説明

発泡性エアゾール製品およびそれを用いた2連式発泡性エアゾール製品

【課題】正立状態、倒立状態に関わらず、エアゾール容器がどのような向きで操作をしても発泡体を吐出させることができる発泡性エアゾール製品を提供する。
【解決手段】耐圧性の外容器11と、その外容器内に収納される可撓性を有する内容器12と、外容器11と内容器12の開口部を閉じ、内容器12の内部と連通しているエアゾールバルブ13と、内容器12内に充填される内容物Aと、外容器11と内容器12との間の空間Sに充填される加圧剤Bとを有する発泡性エアゾール製品10。この発泡性エアゾール製品10は、内容物Aの圧力(P)と、空間Sの圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性エアゾール製品およびそれを用いた2連式発泡性エアゾール製品に関する。詳しくは、発泡性内容物をどの向きからでも吐出できる発泡性エアゾール製品およびそれを用いた2連式発泡性エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を発泡させて吐出する発泡性エアゾール製品が知られている。この発泡性エアゾール製品は、エアゾール容器と、その内部に充填される発泡性組成物とを備えている。この発泡性組成物は、水性原液と、その水性原液と分離する親油性の液化ガスとからなっている。そのため、吐出前に容器を上下に振って水性原液(連続相)内に液化ガスの液体を分散させた状態(分散相)でエアゾール製品を操作することにより、吐出口近辺で分散相の液化ガスが気化し、水性原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ発泡体(フォーム)として吐出される。
また、このようなエアゾール製品は、エアゾール容器内で液相部(水性原液および液化ガスの液体)と、気相部(気化した液化ガス)とに分離しているため、エアゾールバルブを開放したとき、選択的に液相部をエアゾールバルブに導入する必要がある。そのため、エアゾールバルブにディップチューブを設けたエアゾール製品を倒立にして操作すると気相部だけが吐出され、またエアゾールバルブにディップチューブを設けないエアゾール製品を正立にして操作すると気相部だけが吐出されて使用できない。つまり、設計通りの向きにして使用しないとガスのみが排出され、発泡物を吐出できないという問題がある。
【0003】
特許文献1の実施例6には、外容器と内容器の間の密封空間に原液と液化石油ガスからなる内容物Aを充填し、内容器内にゲル状の原液(内容物B)を充填し、それぞれ内容器と密閉空間と連通するエアゾールバルブにてそれら内容物AとBをエアゾールバルブ内で混合し、吐出する発泡用エアゾール製品が開示されている。しかし、この場合も液体の液化石油ガスをエアゾールバルブに導入するため、ディップチューブを用いており、倒立状態での発泡体の吐出はできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4317778号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発泡性エアゾール製品は、正立状態、倒立状態に関わらず、エアゾール容器をどのような向きで操作をしても発泡体を吐出させることができる発泡性エアゾール製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発泡性エアゾール製品は、耐圧性の外容器と、前記外容器内に収納され、容積可変の隔壁を備えている内容器と、前記内容器と連通しているエアゾールバルブと、前記内容器内に充填され、水性原液と親油性液化ガスとからなる発泡性組成物と、前記内容器と外容器との間の加圧室に充填される加圧剤とを有し、前記発泡性組成物の圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とが下記数式1の関係を満たすことを特徴としている。
≧P>Patm・・・・数式1
ここで液化ガスとは、気化する前の液体状態のものを言う。
【0007】
このような発泡性エアゾール製品であって、前記親油性液化ガスが水性原液内で分散して均一相を構成しているものが好ましい。しかし、水性原液と親油性液化ガスとが内容器内で2相に分離していてもよい。
【0008】
本発明の発泡性エアゾール製品の第2の態様は、耐圧性の外容器と、前記外容器内に収納され、容積可変の隔壁を備えている内容器と、前記内容器と連通しているエアゾールバルブと、前記内容器内に液密に充填される発泡性組成物とからなり、前記発泡性組成物が、水性原液と親油性液化ガスとからなり、かつ、親油性液化ガスが水性原液内で分散して均一相を構成していることを特徴としている。ここで、本願でいう均一相を構成するとは、水とエタノールのように完全溶解するものではなく、水性原液中に親油性液化ガスが微細に分散しており、長期間静置しても両者が分離しないものをいう。
【0009】
本発明の発泡性エアゾール製品において、前記外容器内に収納される2つの前記内容器を有しており、前記エアゾールバルブがそれら2つの内容器と連通しており、それぞれの内容器内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている2液式のエアゾール製品とするのが好ましい。
また、2液式のエアゾール製品としては、外容器内に収納される2つの前記内容器を有しており、それぞれの内容器と連通する2つの前記エアゾールバルブを有しており、それぞれの内容器内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されているものでもよい。
そして、内容器が2つの独立した収納部を有しており、前記エアゾールバルブがそれぞれの収納部と連通しており、それぞれの収納部内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されていてもよい。
さらに、内容器が2つの独立した収納部を有しており、それぞれの収納部と連通する2つのエアゾールバルブを有しており、それぞれの収納部内に異なる発泡性組成物がそれぞれ充填されていてもよい。
本発明の発泡性エアゾール製品を2本連結して2連式発泡性エアゾール製品としてもよい。この2連式発泡性エアゾール製品では、本発明の発泡性エアゾール製品の第1の態様を2本連結しても、本発明の発泡性エアゾール製品の第2の態様を2本連結しても、本発明の発泡性エアゾール製品の第1の態様と本発明の発泡性エアゾール製品の第2の態様とを2本連結してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発泡性エアゾール製品は、耐圧性の外容器と、前記外容器内に収納され、容積可変の隔壁を備えている内容器と、前記内容器と連通しているエアゾールバルブと、前記内容器内に充填され、水性原液と親油性液化ガスとからなる発泡性組成物と、前記内容器と外容器との間の加圧室に充填される加圧剤とを有し、前記発泡性組成物の圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmを満たすため、液化ガスが内容器内で気化して内容器が膨張する、あるいは、内容器内の圧力と加圧室内の圧力が平衡状態になる。つまり内容器内には気相部が存在するため、容器を上下に振ることにより発泡性組成物を混ぜて均一な水性原液と親油性液化ガスの分散相とすることができ、安定した状態の発泡体を吐出することができる。特に、発泡性組成物が2相に分離するものであっても使用直前に発泡性組成物を混合することにより、親油性液化ガスを水性原液中に均一に分散させることができる。また、設計とは反対の向きに使用されても、使用により内容器内の気相部と大気とが連通し、使用直後に気相部のガスの一部が抜けるが、それと同時に内容器内の圧力が低下して加圧剤の圧力により内容器は収縮される。つまり、内容器内は発泡性組成物で液密に近い状態となり、内容器内の液相がエアゾールバルブに導入されて吐出される。よって、発泡性エアゾール製品を正立状態または倒立状態で吐出操作しても、安定した発泡体で吐出することができる。
【0011】
本発明のエアゾール製品であって、前記親油性液化ガスが水性原液内で分散して均一相を構成している場合、容器を振らなくても均一な組成で、安定した発泡体を吐出させることができる。
一方、前記水性原液と親油性液化ガスとが内容器内で2相に分離している場合、水性原液や親油性液化ガスの種類や配合量の制限が少なく、また様々な有効成分を用いることができる。
【0012】
本発明の発泡性エアゾール製品の第2の態様は、耐圧性の外容器と、前記外容器内に収納され、容積可変の隔壁を備えている内容器と、前記内容器と連通しているエアゾールバルブと、前記内容器内に液密に充填される発泡性組成物とからなり、前記発泡性組成物が、水性原液と親油性液化ガスとからなり、かつ、親油性液化ガスが水性原液内で分散して均一相を構成しているため、エアゾール製品を正立状態または倒立状態で操作しても、均一な組成で安定した発泡体で吐出することができる。また、使用前にエアゾール製品を振る必要がないため、手に取って使用するだけでなく、洗面台などに置いた状態で使用する製品にも用いることができる。
【0013】
本発明の発泡性エアゾール製品であって、前記外容器内に収納される2つの前記内容器を有しており、前記エアゾールバルブがそれら2つの内容器と連通しており、それぞれの内容器内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている場合、2つの発泡性組成物を同時に発泡体として吐出することができる。また、外容器内に2つの内容器を収容し、一つのエアゾールバルブで閉じているため、エアゾール製品をコンパクトにすることができる。
本発明の発泡性エアゾール製品であって、前記外容器内に収納される2つの前記内容器を有しており、それぞれの内容器と連通する2つの前記エアゾールバルブを有しており、それぞれの内容器内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている場合は、2つの発泡性組成物を同時または別々に発泡体として吐出することができる。また、内容器およびエアゾールバルブがそれぞれ2つあるため、二種類の発泡性組成物が保管時に接することがなく、特に、二種類の発泡性組成物が2液式染毛剤などのように反応性の内容物であっても長期保管が可能となる。
【0014】
本発明の発泡性エアゾール製品であって、前記内容器が2つの独立した収納部を有しており、前記エアゾールバルブがそれら2つの収納部と連通しており、それぞれの収納部内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている場合も、2つの発泡性組成物を同時に発泡体として吐出することができる。また、1つの内容器に2つの収納室を構成し、1つのエアゾールバルブで2つの収納室内の内容物を導入させているため、一層コンパクトにすることができる。
【0015】
本発明の発泡性エアゾール製品であって、前記内容器が2つの独立した収納部を有しており、それぞれの収納部と連通する2つの前記エアゾールバルブを有しており、それぞれの収納部内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている場合は、2つの発泡性組成物を同時または別々に発泡体として吐出することができる。
本発明の2連式発泡性エアゾール製品であって、本発明の発泡性エアゾール製品を2本連結した場合、エアゾール製品をどの向きにしても2種類の発泡体を吐出することができるため、横幅が広く使用の向きが限定され使用しにくかった2液式染毛剤やパーマ剤などを、生え際には正立で塗布し、頭頂部には倒立で塗布するなど、消費者自身が使用する箇所に応じて向きを変えることができ使いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の発泡性エアゾール製品の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】図2a〜dは、それぞれ図1の操作状態を示す状態図である。
【図3】図3a〜cは、図1のエアゾール製品の製造方法を示す工程図である。
【図4】図4a、bは、それぞれ本発明の発泡性エアゾール製品の他の実施形態を示す側面断面図である。
【図5】本発明の2連式発泡性エアゾール製品の一実施形態を示す側面断面図である。
【図6】本発明の発泡性エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図7】本発明の発泡性エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図8】本発明の発泡性エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図9】本発明の発泡性エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図10】本発明の発泡性エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図11】本発明の発泡性エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1の発泡性エアゾール製品10は、耐圧性の外容器11と、その外容器内に収納される可撓性を有する内容器12と、外容器11と内容器12の開口部を閉じ、内容器12の内部と連通しているエアゾールバルブ13と、内容器12内に充填される内容物Aと、外容器11と内容器12との間の空間(加圧室)Sに充填される加圧剤Bとを有する。また、内容物Aの圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たす。
【0018】
外容器11は、底部11a、胴部11b、肩部11cおよびビード部11dを有する硬質性のものである。この外容器11は、アルミニウムやブリキなどの金属板からインパクト加工、絞り加工、しごき加工等によって成形された一体成形品である。しかし、複数の部材を二重巻き締めによって連結したものでもよい。また合成樹脂や耐圧ガラス等の他の耐圧性を有する材料で成形してもよい。
【0019】
内容器12は、底部12a、胴部12b、肩部12cおよび首部12d有する可撓性を備えた合成樹脂製のものである。首部12dの上端には、ビード部11dの上にシール材14を挟んで配置されるようにフランジ部12eが形成されている。この内容器12を耐圧容器の底部に配置させたとき、内容器12のフランジ部12eは外容器11の首部上端よりも上方にあるように構成されている。そのため、内容物Aおよび加圧剤Bを充填してエアゾールバルブ13で外容器11を閉じるとき、内容器12を撓ませながら外容器11内に収納される。内容器12としては、単層ないし複層の合成樹脂シートをブロー成形した立体的な形状を備えた内袋や、アルミニウムなどの軽金属のシートないし軽金属シート(アルミ箔)と合成樹脂フィルムとを貼り合せたラミネートフィルムを袋状にしたパウチなどがある。
【0020】
エアゾールバルブ13は、筒状のハウジング16と、そのハウジング内に上下移動自在に収容されるステム17と、そのステム17を常時上向きに付勢するバネ18と、ステム17のステム孔を塞ぐステムラバー19と、ハウジング16の上部を覆い外容器11に固定されるマウンティングカップ20とを備えている。
マウンティングカップ20は、中央に設けられた筒状のハウジング保持部20aと、そのハウジング保持部20aの下端から半径方向に突出した環状の溝部20bと、その溝部20bから上方に突出した筒状の側壁部20cと、その側壁部20cの上端に形成された湾曲フランジ部20dとからなる。つまり、エアゾールバルブ13は、側壁部20cを内容器12の首部12dに挿入し、内容器12を閉じる。そして、エアゾールバルブ13は、湾曲フランジ部20dで内容器のフランジ部12eを挟んで外容器のビード部11dを覆い、外容器11を閉じる。マウンティングカップ20の固定は、側壁部20cを外容器11の肩部11cに向かって環状にカシメることにより固定される。
ハウジング16の下端に連通孔16aが形成されており、ステム17を下降させてエアゾールバルブ13を開くことにより、内容器12内の内容物Aが連通孔16aよりハウジング16内に導入され、さらに、ステム17から吐出される。
【0021】
内容物Aは、水性原液と、その水性原液に対して溶解度の低い親油性液化ガスとを含有しており、内容器内で液相部(原液および液化ガスの液体)(L)と気相部(気化した液化ガス)(G)が存在する。また、内容物Aは、図1に示すように、液相部において水性原液(LAa)と親油性液化ガス(LAo)とが内容器12内で2相に分離している。しかし、液相部において液化ガスが原液内で分散し、均一相を構成するものを用いても良い。さらに、内容物Aは、蒸気圧が0.2〜0.8MPa、特に0.3〜0.7MPaとなるように構成される。
2相に分離する内容物Aの水性原液としては、少なくとも界面活性剤を水に配合したものが挙げられ、親油性液化ガスとしては、液化石油ガス、ハイドロフルオロオレフィン、およびこれらの混合物が挙げられる。
均一相を構成する内容物Aとしては、たとえば、特開2001−302445号、特開2003−286130号、特開2006−213682号に記載の水性原液と液化ガス(噴射剤)の組み合わせなどが挙げられる。
【0022】
加圧剤Bとしては、例えば、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、酸素、空気およびこれらの混合ガスなどの圧縮ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合ガスなどの液化ガスなどが挙げられる。加圧剤Bの圧力は、内容物Aと同圧あるいは若干小さくなるように構成されている。
【0023】
次にこのエアゾール製品10の状態をそれぞれの状況において説明する。
図2aは、使用する前のエアゾール製品10を示す。つまり、エアゾールバルブ13は閉じており、エアゾール容器内と大気とは連通していない状態である。このとき、内容器12内の圧力(P)と空間Sの圧力(P)とは同じとなる、あるいは、内容器12内の圧力(P)が空間Sの圧力(P)より大きい。そのため、内容器12内は液相部(L)と気相部(G)とに分かれ、内容器12は膨らんだ状態となる。また、図1のように、内容物Aが2相に分離するものであっても、気相部を有しているため、エアゾール製品10を上下に振ることで内容物Aが攪拌され、水性原液中に液化ガスを均一に分散させることができる。
【0024】
図2bは、水性原液中に液化ガスを均一に分散させたエアゾール製品10を正立させた状態で、ステム17を押し下げエアゾールバルブ13を開放したときの状態を示す。このとき、内容器12内の気相部(G)と大気とが連通し、内容器12内のガス(気化した液化ガス)がエアゾールバルブ13を介して外部に排出される。それと同時に、空間Sの圧力(P)は内容器12内の圧力より大きくなるため、内容器12は圧縮される。これにより内容器12内は液相部(L)によって液密となり、同時に液相部(L)がエアゾールバルブ13に導入される。一方、内容器12内の液相部(L)内には液化ガスが存在しているため、内容器12内の圧力が低下したと同時にその液化ガスが気化しようとする。それはエアゾールバルブ13を開放し、内容器12、エアゾールバルブ13、大気を連通する圧力勾配ができた通路において、大気側に移動すればするほど気化量は大きくなる。つまり、液相部(L)は、エアゾールバルブ13に導入され、吐出口から吐出するまでの間に液化ガスが気化し、原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態になり、発泡体として吐出される。
【0025】
図2cは、エアゾールバルブ13を閉じたときのエアゾール製品10を示す。このとき、内容器12内の圧力(P)は、液化ガスが気化して再び空間Sの圧力(P)と同じになる、あるいは、内容器12内の圧力(P)が空間Sの圧力(P)より大きくなる。そのため、内容器12内は再び液相部(L)と気相部(G)とに分かれ、内容器12も膨らむ。また、内容器12内には、内容器12内で液化ガスが気化したことによる発泡体が残るが、時間と共に原液内のガス(気化した液化ガス)も再度液化して発泡体も消える。
【0026】
図2dは、倒立の状態でエアゾールバルブ13を開放したときのエアゾール製品10を示す。このとき、エアゾールバルブ13内が大気と連通するため、内容器12内の液相部(L)がエアゾールバルブ13内に直接導入される。一方、内容器12内のガス(気化した液化ガス)は液相部(L)が全て放出されるまで内容器12内に放出されない。つまり、内容器12は液相部(L)が排出されるだけで圧縮されない。一方、エアゾールバルブ13内に導入される液相部(L)は、エアゾールバルブ13に導入され、吐出口から吐出するまでの間に、その液体内の液化ガスが気化し、原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態となり、発泡体として吐出される。
このとき、内容物Aが、原液と液化ガスとが2相に分離するタイプのものであっても、通常エアゾール容器は正立状態で保管されているため、正立状態から倒立状態にエアゾール容器を上下反転させることにより、原液と液化ガスとが混合され、使用前に振る必要がない。しかし、内容物Aの構成によっては、エアゾール容器を振った後に倒立状態で吐出させた方がより良い発泡状態で吐出することができる場合がある。
このようにエアゾール製品10は、正立した状態でも、倒立した状態でも発泡体を吐出させることができる。
【0027】
図3にエアゾール製品10の製造方法を示す。
図3aに示すように、外容器11に内容器12を挿入し、内容器12内に水性原液(LAa)を充填する。ついで、エアゾールバルブ13を内容器12の開口部に合わせ、外容器11のビード部11dと、内容器12のフランジ部12eの間から空間Sに加圧剤Bを充填する。それと同時に、図3bに示すように、エアゾールバルブ13のマウンティングカップ20の側壁部20cを外容器11の肩部11cに向かって外方にカシメて、エアゾールバルブ13を外容器11に固着する(アンダーカップ充填)。最後に、図3cに示すように、エアゾールバルブ13のステム17を押し下げながら、液化ガス(LAo)を充填し、製造される。このとき、空間Sの加圧剤によって内容器12は押圧されているため、液化ガスは加圧剤の圧力よりも高い充填圧力で充填することが好ましい。
【0028】
図4a、bのエアゾール製品10a、bは、他のタイプのエアゾール容器を用いたものである。
図4aのエアゾール製品10aは、耐圧性の外容器21と、内容器12と、エアゾールバルブ22と、内容器12内に充填される内容物Aと、外容器21と内容器12との間の空間Sに充填される加圧剤Bとを有する。内容器12、内容物Aおよび加圧剤Bは、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものであり、また、内容物Aの圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たす。
外容器21は、底部21a、胴部21b、肩部21cおよび首部21dを有する硬質性のものであり、首部21dには環状凹部21fが形成されている。
エアゾールバルブ22は、この外容器21に固着されるものであり、筒状のハウジング23と、ステム17と、バネ18と、ステムラバー19と、ハウジング16を外容器11に固着するカップ状のキャップ24とを備えたものである。ハウジング23は、上部外周に設けられ、外容器21および内容器12を閉じる筒状のプラグ部23aを有している。プラグ部23aの上端には、半径方向外側に突出した環状フランジ部23bが形成されている。つまり、エアゾールバルブ22は、プラグ部23aが内容器12内に挿入されて内容器12を閉じ、環状フランジ部23bが外容器21の上端に載せられて外容器11を閉じる。キャップ24は、カップ状のものであり、ハウジング23のプラグ部23aを覆いながら、ハウジング23を外容器21に固着するものであり、下端24aが外容器21の環状凹部21fに向かってカシメられ、上面中央にステム17を通す中心孔が形成されている。ステム17、バネ18、ステムラバー19は図1のエアゾール製品と実質的に同じものである。
【0029】
図4bのエアゾール製品10bは、耐圧性の外容器21と、内容器12と、エアゾールバルブ26と、内容器12内に充填される内容物Aと、外容器21と内容器12との間の空間Sに充填される加圧剤Bとを有する。内容器12、内容物Aおよび加圧剤Bは、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものであり、外容器21は、図4aのエアゾール製品10bと実質的に同じものであり、また、内容物Aの圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たす。
【0030】
エアゾールバルブ26は、筒状のハウジング16と、ステム17と、バネ18と、ステムラバー19と、ハウジング16を保持するプラグ27と、全体を缶11の開口部に固定するカップ状のバルブ用キャップ28とを備えている。プラグ27は、中央に設けられた筒状のハウジング保持部27aと、そのハウジング保持部27aの下端から半径方向に突出した環状の溝部27bと、その溝部27bから上方に突出した筒状の側壁部27cと、その側壁部27cの上端に形成されたフランジ部27dとからなる。つまり、エアゾールバルブ26は、プラグ部27の側壁部27cが内容器12内に挿入されて内容器12を閉じ、フランジ部27dが外容器21の上端に載せられて外容器11を閉じる。キャップ28は、カップ状のものであり、ハウジング16およびプラグ部27を覆いながら、ハウジング16を外容器21に固着するものであり、下端28aが外容器21に向かってカシメられ、上面にプラグの溝部27bに沿うように環状溝部28bが形成されており、さらに、上面中央にステム17を通す中心孔が形成されている。ハウジング16、ステム17、バネ18、ステムラバー19は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものである。
【0031】
図4a、bのエアゾール製品10a、10bも内容器内に内容物Aを充填し、外容器と内容器の間の加圧室Sに加圧剤Bを充填し、内容物Aの圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たしているため、図2a〜dで示すように図1のエアゾール製品10と同様に作動し、正立した状態でも、倒立した状態でも発泡体を吐出させることができる。また、内容物Aが均一相を構成する場合は、正立または倒立のいずれの状態でも、使用前にエアゾール容器を振ることなく発泡体を吐出させることができる。さらに、内容物Aが2相に分離する場合でも、使用前にエアゾール容器を振ることで水性原液に液化ガスを分散させることができ、安定した発泡体を吐出させることができる。
また、ここでは内容器として可撓性を有する内容器のみを開示したが、外力を受けて容積可変の隔壁を有する内容器としては、ピストン型の内容器などが挙げられ、それらを用いても同様の効果が得られる。
【0032】
次、図5〜図9に2液式のエアゾール製品の説明をする。
図5の2連式エアゾール製品29は、2本の図4bのエアゾール製品10bを噴射部材29aで連結した2液式のものである。図1のエアゾール製品10、図4aのエアゾール製品10aあるいはそれらの1本ずつを2本連結してもよい。噴射部材29aは、2本のエアゾール製品10bを連結する連結部29bと、2本のエアゾール製品のステム17に連結される押ボタン29cとからなる。エアゾール製品10bの外容器21の外径を20〜35mmと小径とすることにより、異なる内容物を充填したエアゾール製品を2本横並びにして噴射部材29aで連結しても十分に手で把持しながら噴射操作でき、たとえば、2液式の発泡性染毛剤やパーマ剤などに好適に用いることができる。
【0033】
図6〜図9のエアゾール製品は、1本の外容器内に2種類の内容物A1、A2を充填し、同時に発泡体として吐出する2液式のものである。
図6の2液式のエアゾール製品30は、3つの容器を重ねた3重構造のものである。詳しくは、耐圧性の外ボトル31と、その中に収容される可撓性を有する中ボトル32と、その中ボトルに収容される可撓性を有する内ボトル33と、内ボトルの口部、中ボトルの口部および外ボトルの口部を閉じるエアゾールバルブ34と、外ボトル31と中ボトル32との間の空間S1に充填される内容物A1と、中ボトル32と内ボトル33との間の空間S2に充填される加圧剤Bと、内ボトル33内に充填される内容物A2とからなる。また、この2液式のエアゾール製品30も、内容物A1、A2の圧力(P)と、加圧剤Bの圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たす。
【0034】
外ボトル31は、耐圧性を有する合成樹脂製のものであり、底部31aと、胴部31bと、肩部31cと、首部31dと、その上端から延びる若干拡径した口部31eとからなる。また、口部31eの内面には上下に延びる溝31fが形成されている。さらに、外ボトル31の口部31eの外周には雌ネジが形成されている。
中ボトル32は、可撓性を有する合成樹脂製のものであり、内容物A1を充填する前の状態では外ボトル31の内面と当接する形状、つまり、外ボトルの内面と実質的に同一形状(略同一の形状)を呈している。そして、内容物A1が外ボトル31と中ボトル32の間の空間S1に充填されることにより中ボトル32は圧縮される。中ボトル32は、底部32aと、胴部32bと、肩部32cと、首部32dと、口部32eとを有し、口部32eの上端には、外ボトルの溝31fと連通するように切欠き32gが形成されている。
内ボトル33は、可撓性を有する合成樹脂製のものであり、内容物を充填する前の状態では中ボトル32の内面と当接する形状、つまり、中ボトル32あるいは外ボトル31の内面と実質的に同一形状を呈する。内ボトル33は、円筒状の底部33aと、胴部33bと、肩部33cと、首部33dと、フランジ状の口部33eとからなる。
外ボトル31、中ボトル32および内ボトル33は、透明あるいは半透明としてもよく、これにより内容物の残量を確認することができる。
【0035】
この実施形態では、外ボトル、中ボトル、内ボトルを全て合成樹脂で設けているが、3重構造の2液式のエアゾール製品であり、外ボトルが耐圧性、中ボトルおよび内ボトルが可撓性あるいは外力によって容積が可変する隔壁を有する構成であれば本発明の効果を享受することができる。外ボトル31の材料として、例えば、図1、図4の外容器のように金属から成形してもよい。また、中ボトル、内ボトルは、可撓性あるいは外力によって容積が可変する隔壁を有するものであれば、ゴム製のもの、あるいは、ピストン型の容器などでもよい。さらに、中ボトルおよび内ボトルの形状も外ボトルの内面と実質的に同一形状でなくてもよい。中ボトル32の形状を外ボトルの内面と実質的に同一とすることにより、内容物を最後まで吐出でき好ましい。
【0036】
エアゾールバルブ34は、筒状のハウジング36と、ステム17、バネ18、ステムラバー19およびハウジング36を覆い外ボトル31に固定されるキャップ37とからなり、2つの内容物A1、A2をハウジング36内に導入し、それらを大気に放出するものである。ステム17、バネ18、ステムラバー19は、図1のエアゾール製品と実質的に同じものである。キャップ37は、内面に雌ネジが形成されている点以外は、図4aのエアゾール製品10aと実質的に同じものである。
ハウジング36は、円筒状の本体38と、その下端に取り付けられる逆止弁部材39とからなる。本体38は、底部38aを有するものであり、側面には第1連通孔38bが形成されており、下端には第2連通孔38cが形成されており、上端には外方に延びる環状のフランジ部38dが形成されている。逆止弁部材39は、円筒状の逆止弁本体39aと、その逆止弁本体39a内に上下移動自在に挿入されるボール39bと、そのボール39bを常時下方に付勢するバネ39cとからなる。逆止弁部材39は、ハウジング36から内ボトル33方向の流れを遮断し、内ボトル33からハウジング36方向の流れを許す。また、導入された内容物A1、A2は、ハウジング36内で合流するように構成されており、混合された内容物A1、A2が吐出される。
ハウジング36は、本体37の上部側壁が中ボトル32内に挿入され、かつ、下部側壁が内ボトル33内に挿入されてそれぞれのボトルを閉じる。そして、ハウジング36の蓋体33を外ボトル31に固着することにより、内ボトル33、中ボトル32、外ボトル31を同時に閉じることができる。
【0037】
このように構成されているため、図6のようにエアゾールバルブ34が閉じた使用前の状態では、加圧剤Bが充填された空間S2が、空間S1の内容物A1および内容器33内の内容物A2に圧縮される。
次に、ステム17を押し下げて正立状態の2液式のエアゾール製品30を開放することにより、空間S1内のガス(気化した液化ガス)(GA1)と内容器33内のガス(気化した液化ガス)(GA2)が外部に放出され、空間S2が膨らみ、空間S1および内ボトル33の容積が圧縮される。それと同時に空間S1の内容物A1の液体(LA1)および内ボトル33の内容物A2の液体(LA2)がエアゾールバルブ34内に導入され、かつ、合流される。また、その際、液体内の液化ガスは気化するため、原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態の発泡体が層状となって吐出される。
同様にステム17を戻すと、内容物A1およびA2の液化ガスが気化して内ボトル33内および空間S1の圧力が再び戻り、空間S2が圧縮される。
一方、2液式のエアゾール製品30を倒立状態にしてエアゾールバルブを開放することにより、空間S1および内容器33の気相部のガス(気化した液化ガス)を残したまま液相部の液体がエアゾールバルブ34に導入され、原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態の発泡体が吐出される。
このように2液式のエアゾール製品30は、二種類の発泡体を同時に混合させた状態で吐出することができる。そのため、吐出した後、容易にそれらを均等に混ぜ合わせることができる。
【0038】
図7の2液式のエアゾール製品40は、内容器内が2つに区切られた二重構造のものである。詳しくは、耐圧性の外容器11と、その外容器内に収納され、2つの収納室41a、41bを備えた可撓性の内容器42と、外容器11と内容器41の開口部を閉じ、収納室41aおよび収納室41bとそれぞれ連通しているエアゾールバルブ43と、収納室41aおよび収納室41bにそれぞれ充填される内容物A1、A2と、外容器11と内容器41との間の空間(加圧室)Sに充填される加圧剤Bとを有する。このものも内容物A1、A2の圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たす。外容器11は、図1の外容器と実質的に同じものである。また、この2液式のエアゾール製品40には、エアゾールバルブ43のステムに押しボタン44が取り付けられている。
【0039】
内容器42は、上下に収納室41a、41bを備えた可撓性を備えた合成樹脂製のものである。詳しくは、円筒状の内容器42を約半分に仕切る位置に縮径したくびれ部45を備え、そのくびれ部45に隔壁部材46を挿入して、内容器42内を上下に区切ったものである。隔壁部材46は、上面を有する筒状の本体46aと、その上端に半径方向突出するように形成された鍔部46bと、上面中央に設けられた筒状のチューブ係合部46cと、上面中央を貫通し、かつ、チューブ係合部46cと連通する連通孔46dとからなる。また、本体46aの外周には、くびれ部45の内面と係合する係合突起46eが設けられている。
【0040】
エアゾールバルブ43は、筒状のハウジング47と、そのハウジング内に上下移動自在に収容されるステム48と、バネ18、ステムラバー19と、マウンティングカップ20とを有する。バネ18、ステムラバー19、マウンティングカップ20は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものである。
ハウジング47は、上端側面に上収納室41aと連通する上連通孔47bを備えており、その下端にディップチューブ係合部47cを介して下収納室41bと連通する下連通孔47cを備えている。そして、ハウジング47内は、それぞれ下連通孔47cおよび上連通孔47bから導入される内容物A2、A1をステム48まで独立して供給するように構成されている。
ステム48は、2つのステム孔48a、2つの開口部48bおよびそれらを独立して繋ぐ2つのステム内通路48cを備えている。このようにエアゾールバルブ43は、2つの内容物A1、A2を独立して吐出できるものである。この場合、それぞれのステム孔48aを塞ぐべく2つのステムラバー19が用いられる。
しかし、図6のように内容物A1、A2を混合した状態で吐出させるようにハウジング内で2つの内容物A1、A2を合流させてもよい。その場合、ステム48は、図1のステム17と同じものが使用される。
さらに、エアゾールバルブ43のハウジング47と、ディップチューブ45aとを連結するための連結部材49を備えている。
【0041】
このように構成されているため、図7のようにエアゾールバルブ43が閉じた使用前の状態では、収納室41a、b内の圧力(P)は空間Sの圧力(P)と同じあるいは大きいため、それぞれの収納室41a、b内は液相部(L)と気相部(G)とに分かれ、内容器42は膨らんだ状態となる。
次に、ステム48を押し下げて正立状態の2液式のエアゾール製品40を開放することにより、内容器42の上下の収納室41a、41b内のガス(気化した液化ガス)(GA1、GA2)がエアゾールバルブ43を介して外部に排出される。それと同時に、空間Sの圧力(P)はそれぞれの収納室41a、b内の圧力より大きくなるため、内容器42は圧縮される。それと同時に収納室41a、b内の液体(LA1、LA2)がエアゾールバルブ43内に導入され、その間に液体内の液化ガスが気化するため、原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態の発泡体として吐出される。
2液式のエアゾール製品40の操作を止めて、ステム48を戻すと、内容物A1とA2の液化ガスが気化して収納室41a、b内の圧力が再び戻り、内容器42は膨らむ。
そして、2液式のエアゾール製品40を倒立状態でエアゾールバルブを開放することにより、収納室41a、b内のガス(気化した液化ガス)(GA1、GA2)を残したままそれぞれ内容物A1、A2の液体(LA1、LA2)がエアゾールバルブ43に導入され、原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態の発泡体が吐出される。
このように2液式のエアゾール製品40は、正立した状態でも、倒立した状態でも二種類の発泡体を独立して同時に吐出することができる。このように二種類の内容物を発泡体として吐出させることができるため、使用者は簡単に均一に混合できる。また、正立または倒立のいずれの状態でも、内容物が均一相を構成する場合は、正立または倒立のいずれの状態でも、使用前にエアゾール容器を振ることなく発泡体を吐出させることができる。さらに内容物が2相に分離する場合でも、使用前にエアゾール容器を振ることで水性原液に液化ガスを分散させることができ、安定した発泡体を吐出させることができる。
【0042】
図8の2液式のエアゾール製品60も、内容器内が2つの区切られた二重構造のものである。詳しくは、耐圧性の外容器61と、その外容器内に収納され、2つの並列に配置された収納室62a、62bを備えた可撓性の内容器62と、外容器61と内容器62の開口部を閉じ、収納室62aおよび収納室62bとそれぞれ連通している2個のエアゾールバルブ66を備えたバルブアッセンブリ63と、収納室61aおよび収納室61bにそれぞれ充填される内容物A1、A2と、外容器61と内容器62との間の空間(圧力室)Sに充填される加圧剤Bとを有する。このものも内容物A1、A2の圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たす。
【0043】
外容器61は、耐圧性を有する合成樹脂製のものであり、底部(図示せず)と、胴部61b、肩部61cと、首部61dと、その上端から延びる若干拡径した口部61eとからなる。
内容器62は、収納室62a、62bが並列に設けられたものであり、シートを3枚重ねて上端を残してその縁部を固着した包装体64と、その上端に挿入される連結部材65とからなる。シートは、アルミニウムシート、合成樹脂シート、または、アルミニウムおよび合成樹脂の積層シートが用いられる。連結部材65は、それぞれの収納室を閉じる柱状の基部65aと、その基部に上に形成された2つのバルブ係合部65bとからなる。基部65aの下端は、一方の収納室62aを閉じるように突出した突出部65cを備えている。この突出部65cの側面に真ん中のシートが貼り付けられ、2つの収納室62a、62bは真ん中のシートによって区画される。そして、2つのバルブ係合部65bは、それぞれ収納室内と連通するように設けられている。
【0044】
バルブアッセンブリ63は、それぞれ連結部材のバルブ係合部65bに連結される2つのエアゾールバルブ66と、2つのエアゾールバルブ66を保持するバルブホルダー67と、エアゾールバルブ66とバルブホルダー67とを外容器61に固定するカバー68とからなる。
バルブホルダー67は、円柱状の本体67aと、その本体を上下に貫通するように形成された2つの筒状のホルダー部67bと、外周に突出して外容器61の上端と係合する環状フランジ部67cとを有している。これらのホルダー部67bにそれぞれエアゾールバルブ66が挿入されて保持される。エアゾールバルブ66は、図1のエアゾールバルブ13であって、マウンティングカップ20が筒状のハウジング保持部20aから構成されたものである。つまり、マウンティングカップ20が環状の溝部と、筒状の側壁部と、湾曲フランジ部を備えていないものである。また、バルブホルダーの本体67aの下部外周面と、外容器61の口部内周面との間には、環状のシール材(O−リング)69が設けられている。
カバー68は、エアゾールバルブ66の上端を覆い、かつ、バルブホルダーの環状フランジ部67cと外容器61の上端とを挟圧して、エアゾールバルブ66およびバルブホルダー67を外容器61に固定するものである。
【0045】
このように構成されているため、図8の2液式のエアゾール製品60も図7のエアゾール製品50と同様に作動する。つまり、正立した状態でも、倒立した状態でも二種類の発泡体を独立して同時に吐出することができる。また、内容物が均一相を構成する場合は、正立または倒立のいずれの状態でも、使用前にエアゾール容器を振ることなく発泡体を吐出させることができる。さらに、内容物が2相に分離する場合でも、使用前にエアゾール容器を振ることで水性原液に液化ガスを分散させることができ、安定した発泡体を吐出させることができる。
【0046】
図9の2液式のエアゾール製品70は、2つの内容器が外容器内に収納された二重構造のものである。詳しくは、耐圧性の外容器61と、その外容器内に収納され、2つの並列に配置された可撓性の内容器71と、外容器61と内容器71の開口部を閉じ、それぞれの内容器71と連通しているバルブアッセンブリ63と、それぞれの内容器71に充填される内容物A1、A2と、外容器61と内容器71との間の空間(加圧室)Sに充填される加圧剤Bとを有する。このものも内容物A1、A2の圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)とがP≧P>Patmの関係式を満たす。内容器62の代わりに2つの内容器71を設けたこと以外は、図8の2液式のエアゾール製品60と実質的に同じである。また、押ボタン75がバルブアッセンブリ63に連結されている。
内容器71は、筒状の胴部71a、テーパー状の肩部71b、筒状の首部71cを備えた可撓性を有するものであり、肩部71bから胴部71a、底部にかけてプリーツ状に形成されており、折り畳み可能の形状となっている。この首部71cにバルブの下端を挿入することにより、内容器71とエアゾールバルブ66とは連結される。
【0047】
このように構成されているため、2液式のエアゾール製品70を正立状態で操作すると、それぞれ内容器71内の気相部(G)と大気とが連通し、内容器71内のガス(気化した液化ガス)がエアゾールバルブ66を介して外部に排出される。それと同時にそれぞれの内容器71が収縮し、内容物A1、A2の液体(L)がエアゾールバルブ66内に導入される。その際、液体(L)内の液化ガスが気化するため、原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態の発泡体がそれぞれエアゾールバルブ66から独立して吐出される。
2液式のエアゾール製品70の操作を停止すると、内容物A1とA2の液化ガスがそれぞれ気化し、2つの内容器71内の圧力が再び戻る。
また、2液式のエアゾール製品を倒立状態にして開放することにより、それぞれ内容器71の内容物A1、A2のガス(気化した液化ガス)(G)を残したまま液体(L)がエアゾールバルブ66に導入され、原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態の発泡体が吐出される。
このように、他のエアゾール製品と同様に、正立した状態でも、倒立した状態でも二種類の発泡体を独立して同時に吐出することができる。また、内容物が均一相を構成する場合は、正立または倒立のいずれの状態でも、使用前にエアゾール容器を振ることなく発泡体を吐出させることができる。さらに、内容物が2相に分離する場合でも、使用前にエアゾール容器を振ることで水性原液に液化ガスを分散させることができ、安定した発泡体を吐出させることができる。
【0048】
次に本発明のエアゾール製品の第2の態様を説明する。
図10のエアゾール製品80は、耐圧性の外容器11と、その外容器内に収納される可撓性を有する内容器12と、外容器11と内容器12の開口部を閉じ、内容器12の内部と連通しているエアゾールバルブ13と、内容器12内に液密に充填される内容物Cとを有する。外容器11、内容器12、エアゾールバルブ13は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものが用いられる。
【0049】
内容物Cは、水性原液と親油性液化ガスとからなり、水性原液内において親油性液化ガスが均一に安定して分散し、均一相を構成するものである。
詳しくは内容物Cとしては、たとえば、特開2001−302445号、特開2003−286130号、特開2006−213682号に記載の水性原液と液化ガス(噴射剤)の組み合わせなどが挙げられる。
【0050】
このように構成されているため、エアゾール製品80を正立状態にしてステム17を押し下げエアゾールバルブ13を開放すると、内容器12内の内容物Cの液化ガスが気化しようとし、その勢いで内容器12からエアゾールバルブのハウジング16内に原液および液化ガスからなる液体が導入される。内容物は内容器内に液満に充填されているため、液体は直接ハウジングに導入される。そして、内容器12、エアゾールバルブ13、大気を連通する通路において、その液体の中の液化ガスが気化し、吐出口から吐出するまでの間に原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態になり、発泡体として吐出される。
一方、エアゾール製品80を倒立状態にしてエアゾールバルブを開放した場合も、同様に、エアゾールバルブのハウジング16内に原液および液化ガスからなる液体が直接導入される。そして、吐出口から吐出するまでの間に液体の中の液化ガスが気化し、吐出口から原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ発泡体が吐出される。
つまり、本発明の第2の態様も、正立した状態でも、倒立した状態でも発泡体を吐出することができる。また、内容物は均一相を構成しているため、正立または倒立のいずれの状態でも、使用前にエアゾール容器を振ることなく同じ状態の発泡体を吐出させることができる。
図4a、bのエアゾール製品30、40の内容器内に内容物Cを液密に充填する場合も同様の効果を得ることができる。
【0051】
次に本発明の第2の態様であって、2種類の内容物A1、A2を同時に発泡体として吐出する2液式のエアゾール製品を挙げる。
図11の2液式のエアゾール製品90は、2つの内容器が外容器内に収納された二重構造のものである。詳しくは、耐圧性の外容器61と、その外容器内に収納され、2つの並列に配置された可撓性の内容器71と、外容器61と内容器71の開口部を閉じ、それぞれの内容器71と連通している2つのエアゾールバルブ66を備えたバルブアッセンブリ63と、それぞれの内容器71に液密に充填される内容物C1、C2とを有する。外容器61とバルブアッセンブリ63は、図8の2液式のエアゾール製品60と実質的に同じものが用いられ、内容器71は、アルミニウムシート、合成樹脂シート、または、アルミニウムおよび合成樹脂の積層シートを2枚用い、上端を残してその縁部を熱溶着などにより固着し、上端を連結部材に取り付けたものである。
【0052】
このように構成されているため、2液式のエアゾール製品90を正立状態にしてエアゾールバルブ66を開放すると、内容器71内の内容物C1およびC2の液体がエアゾールバルブのハウジング16内に直接導入される。そして、内容器71、エアゾールバルブ66、大気を連通する通路において、その液体の中の液化ガスが気化し、吐出口から吐出するまでの間に原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ状態になり、発泡体として吐出される。同様に2液式のエアゾール製品80を倒立状態にしてエアゾールバルブ66を開放しても、C1およびC2の液体がそれぞれエアゾールバルブのハウジング内に直接導入される。そして、吐出口から吐出するまでの間に液体の中の液化ガスが気化し、吐出口から原液がガス(気化した液化ガス)を含んだ発泡体が吐出される。
つまり、2液式のエアゾール製品90は、正立した状態でも、倒立した状態でも二種類の発泡体を同時に独立して吐出することができる。また、内容物は均一相を構成しているため、正立または倒立のいずれの状態でも、使用前にエアゾール容器を振ることなく同じ状態の発泡体を吐出させることができる。
図6〜8の2液式のエアゾール製品の内容器内(または収納室内)にそれぞれ内容物C1、C2を液密に充填しても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
A、A1、A2 内容物(分離)
B 加圧剤
C 内容物(均一相を形成)
G 気相部のガス(気化した液化ガス)
L 液相部の液体
S、S1、S2 空間(圧力室)
10、10a、10b 発泡性エアゾール製品
11 外容器
11a 底部
11b 胴部
11c 肩部
11d ビード部
12 内容器
12a 底部
12b 胴部
12c 肩部
12d 首部
12e フランジ部
13 エアゾールバルブ
14 シール材
16 ハウジング
16a 連通孔
17 ステム
18 バネ
19 ステムラバー
20 マウンティングカップ
20a ハウジング保持部
20b 溝部
20c 側壁部
20d 湾曲フランジ部
21 外容器
21a 底部
21b 胴部
21c 肩部
21d 首部
21f 環状凹部
22 エアゾールバルブ
23 ハウジング
23a プラグ部
23b 環状フランジ部
24 キャップ
24a 下端
26 エアゾールバルブ
27 プラグ
27a ハウジング保持部
27b 溝部
27c 側壁部
27d フランジ部
28 キャップ
28a 下端
28b 環状溝部
29 2連式エアゾール製品
30 2液式のエアゾール製品
31 外ボトル
31a 底部
31b 胴部
31c 肩部
31d 首部
31e 口部
31f 溝
32 中ボトル
32a 底部
32b 胴部
32c 肩部
32d 首部
32e 口部
32g 切欠き
33 内ボトル
33a 底部
33b 胴部
33c 肩部
33d 首部
33e 口部
34 エアゾールバルブ
36 ハウジング
37 キャップ
38 本体
38a 底部
38b 第1連通孔
38c 第2連通孔
38d フランジ部
39 逆止弁部材
39a 逆止弁本体
39b ボール
39c バネ
40 2液式のエアゾール製品
41a、41b 収納室
42 内容器
43 エアゾールバルブ
44 押ボタン
45 くびれ部
45a ディップチューブ
46 隔壁部材
46a 本体
46b 鍔部
46c チューブ係合部
46d 連通孔
46e 係合突起
47 ハウジング
48 ステム
48a ステム孔
48b 開口部
48c ステム内通路
49 連結部材
60 2液式のエアゾール製品
61 外容器
62 内容器
62a、b 収納室
63 バルブアッセンブリ
64 包装体
65 連結部材
65a 基部
65b バルブ係合部
65c 突出部
66 エアゾールバルブ
67 バルブホルダー
67a 本体
67b ホルダー部
67c 環状フランジ部
68 カバー
69 シール材
70 2液式のエアゾール製品
71 内容器
71a 胴部
71b 肩部
71c 首部
75 押ボタン
80 エアゾール製品
90 2液式のエアゾール製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧性の外容器と、
前記外容器内に収納され、容積可変の隔壁を備えている内容器と、
前記内容器と連通しているエアゾールバルブと、
前記内容器内に充填され、水性原液と親油性液化ガスとからなる発泡性組成物と、
前記内容器と外容器との間の加圧室に充填される加圧剤とを有し、
前記発泡性組成物の圧力(P)と、加圧剤の圧力(P)と、大気圧(Patm)が下記数式1の関係を満たす、発泡性エアゾール製品。
≧P>Patm・・・・数式1
【請求項2】
前記親油性液化ガスが水性原液内で分散して均一相を構成している、請求項1記載の発泡性エアゾール製品。
【請求項3】
前記水性原液と親油性液化ガスとが内容器内で2相に分離している、請求項1記載の発泡性エアゾール製品。
【請求項4】
耐圧性の外容器と、
前記外容器内に収納され、容積可変の隔壁を備えている内容器と、
前記内容器と連通しているエアゾールバルブと、
前記内容器内に液密に充填される発泡性組成物とからなり、
前記発泡性組成物が、水性原液と親油性液化ガスとからなり、かつ、親油性液化ガスが水性原液内で分散して均一相を構成している、
発泡性エアゾール製品。
【請求項5】
前記外容器内に収納される2つの前記内容器を有しており、
前記エアゾールバルブがそれら2つの内容器と連通しており、
それぞれの内容器内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている、
請求項1または4記載の発泡性エアゾール製品。
【請求項6】
前記外容器内に収納される2つの前記内容器を有しており、
それぞれの内容器と連通する2つの前記エアゾールバルブを有しており、
それぞれの内容器内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている、
請求項1または4記載の発泡性エアゾール製品。
【請求項7】
前記内容器が2つの独立した収納部を有しており、
前記エアゾールバルブがそれら2つの収納部と連通しており、
それぞれの収納部内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている、
請求項1または4記載の発泡性エアゾール製品。
【請求項8】
前記内容器が2つの独立した収納部を有しており、
それぞれの収納部と連通する2つの前記エアゾールバルブを有しており、
それぞれの収納部内に異なる前記発泡性組成物がそれぞれ充填されている、
請求項1または4記載の発泡性エアゾール製品。
【請求項9】
請求項1または4記載の発泡性エアゾール製品を2本連結した、
2連式発泡性エアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−224376(P2012−224376A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94531(P2011−94531)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】