説明

発泡性飲料サーバー

【課題】発泡性飲料を十分に加圧噴出させて泡を生成する泡生成注出部によって、直径が均一で微細な泡を適量注ぐことが簡単にできる発泡性飲料サーバーを提供する。
【解決手段】本発明の発泡性飲料サーバーは、発泡性飲料を供給する飲料供給パイプ83と、前記飲料供給パイプからシリンダ51内に供給された前記発泡性飲料を、ピストン52によって加圧して小径開口55から衝突面56aに向けて噴出し、微細径の泡状にして注出する泡生成注出部5を有する。泡生成注出部5によって、ビールを十分に加圧して噴出させ、泡を生成するようにしているので、直径が均一で微細な泡を生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビールや発泡酒等の発泡性飲料を注出する発泡性飲料サーバーに関するものであり、さらに詳しくは、発泡性飲料を十分に加圧噴出させて泡を生成する泡生成注出部によって、直径が均一で微細な泡を適量注ぐことが簡単にできる発泡性飲料サーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビール等の発泡性飲料を樽等の飲料容器からジョッキやグラスに注出する際に、飲料上部の泡の量および泡の状態が飲料の味わいに大きく影響する。飲料上部に適量で高品質の泡を作ることが非常に重要である。一般的に、泡の直径が小さくなるほど、口当たりが滑らかとなり、また泡の形態が長時間保持されるため、発泡性飲料の泡としては好ましいことになる。したがって、直径が均一で微細な適量の泡を飲料上部に生成することが望まれており、このような泡の生成が誰にでも容易にできる飲料サーバーが望まれていた。
【0003】
ビールを対象とした飲料サーバーにおいても、注出コックのレバー操作によってビールと泡を適量注出するようにしたものがあった。このような飲料サーバーとしては、下記の特許文献1に記載されたようなものが公知である。特許文献1には、操作用レバーを前後方向に傾動操作することにより、ビールと泡の注出を切り換えるようにした飲料ディスペンサが記載されている。
【特許文献1】特開2002−096898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような飲料サーバーは、飲料容器に供給する加圧ガスの圧力を利用して、飲料から泡を生成するものである。したがって、泡の生成に利用される圧力は飲料容器内の圧力ということになり、その圧力は必ずしも、前述のような直径が均一で微細な泡を生成するための最適な圧力とは言えないという問題点がある。
【0005】
例えば、常温保管の飲料容器では、容器内部の二酸化炭素ガスの圧力は440kPa以上に保持する必要があるため、飲料の供給圧力も比較的高圧に保たれており、細かい泡の生成を行うことができる。しかし、低温保管の飲料容器では、容器内部の二酸化炭素ガスの圧力は200〜250kPaと低圧であり、この圧力では飲料の噴出速度が低下して細かい泡の生成を行うことが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、発泡性飲料を十分に加圧噴出させて泡を生成する泡生成注出部によって、直径が均一で微細な泡を適量注ぐことが簡単にできる発泡性飲料サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の発泡性飲料サーバーは、発泡性飲料を供給する飲料供給パイプと、前記飲料供給パイプからシリンダ内に供給された前記発泡性飲料を、ピストンによって加圧して小径開口から衝突面に向けて噴出し、微細径の泡状にして注出する泡生成注出部とを有するものである。
【0008】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記泡生成注出部は、前記シリンダの飲料供給側に設けられた逆止弁を備えたものであることが好ましい。
【0009】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記泡生成注出部は、前記小径開口の上流側に配置された予備小径開口と、前記予備小径開口と前記小径開口の間に配置され、低圧での前記発泡性飲料の通過を阻止する低圧閉止弁とを備えたものであることが好ましい。
【0010】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記泡生成注出部の前記ピストンは、ハンドルにリンク機構を介して接続することができる。
【0011】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記泡生成注出部の前記ピストンは、加圧ガスによって駆動されるシリンダ駆動装置に接続することができる。
【0012】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記飲料供給パイプに接続され、前記飲料供給パイプに供給する発泡性飲料を貯留する飲料容器と、前記飲料供給パイプから供給された前記発泡性飲料を注出する飲料注出部と、前記飲料注出部からの前記発泡性飲料の注出の開始および停止を制御する制御部とを有することが好ましい。
【0013】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記飲料供給パイプは、主供給パイプと、前記主供給パイプから分岐した泡用供給パイプとを含むものとすることができる。その場合、前記飲料注出部は前記主供給パイプに接続され、前記泡生成注出部は泡用供給パイプに接続される。
【0014】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記飲料容器は、主飲料容器と泡用飲料容器とを含むものとし、前記飲料供給パイプは、前記主飲料容器に接続された主供給パイプと、前記泡用飲料容器に接続された泡用供給パイプとを含むものとすることができる。その場合、前記飲料注出ノズルは、前記主供給パイプに接続され、前記泡生成注出部は、泡用供給パイプに接続される。
【0015】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記飲料容器は、予め冷却された発泡性飲料を貯留したものとすることもできる。
【0016】
また、本発明の発泡性飲料サーバーは、発泡性飲料を供給する飲料供給部と、前記飲料供給部からシリンダ内に供給された前記発泡性飲料を、ピストンによって加圧して小径開口から衝突面に向けて噴出し、微細径の泡状にして注出する泡生成注出部とを有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0018】
発泡性飲料をピストンによって十分に加圧して噴出させ、泡を生成するようにしているので、直径が均一で微細な泡を生成することができる。また、予め発泡性飲料を冷却した低温保管の飲料容器を使用しても、直径が均一で微細な泡を生成することができる。これにより、発泡性飲料の口当たりが滑らかとなり、また泡の形態が長時間保持できる。
【0019】
泡生成注出部のシリンダの飲料供給側に逆止弁を備えているため、発泡性飲料の逆流を阻止してピストンによって十分に加圧することができ、直径が均一で微細な泡を生成することができる。
【0020】
泡生成注出部には小径開口の上流側に配置された予備小径開口が設けられているので、発泡性飲料の流れにこれらの開口による絞りが生じて、圧力や流線の変化等によって泡の生成が増進される。また、泡生成注出部に低圧での発泡性飲料の通過を阻止する低圧閉止弁が設けられているので、発泡性飲料が高圧に加圧された状態で小径開口を通って高速で衝突面に衝突し、均一な微細径の泡を生成できる。
【0021】
泡生成注出部のピストンが、リンク機構を介してハンドルで駆動されるものでは、簡素な機構と簡単な操作により、均一な微細径の泡を生成でき、微細泡の適量の注出を容易に行うことができる。
【0022】
泡生成注出部のピストンが、加圧ガスによるシリンダ駆動装置によって駆動されるものでは、切替弁の操作のみで泡生成注出部の操作を行って容易に均一な微細径の泡を生成でき、微細泡の適量の注出を容易に行うことができる。
【0023】
泡生成注出部に加えて飲料注出部を備えたものでは、発泡性飲料の注出と微細泡の注出とを連続して迅速に行うことができる。
【0024】
飲料容器として、主飲料容器と泡用飲料容器とを備えたものでは、泡生成用の発泡性飲料と飲料ノズルから注出される発泡性飲料が独立しているため、泡生成用の発泡性飲料として、特に微細で口当たりのよい泡の生成に適した特性の発泡性飲料を選んで使用することができる。このため、飲料として適した特性の発泡性飲料と、泡生成用として適した特性の発泡性飲料とを、それぞれ最適なものを独立して選択し組み合わせることができる。
【0025】
泡生成注出部に対して飲料供給部から発泡性飲料を供給するようにしたものでは、シリンダに設けた飲料供給部から発泡性飲料を直接供給することができ、泡用発泡性飲料の供給のための配管が不要となり、構成を簡素なものとして低コストで提供できる。また、泡用発泡性飲料の供給経路による供給時の泡立ちが少なくなり、泡生成注出部から注出される微細泡の均一性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは発泡性飲料として、ビール、発泡酒等等を注出するサーバーを例にとって説明する。図1は、本発明の飲料サーバー1の全体構成を示す正面図である。図2は、飲料サーバー1の内部構成を示す側面方向から見た断面図である。飲料サーバー1の本体2の前面(正面)側には飲料注出部としての飲料ノズル4が設けられている。飲料ノズル4からの飲料の注出開始および停止は制御部41内に設けられた電磁開閉弁42(図7参照)を操作することにより行う。電磁開閉弁42については後述する。
【0027】
また、本体2の前面側には、飲料ノズル4と隣接して泡生成注出部5が設けられている。泡生成注出部5は、内部に発泡性飲料(ビール等)を注入して、その発泡性飲料から直径が均一で微細な泡を生成し、その微細泡を泡ノズル56から任意の適量だけ注出するためのものである。泡生成注出部5は、ハンドル60によって操作される。ハンドル60は、上下に回動できるように設けられており、リンク機構6を介して泡生成注出部5内のピストン52(図3参照)に接続されている。ハンドル60による泡生成注出部5の操作に関しては、後に詳しく説明する。
【0028】
飲料サーバー1の本体2の最下部前面には、受部3が設けられている。受部3にはグラスやジョッキなどが載置できる。受部3に例えばグラス9を載置して、飲料ノズル4からビール91を適量注出する。次いで、泡生成注出部5の下方にグラス9を移動し、ハンドル60を操作して微細泡92をビール91の上部に適量注出する。また、注出したビール91や微細泡92がこぼれた場合でも、これらは受部3に落ち、上面に多数形成された孔を通って受部3の内部に貯留される。
【0029】
図2に示すように、飲料サーバー1の本体2の内部には、ビール樽のような飲料容器90が収納されている。飲料容器90の口金部にはディスペンサ7が取り付けられており、飲料容器90内部のビールを外部に供給可能となっている。ディスペンサ7には加圧ガス供給パイプ71を介して、外部から加圧された二酸化炭素ガスが供給される。この二酸化炭素ガスの圧力によって飲料容器90内部のビールを外部に押し出すのである。
【0030】
飲料容器90から出たビールは供給パイプ8を通り冷却パイプ81に送られる。冷却パイプ81は氷や熱交換器によって冷却されており、その内部を通過するビールを瞬時に適温まで冷却する。冷却されたビールはさらに主供給パイプ82を通って飲料ノズル4に供給される。また、主供給パイプ82からは、泡用供給パイプ83が分岐している。主供給パイプ82から供給されたビールは、泡用供給パイプ83に分岐し、さらに泡生成注出部5に供給される。
【0031】
なお、ここでは常温のビールを貯留した飲料容器90を使用し、ビールを冷却パイプ81内を通過する際にビールを瞬時に適温まで冷却するものとしたが、予め適温まで冷却したビールを使用するようにしてもよい。飲料容器90内のビールを予め適温まで冷却して使用する場合は、冷却パイプ81は不要となる。ディスペンサ7から直接、主供給パイプ82にビールを供給すればよい。
【0032】
通常の場合、低温保管のビール容器では、容器内部の二酸化炭素ガスの圧力を比較的低圧(200〜250kPa)に保つ必要があり、この圧力ではビールの噴出速度が低下して細かい泡の生成を行うことが困難である。しかし、本発明では、泡生成注出部5によって、ビールを十分に加圧して噴出して泡を生成するようにしているので、直径が均一で微細な泡を生成することができるのである。
【0033】
図3は、泡生成注出部5の内部構成を示す側面方向から見た断面図である。泡生成注出部5の本体部分はシリンダ51として形成されている。シリンダ51の内部にはピストン52が配置されており、ピストン52はシリンダ51内面と密着して摺動可能である。シリンダ51の下端側には、泡生成注出部5と泡用供給パイプ83とを接続するための接続部59が設けられている。接続部59の内部には逆止弁58が配置されており、ビールをシリンダ51内に吸引するときには逆止弁58が開くが、ビールをシリンダ51から押し出すときには逆止弁58が閉じ、ビールが逆流しないようにされている。シリンダ51の底面には、接続部59と連通する供給口57が設けられている。
【0034】
また、シリンダ51の下端側には、微細径の泡を生成して注出するための泡ノズル56が設けられている。シリンダ51の底面には、泡ノズル56と連通する予備小径開口53が設けられている。予備小径開口53の下流側には、小径開口55が形成されている。小径開口55としては複数の開口が並列に形成されている。
【0035】
また、予備小径開口53と小径開口55の間には、低圧でのビールの通過を阻止する低圧閉止弁54が設けられている。低圧閉止弁54は、弾性変形可能な弁体からなり、低圧閉止弁54の上流側と下流側の圧力差が小さい場合、圧力差がない場合、または下流側の圧力の方が大きい場合には閉じた状態である。上流側(予備小径開口53側)からの押し出し圧力が大きくなり、上流側と下流側の圧力差が所定値以上になると、低圧閉止弁54が開状態となってビールが小径開口55側に通過できるようになる。
【0036】
ピストン52をシリンダ51の上方(吸引側)に移動すると、泡用供給パイプ83から供給されるビールが供給口57を通してシリンダ51内に注入される。シリンダ51内にビールが注入された状態で、ピストン52を下方(押出側)に移動すると、シリンダ51内のビールが、予備小径開口53、低圧閉止弁54、小径開口55を通って高速で噴出して泡ノズル56の内壁56aに衝突し、均一な微細径の泡を生成する。すなわち、内壁56aが衝突面として機能する。微細径の泡は泡ノズル56から注出される。
【0037】
低圧閉止弁54があるので、小径開口55側に到達したビールは所定以上の高圧に加圧されていることになる。このため、泡を生成するビールは高圧に加圧されて小径開口55を通って高速で内壁56aに衝突し、均一な微細径の泡を生成するのである。また、予備小径開口53と小径開口55が直列に配置されているため、ビールの流れにこれらの開口による絞りが生じて、ビール圧力や流線の変化等によって泡の生成を増進する。
【0038】
図4から図6は、ハンドル60による泡生成注出部5の操作手順を示す図である。図4は初期状態を示しており、この初期状態ではハンドル60を手前側下方に回動させておく。このとき、ピストン52はシリンダ51の下端側に位置している。ハンドル60とピストン52とは、リンク機構6によって連結されており、ハンドル60を上下に回動することによって、シリンダ51内のピストン52を上下に移動できる。
【0039】
ハンドル60と一体のリンク部材61は、本体2に固設された支持部に回動可能に支持されている。リンク部材61は「T」字状に枝分かれしたもう1つの連結部を有している。その連結部とピストンロッド63の上端部とを連結リンク部材62が連結している。連結リンク部材62は、図示のように中央部で屈曲し、「く」字状に形成されている。なお、ピストンロッド63およびピストン52は、上下方向にのみ移動可能に案内されている。
【0040】
次に、図5に示すように、ハンドル60を上方に回動させ、ピストン52を上方のストローク端近傍まで移動させる。すると、泡用供給パイプ83からのビール91が、シリンダ51内に注入され、シリンダ51内に満たされる。
【0041】
その後、図6に示すように、ハンドル60を再び手前側下方に回動させ、ピストン52を下方のストローク端まで移動させる。このとき、シリンダ51内に満たされていたビール91は、前述のように、シリンダ51から泡ノズル56側に押し出され、予備小径開口53、低圧閉止弁54、小径開口55を通って内壁56aに衝突し、均一な微細径の微細泡92を生成する。微細泡92は泡ノズル56から注出される。
【0042】
図7は、飲料ノズル4の制御部41内の構成を示す部分断面図である。主供給パイプ82と飲料ノズル4の間には、電磁開閉弁42が設けられている。電磁開閉弁42は電磁力によって弁体を移動させてビール流通路の開閉を行うものである。電磁開閉弁42が開状態では流通路内に突起等もなく、ビールが流通路を円滑に通過できるため、ビール流通による泡の生成はほとんどない。このため、飲料ノズル4から注出されるビールは、ほとんど泡のない状態でグラス9内に満たされる。電磁開閉弁42の開閉操作は、制御部41の外面の適宜位置に設けられた電気スイッチによって行う。
【0043】
次に、飲料サーバー1の使用終了後に泡生成注出部5の内部を洗浄する方法について説明する。図8は、泡生成注出部5の洗浄方法を示す断面図である。飲料サーバー1の使用終了後に、図示のように、泡生成注出部5の接続部59から泡用供給パイプ83を取り外し、それに代えて洗浄用パイプ84を取り付ける。洗浄容器97は、内部で2区画に区分されており、その一方の区画に洗浄液98を満たしておく。洗浄液98としては純水や水道水等が使用できる。
【0044】
そして、図示のように、洗浄容器97の洗浄液98を満たした区画に洗浄用パイプ84を挿入し、他の区画の上方に泡ノズル56が位置するように配置する。次に、ハンドル60を上下に回動させてピストン52を上下動させる。これにより、洗浄液98がシリンダ51内に吸引され、泡生成注出部5の内部を洗浄し、洗浄後の洗浄液98は泡ノズル56から排出される。ピストン52の上下動を数回繰り返すことにより、簡単に泡生成注出部5の内部を洗浄することができる。
【0045】
以上に説明した飲料サーバー1では、泡生成注出部5のピストン52をハンドル60およびリンク機構6によって手動で駆動していたが、ピストン52を他の駆動機構によって駆動するようにしてもよい。図9は、泡生成注出部5の他の形態の駆動機構を示す断面図である。ここでは、シリンダ駆動装置65によってピストン52を駆動している。シリンダ駆動装置65は、駆動シリンダ66内の駆動ピストン67を加圧ガスによって駆動し、その駆動力をピストン52に伝達するものである。加圧ガスとしては、飲料容器90のディスペンサ7に供給される加圧二酸化炭素ガスを共用して使用できる。
【0046】
切替弁68は90度回動した2位置への設定が可能であり、その設定位置によって、駆動ピストン67を上方または下方に駆動することができる。切替弁68の左方から供給された加圧ガスは、切替弁68の設定位置により、駆動ピストン67の上方または下方に導入される。加圧ガスが導入されない側の駆動シリンダ66の領域は大気圧に開放される。図示の設定位置では、駆動ピストン67が下方に駆動された状態である。図9の駆動機構では、加圧ガスを利用して切替弁68の操作のみで、容易に泡生成注出部5の操作を行うことができる。
【0047】
図10は、本発明の他の形態の飲料サーバー1aの内部構成を示す側面方向から見た断面図である。図2に示す飲料サーバー1では、泡生成注出部5に供給されるビールは飲料ノズル4から注出されるビールと同じものであり、泡用供給パイプ83は主供給パイプ82から分岐していた。これに対して、図10に示す飲料サーバー1aでは、飲料ノズル4から注出されるビールと泡生成注出部5に供給されるビールが別々の容器から供給される。飲料ノズル4から注出されるビールは、図2に示す飲料サーバー1と同様に、飲料容器90から供給される。ディスペンサ7、供給パイプ8、冷却パイプ81、主供給パイプ82の供給経路も飲料サーバー1と同様である。
【0048】
飲料サーバー1aでは、泡生成注出部5に導入されるビールは、泡用供給パイプ83を介して泡用飲料容器95から供給される。泡用供給パイプ83は、泡用飲料容器95と泡生成注出部5を接続している。この飲料サーバー1aでは、泡生成用のビールと飲料ノズル4から注出されるビールが独立しているため、泡生成用のビールとして、特に微細で口当たりのよい泡の生成に適した特性のビールを選んで使用することができる。
【0049】
このため、飲料として適した特性の発泡性飲料と、泡生成用として適した特性の発泡性飲料とを、それぞれ最適なものを独立して選択し組み合わせることができる。例えば、飲料容器90内の飲料として発泡酒を、泡用飲料容器95内の飲料として泡立ち特性の優れたビールを使用できる。発泡酒は、最近の醸造技術の改善により味わいに関しては向上が著しいが、泡立ち特性に関してはビールに追いついていないのが現状である。そこで、発泡酒と、泡立ち特性の優れたビールを組み合わせることにより、低コストで味わいや泡立ち性に優れた飲料が提供できる。
【0050】
次に、本発明における泡生成注出部の他の形態について説明する。図11および図12は、他の形態の泡生成注出部5aの構成と操作を示す断面図である。この泡生成注出部5aにおける泡ノズル56やピストン52の構成および作用は図3に示した泡生成注出部5と同様である。この泡生成注出部5aでは、シリンダ51内に泡生成用のビールを供給するための機構が泡生成注出部5とは異なっている。
【0051】
この泡生成注出部5aでは、シリンダ51側面に飲料供給部85が設けられており、この飲料供給部85から泡生成用のビールを供給する。また、シリンダ51の側面には、飲料供給部85からの流入口と同一水平面位置に空気排出口511が設けられている。まず、図11に示すように、ピストン52を飲料供給部85からの流入口および空気排出口511の位置より上方まで移動させる。そして、飲料供給部85の上部に設けられた蓋86を開いて、飲料供給部85の上面開口部からビール瓶または缶などから泡立ち特性の優れたビールをシリンダ51内に供給する。
【0052】
次に、図12に示すように、蓋86を閉じてピストン52を下降させる。このとき、シリンダ51内のビールとピストン52との間の空気は空気排出口511から外部に排出される。そして、シリンダ51内のビールは、泡ノズル56内に押し出され、図3に示した泡生成注出部5と同様に、均一な微細泡を生成する。生成された微細泡は泡ノズル56から注出される。
【0053】
この泡生成注出部5aでは、シリンダ51に設けられた飲料供給部85からビールを直接供給するため、泡用ビールの供給のための配管が不要となり、構成を簡素なものとして低コストで提供できる。また、泡用ビールの供給経路による供給時の泡立ちが少なくなり、泡ノズル56から注出される微細泡の均一性が向上する。
【0054】
以上のように、本発明によれば、泡生成注出部5,5aによって、ビールを十分に加圧して噴出させ、泡を生成するようにしているので、直径が均一で微細な泡を生成することができる。また、予めビールを冷却した低温保管のビール容器を使用しても、直径が均一で微細な泡を生成することができる。
【0055】
なお、以上の実施の形態では、発泡性飲料としてビールを例に挙げて説明したが、それ以外の発泡酒やその他の発泡性酒類等の任意の発泡性飲料に適用することができる。また、以上の実施の形態では、飲料サーバーに飲料ノズルと泡生成注出部とを併設しているが、泡生成注出部のみを設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、泡生成注出部によってビールを十分に加圧して噴出させ、直径が均一で微細な泡の生成が可能な発泡性飲料サーバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の飲料サーバー1の全体構成を示す正面図である。
【図2】飲料サーバー1の内部構成を示す側面方向から見た断面図である。
【図3】泡生成注出部5の内部構成を示す側面方向から見た断面図である。
【図4】ハンドル60による泡生成注出部5の操作手順を示す図である。
【図5】ハンドル60による泡生成注出部5の操作手順を示す図である。
【図6】ハンドル60による泡生成注出部5の操作手順を示す図である。
【図7】飲料ノズル4の制御部41内の構成を示す部分断面図である。
【図8】泡生成注出部5の洗浄方法を示す断面図である。
【図9】泡生成注出部5の他の形態の駆動機構を示す断面図である。
【図10】本発明の他の形態の飲料サーバー1aの内部構成を示す断面図である。
【図11】他の形態の泡生成注出部5aの構成と操作を示す断面図である。
【図12】他の形態の泡生成注出部5aの構成と操作を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1,1a 飲料サーバー
2 本体
3 受部
4 飲料ノズル
5,5a 泡生成注出部
6 リンク機構
7 ディスペンサ
8 供給パイプ
9 グラス
41 制御部
42 電磁開閉弁
51 シリンダ
52 ピストン
53 予備小径開口
54 低圧閉止弁
55 小径開口
56 泡ノズル
56a 内壁
57 供給口
58 逆止弁
59 接続部
60 ハンドル
61 リンク部材
62 連結リンク部材
63 ピストンロッド
65 シリンダ駆動装置
66 駆動シリンダ
67 駆動ピストン
68 切替弁
71 加圧ガス供給パイプ
81 冷却パイプ
82 主供給パイプ
83 泡用供給パイプ
84 洗浄用パイプ
85 飲料供給部
86 蓋
90 飲料容器
91 ビール
92 微細泡
95 泡用飲料容器
97 洗浄容器
98 洗浄液
511 空気排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性飲料を供給する飲料供給パイプ(83)と、
前記飲料供給パイプ(83)からシリンダ(51)内に供給された前記発泡性飲料を、ピストン(52)によって加圧して小径開口(55)から衝突面(56a)に向けて噴出し、微細径の泡状にして注出する泡生成注出部(5)とを有する発泡性飲料サーバー。
【請求項2】
請求項1に記載した飲料サーバーであって、
前記泡生成注出部(5)は、前記シリンダ(51)の飲料供給側に設けられた逆止弁(58)を備えたものである発泡性飲料サーバー。
【請求項3】
請求項2に記載した飲料サーバーであって、
前記泡生成注出部(5)は、
前記小径開口(55)の上流側に配置された予備小径開口(53)と、
前記予備小径開口(53)と前記小径開口(55)の間に配置され、低圧での前記発泡性飲料の通過を阻止する低圧閉止弁(54)とを備えたものである発泡性飲料サーバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記泡生成注出部(5)の前記ピストン(52)は、ハンドル(60)にリンク機構(6)を介して接続されたものである発泡性飲料サーバー。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記泡生成注出部(5)の前記ピストン(52)は、加圧ガスによって駆動されるシリンダ駆動装置(65)に接続されたものである発泡性飲料サーバー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記飲料供給パイプ(82,83)に接続され、前記飲料供給パイプ(82,83)に供給する発泡性飲料を貯留する飲料容器(90,95)と、
前記飲料供給パイプ(82)から供給された前記発泡性飲料を注出する飲料注出部(4)と、
前記飲料注出部(4)からの前記発泡性飲料の注出の開始および停止を制御する制御部(41)とを有する発泡性飲料サーバー。
【請求項7】
請求項6に記載した飲料サーバーであって、
前記飲料供給パイプは、主供給パイプ(82)と、前記主供給パイプ(82)から分岐した泡用供給パイプ(83)とを含むものであり、
前記飲料注出部(4)は、前記主供給パイプ(82)に接続されたものであり、
前記泡生成注出部(5)は、泡用供給パイプ(83)に接続されたものである発泡性飲料サーバー。
【請求項8】
請求項6に記載した飲料サーバーであって、
前記飲料容器は、主飲料容器(90)と泡用飲料容器(95)とを含むものであり、
前記飲料供給パイプは、前記主飲料容器(90)に接続された主供給パイプ(82)と、前記泡用飲料容器(95)に接続された泡用供給パイプ(83)とを含むものであり、
前記飲料注出ノズル(4)は、前記主供給パイプ(82)に接続されたものであり、
前記泡生成注出部(5)は、泡用供給パイプ(83)に接続されたものである発泡性飲料サーバー。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記飲料容器(90)は、予め冷却された発泡性飲料を貯留したものである発泡性飲料サーバー。
【請求項10】
発泡性飲料を供給する飲料供給部(85)と、
前記飲料供給部(85)からシリンダ(51)内に供給された前記発泡性飲料を、ピストン(52)によって加圧して小径開口(55)から衝突面(56a)に向けて噴出し、微細径の泡状にして注出する泡生成注出部(5a)とを有する発泡性飲料サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−296995(P2008−296995A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146534(P2007−146534)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(591036996)フジテクノ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】