説明

発芽抑制剤としてのフッ化スルフリルの使用

本発明は、フッ化スルフリルを使用することによる、ジャガイモ塊茎の発芽の抑制に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年11月8日に出願された米国仮出願第61/002,298号の優先権を主張するものである。その全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、塊茎、特にジャガイモにおける発芽を抑制するためのフッ化スルフリルの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ジャガイモなどの塊茎を、発芽抑制特性を有する様々な化学薬品で処理することは、当技術分野においてよく知られている。CIPC(クロルプロファム(chlorpropham、chlorprophame);クロル−IPC、IRPAC名 イソプロピル3−クロロカルバニレート;イソプロピル3−クロロフェニルカルバメート;Chemical Abstracts名 1−メチルエチル(3−クロロフェニル)カルバメート EEC番号202−925−7)は、この目的のために従来から約40年以上の間使用されてきた。
【0004】
ジャガイモ塊茎は、貯蔵時期に化学的発芽抑制剤で処理されることが多く、小売店への出荷用に包装される前に発芽抑制剤の別の処理を受けることもある。化学的発芽抑制剤を用いないと、休眠の喪失および早期の発芽によって、最大貯蔵期間は大きく減少する。したがって、中長期間貯蔵される事実上すべてのジャガイモは、化学的発芽抑制剤で処理される。
【0005】
ジャガイモは、掘り出される際に頻繁に押し傷、切り傷、および/または磨耗を受ける。ジャガイモへのこれらの外傷は、出荷、貯蔵などの間に損傷を引き起こすことが多い。コルク化として知られているプロセスが自然に起こり、それによりこれらの外傷の多くが治癒されることになる。しかしながら、ジャガイモを貯蔵するときはいつでも(この貯蔵は、所与の年に収穫された特に大部分のジャガイモに伴う)、治癒がゆっくり起こる場合、損傷によってジャガイモの重大な喪失が起こる可能性がある。CIPCなどのいくつかの発芽抑制剤での早期処理はコルク化プロセスを遅らせる可能性があり、したがって、これは損傷によるジャガイモの喪失の一因となる。
【0006】
ジャガイモに使用するための登録された主要な発芽抑制剤は、CIPC、マレイン酸ヒドラジド(MH)、ならびにジメチルナフタレン(DMN)およびジイソプロピル−ナフタレン(DIPN)である。2つの化学物質を組み合わせると(CIPCとDIPN)、2つの化学物質のいずれか単独の場合よりも低い濃度で効果が高まると思われる。CIPCとDIPNを同時に適用すると、いずれかの発芽抑制剤の別々の適用よりも結果が改善される。
【0007】
例えば、ジャガイモにおける発芽の発生を防止または遅延するために、ジャガイモをCIPCで処理することは、ジャガイモ貯蔵産業において比較的一般的である。未処理のジャガイモは、冷温、例えば、一般的に約36〜52°Fの間で貯蔵しても、貯蔵から1カ月以降に発芽が起こり始める。6〜10カ月以上貯蔵することは、ジャガイモの貯蔵にはよくあることである。したがって、CIPCなどの化学物質未処理では、貯蔵されたジャガイモは、芽でもつれた状態になり、貯蔵されたジャガイモ全体が、経済的に無駄になる可能性がある。CIPCでの早期処理は、発芽抑制目的で有利である可能性があるが、CIPCはコルク化を遅らせる傾向があるので、CIPCの適用はコルク化が起こった後まで典型的に延期され、腐敗および損傷の加速をもたらす。
【0008】
CIPCは、熱噴霧技法、スプレーおよび粉末を使用して、貯蔵する塊茎に1回または複数回の適用で典型的に適用される。従来の熱噴霧は、CIPCエアロゾルを生成するために、550〜1000°Fの熱気流中にまたは高温面上にCIPCを適用するものである。CIPCエアロゾルは、送風機の使用で、ジャガイモ貯蔵庫内に積み上げられたジャガイモの間を循環する。柔らかくなったジャガイモの積み重ねは、実質的に加圧される可能性があり、それによって、エアロゾルの分配を妨害する可能性があるため、好ましくは、CIPCエアロゾルで処理する際、ジャガイモは柔らかいよりもむしろ膨らんでいる。しかしながら、CIPC残留レベルは、生分解、排出および大気によって起こる喪失によって典型的に時間とともに減少することになる。CIPCの効果的な発芽抑制能力を延ばすために、追加的な適用が必要である可能性がある。
【0009】
CIPCは世界中でかなりの量が使用され、細胞分裂を制限する化学的能力で、貯蔵された塊茎上の発芽を抑える能力がある。厳しい貯蔵管理戦略とともに、比率の増加、複数回の適用、置換ナフタレンの化学的性質の追加が、CIPCを処理したジャガイモにおける発芽発生を減少させるのを助けるために実行されてきた。
【0010】
CIPCは、平均的なアメリカ人の食事中に最も高濃度で見出される3種の農薬の内の1種であることが知られており(Gartrellら、「Pesticides Selected Elements,and Other Chemicals in Adult Total Diet Samples,October 1980−March 1982」、J.Assoc.Off.Anal.Chem.、69:146〜159ページ、1986)、米国のジャガイモ中に見出される全合成化学残留物の90%より多くを占める(Gunderson,J.「FDA Total Diet Study,April 1982−April 1984,Dietary Intakes of Pesticides,Selected Elements,and Other Chemicals」、Assoc.Off.Anal.Chem.、71:1200〜1209ページ、1988)。環境およびジャガイモ組織におけるその持続性のために、その毒性に関する懸案事項は、環境保護庁によって再検討中である。CIPCは、よく知られている発癌物質である、エチルウレタンの誘導体であり、CIPCが接種された時点でこの親化合物に再び転換されるかどうかは知られていない(Mondyら、「Effect of Storage Time,Temperature,and Cooking On Isopropyl N−(3−chlorophenol)Carbamate Levels in Potatoes」、J.Agric.Food Chem.、40:197〜199ページ、1992)。CIPCは弱い立場にあるため、ジャガイモ産業は、発芽制御のための代替の薬剤を探し求めている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、CIPCを使用せずかつ/またはCIPCの使用を賞賛しない効果的な抗発芽処理プロトコールを提供する。さらに詳細には、本発明は、ジャガイモ塊茎を、発芽を抑制するために有効な量のフッ化スルフリルに接触させることを含む、ジャガイモ塊茎の発芽を抑制する方法に関する。単独で使用することに加えて、フッ化スルフリルは、任意の他の発芽抑制剤(1種または複数)と組み合わせて使用することができる。
【0012】
フッ化スルフリルは、約−52℃で沸騰する、不燃性、非腐食性のガス物質である。それは、線虫、細菌、カビおよび昆虫の防除のための、特に等翅目、甲虫目、チョウ目およびゴキブリ目などの、構造上のおよび収穫後の害虫の防除のための燻蒸剤として使用される。フッ化スルフリルは、植物に有毒であるが、雑草または作物の種子の発芽への効果はほとんどない。
【0013】
本明細書では、「塊茎」という用語は、「ジャガイモ塊茎」を包括し、「ジャガイモ塊茎」は、ジャガイモ植物(Solanum tuberosum)の地下貯蔵器官を指す。ジャガイモ塊茎は、改変された茎であり、発芽し、新しいジャガイモ植物を形成することができる芽を含む。「(ジャガイモ)塊茎」という用語は、一般に塊茎とジャガイモ塊茎の両方を指す。好ましいジャガイモには、Russet Burbank、Ranger Russet、Umatilla Russet、Shepody、Norkotah Russet、Yukon Gold、Norchip、Gem Russet、Atlantic、Chipeta、Snowden、およびDark Red Norlandが含まれる。
【0014】
「発芽を抑制するために有効な」という表現は、(a)本発明に従ってフッ化スルフリルに接触させた規定数の(ジャガイモ)塊茎から成長した茎(芽)の数および/または重量が、発芽抑制剤に接触させていない同数の対照(ジャガイモ)塊茎(処理した(ジャガイモ)塊茎と同じ栽培品種の)から成長した茎の数および/または重量よりも少ない、および/または(b)本発明に従ってフッ化スルフリルに接触させた規定数の(ジャガイモ)塊茎から成長した茎の成長の平均速度が、発芽抑制剤に接触させていない同数の対照(ジャガイモ)塊茎(処理した(ジャガイモ)塊茎と同じ栽培品種の)から成長した茎の成長の平均速度よりも小さいことを意味する。かかる抑制は、対照と比較して常にあり得る。当業者には理解されるように、対照塊茎が、フッ化スルフリルに接触させた塊茎における抑制された活性を示す場合、抑制の概念は意味深長である。別の好ましい抑制の基準は、未処理の対照と比較した、例えば収穫後50日での「休眠中+最大3mmの芽」塊茎の総量の比較である。どの基準を使用しても、好ましい抑制の量には、1%未満、1%、3%、3%より大きい、5%、8%、10%、20%、30%などから、100%までが含まれる。
【0015】
一般に、本発明には、塊茎へのフッ化スルフリルの任意の適用が含まれ、特に、ジャガイモを収穫する前の畑におけるジャガイモ植物への適用、および/またはジャガイモを収穫した後であるが、それらを貯蔵する前の適用、および/またはジャガイモを貯蔵した後の適用が含まれる。好ましい実施形態において、フッ化スルフリルは、収穫したジャガイモにガスとして適用する。フッ化スルフリルは、塊茎(ジャガイモ)を収穫し、押し傷および切り傷が治癒する、すなわち、コルク化が起こる十分な期間貯蔵した後に初めてまたは引き続いて適用することもできる。本発明の別の態様において、ジャガイモの出荷および販売プロセス中に発芽を抑制するように、フッ化スルフリルを適用する。
【0016】
上述のことに従って、本発明は、ジャガイモ塊茎の発芽を抑制する方法を提供し、その方法はそれぞれ、ジャガイモ塊茎をジャガイモ塊茎の発芽を抑制するために有効な量のフッ化スルフリルに接触させるステップを含む。典型的に、フッ化スルフリルは、同時に、または実質的に同時に、多数の収穫したジャガイモ塊茎に適用する。本発明の方法の実行において、フッ化スルフリルは、ジャガイモ塊茎を収穫した後であるが、典型的に発芽の開始までに適用する。本発明の方法のいくつかの実施形態において、フッ化スルフリルの有効量は、1kgのジャガイモ塊茎につき1mg(100万分の1)よりはるかに少ない投薬量から、例えば、100ppm、500ppm以上までの投薬量を提供するのに十分な量である。好ましい量には、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1、2、3、5、8、10、15、20、25、30、35、40、50、60ppmなどが含まれる。
【0017】
本発明には、貯蔵されたジャガイモに第1の発芽抑制化学物質を適用し、次いでその後第2の発芽抑制化学物質を適用することによって、貯蔵された塊茎、特にジャガイモの発芽を抑制する方法が含まれ、発芽抑制化学物質の少なくとも1種が本発明の一部を構成するフッ化スルフリルであり、「第2の発芽抑制化学物質」には、CIPC、MCPP、およびDMNまたはDIPN、特に2,6ジイソプロピルナフタレンが含まれてよい。複数の物質をともに適用することができるか、または第1の化学物質適用と第2の化学物質適用の間に経過する時間は、わずかの時間から数カ月であってよい。第2の化学物質は、第1の化学物質の発芽抑制特徴の効果が弱くなっていく期間に一般的に適用する。
【0018】
上述のことに従って、一態様において、本発明は、(ジャガイモ)塊茎を処理する方法を提供し、その方法はそれぞれ、(ジャガイモ)塊茎をフッ化スルフリルに接触させるステップを含む。好ましくは、フッ化スルフリルの量は、(ジャガイモ)塊茎の発芽を抑制するために有効な量である。しかしながら、これは必須ではない。例えば、フッ化スルフリルを別の発芽抑制剤とともに使用する場合、ジャガイモ塊茎の発芽を抑制するために有効な量より少ない量でフッ化スルフリルを使用することができる。好ましくは、当然、発芽抑制剤の総量(すなわち、フッ化スルフリルおよび任意の追加の発芽抑制剤(1種または複数)の量)が、ジャガイモ塊茎の発芽を抑制するために有効である。
【0019】
本発明において、フッ化スルフリルは、ホスファイト、過酸化水素(ジオキシド)、亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、チオベンダゾール、アゾキシストロビン、フルジオキソニル、およびマンコゼブを含有する生成物を含めた、1種または複数の抗菌性および/または疾患抑制性活性薬剤とともに使用することもできる。本発明の好ましい実施形態において、フッ化スルフリルは、ジャガイモ塊茎を収穫した後であるが、典型的に発芽の開始までに適用する。したがって、本発明の方法のいくつかの実施形態において、フッ化スルフリルは、塊茎を収穫した後、1、2、3、4、5、6、7または8週間以内に塊茎に適用する。典型的に、フッ化スルフリルは、収穫したジャガイモ塊茎の自然の休眠期間が終わる前、すなわちジャガイモ塊茎上の芽が発芽し始める前に適用する。好ましくは、フッ化スルフリルは、自然の休眠期間の実行可能な限り終わり間近に適用する。自然の休眠期間の存続期間は、当業者には知られており、ジャガイモ栽培品種間で異なり、収穫時の塊茎の生理機能および条件、ならびに貯蔵温度などの要因によって決まる。例えば、温度およびジャガイモ栽培品種によって、自然の休眠期間の推定(日数で)は、45〜48°Fの温度で約70〜140日になる。
【0020】
ジャガイモをリコンディショニングに供する場合、フッ化スルフリルは、典型的にリコンディショニング期間の初めに適用する。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、フッ化スルフリルは、ジャガイモ塊茎をフライドポテトまたはポテトチップスを作るために加工する1、2、3、4または5週間前に適用する。本発明の方法の実行において、フッ化スルフリルは、貯蔵期間中に1回超(例えば、少なくとも2回)ジャガイモ塊茎に適用することができる。
【0021】
典型的に、しかし必要条件としてではなく、フッ化スルフリルは、同時に、または実質的に同時に、多数の収穫したジャガイモ塊茎に適用する。ジャガイモは、概して、例えば約1トンから約50,000トン、より普通には約5,000から25,000トンを保管するように設計された大量貯蔵庫内に貯蔵することができる。プロセスの効率化のために、少なくとも1トンのジャガイモ塊茎などの塊茎を収容できる囲われた土地においてフッ化スルフリルを使用することが好ましい。貯蔵庫は、温度および相対湿度に加えて、山積み(約25フィートの深さであってよい)を通して換気を正確に管理するように設計されている。温度は、冷却および/または、湿度も上げる、セルデッキ(cell deck)を通した外気との換気によって管理する。例えば、フッ化スルフリルは、ジャガイモの積み重ねの間に下から上まで空気を循環させる貯蔵換気システム中に適用することができる。貯蔵庫を処理後一般に堅く閉じ、空気を、フッ化スルフリルの適用後数時間の間積み重ねの間を内部で循環させることができる。囲まれた土地の他の種類、好ましくは、湿度および温度管理装置を有する囲まれた土地を使用することができる。
【0022】
ジャガイモ塊茎に適用するフッ化スルフリルの量は、好ましくは塊茎の発芽を抑制するために有効な量である。発芽抑制は、本発明において、最低限の、しかし多少の抑制から完全な抑制まで、その間のすべての差異を含めて異なってよい。
【0023】
ジャガイモ塊茎の発芽を抑制するために有効なフッ化スルフリルの量は、処理するジャガイモ栽培品種によって決まる。本発明の方法のいくつかの実施形態において、フッ化スルフリルは、0.001ppmなどの任意の測定可能な量から、例えば、50、100、200、500、1000ppmなどまでの投薬量を提供するのに十分な量で、ジャガイモ塊茎に適用する。別の実施形態において、塊茎に接触させるフッ化スルフリルの濃度は、塊茎がその中にある囲われた土地1立方メートルあたり約1グラムから、1立方メートルあたり16グラム未満までである。別の実施形態において、フッ化スルフリルの濃度は、1立方メートルあたり約2〜15グラムである。別の実施形態において、フッ化スルフリルの濃度は、1立方メートルあたり約2〜14グラムである。別の実施形態において、フッ化スルフリルの濃度は、1立方メートルあたり約2〜12グラムである。普通、接触させる時間は、2時間より長い。本発明の別の実施形態において、接触させる時間は、4時間より長い。本発明の別の実施形態において、接触させる時間は、6時間より長い。本発明の別の実施形態において、接触させる時間は、8時間より長い。一般に、時間は、1週間を超えない。本発明の別の実施形態において、時間は、5日を超えない。本発明の別の実施形態において、時間は、3日を超えない。本発明の別の実施形態において、時間は、2日を超えない。
【0024】
本発明の方法は、Russet Burbank、Ranger Russet、Umatilla Russet、Shepody、Norkotah Russet、Yukon Gold、Norchip、Gem Russet、Atlantic、Chipeta、Snowden、およびDark Red Norlandを含めるが、それらに限定されない、任意のジャガイモ栽培品種に適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
これらの例は、本発明のいくつかの実施形態を例示するために提供する。本発明は、これらの例示された実施形態に限定されない。
[実施例1]
【0026】
RussetポテトおよびRedポテトを、有機栽培の小売店から購入し、この試験に使用した。これらのジャガイモを、Styrofoam(商標)燻蒸消毒室において4つの処理(0グラム−時間/立方メートル[g−h/m]、500g−h/m、1000g−h/mおよび1500g−h/m)に曝露した。曝露時間は、50パーセントの相対湿度、約25℃の周囲温度で12時間であった。処理の詳細を、表1に記載する。曝露時間後、フッ化スルフリルを放出し、処理したジャガイモをそれらの物理的特性および発芽について観察した(表2〜8)。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】
【表5】

【0032】
【表6】

【0033】
【表7】

【0034】
【表8】


[実施例2]
【0035】
第2の試験を、貯蔵されたRusset Burbankポテトを使用して行った。これらのジャガイモを、Styrofoam(商標)燻蒸消毒室において3つの処理(0g−h/m、300g−h/m、および500g−h/m)に曝露した。曝露時間は、50パーセントの相対湿度、約25℃の周囲温度で12時間であった。処理を、3回繰り返した。繰り返しの各1回には、約10lbのジャガイモを使用した。処理の詳細を、表9に記載する。曝露時間後、フッ化スルフリルを放出し、処理したジャガイモをそれらの物理的特性および発芽について観察した(表10および11)。
【0036】
【表9】

【0037】
【表10】

【0038】
【表11】

【0039】
表10および11に示すように、これらの処理は、芽が成長するのを止めた。
[実施例3]
【0040】
第3の試験を、貯蔵された有機Russetポテトを使用して行った。これらのジャガイモを、Styrofoam(商標)燻蒸消毒室において4つの処理(0g−h/m、50g−h/m、100g−h/m、150g−h/mおよび200g−h/m)に曝露した。曝露時間は、50パーセントの相対湿度、約25℃の周囲温度で12時間であった。処理を、3回繰り返した。繰り返しの各1回には、約5lbのジャガイモを使用した。曝露時間、および適切な投薬量が蓄積した後、フッ化スルフリルを放出し、処理したジャガイモをそれらの物理的特性および発芽について観察した(表12、13および14)。
【0041】
【表12】

【0042】
【表13】

【0043】
【表14】

【0044】
表13で提示したように、発芽抑制は、投薬量依存的であった。50g−h/mおよび100g−h/m処理は、処理21日後、150g−h/mおよび200gh/m処理と比較して、有意な発芽成長を有していた。150g−h/m処理は、処理7日後、わずかな発芽成長を有していたが、しかしながら、処理21日後の観察の間、芽はそれ以上成長しなかった。剥皮試験により、この試験で使用した処理のいずれも、以前の試験で観察されたような黒い点を生じないことが示された。200g−h/m処理は、31日後でさえもどんな植物毒性効果もなく、最良の発芽抑制をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊茎を収穫した後、また前記塊茎を囲われた土地に置いた後、前記塊茎における発芽を抑制する方法であって、2時間を超える時間、フッ化スルフリルを前記塊茎に接触させることを含み、前記囲われた土地における前記フッ化スルフリルの濃度が、前記囲われた土地1立方メートルあたり約1グラムから前記囲われた土地1立方メートルあたり16グラム未満である方法。
【請求項2】
前記フッ化スルフリルの前記濃度が、1立方メートルあたり約2〜約15グラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フッ化スルフリルの前記濃度が、1立方メートルあたり約2〜約14グラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フッ化スルフリルの前記濃度が、1立方メートルあたり約2〜約12グラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記時間が約4時間を超える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記時間が約6時間を超える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記時間が約8時間を超える、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−503090(P2011−503090A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533223(P2010−533223)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/082540
【国際公開番号】WO2009/061862
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】