説明

発泡成形体

【課題】木質感やリサイクル適性に優れ、暖房用として使用しても突き上げといった不具合がなく、熱伝導率のよい発泡成形体およびこれを用いた床材を提供する。
【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂3と木質系充填剤4と負膨張材料2とを含有してなる木質系樹脂組成物からなる発泡成形体1であって、前記負膨張材料2が逆ペロフスカイト構造を有する結晶体であることを特徴とする発泡成形体。該発泡成形体1を備えてなることを特徴とする床材7。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体およびこれを用いた床材に関するものである。本発明の発泡成形体およびこれを用いた床材は、とくに戸建て住宅、マンション、アパート、保養所、オフィスビル、店舗などの建築物における室内床面に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
現在、戸建て住宅などの建築物における室内床面用の床材としては、木質系フローリング材が最も広く流行している。この木質系フローリング材とは、厚み5〜15mm程度の天然木材の無垢板や、厚み5〜15mm程度の積層合板などの木質基材上に、厚み数百μm〜数mm程度の天然木材の突板を貼着したもの、或いはそれらの塗装品などである。
【0003】
これらの天然木材を使用した木質系フローリング材は、その表面の意匠が天然木材の木目という、最も自然で親しみやすく美麗なものであることより、従来から広く消費者に受け容れられている。
【0004】
しかし、これらの木質系フローリング材に対しては、日光に当たると変色し易いことや、水に濡れると膨れや割れ、反り、腐蝕、突板の剥離などが起こり易く、特に浴室脱衣所や洗面所、厨房などの様な水廻りの部位への使用には問題があること、或いは、天然素材なので色調や木目形状などの品質や価格、供給量などが不安定であることなどが問題点として指摘されている。
【0005】
一方、近年では地球環境保護問題への社会的関心が高まるにつれて、環境破壊に繋がる天然木材の大量消費は白眼視される様になり、床材などの建築材料の分野においても、資源のリサイクル利用への取り組みが求められる様になっている。
【0006】
ところが、木質系フローリング材を再度床材としてリサイクル利用することは、技術的にも経済的にも極めて困難であり、せいぜい粉砕してパーティクルボード用原料としてリサイクル利用される範囲に留まっている程度である。そして、このようなリサイクル利用も近年の急激な供給増に見合った用途開発が進まないために過剰在庫を抱え、リサイクル利用は行き詰まりの状況にあり、大半は埋め立てや焼却による最終処分が行われているのが現状である。
【0007】
このような状況の中、床材として使用した後に、同種の床材の原料として再利用が可能で、リサイクル適性のある床材の開発が、社会的に強く要望される様になっている。こうした要望に応えるものとして、本出願人は既に、熱可塑性樹脂と木質系充填剤を含有する木質樹脂成形体の表面に、木質樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートを積層してなる床材を提案している。
【0008】
この床材は、熱可塑性樹脂を主成分としてなるので、耐水性や耐候性に優れ、物性的にも意匠的にも品質が安定しており、しかも安価に大量供給可能であり、切削や釘打ちなどの加工性も木質系フローリング材と同等である。そして、使用後はそのまま粉砕して前記木質樹脂成形体の成形材料として再利用できるという、優れたリサイクル適性も備えている。
【0009】
さらに、天然木材に似た暖かい触感を与える断熱性、快い歩行感を与える弾力性などの改善を目的として、木質樹脂成形体を発泡させてなる木質樹脂発泡成形体を基材として使用した床材も提案されている。
【0010】
しかしながら、前記木質樹脂発泡成形体は夏場や床暖房使用時に成形体が突きあがるという不具合が起こる。これは主成分である熱可塑性樹脂が、温度が上昇すると体積が大きくなる(線膨張率が大きい)ためである。そこで、温度が上昇すると逆に体積が小さくなる(負の線膨張率、負膨張)材料である液晶樹脂を熱可塑性樹脂に混合することで膨張を抑えた成形体も提案されている(特許文献1参照)が、樹脂で構成されているため熱伝導率が低く、暖房効率が悪いという問題がある。
【特許文献1】特開2006−168120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の様な問題点を解決するためになされたものであり、木質感やリサイクル適性に優れ、暖房用として使用しても突き上げといった不具合がなく、熱伝導率のよい発泡成形体およびこれを用いた床材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、 少なくとも熱可塑性樹脂と木質系充填剤と負膨張材料とを含有してなる木質系樹脂組成物からなる発泡成形体であって、前記負膨張材料が逆ペロフスカイト構造を有する結晶体であることを特徴とする発泡成形体である。
請求項2に記載の発明は、前記逆ペロフスカイト構造を有する結晶体が窒化物であることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形体である。
請求項3に記載の発明は、前記逆ペロフスカイト構造を有する結晶体がマンガン窒化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡成形体である。
請求項4に記載の発明は、前記マンガン窒化物に配位される金属が銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、マンガンのいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項3に記載の発泡成形体である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡成形体を備えてなることを特徴とする床材である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明は、 少なくとも熱可塑性樹脂と木質系充填剤と発泡剤と負膨張材料とを含有してなる木質系樹脂組成物からなる発泡成形体であって、前記負膨張材料が逆ペロフスカイト構造を有する結晶体であることを特徴とする発泡成形体であるので、木質感やリサイクル適性に優れ、暖房用として使用しても突き上げといった不具合がなく、熱伝導率がよいという効果を奏する。また、前記負膨張材料により成形時にも発泡剤が高発泡化し、天然木材に似た暖かい触感、快い歩行感を与える弾力性、断熱性が増し、軽量化が図られる。さらに前記負膨張材料は、金属的な性質を示すため熱伝導性もよく、床暖房用床材として使用した時、従来の床材より少ないエネルギーで部屋を暖めることができる。また、前記負膨張材料は比較的安価、且つ環境に優しい材料であるので、使用後の廃棄も容易となると長所がある。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記逆ペロフスカイト構造を有する結晶体が窒化物であることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形体である。このような結晶体は、従来の酸化物系材料の負膨張率と比べると数倍以上の大きさであるため、線膨張率が大きい熱可塑性樹脂とともに使用するとより効果を発揮する。また、タングステン酸ジルコニウム、シリコン酸化物に代表されるような酸化物系負膨張材料は、全て絶縁体であったが、逆ペロフスカイト構造を有する窒化物は、金属的な性質を示すため、電気伝導性高く、熱伝導性もよい。従って、夏場や床暖房用床材として使用した時、従来の床材より少ないエネルギーで部屋を暖めることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記逆ペロフスカイト構造を有する結晶体がマンガン窒化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡成形体である。マンガン窒化物は等方的に負膨張するため、動作が安定しており、温度上昇や温度下降といったサイクルを繰り返しても、永続的に負膨張の性質を保持するため、長期使用される床材に最適である。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記マンガン窒化物に配位される金属が銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、マンガンのいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項3に記載の発泡成形体である。銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、マンガン等の構成元素の種類や比率を変えることで、負膨張の大きさを制御できるので、幅広い用途に使用可能となる。また、前記金属は比較的安価、且つ環境に優しい材料であるので、使用後の廃棄も容易となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡成形体を備えてなることを特徴とする床材であるので、木質感やリサイクル適性に優れ、暖房用として使用しても突き上げといった不具合がなく、熱伝導率がよいという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の発泡成形体を用いた床材の一実施形態の断面図である。本発明の発泡成形体1は、少なくとも負膨張材料2と熱可塑性樹脂3と木質系充填剤4と発泡剤により形成された気泡5からなるものである。この発泡成形体1の一表面に化粧シート6を積層して床材7となる。
【0019】
本発明における負膨張材料2としては逆ペロフスカイト構造を有する結晶体が用いられる。ペロフスカイト構造は金属が中央に位置し、非金属がその周りに位置するが、逆ペロフスカイト構造はそれが逆になっており、非金属が中央に位置し、金属がその周りに位置する構造をいう。図2にマンガン窒化物(Mn3(X)N)の逆ペロフスカイト構造の模式図を示した。Xに配位する銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、マンガン等の構成元素の種類や比率を変えることで負膨張の大きさを制御でき、0℃〜100℃の領域において連続的に体積が減少させることが可能である。ゲルマニウムを20%から70%配位させることがより好ましい。線膨張率は−3×10−3から3×10−3が好ましく、線膨張係数(線膨張率の傾き)は−1×10−7/℃から−5×10−5/℃の範囲が好ましい。結晶体の製造方法としては焼成などの公知の方法が用いられる。
負膨張材料2は、発泡成形体中、1〜20重量%添加されるのが好ましい。
【0020】
熱可塑性樹脂3としては、例えばポリオレフィン系のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体や、これらを接着性の向上の目的で酸変性したもの、あるいはアイオノマーなどの中から適宜のものが選択可能である。具体的には、これらの中から一種あるいは複数種を選択して用いればよい。
【0021】
この中では、床材として要求される剛性や表面硬度、寸法安定性などを配慮すると、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂が最も適している。
【0022】
一方、木質系充填剤4としては、例えば木材をカッターミルなどによって破断し、これをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して、微粉状にしたもの(木粉)などを用いればよい。
【0023】
この木質系充填剤4の平均粒径は、1〜200μm程度が好ましく、10〜150μmがより好ましい。平均粒径が1μm未満のものは取り扱いが難しいうえに、このような粒径の木質系充填剤4の配合量が多く、前記熱可塑性樹脂への分散が悪い場合には、発泡成形体の機械強度を低下させることになる。また、200μmより大きいと、発泡成形体の均質性、平面性、機械的強度が低下する。
【0024】
また、木質系充填剤4の配合量は、熱可塑性樹脂3の100重量部に対して、10重量部から300重量部までの範囲内とすることが好ましい。成形性や均質性をより高めるためには、熱可塑性樹脂3の100重量部に対して20〜200重量部、より好ましくは30〜150重量部の配合量で木質系充填剤を混練させればよい。木質系充填剤4の配合量が多すぎると、床材の曲げ弾性率が上がり、しなやかさが失われるため、施工性が悪化したり(特に、隅部への施工時や一枚交換時に、床材を撓ませて施工することが難しくなる。)、曲げた時に割れ易くなる。一方、少なすぎると、線膨張係数が大きくなり、寸法安定性が低下するために、温度変化によって、床材の突き合わせ部分における目隙きや、突き上げによる浮きなどが発生し易くなる。
【0025】
負膨張材料2、熱可塑性樹脂3と木質系充填剤4の他に、発泡剤が添加されて、成形過程において発泡し、気泡5ができる。
成形時における発泡の手法については種々の方法があるが、一般的には、熱分解や化学反応によってガスを発生する化学発泡と、低沸点の液体に熱をかけて気化させる物理発泡とが採用できる。これらの発泡に対応して用いられる発泡剤としては、化学発泡剤としての無機系の重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム、軽金属、アジド化合物などや、有機発泡剤としてのアゾ系、ニトロソ系、ヒドラジド系などが挙げられる。
【0026】
発泡に際し、2倍を越える高発泡倍率での発泡を望む場合には、主に物理発泡を用いればよい。このときには主として炭酸ガスや脂肪族炭化水素を発泡剤として用いることが好ましい。また、物理発泡に際しても発泡体のセル形状を整えるため化学発泡剤を併用してもよい。
【0027】
上記の負膨張材料2、熱可塑性樹脂3、木質系充填剤4、発泡剤およびその他の添加剤などの各成分の混練については、特に方法を問わないが、バンバリーミキサーによって混練し、ペレタイザーでペレット化する方法や、2軸押出混練機によって混合、ペレット化する方法などを具体例として挙げることができる。また、木質系充填剤4は、含水率が大きいと、ペレタイズ時に発泡の原因となるために、混練前に予め乾燥機やホッパードライヤーで含水率を8%以下に抑えておくことが望ましい。
【0028】
本発明において、発泡成形体1の成形および発泡方法は特に問わず、例えば押出成形法、カレンダー成形法、射出成形法、注型成形法等、従来公知の方法を任意に採用することができる。また、発泡倍率の異なる複数層の積層体とする場合にあっては、発泡剤の配合量を変えた複数種の組成物をそれぞれ別途に押出成形法又は射出成形法等により成形した後に貼り合わせる方法や、複数種の組成物を使用した逐次押出法又は共押出法、単一種類の組成物を使用して単一の工程で連続的且つ安定的に成形可能なセルカ成形法などが挙げられる。
【0029】
本発明において、発泡成形体1の成形に使用する組成物には、必要に応じて熱安定剤、滑剤、造核剤、顔料、酸中和剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、脱水剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等を添加することもできる。
【0030】
これらの添加剤のうち熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系等、酸中和剤としてはステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等があり、光安定剤としてはヒンダードアミン系等がある。
【0031】
滑剤としては炭化水素系滑剤、脂肪酸、高級アルコール系、脂肪酸アマイド系、金属石鹸系、エステル系、フッ素系等、造核剤としてはカルボン酸金属塩系、ソルビトール系、リン酸エステル金属塩系等があり、顔料としては縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等があり、これらの添加剤を任意の組み合わせで用いるのが一般的である。
【0032】
以上、発泡成形体1の構成とその製造方法について述べたが、本発明の床材7は、上述した発泡成形体1の一表面に、基材シートを有する化粧シート6が積層されることによって得られる。
【0033】
上記基材シートとしては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体や、これらを接着性の向上を目的として酸変性したもの、アイオノマーなど、或いはそれらの混合物、共重合体などからなるプラスチックシートを用いることができる。
より好ましくは基材シートの構成材料を発泡成形体1の主成分と同一のものとすると、使用済みの床材を回収してリサイクル処理する時にこの粉砕物を混合しても大きな物性変化を生じさせることがない。
【0034】
さらに、本発明の床材には、前述した構成の発泡成形体1の裏面に、該発泡成形体1を構成している熱可塑性樹脂3と同系の熱可塑性樹脂を主体とする発泡層(図示せず)が積層されていてもよい。床材の裏面側にこのような発泡層を積層しておくと、床下面の不陸を吸収してがたつきを防止したり、床面への物品の衝突音や歩行音を吸収して騒音を防止したりするなどの効果が発揮できるようになる。
【0035】
この発泡層は、例えば発泡成形体1に用いた熱可塑性樹脂3と同系の熱可塑性樹脂に、前記熱分解や化学反応によってガスを発生する化学発泡剤または低沸点の液体に熱をかけて気化させる物理発泡剤のいずれかの発泡剤を含有させた樹脂組成物によりシート状に発泡成形した発泡成形体を、発泡成形体1の化粧シート6を積層していない裏面に貼り合わせることにより形成できる。
本発明の成形体の線膨張係数は5×10−5/℃以下が好ましく、より好ましくは、1×10−6/℃から5×10−5/℃の範囲が好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されない。
【0037】
実施例1
熱可塑性樹脂としてホモポリプロピレン樹脂にマレイン酸変性ホモポリプロピレン樹脂が20重量%添加されてなるホモポリプロピレン系樹脂を用い、この100重量部と、木質系充填材としてと木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にした平均粒径100μmのものを用い、この100重量部と、ステアリン酸カルシウム系滑剤1重量部と、逆ペロフスカイト構造を有する結晶体として、マンガン窒化物Mn3(Ga0.5Ge0.4Mn0.1)N 10重量部を、2軸押出混練機によって混合し、ペレット化して、組成物を作製した。この木質樹脂組成物100重量部に対してトリアリルイソシアヌレートおよび重曹−クエン酸系発泡剤を3重量部添加して、それを1軸押出機でセルカプロセスによって、発泡倍率2.5倍、厚さ6mm、幅300mmの断面長方形状に成形し、さらに表面にコロナ放電処理をして、発泡成形体を作製した。
【0038】
一方、酸化鉄と酸化チタンの顔料を配合したランダムポリプロピレンにより成膜した厚さ100μmの着色ポリプロピレンシート上にウレタン系インキで木目印刷をして、エクストルージョンラミネート法にてホモポリプロピレン樹脂シート(厚み100μm)をエンボス同時ラミネートし積層シートを得た。次に、この積層シートの裏面にプライマーコートを、表面(ホモポリプロピレン樹脂シート表面)にトップコートをそれぞれ施して、ポリプロピレン系樹脂製の化粧シートを作製した。
【0039】
続いて、この化粧シートを前記発泡成形体の表面にラッピング加工法にて連続的に貼り合わせた後、長さ方向に1000mmの間隔で切断し、実施例1に係る本発明の床材を得た。
【0040】
比較例1
実施例1において、逆ペロフスカイト構造を有する結晶体を使用せず、その替わりにタルクを10重量部用いたこと以外は実施例1を繰り返し、床材を作製した。
【0041】
<評価>
実施例1に係る発泡成形体の線膨張係数は1×10−5/℃、比較例1に係る木質樹脂発泡成形体の線膨張係数は6×10−5/℃であった。
また、比較例1に係る床材は、夏場及び床暖房用として使用した時突き上げが起こったが、実施例1に係る床材は突き上げが起こらなかった。また、比較例1に係る床材に使用するエネルギーの半分で部屋を暖めることができた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の発泡成形体およびこれを用いた床材は、とくに戸建て住宅、マンション、アパート、保養所、オフィスビル、店舗などの建築物における室内床面に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の発泡成形体を用いた床材の一実施形態の断面図である。
【図2】本発明の逆ペロフスカイト構造の模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・発泡成形体
2・・負膨張材料
3・・熱可塑性樹脂
4・・木質系充填剤
5・・気泡
6・・化粧シート
7・・床材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも熱可塑性樹脂と木質系充填剤と負膨張材料とを含有してなる木質系樹脂組成物からなる発泡成形体であって、前記負膨張材料が逆ペロフスカイト構造を有する結晶体であることを特徴とする発泡成形体。
【請求項2】
前記逆ペロフスカイト構造を有する結晶体が窒化物であることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形体。
【請求項3】
前記逆ペロフスカイト構造を有する結晶体がマンガン窒化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡成形体。
【請求項4】
前記マンガン窒化物に配位される金属が銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、マンガンのいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項3に記載の発泡成形体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の発泡成形体を備えてなることを特徴とする床材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−247973(P2008−247973A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87819(P2007−87819)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】