、発泡性エアゾール組成物II中30重量%以下、好ましくは28重量%以下であることが望ましい。
【0069】
本発明の発泡性エアゾール組成物IIは、前記各成分からなるものであるが、これらのほかにも、必要に応じ、たとえば前記発泡性エアゾール組成物Iに配合されてもよい界面活性剤、油成分、アルコール類、増粘剤、粉体などその他の成分を適宜配合させることができる。
【0070】
なお界面活性剤、油成分、アルコール類、増粘剤、粉体などその他の各成分の例は、前記発泡性エアゾール組成物Iに配合されるものとそれぞれ同様である。
【0071】
また本発明の発泡性エアゾール組成物IIにおいては、脂肪酸のケン化物が用いられるので、前記各種界面活性剤のなかでも、かかる脂肪酸のケン化物の作用に影響を与える可能性がない非イオン型界面活性剤を用いることがとくに好ましい。
【0072】
前記各種界面活性剤を配合する場合、その量は、組成物を良好な乳化状態にするためには、発泡性エアゾール組成物II中0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、またべたつきや皮膚への刺激性を考慮し、発泡性エアゾール組成物II中5重量%以下、好ましくは3重量%以下であることが望ましい。
【0073】
前記その他の成分の量にはとくに限定がなく、前記脂肪酸のケン化物や、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種、有効成分、精製水および噴射剤などの量を考慮して発泡性エアゾール組成物IIが全量で100重量%となるように調整すればよい。
【0074】
以上発泡性エアゾール組成物I、IIの各組成について説明したが、これら発泡性エアゾール組成物I、IIの製造方法にはとくに限定がない。
【0075】
たとえば発泡性エアゾール組成物Iの場合、前記タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種や、陰イオン型界面活性剤、有効成分および精製水、ならびに必要に応じてその他の成分の量を適宜調整したのち、これらを混合して原液を調合し、得られた原液と噴射剤とを通常の方法でエアゾール用耐圧容器内に充填し、たとえばエアゾール用バルブ、ボタンを取り付けることにより、所望のエアゾール製品を製造することができる。
【0076】
また発泡性エアゾール組成物IIの場合、前記脂肪酸のケン化物や、タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種、有効成分および精製水、ならびに必要に応じてその他の成分の量を適宜調整したのち、これらを混合して原液を調合し、得られた原液と噴射剤とを通常の方法でエアゾール用耐圧容器内に充填し、たとえばエアゾール用バルブ、ボタンを取り付けることにより、所望のエアゾール製品を製造することができる。
【0077】
前記エアゾール用耐圧容器にはとくに限定がなく、一般にエアゾール製品に用いられているものを適用することができる。
【0078】
エアゾール用耐圧容器内に発泡性エアゾール組成物I、IIを充填する際、所望の噴射形態が容易に付与されるようにするためには、25℃でのエアゾール製品の内圧が2kg/cm2以上、好ましくは2.5kg/cm2以上となるように調整することが望ましく、また製品の安全性を考慮すると、25℃でのエアゾール製品の内圧が7kg/cm2以下、好ましくは6kg/cm2以下となるように調整することが望ましい。
【0079】
かくして得られる本発明の発泡性エアゾール組成物I、IIを充填したエアゾール製品から噴射される噴射物は、水分を多量に含んでいるにもかかわらず、塗布後の乾燥性にすぐれ、使用中および使用後のべたつきがない、弾力性を有する泡が形成されたものである。さらに外部から力を加えた場合には、瞬時に消泡するといった特徴を有する。
【実施例】
【0080】
つぎに、本発明の発泡性エアゾール組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0081】
実施例1〜3および比較例1〜3
表1に示す組成からなる原液90重量%と噴射剤として液化石油ガス10重量%とを混合して発泡性エアゾール組成物を調製した。得られた発泡性エアゾール組成物60gをエアゾール用耐圧容器(満注量:100ml)内に充填し、エアゾール用バルブおよびボタンを取り付けてエアゾール製品(内圧:4.5〜4.7kg/cm2)を作製した。
【0082】
なお、各実施例1〜3および比較例1〜3における原液の25℃でのpHおよび用いられた脂肪酸のケン化物のケン化度も合わせて表1に示す。
【0083】
また、表1中の成分は以下のとおりである。
ゼラチン:(商品名:AP−100、新田ゼラチン(株)製)
【0084】
【表1】

【0085】
つぎに、各実施例および比較例にて得られた発泡性エアゾール組成物の特性として付着性、剪断時の消泡性、泡の保持性および泡の弾力性を以下の方法にて調べた。その結果を表2に示す。
【0086】
(イ)付着性
各実施例および比較例にて得られたエアゾール製品から発泡性エアゾール組成物を手のひら上に1秒間噴射させ、形成された泡をもう一方の手のひらで転がしたときの手への付着状態を観察して以下の評価基準に基づいて評価した。
【0087】
(評価基準)
○:まったく手に付着していない。
△:一部手に付着している。
×:ほぼ全量が手に付着している。
【0088】
(ロ)剪断時の消泡性
各実施例および比較例にて得られたエアゾール製品から発泡性エアゾール組成物を手のひら上に1秒間噴射させ、形成された泡に指で剪断を加えたときの泡消えの状態を目視にて観察して以下の評価基準にて評価した。
【0089】
(評価基準)
○:泡がまったく残らない。
△:一部泡が残っている。
×:ほぼ全体的に泡が残っている。
【0090】
(ハ)泡の保持性
各実施例および比較例にて得られたエアゾール製品から発泡性エアゾール組成物をガラス板上に1秒間噴射させ、その噴射物を25℃にて放置したときの泡の保持状態を目視にて観察して以下の評価基準にて評価した。
【0091】
(評価基準)
○:泡がそのままの状態で3分間以上保持している。
△:噴射直後から3分間未満で一部泡が崩れている。
×:噴射時にすでに全体的に泡が崩れている。
【0092】
(ニ)泡の弾力性
各実施例および比較例にて得られたエアゾール製品から発泡性エアゾール組成物を手のひら上に1秒間噴射させ、その噴射物を50cm下のガラス板上に自由落下させたときの泡の飛び跳ね状態を目視にて観察して以下の評価基準にて評価した。なお、泡が2cm以上跳ねた場合、弾力性を有すると判断する。
【0093】
(評価基準)
○:泡が2cmないし10cm程度跳ねる。
△:泡が0.5cmないし2cm未満しか跳ねない。
×:泡が跳ねずにガラス板上に付着する。
【0094】
【表2】

【0095】
表2に示された結果から、実施例1〜3のように原液のpHが7.5〜9.0で、ケン化度が20〜80%の脂肪酸のケン化物を用いた場合には、付着性、剪断時の消泡性、泡の保持性および泡の弾力性すべての特性に同時にすぐれることから、乾燥性にすぐれ、べたつきがない発泡性エアゾール組成物が得られることがわかる。
【0096】
これに対して、比較例1のように原液のpHが低く、ケン化度が小さい脂肪酸のケン化物を用いた場合には、付着性、剪断時の消泡性、泡の保持性および泡の弾力性すべての特性に劣り、また比較例2〜3のように原液のpHが高く、ケン化度が大きい脂肪酸のケン化物を用いた場合には、付着性、剪断時の消泡性および泡の弾力性に劣り、実施例1〜3のようにすべての特性に同時にすぐれた発泡性エアゾール組成物が得られないことがわかる。
【0097】
処方例1〜15
本発明の発泡性エアゾール組成物を用い、以外に示す処方で発泡性エアゾール製品を調製した。
【0098】
なお、各成分の商品名および製造元は以下のとおりである。
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート
商品名:TL−10、日光ケミカルズ(株)製
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油
商品名:HCO−60、日光ケミカルズ(株)製
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
商品名:SH3771M、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
ミリスチン酸
商品名:ルナックMy−98、花王(株)製
セタノール
商品名:セタノール#2500、共和テクノス(株)製
dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液
商品名:PCAソーダ、味の素(株)製
シリコーンエマルジョン
商品名:FZ−4158、日本ユニカー(株)製
シリコーンオイル
商品名:SH556、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
メチルポリシロキサン
商品名:SH200C 10CS、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
架橋型メチルポリシロキサン(シリコーンエラストマーパウダー)
商品名:BY29−119、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
トリメチルシロキシケイ酸・メチルポリシロキサン
商品名:DC593、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
アクリル樹脂アルカノールアミン液
商品名:プラスサイズL−6740B、互応化学工業(株)製
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体
商品名:PVA 6450、大阪有機化学工業(株)製
ミツロウ
商品名:BEES WAX−S、クローダジャパン(株)製
リンゴ酸ジイソステアリル
商品名:コスモール222、日清製油(株)製
ラノリン脂肪酸オクチルドデシル
商品名:CRODAMOL−ODL、クローダジャパン(株)製
コハク酸ジエトキシエチル
商品名:CRODAMOL−DES、クローダジャパン(株)製
コハク酸ジ2−エチルヘキシル
商品名:CRODAMOL−OSU、クローダジャパン(株)製
ヒアルロン酸
商品名:ヒアルロンサン HA−L、キューピー(株)製
植物セラミド
商品名:コスメソーム CM−1、キューピー(株)製
二酸化ケイ素
商品名:サイリシア740LS、富士シリシア化学(株)製
ゼラチン
商品名:AP−100、新田ゼラチン(株)製
【0099】
処方例1(トリートメントフォーム)
原液組成(25℃のpH8.1) 量(重量%)
ミリスチン酸 3.0
トリエタノールアミン 0.98
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
濃グリセリン 3.0
dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 2.0
パラベン 0.1
シリコーンエマルジョン 2.0
ゼラチン(5%水溶液) 30.0
精製水 57.92
(合 計 100.00)
【0100】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 90.0
液化石油ガス(以下、LPGという) 10.0
(合 計 100.0)
【0101】
処方例2(頭髪用セット剤)
原液組成(25℃のpH8.0) 量(重量%)
ミリスチン酸 3.0
トリエタノールアミン 0.98
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
アクリル樹脂アルカノールアミン液 7.5
濃グリセリン 1.5
dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 1.0
パラベン 0.1
シリコーンエマルジョン 1.0
ゼラチン(5%水溶液) 30.0
精製水 53.92
(合 計 100.00)
【0102】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 90.0
LPG 10.0
(合 計 100.0)
【0103】
処方例3(スキンクリーム)
原液組成(25℃のpH7.6) 量(重量%)
ステアリン酸 1.0
ミリスチン酸 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 2.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
ビタミンE 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
セチルアルコール 1.0
ラノリン脂肪酸オクチルドデシル 0.5
パラベン 0.2
dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 2.0
シリコーンオイル 0.5
KOH(1%水溶液) 20.0
ゼラチン(5%水溶液) 30.0
精製水 40.6
(合 計 100.0)
【0104】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 90.0
LPG 10.0
(合 計 100.0)
【0105】
処方例4(頭髪用水分保持剤)
原液組成(25℃のpH7.8) 量(重量%)
ミリスチン酸 3.0
トリエタノールアミン 0.98
濃グリセリン 1.5
パラベン 0.1
dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
コハク酸ジエトキシエチル 3.0
シリコンエマルジョン 1.0
ゼラチン(5%水溶液) 30.0
精製水 58.42
(合 計 100.00)
【0106】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 90.0
LPG 10.0
(合 計 100.0)
【0107】
処方例5(頭髪用水分保持剤)
原液組成(25℃のpH7.6) 量(重量%)
ミリスチン酸 2.0
セタノール 0.5
ポリオシキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 0.5
メチルフェニルポリシロキサン 0.5
1,3−ブチレングリコール 1.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 13.0
パラベン 0.1
dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 0.1
ゼラチン(5%水溶液) 20.0
精製水 61.8
(合 計 100.0)
【0108】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 85.0
LPG 15.0
(合 計 100.0)
【0109】
処方例6(ワックスフォーム)
原液組成(25℃のpH7.5) 量(重量%)
ミリスチン酸 4.0
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
ミツロウ 2.0
リンゴ酸ジイソステアリル 1.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 26.0
パラベン 0.1
ゼラチン(5%水溶液) 20.0
精製水 43.9
(合 計 100.0)
【0110】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 80.0
LPG 20.0
(合 計 100.0)
【0111】
処方例7(ワックスフォーム)
原液組成(25℃のpH8.0) 量(重量%)
ミリスチン酸 3.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 21.0
濃グリセリン 1.5
ミツロウ 2.0
コハク酸ジ2−エチルヘキシル 3.0
パラベン 0.1
ポリビニルアルコール(8%水溶液) 50.0
精製水 18.4
(合 計 100.0)
【0112】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 75.0
LPG 25.0
(合 計 100.0)
【0113】
処方例8(モイスチャーフォーム)
原液組成(25℃のpH7.6) 量(重量%)
ミリスチン酸 3.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 21.0
濃グリセリン 1.5
ヒアルロン酸 0.1
パラベン 0.1
ゼラチン(5%水溶液) 20.0
精製水 53.3
(合 計 100.0)
【0114】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 75.0
LPG 25.0
(合 計 100.0)
【0115】
処方例9(頭髪用セット剤)
原液組成(25℃のpH7.8) 量(重量%)
ミリスチン酸 2.0
セタノール 0.5
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 0.5
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体 6.0
1,3−ブチレングリコール 1.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 13.0
パラベン 0.1
ポリビニルアルコール(1%水溶液) 50.0
精製水 26.4
(合 計 100.0)
【0116】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 75.0
LPG 25.0
(合 計 100.0)
【0117】
処方例10(肌荒れ防止剤)
原液組成(25℃のpH7.6) 量(重量%)
ミリスチン酸 2.0
セタノール 0.5
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 0.5
1,3−ブチレングリコール 1.0
植物セラミド 0.2
オリーブ油 1.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 13.0
パラベン 0.1
ヒドロキシエチルセルロース(1%水溶液) 50.0
精製水 31.2
(合 計 100.0)
【0118】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 75.0
LPG 25.0
(合 計 100.0)
【0119】
処方例11(プロテクトフォーム:皮膚保護剤)
原液組成(25℃のpH7.9) 量(重量%)
ミリスチン酸 4.0
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
トリメチルシロキシケイ酸・メチルポリシロキサン 2.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 26.0
パラベン 0.1
ゼラチン(5%水溶液) 20.0
精製水 44.9
(合 計 100.0)
【0120】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 85.0
LPG 15.0
(合 計 100.0)
【0121】
処方例12(プロテクトフォーム:皮膚保護剤)
原液組成(25℃のpH7.7) 量(重量%)
ミリスチン酸 4.0
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
メチルポリシロキサン 10.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 26.0
パラベン 0.1
ゼラチン(5%水溶液) 20.0
精製水 36.9
(合 計 100.0)
【0122】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 85.0
LPG 15.0
(合 計 100.0)
【0123】
処方例13(トリートメントフォーム)
原液組成(25℃のpH8.0) 量(重量%)
ミリスチン酸 4.0
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 1.0
メチルポリシロキサン 5.0
架橋型メチルポリシロキサン 5.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 26.0
パラベン 0.1
ゼラチン(5%水溶液) 20.0
精製水 36.9
(合 計 100.0)
【0124】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 85.0
LPG 15.0
(合 計 100.0)
【0125】
処方例14(トリートメントフォーム)
原液組成(25℃のpH7.7) 量(重量%)
ミリスチン酸 4.0
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2.0
メチルポリシロキサン 5.0
架橋型メチルポリシロキサン 5.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 26.0
パラベン 0.1
ゼラチン(5%水溶液) 20.0
精製水 36.9
(合 計 100.0)
【0126】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 85.0
LPG 15.0
(合 計 100.0)
【0127】
処方例15(虫除けフォーム)
原液組成(25℃のpH7.5) 量(重量%)
ミリスチン酸 5.0
セタノール 2.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 2.0
ディート 7.0
二酸化ケイ素 3.0
トリエタノールアミン(5%水溶液) 30.0
パラベン 0.1
ゼラチン(5%水溶液) 30.0
精製水 18.9
(合 計 100.0)
【0128】
エアゾール組成 量(重量%)
上記原液 80.0
LPG 20.0
(合 計 100.0)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケン化度が45.3〜80%である脂肪酸のケン化物0.1〜10重量%、有効成分0.1〜20重量%、精製水50〜90重量%ならびに噴射剤5〜30重量%を含有してなり、
弾力性を有する泡を形成することを特徴とする発泡性エアゾール組成物。
【請求項2】
前記噴射剤の含有量が、10〜25重量%である請求項1記載の発泡性エアゾール組成物。
【請求項3】
タンパク質、タンパク質加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種0.1〜5重量%を含有する請求項1または2記載の発泡性エアゾール組成物。
【請求項4】
脂肪酸のケン化物と、タンパク質、タンパク質の加水分解物およびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種と、有効成分と、精製水とを含有した原液の25℃におけるpHが7.5〜9.0である請求項3記載の発泡性エアゾール組成物。

【公開番号】特開2010−174048(P2010−174048A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116783(P2010−116783)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【分割の表示】特願2000−229820(P2000−229820)の分割
【原出願日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】