説明

発泡性樹脂組成物

【課題】 これまでに知られている高分子化合物が非極性化合物を用いている場合には水酸基含有化合物との相溶性が良好ではなく、貯蔵安定性、発泡時の気泡径の分布が大きい等の問題が有ったので、耐熱、耐候、耐水、耐薬品性等の各種耐久性や機械強度に優れる均一なゴム弾性体を得るための発泡性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基及び水酸基のそれぞれを平均して1分子中に1個を超えて有するイソブチレン系重合体、(B)平均して1分子中に3個を超えるケイ素原子結合水素原子を有する化合物、並びに、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分としてなる発泡性樹脂組成物を用いることで、相溶性の問題が改善され、貯蔵安定性や発泡時の気泡径の分布が狭い発泡体組成物が得られた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、未硬化状態では液状であり、かつ硬化状態ではゴム弾性を有し、耐熱、耐候、耐水、耐薬品性等の各種耐久性に優れた発泡性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高分子化合物の発泡体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどが、ビーズ発泡体あるいは発泡シート、ボードとして、その耐熱性、軽量性、緩衝性などの特性を活かし、土木建築分野、包装分野、家電分野、自動車分野などに利用されている。しかし、これらはいずれも発泡体成形のために多くのエネルギーを必要とするうえ、機械強度等は必ずしも充分ではない。更に、残存するオリゴマーによる環境問題等も論議されている。
【0003】また他の発泡体として、ウレタンフォームが挙げられる。このウレタンフォームを製造する方法としては、フロンなどの発泡剤を用いる方法や、近年用いられるようになってきた、水の添加により発生する二酸化炭素を利用する方法などが知られている。しかしながら、得られる発泡体は、耐候性に問題があり、さらに原料として用いているイソシアネートに毒性が懸念されるものがあり、作業性に問題があること、また、燃焼時の発生ガスの問題が危惧される。しかも、発泡剤として用いる特定フロンガスはオゾン層を破壊する可能性があり、より安全なガスへの転換が実施中であること、水を代替発泡剤とした技術は未だ不十分であること、他の有機系発泡剤を用いた場合には施工時の火災の危険性が考えられることなどの問題があり、対応が検討されている。
【0004】そこで、上記のウレタンフォームの耐候性等の問題点を解決した発泡体としてポリシロキサン系化合物からなるシリコーンフォームが開発されている。これは、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基とシラノール基含有ポリシロキサン系化合物のシラノール基またはアルコール系化合物の水酸基との縮合反応により発生する水素ガスなどを利用して発泡を行なうと同時に、ヒドロシリル基とシラノール基との縮合反応またはヒドロシリル基と不飽和基含有ポリシロキサンの不飽和基とのヒドロシリル化反応により硬化を行ない発泡体を得るものであり、断熱材、電気絶縁材やポッティング材として利用されている。しかし、シリコーンは透湿性が高い、接着性が劣る、コストが高い等の点が問題として挙げられる。
【0005】一方、これらの材料と異なった特徴を有するものとして、アルケニル基を有する飽和炭化水素重合体、ヒドロシリル基を有する硬化剤、ヒドロシリル化触媒及びOH基含有化合物といった4成分を必須成分としてなる発泡性樹脂組成物が開発されており、その高耐熱、高耐候、高耐水性や電気絶縁性などを生かして様々な用途分野への展開が期待されている。しかしながら、この発泡性樹脂組成物においてはアルケニル基を有する飽和炭化水素重合体、ヒドロシリル基を有する硬化剤、ヒドロシリル化触媒及びOH基含有化合物との相溶性を確保することは困難である。特にアルケニル基を有する飽和炭化水素重合体とOH基含有化合物の相溶性が悪いことにより、良好な発泡体が得られにくい、得られる発泡体の気泡サイズ径の分布が大きいなどの問題があり、改良が必要とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような現状に鑑み、耐熱、耐候、耐水、耐薬品性等の各種耐久性や機械強度に優れる均一なゴム弾性体を得るための発泡性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これまでのアルケニル基を有する飽和炭化水素系重合体およびOH基含有化合物の代わりに、ヒドロシリル化反応活性な炭素−炭素不飽和結合及び水酸基を同一分子内にともに有するイソブチレン系重合体を用いることにより、耐熱、耐候、耐水、耐薬品性等の各種耐久性や機械強度に優れる均一なゴム弾性体が得られることを見出した。
【0008】すなわち、本発明は、下記の成分(A)〜(C)を必須成分としてなる発泡性樹脂組成物である。
(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基及び水酸基のそれぞれを平均して1分子中に1個を超えて有するイソブチレン系重合体(B)平均して1分子中に3個を超えるケイ素原子結合水素原子を有する化合物(C)ヒドロシリル化触媒
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いる(A)成分のイソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよく、又は、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中に、好ましくは50%(重量%、以下同様)以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下の範囲で含有してもよい。
【0010】このようなイソブチレンと共重合性を有する単量体成分としては特に限定されず、例えば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。このような単量体成分の具体例としては、例えば、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセニルオキシスチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0011】ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素2重結合を含む基であれば特に制限されるものではなく、分子末端に位置していてもよく内部に存在していても良い。
【0012】水酸基に関しては1〜3級のいずれの構造でも良いが、反応性の高さから、1級または2級の水酸基が好ましく、1級の水酸基が特に好ましい。また、水酸基が分子末端に存在することで良好な反応性及び得られる発泡体が良好な弾性特性を示すことから、水酸基は、分子末端に存在することが好ましい。
【0013】また、アルケニル基は水酸基に対してメチレン鎖を1つ介して隣接する事により良好なヒドロシリル化反応活性を示すことから、─CH=CH−CH2 −OHユニットが分子末端に存在することが好ましい。
【0014】本発明においては、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基及び水酸基のそれぞれは、平均して1分子中に1個を超えて含まれ、好ましくは1.1〜5.0個であり更に好ましくは1.5〜3.0個である。
【0015】特に好ましいイソブチレン系重合体(A)として、式(1):R1 −[A−B−(CH2b −{−CH=CH−(CH2cn −OH]a (1)
(式中、R1 は単環または複数の芳香環を含む1価から4価までの炭化水素基を表す。aは1から4の整数である。Aは一種又は二種以上のカチオン重合性単量体からなるイソブチレン系重合体を表し、aが2以上の時は、複数のAは同じでも異なっていてもよい。Bはハロゲンを含む炭素数2から20の飽和または不飽和の2価の炭化水素基を表し、aが2以上の時は、複数のBは同じでも異なっていてもよい。bおよびcは同一であっても異なっていても良い、1から30の整数である。nは、0から5の整数である。)で表される重合体からなり、官能基導入量が、平均して1分子中に1個を超えるものがあげられる。
【0016】イソブチレン系重合体(A)の数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)は、その取り扱いやすさ、硬化後のゴム弾性の点から2000〜50000程度であるのが好ましい。
【0017】上記式(1)で表される重合体の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。すなわち、先ず、カチオン重合によって得られる下記式(2)で表されるハロゲン末端イソブチレン系重合体:R1 (A−X)a (2)
(式中、R1 は単環または複数の芳香環を含む1価から4価までの炭化水素基を表し、Xは塩素基または臭素基を表す。aは1から4の整数である。Aはイソブチレン系重合体を表し、aが2以上の時は複数あるAは同じでも異なっていてもよい。)に対して、保護された水酸基および炭素−炭素二重結合を有する下記式(3)で表される化合物:CH2 =C(R2 )−(CH2b ―{−CH=CH−(CH2cn −OG(3)
(式中、R2 は水素または炭素数1から18の飽和または不飽和の1価の炭化水素基を表す。bおよびc同一であっても異なっていても良い、1から30の整数であり、nは0から5の整数である。Gは1価の置換基を表す。)で表される化合物を、−70℃程度の低温条件で、触媒としてTiCl4 、AlCl3 、BCl3 、SnCl4 等を添加し、付加反応を行う。次に、得られた重合体の水酸基の保護基を加水分解等の反応にて脱保護することにより、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基及び水酸基を有するイソブチレン系重合体を得ることができる。官能基導入量が平均して1分子中に1個を超えるものであるか否かは、例えば、NMR分析等により知ることができる。
【0018】本発明の(B)成分である硬化剤としては、分子内に平均して3個を超えるケイ素原子結合水素原子を有するものであれば制限はない。ここで、同一ケイ素原子に水素原子が3個結合している場合は、ケイ素原子結合水素原子3個と計算するものとする。好ましくは3〜100個である。
【0019】上記(B)成分としては、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましいものの一つとして挙げられる。ここで言うポリオルガノハイドロジェンシロキサンとは、ケイ素原子上に炭化水素基あるいは水素原子を有するシロキサン化合物を指す。その構造について具体的に示すと、
【0020】
【化1】


【0021】(式中、3<m+n≦50、3<m、0≦nであり、Rとしては主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素で1個以上のフェニル基を含有していてもよい)、
【0022】
【化2】


【0023】(式中、1<m+n≦50、1<m、0≦nであり、Rとしては主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素で1個以上のフェニル基を含有していてもよい)又は
【0024】
【化3】


【0025】(式中、3<m+n≦20、3<m≦20、0≦n≦17であり、Rとしては主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素で1個以上のフェニル基を含有していてもよい)などで示される鎖状、環状のものや、これらのユニットを2個以上有する
【0026】
【化4】


【0027】(式中、2≦m+n≦50、2≦m、0≦nであり、Rとしては主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素で1個以上のフェニル基を含有していてもよい。2≦l、R2 は2〜4価の有機基であり、R1 は2価の有機基である。ただし、R1 は、R2 の構造によってはなくてもよい)、
【0028】
【化5】


【0029】(式中、1≦m+n≦50、1≦m、0≦nであり、Rとしては主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素で1個以上のフェニル基を含有していてもよい。2≦l、R2 は2〜4価の有機基であり、R1 は2価の有機基である。ただし、R1 は、R2 の構造によってはなくてもよい)又は
【0030】
【化6】


【0031】(式中、2≦m+n≦50、2≦m、0≦nであり、Rとしては主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素で1個以上のフェニル基を含有していてもよい。2≦l、R2 は2〜4価の有機基であり、R1 は2価の有機基である。ただし、R1 は、R2 の構造によってはなくてもよい)などで示されるものが挙げられる。
【0032】またこれら(B)成分の使用にあたっては、(A)成分との相溶性、あるいは系中における分散安定性を考慮することが好ましい。特に系全体の粘度が低い場合には、(B)成分として相溶性の低いものを使用すると、相分離が起こり硬化不良を引き起こすことがある。従って、(B)成分の選定にあたっては(A)成分との相溶性が良好であること、あるいは分散性が安定であることが好ましい。但し、微粉末シリカ等の粒径の小さいフィラーを配合した場合には、それが分散性助剤として作用し、均一な硬化物を得ることも可能である。
【0033】(A)成分との相溶性、あるいは分散安定性が比較的良好なものとして具体的に示すと、
【0034】
【化7】


【0035】(式中、nは6〜12の整数である)又は
【0036】
【化8】


【0037】(式中、3<k<10、0<l<5であり、Rは炭素数8以上の炭化水素基である)などが挙げられる。
【0038】また、本発明における(B)成分の使用量としては、(A)成分のアルケニル基に対して、(B)成分のケイ素原子結合水素原子が0.8〜5.0当量となるように使用することが好ましい。(A)成分のアルケニル基量に対して(B)成分のケイ素原子結合水素原子が0.8に満たない場合、架橋が不十分となるおそれがある。また、5.0を超える場合には、硬化後に残留するケイ素原子結合水素原子の影響により物性が大きく変化することが問題となるおそれがある。特にこの影響を抑制したい場合には1.0〜4.0当量、さらに好ましくは1.0〜3.0当量となるように(B)成分を用いることが好ましい。
【0039】本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒については特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的に例示すれば、例えば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Ptn (ViMe2 SiOSiMe2 Vi)n 、Pt〔(MeViSiO)4m );白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34 、Pt(PBu34 );白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt〔P(OPh)34 、Pt〔P(OBu)34 )(式中、それぞれ、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数である)、Pt(acac)2 、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒も挙げられる。また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33 、RhCl3 、Rh/Al23 、RuCl3 、IrCl3 、FeCl3 、AlCl3 、PdCl2 ・2H2 O、NiCl2 、TiCl4 、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2 等が好ましい。
【0040】上記触媒の量としては特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-2〜10-6molの範囲で用いるのがよい。
【0041】本発明の発泡性樹脂組成物には、保存安定性を改良する目的で、保存安定性改良剤を使用することができる。この保存安定性改良剤としては、本発明の(B)成分に対する保存安定剤として作用することが知られている通常の安定剤であって所期の目的を達成するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。具体的に例示すれば、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、BHT、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0042】さらに、本発明の発泡性樹脂組成物には、目的に応じて各種無機フィラーを添加することができる。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カーボンブラックといった一般的な無機フィラーが使用できる。しかし、本発明の発泡性樹脂組成物はヒドロシリル化反応による架橋を利用するため、その使用にあたっては、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。フィラーに窒素原子、硫黄原子等ヒドロシリル化反応を阻害する成分が含有されている場合には、硬化性が極端に低下したり、硬化不良を引き起こすことがある。また、添加するフィラーによって発泡性樹脂組成物の保存安定性も大きく影響を受けるのも確認されている。すなわち、これら無機フィラーの使用にあたっては、事前に硬化性や保存安定性に及ぼす影響を確認することが好ましい。
【0043】また、本発明の発泡性樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤等を適宜添加することができる。これらの使用にあたっても、前記無機フィラーと同様に、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。また、本発明の組成物には、接着性を付与する目的で各種シランカップリング剤を添加することもできる。特にエポキシ基、メタクリロイル基、ビニル基等の官能基を有するシランカップリング剤は、硬化性に及ぼす影響も小さく、接着性の発現にも効果が大きく使いやすい。但し、使用できるシランカップリング剤としてこれらに限定されるものではない。
【0044】本発明の発泡性樹脂組成物を作製するにあたっては、通常使用される各種混合装置が使用できる。但し、無機フィラーをはじめとする組成物中に溶解しない成分を添加する場合には、2軸ミキサーやロール等のようにせん断をかけながら均一に分散できるような方法により混合することが望ましい。このようにして得られる組成物を使用するにあたっては、各種脱泡装置を用いて脱泡した後、注型、ディッピング、ポッティング、コーティングといった各種加工方法に適用すればよい。
【0045】本発明においては、(A)成分として飽和炭化水素系重合体であるイソブチレン系重合体を用いていることから、得られるゴム弾性体は優れた耐熱性、耐候性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性を有し、その適用範囲は広く、幅広い用途に応用でき得る。さらにイソブチレン系重合体が有する、低透湿性、低吸湿性、低気体透過性、振動吸収性に優れるなどの特性も有していることから、防音、断熱、止水、気密、制振、保護、クッションなどの用途に好適に利用できる発泡性樹脂として有用である。その用途の具体例としては、定型パッキン、建築用ガスケット、複写機用ロール、防振材料、防水材、ダッシュボード、冷凍車・保冷車・タンクローリー車・冷凍コンテナー車などの断熱材、吸音断熱材の封止材料、各種電池やコンデンサ用シール材、各種高周波対応部品材料、各種コーティング材、ガスケット材料、シーリング材、医療用ゴム製品等をはじめとする各種成形材料、塗料、接着剤、型取り材等にも好適な材料となる。特に低硬度に設定することが可能であることから、電子写真機用等の機能性ロール用材料として適している。
【0046】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明をより一層明らかにするが、実施例により本発明は何ら限定されるものではない。
【0047】実施例1500mlのセパラブルフラスコに三方コック、熱電対、および真空用シール付き撹拌機をつけて窒素置換を行った。これにモレキュラーシーブス3Aによって脱水したトルエン175ml、エチルシクロヘキサン21.7mlを加え、さらに1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン(1.63g、7.04mmol)、2−メチルピリジン(77.4mg、0.83mmol)を加えて−70℃に冷却した。冷却後、イソブチレンモノマー(35.5ml、598mmol)を導入し、さらに、この温度で四塩化チタン(0.98ml、8.93mmol)を添加し重合を開始した。この際に約15℃昇温した。約40分で重合は終了した(これに伴い反応系の発熱は観察されなくなった)。重合終了後に酢酸オクタジエニル(9.45g、56.3mmol)及び四塩化チタン(10.9ml、106mmol)を添加した。4時間反応の後に、80℃に加熱したイオン交換水300mlに反応混合物を導入し、さらに、1Lの分液ロートに移液して振盪した。水層を除去した後、300mlのイオン交換水で3回水洗した後に、有機層を単離し、これに1Lのアセトンを加えてポリマーを再沈殿させ、低分子化合物を除去した。沈殿物をさらにアセトン100mlで2回洗浄し、さらにヘキサン50mlに溶解した。溶液を300mlのなす型フラスコに移液し、オイルバスによる加熱条件下(180℃)、減圧(最終1Torr以下)によって溶媒留去を行い、目的とする保護した水酸基を末端に有するポリイソブチレンを得た。
【0048】得られたポリイソブチレンの官能化率の分析はNMRを用いて行った。
(NMR)
測定装置:Valian社製Gemini−300測定溶剤:四塩化炭素/重アセトン=4/1混合溶剤定量方法:開始剤残基のシグナル(7.2ppm)を基準に末端のアセチル基に隣接するメチレンのシグナル(4.20ppm)を比較して定量化した。Fn(CH2 OCOCH3 )は重合体末端への官能基導入量であり、定量的に導入した時には今回用いた開始剤では2.0となる。実施例1で得られたポリマーの水酸基導入量は以下の通り:Fn(CH2 OCOCH3 )=1.90
【0049】実施例2実施例1で得られたポリイソブチレン11gをトルエン80ml及びエチルシクロヘキサン10mlの混合溶剤に溶解し、500mlのセパラブルフラスコに三方コック、熱電対、および真空用シール付き撹拌機をつけた装置に投入した。これに100mlの4N水酸化ナトリウム水溶液及び臭化テトラブチルアンモニウム1.5gを添加し、100℃にて8時間攪拌を行った。反応終了後、アルカリ水溶液を除去し、100mlのイオン交換水で3回水洗した後に、有機層を単離した。これに500mlのアセトンを加えてポリマーを再沈殿させ、低分子化合物を除去した。沈殿物をさらにアセトン100mlで2回洗浄し、さらにヘキサン50mlに溶解した。溶液を200mlのなす型フラスコに移液し、オイルバスによる加熱条件下(180℃)、減圧(最終1Torr以下)によって溶媒留去を行い、目的とする水酸基を末端に有するポリイソブチレンを得た。
【0050】得られたポリイソブチレンの官能化率の分析はNMRを用いて行った。実施例2で得られたポリマーの水酸基導入量は以下の通り:Fn(CH2 OH)=1.90(分析方法は実施例1と同様である。なお、末端水酸基に隣接するメチレンのシグナルは4.00ppmに観察される)。
【0051】実施例3実施例2で得られた1級水酸基及びオレフィンを有するポリイソブチレン7.88g(1.58mmol)、1,10−ビス(3,5,7−トリヒドロ−1,3,5,7−テトラメチルシクロシロキシ)デカン1.29g(1.58mmol)、更に保存安定性改良剤としてジメチルマレート10μlを室温にて混合し、さらに触媒としてビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(17.9×10-5mmol/μl、キシレン溶液)を20μl秤量し、均一に混合した。得られた混合物をポリプロピレン製の100ml容器に投入し、減圧下で脱泡を行い、投入液量を計測した。このときの液量は8mlであった。この混合物を100℃のオーブンに投入し、1時間での発泡・硬化を行った。所定時間の反応の後に室温に組成物を取り出し、室温にて冷却を行った。この際の硬化収縮は観察されなかった。発泡・硬化反応の後の体積を測定したところ、65mlであり、発泡倍率(=発砲後の組成物体積/発泡前の液量)は8.2倍であった。
【0052】比較例1実施例3で用いた1級水酸基及びオレフィンを有するポリイソブチレンの代わりに実施例1で得られた水酸基を保護したポリイソブチレンを用いたこと以外は実施例3と同様の方法で反応を行った。反応後に得られた組成物においては発泡が全く観察されず、ゴム状組成物が得られた。
【0053】
【発明の効果】本発明の組成物は、ヒドロシリル化を利用することにより硬化可能なイソブチレン系重合体を主成分とする発泡性樹脂組成物において、水酸基及びヒドロシリル化反応活性を有するアルケニル基を同一分子内に有することによって、相溶性の問題が改善され、貯蔵安定性や発泡時の気泡径の分布が狭く、良好な発泡体が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の成分(A)〜(C)を必須成分としてなることを特徴とする発泡性樹脂組成物。
(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基及び水酸基のそれぞれを平均して1分子中に1個を超えて有するイソブチレン系重合体(B)平均して1分子中に3個を超えるケイ素原子結合水素原子を有する化合物(C)ヒドロシリル化触媒
【請求項2】 (A)成分が数平均分子量2000〜50000のイソブチレン系重合体である請求項1記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項3】 (A)成分は、水酸基がイソブチレン系重合体の分子末端にあるものである請求項1又は2記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項4】 (B)成分のケイ素原子結合水素原子を有する化合物が、平均して1分子中に少なくとも3個を超えるケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンである請求項1、2又は3記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項5】 (A)成分が式(1):R1 −[A−B−(CH2b −{−CH=CH−(CH2cn −OH]a (1)
(式中、R1 は単環または複数の芳香環を含む1価から4価までの炭化水素基を表す。aは1から4の整数である。Aは一種又は二種以上のカチオン重合性単量体からなるイソブチレン系重合体を表し、aが2以上の時は、複数のAは同じでも異なっていてもよい。Bはハロゲンを含む炭素数2から20の飽和または不飽和の2価の炭化水素基を表し、aが2以上の時は、複数のBは同じでも異なっていてもよい。bおよびcは同一であっても異なっていても良い、1から30の整数である。nは、0から5の整数である。)で表される重合体からなるものである請求項1、2、3又は4記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項6】 (B)成分の使用量は、(A)成分のアルケニル基に対して、(B)成分のケイ素原子結合水素原子が0.8〜5.0当量となる量である請求項1、2、3、4又は5記載の発泡性樹脂組成物。

【公開番号】特開2000−319436(P2000−319436A)
【公開日】平成12年11月21日(2000.11.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−133018
【出願日】平成11年5月13日(1999.5.13)
【出願人】(000000941)鐘淵化学工業株式会社 (3,932)
【Fターム(参考)】