説明

発煙性低減布地ケア洗剤

本発明は、加熱された洗濯プロセスの間の発煙および/または曇りを低減するための組成物ならびに方法を提供する。この組成物は、発煙低減性界面活性剤パッケージ、および所定の量の遊離アルコールを含む洗浄性界面活性剤を含んでいる。この発煙低減性界面活性剤パッケージは、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤またはそれらの混合物を含んでいる。これらの界面活性剤は、これらの界面活性剤を含む該組成物と接触した衣類が、少なくとも約250°Fに加熱された時に、発生する煙または曇りが、低減および/または排除されるように選択される。また、この組成物を用いる方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ノニルフェノールエトキシレート(NPE)類は、工業用および家庭用洗剤ならびに洗浄剤として広く用いられている。他の用途としては、脱脂製品、分散剤、湿潤剤および安定剤が挙げられる。また、それらは、殺虫剤中の、医薬、パーソナルケア製品、化粧品、プラスチックおよび合成ゴム製造、オイル添加剤、布地、塗料およびニス、農薬中の、そしてパルプおよび紙製品中の、添加剤として用いられてきた。
【背景技術】
【0002】
しかしながら、効果的ではあるものの、NPE類は、環境への懸念のために嫌われている。例えば、NPE類はエチレンオキシドとノニルフェノール(NP)の組み合わせで形成される。NPとNPEの両方が、エストロゲン様の性質を示し、そして水、植物および海洋生物を汚染する可能性がある。また、NPEは、容易には生分解されず、そして環境または食物連鎖の中に、不確定な期間に亘って残留し続ける。
【0003】
NPE類の代替品として、アルコールエトキシレート(AE)類がある。それらの代替品は、毒性が少なく、そして環境中でより迅速に分解する。しかしながら、AE類を含み、NPEを含まず、そしてリンを含まない洗剤で洗浄された布地が、例えば工業的洗濯プロセスにおけるスチームトンネル中の高熱に暴露された場合、またはアイロン掛けされた場合に、発煙することが、最近見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、処理される物品が、高熱に暴露された場合に、発煙性が低減されたおよび/または排除されていて、AE類を含み、NPEを含まず、リンを含まない洗剤への要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの態様では、本明細書は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤もしくはそれらの混合物を含む発煙低減性界面活性剤パッケージ;および一定の量の遊離アルコールを有するノニオン性界面活性剤を含む洗浄性界面活性剤、を含む、洗剤組成物に関する。この洗剤組成物は、発煙低減性界面活性剤パッケージと遊離アルコールのモル数の、約1.4:約1のモル比を有しており、そしてこの洗剤は、実質的にリンを含まない。
【0006】
いくつかの態様では、本洗剤は、約1質量%〜約50質量%のアニオン性界面活性剤を含んでいる。いくつかの態様では、アニオン性界面活性剤は、アルキルアリールスルホン酸塩、エーテル硫酸塩、カルボン酸塩、イセチオン酸塩、シリコーン含有界面活性剤、第二級アルカンスルホン酸塩、アルキルメチルエステルスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルコール硫酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる。他の態様では、アニオン界面活性剤は、直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩を含んでいる。いくつかの態様では、直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸は、直鎖のドデシルベンジルスルホン酸またはその塩を含んでいる。
【0007】
いくつかの態様では、ノニオン性界面活性剤は、アルコールエトキシレートを含んでいる。他の態様では、アルコールエトキシレートは、1〜15モルのエチレンオキシドを有するC〜C18アルコールを含んでいる。更に他の態様では、ノニオン性界面活性剤は、1〜15モルのエチレンオキシドを有するC〜C18アルコールを含んだ狭い範囲のアルコールエトキシレートを含んでいる。いくつかの態様では、本洗剤は、約5質量%〜約85質量%のノニオン性界面活性剤を含んでいる。他の態様では、本洗剤は、約0質量%〜約20質量%の両性界面活性剤を含んでいる。
【0008】
いくつかの態様では、両性界面活性剤は、両性ジカルボン酸(amphodicarboxylic acid)、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる。他の態様では、本洗剤組成物は、更に溶媒を含んでいる。この溶媒は、水、グリセリン、グリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリアセテート、ジアミン、脂肪族グリコールエーテル、アリールグリコールエーテル、アラルキルグリコールエーテル、脂肪族ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、エステル、およびそれらの混合物からなる群から選ぶことができる。また、本洗剤は、粘度調節剤、香料、染料、顔料、ビルダー、硬水沈殿の閾値阻止剤(threshold inhibitors)、固化助剤、漂白剤、漂白活性剤、殺菌剤、pH緩衝剤、加工助剤、活性蛍光性白化成分、消泡剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた、随意の成分を含むことができる。
【0009】
更なる他の態様では、本洗剤は、付加的な界面活性剤を含んでいる。いくつかの態様では、この付加的な界面活性剤は、カチオン性の第四級アンモニウム化合物を含んでいる。他の態様では、本洗剤は、実質的にノニルフェノールエトキシレート化合物を含まない。
【0010】
いくつかの態様では、本明細書は、加熱された洗濯プロセスの間の物品の表面からの煙の発生を低減する、または排除する方法に関する。この方法は、その物品を、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤またはそれらの混合物を含む発煙低減性界面活性剤パッケージ;ならびに所定の量の遊離アルコールを有するノニオン性界面活性剤を含む洗浄界面活性剤を含む洗剤組成物で洗浄することを含んでいる。本洗剤組成物は、発煙低減性界面活性剤パッケージと遊離アルコールのモル数で、約1.4:1のモル比を有しており、本洗剤は、実質的にリンを含まない。本方法は、更に、加熱された洗濯プロセスで物品を処理することを含んでいる。他の態様では、この物品は布地を含んでいる。いくつかの態様では、この布地は、ポリエステル、綿およびそれらの混合物からなる群から選ばれる材料を含んでいる。更に他の態様では、この布地は、少なくとも約60%のポリエステルを含んでいる。
【0011】
いくつかの態様では、加熱された洗濯プロセスは、物品をスチームトンネルに通すこと、その物品にアイロンを掛けること、またはそれらの組み合わせを含んでいる。他の態様では、この物品の表面の温度は、加熱された洗濯プロセスの間に、少なくとも約270°Fである。他の態様では、本洗剤は、粘度調節剤、香料、染料、顔料、ビルダー、硬水沈殿の閾値阻止剤(threshold inhibitors)、固化助剤、漂白剤、漂白活性剤、殺菌剤、pH緩衝剤、加工助剤、活性蛍光性白化成分、消泡剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた随意の成分を更に含んでいる。更なる他の態様では、本洗剤は、実質的に、ノニルフェノールエトキシレート化合物を含まない。
【0012】
いくつかの態様では、この洗浄される物品は、施設的サービス、食品提供サービス、および健康産業からなる群から選ばれた産業における物品である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の態様または商業的に入手可能な洗剤による処理の後の、種々の汚れおよび材料で得られた汚れの除去の平均パーセントのグラフでの描写である。
【図2】図2は、本発明の態様または商業的に入手可能な洗剤による処理の後の、種々の汚れおよび材料で得られた汚れの除去の平均パーセントのグラフでの描写である。
【図3】図3は、本発明の態様または商業的に入手可能な洗剤による処理の後の、種々のリネンタイプの平均のL値のグラフでの描写である。
【図4】図4は、本発明の態様または商業的に入手可能な洗剤による処理の後の、種々の材料の平均白色度における差異のグラフでの描写である。
【図5】図5は、本発明の態様または商業的に入手可能な洗剤による処理の後の、種々の材料の平均白色度における差異のグラフでの描写である。
【図6a】図6aは、本発明の態様または商業的に入手可能な洗剤による処理の後の、産業用パンツ(図6a)の汚れの除去の平均パーセントのグラフでの描写である。
【図6b】図6bは、本発明の態様または商業的に入手可能な洗剤による処理の後の、産業用シャツ(図6b)の汚れの除去の平均パーセントのグラフでの描写である。
【図6c】図6cは、本発明の態様または商業的に入手可能な洗剤による処理の後の、乳房用タオル(udder towels)(図6c)の汚れの除去の平均パーセントのグラフでの描写である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの態様では、本明細書は、処理プロセス、例えば洗浄プロセスの間に、物品の表面上に堆積された遊離アルコールおよび/または低モルのエトキシマー(ethoximers)の量を実質的に低減もしくは除去することができる組成物に関する。また、本明細書は、これらの組成物を用いる方法に関する。いずれかの特定の理論によって拘束されることは望まないが、本組成物に接触した物品の表面上に堆積された遊離アルコールおよび/または低モルのエトキシマー(ethoximers)の量を実質的に低減もしくは除去することによって、物品が高温、例えば加熱された洗濯プロセスに曝された場合に、例えば、それらが洗濯プロセスにおいてスチームトンネルを通過するか、またはアイロンを掛けられる場合には、その物品は、低減された量の発煙もしくは曇りを有する。
【0015】
本発明をより容易に理解するために、いくつかの用語を最初に定義する。
【0016】
ここで用いられる用語「狭い範囲のエトキシ化アルコール」、「狭い範囲のアルコールエトキシレート」または「ピークドエトキシレート」は、同等の標準的アルコールエトキシレートよりも狭い分布曲線を有し、そして実質的により少ない量の未反応のアルコールを有する、アルコールエトキシレートを表している。狭い範囲のアルコールエトキシレートは、例えば、好適な触媒(焼成または脂肪酸で疎水化された層状化合物)の存在下での、エチレンオキシドの脂肪族アルコールへの付加によって、工業的に生産されている。また、このプロセスは、種々の他の疎水物質で、そして異なるアルコキシ化化合物(例えば、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド)を用いて触媒特性を改質することによって、行うことができる。
【0017】
ここで用いられる用語「リン酸塩を含まない」とは、リン酸塩もしくはリン酸塩含有化合物を含まない、あるいはリン酸塩もしくはリン酸塩含有化合物が加えられていない、組成物、混合物または成分を表す。リン酸塩もしくはリン酸塩含有化合物が、リン酸塩を含まない組成物、混合物または成分の汚染を通して存在する場合には、リン酸塩の量は、約0.5質量%未満でなければならない。1つの態様では、リン酸塩の量は、約0.1質量%未満である。1つの態様では、リン酸塩の量は、約0.01質量%未満である。
【0018】
ここで用いられる用語「リンを含まない」とは、リンもしくはリン含有化合物を含まない、あるいはリンもしくはリン含有化合物が加えられていない、組成物、混合物または成分を表す。リンもしくはリン含有化合物が、リンを含まない組成物、混合物または成分の汚染を通して存在する場合には、リンの量は、約0.5質量%未満でなければならない。1つの態様では、リンの量は、約0.1質量%未満である。1つの態様では、リンの量は、約0.01質量%未満である。
【0019】
「洗浄」の表現は、汚れ(soil)の除去、しみ(staining)もしくはしみの外観の除去および/または微生物の個体群の低減の少なくとも1つを表す。洗浄プロセスは、汚れ(soil)の除去、しみ(staining)もしくはしみの外観の除去および微生物の個体群の低減の3つの全てを含んでいてもよい。他の態様では、洗浄プロセスは、汚れ(soil)の除去、しみ(staining)もしくはしみの外観の除去または微生物の個体群の低減のいずれか1つを含むことができる。更に他の態様では、汚れ(soil)の除去、しみ(staining)もしくはしみの外観の除去および微生物の個体群の低減のいずれの組み合わせを含んでいてもよい。
【0020】
全ての数値は、本明細書では、明示的に示されているか否かにかかわらず、「約」によって修飾されているとみなされる。用語「約」は、一般的に、当業者が、記載された値と等価である(すなわち、同じ機能または結果を有している)と考えるであろう数値範囲を表している。多くの例においては、用語「約」は、最も近い有意の数値に四捨五入される数を含むことができる。
【0021】
質量パーセント、質量基準のパーセント、質量基準の%、質量%などは、その組成物の質量によって割り算され、そして100倍された、物質の質量での、物質の濃度を表す。
【0022】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれる全ての数を含んでいる(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含んでいる)。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲中で用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、特に断りのない限り、複数の対象も含んでいる。従って、例えば、「化合物(a compound)」を含む組成物との表現は、2種または3種以上の化合物の混合物を含んでいる。本明細書および添付の特許請求の範囲中で用いられる、用語「または(or)」は、特に断りのない限り、一般的に、「および/または」を含む意味において用いられる。
【0024】
本組成物および方法は、列挙された成分もしくは工程、を含む、からなる、または、から本質的になることができる。ここで用いられる用語「から本質的になる」は、列挙された成分および工程と、関連する組成物もしくは方法の本質的かつ新規な性質、例えば、発煙および曇りを低減する能力、または汚れを除去する能力、に著しい悪影響を与えないような付加的な成分もしくは工程とを含むことを意味すると解釈されなければならない。
【0025】
<組成物>
幾つかの態様では、本発明は、洗剤組成物に関する。いくつかの態様では、本組成物は、リンもしくはNPE類を、含まないか、または実質的に含まない。また、本組成物は、洗浄プロセス例えば、予備洗浄、洗浄段階の間、もしくはすすぎサイクルの間、のいずれかの工程の間に用いられる発煙低減性添加剤として用いることができる。本組成物は、物品が、本組成物と接触した時に、例えば本組成物で洗浄される時に、その物品の表面上に堆積された遊離アルコールおよび/または低モルエトキシマー(ethoximer)の量を、実質的に低減するもしくは除去する。更に、本組成物は、物品の表面から、以前に堆積されたいずれかの遊離アルコールおよび/または低モルエトキシマーを除去すると考えられる。処理される物品の表面上に堆積された遊離アルコールまたは低モルエトキシマーの量を低減もしくは除去することによって、接触された物品が、高温、例えば250°F超に暴露される場合、例えば、工業的な洗濯プロセスにおいてスチームトンネルを通過するか、またはアイロン掛けされる場合に、低い水準の発煙もしくは曇りを発生すると考えられる。
【0026】
いくつかの態様では、本組成物は、発煙低減性界面活性剤パッケージ(SRSP)を含んでいる。このSRSPは、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤またはそれらの混合物を含んでいる。このSRSPは、SRSPと接触される、例えば洗濯される、もしくは洗浄される、物品の表面に堆積された遊離アルコールもしくは低モルエトキシマーの量を実質的に低減する、または除去することができる。
【0027】
SRSPを含む洗剤組成物は、効果的な水準の汚れ除去および/またはしみ低減を与え、一方でまた、処理される物品、例えば布地が、例えばその物品が、スチームトンネルを通過するか、またはアイロン掛けされる場合の、高温、例えば少なくとも約250°Fに暴露された時に発生する発煙もしくは曇りの量を低減する。
【0028】
いくつかの態様では、本洗剤組成物は、SRSPおよび洗浄性の界面活性剤を含んでいる。SRSPを含んだ洗剤組成物の例示的な態様が、下記の表中に示されている。
【0029】
【表1】

【0030】
洗浄性の界面活性剤としては、煙を発生させる量の存在する残留する遊離アルコールを有するノニオン性界面活性剤が挙げられる。ここで用いられる用語「煙を発生する量の遊離アルコール」は、その界面活性剤に接触する物品が、加熱された時に、例えば約250°Fを超えて加熱された場合に、目視できる煙または曇りを発生するような量で、洗浄性界面活性剤中に存在する遊離アルコールを表す。
【0031】
<発煙低減性界面活性剤パッケージ>
<アニオン性界面活性剤>
いくつかの態様では、SRSPは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含んでいる。このSRSPは、1、2、3または4種以上のアニオン性界面活性を含むことができる。いくつかの態様では、このアニオン性界面活性剤としては、脂肪酸が挙げられるが、それには限定されない。本発明の組成物中に用いられる脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、およびそれらの混合物が挙げられる。例示的な飽和脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。例示的な不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。洗剤SRSP中に用いられる更なる脂肪酸としては、天然由来、例えば植物もしくは動物エステル(パーム核油、パーム油、ヤシ油、ババス油、サフラワー油、トール油、ヒマシ油、獣脂および魚油、グリース、ならびにそれらの混合物)あるいは合成的に調製されたもの(例えば、石油の酸化による、またはFisher-Tropschプロセスによる一酸化炭素の水素化による)から得られる飽和および/または不飽和脂肪酸が挙げられるが、それらには限定されない。いくつかの態様では、アニオン性界面活性剤としては、ヤシ脂肪酸が挙げられる。
【0032】
SRSP中に含むことができる他の例示的なアニオン性界面活性剤としては、カルボン酸塩、イセチオン酸塩、シリコーン含有界面活性剤、およびそれらの混合物が挙げられる。いくつかの態様では、アニオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩、硫酸塩、およびそれらの混合物が挙げられる。好適な硫酸塩およびスルホン酸塩としては、アルキルアリールスルホン酸塩、第二級アルカンスルホン酸塩、アルキルメチルエステルスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルコール硫酸塩、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。
【0033】
用いることができる例示的なアルキルアリールスルホン酸塩は、6〜24個の炭素原子を含むアルキル基を含んでおり、そしてアリール基は、ベンゼン、トルエンおよびキシレンの少なくとも1つであることができる。例示的なアルキルアリールスルホン酸塩としては、直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。例示的な直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸としては、直鎖のドデシルベンジルスルホン酸塩が挙げられ、これは酸として提供され、中和されてスルホン酸塩を形成することができる。更なる例示的なアルキルアリールスルホン酸塩としては、キシレンスルホン酸塩およびクメンスルホン酸塩が挙げられる。洗浄組成物中に用いることができる例示的なアルカンスルホン酸塩は、6〜24個の炭素原子を有するアルカン基を有することができる。用いることができる例示的なアルカンスルホン酸塩としては、セカンダリアルカンスルホン酸塩が挙げられる。例示的なセカンダリアルカンスルホン酸塩としては、ClariantからHostapur SASとして商業的に入手可能な、C14〜C17セカンダリアルキルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。本洗浄組成物中で用いることができる例示的なアルキルメチルエステルスルホン酸塩としては、6〜24個の炭素原子を含むアルキル基を有するものが挙げられる。本洗浄組成物中で用いることができる例示的なアルファオレフィンスルホン酸塩としては、6〜24個の炭素原子を含むアルファオレフィン基を有するものが挙げられる。
【0034】
本洗浄組成物中に用いることができる例示的なアルキルエーテル硫酸塩としては、約1〜約10個の範囲の繰り返しのアルコキシ基、約1〜約5個の範囲の繰り返しのアルコキシ基を有するものが挙げられる。一般的に、このアルコキシ基は、約2〜約4個の範囲の炭素原子を含む。例示的なアルコキシ基としては、エトキシがある。例示的なアルキルエーテル硫酸塩としては、ラウリンエーテルエトキシレート硫酸ナトリウムがあり、そしてSteol CS-460の名称の下で、入手可能である。本洗浄組成物中で用いることができる例示的なアルキル硫酸塩としては、6〜24個の炭素原子を含むアルキル基を有するものが挙げられる。例示的なアルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル/ミリスチル硫酸ナトリウムが挙げられる。本洗浄組成物中で用いることができる例示的なアルコール硫酸塩としては、6〜24個の炭素原子を含むアルコール基を有するものが挙げられる。
【0035】
いくつかの態様では、アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸塩、エーテル硫酸塩、カルボン酸塩、イセチオン酸塩、シリコーン含有界面活性剤、セカンダリアルカンスルホン酸塩、アルキルメチルエステルスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルコール硫酸塩、およびそれらの混合物が挙げられる。いくつかの態様では、本組成物は、アニオン性界面活性剤として、脂肪酸およびアルキルアリールスルホン酸を含んでいる。
【0036】
いくつかの態様では、SRSPは、約0.1質量%〜約75質量%のアニオン性界面活性剤を含むことができる。他の態様では、SRSPは、約1質量%〜約20質量%、約5質量%〜約30質量%、または約15質量%〜約25質量%のアニオン性界面活性剤を含むことができる。全ての範囲ならびにそれらの範囲および値の範囲内の値は、本発明に含まれることが理解されなければならない。
【0037】
他の態様では、SRSPは、洗濯プロセスにおける使用のための発煙低減性添加剤として使用され、そして洗剤とは別個に配合される。洗剤組成物の一部ではない発煙低減性添加剤として用いる場合には、このSRSPは、約100質量%のアニオン性界面活性剤を含むことができる。いくつかの態様では、SRSPは、アルキルアリールスルホン酸またはその塩を、アニオン性界面活性剤として含むことができる。
【0038】
<両性界面活性剤>
いくつかの態様では、SRSPは、両性界面活性剤を含んでいる。アルカリ性のpHではアニオン性である両性界面活性剤を、SRSP中に含むことができる。本発明に用いることができる例示的な両性界面活性剤としては、ココナツ製品、例えばヤシ油またはヤシ脂肪酸から誘導されるものが挙げられる。いくつかの態様では、ココナツから誘導された界面活性剤は、それらの構造の一部として、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、好ましくはグリシン、またはそれらの組み合わせ;ならびに約8〜18(好ましくは12)個の炭素原子の脂肪族置換基、を含んでいる。また、そのような界面活性剤は、アルキル両性ジカルボン酸と考えることができる。好適な両性界面活性剤としては、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム(これは商品名Miranol(登録商標)FBSで商業的に入手可能である)、ココアンホ二酢酸二ナトリウム(これは商品名Miranol(登録商業)C2M SF Coneで、Rhodia Inc.(ニュージャージー州、Cranbury)から入手可能)が挙げられるが、それらには限定されない。いくつかの態様では、両性界面活性剤としては、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン、Cアンホカルボキシレート、カプリル酸イミダゾリンジカルボキシレート、ナトリウムカルボキシエチルココホスホエチルイミダゾリン、およびオクチルジプロピオネートが挙げられる。これらの材料の商業的に入手可能な例としては、LonzaのAmphoterge KJ2、CrodaのCrodosultaine C-50、RhodiaのRhodapon JEM、UniquemaのPhosphoteric TC-6、およびDeForestのDeteric ODP-LFがある。
【0039】
いくつかの態様では、両性界面活性剤としては、ココナツから誘導された界面活性剤が挙げられる。このココナツから誘導された界面活性剤は、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、およびそれらの組み合わせの少なくとも1つ;ならびに約8〜約18個の炭素原子の脂肪族部分、を含むことができる。
【0040】
他の態様では、このココナツから誘導された界面活性剤としては、ココナツ脂肪酸のアミド混合物が挙げられる。両性界面活性剤としては、ココアミンオキシド界面活性剤、例えば、商業的に入手可能なココアミンオキシド界面活性剤である、Barlox(登録商標) 12を挙げることができる。
【0041】
本発明の組成物は、約0質量%〜約20質量%の両性界面活性剤を含むことができる。他の態様では、本組成物は、約5質量%〜約15質量%の両性界面活性剤を含んでいる。これらの範囲および値の間の全ての値および範囲は、本発明に含まれると理解されなければならない。
【0042】
<洗浄性界面活性剤>
いくつかの態様では、本洗剤組成物は、洗浄性界面活性剤を含んでいる。使用に好適な洗浄性界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤を含んでいる。含まれるノニオン性界面活性剤は、煙を発生する量の残留遊離アルコールを含んでいる。いくつかの態様では、残留遊離アルコールの量は、約0.1%〜約20%の範囲、約1.5%〜約15%の範囲、または約3%〜約13%の範囲である。これらの範囲および値の間の全ての値および範囲は、本明細書に含まれると理解されなければならない。
【0043】
本組成物中に使用するための例示的なノニオン性界面活性剤としてはアルコールアルコキシレートが挙げられるが、それらには限定されない。アルコールアルコキシレートは、通常は脂肪族アルコールを、触媒、例えば酸化カリウムまたは酸化ナトリウムの存在下で、オキシアルキレンでアルコキシル化することによって調製される。ノニオン性界面活性剤として有用な、アルコールエトキシレートおよびアルコールプロポキシレートの例としては、アルコールのモル当たりに1〜15モルのエチレンオキシド(EO)もしくはプロピレンオキシド(PO)単位を備えたC〜C18アルコールを含んでいる。エトキル化またはプロポキシ化の分布は、場合に応じて、極めて広く、そして相当な量の遊離アルコールが製品中に残される。通常の慣用のアルコールエトキシレートが、McCutcheon's Emulsifiers & Detergents、年刊、1992年中に、「エトキシル化アルコール」の化学分類で列挙されている。通常の慣用のアルコールプロポキシレート、ならびにプロポキル化およびエトキシ化アルコールが、McCutcheon's中に、「プロポキシ化およびエトキシ化脂肪酸、アルコールもしくはアルキルフェノール」の化学分類の下に列挙されている。McCutcheon'sの関連の部分は、参照することによって本明細書の内容とする。
【0044】
いくつかの態様では、本組成物は、アルコールエトキシレートを含んでいる。本発明での使用に好適なアルコールエトキシレートは、1〜15モルのエチレンオキシドを備えたC〜C18アルコールを含むが、それらには限定されない。例示的なアルコールエトキシレートとしては、Akzo Nobelから、Berol 048、Berol 050、Berol 175、Berol 185の商品名で販売されている界面活性剤;Shell Chemical Co.から入手可能で、Neodolの商品名で販売されている界面活性剤; Hoeschet AGから商業的に入手可能で、Genapol (例えば、Genapol B2)の商品名で販売されている界面活性剤;ならびに、Surfonic(登録商標) (例えば、Surfonic(登録商標)L24-7(これは、直鎖の、第一級の12〜14個の炭素数のアルコールの、7モルのエトキシレートである)およびSurfonic(登録商標)L24-3(これは、直鎖の、第一級の12〜14個の炭素数のアルコールの、3モルのエトキシレートである)の商品名で販売されている界面活性剤、が挙げられるが、それらには限定されない。
【0045】
いくつかの態様では、分岐アルコールアルコキシレートを、本組成物中に含むことができる。例示的な分岐アルコールアルコキシレートとしては、BASF Corporationから、Lutensol XP30、Lutensol XP-50、およびLutensol XP-80の名称で入手可能なものが挙げられるが、それらには限定されない。一般には、Lutensol XP-30は、3つの繰り返しのエトキシ基を有していると考えることができ、Lutensol XP-50は、5つの繰り返しのエトキシ基を有していると考えることができ、そしてLutensol XP-80は、8つの繰り返しのエトキシ基を有していると考えることができる。
【0046】
他の態様では、ノニオン性界面活性剤としては、狭い範囲の、または「ピークド」アルコールアルコキシレートが挙げられる。ピークドアルコキシレートは、より狭く、そして高度に尖ったアルコキシ化分布を有しており、それは、製品中の、より少ない量の残留遊離アルコール、より少ない量の低級オキシアルキレン付加物およびより少ない量の高級オキシアルキレン付加物をもたらす。ピークドアルコールアルコキシレートは、異なる触媒および/または製造条件の使用によって得られる。ピークドアルコールエトキシレートの調製の例は、Yangらの米国特許第4,210,764号明細書およびKingの米国特許第5,118,650号明細書中に含まれており、これらを参照することによって本明細書の内容とする。いくつかの態様では、本発明での使用のためのピークドアルコールアルコキシレートとしては、約3パーセント未満の残留遊離アルコール含量を有するアルコールアルコキシレートが挙げられる。例示的なピークドアルコールアルコキシレートとしては、C〜C20アルコールエトキシレート、C〜C20アルコールプロポキシレート、C〜C20プロポキシ化およびエトキシ化アルコールならびにそれらの組み合わせがある。他の例示的なピークドアルコキシレートとしては、分子当たりに約1〜約20モルのエチレンオキシド(EO)を含むC〜C18アルコールエトキシレート、分子当たりに約1〜約20モルのプロピレンオキシド(PO)を含むC〜C18アルコールプロポキシレート、およびC〜C18のプロポキシ化およびエトキシ化アルコールがある。
【0047】
いくつかの態様では、狭い範囲のアルコールエトキシレートは、1〜15モルのエチレンオキシドを備えたC〜C18アルコールを含んでいる。本組成物中での使用に好適な例示的な狭い範囲のアルコールエトキシレートとしては、Sasol North Americaから商業的に入手可能な、NOVEL II(登録商標)アルコールエトキシレート、およびAkzoNobelから商業的に入手可能なBerol 260, 266 and 840界面活性剤が挙げられるが、それらには限定されない。
【0048】
いくつかの態様では、本発明の組成物は、約5質量%〜約80質量%のノニオン性界面活性剤を含んでいる。他の態様では、本組成物は、約30質量%〜約60質量%、または約40質量%〜約50質%のノニオン性界面活性剤を含んでいる。それらの値および範囲の間の全ての値および範囲は、本発明含まれることが理解されなければならない。
【0049】
いくつかの態様では、アニオン性界面活性剤(SRSP中に存在する)の遊離アルコールのモル数に対するモル比は、約1.4超である。いずれかの特定の理論に拘束されることは望まないが、アニオン性界面活性剤の遊離アルコールに対するより小さいモル比では、アニオン性界面活性剤は、発煙または曇りを低減もしくは排除するのに効果的な量では存在していない。いくつかの態様では、アニオン性界面活性剤の遊離アルコールに対するモル比は、約4より大きく、または約10より大きい。
【0050】
<付加的な添加剤>
本発明の組成物は、付加的な成分を更に含むことができる。本組成物中での使用に好適な付加的な成分としては、溶媒、粘土調節剤、香料、染料、顔料、ビルダー、硬水沈殿の閾値阻止剤、固化助剤、漂白剤、漂白活性剤、抗菌剤、pH緩衝剤、加工助剤、活性蛍光白化成分、付加的な界面活性剤、消泡剤およびそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。また、本発明の組成物は、上記の付加的な成分のいずれかを含むことができる。
【0051】
<溶媒>
いくつかの態様では、本組成物は、溶媒を更に含んでいる。本発明中での使用に好適な溶媒としては、グリセリン、グリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリアセテート、ジアミン、脂肪族グリコールエーテル、アリールグリコールエーテル、アラルキルグリコールエーテル、脂肪族ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、エステルおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。いくつかの態様では、グリコールとしては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびそれらの混合物が挙げられる。いくつかの態様では、この溶媒としては、水が挙げられる。この水としては、脱イオン水、水道水、軟水化水、およびそれらの組み合わせを含むいずれかの供給源からの水を挙げることができる。
【0052】
<付加的な界面活性剤>
いくつかの態様では、本組成物は、付加的な界面活性剤を含んでいる。好適な付加的な界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤が挙げられる。本発明の組成物中での使用のための例示的なカチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム化合物、例えばアルキル化四級アンモニウム化合物、環もしくは環式四級アンモニウム化合物、芳香族四級アンモニウム化合物、ジ四級アンモニウム化合物、アルコキシ化四級アンモニウム化合物、アミドアミン四級アンモニウム化合物、エステル四級アンモニウム化合物、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
例示的なアルキル化四級アンモニウム化合物としては、6〜24個の範囲の炭素原子を含むアルキル基を有するアンモニウム化合物が挙げられる。例示的なアルキル化四級アンモニウム化合物としては、モノアルキルトリメチル四級アンモニウム化合物、モノメチルトリアルキル四級アンモニウム化合物、およびジアルキルジメチル四級アンモニウム化合物が挙げられる。アルキル化四級アンモニウム化合物の例は、Adogen(登録商標)、Arosurf(登録商標)、Variquat(登録商標)およびVarisoft(登録商標)の名称で商業的に入手可能である。このアルキル基は、C〜C22基またはC〜C18基またはC12〜C22基であることができ、これは脂肪族および飽和もしくは不飽和または直鎖もしくは分岐アルキル基、ベンジル基、アルキルエーテルプロピル基、水素化獣脂基、ココ基(coco group)、ステアリル基、パルミチル基、および醤油基(soya group)であることができる。例示的な環または環式四級アンモニウム化合物としては、イミダゾリニウム四級アンモニウム化合物が挙げられ、そしてVarisoft(登録商標)の名称で入手できる。例示的なイミダゾリニウム四級アンモニウム化合物としては、メチル−1ヒドロ獣脂アミドエチル−2−ヒドロ獣脂イミダゾリニウム−メチル硫酸塩(methyl- lhydr. tallow amido ethyl-2-hydr. tallow imidazolinium-methyl sulfate)、メチル−1−獣脂アミドエチル−2−獣脂イミダゾリニウム−メチル硫酸塩、メチル−1−オレイルアミドエチル−2−オレイルイミダゾリニウム−メチル硫酸塩、および1−エチレンビス(2−獣脂、1−メチル、イミダゾリニウム−メチル硫酸塩)が挙げられる。例示的な芳香族四級アンモニウム化合物としては、その構造中に少なくとも1つのベンゼン環を有するそれらの化合物が挙げられる。例示的な芳香族四級アンモニウム化合物としては、ジメチルアルキルベンジル四級アンモニウム化合物、モノメチルジアルキルベンジル四級アンモニウム化合物、トリメチルベンジル四級アンモニウム化合物、およびトリアルキルベンジル四級アンモニウム化合物が挙げられる。このアルキル基は、約6〜約24個の範囲の炭素原子を含むことができ、そして約10〜約18個の範囲の炭素原子を含むことができ、そしてステアリル基または水素化獣脂基であることができる。例示的な芳香族四級アンモニウム化合物が、Variquat(登録商標)およびVarisoit(登録商標)の名称で入手可能である。芳香族四級アンモニウム化合物は、複数のベンジル基を含むことができる。ジ四級アンモニウム化合物としては、少なくとも2つの四級アンモニウム基を有するこれらの化合物が挙げられる。例示的なジ四級アンモニウム化合物としては、N−獣脂(tallow)ペンタメチルプロパンジアンモニウムジクロリドがあり、そしてAdogen 477の名称で入手可能である。例示的なアルコキシ化四級アンモニウム化合物としては、メチルジアルコキシアルキル四級アンモニウム化合物、トリアルコキシアルキル四級アンモニウム化合物、トリアルコキシメチル四級アンモニウム化合物、ジメチルアルコキシアルキル四級アンモニウム化合物、およびトリメチルアルコキシ四級アンモニウム化合物が挙げられる。このアルキル基は、約6〜約24個の範囲の炭素原子を含むことができ、そしてアルコキシ基は、約1〜約50個の範囲のアルコキシ基単位を含むことができ、それぞれのアルコキシ単位は、約2〜約3個の範囲の炭素原子を含んでいる。例示的なアルコキシ化四級アンモニウム化合物が、Variquat(登録商標)、Varstat(登録商標)およびVariquat(登録商標)の名称で入手可能である。例示的なアミドアミン四級アンモニウム化合物としては、ジアミドアミン四級アンモニウム化合物が挙げられる。例示的なジアミドアミン四級アンモニウム化合物が、Varisoit(登録商標)の名称で入手可能である。本発明によって用いることができる例示的なアミドアミン四級アンモニウム化合物としては、メチル−ビス(獣脂(tallow)アミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチル硫酸塩、メチルビス(オレイルアミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチル硫酸塩、およびメチルビス(ヒドロ獣脂アミドエチル(hydr.tallowamidoethyl))−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチル硫酸塩がある。例示的なエステル四級化合物が、Stephantex(登録商標)の名称で入手可能である。
【0054】
四級アンモニウム化合物は、その成分を、布帛柔軟化性を与えるような方法で用いられるようにさせるいずれかの対イオンを含むことができる。例示的な対イオンとしては、クロリド、メチルスルフェート、エチルスルフェート、およびスルフェートが挙げられる。
【0055】
<蛍光増白剤>
いくつかの態様では、蛍光増白剤成分が、本組成物中に存在することができる。この蛍光増白剤としては、布帛の灰色化および黄色化を排除することができるいずれかの蛍光増白剤を含む挙げることができる。典型的には、これらの物質は布帛に付着し、そして不可視の紫外線を可視のより長波長の光に変換することによって、増白と擬態の漂白作用をもたらし、淡い青みがかった蛍光発光として放射されている太陽光から吸収されたこの紫外光は、灰色になったまたは黄色になった洗濯物の黄色の色調と共に、純粋な白色を生み出す。
【0056】
蛍光増白剤族に属する蛍光性化合物は、典型的には、しばしば縮合環系を含む芳香族または芳香族ヘテロ環式材料である。これらの化合物の重要な特徴は、芳香環に結合した共役二重結合の中断されていない連鎖の存在である。そのような共役二重結合の数は、置換基ならびにその分子の蛍光性の部分の平面性に依存する。大抵の増白剤化合物は、は、スチルベンまたは4,4’−ジアミノスチルベン、ビフェニル、5員複素環(トリアゾール、オキサゾール、イミダゾールなど)または6員複素環(クマリン、ナフタールアミド(naphthalamide)、トリアジンなど)の誘導体である。
【0057】
本発明において有用な蛍光増白剤は、知られており、そして商業的に入手可能である。本発明において有用である可能性がある商業的な蛍光増白剤は、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン(methinecyanine)、ジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、アゾール、5−および6−員環複素環および他の種々の薬品の誘導体が挙げられるが、それらには必ずしも限定されない群に分類することができる。これらの種類の増白剤の例が、M. Zahradnik、"The Production and Application of Fluorescent Brightening Agents"、John Wiley & Sons発行、New York (1982)中に開示されており、これを参照することにより本明細書の内容とする。
【0058】
本発明において有用である可能性があるスチルベン誘導体としては、ビス(トリアジニル)アミノ−スチルベンの誘導体;スチルベンのビスアシルアミノ誘導体;スチルベンのトリアゾール誘導体;スチルベンのオキザジアゾール誘導体;スチルベンのオキサゾール誘導体;およびスチルベンのスチリル誘導体が挙げられるが、それらには必ずしも限定されない。1つの態様では、蛍光増白剤としては、スチルベン誘導体が挙げられる。
【0059】
いくつかの態様では、蛍光増白剤としては、Tinopal UNPAが挙げられ、これはスイス国にあるCiba Geigy Corporationを通して商業的に入手可能である。本発明における使用のための更なる蛍光増白剤としては、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸(フラボン酸)、4,4’−ジスチリルビフェニル、メチルウンベリフェロン、クマリン、ジヒドロキノリノン、1,3−ジアリールピラゾリン、ナフタルイミド、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾールおよびベンズイミダゾール系、ならびに複素環で置換されたピレン誘導体などの物質の分類が挙げられるが、それらには限定されない。いくつかの態様では、蛍光増白剤は、塩素安定性の蛍光増白剤である。
【0060】
いくつかの態様では、本蛍光増白剤は、本発明においては、約0.1質量%〜約1.0質量%で存在する。
【0061】
<使用方法>
いくつかの態様では、本明細書は、加熱された洗濯プロセスの間の、例えば、その物品が洗濯プロセスのスチームトンネルを通過する場合、またはその物品がアイロン掛けされるときに、物品の表面からの煙の発生を低減または排除する方法に関する。この方法は、物品を、SRSPおよび洗浄性界面活性剤を含む洗剤組成物と、洗濯プロセス、例えば洗浄プロセスの間に、接触させることを含んでいる。本洗剤組成物と接触させた後に、この物品は、次いで、加熱された洗濯プロセスの間に、発煙および/または曇りを低減もしくは排除して、高温、例えば約250°F超に暴露することができる。
【0062】
接触する工程は、洗濯プロセスの間のいずれの時にも起こすことができる。いくつかの態様では、SRSPは、洗浄性界面活性剤を含んだ洗剤組成物中に含まれる。この洗剤組成物は、次いで洗浄プロセスの間にこの物品と接触する。他の態様では、SRSPが、洗剤とは別個に配合され、そして洗浄プロセスの間に、予備洗浄または最終すすぎが用いられる。SRSPと接触された後に、物品は、次いで、加熱された洗濯プロセスの間に、発煙および/または曇りの量が低減もしくは排除されて、高温、例えば約250°F超に暴露することができる。いくつかの態様では、その物品の表面は、加熱された洗濯プロセスの間に、約250°F〜約300°Fの範囲、約260°F〜約290°Fの範囲、または約270°F超である。
【0063】
本組成物は、種々の物品に用いることができる。いくつかの態様では、洗浄される物品は、工業産業(industrial industry)、施設産業(institutional)、接客業、食品サービス産業、特殊産業(specialty industry)、健康産業、およびそれらの組み合わせにおける物品がある。いくつかの態様では、物品としては、布地(例えば、布帛)が挙げられる。本発明の組成物および方法での使用に好適な布地としては、タオル、シーツ、枕ケース、ユニホーム(例えば、シャツ、パンツおよびジャケット)、ドレスシャツ、およびラボコートが挙げられるが、それらには限定されない。
【0064】
本発明によって処理される布地としては、種々の材料、例えば、綿(CO)、ポリエステル(PES)、亜麻布(linen)およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、処理される布地は、少なくとも約60%のポリエステル、または少なくとも約100%のポリエステルが挙げられる。また、処理される布地としては、綿/ポリエステル混合物、例えば、約35%の綿および約65%のポリエステルを挙げることができる。
【0065】
いくつかの態様では、本組成物は、本組成物で処理された、例えば洗浄、すすぎ、または浸漬された物品を、次いで工業的な洗濯プロセスにおいてスチームトンネルを通過させた場合の、発煙もしくは曇りを低減または排除する。スチームトンネルを通して処理される布帛は、典型的には約30秒間〜約1分間の範囲の時間に亘って、約250°F〜約290°Fの温度に付される。物品は、それらが洗濯された後に、しわを取除くためにスチームトンネルを通される。いくつかの態様では、スチームトンネル中の物品の表面温度は、少なくとも約250°F、少なくとも約260°F、または少なくとも約270°Fである。
【0066】
いくつかの態様では、本発明の組成物は、処理された物品がアイロン掛けされた時に、発煙または曇りを除去または排除する。いくつかの態様では、アイロン掛けされた時の物品の表面の温度は、約250°F以上、約260°F以上、約270°F以上、または約250°F〜約300°Fの範囲、または約260°F〜約290°Fの範囲である。
【実施例】
【0067】
本発明は、以下の例においてより具体的に説明するが、本発明の範囲内での多くの変更と変化が、当業者には明らかであることから、それらは説明のためだけを意図している。特に断りのない限り、下記の例中で報告される全ての部、パーセント、および比率は、質量基準であり、そしてこれらの例で用いられる全ての試薬は、下記に記載した化学薬品供給者から得られるか、または入手可能であるか、あるいは慣用の技術によって合成することができる。
【0068】
例1
本明細書の態様による洗剤組成物が、工業的洗濯処理設備で、煙または曇りを低減もしくは排除できるか否かを決めるために試験を行った。本発明の態様による洗剤組成物を調製した。この組成物(「組成物A」)は、40%のノニオン性界面活性剤、脂肪酸と直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸を含む31%のアニオン界面活性剤の組み合わせ、および8%の両性界面活性剤を含んでいた。組成物Aは、更に、溶媒、白化剤、およびアルカリ性源を含んでいた。
【0069】
組成物Aを、慣用の洗剤組成物(「比較組成物1」)と比較した。比較組成物1は、3.7質量%のノニオン性界面活性剤、脂肪酸を含む3質量%のアニオン性界面活性剤、および20質量%のエチレンジアミン四酢酸を含んでいた。また、比較組成物1は、溶媒、アルカリ性源、消泡剤および染料を含んでいた。
【0070】
観察される全ての衣類は、組成物Aまたは比較組成物1のいずれかで洗濯した。これらの試験された衣類には、テーブルクロス、スモック、ショップタオル、バータオルおよびFR衣類が含まれていた。洗浄の後に、これらの衣類は、スチームトンネルを通過して、そして発煙および/または曇りを観察した。スチームトンネル中の温度は、衣類の表面温度が280°Fに達するように設定した。結果を、下記の表に示した。
【0071】
【表2】

【0072】
全体として、本発明の組成物は、直ぐに(例えば、第1回目の洗濯の後に)、スチームトンネル中で発生される煙の量を低減させた。いくつかの場合には、この煙は、ほとんど完全に排除された。
【0073】
例2
洗浄溶液中の遊離アルコールが、浸漬でポリエステルによって吸収されるか否かを評価する試験を実施した。この試験では、単一のポリエステル布片を、商業的に入手可能な洗剤、相当量の遊離アルコールを含むことが知られているTurbo-Flex D-AE(Ecolab Inc.から商業的に入手可能)の試験溶液中に浸漬した。この洗剤は、1.36mL/Lの希釈で用いた。それぞれの布片を、この同じ試験溶液中に4回浸漬した。比較試験を、綿布片を用いて実施した。それぞれの布片は、再浸漬の前に、完全にガス/スチームを切った。
【0074】
熱盤を300°Fに設定した。試験溶液を、大きな時計皿中に注いだ。次いで、布片をこの時計皿中に完全に浸漬させた。この布片を、この溶液中に、溶液で完全に飽和するように、5〜10秒間浸漬させた。次いで、この布片を時計皿から取り出し、そして過剰の溶液を滴り落とした。次いで、この布片を、直ちに熱盤上に完全に置いた。黒色の背景をこの熱盤の後ろに置いて、この布片からの結果として出るスチーム/煙の正確な観察を可能にした。これらの布片を観察し、そして発生したいずれかのスチーム/煙を記録した。この試験をそれぞれの布片について、合計で4回繰り返した。それぞれの反復実験について、新鮮な試験溶液を用いた。また、軟水の対照も試験した。
【0075】
この試験の結果を、下記の表に示した。
【0076】
【表3】

【0077】
この表から分かるように、面は煙の発生を示さなかったが、一方で、ポリエステルは、最初は多量の煙の発生を示した。複数回の浸漬の後には、この煙は、より目立たなくなった。いずれかの特定の理論に拘束されることは望まないが、ポリエステル布片の時間の経過にともなう発煙の減少は、このポリエステルが、溶液中の遊離アルコールを優先的に吸収することを示していると考えられる。高温において煙/曇りを発生するのは、溶液中の遊離アルコールであると考えられる。また、この試験は、ポリエステル布帛が、綿布帛よりも、遊離アルコールに対するより大きな親和性を示すことを示している。
【0078】
補足として、時計皿を水で満たし、そしてC12〜C14アルコールを、この水の中に滴下で加えた。このアルコールは、水の表面上に、玉になって留まった。ポリエステル布片の浸漬で、このアルコールの玉が、ポリエステル布片によって吸収されるのが視覚的に観察された。C12〜C14アルコールで試験したが、いずれの遊離アルコールもこの挙動を示すであろうと考えられる。
【0079】
例3
洗濯処理設備において、発煙および曇りを発生する可能性のある溶液を評価するために試験を実施したが、この発煙および曇りは、布帛が、NPEを含まないが、しかしながら遊離アルコールを含んでいる、商業的に入手可能な洗剤組成物(Ecolab Inc.から入手可能)TurboFlex D-AE(比較組成物1)を用いて洗浄した後に、処理の間に、例えばスチームトンネル中で、約270°F超に加熱された場合、またはアイロン掛けされた場合に観察される。この試験では、本明細書の態様による1つの洗剤組成物(試験組成物B)および1つの付加物(試験組成物C)を試験した。試験組成物Bは、以下の成分を含んでいた。
【0080】
【表4】

【0081】
アニオン性界面活性剤は、2種のアニオン性界面活性剤、ヤシ脂肪酸、およびアルキルアリールスルホン酸塩の混合物を含んでいた。ノニオン性界面活性剤は、アルコールエトキシレートノニオン性界面活性剤であり、そして両性界面活性は、アミンオキシド界面活性剤であった。
【0082】
試験組成物Cは、リンを含まない水質調節組成物であった。試験組成物Cは、水、アルカリ性源、ポリアクリル酸、およびポリアクリル/ポリマレイン酸を含んでいた。試験組成物Bは、設備で現在用いられている洗剤を完全に置き換えるために用いられ、そして試験組成物Cは、付加物として用いた。この試験では、試験組成物Cを、洗浄工程の間に、10oz/cwtの速度で、洗濯機中に、手で投入した。
【0083】
第1の試験は、このプラントで、発煙および曇りを示すことが以前に観察されたテーブルクロスで試験した。試験組成物BまたはCのいずれかで、テーブルクロスを洗浄した後に、上記のように、このテーブルクロスを、以前に煙が観察されているローラーアイロナー中に手で供給した。発煙および曇りを記録するために、ビデオカメラを用いた。デジタルカメラを備えた三脚を準備し、そして全てのビデオについて一貫した画像を確実にするために、その位置を床に印した。黒色の背景を、アイロナーの他の側に保持し、そしてこのカメラをズームさせ、背景幕上に焦点を合わせた。また、3oz/cwtの比較組成物1で洗浄した2枚のテーブルクロスの対照のビデオも撮った。
【0084】
また、試験組成物Bも、3oz/cwtで添加し、そして多量のテーブルクロスを洗浄するのに用いた。次いで、これらのテーブルクロスをアイロナーに通し、そしてビデオを撮った。試験組成物Bで洗浄したテーブルクロスは、比較組成物1で洗浄したテーブルクロスと比較して、両方のグループをアイロナーを通過させた時に、非常に低減された量の煙および曇りの量(ほとんど無し)であった。
【0085】
また、肉屋の上着で試験を実施した。この試験では、1日目に、比較組成物1、または試験組成物BもしくはCのいずれかで、衣類を洗浄した。2日目に、この衣類を、スチームトンネルに通した。この試験では、比較組成物1は、5oz/cwtで投与し、そして比較組成物Cは10oz/cwtで投与した。比較組成物Bは、5oz/cwtで投与した。洗浄サイクルの後に、これらの衣類を、かごに容れて、そして一晩放置した。次の朝に、これらの衣類を、スチームトンネルに通した。温度試験片を、温度が約270°F超であることを検証するために、トンネルに通した。スチームトンネル中に存在する発煙および曇りの量のビデオを撮った。
【0086】
試験組成物Bは、衣類に対して即座のそして強力な効果を有することが観察された。スチームトンネル中ではほとんど煙と曇りが発生しなかった。付加物として用いられた試験組成物Cで処理された衣類は、比較組成物1で処理された衣類に比べて、低減された量の煙および曇りを有していた。しかしながら、認められた結果は、試験組成物Bで見出された結果ほどには、大きくなかった。
【0087】
全体として、試験組成物Bは、スチームトンネル中での発煙および曇りの問題の低減/排除に、非常に効果的であることが見出された。いずれかの特定の理論に拘束されることは望まないが、試験組成物Bは、ポリエステル衣類上への遊離アルコールの蓄積を阻止するだけでなく、この目視できる煙と曇りの大きな低減は、試験組成物Bはまた、以前に堆積した遊離アルコールを、ポリエステルリネンから取り去ることを示していると考えられる。
【0088】
例4
商業的洗濯処理プラントにおいて、試験洗剤が、洗浄性能を犠牲にすることなく、布地を仕上げる場合の発煙および/または曇りを低減する有効性を定めるために試験を実施した。この試験では、商業的に入手可能な洗剤、Turboflex D-AE(Ecolabから商業的に入手可能)を対照として用いた。また、本発明の態様による試験組成物、試験組成物Dを試験した。試験組成物Dは、下記のものを含んでいた。
【0089】
【表5】

【0090】
用いられるアニオン性界面活性剤は、直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸を含み、ノニオン性界面活性剤は、アルコールエトキシレートを含み、そして両性界面活性剤は、アミンオキシドを含んでいた。
【0091】
この試験では、産業用シャツ、肉屋の上着/パンツおよび耐火性衣類を試験布帛として用いた。試験の1日目には、現在のTurboflex D-AE洗剤について、全ての試験変数のための基本データを収集した。洗浄性能;煙と曇りの目視の観察;白色エプロン、白色シーツ、バーモップ、およびパンツの衣類白色度の評価;仕上げしたショップタオルでの水没試験(sink test);を含む試験変数、ならびに振動スクリーンの現在の状態、を評価した。下記の表に、試験変数および分析方法が記載されている。
【0092】
【表6】

【0093】
基本データを収集した後に、このプラントを、試験組成物Dを洗剤として用いるように切り替えた。次いで、試験組成物Dを用いて、上記の試験変数のデータを集めた。
【0094】
<汚れの除去>
図1および2に、汚れ除去比較試験の結果を示した。これらの図から分かるように、対照の洗剤配合と比較して、試験組成物Dを用いた場合には、全ての汚れで、性能の等価または汚れの除去の増大があった。
【0095】
また、試験組成物Dを用いた場合には、洗浄は時間とともに向上したことが注目される。いずれかの特定の理論によって拘束されることは望まないが、このことは、試験組成物Dが、再堆積した汚れを、布地から増加した洗浄で、実際に取り去るためであると考えられる。
【0096】
<白色度データ>
白色度評価を、このプラントにおける布地の全体的な白色度の情報を集めるため、ならびに衣類上への汚れの起こり得る再堆積のチェックのために実施した。コニカ−ミノルタ2600dハンドヘルド分光計を、全ての白色度測定試験に用いた。この試験では、4種の異なる衣類分類:白色エプロン、白色シーツ、バーモップおよびパンツを評価した。これらの分類のそれぞれについて、それぞれ10点を、1日目に無作為に選び、そして白色度をこの分光計で測定した。次いで、1週目の間、そして更に2週目に、それぞれの材料の分類について、同じことを行った。結果を、図3および4に示した。これらの図中に示したL値は、色スペクトルの白色から黒色部を特に測定している。
【0097】
図3から分かるように、試験組成物Dと対照洗剤組成物の間では、L値の有意な変化はなかった。いずれかの理論によって拘束されることは望まないが、いずれの分類でも有意な変化がないことは、この洗剤は、汚れの再堆積を防止することを示していると考えられた。
【0098】
図4は、試験した布帛の全体的な白色度を示している。この図から分かるように、1週目の後に、全ての分類で、白色度は向上するか、または変化せずに維持された。しかしながら、2週間の結果は、エプロンとパンツでは白色度が増加したが、しかしながら白色シーツとバーモップでは白色度が減少した。このことは、白色度は非常にわずかに変化する傾向にあるという事実に部分的に依存すると考えられる。また、L値は、変化しなかったことが注目され、他のスペクトルにおける問題を示している。また、バーモップには有意な鉄の堆積があったことが観察され、これがおそらくは、全体の白色度の低下をもたらした。
【0099】
<水没試験>
水没試験は、ショップタオルのオイルの量を迅速に評価するように計画された。同じ大きさおよび形の10枚のタオルを、仕上げした側から無作為に選択した。タオルを半分に折って、そして管の形状に丸めた。次いで、それぞれのタオルを水のバケツ中に置き、そしてそれぞれの水没(sink)に掛かる時間を記録した。このことは、基準、1週目、および2週目で行った。平均を、下記の表中に示した。
【0100】
【表7】

【0101】
30秒未満の時間は、工業的な基準によって容認可能であると考えられる。上記のデータから分かるように、試験組成物Dで処理したタオルは、1週目に、対照のタオルに比べて、ずっと短い水没時間を有していた。水没時間は、試験組成物Dで処理されたタオルでは、2週目には増加するが、これは対照のタオルの平均水没時間よりもなおより短かった。全体として、この試験は、工業的なオイル汚れの除去性能は、本明細書の態様による試験組成物を用いても、対照の洗剤と比べて、実質的に変化しないことを示している。
【0102】
<煙および曇り>
煙と曇りは、試験組成物Dを用いると、直ぐにそして有意に低減されることが観察された。これは、当初、ならびに平らな洗濯物のアイロンおよびスチームトンネルの両方で問題のあった、全ての分類に適用された。
【0103】
<振動スクリーン目詰まり>
試験組成物Dが用いられた場合には、振動スクリーンには問題が観察されなかった。
【0104】
全体として、試験組成物Dは、必要な洗浄と白化度をも達成しながら、発煙と曇りの低減に効果的であることが見出された。
【0105】
例5
商業的な洗濯プラントにおいて、洗剤組成物中のアニオン性界面活性剤のモル数の、遊離アルコールのモル数に対する比率の、発煙および/または曇りへの影響を評価するための試験を行なった。幾つかの洗剤組成物を試験した。下記の表に、試験した異なる組成物、およびそれぞれの組成物中の遊離アルコールとアニオン性界面活性剤のモル数を示した。また、この表には、これらの洗剤組成物で処理した布地を加熱した時に、発煙/曇りが観察されたか否かを示した。この試験では、上記の熱盤法が用いられたか、またはプラント内での観察がなされたかのいずれかであった。
【0106】
【表8】

【0107】
上記の表からわかるように、約1.4超のアニオン性界面活性剤のモル数/遊離アルコールのモル数の比を有する洗剤組成物は、そのような洗剤で処理された衣類が加熱された時に、発煙および/または曇りをもたらさないことが見出された。
【0108】
また、試験組成物Gも、発煙または曇りを発生せずに、衣類から汚れを取り除く能力を評価した。この試験では、汚れの除去、および試験組成物Gで処理された衣類の、衣類白色度を測定した。また、水没/ウィックアップ試験(上記のような)を実施した。
【0109】
白色度試験では、試験組成物Gを、Ecolab Inc.から入手可能な商業的に入手可能な洗剤TurboFlex Dと比較した。白色度試験の結果を、図5に示した。この図から分かるように、白色シャツとパンツに、白色度の少しの低下が観察された。しかしながら、乳房用タオルでは白色度が向上し、そしてミートフロック(meat frocks)では、実質的に変化がなかった。
【0110】
汚れ除去試験では、試験組成物Gを、Ecolab Inc.から商業的に入手可能な洗剤TurboFlex Dと比較した。図6a、6bおよび6cには、産業用パンツ(図6a)、産業用シャツ(図6b)、および乳房用タオル(図6c)での汚れ除去の平均パーセントを示している。これらの図から分かるように、試験組成物GとTurboFlex Dの間には、統計上の差異はなかった。産業用シャツについては、試験組成物Gで洗濯したシャツでは、汚れ除去の平均パーセントがやや小さかった。図6cから分かるように、試験した2種の洗剤の間では、汚れ除去の平均パーセントでは、統計上の差異がなかった。
【0111】
全体としては、これらのデータは、試験組成物Gは、TurboFlex Dと比較すると、同等の性能を発現することを示している。性能は容認可能であり、そして白色度は、実質的に変化を示さなかった。
【0112】
<他の態様>
本発明を、その詳細な説明に関連して説明してきたが、前述の説明は、説明することを意図したものであり、そして添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されなければならない。他の態様、利点、および変更は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0113】
更に、上記で議論した全ての特許文献の内容は、その全てを参照することによって本明細書の内容とする。
【0114】
どのような値および範囲が本明細書に与えられていても、例えば質量%、全ての値および範囲は、それらの値および範囲に包含される全ての値および範囲が、本発明の範囲内に包含されることを意味していると理解されなければならない。更に、それらの範囲内に入る全ての値もまた、本出願によって想定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤もしくはそれらの混合物を含む発煙低減性界面活性剤パッケージ;および
(b)所定の量の遊離アルコールを有するノニオン性界面活性剤を含む洗浄性界面活性剤、
を含んでなる洗剤組成物であって、
該洗剤組成物が、約1.4:約1の発煙低減性界面活性剤パッケージ対遊離アルコールのモル比を有しており、かつ該洗剤が実質的にリンを含まない、洗剤組成物。
【請求項2】
前記洗剤が、約1質量%〜約50質量%の前記アニオン性界面活性剤を含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項3】
前記アニオン性界面活性が、アルキルアリールスルホン酸塩、エーテル硫酸塩、カルボン酸塩、イセチオン酸塩、シリコーン含有界面活性剤、第二級アルカンスルホン酸塩、アルキルメチルエステルスルホン酸塩、アルファオレフェンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルコール硫酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた、請求項1記載の洗剤。
【請求項4】
前記アニオン性界面活性が、直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩を含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項5】
前記直鎖のアルキルベンゼンスルホン酸が、直鎖ドデシルベンジルスルホン酸またはその塩を含む、請求項4記載の洗剤。
【請求項6】
前記ノニオン性界面活性剤が、アルコールエトキシレートを含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項7】
前記アルコールエトキシレートが、1〜15モルのエチレンオキシドを含むC〜C18アルコールを含む、請求項6記載の洗剤。
【請求項8】
前記ノニオン性界面活性剤が、1〜15モルのエチレンオキシドを含む、C〜C18アルコールを含む狭い範囲のアルコールエトキシレートを含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項9】
約5質量%〜約85質量%の前記ノニオン性界面活性剤を含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項10】
前記洗剤組成物が、約0質量%〜約20質量%の両性界面活性剤を含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項11】
前記両性界面活性が、両性ジカルボン酸、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた、請求項1記載の洗剤。
【請求項12】
更に溶媒を含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項13】
前記溶媒が、水、グリセリン、グリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリアセテート、ジアミン、脂肪族グリコールエーテル、アリールグリコールエーテル、アラルキルグリコールエーテル、脂肪族ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、エステル、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた、請求項13記載の洗剤。
【請求項14】
粘度調節剤、香料、染料、顔料、ビルダー、硬水沈殿の閾値阻止剤、固化助剤、漂白剤、漂白活性剤、殺菌剤、pH緩衝剤、加工助剤、活性蛍光性白化成分、消泡剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた随意の成分を更に含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項15】
付加的な界面活性剤を更に含む、請求項1記載の洗剤。
【請求項16】
前記付加的な界面活性剤が、カチオン性第四級アンモニウム化合物を含む、請求項16記載の洗剤。
【請求項17】
前記洗剤が、ノニルフェノールエトキシレート化合物を実質的に含まない、請求項1記載の洗剤。
【請求項18】
加熱された洗濯プロセスの間の、物品の表面からの煙の生成を低減または排除する方法であって、
(a)該物品を、
(i)アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤もしくはそれらの混合物を含む発煙低減性界面活性剤パッケージ;および
(ii)所定の量の遊離アルコールを有するノニオン性界面活性剤を含む洗浄性界面活性剤、
を含む洗剤組成物であって、
該洗剤組成物が、約1.4:1の発煙低減性界面活性剤パッケージ対遊離アルコールのモル比を有しており、かつ該洗剤が実質的にリンを含まない、洗剤組成物で洗浄すること;ならびに、
(b)加熱された洗濯プロセスにおいて該洗浄された物品を処理すること、
を含んでなる方法。
【請求項19】
前記物品が、布地を含む、請求項19記載の方法。
【請求項20】
前記布地が、ポリエステル、綿およびそれらの混合物からなる群から選ばれた材料を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記布地が、少なくとも60%のポリエステルを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記加熱された洗濯プロセスが、前記物品をスチームトンネルに通すこと、前記物品にアイロン掛けすること、またはそれらの組み合わせを含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記洗濯プロセスの間の前記物品の表面温度が、少なくとも約270°Fである、請求項19記載の方法。
【請求項24】
前記洗剤が、粘度調節剤、香料、染料、顔料、ビルダー、硬水沈殿の閾値阻止剤、固化助剤、漂白剤、漂白活性剤、殺菌剤、pH緩衝剤、加工助剤、活性蛍光性白化成分、消泡剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれた随意の成分を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項25】
前記洗剤が、ノニルフェノールエトキシレート化合物を実質的に含まない、請求項19記載の方法。
【請求項26】
洗浄される前記物品が、施設的サービス、食品提供サービス、および健康産業からなる群から選ばれた産業における物品である、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公表番号】特表2013−518966(P2013−518966A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551729(P2012−551729)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050536
【国際公開番号】WO2011/095960
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(510250467)イーコラブ ユーエスエー インコーポレイティド (16)
【Fターム(参考)】