発生ガス検出装置
【課題】生物発生ガスの計測精度及び計測効率を高める。
【解決手段】生物発生ガス検出装置1は、生物が発生するガスが蓄積される第1チャンバー50に対して、大気開放状態と大気遮断状態を切り換える第1大気開放弁56を設け、第1チャンバー50に接続される第2チャンバー60に対して、大気開放状態と大気遮断状態を切り換える第2大気開放弁66を設け、第1チャンバー50と第2チャンバー60の間に両者の接続を切り換えるチャンバー連結弁70を設ける。更に、これらの弁を切替ながら、循環機構80によって第1チャンバー50と第2チャンバー60の間で気体を強制移動させて、内部の気体をガスセンサ90で計測するようにした。
【解決手段】生物発生ガス検出装置1は、生物が発生するガスが蓄積される第1チャンバー50に対して、大気開放状態と大気遮断状態を切り換える第1大気開放弁56を設け、第1チャンバー50に接続される第2チャンバー60に対して、大気開放状態と大気遮断状態を切り換える第2大気開放弁66を設け、第1チャンバー50と第2チャンバー60の間に両者の接続を切り換えるチャンバー連結弁70を設ける。更に、これらの弁を切替ながら、循環機構80によって第1チャンバー50と第2チャンバー60の間で気体を強制移動させて、内部の気体をガスセンサ90で計測するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌、動植物又は微生物等の生物が発生するガスを検出する為の生物発生ガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば土壌、動植物、微生物等の生物を研究する分野では、蒸発する水分、呼吸量、光合成における蒸散などのように、生物から生命活動から生じる様々な発生ガスを分析する必要がある。
【0003】
この発生ガスを測定するために、特許文献1に示されるような2つのチャンバーを用いた生物発生ガス検出装置が提案されている。この生物発生ガス検出装置は、動植物が収容される測定チャンバーと、この測定チャンバーに接続されるバッファーチャンバーを備えており、両者の気体をファンで強制的に循環させる。この生物発生ガス測定装置によれば、チャンバーの容積を変更することで、多様な測定を行うことが可能となる。
【0004】
また、バッファーチャンバーに、外気(大気)を吸引する吸気ファンと、大気に対する圧力開放弁を付加し、バッファーチャンバー内のガスを大気状態にリセットして、連続測定を行う技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3968728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の技術では、バッファーチャンバーを大気状態にリセットする際、測定チャンバー内の生物が発生したガスがバッファーチャンバーに流入する。結果、バッファーチャンバーを完全に大気状態にリセットすることが難しいという問題があった。
【0007】
更に、従来の技術では、測定チャンバー内を大気状態にリセットすることが出来ない。従って、バッファーチャンバーを大気状態にリセットした後に測定を再開しても、測定チャンバー内に予め滞留している発生ガスがバッファーチャンバーに急激に流れ込むので、発生ガスの経時的変化を正確に計測することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、特許文献1の技術を更に発展させて、繰り返し計測を高精度化することが可能な発生ガス検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者の鋭意研究によって、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0010】
即ち、上記目的を達成する本発明は、土壌、動植物又は微生物等の生物が発生するガスが蓄積される第1チャンバーと、前記第1チャンバーに接続される第2チャンバーと、前記第1チャンバーに設けられ、該第1チャンバーの内部空間を大気側に開放する大気開放状態、及び該第1チャンバーの内部空間を大気側から遮断する大気遮断状態を切り換える第1大気開放弁と、前記第2チャンバーに設けられ、該第2チャンバーの内部空間を大気側に開放する大気開放状態、及び該第2チャンバーの内部空間を大気側から遮断する大気遮断状態を切り換える第2大気開放弁と、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に設けられ、該第1チャンバーと該第2チャンバーを接続するチャンバー接続状態、及び該第1チャンバーと該第2チャンバーを遮断するチャンバー遮断状態を切り換えるチャンバー連結弁と、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で気体を強制移動させる循環機構と、前記第1又は前記第2チャンバー内に設けられて内部のガス状態を検出するガスセンサと、を備えることを特徴とする生物発生ガス検出装置である。
【0011】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置では、更に、前記第1大気開放弁、前記第2大気開放弁及び前記チャンバー連結弁の開閉、並びに前記循環機構を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記第1大気開放弁及び前記第2大気開放弁を前記大気遮断状態、且つ前記チャンバー連結弁を前記チャンバー接続状態とした上で、前記循環機構で前記気体を移動させ、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で前記気体が循環する前記生物発生ガス検出状態と、前記第1大気開放弁及び前記第2大気開放弁を前記大気開放状態、且つ前記チャンバー連結弁を前記チャンバー遮断状態とした上で、前記循環機構で前記気体を移動させ、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーに前記大気を導入する大気検出状態とを切り換えることを特徴とすることが好ましい。
【0012】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置の前記循環機構は、更に、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーを接続する気体移動孔と、前記気体移動孔に設けられて前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で前記気体を強制移動させる循環ファンと、を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0013】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置の前記循環機構は、更に、前記第2チャンバーから前記第1チャンバーに前記気体を強制移動させることを特徴とすることが好ましい。
【0014】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置の前記第1チャンバーは、更に、底面側にガスを導入するための開口が形成されていることを特徴とすることが好ましい。
【0015】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置の前記開口には、更に、開口面積を調整するための面積調整機構が設けられることを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生物から生じる発生ガスを高精度に検出することが可能となるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る生物発生ガス検出装置の全体構造を示す断面図である。
【図2】同生物発生ガス検出装置の弁の構造を拡大して示す図である。
【図3】同生物発生ガス検出装置の制御装置の内部構成を示す図である。
【図4】同生物発生ガス検出装置の制御装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】同生物発生ガス検出装置の大気検出状態を示す断面図である。
【図6】同生物発生ガス検出装置の生物発生ガス検出状態を示す断面図である。
【図7】同生物発生ガス検出装置の他の計測態様を示す断面図である。
【図8】同生物発生ガス検出装置の他の構成例を示す断面図である。
【図9】同生物発生ガス検出装置の他の計測態様を示す断面図である。
【図10】同生物発生ガス検出装置の他の計測態様を示す断面図である。
【図11】同生物発生ガス検出装置の他の構成例を示す断面図である。
【図12】(A)は図11のXII(A)矢視断面図であり、(B)図11のXII(B)矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1には、本実施形態の生物発生ガス検出装置1の全体構成が示されている。この生物発生ガス検出装置1は、制御装置10と、ガス検出器本体50を備えて構成される。
【0020】
ガス検出器本体40は、第1チャンバー50、第2チャンバー60、第1大気開放弁56、第2大気開放弁66、チャンバー連結弁70、循環機構80、ガスセンサ90を備える。
【0021】
第1チャンバー50は、土壌、動植物又は微生物等の生物が収容されて、この生物が発生するガスが蓄積される。本実施形態において、この第1チャンバー50は、底側が開放している円筒形の容器51と、この容器51の底側に設置される面積調整機構52を備える。面積調整機構52は、内部に開口53Aを有する環状の交換式カバー53で構成され、容器51の底側を覆うように配置される。開口53Aのサイズや形状が異なる複数の交換式カバー53を予め用意しておけば、この交換式カバー53を交換するのみで、開口53Aの面積を調整できる。勿論、開口53Aが形成されていない交換式カバー53を用いれば、第1チャンバー50を密閉状態とすることもできる。なお、容器51は樹脂又はガラス等のような剛性を有する透明素材で構成されているが、面積調整機構52の交換式カバー53は、シリコン、ゴム、スポンジなどの弾性を有する材料で構成して、容器51との密着性を高めることが好ましい。
【0022】
なお、本実施形態では、面積調整機構52として交換式カバー53を設けているが、スライド式の板などを用い、そのスライド量で開口面積を調整することもできる。
【0023】
第2チャンバー60は、円筒形の容器61を備えており、第1チャンバー50の上方に積み重ねるように配置される。特に本実施形態では、第1チャンバー50の天井と、第2チャンバー60の底面が、共通の仕切り壁62で構成され、両者の容器51、61が一体化している。このように、第1チャンバー50と第2チャンバー60を上下に積み重ねて配置すると、装置全体がコンパクト化・一体化されることで可搬性を向上する。また、仕切り壁62の位置を変更すれば、各々の容積を変更することもできる。なお、第1チャンバー50と第2チャンバー60を分離可能に構成して、それぞれ独立して内部容積を変更できるようにしておくことも好ましい。
【0024】
第1大気開放弁56は、第1チャンバー50の側壁に設けられており、この第1チャンバー50の内部空間を大気側に開放する「大気開放状態」と、第1チャンバー50の内部空間を大気側から遮断する「大気遮断状態」を切り換える。
【0025】
第2大気開放弁66は、第2チャンバー60の側壁又は天井に設けられており、第2チャンバー60の内部空間を大気側に開放する「大気開放状態」と、第2チャンバー60の内部空間を大気側から遮断する「大気遮断状態」を切り換える。
【0026】
チャンバー連結弁70は、第1チャンバー50と第2チャンバー60との間の仕切り壁62に設けられ、第1チャンバー50と第2チャンバー60の内部空間を接続する「チャンバー接続状態」と、第1チャンバー50と第2チャンバー60の内部空間を遮断する「チャンバー遮断状態」を切り換える。
【0027】
図2に拡大して示されるように、チャンバー連結弁70は、第1チャンバー50と第2チャンバー60を接続する通気孔71と、この通気孔71を密閉可能な弁体72と、この弁体72を通気孔71に対して進退させるスライダ73と、このスライダ73をスライドさせるアーム74と、アーム74を揺動させるサーボモータ75と、このサーボモータ75を固定する台座76を備えて構成される。サーボモータ75によってアーム74を揺動させると、スライダ73が往復運動し、弁体72が通気孔71を密閉したり(図2(A)参照)、弁体72が通気孔71を開放したりする(図2(B)参照)。弁体72は、通気孔71の周囲との密閉性を高めるために、表面がシリコン、ゴム、スポンジ等の弾性体で構成される。なお、第1大気開放弁56及び第2大気開放弁66の構造も、このチャンバー連結弁70と同じ構造であることから、ここでの説明を省略する。
【0028】
図1に戻って、循環機構80は、第1チャンバー50と第2チャンバー60の間で気体を強制移動させる。具体的に循環機構80は、第1チャンバー50と第2チャンバー80を接続する気体移動孔82と、気体移動孔80に設けられて第1チャンバー50と第2チャンバー60の間で気体を強制移動させる循環ファン84を備える。気体移動孔80は、ここでは仕切り壁62に設けられる開口となる。この循環ファン84は、この気体移動孔80の第2チャンバー60側に設置されることによって、第2チャンバー60側から第1チャンバー50側に気体を強制移動させる。
【0029】
ガスセンサ90は、第2チャンバー60内に設けられて内部のガス状態を検出する。具体的に本実施形態では、ガスセンサ90として、CO2センサーとH2センサーが設けられており、第2チャンバー60内のCO2及びH2を計測できるようになっている。なお、ここではCO2及びH2を検知する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、ガスの状態を検知できるものであれば、温度、湿度、窒素、酸素など様々なセンサを用いることができる。また、このガスセンサ90は、デジタル表示画面92を備えており、計測中のCO2又はH2の濃度を数値表示できるようになっている。
【0030】
図3には、制御装置10のハード構成が開示されている。この制御装置10は、CPU12、第1記憶媒体14、第2記憶媒体16、第3記憶媒体18、入力装置20、表示装置22、入出力インタフェース24、GPSセンサ26、バス28を備えて構成される。CPU12はいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて本制御装置10の各種機能を実現する。第1記憶媒体14はいわゆるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)であり、CPU12の作業領域として使用されるメモリである。第2記憶媒体16はいわゆるROM(リード・オンリー・メモリ)であり、CPU12で実行される基本OSを記憶するためのメモリである。第3記憶媒体18は、磁気ディスクを内蔵したハードディスク装置、CDやDVDやBDを収容するディスク装置、不揮発性の半導体フラッシュメモリ装置などで構成されており、CPU12で実行される各種プログラム、ガスセンサ90のセンシングデータ、計測スケジュールを設定する為のスケジュールデータ等が保存される。入力装置20は入力キーやキーボード、マウスであり、各種情報を入力する装置である。表示装置22はディスプレイであって、センシング結果や各種操作状態を表示する。入出力インタフェース24は、各弁を動かすサーボモータに対する電源及び制御信号や、ガスセンサ90に対する電源及び制御信号が入出力される。更にこの入出力インタフェース24は、外部のパーソナルコンピュータからプログラム等のデータを取得したり、同パーソナルコンピュータに対して計測結果を出力したりする。GPSセンサ26は、測定地点の位置情報を取得して、センシング結果と一緒に保存する。バス28は、CPU12、第1記憶媒体14、第2記憶媒体16、第3記憶媒体18、入力装置20、表示装置22、入出力インタフェース24、GPSセンサ26などを一体的に接続して通信を行うための配線となる。
【0031】
図4には、この制御装置10に保存される計測プログラムがCPU12で実行されることで得られる機能構成が示されている。この制御装置10は、機能構成として、スケジュール制御部30、センシング部32、弁制御部34を備える。スケジュール制御部30は、本生物発生ガス検出装置1における生物から発生するガスを繰り返して検出する際の計測スケジュール及び計測結果のデータを管理する。センシング制御部32は、スケジュール制御部30からの指示に基づいて、ガスセンサ90を利用してガスの状態を検出し、第3記憶媒体18に保存する。弁制御部34は、スケジュール制御部30からの指示に基づいて、第1、第2大気開放弁56、66及びチャンバー連結弁70のサーボモータを制御して、各弁体の開閉を行う。
【0032】
次に、図5及び図6を参照して、制御装置10による、生物発生ガス検出装置1の自動繰り返し計測手順(方法)について説明する。なおここでは、土壌Sから発生するCO2及びH2のガス収支を計測する場合を例示する。
【0033】
先ず制御装置10は、図5に示されるように、第1大気開放弁56及び第2大気開放弁66を「大気開放状態」、且つチャンバー連結弁70を「チャンバー遮断状態」とした上で、循環機構80で気体を移動させる。結果、大気は、矢印Aに沿って、第2大気開放弁66を介して第2チャンバー60に流入し、循環機構80の気体移動孔82を介して第2チャンバー60から第1チャンバー50に流入し、更に、第1大気開放弁56を介して第1チャンバー50から外部に放出される。即ち、第1、第2チャンバー50、60の双方を大気が連続的に通過して、全体が換気される。特にチャンバー連結弁70を「チャンバー遮断状態」として、循環機構80で第2チャンバー60から第1チャンバー50にガスを移動させるので、第1チャンバー50内のガスが第2チャンバー60側に流れ込むことが抑制される。なお、この状態のことを本実施形態では「大気検出状態」と呼ぶ。
【0034】
この大気検出状態において、制御装置10は、ガスセンサ90を利用して第2チャンバー60内のCO2及びH2を計測する。結果、この生物発生ガス検出装置1の周囲に存在している大気のCO2及びH2の濃度(これをバックグラウンドガス濃度という)を正確に検出することが可能となる。なお、この計測時間は、換気を継続してCO2、H2の検出値が安定した時点を終了とする。
【0035】
次に制御装置10は、図6に示されるように、第1大気開放弁56及び第2大気開放弁66を「大気遮断状態」、且つチャンバー連結弁70を「チャンバー接続状態」とした上で、循環機構80で気体を移動させる。結果、矢印Bに示されるように、第1チャンバー50内のガスは、チャンバー連結弁70を介して第2チャンバー60に流入し、第2チャンバー60内のガスは循環機構80の気体移動孔82を介して第1チャンバー50に移動する。即ち、大気から閉ざされた第1チャンバー50と第2チャンバー60の間を気体が循環する。なお、この状態のことを本実施形態では「生物発生ガス検出状態」と呼ぶ。
【0036】
この生物発生ガス検出状態において、制御装置10は、ガスセンサ90を利用して第2チャンバー60内のCO2及びH2を計測する。結果、第1チャンバー50内の生物が発生したガスによる、CO2及びH2による濃度上昇又は下降度合いを正確に検出することが可能となる。具体的には、一定の時間に亘ってCO2及びH2の濃度変化量を測定し、この濃度変化量と、第1、第2チャンバー50、60の容積から、発生源となる土壌SからのCO2及びH2の発生量を算出する。例えば10分間に亘って測定したCO2濃度変化量から、「CO2排出質量(g)/平方センチメートル/1時間」というように、単位面積当たり且つ単位時間当たりのガス排出量を導く。なお、土壌Sを測定する場合、単位面積の基準は開口53Aの面積となる。一方、開口53Aと閉じた上で、第1チャンバー50内の動物のガス排出量を計測する場合は、「CO2排出質量(g)/1個体/1時間」というように、単位個体当たり且つ単位時間当たりのガス排出量を導いても良い。また開口53Aと閉じた上で、第1チャンバー50内の植物のガス排出量を計測する場合は、「CO2排出質量(g)/葉の単位面積/1時間」というように、葉の単位表面積当たり且つ単位時間当たりのガス排出量を導いたりすることもできる。
【0037】
なお、より高精度に測定するためには、第1チャンバー50内の生物から発生するガス濃度が上昇・下降する時の、第1チャンバー50、第2チャンバー60の温度変化、湿度変化、圧力変化(ガス体積変化及びガス分圧変化)を計測し、それを上記ガス発生量の計算に反映させることが好ましい。従って、第1チャンバー50、第2チャンバー60の何れかに、望ましくは圧力センサー、温度センサー、湿度センサーを配置する。一方、例えば10分程度のCO2濃度変動を利用してガス発生量を算出する場合、その濃度変化は多くても数百ppm程度の変動量、温度変化・湿度変化も略零になるので、第1チャンバー50、第2チャンバー60の温湿度変化、内圧変化(ガス体積変化及びガス分圧変化)は殆ど無視して良い場合もある。このような場合は、圧力センサー等を必ずしも設置しなくても良い。
【0038】
また、制御装置10は、バックグラウンドガス濃度を基準とした濃度上昇・下降量を算出することで、生物単体が発生するCO2、H2のガス収支を算出するようにしてもよい。
【0039】
図6の状態による変動後ガス濃度の検出が終わった後、この制御装置10は、再び図5の「大気検出状態」に移行してバックグラウンドガス濃度を計測し、出来る限り自然環境に近い状態に素早く戻す。これにより、自らが発生するガスによって第1チャンバー50、第2チャンバー60内の濃度が高まるような、不自然な計測環境を回避する。その後、更に図6の「生物発生ガス検出状態」に移行して変動後ガス濃度を計測する。このように、本生物発生ガス検出装置1では、使用者によって設定されたスケジュールに併せて、「大気検出状態」と「生物発生ガス検出状態」を自在に移行しながら、第1チャンバー50内を自然環境に近い状態に維持しつつ、ガスの状態を検知することが可能となっている。
【0040】
以上、本実施形態の生物発生ガス検出装置1によれば、第1、第2チャンバー50、60の双方に第1、第2大気開放弁56、66を配置すると共に、第1、第2チャンバー50、60間にチャンバー連結弁70を配置し、更に、循環機構80で第1、第2チャンバー50、60の気体を強制移動させる。従って、第1、第2大気開放弁56、66及びチャンバー連結弁70の開閉状態を適宜切り換えることで、第2チャンバー60内を大気に換気したり、これに連動させて第1チャンバー50内のガスも同時に換気したり、第2チャンバー60と第1チャンバー50内で気体を循環させて生物発生ガスを検知したりできる。特にこの循環機構80の気体移送力を、大気検出状態における換気動作と、生物発生ガス検出状態における循環動作で兼ねることが出来るので、生物発生ガス検出装置1の内部構造を簡潔にすることができる。結果、メンテナンスが容易となると共に、製造コストを低減する。
【0041】
また、制御装置10によって「大気検出状態」にする際、チャンバー連結弁70を「チャンバー遮断状態」として、循環機構80で第2チャンバー60から第1チャンバー50にガスを強制移動させるので、第1チャンバー50内のガスが第2チャンバー60側に流れ込むことが抑制される。結果、第2チャンバー60側に設けられているガスセンサ90によって、極めて高精度にバックグラウンドガス濃度を検出できる。
【0042】
更に本実施形態の「大気検出状態」では、第1チャンバー50に対しても、大気で直接的に導入できる。一度計測を行うと、生物発生ガスで第1チャンバー50内が満たされるので、この生物発生ガスの影響を生物自体が受ける場合がある。従って、本実施形態のように、第1チャンバー50に大気を強制的に通過させることによって、短時間で効率的な換気を促し、生物が活動する為の自然環境に素早く復帰させることが出来、計測精度を高めることが可能となる。同様に、生物発生ガスの経時的変化を、一定の周期で繰り返し計測する場合、本実施形態の生物発生ガス検出装置1を用いれば、簡単な制御のみで第1チャンバー50内を大気にリセットすることができる。
【0043】
更に本実施形態では、第1チャンバー50が面積調整機構52を備えているので、例えば図7に示されるように、第1チャンバー50の全体を交換しなくても、開口53Aの面積を簡単に変更ができる。更に図8に示されるように、筒状の拡張アタッチメント(容積調調整機構)54を、第1チャンバー50の容器51の底面側(又は天井側)に延長するように連結することで、第1チャンバー50の容積を自在に変更可能にすることも好ましい。更に図7に示されるように、第2チャンバー60の底面側(又は天井側)にも筒状の拡張アタッチメント64を挿入して、容積を調整することも可能である。
【0044】
なお、上記実施形態では、土壌Sから発生するガスの収支を計測する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9に示されるように、植物Pの一部又は全部を第1チャンバー50内に収容して、植物Pの光合成及び呼吸による発生ガスの収支を計測することもでき、また例えば図10に示されるように、動物Qを第1チャンバー50内に収容して、呼吸や運動による発生ガスの収支を計測することもできる。
【0045】
更に上記実施形態では、第1チャンバー50と第2チャンバー60が、仕切り壁62で上下方向に隣り合っている場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、第1チャンバー50と第2チャンバー60を独立させて、配管等で接続することも可能である。
【0046】
また更に、図11及び図12に示されるように、第2大気開放弁66、循環機構80の気体移動孔82などにおいて、流入気体を第1又は第2チャンバー50、60内の周方向に案内して、第1又は第2チャンバー50、60内で流入気体を旋回させる旋回ガイド120を設けることが好ましい。具体的には、第2大気開放弁66の通気孔71及び循環機構80の気体移動孔82を、それぞれ、第1又は第2チャンバー50、60の中心から偏心した位置に配置する。更に、第2大気開放弁66の通気孔71の内壁側と、循環機構80の気体移動孔82の第1チャンバー50側に旋回ガイド120を設置することで、流入気体を周方向(旋回方向)に案内する。結果、図12の矢印に示されるように、第1又は第2チャンバー50、60内で気体が旋回することで、内部の気体が撹拌され、循環・換気効率を高めることが出来る。また例えば、図12(B)に示されるように、チャンバー連結弁70の通気孔71を中央に設置しておくと、第1チャンバー50内を旋回した後に中央に滞留した気体を、中央のチャンバー連結弁70から第2チャンバー60側に案内することができるので、循環効率を更に高めることが可能となる。
【0047】
なお、本発明の生物発生ガス検出装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の生物発生ガス検出装置によれば、生物発生ガスの計測精度及び計測効率を高めることが可能となり、様々な生物の計測に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 生物発生ガス検出装置
40 ガス検出器本体
50 第1チャンバー
52 面積調整機構
53 交換式カバー
60 第2チャンバー
56 第1大気開放弁
66 第2大気開放弁
70 チャンバー連結弁
80 循環機構
90 ガスセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌、動植物又は微生物等の生物が発生するガスを検出する為の生物発生ガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば土壌、動植物、微生物等の生物を研究する分野では、蒸発する水分、呼吸量、光合成における蒸散などのように、生物から生命活動から生じる様々な発生ガスを分析する必要がある。
【0003】
この発生ガスを測定するために、特許文献1に示されるような2つのチャンバーを用いた生物発生ガス検出装置が提案されている。この生物発生ガス検出装置は、動植物が収容される測定チャンバーと、この測定チャンバーに接続されるバッファーチャンバーを備えており、両者の気体をファンで強制的に循環させる。この生物発生ガス測定装置によれば、チャンバーの容積を変更することで、多様な測定を行うことが可能となる。
【0004】
また、バッファーチャンバーに、外気(大気)を吸引する吸気ファンと、大気に対する圧力開放弁を付加し、バッファーチャンバー内のガスを大気状態にリセットして、連続測定を行う技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3968728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の技術では、バッファーチャンバーを大気状態にリセットする際、測定チャンバー内の生物が発生したガスがバッファーチャンバーに流入する。結果、バッファーチャンバーを完全に大気状態にリセットすることが難しいという問題があった。
【0007】
更に、従来の技術では、測定チャンバー内を大気状態にリセットすることが出来ない。従って、バッファーチャンバーを大気状態にリセットした後に測定を再開しても、測定チャンバー内に予め滞留している発生ガスがバッファーチャンバーに急激に流れ込むので、発生ガスの経時的変化を正確に計測することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、特許文献1の技術を更に発展させて、繰り返し計測を高精度化することが可能な発生ガス検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者の鋭意研究によって、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0010】
即ち、上記目的を達成する本発明は、土壌、動植物又は微生物等の生物が発生するガスが蓄積される第1チャンバーと、前記第1チャンバーに接続される第2チャンバーと、前記第1チャンバーに設けられ、該第1チャンバーの内部空間を大気側に開放する大気開放状態、及び該第1チャンバーの内部空間を大気側から遮断する大気遮断状態を切り換える第1大気開放弁と、前記第2チャンバーに設けられ、該第2チャンバーの内部空間を大気側に開放する大気開放状態、及び該第2チャンバーの内部空間を大気側から遮断する大気遮断状態を切り換える第2大気開放弁と、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に設けられ、該第1チャンバーと該第2チャンバーを接続するチャンバー接続状態、及び該第1チャンバーと該第2チャンバーを遮断するチャンバー遮断状態を切り換えるチャンバー連結弁と、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で気体を強制移動させる循環機構と、前記第1又は前記第2チャンバー内に設けられて内部のガス状態を検出するガスセンサと、を備えることを特徴とする生物発生ガス検出装置である。
【0011】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置では、更に、前記第1大気開放弁、前記第2大気開放弁及び前記チャンバー連結弁の開閉、並びに前記循環機構を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記第1大気開放弁及び前記第2大気開放弁を前記大気遮断状態、且つ前記チャンバー連結弁を前記チャンバー接続状態とした上で、前記循環機構で前記気体を移動させ、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で前記気体が循環する前記生物発生ガス検出状態と、前記第1大気開放弁及び前記第2大気開放弁を前記大気開放状態、且つ前記チャンバー連結弁を前記チャンバー遮断状態とした上で、前記循環機構で前記気体を移動させ、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーに前記大気を導入する大気検出状態とを切り換えることを特徴とすることが好ましい。
【0012】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置の前記循環機構は、更に、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーを接続する気体移動孔と、前記気体移動孔に設けられて前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で前記気体を強制移動させる循環ファンと、を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0013】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置の前記循環機構は、更に、前記第2チャンバーから前記第1チャンバーに前記気体を強制移動させることを特徴とすることが好ましい。
【0014】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置の前記第1チャンバーは、更に、底面側にガスを導入するための開口が形成されていることを特徴とすることが好ましい。
【0015】
上記目的を達成する生物発生ガス検出装置の前記開口には、更に、開口面積を調整するための面積調整機構が設けられることを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生物から生じる発生ガスを高精度に検出することが可能となるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る生物発生ガス検出装置の全体構造を示す断面図である。
【図2】同生物発生ガス検出装置の弁の構造を拡大して示す図である。
【図3】同生物発生ガス検出装置の制御装置の内部構成を示す図である。
【図4】同生物発生ガス検出装置の制御装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】同生物発生ガス検出装置の大気検出状態を示す断面図である。
【図6】同生物発生ガス検出装置の生物発生ガス検出状態を示す断面図である。
【図7】同生物発生ガス検出装置の他の計測態様を示す断面図である。
【図8】同生物発生ガス検出装置の他の構成例を示す断面図である。
【図9】同生物発生ガス検出装置の他の計測態様を示す断面図である。
【図10】同生物発生ガス検出装置の他の計測態様を示す断面図である。
【図11】同生物発生ガス検出装置の他の構成例を示す断面図である。
【図12】(A)は図11のXII(A)矢視断面図であり、(B)図11のXII(B)矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1には、本実施形態の生物発生ガス検出装置1の全体構成が示されている。この生物発生ガス検出装置1は、制御装置10と、ガス検出器本体50を備えて構成される。
【0020】
ガス検出器本体40は、第1チャンバー50、第2チャンバー60、第1大気開放弁56、第2大気開放弁66、チャンバー連結弁70、循環機構80、ガスセンサ90を備える。
【0021】
第1チャンバー50は、土壌、動植物又は微生物等の生物が収容されて、この生物が発生するガスが蓄積される。本実施形態において、この第1チャンバー50は、底側が開放している円筒形の容器51と、この容器51の底側に設置される面積調整機構52を備える。面積調整機構52は、内部に開口53Aを有する環状の交換式カバー53で構成され、容器51の底側を覆うように配置される。開口53Aのサイズや形状が異なる複数の交換式カバー53を予め用意しておけば、この交換式カバー53を交換するのみで、開口53Aの面積を調整できる。勿論、開口53Aが形成されていない交換式カバー53を用いれば、第1チャンバー50を密閉状態とすることもできる。なお、容器51は樹脂又はガラス等のような剛性を有する透明素材で構成されているが、面積調整機構52の交換式カバー53は、シリコン、ゴム、スポンジなどの弾性を有する材料で構成して、容器51との密着性を高めることが好ましい。
【0022】
なお、本実施形態では、面積調整機構52として交換式カバー53を設けているが、スライド式の板などを用い、そのスライド量で開口面積を調整することもできる。
【0023】
第2チャンバー60は、円筒形の容器61を備えており、第1チャンバー50の上方に積み重ねるように配置される。特に本実施形態では、第1チャンバー50の天井と、第2チャンバー60の底面が、共通の仕切り壁62で構成され、両者の容器51、61が一体化している。このように、第1チャンバー50と第2チャンバー60を上下に積み重ねて配置すると、装置全体がコンパクト化・一体化されることで可搬性を向上する。また、仕切り壁62の位置を変更すれば、各々の容積を変更することもできる。なお、第1チャンバー50と第2チャンバー60を分離可能に構成して、それぞれ独立して内部容積を変更できるようにしておくことも好ましい。
【0024】
第1大気開放弁56は、第1チャンバー50の側壁に設けられており、この第1チャンバー50の内部空間を大気側に開放する「大気開放状態」と、第1チャンバー50の内部空間を大気側から遮断する「大気遮断状態」を切り換える。
【0025】
第2大気開放弁66は、第2チャンバー60の側壁又は天井に設けられており、第2チャンバー60の内部空間を大気側に開放する「大気開放状態」と、第2チャンバー60の内部空間を大気側から遮断する「大気遮断状態」を切り換える。
【0026】
チャンバー連結弁70は、第1チャンバー50と第2チャンバー60との間の仕切り壁62に設けられ、第1チャンバー50と第2チャンバー60の内部空間を接続する「チャンバー接続状態」と、第1チャンバー50と第2チャンバー60の内部空間を遮断する「チャンバー遮断状態」を切り換える。
【0027】
図2に拡大して示されるように、チャンバー連結弁70は、第1チャンバー50と第2チャンバー60を接続する通気孔71と、この通気孔71を密閉可能な弁体72と、この弁体72を通気孔71に対して進退させるスライダ73と、このスライダ73をスライドさせるアーム74と、アーム74を揺動させるサーボモータ75と、このサーボモータ75を固定する台座76を備えて構成される。サーボモータ75によってアーム74を揺動させると、スライダ73が往復運動し、弁体72が通気孔71を密閉したり(図2(A)参照)、弁体72が通気孔71を開放したりする(図2(B)参照)。弁体72は、通気孔71の周囲との密閉性を高めるために、表面がシリコン、ゴム、スポンジ等の弾性体で構成される。なお、第1大気開放弁56及び第2大気開放弁66の構造も、このチャンバー連結弁70と同じ構造であることから、ここでの説明を省略する。
【0028】
図1に戻って、循環機構80は、第1チャンバー50と第2チャンバー60の間で気体を強制移動させる。具体的に循環機構80は、第1チャンバー50と第2チャンバー80を接続する気体移動孔82と、気体移動孔80に設けられて第1チャンバー50と第2チャンバー60の間で気体を強制移動させる循環ファン84を備える。気体移動孔80は、ここでは仕切り壁62に設けられる開口となる。この循環ファン84は、この気体移動孔80の第2チャンバー60側に設置されることによって、第2チャンバー60側から第1チャンバー50側に気体を強制移動させる。
【0029】
ガスセンサ90は、第2チャンバー60内に設けられて内部のガス状態を検出する。具体的に本実施形態では、ガスセンサ90として、CO2センサーとH2センサーが設けられており、第2チャンバー60内のCO2及びH2を計測できるようになっている。なお、ここではCO2及びH2を検知する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、ガスの状態を検知できるものであれば、温度、湿度、窒素、酸素など様々なセンサを用いることができる。また、このガスセンサ90は、デジタル表示画面92を備えており、計測中のCO2又はH2の濃度を数値表示できるようになっている。
【0030】
図3には、制御装置10のハード構成が開示されている。この制御装置10は、CPU12、第1記憶媒体14、第2記憶媒体16、第3記憶媒体18、入力装置20、表示装置22、入出力インタフェース24、GPSセンサ26、バス28を備えて構成される。CPU12はいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて本制御装置10の各種機能を実現する。第1記憶媒体14はいわゆるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)であり、CPU12の作業領域として使用されるメモリである。第2記憶媒体16はいわゆるROM(リード・オンリー・メモリ)であり、CPU12で実行される基本OSを記憶するためのメモリである。第3記憶媒体18は、磁気ディスクを内蔵したハードディスク装置、CDやDVDやBDを収容するディスク装置、不揮発性の半導体フラッシュメモリ装置などで構成されており、CPU12で実行される各種プログラム、ガスセンサ90のセンシングデータ、計測スケジュールを設定する為のスケジュールデータ等が保存される。入力装置20は入力キーやキーボード、マウスであり、各種情報を入力する装置である。表示装置22はディスプレイであって、センシング結果や各種操作状態を表示する。入出力インタフェース24は、各弁を動かすサーボモータに対する電源及び制御信号や、ガスセンサ90に対する電源及び制御信号が入出力される。更にこの入出力インタフェース24は、外部のパーソナルコンピュータからプログラム等のデータを取得したり、同パーソナルコンピュータに対して計測結果を出力したりする。GPSセンサ26は、測定地点の位置情報を取得して、センシング結果と一緒に保存する。バス28は、CPU12、第1記憶媒体14、第2記憶媒体16、第3記憶媒体18、入力装置20、表示装置22、入出力インタフェース24、GPSセンサ26などを一体的に接続して通信を行うための配線となる。
【0031】
図4には、この制御装置10に保存される計測プログラムがCPU12で実行されることで得られる機能構成が示されている。この制御装置10は、機能構成として、スケジュール制御部30、センシング部32、弁制御部34を備える。スケジュール制御部30は、本生物発生ガス検出装置1における生物から発生するガスを繰り返して検出する際の計測スケジュール及び計測結果のデータを管理する。センシング制御部32は、スケジュール制御部30からの指示に基づいて、ガスセンサ90を利用してガスの状態を検出し、第3記憶媒体18に保存する。弁制御部34は、スケジュール制御部30からの指示に基づいて、第1、第2大気開放弁56、66及びチャンバー連結弁70のサーボモータを制御して、各弁体の開閉を行う。
【0032】
次に、図5及び図6を参照して、制御装置10による、生物発生ガス検出装置1の自動繰り返し計測手順(方法)について説明する。なおここでは、土壌Sから発生するCO2及びH2のガス収支を計測する場合を例示する。
【0033】
先ず制御装置10は、図5に示されるように、第1大気開放弁56及び第2大気開放弁66を「大気開放状態」、且つチャンバー連結弁70を「チャンバー遮断状態」とした上で、循環機構80で気体を移動させる。結果、大気は、矢印Aに沿って、第2大気開放弁66を介して第2チャンバー60に流入し、循環機構80の気体移動孔82を介して第2チャンバー60から第1チャンバー50に流入し、更に、第1大気開放弁56を介して第1チャンバー50から外部に放出される。即ち、第1、第2チャンバー50、60の双方を大気が連続的に通過して、全体が換気される。特にチャンバー連結弁70を「チャンバー遮断状態」として、循環機構80で第2チャンバー60から第1チャンバー50にガスを移動させるので、第1チャンバー50内のガスが第2チャンバー60側に流れ込むことが抑制される。なお、この状態のことを本実施形態では「大気検出状態」と呼ぶ。
【0034】
この大気検出状態において、制御装置10は、ガスセンサ90を利用して第2チャンバー60内のCO2及びH2を計測する。結果、この生物発生ガス検出装置1の周囲に存在している大気のCO2及びH2の濃度(これをバックグラウンドガス濃度という)を正確に検出することが可能となる。なお、この計測時間は、換気を継続してCO2、H2の検出値が安定した時点を終了とする。
【0035】
次に制御装置10は、図6に示されるように、第1大気開放弁56及び第2大気開放弁66を「大気遮断状態」、且つチャンバー連結弁70を「チャンバー接続状態」とした上で、循環機構80で気体を移動させる。結果、矢印Bに示されるように、第1チャンバー50内のガスは、チャンバー連結弁70を介して第2チャンバー60に流入し、第2チャンバー60内のガスは循環機構80の気体移動孔82を介して第1チャンバー50に移動する。即ち、大気から閉ざされた第1チャンバー50と第2チャンバー60の間を気体が循環する。なお、この状態のことを本実施形態では「生物発生ガス検出状態」と呼ぶ。
【0036】
この生物発生ガス検出状態において、制御装置10は、ガスセンサ90を利用して第2チャンバー60内のCO2及びH2を計測する。結果、第1チャンバー50内の生物が発生したガスによる、CO2及びH2による濃度上昇又は下降度合いを正確に検出することが可能となる。具体的には、一定の時間に亘ってCO2及びH2の濃度変化量を測定し、この濃度変化量と、第1、第2チャンバー50、60の容積から、発生源となる土壌SからのCO2及びH2の発生量を算出する。例えば10分間に亘って測定したCO2濃度変化量から、「CO2排出質量(g)/平方センチメートル/1時間」というように、単位面積当たり且つ単位時間当たりのガス排出量を導く。なお、土壌Sを測定する場合、単位面積の基準は開口53Aの面積となる。一方、開口53Aと閉じた上で、第1チャンバー50内の動物のガス排出量を計測する場合は、「CO2排出質量(g)/1個体/1時間」というように、単位個体当たり且つ単位時間当たりのガス排出量を導いても良い。また開口53Aと閉じた上で、第1チャンバー50内の植物のガス排出量を計測する場合は、「CO2排出質量(g)/葉の単位面積/1時間」というように、葉の単位表面積当たり且つ単位時間当たりのガス排出量を導いたりすることもできる。
【0037】
なお、より高精度に測定するためには、第1チャンバー50内の生物から発生するガス濃度が上昇・下降する時の、第1チャンバー50、第2チャンバー60の温度変化、湿度変化、圧力変化(ガス体積変化及びガス分圧変化)を計測し、それを上記ガス発生量の計算に反映させることが好ましい。従って、第1チャンバー50、第2チャンバー60の何れかに、望ましくは圧力センサー、温度センサー、湿度センサーを配置する。一方、例えば10分程度のCO2濃度変動を利用してガス発生量を算出する場合、その濃度変化は多くても数百ppm程度の変動量、温度変化・湿度変化も略零になるので、第1チャンバー50、第2チャンバー60の温湿度変化、内圧変化(ガス体積変化及びガス分圧変化)は殆ど無視して良い場合もある。このような場合は、圧力センサー等を必ずしも設置しなくても良い。
【0038】
また、制御装置10は、バックグラウンドガス濃度を基準とした濃度上昇・下降量を算出することで、生物単体が発生するCO2、H2のガス収支を算出するようにしてもよい。
【0039】
図6の状態による変動後ガス濃度の検出が終わった後、この制御装置10は、再び図5の「大気検出状態」に移行してバックグラウンドガス濃度を計測し、出来る限り自然環境に近い状態に素早く戻す。これにより、自らが発生するガスによって第1チャンバー50、第2チャンバー60内の濃度が高まるような、不自然な計測環境を回避する。その後、更に図6の「生物発生ガス検出状態」に移行して変動後ガス濃度を計測する。このように、本生物発生ガス検出装置1では、使用者によって設定されたスケジュールに併せて、「大気検出状態」と「生物発生ガス検出状態」を自在に移行しながら、第1チャンバー50内を自然環境に近い状態に維持しつつ、ガスの状態を検知することが可能となっている。
【0040】
以上、本実施形態の生物発生ガス検出装置1によれば、第1、第2チャンバー50、60の双方に第1、第2大気開放弁56、66を配置すると共に、第1、第2チャンバー50、60間にチャンバー連結弁70を配置し、更に、循環機構80で第1、第2チャンバー50、60の気体を強制移動させる。従って、第1、第2大気開放弁56、66及びチャンバー連結弁70の開閉状態を適宜切り換えることで、第2チャンバー60内を大気に換気したり、これに連動させて第1チャンバー50内のガスも同時に換気したり、第2チャンバー60と第1チャンバー50内で気体を循環させて生物発生ガスを検知したりできる。特にこの循環機構80の気体移送力を、大気検出状態における換気動作と、生物発生ガス検出状態における循環動作で兼ねることが出来るので、生物発生ガス検出装置1の内部構造を簡潔にすることができる。結果、メンテナンスが容易となると共に、製造コストを低減する。
【0041】
また、制御装置10によって「大気検出状態」にする際、チャンバー連結弁70を「チャンバー遮断状態」として、循環機構80で第2チャンバー60から第1チャンバー50にガスを強制移動させるので、第1チャンバー50内のガスが第2チャンバー60側に流れ込むことが抑制される。結果、第2チャンバー60側に設けられているガスセンサ90によって、極めて高精度にバックグラウンドガス濃度を検出できる。
【0042】
更に本実施形態の「大気検出状態」では、第1チャンバー50に対しても、大気で直接的に導入できる。一度計測を行うと、生物発生ガスで第1チャンバー50内が満たされるので、この生物発生ガスの影響を生物自体が受ける場合がある。従って、本実施形態のように、第1チャンバー50に大気を強制的に通過させることによって、短時間で効率的な換気を促し、生物が活動する為の自然環境に素早く復帰させることが出来、計測精度を高めることが可能となる。同様に、生物発生ガスの経時的変化を、一定の周期で繰り返し計測する場合、本実施形態の生物発生ガス検出装置1を用いれば、簡単な制御のみで第1チャンバー50内を大気にリセットすることができる。
【0043】
更に本実施形態では、第1チャンバー50が面積調整機構52を備えているので、例えば図7に示されるように、第1チャンバー50の全体を交換しなくても、開口53Aの面積を簡単に変更ができる。更に図8に示されるように、筒状の拡張アタッチメント(容積調調整機構)54を、第1チャンバー50の容器51の底面側(又は天井側)に延長するように連結することで、第1チャンバー50の容積を自在に変更可能にすることも好ましい。更に図7に示されるように、第2チャンバー60の底面側(又は天井側)にも筒状の拡張アタッチメント64を挿入して、容積を調整することも可能である。
【0044】
なお、上記実施形態では、土壌Sから発生するガスの収支を計測する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9に示されるように、植物Pの一部又は全部を第1チャンバー50内に収容して、植物Pの光合成及び呼吸による発生ガスの収支を計測することもでき、また例えば図10に示されるように、動物Qを第1チャンバー50内に収容して、呼吸や運動による発生ガスの収支を計測することもできる。
【0045】
更に上記実施形態では、第1チャンバー50と第2チャンバー60が、仕切り壁62で上下方向に隣り合っている場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、第1チャンバー50と第2チャンバー60を独立させて、配管等で接続することも可能である。
【0046】
また更に、図11及び図12に示されるように、第2大気開放弁66、循環機構80の気体移動孔82などにおいて、流入気体を第1又は第2チャンバー50、60内の周方向に案内して、第1又は第2チャンバー50、60内で流入気体を旋回させる旋回ガイド120を設けることが好ましい。具体的には、第2大気開放弁66の通気孔71及び循環機構80の気体移動孔82を、それぞれ、第1又は第2チャンバー50、60の中心から偏心した位置に配置する。更に、第2大気開放弁66の通気孔71の内壁側と、循環機構80の気体移動孔82の第1チャンバー50側に旋回ガイド120を設置することで、流入気体を周方向(旋回方向)に案内する。結果、図12の矢印に示されるように、第1又は第2チャンバー50、60内で気体が旋回することで、内部の気体が撹拌され、循環・換気効率を高めることが出来る。また例えば、図12(B)に示されるように、チャンバー連結弁70の通気孔71を中央に設置しておくと、第1チャンバー50内を旋回した後に中央に滞留した気体を、中央のチャンバー連結弁70から第2チャンバー60側に案内することができるので、循環効率を更に高めることが可能となる。
【0047】
なお、本発明の生物発生ガス検出装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の生物発生ガス検出装置によれば、生物発生ガスの計測精度及び計測効率を高めることが可能となり、様々な生物の計測に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 生物発生ガス検出装置
40 ガス検出器本体
50 第1チャンバー
52 面積調整機構
53 交換式カバー
60 第2チャンバー
56 第1大気開放弁
66 第2大気開放弁
70 チャンバー連結弁
80 循環機構
90 ガスセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌、動植物又は微生物等の生物が発生するガスが蓄積される第1チャンバーと、
前記第1チャンバーに接続される第2チャンバーと、
前記第1チャンバーに設けられ、該第1チャンバーの内部空間を大気側に開放する大気開放状態、及び該第1チャンバーの内部空間を大気側から遮断する大気遮断状態を切り換える第1大気開放弁と、
前記第2チャンバーに設けられ、該第2チャンバーの内部空間を大気側に開放する大気開放状態、及び該第2チャンバーの内部空間を大気側から遮断する大気遮断状態を切り換える第2大気開放弁と、
前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に設けられ、該第1チャンバーと該第2チャンバーを接続するチャンバー接続状態、及び該第1チャンバーと該第2チャンバーを遮断するチャンバー遮断状態を切り換えるチャンバー連結弁と、
前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で気体を強制移動させる循環機構と、
前記第1又は前記第2チャンバー内に設けられて内部のガス状態を検出するガスセンサと、
を備えることを特徴とする生物発生ガス検出装置。
【請求項2】
前記第1大気開放弁、前記第2大気開放弁及び前記チャンバー連結弁の開閉、並びに前記循環機構を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記第1大気開放弁及び前記第2大気開放弁を前記大気遮断状態、且つ前記チャンバー連結弁を前記チャンバー接続状態とした上で、前記循環機構で前記気体を移動させ、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で前記気体が循環する前記生物発生ガス検出状態と、
前記第1大気開放弁及び前記第2大気開放弁を前記大気開放状態、且つ前記チャンバー連結弁を前記チャンバー遮断状態とした上で、前記循環機構で前記気体を移動させ、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーに前記大気を導入する大気検出状態と
を切り換えることを特徴とする、
請求項1に記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項3】
前記循環機構は、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーを接続する気体移動孔と、前記気体移動孔に設けられて前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で前記気体を強制移動させる循環ファンと、を備えることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項4】
前記循環機構は、前記第2チャンバーから前記第1チャンバーに前記気体を強制移動させることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項5】
前記第1チャンバーは、底面側にガスを導入するための開口が形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項6】
前記開口には、開口面積を調整するための面積調整機構が設けられることを特徴とする、
請求項5に記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項1】
土壌、動植物又は微生物等の生物が発生するガスが蓄積される第1チャンバーと、
前記第1チャンバーに接続される第2チャンバーと、
前記第1チャンバーに設けられ、該第1チャンバーの内部空間を大気側に開放する大気開放状態、及び該第1チャンバーの内部空間を大気側から遮断する大気遮断状態を切り換える第1大気開放弁と、
前記第2チャンバーに設けられ、該第2チャンバーの内部空間を大気側に開放する大気開放状態、及び該第2チャンバーの内部空間を大気側から遮断する大気遮断状態を切り換える第2大気開放弁と、
前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に設けられ、該第1チャンバーと該第2チャンバーを接続するチャンバー接続状態、及び該第1チャンバーと該第2チャンバーを遮断するチャンバー遮断状態を切り換えるチャンバー連結弁と、
前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で気体を強制移動させる循環機構と、
前記第1又は前記第2チャンバー内に設けられて内部のガス状態を検出するガスセンサと、
を備えることを特徴とする生物発生ガス検出装置。
【請求項2】
前記第1大気開放弁、前記第2大気開放弁及び前記チャンバー連結弁の開閉、並びに前記循環機構を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記第1大気開放弁及び前記第2大気開放弁を前記大気遮断状態、且つ前記チャンバー連結弁を前記チャンバー接続状態とした上で、前記循環機構で前記気体を移動させ、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で前記気体が循環する前記生物発生ガス検出状態と、
前記第1大気開放弁及び前記第2大気開放弁を前記大気開放状態、且つ前記チャンバー連結弁を前記チャンバー遮断状態とした上で、前記循環機構で前記気体を移動させ、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーに前記大気を導入する大気検出状態と
を切り換えることを特徴とする、
請求項1に記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項3】
前記循環機構は、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーを接続する気体移動孔と、前記気体移動孔に設けられて前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの間で前記気体を強制移動させる循環ファンと、を備えることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項4】
前記循環機構は、前記第2チャンバーから前記第1チャンバーに前記気体を強制移動させることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項5】
前記第1チャンバーは、底面側にガスを導入するための開口が形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の生物発生ガス検出装置。
【請求項6】
前記開口には、開口面積を調整するための面積調整機構が設けられることを特徴とする、
請求項5に記載の生物発生ガス検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−233837(P2012−233837A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104051(P2011−104051)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(394008846)大起理化工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(394008846)大起理化工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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