説明

発熱体収納室の冷却システム

【課題】従来の空調機より消費電力を大幅にへらし、環境エコに適した発熱体収納室の冷却システムとする。
【解決手段】発熱体収納室内の温度調節に間接式気化式冷却装置を使用し、この発熱体収納室内に外気を導入せず、この発熱体収納室の空気を間接式気化式冷却装置に供給して冷却し、冷却された空気を発熱体収納室内に供給する室内空気を循環して温度上昇を抑制する発熱体収納室の冷却システムの構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器(IT機器)、リチューム電池などの発熱体を配置した収納室内を一定の温度範囲に制御する発熱体収納室の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電気部品などを収納した収納体はこれら部品が動作しているときは収納体内全体が加熱され電気機器の悪影響を及ぶすことになっており、そのために古くから収納体の冷却方法が開発され利用されている。しかし、小型の機器類では電子盤など使用したり、送風機を使用するなど行われてそれほど問題にはなっていないが、大型のデータセンターなどでは大型冷凍機器が使用され、電力消費量も膨大なものになっており、昨今の環境エコに適さず、電力使用量の削減が課題になっている。
従来のデータセンターの冷却システムは、コンピュータ室の電気機器(IT機器)から発生する熱による温度上昇を冷却するために一般的な水冷式、冷凍機などを使用した空調装置による冷却が行われている現状である。例えば、空調装置による冷気を送風機によりコンピュータ室内に供給して温度・湿度調節するものが一般的に利用されている。このような空調装置は室内の温度・湿度が人体に悪影響を及ぼさないようにコンピュータ室内では温度ばかりではなく、湿度も一定の範囲になるように調節する必要があり、送風機、圧縮器、熱交換器など多数配置したもので、コンピュータ室の温度上昇を抑制するために多大な電力使用量を費やし、年間数億の電気料金を支払っている現状である。データセンターの冷却システムとしては環境エコの省エネ時代にそぐわないものが多かった。例えば、特開2010−61446号公報は発熱体である電気機器を搭載したコンピュータラックの最上部に冷却ユニットを配置すると共にコンピュータ室の天井に換気装置を配置して、コンピュータラック内に発生したエアーを室外部に排気し、新鮮なエアーを室内に導入するもので、冷却ユニットはエバポレータ、圧縮器、コンデンサなどを備えたものである。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2010−61446号公報第1頁
【特許文献2】 特開2010−231491号公報第1頁
【特許文献3】 特開2009−272463号公報第1頁
【0004】
特許文献1は、電子機器を搭載したコンピュータラックごとに冷却ユニットを配置すると共にコンピュータ室の天井に外気を導入する換気装置を配置するもので、多くの冷却ユニットを必要とし、多大の電力使用量を必要とするものである。また、特許文献2には圧縮機などの冷凍装置を配置し、外気を導入し冷却した空気が床下から噴出しラック内を冷却し室内の空気を外部に排気するものである。これら空調機器は多くは、温度・湿度の調整が行われるために、圧縮器、熱交換器、送風機など多数配置してコンピュータ室に冷気を供給している。
また、最近では、コンピュータ室の冷却のための電力消費量を軽減するために無駄を改善するために外気を導入し、循環冷却、外気冷却によって、加湿しながら冷却する調整する方法も提案されている。しかし、この方法では外気を導入する為に湿度の調整が必要であり、複雑な工程による制御装置が必要であり、電力使用量も少なからず多かった。
【0005】
データセンター内の冷却方式としては通常冷凍式空調機が使用されているので1個所の電力使用量は年間18万KWh(概算)と非常に多く、昨今地球温暖化に端を発する環境負荷の低減、省エネへの取り組みからして好ましいものではない。そこで、新しい冷却方式として、外気冷却方式が開発されているが、外気をコンピュータ室内に供給する際に夏季と冬季及びその中間期において冷却方式を変更するなど、複雑な装置を必要としていた。特に、冬季においては外気・排気混合・加湿による工程を必要とし、年間の電力使用量が概算で63000KWhである。
また、発熱体収容室の冷却方式として特許文献3に記載の発明も提案されているが、熱交換素子を収納体の天井に配置し、該熱交換素子の下側に収納室内の空気を循環させ、上側に外気を循環する方式であるが、熱交換素子に供給する電力使用量も多いものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の発熱体収納室の冷却システムは、前記従来の発熱体収納室における冷却効率を改善し、省力エネルギーによる従来の電力使用量の半分以下にした全体がコンパクトな発熱体収納室の冷却システムを提供するものである。
本発明は、外気を発熱体収納室内に導入することもなく、収納室内の空気を加湿することなく温度を下げることにより、電力使用量を軽減する発熱体収納室の冷却システムを提供する。
本発明の課題は、熱交換率を上げ、発熱体収納室内の空気を間接式気化式冷却装置との間で循環するだけで収納室の発熱体などによって発生する熱を冷却するもので、最大限の熱交換効率で発熱体収納室内の温度を一定の範囲に維持する発熱体収納室の冷却システムを提供することである。
【0007】
特に、発熱体であるIT機器を備えたコンピュータラックを多数配列したコンピュータ室内の冷却に適したデータセンターの冷却システムを提供することである。
【0008】
本発明の課題は、発熱体収納室の冷却システムに使用する冷却装置としては本発明者等が先に提案した間接式気化式冷却装置を採用することで、この間接式気化式冷却装置は、積層した仕切り版によって形成される空間を交互に配列してドライ・チャネルとウエット・チャネルを形成し、ドライ・チャネル内に発熱体収納室内の空気を導入して冷却して発熱体収納室に供給し、発熱体収納室内の内気循環型の発熱体収納室の冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、以下の構成によって達成できる。
発熱体収納室内の温度調節に間接式気化式冷却装置を使用し、この発熱体収納室内に外気を導入せず、この発熱体収納室の空気を間接式気化式冷却装置に供給して冷却し、冷却された空気を発熱体収納室内に供給する室内空気を循環して温度上昇を抑制する冷却システムである。
【0009】
本発明の前記課題は、前記発熱体が、電気機器、IT機器、電気部品の発熱体であり、該発熱体の動作中に発生する発熱体収納室内の温度上昇を抑制する発熱体収容室の冷却システムで達成できる。
【0010】
本発明の前記課題は、電気機器を載置したコンピュータラックを配列するコンピュータ室内に外気を導入することなく、コンピュータ室内の空気を間接式気化式冷却装置に供給し、該空気が間接式気化式冷却装置によって冷却し、この空気をコンピュータ室内に給気する室内空気の循環方式によって、コンピュータ室内の温度制御を行い、コンピュータ室内を適温、適湿度を維持するデータセンターの冷却システムによって達成できる。
【0011】
本発明の前記課題は、気化現象を生じさせるためのウエット・チャネルと被冷却空気を通すドライ・チャネルとの間に流路基盤を配置して、これらウエット・チャネルとドライ・チャネルとを交互に配置するように積層して配列し、前記ウエット・チャネル内の水の気化現象により前記流路基盤を冷却し、隣接する前記ドライ・チャネル内に流入した空気を冷却する間接式気化式冷却装置によってコンピュータ室内の温度、湿度を調節するデータセンターの冷却システムによって達せできる。
【0012】
本発明の前記課題は、前記間接式気化式冷却装置からコンピュータ室内に供給する空気の温度が18〜27℃になるように前記ウエット・チャネル内を通過する空気の風量を調節制御するデータセンターの冷却システムによって達成できる。
【0013】
本発明の前記課題は、コンピュータ室内から間接式気化式冷却装置に供給される空気の温度が37〜39℃になるようにドライ・チャネル内を通過する空気の風量を調節制御するデータセンターの冷却システムによって達成できる。
【0014】
本発明の発熱体収納室の冷却システムは、発熱体収納室内に間接式気化式冷却装置を配置してもよく、多数の発熱体であるIT機器を載置したコンピュータラックを有するコンピュータ室に隣接して間接式気化式冷却装置を設置し、両者を配管にて連結してコンピュータ室内部空気を循環することもできる。
【0015】
本発明の発熱体収納室の冷却システムは、図1に示されるように発熱体収納室に隣接して間接式気化式冷却装置を配置し、両者を配管によって連結し、発熱体収納室内の空気を循環することによって発熱体収納室を冷却する。
その一例として図3に示されるように間接式気化式冷却装置とデータセンター内と直結し、データセンター内のコンピュータ室へ外気を導入することなく、間接式気化式冷却装置との間に空気を循環するのみでコンピュータ室内の温度上昇を抑制することにより、従来のようにコンピュータ室内を加湿することなく一定の温度湿度を維持する。
【0016】
本発明の発熱体収納室の冷却システムは、発熱体収納室内に外気を導入することなく、間接式気化式冷却装置からの給気のみ循環して温度を一定の範囲に維持する。但し、該発熱体収納室内に出入りする人がいる場合もあるので、このようなときは補助冷凍機を動作して湿度調節は自動的に行うものである。コンピュータ室内の湿度は湿度が高いと機器類に結露を生じ、乾燥しすぎると静電気の発生の恐れがある。
【0017】
本発明の発熱体収納室の冷却システムは、前述のようにウエット・チャネルとドライ・チャネルとを配列した間接式気化式冷却装置のドライ・チャネル内に発熱体収納室内の空気(RA)を導入し、冷却して間接式気化式冷却装置から排気される空気(SA)をコンピュータに供給する循環方式である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発熱体収納室の冷却システムは、発熱体収納室内に外気を導入しないから外気の湿度調節が必要なく、間接式気化式冷却装置において空気の温度のみ下降させ、湿度の変更がなく、空気を冷却することができるので、発熱体収納室内が常に一定の湿度が維持される。そのため、一般的な空調機に必要な水冷却装置、熱交換器などを必要としないから、少ない電力で充分なる冷却効果がある。
【0019】
本発明の冷却システムは、間接式気化式冷却装置に水を供給するが、これは冷却水のように大量に必要とするものではなく、ウエット・チャネル内の気化熱を必要とする少量の水が必要だけである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の発熱体収納室の冷却システムの概略図である。
【図2】本発明冷却システムのフロー図である。
【図3】本発明冷却システムの実施形態としてコンピュータ室を使用した概略図である。
【図4】図3の実施例のコンピュータ室内の概略を示す説明図である。
【図5】本発明の発熱体収納室の冷却システムを採用したコンピュータ室内の年間温度変化を示し、(a)はSAの温度、RAの温度、OAの温度の変遷を表すグラフである。(b)は温度制御に必要な間接式気化式冷却装置内の送風量の変化を示すグラフである。
【図6】図5の冷却システムの年間電力使用量を示し、(a)は間接式気化式冷却装置の送風機の動力による電力使用量、(b)は間接式気化式冷却装置内に供給する年間給水量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の発熱体収納室の冷却システムについて図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1に示されるように発熱体収納室2と間接式気化式冷却装置1とを配管3によって連結し、発熱体収納室2の空気を間接式気化式冷却装置1との間で循環して発熱体収納室2内の空気を冷却する。
【0022】
本発明の発熱体収納室の冷却システムは、間接式気化式冷却装置1の発熱体収納室2から流入する空気(RA)の温度を検出すると共に該空気が間接式気化式冷却装置1内で冷却されて発熱体収納室2へ供給する空気(SA)の温度を検出して間接式気化式冷却装置1のドライ・チャネル、ウエット・チャネル内に流れる空気の送風量を制御して発熱体収納室2内の温度を適温にする。
【0023】
図4に示す実施形態の多数のコンピュータラックを配列したコンピュータ室22に隣接して間接式気化式冷却装置1が配置してある。個々のコンピュータラック3の底部に送風機4が設置され、ラック内の空気を循環するようになっている。
【0024】
本発明に使用する間接式気化式冷却装置1は出願人が開発した特許4565417号公報などに記載されているものを使用する。例えば、流路基盤で仕切られたウエット・チャネルとドライ・チャネルとを交互に積層して構成し、ウエット・チャネル内に外気を導入すると共に水分を供給し、他方、ドライ・チャネル内には発熱体収納室2からの空気(RA)を供給し、この間接式気化式冷却装置1内において熱交換を行って冷却して空気(SA)を発熱体収納室2へ還気する。ドライ・チャネル内では湿度の調節は行われず、ウエット・チャネル内の気化現象による流路基盤の冷却によりドライ・チャネル内の空気は冷却されて発熱体収納室2に供給される。
【0025】
本発明発熱体収納室の冷却システムの間接式気化式冷却装置1の冷却部のウエット・チャネル及びドライ・チャネルに空気を流す方法については、それぞれ独立した送風機によって各チャネル内は常に一方向に空気を流す。このそれぞれのチャンネル内の送風量は発熱体収納室内の温度を適温にするために制御する。
【0026】
本発明の発熱体収納室の冷却システムはについて、コンピュータ室22内に配列したコンピュータラック3内の発熱体としての電気機器(IT機器)によって加熱されたコンピュータ室22内の空気(RA)は間接式気化式冷却装置1のドライ・チャネル内に供給し、このドライ・チャネル内において湿度は一定で温度のみ下降させてコンピュータ室2内に供給することになるからコンピュータ室22内の空気を循環するのみでコンピュータ室2内の温度を18〜27℃に維持することになる。
【0027】
コンピュータ室22へ供給する空気(SA)温度は、間接式気化式冷却装置1のドライ・チャネルの空気流入口、空気流出口に設置した温度センサー及びウエット・チャネルに設置した温度センサーにより温度を検知してドライ・チャネル及びウエット・チャネル内を通過する風量を調節して制御する。
【実施例】
【0028】
実験に使用した間接式気化式冷却装置1はウエット・チャネルとドライ・チャネルとを積層してある小型の冷却器を複数配置したものである。
本発明の実施例としてコンピュータラックを配列したコンピュータ室内の年間の温度変化状態を図5−(a)に示す。
【0029】
このグラフが示すようにコンピュータ室22内に供給される空気(SA)は18〜27℃に保たれている。また、コンピュータ室22から間接式気化式冷却装置1へ供給される空気(RA)は37〜39℃に保たれている。
【0030】
以上のような温度管理をおこなうために年間を通してドライ・チャネル及びウエット・チャネル内に供給する風量は図5−(b)のように調節する。このような送風量の制御によって前述のような温度管理を行うことができる。
【0031】
この場合の送風機による年間の電力使用量は図6に示すグラフに示されるとおり年間13,300KWであった。このときに間接式気化式冷却装置のウエット・チャネル内に供給される水使用量は毎時50〜90リットルであった。年間で440立方米となる(図6−b参照)。この
【0032】
本発明の発熱体収納室の冷却システムにおける年間電力使用量であるが、従来の冷却方式と比較して表で示す。
【表1】

【0033】
この表1から明らかなように本発明の冷却システムにおいて、電力使用量は従来の冷凍式空調機を使用した冷却方式の約10分の1である。
従って、コンピュータ室22内に外気を導入したり、室内の空気を室外へ排出する換気装置を必要としない。そのため従来の空調冷凍機を使用するものに比較して電力使用量を軽減することができる。
本発明の冷却システムに使用する補助冷凍機はコンピュータ室内に人が出入りするときに室内の湿度を調節するためもので、規格によって定められている。
【0034】
本発明の発熱体収納室の冷却システムに使用する間接式気化式冷却装置は、加工しやすく、軽量なものがよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの多孔質プラスチックによって型造されたものが、大量生産が容易で、安価である。また、プラスチックダンボールなどによって形成したものはこの芯体の中空内に空気を流通させて効率よく、熱交換することができる。更に、軽量の薄板のアルミニュウ板なども使用することができる。
【0035】
この流路基盤としての多孔質プラスチックの片側、すなわち、ウエット・チャネル側の表面に形成する親水性の膜層として、織布、不織布などの紙やシートを貼り付けたものがよく、また表面に静電植毛によって短繊維の膜層を設けてもよい。この親水性の膜層の表面に酸化チタン、シリカゲルなどの吸着剤を塗布すると保水力が増加する。そのため気化効率がよい。
【0036】
本発明の発熱体収納室の冷却システムの間接式気化式冷却装置は、ウエット・チャネルとドライ・チャネルの間で、湿度・水分の移動があってはならないので、両チャネルの隔壁としては水を透過しないポリプロピレン等のプラスチックを使用するのが好ましい。このプラスチックの隔壁は熱交換効率を最大にする為に、厚み0.3mm程度にするのが好ましい。
【0037】
ウエット・チャネル及びドライ・チャネルを形成するには、1〜5mmの空間を作る為には多孔質プラスチックで一体成型が可能で、この多孔質プラスチックの表面に略菱形の幅5mm、高さ3mm程度の流線型のスペーサー2を突設形成して配置すると空気の乱流を防ぐことができる。
【0038】
多孔質プラスチックの基盤は表面が滑面であるから多孔質プラスチックの板表面に、水を湿潤させる為の膜層が設けてある。この膜層としての材料はセルロース等の紙又はポリプロピレンが適当である。この膜層の厚みとしては0.1mm〜0.5mm位が適当である。
【0039】
本発明の発熱体収納室の冷却システムの間接式気化式冷却装置1のウエット・チャネル内における気化現象を最大に生じせしめる為には、ウエット・チャネルに導入される水量はじわっと湿っている程度が適正であり、水が流れる様な状態では気化現象が逆に少なくなってしまう。その為には、前記膜層に吸着剤を含浸させておき、湿潤膜に水を保持させる。例えば、シリカゲル、スポンジ状酸化チタンなどの吸着剤を被覆する。
【0040】
ウエット・チャネル側に導入する空気の量は、100%利用する。ドライ・チャネル内を通過する空気も100%利用してコンピュータ室内に供給することができる。ウエット・チャネルに流入した空気は、ウエット・チャネル内で気化現象を生じさせた後はウエット・チャネルの排気口より機外へ排気される。このウエット・チャネルから排気される加湿された空気を室内に供給することにより加湿器として利用できる。
【0041】
本発明発熱体収納室の冷却システムに使用する間接式気化式冷却装置の流路基盤は、流路基盤面に間隔を規制する流線型のスペーサーを多数突設形成して配列するとともにこの流路基盤の表面にエンボスによる多数の凸部(裏面にくぼみティンプル)を形成してあるものを使用できる。更に、前記凸部により流路基盤の表面積を拡大してあるから熱交換効率に優れるばかりでなく、多孔質合成樹脂(プラスチック)による軽量化により、装置全体を軽量に構成することができる。
【0042】
また、ウエット・チャネルとドライ・チャネル内における空気の流れが並行流になっているから、効率よく冷却空気を発生することができ、ドライ・チャネル、ウエット・チャネル内に送り込む空気を100%利用することで効率がよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の発熱体収納室の冷却システムは、水の気化現象のみを利用して空気の冷却を行うものであり、一切の冷媒ガスを使用していない。冷媒ガスの使用は地球温暖化の一因とされており、CO2削減に絶大な効果をもたらす。又、ヒートポンプなどの圧縮機を使用しない為に電気、ガス等のエネルギーを一切使用しないので利用価値は極めて広い。
【符号の説明】
【0044】
1 間接式気化式冷却装置
2 発熱体収納室
22 コンピュータ室
3 コンピュータラック
SA 給気
RA 排気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体収納室内の温度調節に間接式気化式冷却装置を使用し、この発熱体収納室内に外気を導入せず、この発熱体収納室の空気を間接式気化式冷却装置に供給して冷却し、冷却された空気を発熱体収納室内に供給する室内空気を循環して温度上昇を抑制することを特徴とする発熱体収納室の冷却システム。
【請求項2】
前記発熱体が、電気機器、IT機器、電気部品の発熱体であり、該発熱体の動作中に発生する発熱体収納室内の温度上昇を抑制することを特徴とする請求項1に記載の発熱体収納室の冷却システム。
【請求項3】
電気機器を載置したコンピュータラックを配列するコンピュータ室内に外気を導入することなく、コンピュータ室内の空気を間接式気化式冷却装置に供給し、該空気が間接式気化式冷却装置によって冷却し、この空気をコンピュータ室内に給気する室内空気の循環方式によって、コンピュータ室内の温度制御を行い、コンピュータ室内を適温、適湿度を維持することを特徴とするデータセンターの冷却システム。
【請求項4】
気化現象を生じさせる為のウエット・チャネルと被冷却空気を通すドライ・チャネルとの間に流路基盤を配置して、これらウエット・チャネルとドライ・チャネルとを交互に配置するように積層して配列し前記ウエット・チャネル内の水の気化現象により前記流路基盤を冷却し、隣接する前記ドライ・チャネル内に流入した空気を冷却する間接式気化式冷却装置によってコンピュータ室内の温度、湿度を調節することを特徴とする請求項3に記載のデータセンターの冷却システム。
【請求項5】
前記間接式気化式冷却装置からコンピュータ室内に供給する空気の温度が18〜27℃になるように前記ウエット・チャネル内を通過する空気の風量を調節制御することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のいずれか1つのデータセンターの冷却システム。
【請求項6】
コンピュータ室内から間接式気化式冷却装置に供給される空気の温度が37〜39℃になるようにドライ・チャネル内を通過する空気の風量を調節制御することを特徴とする請求項3乃至請求項5に記載のいずれか1つのデータセンターの冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113682(P2012−113682A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278600(P2010−278600)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(599073490)株式会社アースクリーン東北 (25)
【Fターム(参考)】