説明

発熱触媒を備えてなる排気機構

【課題】発熱触媒を備えてなる排気機構を提供する。
【解決手段】圧縮点火エンジン及び該エンジン用の排気機構を備えてなる装置であって、該排気機構が、排ガスを処理するための少なくとも一個の排気機構部品及び該少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための発熱手段を含んでなり、該発熱手段が、実質的に触媒、及び排ガス中に炭化水素を注入し、該触媒上で燃焼させるための手段からなり、該触媒が、実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方、及び所望により使用する担体材料からなる、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮点火エンジン、例えばディーゼルエンジン、用の排気機構に関し、特に実質的に触媒からなる発熱手段及び排ガス中に炭化水素を注入し、該触媒上で燃焼させる手段を備えてなる排気機構に関する。
【0002】
ディーゼル酸化触媒(DOC)は、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)及び粒子状物質(PM)の可溶性有機画分(SOF)の化学的酸化を促進するように設計されている。その他の利点には、ある種の規制されていない、HCに由来する放出物、例えばアルデヒドまたは多環式芳香族炭化水素(PAH)、の酸化、ならびにディーゼル排気の臭気を軽減または排除することが挙げられる。HCは、酸化されて二酸化炭素(CO)及び水蒸気を形成し、COはCOに酸化される。一般的に、DOCは、活性白金族金属(PGM)、典型的には白金、を含んでなる。
【0003】
クロミア、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)を含んでなるDOCが、米国特許第US−A−4,303,552号明細書から公知である。
【0004】
DOC上で起こり得るある種の酸化反応は、好ましくない生成物を発生し、事実、触媒目的に有害作用することがある。二酸化硫黄(SO)は、酸化されて三酸化硫黄(SO)になり、これが水と結合すると気体状硫酸HSOになることがある。硫酸蒸気は、さらに水蒸気と結合して硫酸粒子を発生し、これが、エンジンから出る総PM放出物の査定で粒子状物質として検出される。硫黄もDOCの酸化活性を害することがあり、これが、パラジウム触媒が市場で広く受け容れられていない重大な理由であると考えられている。
【0005】
圧縮点火エンジン、特に軽負荷ディーゼル車両(関連する規則で決められている)用ディーゼルエンジン、の排ガス温度は、比較的低く、例えば約300℃であり、そのため、触媒開発者が直面している問題の一つは、耐久性のある低温活性触媒を開発することである。燃料に由来する硫黄は、欧州連合諸国では下げることになる(2005年1月1日から、Euro 4(型式認証)ディーゼル燃料における最大硫黄含有量は、350ppmから50ppmになり、このレベルは、2010年までに恐らく10ppmに低下するであろうる)が、米国では、2007年まで、現在のレベル350ppmから下げる必要はない。
【0006】
粒子状物質に関する既存及び将来の車両放出物標準に適合させるために、圧縮点火エンジンを動力源とする車両の排気機構に粒子状物質フィルターを取り付けることが提案されている。好適なフィルター基材としては、セラミックウォールフローフィルター及び焼結金属フィルターを挙げることができる。粒子状物質の燃焼温度を、通常運転条件の際に発生する排ガス温度内に、またはそれに近くなるように下げるために、フィルターに触媒作用を付与することも公知である。しかし、軽負荷圧縮点火エンジンの排ガス温度は、触媒作用を付与したフィルターが受動的に再生するには一般的に低すぎるので、触媒作用を付与したフィルター、またはフィルターの上流にある別の触媒の上で炭化水素燃料を燃焼させることにより発生した熱でフィルターを再生することが提案されている。そのような配置は、例えば英国特許第GB−A−2064983号明細書に記載されている。
【0007】
米国特許第US−A−4,686,827号明細書は、電気的に加熱された触媒を使用し、排ガス中に注入された炭化水素燃料から発熱させ、下流のフィルターを能動的に再生する、ディーゼルエンジン用排気機構を記載している。一実施態様では、電気的に加熱される触媒は白金−パラジウムである。
【0008】
我々の国際特許第WO2004/025093号明細書は、第一の通常走行モード及び第一モードと比較してより高いレベルのCOを含んでなる排ガスを発生する第二モードで作動し得る圧縮点火エンジン、及び使用中にこれらの2モード間でエンジン作動を切り換える手段を記載しており、該エンジンは、少なくとも一種の卑金属助触媒と関連する担持されたPd触媒、及び所望により、該触媒と関連する、および/またはその下流にある担持されたPt触媒を備えてなり、第二モード作動の際にCOが担持されたPd触媒により酸化される排気機構を備えてなる。この開示によれば、排気機構中の部分的酸化触媒上にHCを注入することにより、少なくとも一個のエンジンシリンダーの点火タイミングを調節することにより、および/または少なくとも一個のエンジンシリンダーの空燃比を調節することにより、発生するCOを増加することができる。一実施態様では、Pd触媒及び関連する卑金属及び所望により使用するPt触媒成分が、ディーゼル酸化触媒を構成する。
【0009】
第US2002/0053202号明細書は、下流のNO吸収触媒及び排ガスの空燃比を周期的に高くすることと組み合わせて使用する、Pt、Pdおよび/またはロジウム(Rh)及びセリウム(Ce)の少なくとも一種を含んでなる、H供給及びSOF吸着−酸化の組み合わせ触媒を開示している。諸例は、Pt/CeO及びPt/La.SiOからなるH供給及びSOF吸着−酸化触媒を例示している。
【0010】
ここで我々は、非常に驚くべきことに、白金とパラジウムの組合せが、PtまたはPdのどちらかを単独で等しい量で使用するよりも、発熱に対する活性がより高いことを見出した。すなわち、白金とパラジウムの間には、炭化水素燃料から発熱させるための、以前には確認されていない相乗作用がある。この発見により、白金−パラジウム触媒を電気的加熱なしに使用することができるので、排気機構がより簡潔になり、触媒を電気的に加熱するための燃料損失が節約される。我々はさらに、硫黄被毒に対する耐性がより高いか、または炭化水素燃料の燃焼による発熱を利用してより簡単に脱硫できる、特定の実施態様を確認した。
本発明の一の態様
<1>
圧縮点火エンジン及び前記エンジン用の排気機構(10)を備えてなる装置であって、前記排気機構が、排ガスを処理するための少なくとも一個の排気機構部品(16)及び前記少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための発熱手段を含んでなり、
前記発熱手段が、実質的に触媒(14)、及び排ガス中に炭化水素を注入し、前記触媒上で燃焼させるための手段(15)からなり、
前記触媒が、実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方と、及び任意の担体材料からなる、装置を提案する。
<2>
前記Pd成分及び前記Pt成分が、両者共に、同じ担体材料上に担持されてなる、<1>に記載の装置を提案する。
<3>
前記Pd成分が第一担体材料上に担持され、前記Pt成分が第二担体材料上に担持されてなる、<1>に記載の装置を提案する。
<4>
前記第一担体材料上に担持されたPd成分が第一層中にあり、前記第二担体材料上に担持されたPt成分が第二層中にある、<3>に記載の装置を提案する。
<5>
前記第一層が前記第二層の下にある、<4>に記載の装置を提案する。
<6>
前記Pt成分が、前記基材モノリスの上流末端上の区域(18)に配置され、前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端上の区域(20)に配置される、<3>に記載の装置を提案する。
<7>
前記第一担体材料が前記第二担体材料と異なっている、<3>〜<6>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<8>
前記Pt成分及び前記Pd成分の少なくとも一方が、前記基材モノリス自体により担持される、<1>に記載の装置を提案する。
<9>
前記触媒中のPt:Pdの重量比が5:1〜1:5、所望により2:1〜1:2である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<10>
前記触媒中のPtとPdの総装填量が、10〜200gft−3、所望により40〜100gft−3である、<1>〜<9>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<11>
前記再生手段(14)の前記Pt成分及び前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端に配置され、前記基材モノリスの上流末端(22)が、実質的にPdを含まないPt触媒を含んでなる、<1>〜<10>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<12>
前記上流末端触媒中のPt装填量が10〜200gft−3、所望により30〜150gft−3である、<11>に記載の装置を提案する。
<13>
前記基材モノリスの前記上流末端にあるPt触媒が、担体材料上に担持されている、<11>または<12>に記載の装置を提案する。
<14>
前記または各担体材料が、アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、チタニアおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物からなる群から選択される、<1>〜<13>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<15>
前記基材モノリスが上流区域及び下流区域を含んでなり、前記上流区域中の前記担体材料が、チタニア、ジルコニア、シリカ、それらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物、及びアルミナ及びチタニア、ジルコニアまたはシリカの少なくとも一種の混合酸化物もしくは複合酸化物からなる群から選択され、前記下流区域中の前記担体材料がアルミナを含んでなる、<1>〜<14>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<16>
前記少なくとも一個の排気機構部品が粒子状物質フィルターを備えてなる、<1>〜<15>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<17>
前記少なくとも一個の排気機構部品がNO吸収材を備えてなる、<1>〜<16>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<18>
<16>に付随する場合、前記NO吸収材が前記粒子状物質フィルターの上にある、<17>に記載の装置を提案する。
<19>
前記少なくとも一個の排気機構部品が選択的接触還元(SCR)触媒を備えてなる、<1>〜<15>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<20>
前記少なくとも一個の排気機構部品がリーンNO触媒を備えてなる、<1>〜<15>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<21>
前記基材モノリスが、前記少なくとも一個の排気機構部品の上流に配置されたフロースルーモノリスである、<1>〜<19>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<22>
<17>、<19>または<20>に付随する場合、前記少なくとも一個の排気機構部品が前記基材モノリスを備えてなる、<21>に記載の装置を提案する。
<23>
前記基材モノリスが前記粒子状物質フィルターである、<16>または<18>に記載の装置を提案する。
<24>
炭化水素を前記排ガス中に注入する前記手段が、前記炭化水素を前記排ガス中に、前記基材モノリスのすぐ上流で注入する注入装置を備えてなる、<1>〜<23>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<25>
炭化水素を前記排ガス中に注入する前記手段が、前記エンジンの一個以上のシリンダーにおける注入装置を備えてなる、<1>〜<23>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<26>
前記圧縮点火エンジンがディーゼルエンジン、所望により軽負荷ディーゼルである、<1>〜<25>のいずれか一項に記載の装置を提案する。
<27>
圧縮点火エンジンの排気機構中にある少なくとも一個の部品を加熱する方法であって、
実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方、及び所望により使用する担体材料からなる触媒を、通常作動条件の際に排ガス中に存在する炭化水素の濃度より高い濃度の炭化水素を含んでなる排ガスと接触させることにより、前記少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための熱を発生させることを含んでなる、方法を提案する。
本発明の別の態様
[1]
圧縮点火エンジン及び前記エンジン用の排気機構(10)を備えてなる装置であって、
前記排気機構が、排ガスを処理するための少なくとも一個の排気機構部品(16)及び前記少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための発熱手段を含んでなり、
前記発熱手段が、実質的に触媒(14)、及び排ガス中に炭化水素を注入し、前記触媒上で燃焼させるための手段(15)からなり、
前記触媒が、実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方と、及び任意の担体材料からなり、
(i)前記Pt成分が、前記基材モノリスの上流末端上の区域(18)に配置され、前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端上の区域(20)に配置されてなり、
(ii)前記再生手段(14)の前記Pt成分及び前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端に配置され、前記基材モノリスの上流末端(22)が、実質的にPdを含まないPt触媒を含んでなる、装置を提案する。
[2]
前記Pd成分及び前記Pt成分が、両者共に、同じ担体材料上に担持されてなる、[1]に記載の装置を提案する。
[3]
前記Pd成分が第一担体材料上に担持され、前記Pt成分が第二担体材料上に担持されてなる、[1]に記載の装置を提案する。
[4]
前記第一担体材料上に担持されたPd成分が第一層中にあり、前記第二担体材料上に担持されたPt成分が第二層中にある、[3]に記載の装置を提案する。
[5]
前記第一層が前記第二層の下にある、[4]に記載の装置を提案する。
[6]
前記第一担体材料が前記第二担体材料と異なっている、[3]〜[5]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[7]
前記Pt成分及び前記Pd成分の少なくとも一方が、前記基材モノリス自体により担持される、[1]に記載の装置を提案する。
[8]
前記触媒中のPt:Pdの重量比が5:1〜1:5、所望により2:1〜1:2である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[9]
前記触媒中のPtとPdの総装填量が、10〜200gft−3、所望により40〜100gft−3である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[10]
前記(ii)上流末端触媒中のPt装填量が10〜200gft−3、所望により30〜150gft−3である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[11]
前記基材モノリスの前記(ii)上流末端にあるPt触媒が、担体材料上に担持されている、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[12]
前記または各担体材料が、アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、チタニアおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物からなる群から選択される、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[13]
前記基材モノリスが上流区域及び下流区域を含んでなり、前記上流区域中の前記担体材料が、チタニア、ジルコニア、シリカ、それらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物、及びアルミナ及びチタニア、ジルコニアまたはシリカの少なくとも一種の混合酸化物もしくは複合酸化物からなる群から選択され、前記下流区域中の前記担体材料がアルミナを含んでなる、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[14]
前記少なくとも一個の排気機構部品が粒子状物質フィルターを備えてなる、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[15]
前記少なくとも一個の排気機構部品がNO吸収材を備えてなる、[1]〜[14]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[16]
[14]に付随する場合、前記NO吸収材が前記粒子状物質フィルターの上にある、[15]に記載の装置を提案する。
[17]
前記少なくとも一個の排気機構部品が選択的接触還元(SCR)触媒を備えてなる、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[18]
前記少なくとも一個の排気機構部品がリーンNO触媒を備えてなる、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[19]
前記基材モノリスが、前記少なくとも一個の排気機構部品の上流に配置されたフロースルーモノリスである、[1]〜[18]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[20]
[15]、[17]または[18]に付随する場合、前記少なくとも一個の排気機構部品が前記基材モノリスを備えてなる、[19]に記載の装置を提案する。
[21]
前記基材モノリスが前記粒子状物質フィルターである、[14]または[16]に記載の装置を提案する。
[22]
炭化水素を前記排ガス中に注入する前記手段が、前記炭化水素を前記排ガス中に、前記基材モノリスのすぐ上流で注入する注入装置を備えてなる、[1]〜[21]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[23]
炭化水素を前記排ガス中に注入する前記手段が、前記エンジンの一個以上のシリンダーにおける注入装置を備えてなる、[1]〜[21]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[24]
前記圧縮点火エンジンがディーゼルエンジン、所望により軽負荷ディーゼルである、[1]〜[23]のいずれか一項に記載の装置を提案する。
[25]
圧縮点火エンジンの排気機構中にある少なくとも一個の部品を加熱する方法であって、
実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方、及び所望により使用する担体材料からなる触媒を、通常作動条件の際に排ガス中に存在する炭化水素の濃度より高い濃度の炭化水素を含んでなる排ガスと接触させることにより、前記少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための熱を発生させることを含んでなり、
(i)前記Pt成分が、前記基材モノリスの上流末端上の区域(18)に配置され、前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端上の区域(20)に配置されてなり、
(ii)前記再生手段(14)の前記Pt成分及び前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端に配置され、前記基材モノリスの上流末端(22)が、実質的にPdを含まないPt触媒を含んでなる、方法を提案する。
【0011】
一態様により、本発明は、圧縮点火エンジン及び該エンジン用の排気機構を備えてなる装置であって、該排気機構が、排ガスを処理するための少なくとも一個の排気機構部品及び該少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための発熱手段を含んでなり、該発熱手段が、実質的に触媒、及び排ガス中に炭化水素を注入し、該触媒上で燃焼させるための手段からなり、該触媒が、実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方、及び所望により使用する担体材料からなる、装置を提供する。
【0012】
Pt成分及びPd成分は、多くの配置のいずれかで構成することができる。第一の配置では、Pt及びPd成分が単一のウォッシュコート層中にある。第一配置の一実施態様では、Pd成分及びPt成分の両方が同じ担体材料上に担持される。第二の実施態様では、Pd成分が第一担体材料上に担持され、Pt成分が第二担体材料上に担持される。第三の実施態様では、Pt成分が、基材モノリスの上流末端上の区域に配置され、Pd成分が、基材モノリスの下流末端上に配置される。
【0013】
第二の配置では、第一担体材料上に担持されたPd成分が、第一ウォッシュコート層中にあり、第二担体材料上に担持されたPt成分が、第二ウォッシュコート層中にある。この後者の配置では、第一ウォッシュコート層を第二ウォッシュコート層の下に配置することができ、その逆も可能である。
【0014】
Pt成分及びPd成分が密に関連している配置、例えばPd及びPt成分が同じ担体材料上にある第一配置、では、Pt及びPd成分が合金を形成することができる。一般的に、これによって、両成分の特性を受け持つ活性成分が得られる。例えば、この合金は、Pt自体よりも金属性が低い。これは、この合金がPt自体よりも焼結に対する耐性が高いので、触媒を高温に露出する用途に有利な場合がある。Pdは、Ptと比べて、比較的劣ったNO酸化触媒であり、従って、この合金は、Pd単独よりもNO酸化を促進することができる。従って、この合金は、焼結させたPtよりも優れたHC及びCO酸化活性を有する。
【0015】
Pt成分が第一担体材料上に担持され、Pd成分が第二担体材料上に担持される実施態様では、第一担体材料は、第二担体材料とは異なっていてよい。
【0016】
あるいは、別の配置では、Pt成分及びPd成分の少なくとも一方が、基材モノリス自体により担持される。
【0017】
酸化触媒中のPt:Pdの好適な重量比は、6:1〜1:6、所望により4:1〜1:2でよい。酸化触媒中に典型的なPtとPdの総装填量は、10〜200gft−3、所望により40〜100gft−3である。
【0018】
Pd含有酸化触媒に関わる問題は、硫黄により比較的急速に被毒することであり、これは、燃料硫黄分の高い国には問題となる場合がある。この問題を軽減または回避する方法を研究し、我々は、Pdを実質的に含まないPt触媒を、基材モノリスの、発熱するPt及びPd含有触媒区域の上流にある末端区域に配置することが解決策の一つであることを見出した。実質的にPdを含まず、Ptを含む区域は、基材モノリスの長さの半分までであるか、または「縞」状の寸法を有することができる。
【0019】
上記の、Pt成分区域が基材モノリスの上流末端に配置され、Pd成分がその下流末端に配置される第一配置の実施態様では、実質的にPdを含まず、Ptを含む区域は、Pt成分区域を含んでなるか、またはPt成分区域に加えて存在することができる。後者の配置では、実質的にPdを含まず、Ptを含む区域におけるPt装填量は、Pt成分区域におけるPt装填量と等しくても、異なっていてもよい。
【0020】
一般的に、上流末端触媒のPt装填量は、10〜200gft−3、所望により30〜150gft−3でよい。
【0021】
一実施態様では、上流末端触媒中のPtは、担体材料上に担持することができる。
【0022】
典型的には、該または各担体材料は、アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、チタニアおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物からなる群から選択される。しかし、特別な実施態様では、我々は、硫黄耐性がより高い担体材料を、発熱触媒のPd及びPt成分に、基材モノリスの前部の後方で、また、より耐熱性の高い担体材料を、Pt及びPd成分に、基材モノリスの後部の前方で使用するのが有利であることを見出した。この実施態様は、HCを発熱触媒の上流で排ガス中に注入した時に、基材モノリスの前面から後方、ほぼ最初の3分の1における温度が、一般的に比較的低いままである、という我々の観察から得たものである。従って、この区域における温度を増加して関連する触媒を脱硫するのがより困難であるので、硫黄耐性がより高い触媒をこの区域に配置するのが有利である。
【0023】
対照的に、基材モノリスの後部に向かう温度は、HC注入の際に1000℃に達することがあり、この温度では、重大な困難なしに脱硫が行われる。しかし、この位置では、触媒の耐熱性がより問題であるので、触媒を、耐熱性を高めるために処方するのが有利である。
【0024】
上流の、硫黄耐性触媒区域のためのウォッシュコートに好適な担体材料は、チタニア、ジルコニア、シリカおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物及び混合酸化物、あるいはアルミナ及びチタニア、ジルコニア及びシリカの少なくとも一種を含む混合酸化物または複合酸化物からなる群から選択することができるが、アルミナは、基材モノリスの下流末端における触媒処方に耐熱性を与えるのに、より好適な担体材料である。
【0025】
本明細書で定義する「複合酸化物」とは、少なくとも2種類の元素の酸化物を含んでなる、大部分が無定形の酸化物材料であり、該少なくとも2種類の元素からなる真の混合酸化物ではない、材料を意味する。
【0026】
酸化触媒が、実質的にPdを含まず、Ptを含む区域を、Pd及びPtを含む発熱触媒区域の上流に含んでなる場合、硫黄耐性担体材料用の区域は、実質的にPdを含まず、Ptを含む区域に対応している必要はなく、Pd及びPt含有区域及び耐熱性担体材料の区域にも同じことが当てはまる。
【0027】
少なくとも一個の排気機構部品は、所望により触媒作用を付与した粒子状物質フィルター、NO吸収材、選択的接触還元(SCR)触媒またはリーンNO触媒を備えてなることができる。NO吸収材、一般的にアルカリ土類金属、例えばBa、CaまたはSr、の酸化物、あるいはアルカリ金属、例えばKまたはCs、の酸化物、は、典型的にはフロースルーモノリス基材モノリス上に被覆されたPt酸化触媒及びロジウム還元触媒を含んでなるNOトラップの一部を形成することができる。あるいは、上記のNO吸収材は、粒子状物質フィルター上に載せることができる。フィルターが、NO吸収材、酸化触媒及びNOトラップの還元触媒を包含する場合、そのような配置は、「4元触媒」またはFWCと呼ばれることが多い。
【0028】
実際には、排気機構がNO吸収材を含んでなる場合、好適な制御手段を取り入れ、排ガス中の酸素濃度を間欠的に下げ、それによってNO吸収材を再生し、そのようにして放出されるNOをNO還元触媒上で還元する。そのような制御手段は、当業者には公知であり、エンジンシリンダーの一個以上に対する燃料注入タイミングを変えること、または好適な還元体、例えばHC、をNO吸収材の上流にある排ガス中に直接注入する注入装置を包含する。本発明により熱を発生させるための燃料注入装置は、以下に説明するように、NO吸収材及び発熱触媒が同じ基材モノリス上にある実施態様では、この目的に使用できる。
【0029】
代表的な実施態様では、基材モノリスは、少なくとも一個の排気機構部品の上流に配置されたセラミックまたは金属フロースルーモノリスである。そのような配置では、触媒を、発熱と発熱との間でCO及びHCを処理するためのDOCとして処方することができる。しかし、無論、触媒は、発熱触媒としてのその主要機能を果たすために、低温活性HC用に調整する。一実施態様では、少なくとも一個の排気機構部品はフィルターであり、発熱手段が、予め選択された規則的な間隔で、またはセンサー入力、例えばフィルターを横切る背圧、に応答して、フィルター再生を促進する。
【0030】
別の実施態様では、少なくとも一個の排気機構部品は、NOトラップであり、NO吸収及びNO吸収材再生に、及びNO還元には最適温度範囲(window)があることが分かっている。発熱手段は、検出されたNOトラップ温度に応答して、NOトラップ温度を所望の温度範囲内に維持するように操作することができる。
【0031】
別の実施態様では、少なくとも一個の排気機構部品は、基材モノリスを備えてなる。少なくとも一個の排気機構部品の性質に応じて、基材モノリスは、フロースルーモノリスまたは粒子状物質フィルターでよい。
【0032】
基材モノリスが粒子状物質フィルターである特別な実施態様では、発熱触媒は、基材モノリスの前端部にある「縞」または区域形状で配置され、実質的にPdを含まないPt触媒がその下流に塗布されており、その際、Pt担体材料はアルミナでよい。この配置は、Pt:Pd合金化効果のために、Pt/アルミナ焼結により、発熱触媒の焼結よりも効果的にNO酸化を促進できるので、高温用途に有用である。
【0033】
HCを排ガス中に注入する手段は、HCを排ガス中に、発熱触媒のすぐ上流で注入する注入装置、またはエンジンの一個以上のシリンダーにおける注入装置を備えてなることができる。
【0034】
一実施態様では、圧縮点火エンジンはディーゼルエンジン、所望により軽負荷ディーゼルでよい。
【0035】
第二の態様により、本発明は、圧縮点火エンジンの排気機構中にある少なくとも一個の部品を加熱する方法であって、実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方、及び所望により使用する担体材料からなる触媒を、通常作動条件の際に排ガス中に存在する炭化水素の濃度より高い濃度の炭化水素を含んでなる排ガスと接触させることにより、少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための熱を発生させることを含んでなる、方法を提供する。
【0036】
本発明をより深く理解できるようにするために、下記の例を、例示のためにのみ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0037】
図3に関して、10は、全体的に本発明の圧縮点火エンジン用排気機構を示し、12は、排ガスをエンジンから、排気機構の、排ガス後処理用の、及び/または排ガスが大気中に放出される前にエンジン騒音を消すための様々な部品に運ぶためのパイプを示す。矢印は、機構中の排ガスの流れ方向を示し、「上流」及び「下流」はそれに応じて解釈すべきである。
【0038】
図3Aで、13は、Pt成分及びPd成分の両方を担持する粒子状物質担体材料の単一ウォッシュコート層を特徴とする触媒被覆14を含んでなるフロースルーモノリス基材を示す。あるいは、触媒被覆14は、それぞれ別の、及び所望により単一ウォッシュコート層中で相互に異なった担体材料上に担持された、Pt成分及びPd成分を含んでなることができる。14の配置は、第一ウォッシュコート層中の担持されたPt成分を含んでなり、該第一ウォッシュコート層の上に、担持されたPd成分の第二ウォッシュコート層が施されるか、またはPd成分はPt成分層の下の層中に配置することもできる。15で示す特徴は、燃焼可能なHCを13の上流で排ガスに送るための注入装置であり、該注入装置は、適切にプログラム化された制御手段、所望によりエンジン管理装置(ECU)の一部、により制御される。番号16は、少なくとも一個の排気機構部品、例えば所望により触媒作用を付与した粒子状物質フィルター、SCR触媒、NOトラップ、4元触媒またはリーンNO触媒、である。
【0039】
図3B、3C及び3Dは、フロースルーモノリス基材13の別の実施態様を示す。図3Bで、18は、発熱触媒のPt成分を示し、20は、そのPd成分を示す。図3Cは、比較的大量の硫黄を含む燃料で使用する別の配置を示し、そこでは、成分18及び20に加えて、実質的にPdを含まず、Pt装填量が18より高いPt触媒22の「縞」がフロースルー基材モノリス13の上流末端に配置されている。無論、図3Bは、実質的にPdを含まず、発熱触媒のPt成分と実質的に同じPt装填量を有するPt触媒を特徴とすること、すなわちPt成分18の上流側にある、実質的にPdを含まないPt触媒の「縞」がPt成分18と連続しており、Pt装填量が22≧18である複合材料実施態様も代表することができる。図3Dは、実質的にPdを含まないPt触媒22が、上記14の全ての実施態様の上流側に位置する実施態様を例示する。
【0040】
図4Aに関して、図3A〜Dと同じ番号を有する事項は上記と同じ特徴を表す。番号23は、粒子状物質フィルター基材モノリスを表し、図3A〜Dにおける特徴14に関して説明したものと類似の単相または2相ウォッシュコート配置24で被覆されている。図4Bは、図4Aの一実施態様を例示し、そこでは、実質的にPdを含まず、Pt装填量が14より高いPt触媒22の「縞」が、フィルター基材モノリス23の発熱触媒24の上流末端に配置されている。フィルター基材23が、発熱触媒のPt及びPd成分、NO吸収材、例えば酸化バリウム、及びロジウム還元触媒を含んでなる組成物で被覆されている場合、その触媒組成物は4元触媒26と呼ばれる。
【0041】
例1
寸法が直径267mm(10.5インチ)x長さ152mm(6インチ)であり、容積8.5リットル(519in)、セル密度62セルcm−2(400セルin−2)、壁厚0.15mm(0.06in)を有するセラミックフロースルー基材モノリス上にそれぞれ担持された一連の触媒試料を調製した。触媒試料の処方は、(i)Ptのみ、(ii)Pdのみ、(iii)Pt:Pd2:1、(iv)Pt:Pd1:1、及び(v)Pt:Pd1:2である。それぞれの場合、Pt及び/またはPdはアルミナ系担体材料上に担持され、総PGM装填量は、触媒試料(i)〜(v)の全てで同等であった。試験の前に、これらの触媒試料を空気中、700℃で200時間、続いてやはり空気中、750℃でさらに200時間エージングした。試験には、触媒試料を、試験台上の、10リットル、ターボチャージャを備えたエンジンの排気ラインに配置し、熱電対を入口面の前方25mm及び出口面の後方25mmに取り付けた。エンジンを一定速度で作動させ、触媒への入口温度275℃を毎時ガス空間速度(GHSV)45,000hrで発生させるために負荷を調節した。独立したディーゼル燃料注入装置を排気ライン中の触媒上流に、触媒試料の前面に一様で十分に配分される燃料スプレーを確保できる所に配置した。
【0042】
安定した条件が得られた後、炭化水素(HC)(C3)約7,000ppmを触媒中に連続的に約700秒間注入し、触媒出口温度を約600℃に上昇させた。注入期間全体にわたって触媒出口におけるHCの量をppmで測定した。
【0043】
図1は、触媒試料(i)、(ii)及び(iv)に関するHCすり抜けを示す。Pdのみの触媒では、注入開始時に、Ptのみの触媒と比較して、より大量のHCすり抜けが生じるが、これは、触媒温度が上昇するにつれて比較的急速に下がることが分かる。Ptのみの触媒では、HCすり抜けが最初はより少ないが、時間と共により多くのHCをすり抜けさせ、HCすり抜け率はPdのみの触媒より高いレベルで一定になる。Ptのみの触媒の出口温度(図には示していない)も、試験したPd含有触媒のどれよりもはるかに低かったが、これは、触媒表面のコークス化のためであろう。Pt:Pd1:1触媒は、注入期間全体にわたってほとんど一定で、低いHCすり抜けを示し、従って、両方の単一金属被覆試料に対する著しい改良である。
【0044】
図2は、Pt:Pd触媒試料(ii)、(iv)及び(v)の比較結果を示し、これらの試料は、全て同様の性能を示すが、少なくとも等量のPtを含む試料と比較して、1:2Pt:Pd比触媒試料は、HCを最初に注入した時に僅かに遅く反応し、安定化するのに長い時間がかかる。
【0045】
例2
直径152mm(6インチ)x長さ152mm(6インチ)、容積2.8リットル(170in)、62セルcm−2(400セルin−2)、壁厚0.15mm(0.06in)を有するフロースルーモノリス上に被覆した別の組の触媒試料で実験を行った。触媒処方は、(iv)Ptのみ、及び(vii)Pt:Pd1:1であり、両方とも同じアルミナ担体上にあり、同じ総PGM装填量を有する。試験の前に、これらの触媒を例1と同様に400時間エージングした。次いで、これらの触媒を、試験台上の、6.0リットル、ターボチャージャを備えたエンジンの排気ラインに配置し、独立したディーゼル燃料注入装置を触媒上流に、例1と同様に配置した。入口温度は、触媒基材の前部の中に25mm(1インチ)で熱電対を使用して測定し、エンジンを4種類の定常状態速度で10分間作動させ、エンジン負荷を調節して温度225℃、250℃、275℃及び300℃を発生させた。空間速度は、負荷に応じて25〜35,000GHSVであった。各温度条件で、燃料を計算された濃度7,000ppm(HC)(C3)で触媒中に連続的に注入した。燃料注入が完了した後、排気温度をさらに10分間維持してから、次の入口温度設定点を得た。各温度設定点に対して、温度上昇及びHCすり抜け(ppm)を記録した。
【0046】
表1は、触媒を横切る安定化した温度上昇及び注入期間中のおおよそのHC除去百分率を示す。これらのデータから、Pt:Pd触媒は、Pt系よりも、低い入口温度で温度上昇がより高く、HCすり抜けが少なくなり、従って、粒子状物質フィルターの再生に優れた燃料燃焼特性を示すことが確認される。
【0047】
表1

100%白金 Pt:Pd1:1
入口温度(℃) 225 250 275 300 225 250 275 300
温度上昇(℃) -5 100 200 230 45 390 400 n.a.
HC除去(%) 75 88 92 95 83 95 >99 n.a.
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、Ptのみの酸化触媒、Pdのみの酸化触媒、及びPt:Pd1:1の酸化触媒に関して、入口温度275℃の定常状態条件中、触媒の上流に7,000ppm(C3)でHCを注入する前、最中及び後における、ppmで表すHCすり抜けと時間の関係を示すグラフである。
【図2】図2は、Pt:Pdが異なった3種類の酸化触媒に関して、入口温度275℃の定常状態条件中、触媒の上流に7,000ppm(C3)でHCを注入する前、最中及び後における、ppmで表すHCすり抜けと時間の関係を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、排気機構部品から上流に配置された別の発熱触媒を特徴とする本発明の実施態様を図式的に例示する一連の図面である。
【図3B】図3Bは、排気機構部品から上流に配置された別の発熱触媒を特徴とする本発明の実施態様を図式的に例示する一連の図面である。
【図3C】図3Cは、排気機構部品から上流に配置された別の発熱触媒を特徴とする本発明の実施態様を図式的に例示する一連の図面である。
【図3D】図3Dは、排気機構部品から上流に配置された別の発熱触媒を特徴とする本発明の実施態様を図式的に例示する一連の図面である。
【図4A】図4Aは、排気機構部品が発熱触媒を備えてなる本発明の実施態様を図式的に例示する図面である。
【図4B】図4Bは、排気機構部品が発熱触媒を備えてなる本発明の実施態様を図式的に例示する図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮点火エンジン及び前記エンジン用の排気機構(10)を備えてなる装置であって、
前記排気機構が、排ガスを処理するための少なくとも一個の排気機構部品(16)及び前記少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための発熱手段を含んでなり、
前記発熱手段が、実質的に触媒(14)、及び排ガス中に炭化水素を注入し、前記触媒上で燃焼させるための手段(15)からなり、
前記触媒が、実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方と、及び任意の担体材料からなり、
(i)前記Pt成分が、前記基材モノリスの上流末端上の区域(18)に配置され、前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端上の区域(20)に配置されてなり、
(ii)前記再生手段(14)の前記Pt成分及び前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端に配置され、前記基材モノリスの上流末端(22)が、実質的にPdを含まないPt触媒を含んでなる、装置。
【請求項2】
前記Pd成分及び前記Pt成分が、両者共に、同じ担体材料上に担持されてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記Pd成分が第一担体材料上に担持され、前記Pt成分が第二担体材料上に担持されてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第一担体材料上に担持されたPd成分が第一層中にあり、前記第二担体材料上に担持されたPt成分が第二層中にある、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第一層が前記第二層の下にある、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第一担体材料が前記第二担体材料と異なっている、請求項3〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記Pt成分及び前記Pd成分の少なくとも一方が、前記基材モノリス自体により担持される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記触媒中のPt:Pdの重量比が5:1〜1:5、所望により2:1〜1:2である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記触媒中のPtとPdの総装填量が、10〜200gft−3、所望により40〜100gft−3である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記(ii)上流末端触媒中のPtの装填量が10〜200gft−3、所望により30〜150gft−3である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記基材モノリスの前記(ii)上流末端にあるPt触媒が、担体材料上に担持されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記または各担体材料が、アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、チタニアおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記基材モノリスが上流区域及び下流区域を含んでなり、前記上流区域中の前記担体材料が、チタニア、ジルコニア、シリカ、それらのいずれか2種類以上の混合物または混合酸化物、又は
アルミナ及びチタニア、ジルコニアまたはシリカの少なくとも一種の混合酸化物もしくは複合酸化物からなる群から選択され、前記下流区域中の前記担体材料がアルミナを含んでなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも一個の排気機構部品が粒子状物質フィルターを備えてなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一個の排気機構部品がNO吸収材を備えてなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
請求項14に付随する場合、前記NO吸収材が前記粒子状物質フィルターの上にある、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも一個の排気機構部品が選択的接触還元(SCR)触媒を備えてなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも一個の排気機構部品がリーンNO触媒を備えてなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記基材モノリスが、前記少なくとも一個の排気機構部品の上流に配置されたフロースルーモノリスである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
請求項15、17または18に記載の装置の場合、前記少なくとも一個の排気機構部品が前記基材モノリスを備えてなる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記基材モノリスが前記粒子状物質フィルターである、請求項14または16に記載の装置。
【請求項22】
炭化水素を前記排ガス中に注入する前記手段が、前記炭化水素を前記排ガス中に、前記基材モノリスのすぐ上流で注入する注入装置を備えてなる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
炭化水素を前記排ガス中に注入する前記手段が、前記エンジンの一個以上のシリンダーにおける注入装置を備えてなる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記圧縮点火エンジンがディーゼルエンジン、所望により軽負荷ディーゼルである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
圧縮点火エンジンの排気機構中にある少なくとも一個の部品を加熱する方法であって、
実質的に、基材モノリス上に配置された、パラジウム(Pd)成分及び白金(Pt)成分の両方、及び所望により使用する担体材料からなる触媒を、通常作動条件の際に排ガス中に存在する炭化水素の濃度より高い濃度の炭化水素を含んでなる排ガスと接触させることにより、前記少なくとも一個の排気機構部品を加熱するための熱を発生させることを含んでなり、
(i)前記Pt成分が、前記基材モノリスの上流末端上の区域(18)に配置され、前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端上の区域(20)に配置されてなり、
(ii)前記再生手段(14)の前記Pt成分及び前記Pd成分が、前記基材モノリスの下流末端に配置され、前記基材モノリスの上流末端(22)が、実質的にPdを含まないPt触媒を含んでなる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2012−125765(P2012−125765A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29746(P2012−29746)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【分割の表示】特願2007−542130(P2007−542130)の分割
【原出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】