説明

発泡性エアゾール組成物

【課題】皮膚に吐出すると、吐出直後は立体的なフォームを形成し、その後、自らシュワシュワと音を発しながら消泡することで、皮膚にしみ込んでいく感触が得られる発泡性エアゾール組成物を提供すること。
【解決手段】1価および/または2価アルコールを含有する水性原液と溶解性圧縮ガスとを含み、前記溶解性圧縮ガスの前記水性原液に対する飽和溶解量が、水に対する飽和溶解量よりも少ない発泡性エアゾール組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の水性原液と特定の溶解性圧縮ガスとを含む発泡性エアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水性原液と溶解性圧縮ガス(炭酸ガス)とを含み、泡状物を吐出する製品が提案されている。例えば、特許文献1には、炭酸ガスと、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルと、グリセリンを含有する発泡エアゾル形態の水性洗顔化粧料が開示されている。特許文献2には、20℃における粘度が500〜8000cpsである水性原液と、圧縮ガスとからなり、原液中に圧縮ガスが200〜5000ppm溶解した徐起泡型後発泡性組成物が開示されている。また、特許文献3には、炭酸ガス、固形脂(炭化水素および/または脂肪酸エステル)を含有する泡沫化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−131585号公報
【特許文献2】特許第2776540号公報
【特許文献3】特開2010−30945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の水性洗顔化粧料は、発泡剤として界面活性剤であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有している。特許文献2記載の発泡性組成物は、界面活性剤や脂肪酸、高級アルコールなどを含有し原液の粘度を高くしている。また、特許文献3記載の泡沫化粧料は固形脂を含有している。つまり、これらの製品では、内容物を圧縮ガスで泡状に吐出するために界面活性剤や原液の粘度を高くする必要があり、その結果、吐出物は泡状となるが、安定な泡であり、自らシュワシュワと音を発しながら消泡するものではない。
【0005】
本発明は、皮膚に吐出すると、吐出直後は立体的なフォームを形成し、その後、自らシュワシュワと音を発しながら消泡することで、皮膚にしみ込んでいく感触が得られる発泡性エアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発泡性エアゾール組成物は、1価および/または2価アルコールを含有する水性原液と溶解性圧縮ガスとを含み、前記溶解性圧縮ガスの前記水性原液に対する飽和溶解量が、水に対する飽和溶解量よりも少ない発泡性エアゾール組成物である。
【0007】
前記1価アルコールが、炭素数が2〜3個の1価アルコールであり、水性原液中の含有量が0.01〜35質量%であることが好ましい。
【0008】
前記2価アルコールが、炭素数が2〜6個の2価アルコールであり、水性原液中の含有量が0.01〜60質量%であることが好ましい。
【0009】
前記水性原液が、ピロリドンカルボン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩から選ばれる少なくとも1種の保湿剤を含有することが好ましい。
【0010】
25℃における飽和蒸気圧が0.7MPaのとき、前記溶解性圧縮ガスの前記水性原液に対する飽和溶解量が6,000〜13,500ppmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発泡性エアゾール組成物によれば、皮膚に吐出すると、吐出直後は立体的なフォームを形成し、その後、自らシュワシュワと音を発しながら消泡することで、皮膚にしみ込んでいく感触が得られる発泡性エアゾール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の発泡性エアゾール組成物は、1価および/または2価アルコールを含有する水性原液と溶解性圧縮ガスとを含み、前記溶解性圧縮ガスの前記水性原液に対する飽和溶解量が、水に対する飽和溶解量よりも少ないことを特徴とする発泡性エアゾール組成物であり、吐出すると、吐出物が吐出直後に立体的なフォームを形成し、その後自らシュワシュワと音を発しながら消泡して、皮膚にしみ込んでいく感触が得られる。
【0013】
前記1価および/または2価アルコールは、溶解性圧縮ガスの水性原液に対する飽和溶解量を水に対する飽和溶解量よりも少なくし、本発明の発泡性を得るために用いる。
【0014】
前記1価アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコールが挙げられる。炭素数が2〜3個の1価アルコールを含有することで殺菌、消毒効果を得ることができる。
【0015】
前記2価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどの炭素数が2〜6個の2価アルコールが挙げられる。炭素数が2〜6個の2価アルコールを含有することで保湿効果を得ることができる。
【0016】
前記1価および/または2価アルコールの水性原液における含有量は、溶解性圧縮ガスの飽和溶解量が水よりも少なくなる範囲である。
【0017】
前記1価アルコールを用いる場合の含有量は水性原液中0.01〜35質量%であることが好ましく、0.05〜30質量%であることがより好ましく、0.1〜25質量%であることがさらに好ましい。前記1価アルコールの含有量が0.01質量%よりも少ない場合は飽和溶解量を水よりも少なくする効果が得られず、本発明の発泡性が得られなくなる傾向がある。また、35質量%よりも多い場合は飽和溶解量が水よりも多くなり、本発明の発泡性が得られなくなる傾向がある。
【0018】
前記2価アルコールを用いる場合の含有量は、水性原液中0.01〜60質量%であることが好ましく、0.05〜50質量%であることがより好ましく、0.1〜45質量%であることがさらに好ましい。前記2価アルコールの含有量が0.01質量%よりも少ない場合は飽和溶解量を水よりも少なくする効果が得られず、本発明の発泡性が得られなくなる傾向がある。また、60質量%よりも多い場合は飽和溶解量が水よりも多くなって本発明の発泡性が得られなくなる傾向がある。
【0019】
前記水性原液は、前記の1価および/または2価アルコール以外にも、製品の目的や用途などに応じて適宜、保湿剤、水溶性高分子、有効成分、界面活性剤、油分などを含有することができる。
【0020】
前記保湿剤は単に保湿剤としての効果だけでなく、発泡性および消泡性を良くする発泡補助成分として作用することを目的として用いることができる。さらに、本発明の水性原液に含有することで、吐出面(皮膚)においてシュワシュワと音を発しながら消泡するという本発明の物理的な作用により皮膚への浸透性がよくなり、保湿効果を向上させることができる。
【0021】
前記保湿剤としては、例えば、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどのピロリドンカルボン酸塩、加水分解ヒアルロン酸などのヒアルロン酸およびその塩などが挙げられる。なお、前記加水分解ヒアルロン酸としては、分子量が1万よりも大きくなると本発明の発泡性および消泡性を補助する効果が得られにくくなる傾向があるので、分子量が1万以下の加水分解ヒアルロン酸であることが好ましい。
【0022】
これらの保湿成分は単独で用いることも2種以上を組み合わせて用いることもできる。特にシュワシュワと音を発しながら消泡するフォームが得られやすい点から、ピロリドンカルボン酸塩と加水分解ヒアルロン酸とを併用して用いることが好ましい。
【0023】
前記保湿剤を用いる場合の含有量は、水性原液中0.001〜5質量%であることが好ましく、0.005〜3質量%であることがより好ましい。前記保湿剤の含有量が0.001質量%よりも少ない場合は吐出物の発泡性が不充分となる傾向がある。また、5質量%よりも多い場合は水性原液の粘度が高くなりシュワシュワと音を発しながら消泡しにくくなる傾向がある。
【0024】
前記水溶性高分子はフォームの持続性を向上させるなどの目的で用いることができる。該水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース系高分子;キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;分子量が10万以上のヒアルロン酸およびその塩、カルボキシビニルポリマー、デキストラン、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸、サポニン、変性ポテトスターチなどが挙げられ、これらは単独で用いることも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0025】
前記水溶性高分子を用いる場合の含有量は、水性原液中0.01〜3質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。前記水溶性高分子の含有量が0.01質量%よりも少ない場合はフォームの持続効果が得られにくくなる傾向がある。また、3質量%を超えると水性原液の粘度が高くなりシュワシュワと音を発しながら消泡しにくくなる傾向がある。
【0026】
前記有効成分は製品の用途や目的などにより適宜選択して用いることができる。該有効成分としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどのパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノールなどの防腐剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウムなどのpH調整剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤、dl−α−トコフェロールなどのビタミン;ドクダミエキス、オウバクエキス、メリローロエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、キナエキス、クララエキス、サクラソウエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;合成香料、天然香料などの香料などが挙げられる。
【0027】
前記有効成分を含有する場合の含有量は、水性原液中0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。前記有効成分の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は有効成分の効果が得られにくくなる傾向がある。また、20質量%よりも多い場合は発泡性や消泡性が低下しやすくなる傾向がある。
【0028】
前記界面活性剤は吐出物の発泡性や消泡性を調整する、後述する油分と乳化させて乳液状にするなどの目的で用いることができる。該界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体などの非イオン型界面活性剤;N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸系界面活性剤;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤などが挙げられ、これらは単独で用いることも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0029】
前記界面活性剤を含有する場合の含有量は、水性原液中0.01〜10質量%、さらには0.1〜5質量%であることが好ましい。前記界面活性剤の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は界面活性剤の効果が得られにくい傾向がある。また、10質量%よりも多い場合は皮膚などの塗布面上で残りやすくべたつきや刺激がでるなど使用感が低下しやすくなる傾向がある。
【0030】
前記油分は、皮膚や頭髪に艶や光沢を付与する、肌触りを良くする、保湿効果を高くするなどの目的で用いることができる。該液状油分としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、ミネラルオイルなどの炭化水素油;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;アボガド油、ツバキ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、大豆油、綿実油、落花生油などの植物油などが挙げられ、これらは単独で用いることも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0031】
前記水性原液は、1価および/または2価アルコール、ならびに前記の保湿成分等を水に添加し、特定の粘度にすることで調製することができる。前記水は溶媒として用いられ、例えば、精製水、イオン交換水などが挙げられる。
【0032】
前記水性原液の粘度は2〜300cpsであることが好ましい。水性原液の粘度が2cpsよりも小さい場合は発泡性が悪くなる傾向があり、300cpsよりも大きい場合はべたつき易くなり使用感が悪くなる傾向がある。
【0033】
前記水の含有量は水性原液中35〜99.9質量%であることが好ましく、45〜99.8質量%であることがより好ましい。前記水の含有量が35質量%よりも少ない場合は発泡性が低下しやすくなる傾向がある。また、99.9質量%よりも多くなると1価および/または2価アルコールや、保湿成分、有効成分などの含有量が少なくなり、本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
【0034】
本発明の発泡性エアゾール組成物は、前記水性原液を耐圧容器に充填後、耐圧容器にバルブを固着して密閉し、バルブから溶解性圧縮ガスを充填することにより調製することができる。なお、溶解性圧縮ガスは、バルブを固着する前にアンダーカップ充填により充填してもよい。
【0035】
前記溶解性圧縮ガスは、耐圧容器内では噴射剤として作用し、さらに一部は水性原液に溶解する。溶解した圧縮ガスは大気中に吐出されると水性原液中から揮発することで吐出物を発泡させる。
【0036】
前記溶解性圧縮ガスとしては、例えば、炭酸ガス(オストワルド係数:0.759)、亜酸化窒素ガス(オストワルド係数:0.059)、酸素ガス(オストワルド係数:0.028)、およびこれらの混合ガスなど、25℃における水に対するオストワルド係数が0.02以上、好ましくは0.05以上であるものが好ましい。オストワルド係数が0.02よりも低い場合は水性原液への溶解量が少なくなるため発泡性が悪くなる。
【0037】
前記溶解性圧縮ガスは、エアゾール組成物の圧力が25℃において0.2〜1.0MPaとなるように充填することが好ましく、0.3〜0.8MPaとなるように充填することがより好ましい。圧力が0.2MPaよりも低い場合は溶解量が少ないため発泡性が悪くなる傾向がある。また、1.0MPaよりも高い場合は吐出時の勢いが強く、飛び散り易くなる傾向がある。
【0038】
本発明の発泡性エアゾール組成物は、1価および/または2価アルコールを特定量含有する水性原液を用い、これに特定の溶解性を有する溶解性圧縮ガスを用いて特定の圧力に調整することができる。
【0039】
本発明の発泡性エアゾール組成物は、飽和蒸気圧が0.7MPa(25℃)のときの前記溶解性圧縮ガスの水性原液に対する飽和溶解量が6,000〜13,500ppmであることが好ましく、7,000〜13,000ppmであることがより好ましい。前記溶解性圧縮ガスの飽和溶解量が6,000ppmよりも少ない場合は発泡性が弱く、シュワシュワと音を立てて消泡しにくくなる傾向がある。また、13,500ppmよりも多い場合は発泡するが消泡が速くなる傾向がある。
【0040】
前記飽和溶解量の算出方法の一例について説明する。例えば、水性原液を充填したエアゾール容器に溶解性圧縮ガスを平衡圧Pになるまで加圧し、充填された溶解性圧縮ガスの充填量(質量)をAとする。そして、溶解性圧縮ガスの分子量をM、エアゾール容器中の気相の容量をV、気体定数をR、温度をTとし、(1)式により充填直後の気相中の溶解性圧縮ガスAgの質量を算出する。
P・V=Ag/M・R・T (1)
次に、(2)式により水性原液中の溶解性圧縮ガスの質量ALを算出する。
A−Ag=AL (2)
そして、水性原液の充填量(体積)をLとすると、水性原液中の溶解性圧縮ガスの飽和溶解量Xは(3)式により求めることができる。
L/L=X (3)
【0041】
本発明の発泡性エアゾール組成物は、1価および/または2価アルコールを配合し、溶解性圧縮ガスの飽和溶解量が水よりも小さい水性原液と溶解性圧縮ガスを用いることで、吐出物が吐出直後に立体的なフォームを形成し、その後自らシュワシュワと音を発しながら消泡する。それにより皮膚に吐出するとフォームがしみ込んでいく感触が得られるため、例えば、保湿化粧水、アンチエージング剤、マッサージ剤などの皮膚用製品に好適に用いることができる。なお水に対する飽和溶解量よりも多い場合は本発明の発泡性が得られなくなる。
【0042】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
評価方法を下記に示す。
【0044】
1)炭酸ガス(溶解性圧縮ガス)の溶解量
水性原液184mlをアルミニウム製耐圧容器(満注量310ml)に充填し、この耐圧容器にエアゾールバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填した。そして、25℃で平衡圧力が0.7MPaになる炭酸ガスの充填量から、水性原液に溶解している炭酸ガスの濃度を前述の(1)、(2)、(3)式より算出した。
【0045】
2)発泡性
耐圧容器を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬し、エアゾール組成物を吐出して吐出物の発泡性を評価した。
○:立体的なフォームを形成する。
△:フォームを形成するがすぐに消泡する。
×:ほとんど発泡せず液状。
【0046】
3)消泡性
上記発泡性の評価後の吐出物の消泡状態を評価した。
◎:シュワシュワと音を発しながら弾けるように消泡する。
○:シュワシュワと音を発しながら消泡する。
×:音を全く発しない。
【実施例】
【0047】
実施例1〜21および比較例1〜10
表1〜6に示す水性原液を調製し、アルミニウム製耐圧容器に184ml充填後、この耐圧容器にエアゾールバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填することで試験用エアゾール組成物を製造した。なお、25℃での容器内の圧力が0.7MPaとなるように炭酸ガスを充填した。得られた試験用エアゾール組成物について、炭酸ガスの溶解量、発泡性および消泡性の評価を行った。結果を表7に示す。なお、比較例10は水のみを原液として含有する試験用エアゾール組成物であり、実施例1〜21および比較例1〜9における炭酸ガスの溶解量を、水に対する溶解量と比較するために用いた。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
【表7】

【0055】
処方例1〜4
表8に示す水性原液を調整し、アルミニウム製耐圧容器に184ml充填後、この耐圧容器にエアゾールバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填しエアゾール組成物を製造した。なお、25℃での容器内の圧力が0.7MPaとなるように炭酸ガスを充填した。得られたエアゾール組成物について、炭酸ガスの溶解量、発泡性および消泡性の評価を行った。結果を表9に示す。
【0056】
【表8】

【0057】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1価および/または2価アルコールを含有する水性原液と溶解性圧縮ガスとを含み、
前記溶解性圧縮ガスの前記水性原液に対する飽和溶解量が、水に対する飽和溶解量よりも少ない発泡性エアゾール組成物。
【請求項2】
前記1価アルコールが、炭素数が2〜3個の1価アルコールであり、水性原液中の含有量が0.01〜35質量%である請求項1記載の発泡性エアゾール組成物。
【請求項3】
前記2価アルコールが、炭素数が2〜6個の2価アルコールであり、水性原液中0.01〜60質量%である請求項1記載の発泡性エアゾール組成物。
【請求項4】
前記水性原液が、ピロリドンカルボン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩から選ばれる少なくとも1種の保湿剤を含有する請求項1記載の発泡性エアゾール組成物。
【請求項5】
25℃における飽和蒸気圧が0.7MPaのとき、前記溶解性圧縮ガスの前記水性原液に対する飽和溶解量が6,000〜13,500ppmである請求項1記載の発泡性エアゾール組成物。

【公開番号】特開2012−236791(P2012−236791A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106151(P2011−106151)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(593084649)日本コルマー株式会社 (12)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】