説明

発熱性食品加熱容器

【課題】組み立てが容易であり、そして簡単な操作によって食品を加熱することができる発熱性食品加熱容器を提供すること。
【解決手段】断熱性材料からなる底板と底板の周縁に立設された断熱性材料からなる壁体とからなる容器に、この容器の外部に露出した開封具を持たない水を内包する易引裂性水袋および水との接触により発熱する発熱剤を内包する水浸透性発熱剤袋を収容してなる発熱ユニット、この発熱ユニットの上部に、発熱ユニットに対して繰り返しの着脱が可能なようにはめ合わされた状態にて重ねられた上面に開口を有する食品容器、そして食品容器の開口を着脱可能に塞ぐ蓋体からなる発熱性食品加熱容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱性食品加熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品(例、ご飯や総菜など)を加熱するための発熱具を備えた発熱性食品加熱容器は知られている。このような発熱性食品加熱容器は、上面が開口している箱体、この箱体の底部に収容されている発熱具、上記の箱体の内部にて発熱具の上方に配置されている食品容器、そして箱体の開口を塞ぐ蓋体などから構成されている。
【0003】
通常、前記の発熱性食品加熱容器の発熱具としては、水との接触により発熱する発熱剤(例、生石灰)を収容した水不透性の発熱剤袋と、この発熱剤用の水を収容した水袋とが重ねて配置され、これらの袋を切り裂くための紐(開封具)を備えた構成の発熱具が使用されている。この発熱具は、発熱性食品加熱容器の箱体の底部に収容され、そして発熱剤袋と水袋とを切り裂くために用いる紐の一方の端部の側は、箱体に形成された孔から外部に引き出されている。
【0004】
そして、使用者(食品を食べる者)が、食前に発熱性食品加熱容器の箱体の外部に引き出されて露出している紐(開封具)を引っ張ることにより、箱体の内部で発熱剤袋と水袋との両者が紐によって引き裂かれ、そして発熱剤と水とが互いに接触そして反応することにより発生した熱及び/又は水蒸気によって食品が加熱される。このような構成の発熱具を備えた発熱性食品加熱容器は、例えば、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平11−292155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の従来の発熱性食品加熱容器を用いることにより、箱体の外部に露出した発熱具の紐(開封具)を引っ張るという簡単な操作によって、食品容器に入れた食品を食前に適度な温度に加熱することができる。しかしながら、従来の発熱性食品加熱容器は、発熱剤袋及び水袋を紐で切り裂く発熱具の構成が複雑であり、また箱体に発熱具の紐を外部に露出させるための孔を形成する必要があり、さらに発熱具を箱体に収容したのちに発熱具の紐を箱体に形成された孔を通して外部に露出させる必要があるため、その組み立てに手間がかかる。従って、従来の発熱性食品加熱容器は、その製造コストの低減に限界がある。
【0006】
本発明の課題は、組み立てが容易であり、そして簡単な操作によって食品を加熱することができる発熱性食品加熱容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、断熱性材料からなる底板と底板の周縁に立設された断熱性材料からなる壁体とからなる容器に、水を内包し、この容器の外部に露出した開封具を備えていない易引裂性水袋および水との接触により発熱する発熱剤を内包する水浸透性発熱剤袋を収容してなる発熱ユニット、この発熱ユニットの上部に、発熱ユニットに対して繰り返しの着脱が可能なようにはめ合わされた状態にて重ねられた上面に開口を有する食品容器、そして食品容器の開口を着脱可能に塞ぐ蓋体からなる発熱性食品加熱容器にある。
【0008】
本発明の発熱性食品加熱容器の好ましい態様は、次の通りである。
(1)発熱ユニットの容器の壁体が、発泡樹脂製の外側壁体と水蒸気不透過性内側壁体との二重構造の壁体である。より好ましくは、食品容器が底板と底板の周縁に立設された壁体とからなり、この壁体が発泡樹脂製の外側壁体と水蒸気不透過性内側壁体との二重構造の壁体である。更に好ましくは、発熱ユニットの容器の外側壁体の上に食品容器の外側壁体が載置され、食品容器の内側壁体が発熱ユニットの内側壁体にはめ合い構造によって繰り返しの着脱が可能なように仮固定されている。この発熱ユニットの容器の外側壁体と食品容器の外側壁体は共に10〜50mmの範囲の高さを持つことが特に好ましい。
(2)食品容器に水蒸気の透過を可能にする孔部が設けられている。
(3)食品容器が中央部から周縁に向かって放射状に伸びる複数本の溝を下面に備えた底板を有する容器である。
(4)発熱ユニットの容器の底板の上面に凹部が設けられていて、この凹部に発熱剤袋が収容されている。
(5)発熱ユニットの容器の底板の上面に中央底部と中央底部に向かって周縁部より下降する傾斜面とが設けられていて、この中央底部に発熱剤袋が収容されている。
(6)食品容器がその底板の下面にて発熱ユニットの容器に収容されている発熱剤袋と接触状態にある。
(7)発熱剤袋と水袋とが重ねられて積層体を形成していて、食品容器がその底板の下面にて、上記積層体と接触状態にある。
(8)発熱ユニットの容器の底板の上面あるいは下側に多孔性の断熱シートが備えられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発熱性食品加熱容器は、発熱ユニットの容器の内部に収容する水袋として、この容器の外部に露出する(即ち外部に引き出された)開封具を備えていない水袋を用いるために、その組み立てが容易である。また、本発明の発熱性食品加熱容器は、発熱ユニットから食品(ご飯や総菜)を入れた食品容器を取り外し、次いで発熱ユニットの容器に収容されている水袋を取り出して、この水袋を引き裂いて容器の内部に水を流し込んで発熱剤を水と接触させて発熱させ、そして食品容器を発熱ユニットの上に重ねて配置して取り付けるという簡単な操作によって、食品容器に入れた食品を加熱することができる。
【0010】
更に、発熱ユニットの容器の底板の上面に中央底部に向かって周縁部より下降する傾斜面が設けられ、この中央底部に発熱剤袋が収容されていると、使用者が水袋の水を容器の発熱剤が置かれていない場所に流し込んだ場合、あるいは発熱ユニットが置かれたテーブル等が傾いていた場合であっても、この水が前記斜面を流れて発熱剤に確実に接触する。このため、使用者は、特に意識して発熱ユニットの容器の特定の場所に水を流し込む必要がなくなるために、更に簡単な操作によって食品容器に入れた食品を確実に加熱することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の発熱性食品加熱容器の構成例を示す斜視図であり、図2は、図1の発熱性食品加熱容器10の分解斜視図であり、そして図3は、図1に記入した切断線III−III線に沿って切断した発熱性食品加熱容器10の断面図である。
【0012】
図1〜図3に示す発熱性食品加熱容器10は、断熱性材料からなる底板11と底板11の周縁に立設された断熱性材料からなる壁体12とからなる容器15に、水16を内包し、容器15の外部に露出した開封具を持たない易引裂性水袋17および水との接触により発熱する発熱剤18を内包する水浸透性発熱剤袋19を収容してなる発熱ユニット20、発熱ユニット20の上部に、発熱ユニット20に対して繰り返しの着脱が可能なようにはめ合わされた状態にて重ねられた上面に開口を有する食品容器35、そして食品容器35の開口を着脱可能に塞ぐ蓋体41から構成されている。
【0013】
このように、本発明の発熱性食品加熱容器10は、発熱ユニット20の容器15の内部に収容する水袋として、容器15の外部に露出させる開封具を備えていない水袋17を用いるため、従来の発熱性食品加熱容器と比較して、容器の外部に露出させる開封具を持つ複雑な構成の発熱具を用いる必要がなく、そして容器に開封具を外部に露出させるための孔を形成し、開封具を箱体の孔を通して外部に露出させる必要がないために、その組み立てが容易である。
【0014】
発熱性食品加熱容器10は、使用者(食品を食べる者)が、図4に示すように発熱ユニット20から食品(例、ご飯や総菜)を入れた食品容器35を取り外し、次いで容器15に収容されている水袋17を取り出して、この水袋17を引き裂いて容器15の内部に水16を流し込み、水浸透性発熱剤袋19の中に入れられた発熱剤を水と接触させて発熱させ、続いて図5に示すように食品容器35を発熱ユニット20の上に重ねて配置して取り付けるという簡単な操作によって、食品容器35に入れた食品を素早く加熱することができる。
【0015】
図1〜図3に示す発熱ユニット20の容器15の底板11や壁体12は、耐熱性材料、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂あるいはポリプロピレン樹脂に代表される樹脂材料から形成される。耐熱性材料としては、耐熱温度が高いことからポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。
【0016】
図2及び図3に示すように、発熱ユニット20の容器15の壁体12は、発泡樹脂製の外側壁体13と水蒸気不透過性内側壁体14との二重構造の壁体であることが好ましい。このような二重構造の壁体12を有していると、発熱ユニット20の上部に、食品容器35を内側壁体14の外側にはめ合わせて容易に重ねて配置することができる。これにより使用者による発熱ユニット20に対する食品容器35の取り外しや取り付けが容易になる。なお、外側壁体13を形成する発泡樹脂の樹脂材料の例は、上記の耐熱性材料として用いる樹脂材料の場合と同様である。また、水蒸気不透過性の内側壁体14は、外側壁体13の場合と同様の樹脂材料、あるいは、耐水加工の施された厚紙や段ボールシートなどの紙材(例、表面にアルミニウム箔、樹脂フィルムあるいは発泡シートが貼り付けられた紙材)から形成される。
【0017】
図2及び図3に示すように、発熱ユニット20の容器15の底板11の上面に凹部21が設けられていて、この凹部21に発熱剤袋19が収容されていることが好ましい。凹部21が形成されていると、使用者が発熱性食品加熱容器10を持ち運ぶ際の振動による容器15の内部での発熱剤袋19の移動が抑制され、発熱剤袋19が容器15の所定位置(発熱性食品容器10の場合には凹部21が形成されている容器15のほぼ中央の位置)に安定に配置される。このため、使用者の発熱性食品加熱容器10の持ち運び方に依らずに食品を均一に加熱することが容易になる。
【0018】
また、発熱ユニット20の容器15の底板11の上面に中央底部(発熱性加熱容器10の場合には凹部21)と中央底部に向かって周縁部より下降する傾斜面22とが設けられていて、この中央底部に発熱剤袋19が収容されていることが好ましい。このような傾斜面22が設けられていると、使用者が水袋17の水16を容器15の発熱剤袋19が置かれていない場所に流し込んだ場合、あるいは発熱ユニット20が置かれたテーブル等が傾いていた場合であっても、この水が斜面22を流れて発熱剤18に確実に接触する。このため、使用者は発熱ユニット20の容器15の特定の場所に水を流し込む必要がなくなるために、更に簡単な操作によって食品容器35に入れた食品を確実に加熱することができるようになる。
【0019】
前記のように、発熱ユニット20の容器15の内部には、水16を内包する易引裂性水袋17および発熱剤18を内包する水浸透性の発熱剤袋19が収容される。
【0020】
易引裂性水袋17は、例えば、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルムもしくはポリ塩化ビニル樹脂フィルムなどの樹脂フィルム、あるいはアルミニウム箔に代表される金属箔などから形成され、通常は一軸延伸された樹脂フィルムから形成される。この水袋17に切り込み17aが形成されていると、使用者による水袋17の引き裂きが容易になる。なお、「易引裂性」とは、使用者が水袋17を手で引き裂き可能であることを意味しており、水袋17に切り込み17aが設けられた状態にて引裂き可能であることも含まれる。
【0021】
発熱剤18を入れる水浸透性の発熱剤袋19としては、例えば、不織布に代表される布製の袋が用いられる。また、発熱剤18としては公知のもの、例えば、生石灰粉末、特に好ましくは生石灰粉末とアルミニウム粉末との混合物などが用いられる。生石灰粉末とアルミニウム粉末との混合物からなる発熱剤は、例えば、特開2001−226668号公報に詳細に記載されている。
【0022】
なお、図3に示すように、発熱ユニット20の容器15の底板11の下側に多孔性の断熱シート(例えば、発泡樹脂シートや段ボールシート)23aが備えられてことが好ましい。上記のように発熱ユニット20の容器15の底板11は断熱性材料から形成されている。この底板11の下側に、更に多孔性断熱シート23aを付設することによって、使用者が発熱性食品加熱容器10の下面を手で触れた際の火傷あるいは不快感の発生を効果的に抑制することができるからである。
【0023】
図2及び図3に示すように、食品容器35は、底板31と底板31の周縁に立設された壁体32とからなり、この壁体32が発泡樹脂製の外側壁体33と水蒸気不透過性内側壁体34との二重構造の壁体であることが好ましい。このような二重構造の壁体32を備えていると、食品容器35の側面外側方向への熱伝達が抑制されるため、加熱された食品の保温性が良好になる。食品容器35の外側壁体33及び内側壁体34の材料の例は、発熱ユニット20の容器15の外側壁体13及び内側壁体14の場合と同様である。
【0024】
食品容器35には、発熱剤18の発熱によって発生する水蒸気の透過を可能にする孔部36が設けられていることが好ましい。これにより、発熱剤18にて発生した熱により食品容器35に入れた食品を容器35の底板31の下側から加熱すると共に、発熱剤18の発熱により発生した水蒸気が孔部36を通って図3に記入した破線の矢印が示すように食品の上方へと流れ込み、この水蒸気によって食品を上方からも加熱することができるようになる。
【0025】
また、図3に示すように、発熱ユニット20の容器15の内側壁体14の頂部が、食品容器35の孔部36の外側近傍の位置まで上方に延長されていると、発熱剤18の発熱により発生した水蒸気が、食品容器35の外側壁体33と発熱ユニット20の容器15の外側壁体13との間から外部に漏れ難くなり、水蒸気の大部分が孔部36を通って食品の上方に流れるようになるため、食品容器35に入れた食品を効率良く(短時間で)加熱することができるようになる。
【0026】
図2及び図3に示すように、食品容器35は、中央部から周縁に向かって放射状に伸びる複数本の溝37(図2では溝37を底板31の上方から見ているために突起に見える)を下面に備えた底板31を有する容器であることが好ましい。このような溝37が形成されていると、発熱剤18の発熱により生じた水蒸気が、食品容器15の底板31の下面を中央部から周縁に向かって円滑に流れるようになる(すなわち水蒸気が底板31の下面の全体に容易に行き渡るようになる)ため、食品容器35に入れた食品を均一に加熱することができる。
【0027】
図3に示すように、食品容器35は、その底板31の下面にて発熱ユニット20の容器15に収容されている発熱剤袋19と接触状態にあることが好ましい。上記のように、発熱ユニット20の容器15の底板11の凹部21により、発熱性食品加熱容器10を持ち運びした際の振動による容器15の内部での発熱剤袋19の移動が抑制されるが、更に食品容器35の底板31の下面が発熱剤袋19に接触していると、使用者が発熱性食品加熱容器10を粗雑に持ち運んだ場合にも、容器15の内部での発熱剤袋19の移動を効果的に抑制できるからである。
【0028】
図1及び図3に示すように、発熱ユニット20の容器15の外側壁体13の上に食品容器35の外側壁体33が載置され、食品容器35の内側壁体34が発熱ユニット20の内側壁体14にはめ合い構造によって繰り返しの着脱が可能なように仮固定されていることが好ましい。図6は、図3に記入した切断線VI−VI線に沿って切断した発熱ユニット20の内側壁体14と食品容器35の内側壁体34との仮固定部の断面図である。
【0029】
図1、図3及び図6に示すように、発熱性食品加熱容器10の場合には、発熱ユニット20の容器15の内側壁体14の外壁部14aの外側表面に複数個の凹部24が形成されており、そして食品加熱容器35の内側壁体34の外壁部34aの内側表面に上記凹部24の各々に対応する凸部38が形成されている。このような凹部24と凸部38とがはめ合わされることにより、食品容器35の内側壁体34は発熱ユニット20の内側壁体14に繰り返しの着脱が可能なように仮固定される。
【0030】
なお、食品容器35を発熱ユニット20に仮固定したのち(食品の加熱を始めたのち)に両者の仮固定を確実なものとするために、食品容器35の外側壁体33と発熱ユニット20の容器15の外側壁体13とを互いに固定する接着テープあるいはU字型のピンなどの補助的な固定具を発熱性食品加熱容器10に付属品として添付することも好ましい。
【0031】
発熱ユニット20の容器15の外側壁体13と食品容器35の外側壁体33は共に10〜50mmの範囲の高さを持つことが好ましい。これにより、使用者(食品を食べる者)が発熱ユニット20の外側壁体13と食品容器35の外側壁体33との各々を手で掴んで両者を着脱する操作が容易になるからである。
【0032】
図7は、図3に記入した切断線VII−VII線に沿って切断した食品容器35の内側壁体34と蓋体41との仮固定部の断面図である。なお、図7は、蓋体41の隅部の近傍の部位における断面を示している。
【0033】
図7に示すように、蓋体41の隅部の内側面に形成されている凹部には、食品容器35の内側壁体34の外壁部34aに形成された凸部がはめ合わされ、そして図2に示すように食品容器35の内側壁体34の外壁部34aの外側表面に形成された細長い凹部39に蓋体41の内側に突出する細長い凸部25がはめ合わされることにより、蓋体41は、食品容器35の開口を着脱可能に塞いでいる。
【0034】
この蓋体41は、使用者が食品容器35に入れた食品の内容や状態(例えば、盛り合わせ方)を見ることができるように、透明樹脂(例、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂あるいはポリスチレン樹脂など)から形成することが好ましい。
【0035】
図8は、本発明の発熱性食品加熱容器の別の構成例を示す断面図である。図8の発熱性食品加熱容器80の構成は、発熱剤袋19と水袋17とが重ねられて積層体を形成していて、食品容器35がその底板31の下面にて上記積層体と接触状態にあること以外は図1の発熱性食品加熱容器10と同様である。これにより、図1の発熱性食品加熱容器10の場合と同様に容器15の内部での発熱剤袋19の移動が抑制されると共に、使用の際に水袋17が取り出された状態では発熱剤袋19と食品容器35の底板31との間に水袋17の厚み分の隙間が形成される。このような隙間が形成されていると、発熱剤袋19に入れた発熱剤18が水と接触そして反応してその体積(すなわち発熱剤袋19の厚み)が増加した場合であっても、この体積の増加によって発熱剤袋19が食品容器35の底板31を上方に押し上げることがなくなるため、加熱の際に食品の盛り合わせ状態が崩れることもない。
【0036】
なお、図8に示すように、多孔性の断熱シート23bは、発熱ユニット20の容器15の底板11の上面(底板11と発熱剤袋19との間)に配置されていてもよい。
【0037】
このように、本発明の発熱性食品加熱容器は、その組み立てが簡単であるために製造コストが低い。このため、これまでは価格の面から発熱性食品加熱容器を用いることができなかった食品(例えば、低い価格に設定される弁当や総菜など)にも発熱性食品加熱容器を使用できるようになり、より多くの人が手軽に温かい食品を食べることができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の発熱性食品加熱容器の構成例を示す斜視図である。
【図2】図1の発熱性食品加熱容器10の分解斜視図である。
【図3】図1に記入した切断線III−III線に沿って切断した発熱性食品加熱容器10の断面図である。
【図4】図1の発熱性食品加熱容器10の使用方法について説明する図である。
【図5】図1の発熱性食品加熱容器10の使用方法について説明する別の図である。
【図6】図3に記入した切断線VI−VI線に沿って切断した発熱ユニット20の内側壁体14と食品容器35の内側壁体34との仮固定部の断面図である。
【図7】図3に記入した切断線VII−VII線に沿って切断した食品容器35の内側壁体34と蓋体41との仮固定部の断面図である。
【図8】本発明の発熱性食品加熱容器の別の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 発熱性食品加熱容器
11 底板
12 壁体
13 外側壁体
14 内側壁体
14a 外壁部
14b 内壁部
15 容器
16 水
17 水袋
17a 切り込み
18 発熱剤
19 発熱剤袋
20 発熱ユニット
21 凹部
22 傾斜面
23a、23b 断熱シート
24 凹部
25 凸部
31 底板
32 壁体
33 外側壁体
34 内側壁体
34a 外壁部
34b 内壁部
35 食品容器
36 孔部
37 溝
38 凸部
39 凹部
41 蓋体
80 発熱性食品加熱容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱性材料からなる底板と該底板の周縁に立設された断熱性材料からなる壁体とからなる容器に、水を内包し、該容器の外部に露出した開封具を備えていない易引裂性水袋および水との接触により発熱する発熱剤を内包する水浸透性発熱剤袋を収容してなる発熱ユニット、該発熱ユニットの上部に、発熱ユニットに対して繰り返しの着脱が可能なようにはめ合わされた状態にて重ねられた上面に開口を有する食品容器、そして該食品容器の開口を着脱可能に塞ぐ蓋体からなる発熱性食品加熱容器。
【請求項2】
発熱ユニットの容器の壁体が、発泡樹脂製の外側壁体と水蒸気不透過性内側壁体との二重構造の壁体である請求項1に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項3】
食品容器が底板と該底板の周縁に立設された壁体とからなり、該壁体が発泡樹脂製の外側壁体と水蒸気不透過性内側壁体との二重構造の壁体である請求項2に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項4】
発熱ユニットの容器の外側壁体の上に食品容器の外側壁体が載置され、食品容器の内側壁体が発熱ユニットの内側壁体にはめ合い構造によって繰り返しの着脱が可能なように仮固定されている請求項3に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項5】
発熱ユニットの容器の外側壁体と食品容器の外側壁体が共に10〜50mmの範囲の高さを持つ請求項4に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項6】
食品容器に水蒸気の透過を可能にする孔部が設けられている請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項7】
食品容器が中央部から周縁に向かって放射状に伸びる複数本の溝を下面に備えた底板を有する容器である請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項8】
発熱ユニットの容器の底板の上面に凹部が設けられていて、該凹部に発熱剤袋が収容されている請求項1乃至7のうちのいずれかの項に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項9】
発熱ユニットの容器の底板の上面に中央底部と該中央底部に向かって周縁部より下降する傾斜面とが設けられていて、該中央底部に発熱剤袋が収容されている請求項1乃至7のうちのいずれかの項に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項10】
食品容器がその底板の下面にて発熱ユニットの容器に収容されている発熱剤袋と接触状態にある請求項1乃至9のうちのいずれかの項に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項11】
発熱剤袋と水袋とが重ねられて積層体を形成していて、食品容器がその底板の下面にて、該積層体と接触状態にある請求項1乃至9のうちのいずれかの項に記載の発熱性食品加熱容器。
【請求項12】
発熱ユニットの容器の底板の上面あるいは下側に多孔性の断熱シートが備えられている請求項1乃至11のうちのいずれかの項に記載の発熱性食品加熱容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−275339(P2007−275339A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106281(P2006−106281)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(596064857)株式会社ヨシザワ (11)
【Fターム(参考)】