説明

発泡成形体および発泡成形体の製造方法

【課題】耐衝撃性に優れた発泡成形体とその製造方法を提供すること。
【解決手段】強化繊維と樹脂成分とを含有する樹脂組成物とからなる発泡成形体であって、前記強化繊維は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなるベース繊維(A−I)と、該ベース繊維(A−I)100重量部あたり0.1〜10重量部の、前記ベース繊維(A−1)の表面に付着した収束剤(A−II)を含有する表面処理繊維(A)を含有し、前記樹脂成分は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂である変性ポリオレフィン樹脂(B)を含有する発泡成形体であって、発泡倍率が1.3〜5倍であることを特徴とする発泡成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなるベース繊維と、その表面に付着した収束剤とを含有する繊維と変性ポリオレフィン樹脂とを含有する樹脂組成物からなる発泡成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂の成形品の機械物性や耐熱性を向上させるための手段として、成形する樹脂に強化繊維を含有させることが広く採用されている。また、熱可塑性樹脂成形品の軽量化のため、発泡剤を用いる射出発泡成形方法が採用されている。例えば、特許文献1には、繊維含有熱可塑性樹脂から化学発泡剤を用いる射出発泡方法により製造した繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品が開示されている。
【特許文献1】特開平10−119079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、専ら化学発泡剤を用いる射出発泡成形法で製造された従来の繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形品については、耐衝撃性についての更なる改良の要求があった。
【0004】
以上の課題に鑑み、本発明は、耐衝撃性に優れた発泡成形体とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、強化繊維と樹脂成分とを含有する樹脂組成物とからなる発泡成形体であって、前記強化繊維は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなるベース繊維(A−I)と、該ベース繊維(A−I)100重量部あたり0.1〜10重量部の、前記ベース繊維(A−1)の表面に付着した収束剤(A−II)を含有する表面処理繊維(A)を含有し、前記樹脂成分は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂である変性ポリオレフィン樹脂(B)を含有する発泡成形体であって、発泡倍率が1.3〜5.0倍であることを特徴とする発泡成形体に関する。
【0006】
また、本発明は、発泡成形体の製造方法であって、下記(1)〜(6)の工程を含む方法にも関する。
(1)強化繊維と樹脂成分とを含有する樹脂組成物を射出成形機のシリンダ内で溶融させて、溶融された樹脂組成物を得る工程(ここで、前記強化繊維は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなるベース繊維(A−I)と、該ベース繊維(A−I)100重量部あたり0.1〜10重量部の、前記ベース繊維(A−1)の表面に付着した収束剤(A−II)とを含有する表面処理繊維(A)を含有し、前記樹脂成分は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂である変性ポリオレフィン樹脂(B)を含有する。)
(2)前記射出成形機の前記シリンダ内に物理発泡剤を供給して、前記溶融された樹脂組成物に前記物理発泡剤を溶解させて、溶融された発泡性樹脂組成物を得る工程
(3)雌雄一対の金型にて形成された金型キャビティに該キャビティの容積以下の体積の前記溶融された発泡性樹脂組成物を射出供給する工程
(4)供給された前記発泡性樹脂組成物を前記金型キャビティ内で発泡させる工程
(5)発泡させた前記樹脂組成物を前記金型キャビティ内で冷却し、固化させて発泡成形体を与える工程
(6)前記両金型を開き前記発泡成形体を取り出す工程
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐衝撃性に優れた発泡成形体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の発泡成形体は、強化繊維と樹脂成分とを含有する樹脂組成物からなる発泡成形体であって、前記強化繊維が、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなるベース繊維(A−I)と、前記ベース繊維(A−1)の表面に付着した収束剤(A−II)とを含有する表面処理繊維(A)を含有すること、および、前記樹脂成分が、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂である変性ポリオレフィン樹脂(B)を含有することを主な特徴とする。
【0009】
[樹脂組成物]
<表面処理繊維(A)>
本発明の表面処理繊維(A)は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなるベース繊維(A−I)と、該ベース繊維(A−I)100重量部あたり0.1〜10重量部の、前記ベース繊維(A−1)の表面に付着した収束剤(A−II)を含有する。
【0010】
(ベース繊維(A−I))
ベース繊維(A−I)は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなる。ベース繊維(A−I)はポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなることが好ましい。
【0011】
(ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレート)
ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートとはアルキレンジオールとナフタレンジカルボン酸との縮重合生成物であり、下記式(P)または式(Q)で表されるアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位が全繰り返し単位の量の80モル%以上を占めるポリエステルが好ましい。ポリエステル中のアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位の含有量は、好ましくは全繰り返し単位量の90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは96〜100モル%である。
(P)

(Q)

【0012】
アルキレンナフタレンカルボキシレートに含まれるアルキレン部としては、炭素数2〜4のアルキレン部が好ましい。アルキレン部として、エチレン部、トリメチレン部、テトラメチレン部が挙げられる。ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートは、好ましくはポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、より好ましくはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである。
【0013】
(ポリアルキレンテレフタレート)
ポリアルキレンテレフタレートとは、アルキレンジオールとテレフタル酸との縮重合体であり、下記式(R)で表されるアルキレンテレフタレート単位が全繰り返し単位の量の80モル%以上を占めるポリエステルが好ましい。ポリエステル中のアルキレンテレフタレート単位の含有量は、好ましくは全繰り返し単位量の90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは96〜100モル%である。
(R)

【0014】
アルキレンテレフタレートに含まれるアルキレン部としては、炭素数2〜4のアルキレン部が好ましい。アルキレン部として、エチレン部、トリメチレン部、テトラメチレン部が挙げられる。ポリアルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
【0015】
繊維(A−I)を構成する繰り返し単位中に、少量なら他の単位(第三成分)を含んでいても差し支えない。かかる第三成分として、(a)2個のエステル形成性官能基を有する化合物残基が挙げられる。このような2個のエステル形性性官能基を有する化合物残基を与える化合物としては、例えばシュウ酸、コハク酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロプロパンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのカルボン酸、グリコール酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール A、p,p’−ジヒドロキシフェニルスルホン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレングリコールなどのオキシ化合物が挙げられる。またこれらの誘導体が挙げられる。また前記の例のようなオキシカルボン酸および/または前記の例のようなオキシカルボン酸の誘導体からなる高分子化合物、および前記の例のようなカルボン酸および前記の例のようなカルボン酸の誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物、前記の例のようなオキシカルボン酸および前記の例のようなオキシカルボン酸の誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物、前記の例のようなオキシ化合物および前記の例のようなオキシ化合物の誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物のうち2種類以上の化合物からなる高分子化合物も前記第三成分の源の例として挙げられる。
【0016】
かかる第三成分として、(b)1個のエステル形成性官能基を有する化合物残基が挙げられる。このような1個のエステル形成性官能基を有する化合物残基を与える化合物としては、例えば安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
【0017】
(c)3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物残基を与える、例えばグリセリン、ペンタエリストール、トリメチロールプロパンなども、重合体が実質的に線状である範囲内で第三成分源として使用可能である。
ベース繊維(A−I)の全繰り返し単位の量の80モル%以上を占めるポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消し剤、リン酸、亜リン酸、それらのエステルなどの安定剤が含まれても良い。
【0018】
このようなベース繊維(A−I)は、機械的な衝撃に対する耐性が高く、また樹脂とのなじみ性に優れる。一方実際に使用する低温領域においては繊維補強の効果が効率的に発揮される。
【0019】
ベース繊維(A−I)の単糸繊度は、好ましくは1〜30dtex、より好ましくは3〜15dtexである。単糸繊度の上限値は、好ましくは20dtex、より好ましくは16dtexである。単糸繊度の下限値は、好ましくは2dtexである。ベース繊維(A−I)の単糸繊度がこのような範囲にあることにより本発明の目的を達成しやすくなる。単糸繊度が1dtex末満では製糸性に問題が生じる傾向にあり、繊度が大きすぎると繊維/樹脂間の界面強度が低下する傾向にある。また繊維の分散の面からすれば、繊度が1dtex以上であることが好ましく、補強効果の面では繊度が30dtex以下であることが好ましい。
【0020】
ベース繊維(A−I)を構成する材料の固有粘度は、好ましくは0.7dl/g以上、より好ましくは0.7〜1.0dl/gである。固有粘度は、繊維をフェノールとオールトジクロロベンゼンとの混合溶媒(容積比6:4)に溶解し、35℃で測定した粘度から求めた値である。固有粘度が0.7dl/g未満では、繊維の強度、タフネスが低い傾向があり、また、耐熱性が低い傾向にある。一方、固有粘度が1.0dl/gを超えるような材料は、繊維の製造が難しい傾向にある。
【0021】
ベース繊維(A−I)の引張強度は、好ましくは6〜11cN/dtex、より好ましくは7〜10cN/dtexである。6cN/dtex末満では樹脂組成物の引張強度が低くなる傾向にある。またベース繊維(A−1)の引張弾性率は、好ましくは18〜30GPa、より好ましくは20〜28GPaである。この値が小さいと樹脂組成物の曲げ強度が低くなる傾向にある。
【0022】
ベース繊維(A−I)の180℃における乾熱収縮率は、好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下である。乾熱収縮率が8%を超えると成形加工時の熱による繊維の寸法変化が大きくなり、樹脂組成物の成形形状に不良が発生する傾向があり、また、樹脂と繊維間に隙間が生じ、補強効果が低くなる傾向にある。
【0023】
このような強度を有するベース繊維(A−I)は、従来公知の方法で製造することができる。即ち、ベース繊維(A)は、重合して得られたポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートのチップをさらに固相重合するなどして固有粘度を十分に高め、そのチップを溶融紡糸し、延伸することによって得ることが出来る。紡糸は、マルチフィラメントとして行うことが好ましく、マルチフィラメントの総繊度としては500〜50,000dtex、フィラメント数としては25〜25,000本の範囲であることが好ましい。
【0024】
延伸は、未延伸糸を、紡糸後に一旦巻き取り、その未延伸糸を延伸することにより行うことができる。また、未延伸糸を巻き取らずに連続的に延伸することもできる。延伸して得られる繊維はモジュラスが高く寸法安定性にも優れたものである。
【0025】
<収束剤(A−II)>
表面処理繊維(A)では、ベース繊維(A−I)の表面に、該ベース繊維(A−I)100重量部に対して、収束剤(A−II)が0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部付着している。収束剤(A−II)として、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、澱粉、植物抽、およびこれらとエポキシ化合物の混合物が挙げられる。収束剤(A−II)は、ポリオレフィン樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましい。
【0026】
(ポリオレフィン樹脂)
収束剤(A−II)のポリオレフィン樹脂として、オレフィンの単独重合体および2種以上のオレフィンの共重合体からなる群から選ばれた樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂の具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂として、上記ポリオレフィン樹脂を酸成分で変性して得られた酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0027】
酸変性ポリオレフィン樹脂の一例として、スルホン化ポリオレフィン樹脂が挙げられる。スルホン化ポリオレフィン樹脂は、未変性ポリオレフィン樹脂を塩素と二酸化イオウ、またはクロルスルホン酸を用いてクロルスルホン化した後に、導入されたクロルスルホン基をスルホン基に変換させることにより製造することができる。また、スルホン化ポリオレフィン樹脂は、未変性ポリオレフィン樹脂を直接スルホン化することにより製造することができる。なかでもスルホン化ポリエチレンおよびスルホン化ポリプロピレンが好ましい。
【0028】
酸変性ポリオレフィン樹脂として、未変性ポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性して得られた樹脂が挙げられる。なお、以下の説明において、このような変性樹脂をまとめて「不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂」と表記することがある。変性のために使用される不飽和カルボン酸の例として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としてはこれらの酸の無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などがある。不飽和カルボン酸誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。フリーのカルボン酸基を有さない誘導体で変性したときには、該変性の後に加水分解などによりカルボン酸基を生成させる。不飽和カルボン酸化合物およびその誘導体のうち、もっとも本発明に好ましいのはアクリル酸およびメタクリル酸のグリシジルエステル並びに無水マレイン酸である。
【0029】
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン樹脂の製造時に、オレフィンに重合性不飽和カルボン酸またはその誘導体を共重合させることにより製造することもできる。即ち、少なくとも1種のオレフィンの単量体と、少なくとも1種の不飽和カルボン酸および/または少なくとも1種の不飽和カルボン酸の誘導体とをランダム共重合またはブロック共重合して製造することができる。得られた変性ポリオレフィン樹脂にさらに不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合してもよい。なかでも、エチレンおよび/またはプロピレンを主体とするオレフィンの単量体と、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルまたは無水マレイン酸とを共重合することにより酸変性した生成物が好ましい。
【0030】
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィンの単独重合体または2種以上のオレフィンの共重合体に不飽和カルボン酸化合物および/または不飽和カルボン酸の誘導体をグラフト重合して製造することもできる。なかでも、エチレンおよび/またはプロピレンを主たる構成単位とする未変性ポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸をグラフト重合して得られた変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。このような変性ポリオレフィン樹脂を含有する収束剤を用いることによりベース繊維と樹脂成分の間の高い接着性を得ることができる。また、重量平均分子量1,000〜10,000の変性ポリオレフィン樹脂は繊維への密着性が高く好ましい。未変性ポリオレフィン樹脂にグラフト重合させる無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸成分の重量は、未変性ポリオレフィン樹脂に対して0.01〜20重量%が好ましい。変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上、さらに好ましくは2,000〜150,000である。重量平均分子量が500未満では、繊維上で形成される樹脂皮膜強度が低く、満足のいく繊維の補強樹脂に対する相溶性、接着性能が得られにくい傾向にある。
【0031】
収束剤(A−II)に含有されるポリオレフィン樹脂の軟化温度は、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜150℃、さらに好ましくは100〜140℃である。軟化温度が80℃未満であると、表面処理繊維(A)の製造時のディップ工程における乾燥段階で樹脂が脱落しやすくなり、また、脱落した樹脂がディップ設備のローラーやガイド等に付着して工程通過性が悪化することがある。軟化温度が160℃を超えるとディップ工程における熱処理段階で樹脂が軟化しにくく、繊維の単糸と単糸との間にまで樹脂が行き渡りにくくなる。ポリオレフィン樹脂は、適度な軟化温度を持っていることで、ディップ工程における熱処理段階で該樹脂が溶融して繊維の単糸と単糸との間にまで樹脂が行き渡り、ポリオレフィン樹脂が冷却されたときは繊維を収束させる機能を発揮することができる。
【0032】
収束剤(A−II)の付着量は、100重量部の繊維(A−I)に対し、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜10重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部である。収束剤(A−II)の付着量が100重量部の繊維に対し0.1重量部未満である場合、樹脂の補強効果が十分でない傾向にある。一方、収束剤(A−II)の付着量が多すぎると、ベース繊維を構成する単糸同士が収束剤(A−II)により固着して、表面処理繊維が固くなる傾向があり、また、表面処理繊維の潤滑性が著しく低下する為、樹脂組成物の製造時、単糸切れが発生し、樹脂成分の含浸性が不足する傾向にある。
【0033】
収束剤(A−II)は、少なくとも1種のポリオレフィン樹脂および1分子中にエポキシ基を2個以上有する少なくとも1種のエポキシ化合物含有することが好ましい。ポリオレフィン樹脂については前述の通りである。エポキシ化合物として、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロ−ルポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリセロールグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物が挙げられる。特にグリシジルエーテル化合物が好ましく、グリシジルエーテル化合物を含有する収束剤を使用することにより、表面処理繊維(A)と樹脂成分との接着力を高めることができる。
【0034】
エポキシ化合物の量は、100重量部のベース繊維(A−I)に対して、好ましくは0.1〜1重量部、より好ましくは0.2〜0.8重量部である。エポキシ化合物の量が0.1重量部未満であると、表面処理繊維の補強効果が不足する傾向にある。一方、エポキシ化合物の量が1重量部を超えると、表面処理繊維の潤滑性が著しく低下する為、樹脂組成物の製造時、単糸切れが発生し、樹脂成分の含浸性が不足する傾向にある。ベース繊維を構成する単糸同士が固着し、補強すべき樹脂成分中に分散しにくくなる。従って、収束剤(A−II)中のエポキシ化合物の含有量は、100重量部のポリオレフィン樹脂に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜30重量部である。表面処理繊維(A)は、100重量部の繊維(A−I)、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂0.1〜2重量部、および1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物0.1〜1重量部を含有することが好ましい。
【0035】
収束剤(A−II)は、少なくとも1種のポリオレフィン樹脂と、脂肪族アミン化合物のエチレンオキシド付加物および/または脂肪族アミン化合物のプロピレンオキシド付加物を含有することが好ましい。収束剤(A−II)は、さらには1種のエポキシ化合物を含有することが好ましい。このような収束剤は樹脂成分との接着性を向上させる。ポリオレフィン樹脂およびエポキシ化合物については前述の通りである。
【0036】
脂肪族アミン化合物は、好ましくは炭素数4〜22の脂肪族アミン化合物、さらに好ましくは炭素数4〜22のアルキルアミン化合物である。アルキル基として、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基、オレイル基などが挙げられる。脂肪族アミン化合物のエチレンオキシド付加物または脂肪族アミン化合物のプロピレンオキシド付加物において、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加数は、脂肪族アミン化合物1モルあたり2〜20モルであることが好ましい。このような脂肪族アミン化合物のエチレンオキシドおよび脂肪族アミン化合物のプロピレンオキシド付加物の具体例としては、POE(4〜20)ラウリルアミノエーテル、POE(20)ステアリルアミノエーテル、POE(2〜20)オレイルアミノエーテル、EO(5)/PO(4)モノブチルアミノエーテル、POE(2〜20)ラウリルエタノールアミン、POE(2〜20)ラウリルジエタノールアミン等が挙げられる。なおPOEはポリオキシエチレン化、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドを意味し、カッコ内の数値は、脂肪族アミン化合物1モルあたりのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの付加モル数を示す。本発明では脂肪族アミン化合物のエチレンオキシドおよび/または脂肪族アミン化合物のプロピレンオキシド付加物を含有する収束剤を用いることにより表面処理繊維による樹脂成分に対する高い補強効果を達成することが可能となる。
【0037】
脂肪族アミン化合物のエチレンオキシドおよび/または脂肪族アミン化合物のプロピレンオキシド付加物の量は、100重量部のベース繊維(A−I)に対して、好ましくは0.01〜0.3重量部、より好ましくは、0.03〜0.2重量部である。かかる剤の量が100重量部の繊維に対して0.01重量部未満である場合、樹脂成分への補強効果が不足する傾向にある。一方、かかる剤の量が0.3重量部を超えると表面処理繊維の潤滑性が著しく低下する為、樹脂組成物の製造時、単糸切れが発生し、樹脂成分の含浸性が不足する傾向にある。従って、収束剤(A−II)中の脂肪族アミン化合物のエチレンオキシドおよび/または脂肪族アミン化合物のプロピレンオキシド付加物の含有量は、100重量部のポリオレフィン樹脂に対して、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
【0038】
(ポリウレタン樹脂)
収束剤(A−II)として、ポリウレタン樹脂を用いても良い。本発明で用いるポリウレタン樹脂は、分子内に2個水酸基を有する化合物(以下、これをジオール成分と記す)と、分子内に2個イソシアネート基を有する化合物(以下、これをジイソシアネート成分と記す)とを、水を含まず、活性水素を有さない有機溶媒中で付加重合させることにより得ることができる。また、溶媒がない状態で原料を直接反応させることによっても目的物のポリウレタン樹脂を得ることができる。ジオール成分として、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカ−ボネートジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、ポリアセタ−ル、ポリシロキサン等のポリオール化合物、並びにエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール等の低分子量のグリコール類が挙げられる。本発明に使用されるポリウレタン樹脂は、低分子量グリコール成分を多く含むことが好ましい。
【0039】
ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネートまたは脂肪族ジイソシアネートが使用される。適用可能なジイソシアネート成分は具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。本発明に使用されるポリウレタン樹脂は、芳香族系のジイソシアネート成分を多く含むことが好ましい。
【0040】
ポリウレタン樹脂は、ベース繊維の単糸表面まで到達することが好ましいため、ディップ処理でベース繊維に付与することが適当である。そのため、ポリウレタン樹脂は水系のエマルジョンまたはサスペンジョンの形態であることが好ましく、ベース繊維の単糸表面まで到達するためには、エマルジョンまたはサスペンジョンにおけるポリウレタン樹脂の分散粒子径がより小さいことが良い。分散粒子径は、具体的には0.2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.15μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下である。分散粒子径が0.2μm以上あると、ディップ処理でポリウレタン粒子がベース繊維内部の単糸まで到達せず、ベース繊維表面の単糸にしか付与できないおそれがある。
【0041】
ポリウレタン樹脂をエマルジョンまたはサスペンジョンの形態で水に分散させる方法に特に限定はなく、ポリウレタン樹脂中の親水基を利用して自己乳化させエマルジョンを得る方法、自己乳化不能なポリウレタン樹脂を界面活性剤等の分散剤を用いて分散させサスペンジョンを得る方法のいずれを用いても良い。ただ、水分散微粒子の作製と安定化を実施しやすいのはエマルジョンであり、設備的にもエマルジョンの方が有利である。また、サスペンジョンの作製に必要な界面活性剤などの分散剤は、この後の工程で樹脂組成物を作製する際に不純物となる可能性が高く、製品の物性を損なう虞があることから、本発明で使用するポリウレタン樹脂は自己乳化可能なものが好ましい。
【0042】
ポリウレタン樹脂中への親水基を付与させる方法に特に制限はないが、例えば、付加重合させるジオール成分およびジイソシアネート成分にカルボキシレートやスルフォネートなどのアニオン基または四級アミンなどのカチオン基を有するジオール成分および/またはカルボキシレートやスルフォネートなどのアニオン基または四級アミンなどのカチオン基を有するジイソシアネート成分を加え、共重合させることにより親水基をもつポリウレタン樹脂が得られる。
【0043】
本発明で使用されるポリウレタン樹脂は、マルチフィラメントであるベース繊維の各単糸表面に均一に付着して、単糸を収束させていることが好ましいが、ポリオレフィン樹脂との混練工程では低いシェアで単糸を解離し、ポリオレフィン樹脂中に分散させる働きをなす必要がある。そのためには、ポリウレタン樹脂の乾燥皮膜は伸度が低い弾性体である必要があり、軟らかく粘りがあることは好ましくない。これより、ポリウレタン樹脂の乾燥皮膜の抗張力は、好ましくは10〜60Mpa、より好ましくは20〜50Mpaである。該樹脂の乾燥皮膜の抗張力が10Mpa未満であると、該樹脂の皮膜がすぐに破壊して表面処理繊維(A)に収束性を付与できない。該樹脂の乾燥皮膜の抗張力が60Mpaを超えると、混練工程で単糸が解離しにくくなり、表面処理繊維(A)の分散斑が発生しやすくなる。
【0044】
ポリウレタン樹脂の乾燥皮膜の伸度は、好ましくは1〜50%、より好ましくは5〜45%、さらに好ましくは10〜40%である。該樹脂の乾燥皮膜の伸度が1%未満であると、該樹脂の皮膜がすぐに破壊して繊維に収束性を付与できない。逆に、50%を超えると、混練工程で単糸が解離しにくくなり、表面処理繊維(A)の分散斑が発生しやすくなる。
【0045】
抗張力や伸度の測定に用いられるポリウレタン樹脂の乾燥被膜の製造方法は下記の通りである。ガラスシャーレーやテフロン(登録商標)シャーレーなどを用いて、キャスト法によって揮発分を除去し、処理温度は室温〜120℃程度で試料に合わせて適宜、処理時間を設定することにより、良好な乾燥皮膜を得ることができる。膜厚は、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.5〜1.0mmである。この皮膜を測定に合わせて加工する。例えば、抗張力や伸度を測定する際にはダンベル状に試験片を打ち抜き、引張試験の試験片とした。
【0046】
ポリウレタン樹脂の乾燥皮膜のガラス転移温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは50〜80℃である。該樹脂の乾燥皮膜のガラス転移温度が30℃未満であると、樹脂皮膜に粘りが生じ、混練工程で単糸が解離しにくくなり、繊維の分散斑が発生しやすくなる。該樹脂の乾燥皮膜のガラス転移温度が100℃を超えると樹脂皮膜が硬く、強靭になりすぎて混練工程で単糸が解離しにくくなる。ポリウレタン樹脂としては、30℃以上、好ましくは50℃以上のガラス転移温度を有し、かつ乾燥皮膜が低伸度であるこことが好ましい。このような場合には、表面処理繊維を樹脂成分に混合するまでの工程中では表面処理繊維(A)に収束性を付与し、表面処理繊維束へ樹脂成分を含浸させる工程では工程中でのシェアにより、マルチフィラメントを容易に単糸に解離することができ、より高性能の樹脂組成物となる。
【0047】
ポリウレタン樹脂の軟化温度は、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜150℃、さらに好ましくは100〜140℃である。軟化温度が80℃未満であると、表面処理繊維(A)の製造時のディップ工程における乾燥段階で樹脂が脱落しやすくなり、また脱落した樹脂がディップ設備のローラーやガイド等に付着して工程通過性が悪化する。軟化温度が160℃を超えるとディップ工程における熱処理段階で樹脂が軟化しにくく、繊維の単糸と単糸との間にまで樹脂が行き渡りにくくなる。ポリウレタン樹脂は、適度な軟化温度を持っていることで、ディップ工程における熱処理段階で該樹脂が軟化して繊維の単糸と単糸との間にまで樹脂が行き渡り、ポリウレタン樹脂が冷却されたときには絨維を収束させる機能を発揮することができる。
【0048】
(表面処理剤)
収束剤(A−II)には、樹脂成分との濡れ性や接着性等を改良するため、表面処理剤を配合しても良い。この表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等が挙げられ、好ましくはシラン系カップリング剤またはチタネート系カップリング剤であり、より好ましくはシラン系カップリング剤である。
【0049】
シラン系カップリング剤としては、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、好ましくはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類である。
【0050】
収束剤(A−II)中の表面処理剤の含有量は、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.02〜5重量%である。
【0051】
他の処理剤、例えば鉱物油、脂肪酸エステル類等の平滑剤、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、硬化ひまし油エチレンオキサイド付加物等の乳化剤、帯電防止剤、耐熱剤、着色剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲内で用いてもよい。
【0052】
(表面処理)
表面処理繊維(A)は、ベース繊維(A−I)の表面に収束剤(A−II)を付着させて得られたものである。付着処理は、収束剤を含んだ処理液を繊維束に含浸させ、その後、処理液を含んだ繊維束を乾燥機内で熱により乾燥させることにより実施することが好ましい。乾燥温度としては80〜200℃、乾燥時間としては30〜300秒程度であることが、表面処理繊維(A)の強度保持と処理剤の接着の面から最適である。このとき乾燥機は繊維の表面状態を維持できるように、非接触型であることが好ましい。
【0053】
<変性ポリオレフィン樹脂(B)>
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物は、樹脂成分として変性ポリオレフィン樹脂(B)を含有する。変性ポリオレフィン樹脂(B)は、ポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性して得られた樹脂である。ここで、変性ポリオレフィン樹脂(B)の原料となるポリオレフィン樹脂とは、オレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体からなる樹脂である。また、変性ポリオレフィン樹脂(B)は、換言すれば、オレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体に不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物を反応させて生成した樹脂であって、分子中に不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸誘導体に由来する部分構造を有している樹脂である。変性ポリオレフィン樹脂(B)の例として、次の(B−a)、(B−b)および(B−c)の変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂(B)として、下記(B−a)、(B−b)および(B−c)の変性ポリオレフィン樹脂の中から選択される1種以上を使用することができる。
【0054】
(B−a) オレフィンの単独重合体に、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
(B−b) 2種以上のオレフィンを共重合して得られる共重合体に、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
(B−c) オレフィンを単独重合した後に2種以上のオレフィンを共重合して得られるブロック共重合体に、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
【0055】
変性ポリオレフィン樹脂(B)は、溶液法、バルク法、溶融混練法等によって製造することができる。また、2種以上の方法を併用しても良い。溶液法、バルク法、溶融混練法等の具体的な例としては、例えば、"実用ポリマ−アロイ設計"(井出文雄著、工業調査会(1996年発行))、Prog. Polym. Sci., 24, 81−142(1999)、特開2002−308947号公報、特開2004−292581号公報、特開2004−217753号公報、特開2004−217754号公報等に記載されている方法が挙げられる。
【0056】
変性ポリオレフィン樹脂(B)としては、市販されている変性ポリオレフィン樹脂を用いても良く、例えば、商品名モディパー(日油(株)製)、商品名ブレンマーCP(日抽(株)製)、商品名ボンドファースト(住友化学(株)製)、商品名ボンダイン(住友化学(株)製)、商品名レクスパール(日本ポリエチレン(株)製)、商品名アドマー(三井化学(株)製)、商品名モディックAP(三菱化学(株)製)、商品名ポリボンド(クロンプトン(株)製)、商品名ユーメックス(三洋化成(株)製)等が挙げられる。
【0057】
変性ポリオレフィン樹脂(B)の製造に用いられる不飽和カルボン酸としては、炭素数3以上の不飽和カルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、金属塩等が挙げられる。不飽和カルボン酸誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸によるポリオレフィンの変性には、該不飽和カルボン酸の源として、クエン酸やリンゴ酸のように、ポリオレフィンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものを用いることが出来る。不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体として、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルである。
【0058】
変性ポリオレフィン樹脂(B)として、次の(B−d)の樹脂が好ましい。
(B−d) エチレンおよびプロピレンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンに由来する単位を主な構成単位として含有するポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸2−ヒドロキシエチルをグラフト重合することによって得られる樹脂。
【0059】
変性ポリオレフィン樹脂(B)の、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体に由来する構成単位の含有量は、衝撃強度、疲労特性、剛性等の機械的強度という観点から、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは、0.1〜5重量%、さらに好ましくは、0.2〜2重量%、特に好ましくは、0.4〜1重量%である。なお、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体に由来する構成単位の含有量は、赤外吸収スペクトルまたはNMRスペクトルによって、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体に基づく吸収を定量して算出した値である。
【0060】
<ポリオレフィン樹脂(C)>
樹脂組成物の樹脂成分は、ポリオレフィン樹脂(C)をさらに含有することができる。ポリオレフィン樹脂(C)は、オレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体からなる樹脂であり、変性ポリオレフィン樹脂、例えば不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂はこれに該当しない。ポリオレフィン樹脂(C)としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂(C)として好ましくは、ポリプロピレン樹脂である。ポリオレフィン樹脂(C)は、単一のポリオレフィン樹脂でも良く、2種以上のポリオレフィン樹脂の混合物でも良い。
【0061】
ポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単独重合してプロピレン単独重合体を生成させた後に、該プロピレン単独重合体の存在下にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。耐熱性の観点から、ポリプロピレン樹脂として好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体である。
【0062】
プロピレン−エチレンランダム共重合体の、エチレンに由来する構成単位の含有量(ただし、プロピレンとエチレンの合計量を100モル%とする)、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の、α−オレフィンに由来する構成単位の含有量(ただし、プロピレンとα−オレフィンの合計量を100モル%とする)、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体の、エチレンとα−オレフィンに由来する構成単位の合計含有量(ただし、プロピレンとエチレンとα−オレフィンの合計量を100モル%とする)は、いずれも50モル%未満である。前記エチレンの含有量、α−オレフィンの含有量およびエチレンとα−オレフィンの合計含有量は、“新版 高分子分析ハンドブック”(日本化学会、高分子分析研究懇談会編 紀伊国屋書店(1995))に記載されているIR法またはNMR法を用いて測定される。
【0063】
ポリエチレン樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。なお、エチレン−プロピレンランダム共重合体の、プロピレンに由来する構成単位の含有量(ただし、エチレンとプロピレンの合計量を100モル%とする)、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるα−オレフィンの含有量(ただし、エチレンとα−オレフィンの合計量を100モル%とする)、エチレン−プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるプロピレンとα−オレフィンの合計含有量(ただし、エチレンとプロピレンとα−オレフィンの合計量を100モル%とする)は、いずれも50モル%未満である。
【0064】
ポリオレフィン樹脂(C)の構成成分であるα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。好ましくは、炭素数4〜8のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン)である。
【0065】
ポリオレフィン樹脂(C)は、溶液重合法、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等によって製造することができる。また、これらの重合法を単独で用いても良く、2種以上の重合法を組み合わせても良い。ポリオレフィン樹脂(C)のより具体的な製造方法の例としては、例えば、“新ポリマー製造プロセス”(佐伯康治編集、工業調査会(1994年発行))、特開平4−323207号公報、特開昭61−287917号公報等に記載されている重合法が挙げられる。
【0066】
ポリオレフィン樹脂(C)の製造に用いられる触媒としては、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒が挙げられる。好ましいマルチサイト触媒として、チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられ、また、好ましいシングルサイト触媒として、メタロセン触媒が挙げられる。ポリオレフィン樹脂(C)としてのポリプロピレン樹脂の製造に用いられる好ましい触媒として、上記のチタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられる。
【0067】
ポリオレフィン樹脂(C)のメルトフローレート(MFR)は、成形体中における表面処理繊維(A)の分散性、成形体の外観不良や衝撃強度という観点から、好ましくは1〜500g/10分、より好ましくは10〜400g/10分、さらに好ましくは20〜300g/10分である。なお、MFRは、ASTM D1238に従い、230℃、21.2N荷重で測定した値である。
【0068】
ポリオレフィン樹脂(C)としてのプロピレン単独重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは0.95〜1.0、より好ましくは0.96〜1.0、さらに好ましくは0.97〜1.0である。アイソタクチックペンタッド分率とは、A. ZambelliらによってMacromolecules, 第6巻, 第925頁(1973年)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピ−クの帰属は、Macromolecules, 第8巻, 第687頁(1975年)に基づいて行う。
【0069】
ポリオレフィン樹脂(C)がプロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレンブロック共重合体の場合、前記プロピレン単独重合体部のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは0.95〜1.0、より好ましくは0.96〜1.0、さらに好ましくは0.97〜1.0である。
【0070】
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂である変性ポリオレフィン樹脂(B)を樹脂成分として含有する。前記樹脂組成物の樹脂成分中の不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体由来の構成単位の含有量が同じである場合を比較すると、樹脂組成物は不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体での変性の程度の少ない変性ポリオレフィン樹脂(B)のみを樹脂成分として含有するよりは、多量の変性されていないポリオレフィン樹脂(C)と、少量の高度に変性された変性ポリオレフィン樹脂(B)とを組み合せて含有するほうが、樹脂組成物全体の機械的強度という観点から好ましい。これは、変性ポリオレフィン樹脂(B)は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性すると、生成した変性樹脂中の重合体は、変性前のポリオレフィン樹脂中の重合体の分子量よりも小さな分子量を有することになる傾向がある。そのため本発明においては、射出成形に付される樹脂組成物が樹脂成分として変性ポリオレフィン樹脂(B)およびポリオレフィン樹脂(C)を含有する態様が好ましい。
【0071】
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物の樹脂成分がポリオレフィン樹脂(C)を含む場合の、樹脂成分中の変性ポリオレフィン樹脂(B)の含有量およびポリオレフィン樹脂(C)の含有量は、樹脂成分の剛性や機械的強度という観点や、樹脂組成物の繊維束への樹脂成分の含浸性の観点から、それぞれ0.5〜40重量%および60〜99.5重量%であることが好ましく、0.5〜30重量%および70〜99.5重量%であることがより好ましく、1〜20重量%および80〜99重量%であることがさらに好ましい。
【0072】
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物がポリオレフィン樹脂(C)を含む場合の、樹脂組成物中の表面処理繊維(A)の含有量および樹脂成分の含有量は、樹脂組成物の剛性や機械的強度という観点や、樹脂組成物の成形品の外観の観点から、それぞれ1〜70重量%および30〜99重量%であることが好ましく、5〜68重量%および32〜95重量%であることがより好ましく、10〜65重量%および35〜90重量%であることがさらに好ましく、15〜60重量%および40〜85重量%であることが特に好ましく、20〜55重量%および45〜80重量%であることが最も好ましい。
【0073】
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物の樹脂成分には、1種以上のエラストマーを配合してもよい。エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、PVC系エラストマー等が挙げられる。
【0074】
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物には、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤等の安定剤、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、シリカ等のアンチブロッキング剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤、造核剤や結晶化促進剤等を配合しても艮い。
【0075】
ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビ−ズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォールスナイト等の板状、粉粒状、ウィスカー状の無機化合物等を配合してもよい。
【0076】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物の製造方法としては、例えば、次の(1)〜(3)の方法等が挙げられる。
(1) 各成分の全てを混合して混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
(2) 全成分を逐次添加することにより混合物を得た後、その混合物を溶融混練する方法。
(3) プルトルージョン法。
上記の(1)または(2)の方法において、溶融混練する混合物を得る方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等によって混合する方法が挙げられる。そして、溶融混練する法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸または二軸押出機等によって溶融混練する方法が挙げられる。
【0077】
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物はプルトルージョン法で製造することができる。プルトルージョン法は、樹脂組成物の製造の容易さ、得られる成形体の剛性と衝撃強度等の機械的強度や制振特性の観点から好ましい。プルトルージョン法とは、基本的には連続した繊維束を引きながら、繊維束に樹脂を含浸させる方法であり、例えば、次の(1)〜(3)の方法等が挙げられる。
(1) 樹脂成分と溶媒からなるエマルジョン、サスペンジョンあるいは溶液を入れた含浸槽の中に繊維束を通し、繊維束に該エマルジョン、サスペンジョンまたは溶液を含浸させた後、溶媒を除去する方法、
(2) 樹脂成分の粉末を繊維束に吹き付けたのち、または、樹脂成分の粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維に樹脂成分粉末を付着させたのち、該粉末を溶融して繊維束に樹脂成分を含浸させる方法、
(3) クロスヘッドの中に繊維束を通しながら、押出機等からクロスヘッドに溶融樹脂成分を供給し、繊維束に該樹脂成分を含浸させる方法。
【0078】
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物は、上記(3)のクロスヘッドを用いるプルトルージョン法、より好ましくは、特開平3−272830号公報等に記載されているクロスヘッドを用いるプルトルージョン法で製造することが好ましい。
【0079】
上記のプルトルージョン法において、樹脂成分の含浸操作は1段で行っても良く、2段以上に分けて行っても良い。また、プルトルージョン法によって製造された樹脂組成物ペレットと、溶融混練法によって製造された樹脂組成物ペレットをブレンドしても良い。
【0080】
樹脂組成物ペレットを射出成形に適用した場合、射出成形における金型キャビティへの充填しやすさ、強度が高い成形品が得られるという観点から、プルトルージョン法で製造された樹脂組成物ペレットの長さは、2〜50mmであることが好ましい。より好ましい長さは、3〜20mmであり、特に好ましくは5〜15mmである。樹脂組成物ペレットの全長が2mm未満の場合、表面処理繊維(A)を含有していない樹脂成分と比較して、剛性、耐熱性、衝撃強度および制振特性の改良効果が低いことがある。樹脂組成物ペレットの全長が50mmを超えた場合、成形が困難となることがある。
【0081】
プルトルージョン法で製造された樹脂組成物ペレットの長さとその樹脂組成物ペレットに含有される表面処理繊維(A)の重量平均繊維長は等しい。樹脂組成物ペレットの長さとその樹脂組成物ペレット中に含有される表面処理繊維(A)の長さとが等しいということは、樹脂組成物ペレットに含有される表面処理繊維(A)の重量平均繊維長が、ペレットの全長の90〜110%の範囲内にあることをいう。
【0082】
重量平均繊維長は、特開2002−5924号公報に記載されている方法(ただし、灰化工程は行わない)によって測定する。即ち、繊維の長さは、以下の(ii)〜(iv)の手順で測定する。
(ii) 繊維を、その重量の1000倍以上の重量の液体中に均一分散させ、
(iii)均一分散液から、0.1〜2mgの範囲の量の繊維を含有する量だけを取り出し、
(iv) ろ過または乾燥により、取り出した該均一分散液から繊維を回収し、回収した全繊維の各々について繊維長を測定する。
【0083】
樹脂組成物ペレット中の表面処理繊維(A)の重量平均平均長は、好ましくは2〜50mm、より好ましくは3〜20mm、さらに好ましくは5〜15mmである。また、本発明発泡成形体の製造に用いられる樹脂組成物ペレットにおいて、表面処理繊維(A)は、通常、互いに平行に配列している。
【0084】
[発泡成形体の製造方法]
上記の樹脂組成物から発泡成形体を製造する際には、射出発泡成形を用いる。射出発泡成形は、下記(1)〜(6)の工程を含む製造方法である。
(1) 樹脂組成物を射出成形機のシリンダ内で溶融させて、溶融された樹脂組成物を得る工程
(2) 前記射出成形機の前記シリンダ内に物理発泡剤を供給して、前記溶融された樹脂組成物に前記物理発泡剤を溶解させて、溶融された発泡性樹脂組成物を得る工程
(3) 雌雄一対の金型にて形成された金型キャビティに該キャビティの容積以下の体積の前記溶融された発泡性樹脂組成物を充填する工程
(4) 充填された前記発泡性樹脂組成物を前記金型キャビティ内で発泡させる工程
(5) 発泡させた前記樹脂組成物を前記金型キャビティ内で冷却し、固化させて発泡成形体を与える工程
(6) 前記両金型を開き前記発泡成形体を取り出す工程
【0085】
射出発泡成形方法において、溶融樹脂組成物に物理発泡剤を溶融する方法としては、例えば、シリンダ中で溶融された樹脂組成物に後述する気体状態または超臨界状態の物理発泡剤を注入する方法、液体状態のプランジャーポンプ等で注入する方法等が挙げられる。
【0086】
射出発泡成形において、溶融発泡性樹脂組成物を発泡させる方法は、特に限定されるものでない。例えば、所謂コアバック成形法のように、キャビティ壁面を後退させてキャビティ容積を拡大することにより、発泡剤由来のガスを膨張させキャビティ内に充填された溶融状樹脂組成物を発泡させる方法が挙げられる。なお、キャビティへの溶融発泡性樹脂組成物の注入量は、注入終了直後の時点でキャビティ全体が該溶融発泡性樹脂組成物で充満される量であることが好ましい。
【0087】
射出発泡成形における射出方法は、単軸射出、多軸射出、高圧射出、低圧射出、プランジャーを用いる射出方法等が挙げられる。
【0088】
射出発泡成形は、ガスアシスト成形、メルトコア成形、インサート成形、コアバック成形、2色成形等の成形方法と組み合して行ってもよい。本熱可塑性樹脂発泡成形体の形状は、如何なる形状でもよい。
【0089】
射出発泡成形においては、射出成形機のシリンダ温度が170℃〜220℃、好ましくは180℃〜200℃であり、キャビティ温度が0℃〜100℃、好ましくは5℃〜60℃、より好ましくは20℃〜50℃である。
【0090】
成形時の可塑化工程での背圧は1MPa〜30MPa、好ましくは5MPa〜20MPa、より好ましくは6〜15MPaである。背圧をこのような範囲とすることにより、溶融状樹脂組成物がシリンダ内で発泡せずに発泡剤を溶解させることができる。
【0091】
本発明の発泡成形体の製造に好ましく用いられる発泡剤は物理発泡剤である。
【0092】
物理発泡剤としては、例えば、窒素、二酸化炭素等の不活性ガス、ブタン、ペンタン等の揮発性有機化合物などが挙げられる。2種以上の物理発泡剤を併用してもよい。
【0093】
本発明で用いられる発泡剤は、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスは、発泡させる樹脂組成物に対し反応性を示さず、樹脂を劣化させる恐れのない、常温常圧でガス状の無機物質であることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素等が挙げられる。安価、安全性という観点から、二酸化炭素、窒素、これらの混合物が好ましく用いられる。発泡剤として超臨界状態の不活性ガスを用いることは、樹脂組成物への溶解性、拡散性という観点からより好ましい。
【0094】
発泡剤の添加量は、上記樹脂組成物100質量部に対し、0.3質量部〜10質量部、好ましくは0.6質量部〜5質量部、より好ましくは0.6質量部〜4質量部である。
【0095】
発泡剤には化学発泡剤を加えてもよく、適用可能な化学発泡剤としては、無機系化学発泡剤や有機系化学発泡剤などが挙げられる。
【0096】
無機系化学発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0097】
有機系化学発泡剤としては、例えば、ポリカルボン酸、アゾ化合物、スルホンヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0098】
ポリカルボン酸としては、例えば、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸などが挙げられる。
【0099】
本発明に係る発泡成形体の発泡倍率は、樹脂組成物の密度を発泡成形体の密度で除した値であり、1.3倍〜5倍であることが好ましく1.5倍〜3.5倍であることがより好ましい。
【0100】
本発明の発泡成形体に含有される表面処理繊維(A)の重量平均繊維長は2〜50mmであり、好ましくは5〜20mm、より好ましくは5〜12mmである。
【実施例】
【0101】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0102】
実施例又は比較例では、以下に示した樹脂を用いた。
(1)表面処理繊維(A−1)
ポリウレタン樹脂で表面処理したポリエステル繊維(A−1)を製造した。
固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのチップを用いた固相重合後に溶融紡糸延伸法により、繊度1,100dtex/250fのベース繊維を得た。単糸繊度は4dtex、単糸の直径は20μmであった。また、このベース繊維を構成している材料の固有粘度は0.90dl/gであった。また、このベース繊維の引張強度は7.8cN/dtex、引張弾性率は170cN/dtex、180℃における乾熱収縮率は6.2%であり、モジュラスが高く、寸法安定性に優れたものであった。
このベース繊維を、収束剤として、分子内に親水成分としてカルボキシレートを有し、水中に安定して自己乳化するポリウレタン樹脂処理液を用いてディップ処理した。該処理液の液体媒体は水であった。
該処理液のポリウレタン樹脂濃度は8重量%であり、ポリウレタン樹脂エマルジョンの分散粒子径は61nmであった。ポリウレタン樹脂処理液より水を蒸発させて得た皮膜物性は、引張強度が35MPa、伸度が30%、ガラス転移温度が61℃、軟化溶融温度が113℃であった。
前記ベース繊維をディップ処理の後、非接触ヒータにて150℃で15秒乾燥し、引き続き180℃で15秒の熱処理を施すことにより、ポリウレタン樹脂で表面処理した表面処理繊維(A−1)を得た。ベース繊維100重量部に対するポリウレタン樹脂の付着量は3.0重量%であった。
(2)表面処理繊維(A−2)
固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのチップを用いた固相重合後に溶融紡糸延伸法により、繊度1,670dtex/144fのベース繊維を得た。単糸繊度は13dtex、単糸の直径は35μmであった。また、このベース繊維を構成している材料の固有粘度は0.90dl/gであった。また、このベース繊維の引張強度は7.9cN/dtex、引張弾性率は170cN/dtex、180℃における乾熱収縮率は5.9%であり、モジュラスが高く、寸法安定性に優れたものであった。
このベース繊維を、収束剤として、分子内に親水成分としてカルボキシレートを有し、水中に安定して自己乳化するポリウレタン樹脂処理液を用いてディップ処理した。該処理液の液体媒体は水であった。
該処理液のポリウレタン樹脂濃度は8重量%であり、ポリウレタン樹脂エマルジョンの水分散粒子径は61nmであった。ポリウレタン樹脂処理液より水を蒸発させて得た皮膜物性は、引張強度が35MPa、伸度が30%、ガラス転移温度が61℃、軟化溶融温度が113℃であった。
前記ベース繊維をディップ処理の後、非接触ヒータにて150℃で15秒乾燥し、引き続き180℃で15秒の熱処理を施すことにより、ポリウレタン樹脂で表面処理した表面処理繊維(A−2)を得た。ベース繊維100重量部に対するポリウレタン樹脂の付着量は3.0重量%であった。
(3)表面処理繊維(A−3)
酸変性ポリオレフィン樹脂で表面処理したポリエステル繊維である表面処理繊維(A−3)を製造した。
固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのチップを用いた固相重合後に溶融紡糸延伸法により、繊度1,670dtex/144fのベース繊維を得た。単糸繊度は13dtex、単糸の直径は35μmであった。また、このベース繊維を構成している材料の固有粘度は0.90dl/gであった。また引張強度は7.9cN/dtex、引張弾性率は170cN/dtex、180℃における乾熱収縮率は5.9%であり、モジュラスが高く、寸法安定性に優れたものであった。
このベース繊維に、ポリプロピレン−無水マレイン酸グラフト重合物26部、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル52部、ラウリルアミンのエチレンオキシド(EO)7モル付加物22部の混合物である収束剤を、乾燥後付着量がベース繊維重量に対し、3.0重量%となるように付与した後、非接触ヒ−タにて150℃、5秒の熱処理を施し、表面処理繊維(A−3)を得た。
(4)表面未処理繊維(E−1)
固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのチップを用いた固相重合後に溶融紡糸延伸法により、繊度1,100dtex/250fのポリエステル繊維(E−1)を得た。単糸繊度は4dtex、単糸の直径は20μmであった。また、この繊維を構成している材料の固有粘度は0.90dl/gであった。また、この繊維の引張強度は7.8cN/dtex、引張弾性率は170cN/dtex、180℃における乾熱収縮率は6.2%であり、モジュラスが高く、寸法安定性に優れたものであった。
【0103】
(3)変性ポリオレフィン樹脂(B)
特開2004−197068公報の実施例1(米国特許出願公開第2004/0002569号に記載された実施例1がこれに対応する)に記載された方法に従って作成した無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂。
MFR:60g/10分
無水マレイン酸グラフト量:0.6重量%
(4)ポリオレフィン樹脂(C)
住友化学株式会社製プロピレン単独重合体「商品名:U501E1」
MFR:120g/10分
(5)ガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂(D)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR:60g/10分、無水マレイン酸グラフト量:0.6重量%)を2.5重量%、ガラス繊維(繊維径:17μm)を50重量%、プロピレン単独重合体(MFR:100g/10分)を47重量%、硫黄系酸化防止剤(住友化学株式会社製 商品名:スミライザーTPM)を0.3重量%、フェノール系酸化防止剤(チバジャパン社製 商品名:イルガノックス1010)を0.1重量%、フェノール系酸化防止剤(チバジャパン社製 商品名:イルガノックス1330)を0.1重量%とした組成で、特開平3−121146号公報に記載されている方法によって、長さ9mmのガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂ペレットを作成した。なお含浸温度は270℃、引き取り速度は13m/分であった。

【0104】
[評価方法]
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.2Nなる条件で測定した。
【0105】
(2)密度
発泡成形体の密度は、比重計(ミラージュ貿易株式会社製、電子比重計 EW−200SG)で該発泡成形体の比重を測定し、純水の密度を1.0g/cm3として求めた。樹脂組成物の密度も、同様の方法で測定した。
【0106】
(3)発泡倍率
発泡成形体の発泡倍率は、上記の密度測定法により測定された樹脂組成物の密度および発泡成形体の密度について、該樹脂組成物の密度を該発泡成形体の密度で除して求めた。
【0107】
(4)衝撃値
発泡成形体の衝撃値はHIGH RATE IMPACT TESTER(Reometrics.Inc製)により、測定温度:23℃、ダート径:1/2インチ、速度:5m/secで、内径が3インチのリングにより固定したサンプルを打ち抜き、変位と荷重の波形を測定した。その後、打ち抜きに要するエネルギー値を算出し、これを「衝撃値」とした。
〔実施例1〕
発泡成形体を次の方法で製造した。
特開平3−121146号公報に記載されている方法に準じて、表1に記載した組成で、ペレット長が11mmの繊維強化ペレットを作成した。
得られたペレットを用い、エンゲル社製射出成形機 ES2550/400HL−MuCell(型締力400トン)、寸法が290mm×370mm、高さ45mm、厚み1.5mmtの箱型形状(ゲート構造:バルブゲート、成形体中央部分)のキャビティを有する雌雄一対の金型を用いて発泡成形を実施した。発泡剤である窒素ガスを前記射出成形機のシリンダ内に9MPaに加圧して供給した(発泡剤注入量 充填する樹脂組成物の重量100重量部に対し0.8重量部)。成形温度200℃、型温50℃で、金型内にフル充填するように発泡性樹脂組成物を射出し、射出完了後から4秒が経過した後、一方の金型の金型キャビティ壁面を2mm後退させてキャビティの容積を増加させて前記発泡性樹脂組成物を発泡させ、次いで発泡樹脂組成物を冷却し、固化して発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を評価し、その結果を表1に示す。
【0108】
〔実施例2〕
表1の実施例2の欄に記載した組成であること以外は実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0109】
〔実施例3〕
表1の実施例3の欄に記載した組成であること以外は実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0110】
〔比較例1〕
射出完了後にキャビティ内の容積を増加させずに溶融樹脂を発泡させた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0111】
〔比較例2〕
射出完了後にキャビティ内の容積を増加させずに溶融樹脂を発泡させた以外は、実施例2と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0112】
〔比較例3〕
射出完了後にキャビティ内の容積を増加させずに溶融樹脂を発泡させた以外は、実施例3と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0113】
〔比較例4〕
表1の比較例4の欄に記載した組成であること以外は実施例4と同様の方法で発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0114】
〔比較例5〕
表1の比較例5の欄に記載した組成であること以外は実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0115】
〔比較例6〕
表1の比較例6の欄に記載した組成であること以外は実施例4と同様の方法で発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0116】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維と樹脂成分とを含有する樹脂組成物とからなる発泡成形体であって、前記強化繊維は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなるベース繊維(A−I)と、該ベース繊維(A−I)100重量部あたり0.1〜10重量部の、前記ベース繊維(A−1)の表面に付着した収束剤(A−II)を含有する表面処理繊維(A)を含有し、前記樹脂成分は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂である変性ポリオレフィン樹脂(B)を含有する発泡成形体であって、発泡倍率が1.3〜5倍であることを特徴とする発泡成形体。
【請求項2】
1〜70重量%の表面処理繊維(A)および30〜99重量%の樹脂成分を含有し、前記樹脂成分は、0.5〜40重量%の変性ポリオレフィン樹脂(B)および60〜99.5重量%のポリオレフィン樹脂(C)を含有する請求項1に記載の発泡成形体。
【請求項3】
収束剤(A−II)が、ポリオフィン樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む請求項1または2に記載の発泡成形体。
【請求項4】
収束剤(A−II)が、少なくも1種のポリオレフィン樹脂および1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形体。
【請求項5】
収束剤(A−II)が、少なくとも1種のポリオレフィン樹脂および脂肪族アミン化合物のエチレンオキシド付加物および/または脂肪族アミン化合物のプロピレンオキシド付加物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形体。
【請求項6】
収束剤(A−II)に含有される各ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性された樹脂である請求項3〜5のいずれかに記載の発泡成形体。
【請求項7】
表面処理繊維(A)は、100重量部の繊維(A−I)と、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂0.1〜2重量部および1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物0.1〜1重量部を含有する収束剤(A−II)とを含有する請求項4に記載の発泡成形体。
【請求項8】
該発泡成形体に含まれる表面処理繊維(A)の重量平均繊維長が2〜50mmである請求項1〜7いずれかに記載の発泡成形体。
【請求項9】
発泡成形体の製造方法であって、下記(1)〜(6)の工程を含む方法。
(1)強化繊維と樹脂成分とを含有する樹脂組成物を射出成形機のシリンダ内で溶融させて、溶融された樹脂組成物を得る工程(ここで、前記強化繊維は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなるベース繊維(A−I)と、該ベース繊維(A−I)100重量部あたり0.1〜10重量部の、前記ベース繊維(A−1)の表面に付着した収束剤(A−II)を含有する表面処理繊維(A)を含有し、前記樹脂成分は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂である変性ポリオレフィン樹脂(B)を含有する。)
(2)前記射出成形機の前記シリンダ内に物理発泡剤を供給して、前記溶融された樹脂組成物に前記物理発泡剤を溶解させて、溶融された発泡性樹脂組成物を得る工程
(3)雌雄一対の金型にて形成された金型キャビティに該キャビティ容積以下の体積の前記溶融された発泡性樹脂組成物を射出供給する工程
(4)金型内に供給された前記発泡性樹脂組成物を前記金型キャビティ内で発泡させる工程
(5)前記金型キャビティ内で発泡させた樹脂組成物を該金型キャビティ内で冷却し、固化させて発泡成形体を形成する工程
(6)金型を開き前記発泡成形体を取り出す工程

【公開番号】特開2009−256667(P2009−256667A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78934(P2009−78934)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】