発行機及び発行システム
【課題】顧客が証券を買付け、買付けた証券の受託機関への移管、買付け偽造不能ハードコピー証券のプリントアウト及び印刷された証券のシステムへの再流通に便利な様々な場所に設置された複数の発行機を備えた証券発行システムを提供すること。
【解決手段】改竄不能/偽造不能ハードコピー文書を発行するための発行システムが、サーバ及びネットワークを介してサーバに接続された複数の発行機を含む。発行機の各々が、潜在的購入者から提供されたID記録媒体を受け取り、受け取ったID記録媒体に記録された識別情報を検索し、潜在的購入者が証券又は利付き金融商品の取引の依頼を入力するように依頼し、ネットワークを介してサーバから情報を検索することにより依頼された取引を処理し、潜在的購入者が購入したハードコピー証書と暗号チェックサムとをプリントアウトする。この発行システムにより新しい市場を形成するための方法が提供される。
【解決手段】改竄不能/偽造不能ハードコピー文書を発行するための発行システムが、サーバ及びネットワークを介してサーバに接続された複数の発行機を含む。発行機の各々が、潜在的購入者から提供されたID記録媒体を受け取り、受け取ったID記録媒体に記録された識別情報を検索し、潜在的購入者が証券又は利付き金融商品の取引の依頼を入力するように依頼し、ネットワークを介してサーバから情報を検索することにより依頼された取引を処理し、潜在的購入者が購入したハードコピー証書と暗号チェックサムとをプリントアウトする。この発行システムにより新しい市場を形成するための方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日2005年6月10日の米国特許出願第11/149,556号の一部係属出願である。上記出願の内容は、明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書を含めて、この引用によりここに含まれる。
【0002】
本発明は、普通株及び債権の選択された特徴を含む新規発行証券又は利付き金融商品を販売、作成及び印刷するための複数の発行機を含む発行システム並びにこのシステムにより市場を確立する方法に関する。特に、発行機の各々が、改竄不能及び/又は偽造不能なハードコピー文書又は証券を印刷し、発行されたハードコピー文書又は証券が、システムの発行機により以前に作成された改竄不能及び/又は偽造不能な印刷ハードコピー文書であるかどうかを読み取り識別する。
【背景技術】
【0003】
株券は、株主の地位又は権利を明示する有価証券として良く知られている証券である。事業者は、資金を投資者から獲得するのと引換に、投資者の立場又は権利を明示した株券を発行する。株券を購入した人々(すなわち株主)は、上記のように株主の地位又は権利を取得するため、株券を発行した株式会社の経営に参画することができる。すなわち、株主は、株主総会に出席し、投票に参加し、株券を発行した会社に配当金を要求することができる。
【0004】
更に、株主は、株券を第三者に売却することができる。株主は、株券の購入金額以上の金額で株券を売却することにより、その差額分の利益を得ることができる。
【0005】
また、債券も、政府、地方公共団体、特別の法律によって設立された法人又は事業者が公衆に対して集団的に負担する債務に対して発行される有価証券として良く知られている証券である。債券は、購入金額の償還期限が予め定められており、償還期限後に、債券発行者から債券の所有者に対して、元利金が支払われることを特徴とする。債券の購入者も、債券の購入金額以上の金額で債券を売却することにより、その差額分の利益を得ることができる。
【0006】
しかしながら、事業者は、株券の交付のみでは必ずしも十分な資金を調達できない場合がある。また、事業者は、債券を発行すると償還期限後に元利金を償還しなければならなくなる。したがって、債券を発行して資金を調達することは、事業者にとって負担が大きい。
【0007】
米国特許出願公開第2002/0107766号明細書には、基本的に公開資産の代表である金融証書を発行、譲渡及び換金のための金融商品証書購入システムが記載されている。このシステムは、それ自体が金融商品を構成しているわけではないものの、会社の証券又はその他の金融商品の代わりとなる証書を個人が第三者に贈与することを可能にする。しかしながら、このシステムは、金融商品それ自体を販売、作成又は印刷するものではない。加えて、証書は、ATMのような公的利用可能なスタンドアロン発行機を介してよりは、むしろパーソナルコンピュータを介して注文される。
【0008】
一般市民が利用可能な既存の「オンライントレード端末」は、個人がオンライン証券取引を行うことができるコンピュータ端末にすぎない。オンライントレード端末は、バーチャルな(オンライン)リソースを取り扱い、オンライン取引領収書の紙のコピーを印刷するだけであり、何らかの改竄不能及び/又は偽造不能な証券を印刷するわけではない。加えて、オンライントレード端末は、何らかの印刷された改竄不能及び/又は偽造不能な証券を再流通/流通させるわけでもない。
【0009】
従来のATM機は、現金を引き出し、現金/小切手を収集するだけであり、証券と言った証書の引渡し及び収集を行うわけではない。米国特許第6,981,637号明細書に記載された幾つかのATM機は、紙幣の種類と額面を読み取り、識別することにより、支払われる又は収集される現金が本物である(すなわち、偽造されたものではない)ことを自動的にチェックし保証する。しかしながら、これらのATM機は、事前に(政府により)印刷された紙幣を収納し、放出することにより、紙幣を再流通させるだけであり、新しい改竄不能及び/又は偽造不能な紙幣を印刷することにより、紙幣を再流通させるわけではない。これに加えて、これらのATM機は、認証のために中央サーバにアクセスせずに自らのメモリに記憶されたデータを使用できるように、限られた種類の紙幣を、すなわち通常は同一の政府により発行された限られた種類の通貨だけを取り扱う。
【0010】
両替機(例えば、自動販売機の紙幣が挿入される装置)は、挿入された紙幣の特定の特徴(例えば、紫外線敏感性糸、マイクロ印刷等)を探し、紙幣の有効性をチェックし、サイズの異なる紙幣を区別する。
【0011】
この点まででは、実際の証券の流通は、銀行や証券仲買業者のような金融機関の支店のような特定の場所における売却又は交換だけに限定されている。誰かが他人にハードコピー証券を売却したいと思った場合、ハードコピー証券の取引は、これらの支店の1つで完了させる必要がある。支店では、ハードコピーの真偽をチェックし、証券の通し番号及び新しい保有者を記録することができる。偽造ハードコピーの取引は、これらの文書及び取引のグローバル(全ての取引場所を網羅した)データベースを人間がチェックすることにより、偽造を見抜き、阻止することになる。
【0012】
潜在的顧客が証券の買付けのため申し込み、証券を買付け、買付けた証券の受託機関への移管、買付け偽造不能ハードコピー証券のプリントアウト及び印刷された偽造不能ハードコピー証券のシステムへの再流通に便利な様々な場所に設置された複数の発行機を備えた証券発行システムの必要性がある。
【0013】
証券は、他にも、
(1)特殊紙:多分、着色若しくは蛍光繊維又は透明窓等を含む厚紙等、
(2)透かし:紙の密度を変えることにより紙に押されるパターン、
(3)マイクロ印刷:正確に再現するには小さすぎる文言。文言は証券に固有の情報(例えば、通し番号)を含むこともある、
(4)ホログラム、
(5)紙に埋込まれた金属又はUV敏感性糸、
【0014】
又はその他の高解像度印刷技術を含む様々な技術により保護された切手、偽造防止ステッカー及び/又はパッケージ、手形、小切手、紙幣、コマーシャルペーパー、旅券、運転免許証、身分証明書、スマートカード、クレジットカード、成績証明書等のような、改竄不能及び/又は偽造不能な文書がある。これらの技術は、一般市民には利用不可能又は利用には極めて高いコストがかかる技術の使用を含んでいる。印刷の費用を増大させる技術(例えば、高解像度印刷)もある。材料の費用を増大させる技術(例えば、特殊紙)もある。
【0015】
従来の複写機では再現不能な改竄不能及び/又は偽造不能な文書を印刷するための費用対効果の高い方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、潜在的顧客が証券の買付けのため申し込み、証券を買付け、買付けた証券の受託機関への移管、買付け偽造不能ハードコピー証券のプリントアウト及び印刷された偽造不能ハードコピー証券のシステムへの再流通に便利な様々な場所に設置された複数の発行機を備えた証券発行システムを提供することにある。
【0017】
本発明のシステムは、株式及び債券とは異なり、株式及び債券を取引する投資者に第三者による証券の部分的保証を提供する金融商品を作成し、販売することによって利益を得る新しい機会を提供する新しい金融商品を発行する新規な方法を含む。
【0018】
このような本発明が意図するところは、たとえ財政状況が低迷している社会においても、インフラ整備を目的とした公共事業計画への投資を促進するための事業者からの資金調達のために証券を発行する証券発行システム及び証券発行システムにより発行された証券の販売を可能にする新しい市場形成方法を提供するところにある。
【0019】
更に、本発明が意図するところは、配当、利息及び保証は記載されてはいるが、償還期限を定めていない証券を発行し、これにより、企業がより容易に資金を調達するための新しい手段及び取引により利益を獲得するための証券及び債権とは異なる投資者のための新しい金融商品を提供する証券発行システム並びに証券発行システムにより発行された証券の販売を可能にする新しい市場形成方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
すなわち、本発明の目的は、証券発行機関にサーバが設置され、ユーザ機関にクライアントが設置され、証券発行場に証券発行機が設置される本発明の証券発行システムの実施の形態により実現することができる。
【0021】
本発明の実施の形態において、サーバは、クライアントに申込と申込可能な証券を示す送信手段と、証券購入の入札又は申込を受信する受信手段とを備える。サーバは、一つの機能として、クライアントから受信した証券を入札又は購入することによって、市場を形成することができるソフトウェアを有する。サーバは、個人ユーザ識別情報及びユーザ機関識別情報を受信する手段を有する。サーバは、個人ユーザ識別情報の送信及び証券発行機に対して証券を発行するための認証を行う。サーバは、証券発行の承認を証券発行機から受信する手段と、発行済みと確認された証券の総数を累算し、ユーザ機関に請求すべき手数料を計算する手段とを備える。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態において、クライアントは、証券購入の入札又は申込をサーバに送信する手段と、個人ユーザ及びユーザ機関の両方に関する識別情報をサーバに送信する手段とを有する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態の第3の構成要素は、証券発行機である。この証券発行機は、証券発行のための認証及び個人ユーザ識別情報をサーバから受信する手段を備える。この証券発行機は、個人ユーザ参照識別情報を記録媒体から読み取り、サーバから受信した個人ユーザ識別情報を記録媒体から読み取った個人ユーザ参照識別情報と照合するか又はサーバから受信した個人ユーザ識別情報を記録媒体から読み取った個人ユーザ参照識別情報によりチェックすることもできる。証券発行機は、次に、照合又はチェックに基づき判定を行い、適切な場合、サーバから受け取った証券の発行認証に詳述された証券をユーザに発行する。証券発行機は、次に、取引の結果又は形態をサーバに返信する。
【0024】
本発明の1つの実施の形態において、証券は、事業者から資金を調達するための証券であり、これらの証券は、インフラ整備を目的とした公共事業への民間資金の投資を促進するために証券発行機関により発行されるものであり、日本政府、地方公共団体若しくは日本の民間企業又は外国政府、外国の地方公共団体若しくは民間企業に限定されるような信頼できる団体との内、1者が単独で、又はその内の2者以上が共同して、証券発行機関が負うべき元金償還及び利息支払義務について所定の限度内で保証人となる旨と、インフラ整備のための公共事業がその信頼できる団体により計画・施工される旨を記載した文言とを含んでいる。
【0025】
本発明の更なる実施の形態において、証券発行システムは、証券の証書と引換に事業者による資金調達のために発行される証券を含み、これらの証書には、事業者が事業活動の結果として得られた利益を証券の証書の保有者に分配する旨を記載した配当文言と、事業者が利息を証券の証書の保有者に定期的に支払う旨を記載した利息文言と、事業の失敗のような理由により事業者が利息支払文言による利息の支払を行うことができなくなった場合1つ以上の信頼できる団体が証券発行機関が負うべき元金償還及び利息支払義務について所定の限度内で保証人となる旨を記載した保証文言とが記述されている。
【0026】
本発明のもう1つの実施の形態において、証券発行機関は、民間の都市開発組織である。
【0027】
本発明の更なる実施の形態は、このような証券を購入した経験のない人にこのシステムの使用により発行された証券を購入させ、必要に応じてこれらの証券を市場で取引させ新しい市場を形成する方法を含む。
【0028】
本発明は、インフラ整備プロジェクトのような公共事業であるプロジェクトへの資金提供に関連する証券を発行する手段を備える。証券購入希望者は、投資対象である公共事業の内容を見ることができる。このような人は、自分の資金を投入すべき公共事業を自由に選択できるので、この方法は、証券の購入意欲を高めることができる。更に、このような人の投資が希望しない公共事業に使用されることは絶対にないので、投資者はより確信を持って証券を購入することができる。
【0029】
本発明は、インフラ整備プロジェクトのような公共事業を施工しようとする民間企業に、証券発行を介してインフラ整備のような公共事業に投資すべき巨額の資金を民間から調達することができる。
【0030】
これは、たとえ民間企業が公共工事の遂行に失敗した場合でも、証券購入者が特定の定められた限度内に元金及び利息を安全に受け取ることができるという保証が得られるように、日本政府、公共団体又は日本の民間企業との内、1者が単独で、又はその2者以上が共同で、証券発行者の元金及び利息返済義務を特定の定められた限度まで保証していることから、債権の購入者に返済を確約することができるからである。
【0031】
更に、本発明は、日本政府、公共団体若しくは日本の民間企業又は外国政府、外国の公共団体若しくは外国の民間企業による証券発行者の元金及び利息返済義務に対する保証が、独立した公的機関により公正に決定される特定のレベルに制限されているので、日本政府、公共団体又は日本の民間企業による税金の無駄使いを防止することができる。
【0032】
したがって、日本政府、公共団体若しくは日本の民間企業又は外国政府、外国の公共団体若しくは外国の民間企業は、民間企業によるインフラ整備のような公共事業の遂行に失敗した場合、政府保証債の場合のように証券発行者の元金及び利息返済義務の全額を負担する義務はない。
【0033】
更に、償還期限という概念に限定されない証券を本発明により発行することができるので、事業者は現実的な話として元金返済の負担なしで事業を行うことができる。
【0034】
本発明により発行された証券の保有者は、配当を受け取る資格を有する。保有者は、利息も得ることができる。更に、証券の発行者が破産又は業績不振が原因で利息文言による利息の支払を行うことができなくなった場合でも、証券の保有者には、日本政府、公共団体若しくは日本の民間企業又は外国政府、外国の公共団体若しくは外国の民間企業の内1者が単独で又はその2者以上が共同で、所定の限度内において事業者に提供する資金の元金の返済が保証されている。
【0035】
本発明により発行された証券は、これまでには存在しなかった新しい種類の金融商品である。この商品はこれまで証券を買ったことがない人々の証券購入を促進する。したがって、本発明は新しい金融市場を創造することができる。
【0036】
本発明によれば、ユーザ機関がそのクライアントを介して証券購入の申込を行うことができ、その結果、証券購入者は自宅又は勤務先から証券を購入することができる。
【0037】
本発明によれば、本証券発行システムのクライアントとは各ユーザ機関に設置されており、この結果、各ユーザ機関による証券購入状況の管理が容易であり、顧客を集めるために各ユーザ機関は、様々なサービスを提供することができる。
【0038】
ユーザ機関とは、ここでは証券会社、銀行、民間企業又は証券の一般的購入者を意味する。本発明によれば、この証券発行システムのユーザは、ID記録媒体を有する限りは、現金が手元になくても証券を購入することができる。
【0039】
本発明の目的及びその他目的は、以下の明細書及び図面の説明によって、容易に明らかになるであろう。
【0040】
本発明は上記目的及び目標の全て対応することができ又は優れている。明細書及び添付の特許請求の範囲を更に検討することにより、本発明の更なる目的及び効果が当業者には明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図10〜図12は、出願日が2005年6月9日の米国特許出願第11/148,406号に開示されているように、配当を提供するか、又は発行に当たって第三者により部分的に保証されている利付き(固定利率)金融商品の例を示したものであり、上記米国特許出願は引用によりここに含まれる。
【0042】
利付き金融商品は、少なくとも1つの事業に資金提供するための資金調達のための負債の証拠として金融商品を発行する少なくとも1つの指定法人と、金融商品の保有と引換に発行法人に支払われる指定額面価格と、金融商品保有者への定期的利息支払を額面価格に対する割合で定義された指定固定利率と、(1)利息支払及び法人が債務不履行に陥った場合に、発行に関与した少なくとも1つの第三者により金融商品保有者に払戻されるべき額面価格に対する割合で定義された保証率g(0<g<100)と、(2)金融商品により資金提供が行われた事業が利益を産み始めた後に記入商品保有者に支払うべき固定利率利息d(固定利率利息dは金融商品保有者に定期的に支払うべき利益に対する割合で定義されており、0<d<100である。)及び固定配当の少なくとも1つとを有している。
【0043】
証券は、信託証書に基づかない債券(ノート:note)、株式(stock)、自己株式(treasury stock)、担保付き債券(bond)、無担保債券(debenture)、利益配分契約における権利若しくは参加を表示する証書(certificate of interest or participation in a profit-sharing agreement)又は油田、ガス田若しくは鉱区使用料若しくは賃貸料、信託担保証券付き証書(collateral trust certificate)、会社設立前発行証書若しくは設立前応募権(pre-organization certificate or subscription)、譲渡可能持分(transferable share)、投資契約(investment contract)、議決権信託証書(voting-trust certificate)、証券預託証書(certificate of deposit for a security)、証券、預金証書、証券グループ若しくは証券指数(これらに対する権利、これらの価値に基づく権利を含む)に関するプット、コール、ストラドル、オプション若しくは特権(put, call, straddle, option, or privilege on a security, certificate of deposit, or group or index of securities)、外貨通貨に関して国法証券取引所で取引されるプット、コール、ストラドル、オプション若しくは特権(put, call, straddle, option, or privilege entered into on a national securities exchange relating to foreign currency)、一般に「証券」とされている全ての権利(instrument commonly known as a 'security')、上記の何れかのものにおける権利又は参加を表示する証書これらに対する仮証書、仮領収書若しくは仮保証契約書(certificate of interest or participation in, temporary or interim certificate for, receipt for)、又はこれに応募し若しくはこれらを買取るための買取権証書若しくは引受権証書(warrant or right to subscribe to or purchase, any of the foregoing)であるが、通貨(currency)又は紙幣(note)、銀行を支払人として振り出す手形(draft)、貿易国際取引の為替手形(bill of exchange)、支払猶予期間を除き発行時に9ヶ月を超える満期を有する若しくは若しくは満期の更新が制限された銀行引受手形(banker's acceptance)は、含まないものとする。
【0044】
文書は情報を含んでいる。通常意図されているのは、収集データの通信又は保存である。文書が意味の何らかの離散的表現を含んでいるのを見ることもできるが、通常、文書とは、物理的書籍、印刷されたページ又は電子/ディジタルフォーマットの仮想文書のようなものを指す。ハードコピー文書は、画面/ディスプレイから読み取られた内容又はディジタルフォーマットのデータというよりは、むしろ通常、紙に印刷された内容を示す。ハードコピー文書の例としては、テレプリンタのページ、ファックスのページ及びコンピュータプリントアウトがある。磁気テープ、フレキシブルディスク及び非印刷穿孔紙テープはハードコピーではなく、ハードコピー文書の一部を構成することにはならない。
【0045】
証書は、証券証書、預金証書(CD)のような、例えば、個人的地位、学業成績、所有権、又は確実性のような、何かについての証明を行い、詳細を示す公式文書である。コンピュータ演算、特にコンピュータセキュリティ及び暗号においては、証書という言葉は一般的には公開鍵証書としても公知のディジタル身分証明書を指す。
【0046】
図1は、本発明の一実施の形態に係る証券・金融商品発行システムである。図1に示すように、本実施の形態に係る証券発行システムは、入札又は証券購入申込に基づき証券(例えば、図10〜12に示したような独自の利付き金融商品を含む)を発行する引受会社又は民間企業(公共事業プロジェクトの遂行に責任を負う民間企業を含む)、すなわち証券発行機関のサーバ101と、各ユーザ機関(証券仲買会社、銀行、クレジットカード会社、PayPal(商標)、一般市民の口座を有するあらゆる金融機関を含む)と電話線又は無線リンク等の通信リンク102を介してサーバ101に接続されたクライアントデバイス103と、各証券発行場に設置され、通信ライン102を介してサーバ101に接続される証券発行機105(自動証券ディスペンサ(Automated Securities Dispenser)、ASDとも呼ばれる)と、情報(ID)記録媒体106とを備えている。
【0047】
発行機関が民間企業である場合(非公開会社でも、公開会社でもよい)、発行プロセスが米国のSECのような法律により求められる検査及び登録のために利付き金融商品の交換を監督する管理機関により要求される特定の国の法律要件を満たしている限り、株式、債券又は固有の金融商品のような新規発行証券は、引受会社又は引受シンジケートを全く使用せずに発行することもできる。登録届出書がSECに提出される前にこのような証券の募集を行うことはできず、登録届出書が有効になるまでは、募集を受入れることはできない。登録届出書が有効であると公表された後であっても、最終法定目論見書等が添付され又は先行して公表されなければ、売込み文書を配布することはできない。本発明によれば、潜在的購入者(機関投資者又は一般市民)は、目論見書を見て、新規発行証券及び金融商品の購入申込及び/又は購入を行うために、スタンドアロン発行機のところに行くことができる。また、潜在的購入者は、下記のような金融機関の実際の場を介して新規発行証券及び金融商品の購入申込及び/又は購入を行うこともできる。このように、本発明は、人々が証券及び利付き金融商品をもっと便利に売買することを可能にする市場形成方法を提供する。
【0048】
クライアントデバイス103は、汎用コンピュータ、専用端末、オフィスコンピュータ、又はパーソナルコンピュータのようなコンピュータにより実現することができる。
【0049】
専用証券購入申込ソフトウェア104及び様々なその他の種類のアプリケーションソフトウェアがクライアントデバイス103にインストールされている。
【0050】
証券購入申込ソフトウェア104が起動されると、クライアントデバイス103は、サーバ101と通信し、証券購入申込又は入札をサーバ101に送信する。証券購入申込ソフトウェア104は、例えば、証券発行機関が各ユーザ機関に無料で貸与又はライセンス供与することもでき、証券購入をより簡単かつ円滑にするようにセットアップされる。
【0051】
証券購入申込ソフトウェア104が実行中のクライアントデバイス103は、証券購入をより簡単かつ円滑にするために、購入すべき証券に関する情報並びにユーザ個人及びユーザ機関に関する情報をサーバ101に送信する。クライアントデバイス103のこの機能は入札又は購入申込機能と呼ぶこともできる。
【0052】
入札又は証券購入申込時に、クライアントデバイス103からサーバ101に送信されるユーザ個人及びユーザ機関に関するID情報は、個人ユーザ識別(ID)参照情報としてID記憶媒体106に記憶される。本実施の形態において使用されるID記憶媒体106は、IDカードであるが、本発明はこれに限定されるものではない。個人ユーザ識別(ID)参照情報は、カード又は記憶媒体上の文言、二次元又は三次元バーコード、グラフィックコード、透かし、視覚生体識別写真印画、署名及び/又は指紋又は拇指紋、ディジタル化音声、ハンドプリント、指紋又は拇指紋、又は網膜(眼)画像等の任意の適当な形で印刷することができる。個人ユーザ識別(ID)参照情報は、紙又はプラスチックカード、磁気ストライプ(例えば、デビットカード又はクレジットカード上)、磁気ディスク又はテープ、電子チップ(例えば、クレジットカード又はスマートカード上)、携帯情報端末又は携帯電話メモリ、その他のポータブル、手に持てる大きさの又は掌サイズのデバイスのメモリ等の任意の適当な装置で持運ぶことができる。電子個人データ又は生体識別データは、実際にサンプルの抽出を行うことによって確認することができ又は記憶媒体から読み出されオンラインで接続されたデータベースで比較のため検索することによって確認することができる。
【0053】
一方、証券発行機構の購入依頼受入れ機能のサーバ101は、クライアントデバイス103から受信した証券購入申込に基づき、証券購入申込を成立させる。証券購入申込は、証券発行の許可である。例えば、クライアントデバイス103から受信した証券情報に基づき特定の証券に売れ残りがあるかどうかを見るために、サーバ101は、データベースを検索する。仮に、サーバ101が入札仕様書に適合する売れ残り証券が確認された場合、株式を直ちに発行するため、サーバ101は、証券購入申込又は許可を成立させる。クライアント入札情報に指定されたタイプの証券が存在しない場合、サーバ101は、クライアントデバイス103に売却する証券が存在しないことを返信する。
【0054】
クライアントデバイス103からのID情報が適切に送信されなかった場合は、たとえ売れ残り証券が存在したとしても、証券購入申込又は証券発行許可が成立しないように設定されている。
【0055】
証券購入申込又は証券発行許可が成立した場合は、サーバ101の待ち命令機能が、取引に関する証券購入申込又は証券発行許可情報並びに証券購入申込に関するID情報を証券発行場の証券発行機105に送信する。
【0056】
1つの実施の形態において、証券発行場の証券発行機105は、ID記録媒体106を挿入、入力又は別の形で接続するためのスロット105aを有する。発行機105は、ID読取機能により、ID記録媒体105がスロットの中に挿入、入力又は別の形で接続された場合にID記録媒体に記録されたユーザのID参照情報を読み取る。発行機105は、利付き金融商品を印刷し、購入者に直接提供するために、現金自動預け払い機(ATM)のように自動化することもできる。顧客は、印刷証券証書をASD105から購入することができる。顧客は、印刷証券証書をASD105に挿入し、これらを売却してもらったり、オンライン証書に転換してもらったりする。ASD105により提供された印刷証券は、改竄不能及び/又は偽造不能である。
【0057】
印刷証券は、証券上の情報の変更を簡単に探知できるのであれば、改竄不能であると言われている。ここで、証券上の情報という用語は、その額面、通し番号、発行者識別情報、発行日、満期日、所有者名等を指す。証券が印刷されている紙のタイプは含まれないし、証券に印刷された画像(例えば、アートワーク)を含むこともない(ただし、画像のディジタル化版は含めることができる)。
【0058】
一般市民には入手できない(又は入手に高額の費用がかかる)材料に頼らなければ複製ができないのであれば、印刷証券は、偽造不能であると言われている。紙幣が一般的な例である。偽造不能文書の作成には、通常、特殊紙及び/又は特殊印刷の使用を必要とする(特殊紙には、着色又は蛍光繊維入り紙、透明窓入り紙、ホログラム入り紙、透かし入り紙がある。特殊印刷とは、ほとんどの複写機では正確に再現できない文言又は特殊パターンの高解像度印刷を意味する)。
【0059】
暗号チェックサム(通常は長さが100超の2進数)は、メッセージダイジェスト(message digests)、メッセージ認証コード(message authentication codes)、インテグリティチェック値(integrity check-values)、変更検出コード(modification detection codes)又はメッセージインテグリティコード(message integrity codes)として公知である。現在、暗号チェックサムは、長さが128又は160ビット(2進数)である。8進コード化を前提とすると、これは、32又は40の10進数で表すことができる。このサイズは、近い将来(例えば、今後5〜10年間)解読不能であると言われている。コンピュータが高性能化するに連れて、サイズは、例えば2倍に拡大されることになると予測できる。暗号チェックサムは、ファイルに割当てられる(チェックサムと呼ばれる)数値であり、ファイルに含まれたデータが故意に(又は偶発的に)変えられていないことを確認するためにファイルを後日「テストする」ために使用される。暗号チェックサムは、ファイル内のデータ及び暗号鍵(ランダムに選択された大数、例えば、50〜100の2進数)を入力として用い、後にチェックサムとして使用される数字の固定ストリングを出力する(暗号アルゴリズムにより定義される)一連の複雑な数学的演算を行うことにより生成される。暗号アルゴリズム自体は通常は秘密ではないが、暗号鍵は、秘密である。鍵を知らなければ、ファイル内のデータを変更し、適正なチェックサムを得ることは極めて考えにくい(すなわち、コンピュータでは実行不能である)。
【0060】
印刷証書は、改竄不能ではあるが、必ずしも偽造不能ではないことが所望される。例えば、証券が関与するあらゆる取引は、どの証券が流通しており、誰がその所有者であるかを把握している指定の金融機関により取り扱われることになる。一方、お金のように(すなわち、匿名で)取引することができる印刷証券は、偽造不能という、より厳しい条件を満たさなければならない。
【0061】
暗号チェックサムは、データ送信及びデータ記憶時に電子的に送信するためにディジタル形式になっている。暗号チェックサムは、通常、ディスク又はフラッシュ(両方とも不揮発性記憶装置)又はRAM(揮発性)に記憶される。
【0062】
現在のクレジットカード、IDカードと言った磁気ストライプを有する類似のカードは、ディジタルコードだけを使用しており、暗号チェックサムは使用していない。スマートカードは、暗号文量を記憶し、暗号アルゴリズムを実行するためのプロセッサ及びメモリ(揮発性及び不揮発性)を有する。しかしこれらの暗号文量は、カード上に又はハードコピー文書に印刷されない。
【0063】
運転免許証、旅券等のその他の証書は、数字、二次元又は三次元バーコードだけを含み、暗号チェックサムは含んでいない。最新の旅券は、スマートカード技術を内蔵していることもあるが、暗号チェックサムが印刷されていることはない。
【0064】
本発明は、ハードコピー証書に印刷された暗号チェックサムを読み取り、ASDホスト101(又は証書に署名する、又は証書を取引する金融機関)によりその妥当性をチェックし、暗号チェックサムが適合する場合にのみ証券を受入れる。
【0065】
又は、購入者は、自分が口座を有する証券仲買会社のような預託機関を指定することもできる。本発明の一実施の形態において、発行機105は、現金自動預け払い機(ATM)又は公共料金、授業料及び税金(水道光熱費、電話料金、社会保障費、弁護士費用、税金等)の支払、プリペイドカードへの貨幣価値のロード(携帯電話、通行料金)、発券取引(列車、コンサート等)の実施のようなその他のキオスクの機能も果たす。
【0066】
発行機105は、カスタム回路ボードを有することもできるし、ウィンドウズ(登録商標)、リナックス等のようなオペレーティングシステムにより実行される特殊なソフトウェアを有するコンピュータを使用することもできる。コンピュータ(CPU、RAM、ROM、ディスク等)は、ASDの動作を制御するソフトウェア(オペレーティングシステム、アプリケーション)を実行する。
【0067】
ASD105は、キーパッド、ディスプレイ、カードリーダ、及び文書プリンタ・スキャナを含む入出力装置を介して、顧客と対話する。ASDホスト101は、証券取扱金融機関のネットワークの一部であり、ASD105と証券取扱金融機関との間の全ての取引は、ASD105のホスト101を介して取り扱われる。
【0068】
ASD105は、ダイヤルアップ回線、専用回線又はインターネットに接続されたローカルエリアネットワークを介して、ASDホスト101と通信を行う。ASD105も、ASD105とASDホスト101との間の安全な通信(及び必要とされるその他の暗号作業)を実現するための暗号ソフトウェアを実行する暗号プロセッサ141を有する。ASD105は、通常の動作及び停電時の適切な終了を保証するために、バックアップ電池を有する。店内発行機105は、その暗号プロセッサ141をインターネット又はその他のネットワークに直接接続することもできるし又はサーバに接続されるようにモデムを介して専用電話線を通じてインターネットに接続することもできる。安全な暗号プロセッサ141は、一般的に、安全な筐体内のコンピュータの内部にある。発行機105のセキュリティは、安全な暗号プロセッサ141の安全性に依存している。
【0069】
適切な場合、発行機105は、発行機能により、(1)申出が既に登録されているか又は登録を免除されている管轄区域内であるかどうか、又は別の形で既に審査され、パスワードを与えられている投資者によってパスワードで保護された状態かをユーザに示すために、ユーザにポップアップ画面をクリックスルーするように表示し、(2)法定目論見書の電子的配布/表示に同意し、法定目論見書を電子的に受け取り/精査したことを認めるようにユーザにポップアップ画面をクリックスルーするように表示し、(3)対応する証券購入申込情報に基づき証券107を発行する。発行機105は、目論見書及びその他の要求されたSEC文書が識別された関係筋からの依頼により入手可能であるとの表示を行う。発行機105は、証券発行の確認を証券発行結果情報又は確認としてサーバ101に送信するために使用される発行結果送信機能も有する。
【0070】
場合によっては、サーバ101及び発行機105は、現在の債権市場における週1回、週2回、又は毎日のような通常の定期的ベースでの売買ではなく、リアルタイムで利用可能な購入申込及び売却申込に基づき、新規発行証券についてのリアルタイム値付けをオンラインで支援する。
【0071】
屋外の発行機105は、キオスクのように自立構造とすることもできるし、証券仲買会社、銀行、郵便局等のような金融機関の建物の側面に設置することもできる。発行機105は、商店街、食料品店及びレストランのような場所又はその内部に設置される。これらの事業体は、設置手数料を請求することもできる。発行機105のセキュリティ上の特徴は、極めて丈夫な物理的構造、効果的に安全な供給機構等である。当業者には公知の追加的セキュリティメカニズムが屋外の発行機105には設けられることになる。
【0072】
証券発行機105からサーバ101に送信される証券107の発行結果又は確認情報は、情報蓄積機能により、サーバ101内のデータベースに蓄積される。
【0073】
証券発行機構のサーバ101は蓄積発行結果情報に基づき更に手数料の計算を行うことができる(発行後清算機能)。
【0074】
顧客は、印刷証券をASDから買うことができる。顧客は、印刷証券をASD105に挿入し、これらの証券を売却したり、オンラインの証券に変換することができる。ASD105の主要な特徴は、印刷機能及び読取機能を含むことにある。顧客のために、改竄不能及び/又は偽造不能である証券を印刷する。また、顧客が挿入した証券を読み取り、改竄又は偽造されていないかどうかを確認する。プリンタ・スキャナ機能が、従来のATMとASD105との相違点である。
【0075】
ASD105は、証券の情報及び証券取扱金融機関により秘密保持されている暗号鍵から計算された暗号チェックサムを証券に印刷することにより、印刷証券を改竄不能にする。ASD105は、特殊紙を使用することにより印刷証券を偽造不能にする。ランダム埋込みパターン(例えば、着色繊維)を有する紙を使用し、証券の発行時にパターンを記録する(文書を読み取る)ことにより、文書偽造を一層困難にすることができる。記録されたパターン又は読取は文書の指紋と呼ばれる。
【0076】
上記実施の形態の動作について説明する。本実施の形態に係るID情報を使用する証券発行システムにおいて、クライアントデバイス103にインストールされた証券購入申込ソフトウェア104を実行するために、各ユーザ機関のクライアントデバイス103が操作者により起動され操作される。証券購入申込ソフトウェア104が起動されると、クライアントデバイス103は、証券発行機関のサーバ101と通信できるようになる。
【0077】
次に、操作者は、購入を希望する証券に関する情報を入力し、クライアントデバイス103に個人ID情報及びユーザ機関に関するID情報を入力し、これらの両ID情報は、証券購入希望申込又は入札を証券発行機関のサーバ101に送信するために、クライアントデバイス103から証券発行機関のサーバ101に送信される。
【0078】
証券発行機関のサーバ101に送信される個人ID情報及びユーザ機関に関するID情報は、ユーザのID参照情報としてID記録媒体106に記憶された情報と同じものである。
【0079】
証券購入希望申込又は入札をクライアントデバイス103から受信すると、値付け動作状態にある証券発行機構のサーバ101は、クライアントデバイス103からの情報に基づき、特定の証券に売れ残りがあるかどうかを見るために、データベースを検索する。売れ残りの証券がある場合は、証券購入申込が直ちに成立する。そうではない場合は、入札に適合する証券が存在しないことがクライアントデバイス103に通知される。クライアントデバイス103からのID情報が適切に送信されなかった場合は、たとえ売れ残り証券が存在したとしても、証券購入申込が成立することはない。
【0080】
証券購入申込又は許可が成立すると、サーバ101は、取引に関する証券購入情報及び許可並びに適切なID情報を、証券発行場に備えられた証券発行機105に送信する。これにより、証券購入申込又は許可手順が完了する。
【0081】
証券購入申込又は入札を行ったユーザは、ID参照情報を記憶したID記録媒体106を持って証券発行場に行く。ユーザは、証券発行場に設置された証券発行機関の証券発行機105のスロット105aにID記録媒体106を挿入する。
【0082】
証券発行機105は情報をID記録媒体106から読み取り、媒体から読み取ったユーザのID参照情報をサーバ101から受信したID情報と照合し、照合結果に基づいた対応する証券購入申込情報に基づき証券107を発行する。
【0083】
証券発行機105は、更に、証券発行の確認を証券発行結果又は確認情報を、サーバ101に送信する。証券発行機105からサーバ101に送信された証券107の発行結果情報は、サーバ101内のデータベースに蓄積される。
【0084】
証券発行機構のサーバ101は更に蓄積された発行結果情報に基づき手数料を計算することができると共に、各ユーザ機関のクライアントデバイス103又は各ユーザ機関についても手数料を計算することができる。
【0085】
以上のように、クライアントデバイス103は、各ユーザ機関に設置されているので、各ユーザ機関は、より簡単にその証券購入状況を管理することができる。特に、クライアントデバイス103は、様々なその他のタイプのアプリケーションソフトウェアを独自に立ち上げることができるので、例えば、会計アプリケーションに証券購入状況データを読み取らせる広範囲のアプリケーションが可能である。
【0086】
一方、証券発行機構は、本実施の形態の態様により様々なサービスを各ユーザ機関に提供することができる。例えば、証券発行結果情報に基づき、発行後一括請求をしたり又は各ユーザ機関について発行された証券の数に応じて割引サービスを提供することができる。これにより、証券発行機関が事実上各ユーザ機関の証券購入ニーズを独占することが可能になる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、手数料清算手順はユーザ機関について行われるので、発送及びその登録のような機関内での作業は不要になる。
【0088】
クライアントデバイス103は、証券購入申込の照合機能のような、証券購入申込に関する様々な機能を有する。更に、証券発行機構のサーバ101からクライアントデバイス103に送信すべき証券発行機構からの様々なサービスを手配することが可能である。
【0089】
クライアントデバイス103は、本実施の形態において、各ユーザ機関のID情報及びユーザ機関の個人ユーザのID情報を証券発行機構に直接送信するが、本発明はそのモードに限定されるわけではない。
【0090】
本発明の他の実施の形態において、ID情報を表示するか又は含む入札を日本銀行又は金融機関に提示することでID情報を間接的に発行機関に送信することにより、クライアントデバイス103は、証券購入申込又は入札を提示することもできる。この場合、日本銀行又は金融機関はクライアントデバイス103からのID情報を証券発行機関に送信する。
【0091】
図2は、本発明の第2実施の形態に係る証券情報提供システムの全体構造を示したブロック図である。本実施の形態に係る証券情報提供システムは、証券会社に設置されたコンピュータ21Aと投資者の所有するコンピュータ22Aを備え、これらのコンピュータ21A、22Aは、ネットワーク23Aを介して通信可能に相互接続されている。ネットワーク23Aに接続される装置のタイプや台数は、図2に示した例により限定されるわけではない。
【0092】
図3は本実施の形態に係るコンピュータ21A、22Aの構成を示したブロック図である。図3によれば、コンピュータ21A、22Aはそれぞれ、様々な制御及び演算処理を行うためのCPU21と、様々なプログラム及びデータを記憶するためのROM212と、データを作業領域として一時的に記憶するためのRAM213と、様々なプログラム及びデータを記憶するためのハードディスク214と、様々な表示を行うためのディスプレイ215と、様々な入力を行うためのキーボード及びマウスのような入力装置216と、ネットワーク上のその他のデバイスとの通信のためのネットワークインタフェース217等を有し、これらの全ては、信号を交換するためのバス218を介して相互に接続されている。
【0093】
ネットワーク23Aは、電話機回路網、移動体通信回路網、ISDN、パケット交換回路網、又はLAN、WAN若しくはインターネットのようなコンピュータ回路網のような公衆通信回線を含むものである。
【0094】
次に、本実施の形態に係る証券情報提供システムの動作の概要を説明する。図4及び図5はコンピュータ21A、22Aの証券情報提供プロセスの手順を示すフローチャートである。図4及び図5のフローチャートとして示されたアルゴリズムは、コンピュータ21A、22AのそれぞれのROM212又はハードディスク214に制御プログラムとして記憶され、CPU21により実行される。
【0095】
図4において、証券会社に設置されたコンピュータ21Aは、配当文言3、利息文言4、及び保証文言5を含む証券情報が入力されるまで待機する(S101のNO)。証券会社の操作者は、入力装置216を介して、第1実施の形態に示したような特定の証券についての配当文言3、利息文言4、及び担保文言5を、当該証券の名称に関する文言1、額面価格に関する文言2等の他の証券情報と共にコンピュータ21Aに入力する。
【0096】
コンピュータ21Aは、配当文言3、利息文言4、及び担保文言5を含む証券情報が入力された場合(S101のYES)、入力された情報をハードディスクに記録し(S102)、証券情報をネットワークインタフェース217及びネットワーク23Aを介して投資者の所有するコンピュータ22Aに送信する(S103)。ステップS103における証券情報の送信の処理は、ステップS101における証券情報入力手順により自動的に行うものであってもよいし、投資者の所有するコンピュータ22Aからの送信要求の受信時に行ってもよい。
【0097】
図5において、投資者の所有するコンピュータ22Aは、配当文言3、利息文言4及び担保文言5を含む証券情報をネットワーク23A及びネットワークインタフェース217を介して証券会社の所有するコンピュータ21Aから受信すると(S201)、受信した情報をハードディスク214に記憶し(S202)、その情報をディスプレイ部215上に表示する(S203)。
【0098】
本実施の形態において、投資者は、現在の情報による証券の内容を自分の勤務先又は自宅から確認し、コンピュータ22Aを利用するオンライン手順により所望の証券を直ちに購入することができる。更に、証券会社は、ネットワークだけを介して本発明により証券のアドバイスと販売を同時に行うことができる。
【0099】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る証券情報提供システムの全体構造を示したブロック図である。本実施の形態に係る証券情報提供システムは、上記第2実施の形態に係る証券情報提供システムの場合と同様に、証券会社に設置されたコンピュータ21Bと、投資者の所有するコンピュータ22Bとを備え、これらのコンピュータ21B、22Bは、ネットワーク23Bを介して相互に接続され、一方、プリンタ24が投資者のコンピュータ22Bに接続されている。
【0100】
本実施の形態のコンピュータ21B及び22Bは、第2の実施の形態のコンピュータ21A及び22Aと類似の構成を有する。
【0101】
図7は本実施例に係るプリンタ24の構成を示したブロック図である。図7によれば、プリンタ24は、CPU241に加えて、ROM242と、RAM243と、ネットワークインタフェース246及びバス247と、各種入力出力用タッチパネル及びディスプレイ、固定キー、ディスプレイランプ等からなる操作パネル224と、画像データ印刷用印刷部245とを有する。
【0102】
図8及び図9は、本実施の形態におけるコンピュータ21B及び22Bの証券発行プロセスの手順を示したフローチャートである。図8及び図9のフローチャートとして示したアルゴリズムは、コンピュータ21B及び22BのそれぞれのROM212又はハードディスク214に制御プログラムとして記憶され、CPU21により実行される。
【0103】
図8においては、証券会社に設置されたコンピュータ21Bは、配当文言3、利息文言4及び保証文言5を含む証券情報が入力されるまで待機する(S301のNO)。証券会社の操作者は、コンピュータ21Bに入力装置216を介して、第1の実施の形態に示したような特定の証券についての配当文言3、利息文言4及び保証文言5を他の証券情報と共に入力する。
【0104】
コンピュータ21Bは、配当文言3、利息文言4、及び担保文言5を含む証券情報が入力された場合(S301:はい)、入力された証券情報に基づき電子証券証書を作成する(S302)。ここで言う電子証券証書は、第1の実施の形態(図1)に示した証券証書の電子データに基づくものであり、特定の証券についての証券の名称に関する文言1、額面価格に関する文言2、配当文言3、利息文言4、及び保証文言5、証券番号等の証券情報が電子データとして含まれると共に、証券証書の正当性を保証するための証券発行者(事業者)の電子署名が含まれている。更に、かかる電子証券証書は、違法な改竄又はコピーを防止するための指定のコピープロテクトが電子的に含まれている。コンピュータ21Bは、作成された電子証券証書をハードディスク214に記録し(S303)、電子証券証書をネットワークインタフェース217及びネットワーク23Bを介して投資者のコンピュータ22Bに送信する(S304)。ステップS304における証券情報の送信の手順は、ステップS302の証券情報入力手順により自動的に行うことができるか又は投資者の所有するコンピュータ22Bからの送信要求の受信時に行うことができる。
【0105】
図9において、投資者の所有するコンピュータ22Bは、配当文言3、利息文言4及び保証文言5を含む電子証券をネットワーク23B及びネットワークインタフェース217を介して証券会社の所有するコンピュータ21Bから受信すると(S401)、受信した情報をハードディスク214に記憶し(S402)、その情報をディスプレイ部215上に表示する(S403)。
【0106】
本実施の形態において、電子証券証書は、ネットワークを介して原本として流通させることができ、この結果、投資者は、現在の情報による証券の内容を自分の勤務先又は自宅から購入し、任意の所望の証券証書を、コンピュータ22Bを利用するオンライン手順により直ちに取得することができる。更に、証券会社は、本発明により証券をネットワークだけを介して販売することができ、後日証券証書を郵送する等の手間が無くなる。
【0107】
更に、コンピュータ22Bは、電子証券証書の内容のディスプレイ部へ表示する又はその代わりに、プリンタ24により内容をプリントアウトするものとすることができる。すなわち、電子証券を1回だけしか印刷できないように電子証券を電子的に保護することが可能であり、その結果、証券証書のコピーは一部だけしか印刷することができず、この印刷物を証券の原本として市場に流通させることができる。この場合、図9において、コンピュータ22Bは、電子証券証書の印刷命令を待って(S404)、ハードディスク214に記録された電子証券証書の内容の印刷ジョブを作成し(S405)、印刷ジョブをプリンタ24に送信する(S406)。以上のような電子証券証書に適用される印刷出力保護は、印刷を1回だけに限定するタイプのものである必要はなく、複数印刷タイプ(保護付き)又は無制限タイプ(すなわち、保護なし)とすることができる。
【0108】
本発明の別の実施の形態において、証券の買いの処理は、以下のように行われる。顧客は、所望の証券の詳細を入力し、支払カードをカードリーダに挿入する。ASD105は、ASDホスト101を介して読み取った情報を証券取扱金融機関に送信し、ハードコピー証券並びに使用するタイプの紙への印刷のために情報(暗号チェックサムを含む)を再び取得する。ASD105は、証券を適当な紙に印刷し、読取を行い(後に説明するように、必要ならば偽造防止のために)、ハードコピー証券を顧客に提供する。証券の売りの処理は、以下のように行われる。顧客は、印刷ハードコピー証券を文書スキャナに挿入し、支払カードをカードリーダに挿入する。ASD105は、ハードコピー証券を読み取り、読取の結果を暗号チェックサム及び指紋(該当する場合)の正当性確認のためにASDホスト101に送信する。そして、正当である場合、ASDホスト101は、支払を行い、この後、ASD105は、ハードコピー証券を無効にする(例えば、「無効」と印刷する)。正当ではない場合、取引は、中止される。
【0109】
図13に示すように、ASD105は、「フロントエンド」において、顧客と対話し、(ちょうどATMがリモートATMホスト機とつながっているように)「バックエンド」において、リモートASDホスト101に接続されている。ASD105は、ハードウェアコンポーネントに関して、プリンタ・スキャナを除けば、ATMに類似している。ASD105は、ASDの動作を制御する(CPU133、RAM135、ROM139、及びディスク151からなる)PCのようなコンピュータ131を有する。ASD105は、ASD105とASDホスト101との間の安全な通信のために暗号ソフトウェアを実行する(これがASDにおいて行われた場合は、暗号チェックサムを計算する)暗号プロセッサ141を有する。暗号プロセッサ141は、ある程度の不正操作を行うことができないように複数の物理的安全措置が施されたパッケージに内蔵されている。ASD105は、顧客との対話のために以下の入出力装置161、すなわち、プリンタ・スキャナ装置163と、支払方法(例えば、デビットカード)を検索するためのカードリーダ165と、顧客が行うべき操作の詳細(例えば、ハードコピー証券を売買するか否か、どんな種類のハードコピー証券を買うのか、支払カード用PINコード)を入力するためのキーパッド167と、顧客に現在の取引状況を知らせ、顧客に入力を促すためのディスプレイ169とを有する。
【0110】
プリンタ・スキャナ装置163は、次の機能を有する。すなわち、普通紙に加え1つ以上の特殊紙に対応している。すなわち、顧客が提供した情報をコンピュータが指示するタイプの紙に印刷し、印刷文書を読み取り、印刷文書を顧客に提供する。また、顧客が挿入した印刷ハードコピー文書を受入れ、その文書を読み取り、読取結果をコンピュータに出力、次いで、ハードコピー証書を顧客に戻すか又は「無効」とハードコピー証券に印刷し、ローカルに記憶する。
【0111】
ASD105は、リモートASDホスト101と通信するためネットワークインタフェースデバイス181(例えば、モデム、無線インタフェース、イーサーネットインタフェース)を有する。ASD105は、運営管理のため追加的デバイスとして、コンソール(ディスプレイ及びキーボード付き)又はコンソールを接続するための入出力ポートと、連続動作及び主電源障害時の適切な終了を可能にするバックアップ電池171とを有する。プリンタ・スキャナ163も検査のため取引の記録をプリントアウトする。
【0112】
ASD105と証券取扱金融機関との間の通信は、暗号化して安全に通信を行うことができる。KAをASD105と証券取扱金融機関との間の通信を安全にするために使用する暗号鍵であるとする。(KAは乱数であり、その長さは暗号アルゴリズムにより決まり、例えば、DESでは、56ビット、AESでは、128ビット以上)。KAは、ASDの暗号プロセッサ141の不揮発性メモリと証券取扱金融機関のコンピュータとに記憶され、鍵管理機関にも記憶される。
【0113】
証券取扱金融機関がデータ、例えば、XをASD105に送信するとき、KAによってデータを暗号化し、暗号化したデータ、すなわち、E(KA、X)を送信する。ここに、Eは、暗号アルゴリズム(例えば、DES、AES)である。ASD105は、E(KA、X)を受信した場合、受信したメッセージを暗号プロセッサ141に供給し、暗号プロセッサ141は、KAを用いてE(KA、X)を復号し、Xを抽出し(すなわち、D(KA、E(KA、X)を計算し、ここに、Dは復号関数である)、Xを、ASD105のコンピュータ131に供給する。ASD105のコンピュータ131がKAを認識することは決してなく、したがって、ASD105のコンピュータ131がKAを漏洩することはない。
【0114】
ASD105が証券取扱金融機関にデータを送信した場合にも、同じ手順が行われる。ASDのコンピュータ131は、データを鍵KAにより暗号化するために暗号プロセッサ141を使用し、暗号化データを証券取扱金融機関に送信する。
【0115】
E(KA、X)が(ASD105又は証券取扱金融機関の何れかにより)送信された場合、通信リンク上の盗聴者は、E(KA、X)を入手することはできるが、Xを入手することはできない。これは、盗聴者がKAを知らないからである(KAを知らずに、E(KA、X)からXを取得することは、コンピュータ演算では不可能である)。更に、メッセージE(KA、X)が傍受され、改竄された場合は、改竄メッセージが受信され、復号されると、得られる結果は、文字化けすることになり(すなわち、Xの適切な構造を有していない)、したがって、受信者は、復号したデータを廃棄することになる。メッセージの改竄防止は、メッセージの内容から作成された暗号チェックサムと暗号鍵(この鍵はKA又は証券保護に使用される鍵とは異なる)をメッセージに含めることにより実現することができる。
【0116】
ASD105の主コンピュータ131により実行されるソフトウェアは、オペレーティングシステム及びアプリケーションソフトウェアを含む。オペレーティングシステム(例えば、ウィンドウズ2000、リナックス)は、アプリケーションソフトウェアが入出力装置(例えば、プリンタ・スキャナへの発行コマンド、TCP/IPネットワーキングの実施)を実行及び制御するプラットフォームを実装している。
【0117】
アプリケーションソフトウェアは、顧客による「買い」及び「売り」作業を取り扱うための手順を含む。これらの手順は、顧客に入力を促し、出力を行い、ネットワーク接続を介してリモートASDホスト101と通信を行い、ASD105及びASD105のホスト101が、行われた取引の経過を、すなわち、取引の終了時に、両者が取引を成功裡に終えたのか、それとも両者が作業を完全に中止したのかを一貫して確実に検証する。
【0118】
アプリケーションソフトウェアは、リモートASDホスト101とのASD105の通信を許可し、暗号化し、意図的又は偶発的改竄から保護することを保証する安全なネットワーキングソフトウェア(例えば、Secure Shell、SSH)も含む。暗号化自体は、暗号プロセッサ141により行われる。アプリケーションソフトウェアは、更に、暗号チェックサムを(ASDホスト101又は証券取扱金融機関ではなく)そこで確認するための光学式文字認識装置(OCR)の機能を含むこともできる。
【0119】
印刷ハードコピー証書を絶対に改竄不能にするために、システムは暗号技術を使用する。特に、このシステムは、暗号チェックサム(すなわち、暗号技術上強力なインテグリティチェックサム)をハードコピー証書に、例えば、図14の“30984763982847223945732834587”を印刷する。実際に、チェックサムは、これよりも長くなるであろう。チェックサムは、一連の数字又はバーコードとしてハードコピー証書に印刷される。改竄不能なハードコピー証書の作成には、特殊な紙や高解像度印刷は不要である。暗号アルゴリズム(例えば、セキュアハッシュアルゴリズム(SHA)を有する鍵付きハッシュメッセージ認証コード(HMAC)をハードコピー証券上の情報と、証券取扱金融機関により秘密に保たれている暗号鍵(大きな数)を用いることにより、チェックサムは計算される。この鍵は、証書鍵と呼ばれる(ASDがASD105のホスト101との安全な通信のために使用する暗号鍵とは異なる)。Kaufman、Perlman及びSpeciner著“Network Security:Private Communication in a Public World"、第2版、ISBN 0‐13‐046019‐2が適当なアルゴリズム(例えば、HMAC)の開発の手引きを提供している。
【0120】
適当な暗号アルゴリズム、例えば、鍵付きハッシュ関数の使用により、印刷ハードコピー証書の情報を改竄不能にすることができる。KBが証書鍵、すなわち、証券取扱金融機関により秘密に保たれ、ハードコピー証書用のチェックサムの計算に際して使用される大きな乱数を表すとする。Yが、ハードコピー証券に印刷すべきチェックサム以外の情報であるとする。ハードコピー証書用チェックサムは、鍵付きハッシュ関数H(例えば、SHA付きHMAC)を鍵KB及びデータYに適用することにより得られる、例えば、H(KB、Y)のような、大きな数である。
【0121】
証書が印刷されると、証券取扱金融機関は、Y及びH(KB、Y)を送信し、ASD105は、Y及びH(KB、Y)をハードコピー証書に印刷する。Hは、KBを知らずにH(KB、Y)を得ること又はH(KB、Z)がY及びH(KB、Y)と等しくなるようにYを例えばZに改竄することがコンピュータでは実行不可能なようにされている。したがって、ハードコピー証券の情報を変更すると、チェックサムが必ず無効になる。Y及びH(KB、Y)は、暗号化保護メッセージの形でASD105に送信されるので、襲撃者は(上に説明したように)メッセージを送信中に改竄することはできない。したがって、印刷ハードコピー証書は改竄不能である。
【0122】
証書鍵KBは、ASD105とASD105のホスト101との間の通信を安全にするために使用される鍵KAとは異なるのが通常である。証券取扱金融機関は(証書鍵が危険にさらされた場合の被害を限定するために)、異なるクラスの証書に対しては異なるKBを使用することもできる。
【0123】
鍵付きハッシュ関数は、(1)文書上の情報に(額面価格の改竄のような)何らかの変更があった場合はチェックサムを無効にし、(2)鍵を知らなければ改竄された文書の有効なチェックサムを得ることができないようにしてある。したがって、チェックサムによって、ハードコピー証書の情報の改竄は、必ず簡単に発見することができる。例えば、データ暗号化規格(DES)、高度暗号化規格(AES)等のような暗号化関数を使用することにより、暗号チェックサムを計算することもできる。一般的には、保護すべきデータは証書鍵により暗号化され、最終暗号ブロック(留数とも呼ばれる)がチェックサムとして使用される。
【0124】
チェックサム計算は、証券取扱金融機関において行い、結果をハードコピー証券への印刷のためにASD105に送信することができる。また、この計算は、ASD105の暗号プロセッサ141において行うこともできる(この場合、暗号プロセッサ141は証書鍵のコピーを有することになる)。
【0125】
印刷ハードコピー証書を偽造不能にするために印刷ハードコピー証書の読取を行うことが必要な場合、ハードコピー証書上の情報よりむしろ、指紋がハードコピー証書の印刷画像(紙に埋込まれたランダムパターンを含む)を特徴付けることを除けば、解析は、改竄を不能にする場合と同じである。
【0126】
このシステムでは、印刷ハードコピー証書を確実に偽造不能にするため、特殊紙を使用する。特殊紙の使用には、特殊紙の仕入れが必要である。セキュリティ繊維(着色、金属又は蛍光)を含む紙、ホログラムを埋込んだ紙及びマイクロ印刷を有する紙を含む多くのタイプの特殊紙がある。額面価格が高い証書用には特殊度の大きな紙を使用することができる。
【0127】
文書の偽造難度を高めるために、ランダムパターンが紙に印刷/埋込まれ、証書の発行時には、そのパターンが記録される。例えば、特殊紙には、図15に示したように、着色繊維が埋込まれている。偽造不能ハードコピー証書を印刷するために、ASD105は、この特殊紙を使用し、ハードコピー証書のディジタル読取結果を記録し、この読取結果を保存のために証券取扱金融機関に送信する。たとえ偽造者が同じ種類の特殊紙を入手したとしても、偽造に使用された特殊紙が着色繊維の同じランダム埋込みを有することはまず考えられないので、印刷証券の複製は発見可能となる。
【0128】
本発明に係る「買い」の手順の例を次に説明する。顧客は、ASDに立ち寄り、買うべき証書(例えば、価格Yの債権X)、支払方法(例えば、デビットカード及びPIN番号)、及び顧客の身元(例えば、氏名及び住所)を明記した情報を入力する。ASD105は、証券取扱金融機関にアクセスし、支払情報を送信し、印刷すべき証書の詳細(暗号チェックサム、特殊紙に印刷すべきかどうか、そうであるならば、読取を行うか否かを含む)を受信する。次に、ハードコピー証書を印刷し、顧客に提供し、取扱金融機関に取引の完了を通知する。ASD105は、顧客への提供の前に、このようにして印刷された印刷ハードコピー証書の読取を行って、この読取の結果を取引の終了の前に長期保存のために(ASD105ホストを介して)証券取扱金融機関に送信する。
【0129】
図16は、コンピュータ131により実行される「買い」手順の詳細を示したものであり、顧客又はASDホスト101による入力又は出力では、次のような処理が行われるようになっている。例えば、入力作業には通常は幾つかの出力を伴う。例えば、ステップ1において、ASD105は、顧客との買い取引を開始するためにウェルカムメッセージを表示する。ステップ2において、ユーザは、氏名、住所、社会保障番号等のような、自分の背景情報を入力する。ステップ3において、ユーザは、発行会社、額面価格、証書の期間等のような、所望の証書の詳細を入力する。ステップ4において、デビットカードによる支払を行う場合、銀行口座番号、PIN等のような、支払方法の詳細を得るために、キーカードを挿入するように顧客に要求する表示が行われることによって、キーカードが挿入される。ASD105は、ASD105とASD105ホストとの間で通信が確立し、ネットワークに出力し、ASDホスト101へ送信することによって、ASD101との取引を開始し(ステップ5)、次いで、所望の証書の詳細をASDホスト101に送信する(ステップ6)。この後に、ASD105は、ネットワークを介してASDホスト101からの回答を受信する(ステップ7)。ASDホストの回答が、証書はデータベース内では入手可能であることを示した場合、ASD105は、支払情報をASDホスト101に送信し、ASDホスト101から、印刷すべきもの(暗号チェックサムを含む)、使用すべき紙のタイプ、読取を行うべきか否かを示した回答を受信する。この後に、ASD105は、プリンタ・スキャナ装置163を介して適当な紙に証書を印刷し、ASDホスト101から要求された場合は、証書を読み取り、読取画像をASDホスト101に送信する。ASD105は、印刷ハードコピー証書を顧客に提供する(ステップ9)。ASD105は、取引状況を記録管理するため、ローカルプリンタで印刷し(ステップ10)、ASDホスト101との通信を終了し(ステップ11)、「取引完了」のメッセージを表示することにより、顧客との対話を終了する。
【0130】
ステップ1の「ASD105ホストとの通信開始」及びステップ12の「ASD105ホストとの通信終了」は、ASD105のホストと多数実行される通信と区別している。すなわち、通信が成功しなかった(例えば、通信リンクに障害があった)場合、通信開始の状態がASD105及びASD105ホストの両方において回復される。
【0131】
本発明に係る「売り」作業の例を次に説明する。顧客は、ASDに立ち寄り、売るべき印刷ハードコピー証書をASDの105のプリンタ・スキャナ装置163に挿入し、受取情報(すなわち、受取代金を振込むべき口座)を入力する。ASD105は、文書を読み取り、読取結果及び受取情報を証券取扱金融機関に送信する。取扱金融機関は、暗号チェックサム及び読取結果(該当する場合)を確認する。確認に成功した場合、取扱金融機関は、支払を行い、集められた印刷ハードコピー証書を無効化又は破壊し、ASD105で顧客に売りが完了したことを知らせる。確認に成功しなかった場合は、印刷ハードコピー証書は顧客に返却され(又はASD内に保持され)、説明が顧客に提供される。
【0132】
図17は、ASD105のコンピュータにより実行される売り手順の更なる詳細を示したものである。上述のように、確認は、ASD105により行われ、結果は、取扱金融機関に送信される。ASD105は、顧客との売り取引を開始するためにウェルカムメッセージを表示し(ステップ1)、顧客に印刷ハードコピー証書をスキャナに挿入するようとのメッセージを表示し促す(ステップ2)。ASD105は、挿入されたハードコピー証書をプリンタ・スキャナ装置163により読み取り(ステップ3)、カードリーダ165又はキーパッド167から入力されることによって元の受取詳細情報(口座番号、PIN等)を取得する(ステップ4)。ASD105は、ASDホスト101との通信を開始し(ステップ5)、読み取られた証書及び入力された受取詳細情報をネットワークを介してASDホスト101に送信し(ステップ6)、ASDホスト101からの回答をネットワークを介して受信する(ステップ7)。ASDホス101トからの回答によりハードコピー証書が有効であることが示され、支払が顧客に対して行われた場合、ASD105は、売りが市場価格において受入れられることを顧客に通知し、「無効」をハードコピー証書に印刷し、無効化されたハードコピー証書をローカルに保存する(ステップ8)。また、ASD105は、挿入されたハードコピー証書を破壊する(例えば、シュレッダにかける)ことにより無効化する。ASDホスト101からの回答によりハードコピー証書が無効であることが示された場合、ASD105は、証書が無効であるとのメッセージを表示することにより顧客に結果を知らせ、ハードコピー証券を顧客に返却する(ステップ9)。したがって、ASD105は、取引状況を記録管理のためにローカルプリンタで印刷し、ASDホスト101との売りのための通信を終了し、「取引完了」のメッセージを表示することにより、顧客との対話を終了する。
【0133】
本発明の別の実施の形態において、購入者が証書の物理的コピーをシステムに通知せずに別の人物に売った状況に対応するために、ASDホスト101の回答により、ハードコピー証書は有効であるが、証書が顧客以外の別の人物により購入されたことが示された場合、ASD105は、証書を受け入れる。これにより、物理的証書を流通させやすくするることができる。
【0134】
印刷ハードコピー証書(例えば、第三者を通じて入手したハードコピー証書)の有効性を確認するために、認証作業が顧客に対して行われる。かかる認証作業は、売り作業の変形である。印刷ハードコピー証券を無効化し、資金を顧客の口座に移す代わりに、ハードコピー証書は、認証作業の後に顧客に返却される。
【0135】
オンライン転換作業は、証券取扱金融機関のオンライン口座に証書を保持するために、顧客が印刷ハードコピー証書をオンライン証書に転換することを希望した場合に行われる。これは売り作業の別の変形である。資金を顧客の口座に移す代わりに、文書のオンライン版が顧客の口座に移される。加えて、オンライン転換作業により、証券保有者は、条件が満たされた後の時点において、図17に示したような市場価格ではなく、指値又は逆指値注文で証書を売ることができるようになる。指値注文とは、表示された量の証券を指定価格又はそれ以上で売買する注文である。逆指値注文とは、証券の価格が特定の点まで上昇又は下降した場合に取引を始めるようにしてある注文である。買い停止注文の価格は、現在のASK価格よりも上に設定されており、売り中止注文の価格は、現在のBID価格よりも下に設定されている。
【0136】
証書鍵KBは、ASD105とASD105ホストとの間の通信を安全にするために使用される鍵KAとは異なるのが通常である。証券取扱金融機関は(証書鍵が危険にさらされた場合の被害を限定するために)異なるクラスの証書に対しては異なるKBを使用することもできる。
【0137】
ASD105により、顧客は(1)証券の印刷証書を購入することと、(2)証券の印刷証書を売却又はオンライン証書への転換のために挿入することができるようになる。ASD105の新規な奇な特徴は、(1)印刷証書を改竄不能にするための暗号チェックサムの使用と、(2)印刷証書を偽造不能にするための特殊紙及びその読取の使用である。
【0138】
投資者は、株式でも債券でもない本発明に係る新しい金融商品を購入し、以前には存在しなかった新しい金融市場において利益を追求することができ、一方、事業者は、株式でも債券でもないこれらの証券を使用して資金を調達することができる。本発明に係る金融商品は、公共事業に投資されるべき事業者の民間資金を発掘することになる。したがって、本発明は、世界各国の中央政府又は地方自治体がたとえ厳しい財政状態であっても道路や医療施設のようなインフラ整備を容易に行うことができるようになる。
【0139】
本発明の発行システムは、暗号チェックサムが印刷された小切手、コマーシャルペーパー、旅券、運転免許証、身分証明書、スマートカード、クレジットカード等の発行に適用することができる。小切手、紙幣、コマーシャルペーパー、旅券、運転免許証、身分証明書、スマートカード及びクレジットカードの所有権は証券又は本発明の利付き金融商品のように自由に取引可能でも譲渡可能でもないが、発行当局又は(銀行のような)その他の機関は更新のために発行ハードコピー文書が本物であることを確認するために暗号チェックサムを使用することができる。例えば、証券及び本発明の利付き金融商品を取引するというよりは、銀行が本発明の発行機を介して(例えば、新しい満期を記載した)小切手の発行及び更新依頼を受けることができる。別の例として、自動車管轄当局が本発明の発行機を介して市民からの運転免許証の発行及び更新依頼を受けることができる。
【0140】
本発明の暗号チェックサムは成績証明書等に適用することができる。これらの文書には所有権の問題はないが、発行当局が後に文書の確認を必要とすることがある。学校が暗号チェックサムを成績証明書に押し、印刷された情報に何らかの改竄がないかどうかを見るために、学校宛にファックスされたコピーを確認することがある。
【0141】
本発明は、偽造不能ハードコピー文書の作成に関して既に記載したような従来技術との組合せで適用することができる。例えば、切手又はクレジットカードのような小さなスペースへの微細な文言の印刷には、マイクロ印刷を適用することができる。その他の例としては、特殊紙の指定、又は紙に施されるホログラム又は透かしパターンの指定、又はハードコピー文書を印刷するための高解像度印刷技術がある。
【0142】
本発明は、サーバ及びネットワークを介してサーバに接続された複数の発行機を提供することにより新しい市場を形成する方法を提供する。
【0143】
上記明細書においては、本発明の原理、好ましい実施の形態及び手順の態様について説明してきた。しかしながら、本願の意図する発明は、開示された特定の実施の形態だけに限定されるわけではない。ここに記載した実施の形態は、例示であって、この例示に限定あれるものではない。本発明の主旨から逸脱せずに、変形及び変更を他の人々が行うこともできるし、均等物を採用することもできる。したがって、特許請求の範囲に定義されたような本発明の思想の範囲内の全ての変形、変更及び均等物を含むことが明確に意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0144】
添付図面と共に考慮した場合は、本発明に対する理解が深まることになるので、本発明の様々なその他の目的、特徴、及び付随効果がより完全に理解されるであろう。なお、図面全体を通じて、類似の参照文字は同じ又は類似の部分を表している。
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る証券発行システムを示した線図である。
【図2】本発明の実施の形態の全体構造のブロック図である。
【図3】図2に示したコンピュータをより詳細に示したブロック図である。
【図4】図3に示した実施の形態に係る証券会社のコンピュータにより実行されるプログラムのセグメントを表したフローチャートである。
【図5】図3に示した実施の形態に係る投資者のコンピュータにより実行されるプログラムのセグメントを表したフローチャートである。
【図6】本発明の代替実施の形態の全体構造のブロック図である。
【図7】図6に示したプリンタをより詳細に示したブロック図である。
【図8】図6に示した実施の形態に係る証券会社のコンピュータにより実行されるプログラムのセグメントを表したフローチャートである。
【図9】図6に示した実施の形態に係る投資者のコンピュータにより実行されるプログラムのセグメントを表したフローチャートである。
【図10】お台場カジノプロジェクト用1種類を含む3種類の本発明の利付き金融商品の表である。
【図11】日本高速道路プロジェクト用のものを含む3種類の本発明の利付き金融商品の表である。
【図12】本発明の2種類の利付き金融商品の表である。
【図13】本発明に係る発行機のハードウェアブロック図である。
【図14】本発明に係る暗号チェックサムを有する印刷された証券の一例である。
【図15】繊維が埋込まれた紙に印刷された証券の読取の例である(現実には、埋込まれた繊維の数はもっと多いであろう)。
【図16】顧客の購入依頼によりASD105コンピュータにより実行される手順である。
【図17】顧客の「売却」依頼によりASD105コンピュータにより実行される手順である。
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日2005年6月10日の米国特許出願第11/149,556号の一部係属出願である。上記出願の内容は、明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書を含めて、この引用によりここに含まれる。
【0002】
本発明は、普通株及び債権の選択された特徴を含む新規発行証券又は利付き金融商品を販売、作成及び印刷するための複数の発行機を含む発行システム並びにこのシステムにより市場を確立する方法に関する。特に、発行機の各々が、改竄不能及び/又は偽造不能なハードコピー文書又は証券を印刷し、発行されたハードコピー文書又は証券が、システムの発行機により以前に作成された改竄不能及び/又は偽造不能な印刷ハードコピー文書であるかどうかを読み取り識別する。
【背景技術】
【0003】
株券は、株主の地位又は権利を明示する有価証券として良く知られている証券である。事業者は、資金を投資者から獲得するのと引換に、投資者の立場又は権利を明示した株券を発行する。株券を購入した人々(すなわち株主)は、上記のように株主の地位又は権利を取得するため、株券を発行した株式会社の経営に参画することができる。すなわち、株主は、株主総会に出席し、投票に参加し、株券を発行した会社に配当金を要求することができる。
【0004】
更に、株主は、株券を第三者に売却することができる。株主は、株券の購入金額以上の金額で株券を売却することにより、その差額分の利益を得ることができる。
【0005】
また、債券も、政府、地方公共団体、特別の法律によって設立された法人又は事業者が公衆に対して集団的に負担する債務に対して発行される有価証券として良く知られている証券である。債券は、購入金額の償還期限が予め定められており、償還期限後に、債券発行者から債券の所有者に対して、元利金が支払われることを特徴とする。債券の購入者も、債券の購入金額以上の金額で債券を売却することにより、その差額分の利益を得ることができる。
【0006】
しかしながら、事業者は、株券の交付のみでは必ずしも十分な資金を調達できない場合がある。また、事業者は、債券を発行すると償還期限後に元利金を償還しなければならなくなる。したがって、債券を発行して資金を調達することは、事業者にとって負担が大きい。
【0007】
米国特許出願公開第2002/0107766号明細書には、基本的に公開資産の代表である金融証書を発行、譲渡及び換金のための金融商品証書購入システムが記載されている。このシステムは、それ自体が金融商品を構成しているわけではないものの、会社の証券又はその他の金融商品の代わりとなる証書を個人が第三者に贈与することを可能にする。しかしながら、このシステムは、金融商品それ自体を販売、作成又は印刷するものではない。加えて、証書は、ATMのような公的利用可能なスタンドアロン発行機を介してよりは、むしろパーソナルコンピュータを介して注文される。
【0008】
一般市民が利用可能な既存の「オンライントレード端末」は、個人がオンライン証券取引を行うことができるコンピュータ端末にすぎない。オンライントレード端末は、バーチャルな(オンライン)リソースを取り扱い、オンライン取引領収書の紙のコピーを印刷するだけであり、何らかの改竄不能及び/又は偽造不能な証券を印刷するわけではない。加えて、オンライントレード端末は、何らかの印刷された改竄不能及び/又は偽造不能な証券を再流通/流通させるわけでもない。
【0009】
従来のATM機は、現金を引き出し、現金/小切手を収集するだけであり、証券と言った証書の引渡し及び収集を行うわけではない。米国特許第6,981,637号明細書に記載された幾つかのATM機は、紙幣の種類と額面を読み取り、識別することにより、支払われる又は収集される現金が本物である(すなわち、偽造されたものではない)ことを自動的にチェックし保証する。しかしながら、これらのATM機は、事前に(政府により)印刷された紙幣を収納し、放出することにより、紙幣を再流通させるだけであり、新しい改竄不能及び/又は偽造不能な紙幣を印刷することにより、紙幣を再流通させるわけではない。これに加えて、これらのATM機は、認証のために中央サーバにアクセスせずに自らのメモリに記憶されたデータを使用できるように、限られた種類の紙幣を、すなわち通常は同一の政府により発行された限られた種類の通貨だけを取り扱う。
【0010】
両替機(例えば、自動販売機の紙幣が挿入される装置)は、挿入された紙幣の特定の特徴(例えば、紫外線敏感性糸、マイクロ印刷等)を探し、紙幣の有効性をチェックし、サイズの異なる紙幣を区別する。
【0011】
この点まででは、実際の証券の流通は、銀行や証券仲買業者のような金融機関の支店のような特定の場所における売却又は交換だけに限定されている。誰かが他人にハードコピー証券を売却したいと思った場合、ハードコピー証券の取引は、これらの支店の1つで完了させる必要がある。支店では、ハードコピーの真偽をチェックし、証券の通し番号及び新しい保有者を記録することができる。偽造ハードコピーの取引は、これらの文書及び取引のグローバル(全ての取引場所を網羅した)データベースを人間がチェックすることにより、偽造を見抜き、阻止することになる。
【0012】
潜在的顧客が証券の買付けのため申し込み、証券を買付け、買付けた証券の受託機関への移管、買付け偽造不能ハードコピー証券のプリントアウト及び印刷された偽造不能ハードコピー証券のシステムへの再流通に便利な様々な場所に設置された複数の発行機を備えた証券発行システムの必要性がある。
【0013】
証券は、他にも、
(1)特殊紙:多分、着色若しくは蛍光繊維又は透明窓等を含む厚紙等、
(2)透かし:紙の密度を変えることにより紙に押されるパターン、
(3)マイクロ印刷:正確に再現するには小さすぎる文言。文言は証券に固有の情報(例えば、通し番号)を含むこともある、
(4)ホログラム、
(5)紙に埋込まれた金属又はUV敏感性糸、
【0014】
又はその他の高解像度印刷技術を含む様々な技術により保護された切手、偽造防止ステッカー及び/又はパッケージ、手形、小切手、紙幣、コマーシャルペーパー、旅券、運転免許証、身分証明書、スマートカード、クレジットカード、成績証明書等のような、改竄不能及び/又は偽造不能な文書がある。これらの技術は、一般市民には利用不可能又は利用には極めて高いコストがかかる技術の使用を含んでいる。印刷の費用を増大させる技術(例えば、高解像度印刷)もある。材料の費用を増大させる技術(例えば、特殊紙)もある。
【0015】
従来の複写機では再現不能な改竄不能及び/又は偽造不能な文書を印刷するための費用対効果の高い方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、潜在的顧客が証券の買付けのため申し込み、証券を買付け、買付けた証券の受託機関への移管、買付け偽造不能ハードコピー証券のプリントアウト及び印刷された偽造不能ハードコピー証券のシステムへの再流通に便利な様々な場所に設置された複数の発行機を備えた証券発行システムを提供することにある。
【0017】
本発明のシステムは、株式及び債券とは異なり、株式及び債券を取引する投資者に第三者による証券の部分的保証を提供する金融商品を作成し、販売することによって利益を得る新しい機会を提供する新しい金融商品を発行する新規な方法を含む。
【0018】
このような本発明が意図するところは、たとえ財政状況が低迷している社会においても、インフラ整備を目的とした公共事業計画への投資を促進するための事業者からの資金調達のために証券を発行する証券発行システム及び証券発行システムにより発行された証券の販売を可能にする新しい市場形成方法を提供するところにある。
【0019】
更に、本発明が意図するところは、配当、利息及び保証は記載されてはいるが、償還期限を定めていない証券を発行し、これにより、企業がより容易に資金を調達するための新しい手段及び取引により利益を獲得するための証券及び債権とは異なる投資者のための新しい金融商品を提供する証券発行システム並びに証券発行システムにより発行された証券の販売を可能にする新しい市場形成方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
すなわち、本発明の目的は、証券発行機関にサーバが設置され、ユーザ機関にクライアントが設置され、証券発行場に証券発行機が設置される本発明の証券発行システムの実施の形態により実現することができる。
【0021】
本発明の実施の形態において、サーバは、クライアントに申込と申込可能な証券を示す送信手段と、証券購入の入札又は申込を受信する受信手段とを備える。サーバは、一つの機能として、クライアントから受信した証券を入札又は購入することによって、市場を形成することができるソフトウェアを有する。サーバは、個人ユーザ識別情報及びユーザ機関識別情報を受信する手段を有する。サーバは、個人ユーザ識別情報の送信及び証券発行機に対して証券を発行するための認証を行う。サーバは、証券発行の承認を証券発行機から受信する手段と、発行済みと確認された証券の総数を累算し、ユーザ機関に請求すべき手数料を計算する手段とを備える。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態において、クライアントは、証券購入の入札又は申込をサーバに送信する手段と、個人ユーザ及びユーザ機関の両方に関する識別情報をサーバに送信する手段とを有する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態の第3の構成要素は、証券発行機である。この証券発行機は、証券発行のための認証及び個人ユーザ識別情報をサーバから受信する手段を備える。この証券発行機は、個人ユーザ参照識別情報を記録媒体から読み取り、サーバから受信した個人ユーザ識別情報を記録媒体から読み取った個人ユーザ参照識別情報と照合するか又はサーバから受信した個人ユーザ識別情報を記録媒体から読み取った個人ユーザ参照識別情報によりチェックすることもできる。証券発行機は、次に、照合又はチェックに基づき判定を行い、適切な場合、サーバから受け取った証券の発行認証に詳述された証券をユーザに発行する。証券発行機は、次に、取引の結果又は形態をサーバに返信する。
【0024】
本発明の1つの実施の形態において、証券は、事業者から資金を調達するための証券であり、これらの証券は、インフラ整備を目的とした公共事業への民間資金の投資を促進するために証券発行機関により発行されるものであり、日本政府、地方公共団体若しくは日本の民間企業又は外国政府、外国の地方公共団体若しくは民間企業に限定されるような信頼できる団体との内、1者が単独で、又はその内の2者以上が共同して、証券発行機関が負うべき元金償還及び利息支払義務について所定の限度内で保証人となる旨と、インフラ整備のための公共事業がその信頼できる団体により計画・施工される旨を記載した文言とを含んでいる。
【0025】
本発明の更なる実施の形態において、証券発行システムは、証券の証書と引換に事業者による資金調達のために発行される証券を含み、これらの証書には、事業者が事業活動の結果として得られた利益を証券の証書の保有者に分配する旨を記載した配当文言と、事業者が利息を証券の証書の保有者に定期的に支払う旨を記載した利息文言と、事業の失敗のような理由により事業者が利息支払文言による利息の支払を行うことができなくなった場合1つ以上の信頼できる団体が証券発行機関が負うべき元金償還及び利息支払義務について所定の限度内で保証人となる旨を記載した保証文言とが記述されている。
【0026】
本発明のもう1つの実施の形態において、証券発行機関は、民間の都市開発組織である。
【0027】
本発明の更なる実施の形態は、このような証券を購入した経験のない人にこのシステムの使用により発行された証券を購入させ、必要に応じてこれらの証券を市場で取引させ新しい市場を形成する方法を含む。
【0028】
本発明は、インフラ整備プロジェクトのような公共事業であるプロジェクトへの資金提供に関連する証券を発行する手段を備える。証券購入希望者は、投資対象である公共事業の内容を見ることができる。このような人は、自分の資金を投入すべき公共事業を自由に選択できるので、この方法は、証券の購入意欲を高めることができる。更に、このような人の投資が希望しない公共事業に使用されることは絶対にないので、投資者はより確信を持って証券を購入することができる。
【0029】
本発明は、インフラ整備プロジェクトのような公共事業を施工しようとする民間企業に、証券発行を介してインフラ整備のような公共事業に投資すべき巨額の資金を民間から調達することができる。
【0030】
これは、たとえ民間企業が公共工事の遂行に失敗した場合でも、証券購入者が特定の定められた限度内に元金及び利息を安全に受け取ることができるという保証が得られるように、日本政府、公共団体又は日本の民間企業との内、1者が単独で、又はその2者以上が共同で、証券発行者の元金及び利息返済義務を特定の定められた限度まで保証していることから、債権の購入者に返済を確約することができるからである。
【0031】
更に、本発明は、日本政府、公共団体若しくは日本の民間企業又は外国政府、外国の公共団体若しくは外国の民間企業による証券発行者の元金及び利息返済義務に対する保証が、独立した公的機関により公正に決定される特定のレベルに制限されているので、日本政府、公共団体又は日本の民間企業による税金の無駄使いを防止することができる。
【0032】
したがって、日本政府、公共団体若しくは日本の民間企業又は外国政府、外国の公共団体若しくは外国の民間企業は、民間企業によるインフラ整備のような公共事業の遂行に失敗した場合、政府保証債の場合のように証券発行者の元金及び利息返済義務の全額を負担する義務はない。
【0033】
更に、償還期限という概念に限定されない証券を本発明により発行することができるので、事業者は現実的な話として元金返済の負担なしで事業を行うことができる。
【0034】
本発明により発行された証券の保有者は、配当を受け取る資格を有する。保有者は、利息も得ることができる。更に、証券の発行者が破産又は業績不振が原因で利息文言による利息の支払を行うことができなくなった場合でも、証券の保有者には、日本政府、公共団体若しくは日本の民間企業又は外国政府、外国の公共団体若しくは外国の民間企業の内1者が単独で又はその2者以上が共同で、所定の限度内において事業者に提供する資金の元金の返済が保証されている。
【0035】
本発明により発行された証券は、これまでには存在しなかった新しい種類の金融商品である。この商品はこれまで証券を買ったことがない人々の証券購入を促進する。したがって、本発明は新しい金融市場を創造することができる。
【0036】
本発明によれば、ユーザ機関がそのクライアントを介して証券購入の申込を行うことができ、その結果、証券購入者は自宅又は勤務先から証券を購入することができる。
【0037】
本発明によれば、本証券発行システムのクライアントとは各ユーザ機関に設置されており、この結果、各ユーザ機関による証券購入状況の管理が容易であり、顧客を集めるために各ユーザ機関は、様々なサービスを提供することができる。
【0038】
ユーザ機関とは、ここでは証券会社、銀行、民間企業又は証券の一般的購入者を意味する。本発明によれば、この証券発行システムのユーザは、ID記録媒体を有する限りは、現金が手元になくても証券を購入することができる。
【0039】
本発明の目的及びその他目的は、以下の明細書及び図面の説明によって、容易に明らかになるであろう。
【0040】
本発明は上記目的及び目標の全て対応することができ又は優れている。明細書及び添付の特許請求の範囲を更に検討することにより、本発明の更なる目的及び効果が当業者には明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図10〜図12は、出願日が2005年6月9日の米国特許出願第11/148,406号に開示されているように、配当を提供するか、又は発行に当たって第三者により部分的に保証されている利付き(固定利率)金融商品の例を示したものであり、上記米国特許出願は引用によりここに含まれる。
【0042】
利付き金融商品は、少なくとも1つの事業に資金提供するための資金調達のための負債の証拠として金融商品を発行する少なくとも1つの指定法人と、金融商品の保有と引換に発行法人に支払われる指定額面価格と、金融商品保有者への定期的利息支払を額面価格に対する割合で定義された指定固定利率と、(1)利息支払及び法人が債務不履行に陥った場合に、発行に関与した少なくとも1つの第三者により金融商品保有者に払戻されるべき額面価格に対する割合で定義された保証率g(0<g<100)と、(2)金融商品により資金提供が行われた事業が利益を産み始めた後に記入商品保有者に支払うべき固定利率利息d(固定利率利息dは金融商品保有者に定期的に支払うべき利益に対する割合で定義されており、0<d<100である。)及び固定配当の少なくとも1つとを有している。
【0043】
証券は、信託証書に基づかない債券(ノート:note)、株式(stock)、自己株式(treasury stock)、担保付き債券(bond)、無担保債券(debenture)、利益配分契約における権利若しくは参加を表示する証書(certificate of interest or participation in a profit-sharing agreement)又は油田、ガス田若しくは鉱区使用料若しくは賃貸料、信託担保証券付き証書(collateral trust certificate)、会社設立前発行証書若しくは設立前応募権(pre-organization certificate or subscription)、譲渡可能持分(transferable share)、投資契約(investment contract)、議決権信託証書(voting-trust certificate)、証券預託証書(certificate of deposit for a security)、証券、預金証書、証券グループ若しくは証券指数(これらに対する権利、これらの価値に基づく権利を含む)に関するプット、コール、ストラドル、オプション若しくは特権(put, call, straddle, option, or privilege on a security, certificate of deposit, or group or index of securities)、外貨通貨に関して国法証券取引所で取引されるプット、コール、ストラドル、オプション若しくは特権(put, call, straddle, option, or privilege entered into on a national securities exchange relating to foreign currency)、一般に「証券」とされている全ての権利(instrument commonly known as a 'security')、上記の何れかのものにおける権利又は参加を表示する証書これらに対する仮証書、仮領収書若しくは仮保証契約書(certificate of interest or participation in, temporary or interim certificate for, receipt for)、又はこれに応募し若しくはこれらを買取るための買取権証書若しくは引受権証書(warrant or right to subscribe to or purchase, any of the foregoing)であるが、通貨(currency)又は紙幣(note)、銀行を支払人として振り出す手形(draft)、貿易国際取引の為替手形(bill of exchange)、支払猶予期間を除き発行時に9ヶ月を超える満期を有する若しくは若しくは満期の更新が制限された銀行引受手形(banker's acceptance)は、含まないものとする。
【0044】
文書は情報を含んでいる。通常意図されているのは、収集データの通信又は保存である。文書が意味の何らかの離散的表現を含んでいるのを見ることもできるが、通常、文書とは、物理的書籍、印刷されたページ又は電子/ディジタルフォーマットの仮想文書のようなものを指す。ハードコピー文書は、画面/ディスプレイから読み取られた内容又はディジタルフォーマットのデータというよりは、むしろ通常、紙に印刷された内容を示す。ハードコピー文書の例としては、テレプリンタのページ、ファックスのページ及びコンピュータプリントアウトがある。磁気テープ、フレキシブルディスク及び非印刷穿孔紙テープはハードコピーではなく、ハードコピー文書の一部を構成することにはならない。
【0045】
証書は、証券証書、預金証書(CD)のような、例えば、個人的地位、学業成績、所有権、又は確実性のような、何かについての証明を行い、詳細を示す公式文書である。コンピュータ演算、特にコンピュータセキュリティ及び暗号においては、証書という言葉は一般的には公開鍵証書としても公知のディジタル身分証明書を指す。
【0046】
図1は、本発明の一実施の形態に係る証券・金融商品発行システムである。図1に示すように、本実施の形態に係る証券発行システムは、入札又は証券購入申込に基づき証券(例えば、図10〜12に示したような独自の利付き金融商品を含む)を発行する引受会社又は民間企業(公共事業プロジェクトの遂行に責任を負う民間企業を含む)、すなわち証券発行機関のサーバ101と、各ユーザ機関(証券仲買会社、銀行、クレジットカード会社、PayPal(商標)、一般市民の口座を有するあらゆる金融機関を含む)と電話線又は無線リンク等の通信リンク102を介してサーバ101に接続されたクライアントデバイス103と、各証券発行場に設置され、通信ライン102を介してサーバ101に接続される証券発行機105(自動証券ディスペンサ(Automated Securities Dispenser)、ASDとも呼ばれる)と、情報(ID)記録媒体106とを備えている。
【0047】
発行機関が民間企業である場合(非公開会社でも、公開会社でもよい)、発行プロセスが米国のSECのような法律により求められる検査及び登録のために利付き金融商品の交換を監督する管理機関により要求される特定の国の法律要件を満たしている限り、株式、債券又は固有の金融商品のような新規発行証券は、引受会社又は引受シンジケートを全く使用せずに発行することもできる。登録届出書がSECに提出される前にこのような証券の募集を行うことはできず、登録届出書が有効になるまでは、募集を受入れることはできない。登録届出書が有効であると公表された後であっても、最終法定目論見書等が添付され又は先行して公表されなければ、売込み文書を配布することはできない。本発明によれば、潜在的購入者(機関投資者又は一般市民)は、目論見書を見て、新規発行証券及び金融商品の購入申込及び/又は購入を行うために、スタンドアロン発行機のところに行くことができる。また、潜在的購入者は、下記のような金融機関の実際の場を介して新規発行証券及び金融商品の購入申込及び/又は購入を行うこともできる。このように、本発明は、人々が証券及び利付き金融商品をもっと便利に売買することを可能にする市場形成方法を提供する。
【0048】
クライアントデバイス103は、汎用コンピュータ、専用端末、オフィスコンピュータ、又はパーソナルコンピュータのようなコンピュータにより実現することができる。
【0049】
専用証券購入申込ソフトウェア104及び様々なその他の種類のアプリケーションソフトウェアがクライアントデバイス103にインストールされている。
【0050】
証券購入申込ソフトウェア104が起動されると、クライアントデバイス103は、サーバ101と通信し、証券購入申込又は入札をサーバ101に送信する。証券購入申込ソフトウェア104は、例えば、証券発行機関が各ユーザ機関に無料で貸与又はライセンス供与することもでき、証券購入をより簡単かつ円滑にするようにセットアップされる。
【0051】
証券購入申込ソフトウェア104が実行中のクライアントデバイス103は、証券購入をより簡単かつ円滑にするために、購入すべき証券に関する情報並びにユーザ個人及びユーザ機関に関する情報をサーバ101に送信する。クライアントデバイス103のこの機能は入札又は購入申込機能と呼ぶこともできる。
【0052】
入札又は証券購入申込時に、クライアントデバイス103からサーバ101に送信されるユーザ個人及びユーザ機関に関するID情報は、個人ユーザ識別(ID)参照情報としてID記憶媒体106に記憶される。本実施の形態において使用されるID記憶媒体106は、IDカードであるが、本発明はこれに限定されるものではない。個人ユーザ識別(ID)参照情報は、カード又は記憶媒体上の文言、二次元又は三次元バーコード、グラフィックコード、透かし、視覚生体識別写真印画、署名及び/又は指紋又は拇指紋、ディジタル化音声、ハンドプリント、指紋又は拇指紋、又は網膜(眼)画像等の任意の適当な形で印刷することができる。個人ユーザ識別(ID)参照情報は、紙又はプラスチックカード、磁気ストライプ(例えば、デビットカード又はクレジットカード上)、磁気ディスク又はテープ、電子チップ(例えば、クレジットカード又はスマートカード上)、携帯情報端末又は携帯電話メモリ、その他のポータブル、手に持てる大きさの又は掌サイズのデバイスのメモリ等の任意の適当な装置で持運ぶことができる。電子個人データ又は生体識別データは、実際にサンプルの抽出を行うことによって確認することができ又は記憶媒体から読み出されオンラインで接続されたデータベースで比較のため検索することによって確認することができる。
【0053】
一方、証券発行機構の購入依頼受入れ機能のサーバ101は、クライアントデバイス103から受信した証券購入申込に基づき、証券購入申込を成立させる。証券購入申込は、証券発行の許可である。例えば、クライアントデバイス103から受信した証券情報に基づき特定の証券に売れ残りがあるかどうかを見るために、サーバ101は、データベースを検索する。仮に、サーバ101が入札仕様書に適合する売れ残り証券が確認された場合、株式を直ちに発行するため、サーバ101は、証券購入申込又は許可を成立させる。クライアント入札情報に指定されたタイプの証券が存在しない場合、サーバ101は、クライアントデバイス103に売却する証券が存在しないことを返信する。
【0054】
クライアントデバイス103からのID情報が適切に送信されなかった場合は、たとえ売れ残り証券が存在したとしても、証券購入申込又は証券発行許可が成立しないように設定されている。
【0055】
証券購入申込又は証券発行許可が成立した場合は、サーバ101の待ち命令機能が、取引に関する証券購入申込又は証券発行許可情報並びに証券購入申込に関するID情報を証券発行場の証券発行機105に送信する。
【0056】
1つの実施の形態において、証券発行場の証券発行機105は、ID記録媒体106を挿入、入力又は別の形で接続するためのスロット105aを有する。発行機105は、ID読取機能により、ID記録媒体105がスロットの中に挿入、入力又は別の形で接続された場合にID記録媒体に記録されたユーザのID参照情報を読み取る。発行機105は、利付き金融商品を印刷し、購入者に直接提供するために、現金自動預け払い機(ATM)のように自動化することもできる。顧客は、印刷証券証書をASD105から購入することができる。顧客は、印刷証券証書をASD105に挿入し、これらを売却してもらったり、オンライン証書に転換してもらったりする。ASD105により提供された印刷証券は、改竄不能及び/又は偽造不能である。
【0057】
印刷証券は、証券上の情報の変更を簡単に探知できるのであれば、改竄不能であると言われている。ここで、証券上の情報という用語は、その額面、通し番号、発行者識別情報、発行日、満期日、所有者名等を指す。証券が印刷されている紙のタイプは含まれないし、証券に印刷された画像(例えば、アートワーク)を含むこともない(ただし、画像のディジタル化版は含めることができる)。
【0058】
一般市民には入手できない(又は入手に高額の費用がかかる)材料に頼らなければ複製ができないのであれば、印刷証券は、偽造不能であると言われている。紙幣が一般的な例である。偽造不能文書の作成には、通常、特殊紙及び/又は特殊印刷の使用を必要とする(特殊紙には、着色又は蛍光繊維入り紙、透明窓入り紙、ホログラム入り紙、透かし入り紙がある。特殊印刷とは、ほとんどの複写機では正確に再現できない文言又は特殊パターンの高解像度印刷を意味する)。
【0059】
暗号チェックサム(通常は長さが100超の2進数)は、メッセージダイジェスト(message digests)、メッセージ認証コード(message authentication codes)、インテグリティチェック値(integrity check-values)、変更検出コード(modification detection codes)又はメッセージインテグリティコード(message integrity codes)として公知である。現在、暗号チェックサムは、長さが128又は160ビット(2進数)である。8進コード化を前提とすると、これは、32又は40の10進数で表すことができる。このサイズは、近い将来(例えば、今後5〜10年間)解読不能であると言われている。コンピュータが高性能化するに連れて、サイズは、例えば2倍に拡大されることになると予測できる。暗号チェックサムは、ファイルに割当てられる(チェックサムと呼ばれる)数値であり、ファイルに含まれたデータが故意に(又は偶発的に)変えられていないことを確認するためにファイルを後日「テストする」ために使用される。暗号チェックサムは、ファイル内のデータ及び暗号鍵(ランダムに選択された大数、例えば、50〜100の2進数)を入力として用い、後にチェックサムとして使用される数字の固定ストリングを出力する(暗号アルゴリズムにより定義される)一連の複雑な数学的演算を行うことにより生成される。暗号アルゴリズム自体は通常は秘密ではないが、暗号鍵は、秘密である。鍵を知らなければ、ファイル内のデータを変更し、適正なチェックサムを得ることは極めて考えにくい(すなわち、コンピュータでは実行不能である)。
【0060】
印刷証書は、改竄不能ではあるが、必ずしも偽造不能ではないことが所望される。例えば、証券が関与するあらゆる取引は、どの証券が流通しており、誰がその所有者であるかを把握している指定の金融機関により取り扱われることになる。一方、お金のように(すなわち、匿名で)取引することができる印刷証券は、偽造不能という、より厳しい条件を満たさなければならない。
【0061】
暗号チェックサムは、データ送信及びデータ記憶時に電子的に送信するためにディジタル形式になっている。暗号チェックサムは、通常、ディスク又はフラッシュ(両方とも不揮発性記憶装置)又はRAM(揮発性)に記憶される。
【0062】
現在のクレジットカード、IDカードと言った磁気ストライプを有する類似のカードは、ディジタルコードだけを使用しており、暗号チェックサムは使用していない。スマートカードは、暗号文量を記憶し、暗号アルゴリズムを実行するためのプロセッサ及びメモリ(揮発性及び不揮発性)を有する。しかしこれらの暗号文量は、カード上に又はハードコピー文書に印刷されない。
【0063】
運転免許証、旅券等のその他の証書は、数字、二次元又は三次元バーコードだけを含み、暗号チェックサムは含んでいない。最新の旅券は、スマートカード技術を内蔵していることもあるが、暗号チェックサムが印刷されていることはない。
【0064】
本発明は、ハードコピー証書に印刷された暗号チェックサムを読み取り、ASDホスト101(又は証書に署名する、又は証書を取引する金融機関)によりその妥当性をチェックし、暗号チェックサムが適合する場合にのみ証券を受入れる。
【0065】
又は、購入者は、自分が口座を有する証券仲買会社のような預託機関を指定することもできる。本発明の一実施の形態において、発行機105は、現金自動預け払い機(ATM)又は公共料金、授業料及び税金(水道光熱費、電話料金、社会保障費、弁護士費用、税金等)の支払、プリペイドカードへの貨幣価値のロード(携帯電話、通行料金)、発券取引(列車、コンサート等)の実施のようなその他のキオスクの機能も果たす。
【0066】
発行機105は、カスタム回路ボードを有することもできるし、ウィンドウズ(登録商標)、リナックス等のようなオペレーティングシステムにより実行される特殊なソフトウェアを有するコンピュータを使用することもできる。コンピュータ(CPU、RAM、ROM、ディスク等)は、ASDの動作を制御するソフトウェア(オペレーティングシステム、アプリケーション)を実行する。
【0067】
ASD105は、キーパッド、ディスプレイ、カードリーダ、及び文書プリンタ・スキャナを含む入出力装置を介して、顧客と対話する。ASDホスト101は、証券取扱金融機関のネットワークの一部であり、ASD105と証券取扱金融機関との間の全ての取引は、ASD105のホスト101を介して取り扱われる。
【0068】
ASD105は、ダイヤルアップ回線、専用回線又はインターネットに接続されたローカルエリアネットワークを介して、ASDホスト101と通信を行う。ASD105も、ASD105とASDホスト101との間の安全な通信(及び必要とされるその他の暗号作業)を実現するための暗号ソフトウェアを実行する暗号プロセッサ141を有する。ASD105は、通常の動作及び停電時の適切な終了を保証するために、バックアップ電池を有する。店内発行機105は、その暗号プロセッサ141をインターネット又はその他のネットワークに直接接続することもできるし又はサーバに接続されるようにモデムを介して専用電話線を通じてインターネットに接続することもできる。安全な暗号プロセッサ141は、一般的に、安全な筐体内のコンピュータの内部にある。発行機105のセキュリティは、安全な暗号プロセッサ141の安全性に依存している。
【0069】
適切な場合、発行機105は、発行機能により、(1)申出が既に登録されているか又は登録を免除されている管轄区域内であるかどうか、又は別の形で既に審査され、パスワードを与えられている投資者によってパスワードで保護された状態かをユーザに示すために、ユーザにポップアップ画面をクリックスルーするように表示し、(2)法定目論見書の電子的配布/表示に同意し、法定目論見書を電子的に受け取り/精査したことを認めるようにユーザにポップアップ画面をクリックスルーするように表示し、(3)対応する証券購入申込情報に基づき証券107を発行する。発行機105は、目論見書及びその他の要求されたSEC文書が識別された関係筋からの依頼により入手可能であるとの表示を行う。発行機105は、証券発行の確認を証券発行結果情報又は確認としてサーバ101に送信するために使用される発行結果送信機能も有する。
【0070】
場合によっては、サーバ101及び発行機105は、現在の債権市場における週1回、週2回、又は毎日のような通常の定期的ベースでの売買ではなく、リアルタイムで利用可能な購入申込及び売却申込に基づき、新規発行証券についてのリアルタイム値付けをオンラインで支援する。
【0071】
屋外の発行機105は、キオスクのように自立構造とすることもできるし、証券仲買会社、銀行、郵便局等のような金融機関の建物の側面に設置することもできる。発行機105は、商店街、食料品店及びレストランのような場所又はその内部に設置される。これらの事業体は、設置手数料を請求することもできる。発行機105のセキュリティ上の特徴は、極めて丈夫な物理的構造、効果的に安全な供給機構等である。当業者には公知の追加的セキュリティメカニズムが屋外の発行機105には設けられることになる。
【0072】
証券発行機105からサーバ101に送信される証券107の発行結果又は確認情報は、情報蓄積機能により、サーバ101内のデータベースに蓄積される。
【0073】
証券発行機構のサーバ101は蓄積発行結果情報に基づき更に手数料の計算を行うことができる(発行後清算機能)。
【0074】
顧客は、印刷証券をASDから買うことができる。顧客は、印刷証券をASD105に挿入し、これらの証券を売却したり、オンラインの証券に変換することができる。ASD105の主要な特徴は、印刷機能及び読取機能を含むことにある。顧客のために、改竄不能及び/又は偽造不能である証券を印刷する。また、顧客が挿入した証券を読み取り、改竄又は偽造されていないかどうかを確認する。プリンタ・スキャナ機能が、従来のATMとASD105との相違点である。
【0075】
ASD105は、証券の情報及び証券取扱金融機関により秘密保持されている暗号鍵から計算された暗号チェックサムを証券に印刷することにより、印刷証券を改竄不能にする。ASD105は、特殊紙を使用することにより印刷証券を偽造不能にする。ランダム埋込みパターン(例えば、着色繊維)を有する紙を使用し、証券の発行時にパターンを記録する(文書を読み取る)ことにより、文書偽造を一層困難にすることができる。記録されたパターン又は読取は文書の指紋と呼ばれる。
【0076】
上記実施の形態の動作について説明する。本実施の形態に係るID情報を使用する証券発行システムにおいて、クライアントデバイス103にインストールされた証券購入申込ソフトウェア104を実行するために、各ユーザ機関のクライアントデバイス103が操作者により起動され操作される。証券購入申込ソフトウェア104が起動されると、クライアントデバイス103は、証券発行機関のサーバ101と通信できるようになる。
【0077】
次に、操作者は、購入を希望する証券に関する情報を入力し、クライアントデバイス103に個人ID情報及びユーザ機関に関するID情報を入力し、これらの両ID情報は、証券購入希望申込又は入札を証券発行機関のサーバ101に送信するために、クライアントデバイス103から証券発行機関のサーバ101に送信される。
【0078】
証券発行機関のサーバ101に送信される個人ID情報及びユーザ機関に関するID情報は、ユーザのID参照情報としてID記録媒体106に記憶された情報と同じものである。
【0079】
証券購入希望申込又は入札をクライアントデバイス103から受信すると、値付け動作状態にある証券発行機構のサーバ101は、クライアントデバイス103からの情報に基づき、特定の証券に売れ残りがあるかどうかを見るために、データベースを検索する。売れ残りの証券がある場合は、証券購入申込が直ちに成立する。そうではない場合は、入札に適合する証券が存在しないことがクライアントデバイス103に通知される。クライアントデバイス103からのID情報が適切に送信されなかった場合は、たとえ売れ残り証券が存在したとしても、証券購入申込が成立することはない。
【0080】
証券購入申込又は許可が成立すると、サーバ101は、取引に関する証券購入情報及び許可並びに適切なID情報を、証券発行場に備えられた証券発行機105に送信する。これにより、証券購入申込又は許可手順が完了する。
【0081】
証券購入申込又は入札を行ったユーザは、ID参照情報を記憶したID記録媒体106を持って証券発行場に行く。ユーザは、証券発行場に設置された証券発行機関の証券発行機105のスロット105aにID記録媒体106を挿入する。
【0082】
証券発行機105は情報をID記録媒体106から読み取り、媒体から読み取ったユーザのID参照情報をサーバ101から受信したID情報と照合し、照合結果に基づいた対応する証券購入申込情報に基づき証券107を発行する。
【0083】
証券発行機105は、更に、証券発行の確認を証券発行結果又は確認情報を、サーバ101に送信する。証券発行機105からサーバ101に送信された証券107の発行結果情報は、サーバ101内のデータベースに蓄積される。
【0084】
証券発行機構のサーバ101は更に蓄積された発行結果情報に基づき手数料を計算することができると共に、各ユーザ機関のクライアントデバイス103又は各ユーザ機関についても手数料を計算することができる。
【0085】
以上のように、クライアントデバイス103は、各ユーザ機関に設置されているので、各ユーザ機関は、より簡単にその証券購入状況を管理することができる。特に、クライアントデバイス103は、様々なその他のタイプのアプリケーションソフトウェアを独自に立ち上げることができるので、例えば、会計アプリケーションに証券購入状況データを読み取らせる広範囲のアプリケーションが可能である。
【0086】
一方、証券発行機構は、本実施の形態の態様により様々なサービスを各ユーザ機関に提供することができる。例えば、証券発行結果情報に基づき、発行後一括請求をしたり又は各ユーザ機関について発行された証券の数に応じて割引サービスを提供することができる。これにより、証券発行機関が事実上各ユーザ機関の証券購入ニーズを独占することが可能になる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、手数料清算手順はユーザ機関について行われるので、発送及びその登録のような機関内での作業は不要になる。
【0088】
クライアントデバイス103は、証券購入申込の照合機能のような、証券購入申込に関する様々な機能を有する。更に、証券発行機構のサーバ101からクライアントデバイス103に送信すべき証券発行機構からの様々なサービスを手配することが可能である。
【0089】
クライアントデバイス103は、本実施の形態において、各ユーザ機関のID情報及びユーザ機関の個人ユーザのID情報を証券発行機構に直接送信するが、本発明はそのモードに限定されるわけではない。
【0090】
本発明の他の実施の形態において、ID情報を表示するか又は含む入札を日本銀行又は金融機関に提示することでID情報を間接的に発行機関に送信することにより、クライアントデバイス103は、証券購入申込又は入札を提示することもできる。この場合、日本銀行又は金融機関はクライアントデバイス103からのID情報を証券発行機関に送信する。
【0091】
図2は、本発明の第2実施の形態に係る証券情報提供システムの全体構造を示したブロック図である。本実施の形態に係る証券情報提供システムは、証券会社に設置されたコンピュータ21Aと投資者の所有するコンピュータ22Aを備え、これらのコンピュータ21A、22Aは、ネットワーク23Aを介して通信可能に相互接続されている。ネットワーク23Aに接続される装置のタイプや台数は、図2に示した例により限定されるわけではない。
【0092】
図3は本実施の形態に係るコンピュータ21A、22Aの構成を示したブロック図である。図3によれば、コンピュータ21A、22Aはそれぞれ、様々な制御及び演算処理を行うためのCPU21と、様々なプログラム及びデータを記憶するためのROM212と、データを作業領域として一時的に記憶するためのRAM213と、様々なプログラム及びデータを記憶するためのハードディスク214と、様々な表示を行うためのディスプレイ215と、様々な入力を行うためのキーボード及びマウスのような入力装置216と、ネットワーク上のその他のデバイスとの通信のためのネットワークインタフェース217等を有し、これらの全ては、信号を交換するためのバス218を介して相互に接続されている。
【0093】
ネットワーク23Aは、電話機回路網、移動体通信回路網、ISDN、パケット交換回路網、又はLAN、WAN若しくはインターネットのようなコンピュータ回路網のような公衆通信回線を含むものである。
【0094】
次に、本実施の形態に係る証券情報提供システムの動作の概要を説明する。図4及び図5はコンピュータ21A、22Aの証券情報提供プロセスの手順を示すフローチャートである。図4及び図5のフローチャートとして示されたアルゴリズムは、コンピュータ21A、22AのそれぞれのROM212又はハードディスク214に制御プログラムとして記憶され、CPU21により実行される。
【0095】
図4において、証券会社に設置されたコンピュータ21Aは、配当文言3、利息文言4、及び保証文言5を含む証券情報が入力されるまで待機する(S101のNO)。証券会社の操作者は、入力装置216を介して、第1実施の形態に示したような特定の証券についての配当文言3、利息文言4、及び担保文言5を、当該証券の名称に関する文言1、額面価格に関する文言2等の他の証券情報と共にコンピュータ21Aに入力する。
【0096】
コンピュータ21Aは、配当文言3、利息文言4、及び担保文言5を含む証券情報が入力された場合(S101のYES)、入力された情報をハードディスクに記録し(S102)、証券情報をネットワークインタフェース217及びネットワーク23Aを介して投資者の所有するコンピュータ22Aに送信する(S103)。ステップS103における証券情報の送信の処理は、ステップS101における証券情報入力手順により自動的に行うものであってもよいし、投資者の所有するコンピュータ22Aからの送信要求の受信時に行ってもよい。
【0097】
図5において、投資者の所有するコンピュータ22Aは、配当文言3、利息文言4及び担保文言5を含む証券情報をネットワーク23A及びネットワークインタフェース217を介して証券会社の所有するコンピュータ21Aから受信すると(S201)、受信した情報をハードディスク214に記憶し(S202)、その情報をディスプレイ部215上に表示する(S203)。
【0098】
本実施の形態において、投資者は、現在の情報による証券の内容を自分の勤務先又は自宅から確認し、コンピュータ22Aを利用するオンライン手順により所望の証券を直ちに購入することができる。更に、証券会社は、ネットワークだけを介して本発明により証券のアドバイスと販売を同時に行うことができる。
【0099】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る証券情報提供システムの全体構造を示したブロック図である。本実施の形態に係る証券情報提供システムは、上記第2実施の形態に係る証券情報提供システムの場合と同様に、証券会社に設置されたコンピュータ21Bと、投資者の所有するコンピュータ22Bとを備え、これらのコンピュータ21B、22Bは、ネットワーク23Bを介して相互に接続され、一方、プリンタ24が投資者のコンピュータ22Bに接続されている。
【0100】
本実施の形態のコンピュータ21B及び22Bは、第2の実施の形態のコンピュータ21A及び22Aと類似の構成を有する。
【0101】
図7は本実施例に係るプリンタ24の構成を示したブロック図である。図7によれば、プリンタ24は、CPU241に加えて、ROM242と、RAM243と、ネットワークインタフェース246及びバス247と、各種入力出力用タッチパネル及びディスプレイ、固定キー、ディスプレイランプ等からなる操作パネル224と、画像データ印刷用印刷部245とを有する。
【0102】
図8及び図9は、本実施の形態におけるコンピュータ21B及び22Bの証券発行プロセスの手順を示したフローチャートである。図8及び図9のフローチャートとして示したアルゴリズムは、コンピュータ21B及び22BのそれぞれのROM212又はハードディスク214に制御プログラムとして記憶され、CPU21により実行される。
【0103】
図8においては、証券会社に設置されたコンピュータ21Bは、配当文言3、利息文言4及び保証文言5を含む証券情報が入力されるまで待機する(S301のNO)。証券会社の操作者は、コンピュータ21Bに入力装置216を介して、第1の実施の形態に示したような特定の証券についての配当文言3、利息文言4及び保証文言5を他の証券情報と共に入力する。
【0104】
コンピュータ21Bは、配当文言3、利息文言4、及び担保文言5を含む証券情報が入力された場合(S301:はい)、入力された証券情報に基づき電子証券証書を作成する(S302)。ここで言う電子証券証書は、第1の実施の形態(図1)に示した証券証書の電子データに基づくものであり、特定の証券についての証券の名称に関する文言1、額面価格に関する文言2、配当文言3、利息文言4、及び保証文言5、証券番号等の証券情報が電子データとして含まれると共に、証券証書の正当性を保証するための証券発行者(事業者)の電子署名が含まれている。更に、かかる電子証券証書は、違法な改竄又はコピーを防止するための指定のコピープロテクトが電子的に含まれている。コンピュータ21Bは、作成された電子証券証書をハードディスク214に記録し(S303)、電子証券証書をネットワークインタフェース217及びネットワーク23Bを介して投資者のコンピュータ22Bに送信する(S304)。ステップS304における証券情報の送信の手順は、ステップS302の証券情報入力手順により自動的に行うことができるか又は投資者の所有するコンピュータ22Bからの送信要求の受信時に行うことができる。
【0105】
図9において、投資者の所有するコンピュータ22Bは、配当文言3、利息文言4及び保証文言5を含む電子証券をネットワーク23B及びネットワークインタフェース217を介して証券会社の所有するコンピュータ21Bから受信すると(S401)、受信した情報をハードディスク214に記憶し(S402)、その情報をディスプレイ部215上に表示する(S403)。
【0106】
本実施の形態において、電子証券証書は、ネットワークを介して原本として流通させることができ、この結果、投資者は、現在の情報による証券の内容を自分の勤務先又は自宅から購入し、任意の所望の証券証書を、コンピュータ22Bを利用するオンライン手順により直ちに取得することができる。更に、証券会社は、本発明により証券をネットワークだけを介して販売することができ、後日証券証書を郵送する等の手間が無くなる。
【0107】
更に、コンピュータ22Bは、電子証券証書の内容のディスプレイ部へ表示する又はその代わりに、プリンタ24により内容をプリントアウトするものとすることができる。すなわち、電子証券を1回だけしか印刷できないように電子証券を電子的に保護することが可能であり、その結果、証券証書のコピーは一部だけしか印刷することができず、この印刷物を証券の原本として市場に流通させることができる。この場合、図9において、コンピュータ22Bは、電子証券証書の印刷命令を待って(S404)、ハードディスク214に記録された電子証券証書の内容の印刷ジョブを作成し(S405)、印刷ジョブをプリンタ24に送信する(S406)。以上のような電子証券証書に適用される印刷出力保護は、印刷を1回だけに限定するタイプのものである必要はなく、複数印刷タイプ(保護付き)又は無制限タイプ(すなわち、保護なし)とすることができる。
【0108】
本発明の別の実施の形態において、証券の買いの処理は、以下のように行われる。顧客は、所望の証券の詳細を入力し、支払カードをカードリーダに挿入する。ASD105は、ASDホスト101を介して読み取った情報を証券取扱金融機関に送信し、ハードコピー証券並びに使用するタイプの紙への印刷のために情報(暗号チェックサムを含む)を再び取得する。ASD105は、証券を適当な紙に印刷し、読取を行い(後に説明するように、必要ならば偽造防止のために)、ハードコピー証券を顧客に提供する。証券の売りの処理は、以下のように行われる。顧客は、印刷ハードコピー証券を文書スキャナに挿入し、支払カードをカードリーダに挿入する。ASD105は、ハードコピー証券を読み取り、読取の結果を暗号チェックサム及び指紋(該当する場合)の正当性確認のためにASDホスト101に送信する。そして、正当である場合、ASDホスト101は、支払を行い、この後、ASD105は、ハードコピー証券を無効にする(例えば、「無効」と印刷する)。正当ではない場合、取引は、中止される。
【0109】
図13に示すように、ASD105は、「フロントエンド」において、顧客と対話し、(ちょうどATMがリモートATMホスト機とつながっているように)「バックエンド」において、リモートASDホスト101に接続されている。ASD105は、ハードウェアコンポーネントに関して、プリンタ・スキャナを除けば、ATMに類似している。ASD105は、ASDの動作を制御する(CPU133、RAM135、ROM139、及びディスク151からなる)PCのようなコンピュータ131を有する。ASD105は、ASD105とASDホスト101との間の安全な通信のために暗号ソフトウェアを実行する(これがASDにおいて行われた場合は、暗号チェックサムを計算する)暗号プロセッサ141を有する。暗号プロセッサ141は、ある程度の不正操作を行うことができないように複数の物理的安全措置が施されたパッケージに内蔵されている。ASD105は、顧客との対話のために以下の入出力装置161、すなわち、プリンタ・スキャナ装置163と、支払方法(例えば、デビットカード)を検索するためのカードリーダ165と、顧客が行うべき操作の詳細(例えば、ハードコピー証券を売買するか否か、どんな種類のハードコピー証券を買うのか、支払カード用PINコード)を入力するためのキーパッド167と、顧客に現在の取引状況を知らせ、顧客に入力を促すためのディスプレイ169とを有する。
【0110】
プリンタ・スキャナ装置163は、次の機能を有する。すなわち、普通紙に加え1つ以上の特殊紙に対応している。すなわち、顧客が提供した情報をコンピュータが指示するタイプの紙に印刷し、印刷文書を読み取り、印刷文書を顧客に提供する。また、顧客が挿入した印刷ハードコピー文書を受入れ、その文書を読み取り、読取結果をコンピュータに出力、次いで、ハードコピー証書を顧客に戻すか又は「無効」とハードコピー証券に印刷し、ローカルに記憶する。
【0111】
ASD105は、リモートASDホスト101と通信するためネットワークインタフェースデバイス181(例えば、モデム、無線インタフェース、イーサーネットインタフェース)を有する。ASD105は、運営管理のため追加的デバイスとして、コンソール(ディスプレイ及びキーボード付き)又はコンソールを接続するための入出力ポートと、連続動作及び主電源障害時の適切な終了を可能にするバックアップ電池171とを有する。プリンタ・スキャナ163も検査のため取引の記録をプリントアウトする。
【0112】
ASD105と証券取扱金融機関との間の通信は、暗号化して安全に通信を行うことができる。KAをASD105と証券取扱金融機関との間の通信を安全にするために使用する暗号鍵であるとする。(KAは乱数であり、その長さは暗号アルゴリズムにより決まり、例えば、DESでは、56ビット、AESでは、128ビット以上)。KAは、ASDの暗号プロセッサ141の不揮発性メモリと証券取扱金融機関のコンピュータとに記憶され、鍵管理機関にも記憶される。
【0113】
証券取扱金融機関がデータ、例えば、XをASD105に送信するとき、KAによってデータを暗号化し、暗号化したデータ、すなわち、E(KA、X)を送信する。ここに、Eは、暗号アルゴリズム(例えば、DES、AES)である。ASD105は、E(KA、X)を受信した場合、受信したメッセージを暗号プロセッサ141に供給し、暗号プロセッサ141は、KAを用いてE(KA、X)を復号し、Xを抽出し(すなわち、D(KA、E(KA、X)を計算し、ここに、Dは復号関数である)、Xを、ASD105のコンピュータ131に供給する。ASD105のコンピュータ131がKAを認識することは決してなく、したがって、ASD105のコンピュータ131がKAを漏洩することはない。
【0114】
ASD105が証券取扱金融機関にデータを送信した場合にも、同じ手順が行われる。ASDのコンピュータ131は、データを鍵KAにより暗号化するために暗号プロセッサ141を使用し、暗号化データを証券取扱金融機関に送信する。
【0115】
E(KA、X)が(ASD105又は証券取扱金融機関の何れかにより)送信された場合、通信リンク上の盗聴者は、E(KA、X)を入手することはできるが、Xを入手することはできない。これは、盗聴者がKAを知らないからである(KAを知らずに、E(KA、X)からXを取得することは、コンピュータ演算では不可能である)。更に、メッセージE(KA、X)が傍受され、改竄された場合は、改竄メッセージが受信され、復号されると、得られる結果は、文字化けすることになり(すなわち、Xの適切な構造を有していない)、したがって、受信者は、復号したデータを廃棄することになる。メッセージの改竄防止は、メッセージの内容から作成された暗号チェックサムと暗号鍵(この鍵はKA又は証券保護に使用される鍵とは異なる)をメッセージに含めることにより実現することができる。
【0116】
ASD105の主コンピュータ131により実行されるソフトウェアは、オペレーティングシステム及びアプリケーションソフトウェアを含む。オペレーティングシステム(例えば、ウィンドウズ2000、リナックス)は、アプリケーションソフトウェアが入出力装置(例えば、プリンタ・スキャナへの発行コマンド、TCP/IPネットワーキングの実施)を実行及び制御するプラットフォームを実装している。
【0117】
アプリケーションソフトウェアは、顧客による「買い」及び「売り」作業を取り扱うための手順を含む。これらの手順は、顧客に入力を促し、出力を行い、ネットワーク接続を介してリモートASDホスト101と通信を行い、ASD105及びASD105のホスト101が、行われた取引の経過を、すなわち、取引の終了時に、両者が取引を成功裡に終えたのか、それとも両者が作業を完全に中止したのかを一貫して確実に検証する。
【0118】
アプリケーションソフトウェアは、リモートASDホスト101とのASD105の通信を許可し、暗号化し、意図的又は偶発的改竄から保護することを保証する安全なネットワーキングソフトウェア(例えば、Secure Shell、SSH)も含む。暗号化自体は、暗号プロセッサ141により行われる。アプリケーションソフトウェアは、更に、暗号チェックサムを(ASDホスト101又は証券取扱金融機関ではなく)そこで確認するための光学式文字認識装置(OCR)の機能を含むこともできる。
【0119】
印刷ハードコピー証書を絶対に改竄不能にするために、システムは暗号技術を使用する。特に、このシステムは、暗号チェックサム(すなわち、暗号技術上強力なインテグリティチェックサム)をハードコピー証書に、例えば、図14の“30984763982847223945732834587”を印刷する。実際に、チェックサムは、これよりも長くなるであろう。チェックサムは、一連の数字又はバーコードとしてハードコピー証書に印刷される。改竄不能なハードコピー証書の作成には、特殊な紙や高解像度印刷は不要である。暗号アルゴリズム(例えば、セキュアハッシュアルゴリズム(SHA)を有する鍵付きハッシュメッセージ認証コード(HMAC)をハードコピー証券上の情報と、証券取扱金融機関により秘密に保たれている暗号鍵(大きな数)を用いることにより、チェックサムは計算される。この鍵は、証書鍵と呼ばれる(ASDがASD105のホスト101との安全な通信のために使用する暗号鍵とは異なる)。Kaufman、Perlman及びSpeciner著“Network Security:Private Communication in a Public World"、第2版、ISBN 0‐13‐046019‐2が適当なアルゴリズム(例えば、HMAC)の開発の手引きを提供している。
【0120】
適当な暗号アルゴリズム、例えば、鍵付きハッシュ関数の使用により、印刷ハードコピー証書の情報を改竄不能にすることができる。KBが証書鍵、すなわち、証券取扱金融機関により秘密に保たれ、ハードコピー証書用のチェックサムの計算に際して使用される大きな乱数を表すとする。Yが、ハードコピー証券に印刷すべきチェックサム以外の情報であるとする。ハードコピー証書用チェックサムは、鍵付きハッシュ関数H(例えば、SHA付きHMAC)を鍵KB及びデータYに適用することにより得られる、例えば、H(KB、Y)のような、大きな数である。
【0121】
証書が印刷されると、証券取扱金融機関は、Y及びH(KB、Y)を送信し、ASD105は、Y及びH(KB、Y)をハードコピー証書に印刷する。Hは、KBを知らずにH(KB、Y)を得ること又はH(KB、Z)がY及びH(KB、Y)と等しくなるようにYを例えばZに改竄することがコンピュータでは実行不可能なようにされている。したがって、ハードコピー証券の情報を変更すると、チェックサムが必ず無効になる。Y及びH(KB、Y)は、暗号化保護メッセージの形でASD105に送信されるので、襲撃者は(上に説明したように)メッセージを送信中に改竄することはできない。したがって、印刷ハードコピー証書は改竄不能である。
【0122】
証書鍵KBは、ASD105とASD105のホスト101との間の通信を安全にするために使用される鍵KAとは異なるのが通常である。証券取扱金融機関は(証書鍵が危険にさらされた場合の被害を限定するために)、異なるクラスの証書に対しては異なるKBを使用することもできる。
【0123】
鍵付きハッシュ関数は、(1)文書上の情報に(額面価格の改竄のような)何らかの変更があった場合はチェックサムを無効にし、(2)鍵を知らなければ改竄された文書の有効なチェックサムを得ることができないようにしてある。したがって、チェックサムによって、ハードコピー証書の情報の改竄は、必ず簡単に発見することができる。例えば、データ暗号化規格(DES)、高度暗号化規格(AES)等のような暗号化関数を使用することにより、暗号チェックサムを計算することもできる。一般的には、保護すべきデータは証書鍵により暗号化され、最終暗号ブロック(留数とも呼ばれる)がチェックサムとして使用される。
【0124】
チェックサム計算は、証券取扱金融機関において行い、結果をハードコピー証券への印刷のためにASD105に送信することができる。また、この計算は、ASD105の暗号プロセッサ141において行うこともできる(この場合、暗号プロセッサ141は証書鍵のコピーを有することになる)。
【0125】
印刷ハードコピー証書を偽造不能にするために印刷ハードコピー証書の読取を行うことが必要な場合、ハードコピー証書上の情報よりむしろ、指紋がハードコピー証書の印刷画像(紙に埋込まれたランダムパターンを含む)を特徴付けることを除けば、解析は、改竄を不能にする場合と同じである。
【0126】
このシステムでは、印刷ハードコピー証書を確実に偽造不能にするため、特殊紙を使用する。特殊紙の使用には、特殊紙の仕入れが必要である。セキュリティ繊維(着色、金属又は蛍光)を含む紙、ホログラムを埋込んだ紙及びマイクロ印刷を有する紙を含む多くのタイプの特殊紙がある。額面価格が高い証書用には特殊度の大きな紙を使用することができる。
【0127】
文書の偽造難度を高めるために、ランダムパターンが紙に印刷/埋込まれ、証書の発行時には、そのパターンが記録される。例えば、特殊紙には、図15に示したように、着色繊維が埋込まれている。偽造不能ハードコピー証書を印刷するために、ASD105は、この特殊紙を使用し、ハードコピー証書のディジタル読取結果を記録し、この読取結果を保存のために証券取扱金融機関に送信する。たとえ偽造者が同じ種類の特殊紙を入手したとしても、偽造に使用された特殊紙が着色繊維の同じランダム埋込みを有することはまず考えられないので、印刷証券の複製は発見可能となる。
【0128】
本発明に係る「買い」の手順の例を次に説明する。顧客は、ASDに立ち寄り、買うべき証書(例えば、価格Yの債権X)、支払方法(例えば、デビットカード及びPIN番号)、及び顧客の身元(例えば、氏名及び住所)を明記した情報を入力する。ASD105は、証券取扱金融機関にアクセスし、支払情報を送信し、印刷すべき証書の詳細(暗号チェックサム、特殊紙に印刷すべきかどうか、そうであるならば、読取を行うか否かを含む)を受信する。次に、ハードコピー証書を印刷し、顧客に提供し、取扱金融機関に取引の完了を通知する。ASD105は、顧客への提供の前に、このようにして印刷された印刷ハードコピー証書の読取を行って、この読取の結果を取引の終了の前に長期保存のために(ASD105ホストを介して)証券取扱金融機関に送信する。
【0129】
図16は、コンピュータ131により実行される「買い」手順の詳細を示したものであり、顧客又はASDホスト101による入力又は出力では、次のような処理が行われるようになっている。例えば、入力作業には通常は幾つかの出力を伴う。例えば、ステップ1において、ASD105は、顧客との買い取引を開始するためにウェルカムメッセージを表示する。ステップ2において、ユーザは、氏名、住所、社会保障番号等のような、自分の背景情報を入力する。ステップ3において、ユーザは、発行会社、額面価格、証書の期間等のような、所望の証書の詳細を入力する。ステップ4において、デビットカードによる支払を行う場合、銀行口座番号、PIN等のような、支払方法の詳細を得るために、キーカードを挿入するように顧客に要求する表示が行われることによって、キーカードが挿入される。ASD105は、ASD105とASD105ホストとの間で通信が確立し、ネットワークに出力し、ASDホスト101へ送信することによって、ASD101との取引を開始し(ステップ5)、次いで、所望の証書の詳細をASDホスト101に送信する(ステップ6)。この後に、ASD105は、ネットワークを介してASDホスト101からの回答を受信する(ステップ7)。ASDホストの回答が、証書はデータベース内では入手可能であることを示した場合、ASD105は、支払情報をASDホスト101に送信し、ASDホスト101から、印刷すべきもの(暗号チェックサムを含む)、使用すべき紙のタイプ、読取を行うべきか否かを示した回答を受信する。この後に、ASD105は、プリンタ・スキャナ装置163を介して適当な紙に証書を印刷し、ASDホスト101から要求された場合は、証書を読み取り、読取画像をASDホスト101に送信する。ASD105は、印刷ハードコピー証書を顧客に提供する(ステップ9)。ASD105は、取引状況を記録管理するため、ローカルプリンタで印刷し(ステップ10)、ASDホスト101との通信を終了し(ステップ11)、「取引完了」のメッセージを表示することにより、顧客との対話を終了する。
【0130】
ステップ1の「ASD105ホストとの通信開始」及びステップ12の「ASD105ホストとの通信終了」は、ASD105のホストと多数実行される通信と区別している。すなわち、通信が成功しなかった(例えば、通信リンクに障害があった)場合、通信開始の状態がASD105及びASD105ホストの両方において回復される。
【0131】
本発明に係る「売り」作業の例を次に説明する。顧客は、ASDに立ち寄り、売るべき印刷ハードコピー証書をASDの105のプリンタ・スキャナ装置163に挿入し、受取情報(すなわち、受取代金を振込むべき口座)を入力する。ASD105は、文書を読み取り、読取結果及び受取情報を証券取扱金融機関に送信する。取扱金融機関は、暗号チェックサム及び読取結果(該当する場合)を確認する。確認に成功した場合、取扱金融機関は、支払を行い、集められた印刷ハードコピー証書を無効化又は破壊し、ASD105で顧客に売りが完了したことを知らせる。確認に成功しなかった場合は、印刷ハードコピー証書は顧客に返却され(又はASD内に保持され)、説明が顧客に提供される。
【0132】
図17は、ASD105のコンピュータにより実行される売り手順の更なる詳細を示したものである。上述のように、確認は、ASD105により行われ、結果は、取扱金融機関に送信される。ASD105は、顧客との売り取引を開始するためにウェルカムメッセージを表示し(ステップ1)、顧客に印刷ハードコピー証書をスキャナに挿入するようとのメッセージを表示し促す(ステップ2)。ASD105は、挿入されたハードコピー証書をプリンタ・スキャナ装置163により読み取り(ステップ3)、カードリーダ165又はキーパッド167から入力されることによって元の受取詳細情報(口座番号、PIN等)を取得する(ステップ4)。ASD105は、ASDホスト101との通信を開始し(ステップ5)、読み取られた証書及び入力された受取詳細情報をネットワークを介してASDホスト101に送信し(ステップ6)、ASDホスト101からの回答をネットワークを介して受信する(ステップ7)。ASDホス101トからの回答によりハードコピー証書が有効であることが示され、支払が顧客に対して行われた場合、ASD105は、売りが市場価格において受入れられることを顧客に通知し、「無効」をハードコピー証書に印刷し、無効化されたハードコピー証書をローカルに保存する(ステップ8)。また、ASD105は、挿入されたハードコピー証書を破壊する(例えば、シュレッダにかける)ことにより無効化する。ASDホスト101からの回答によりハードコピー証書が無効であることが示された場合、ASD105は、証書が無効であるとのメッセージを表示することにより顧客に結果を知らせ、ハードコピー証券を顧客に返却する(ステップ9)。したがって、ASD105は、取引状況を記録管理のためにローカルプリンタで印刷し、ASDホスト101との売りのための通信を終了し、「取引完了」のメッセージを表示することにより、顧客との対話を終了する。
【0133】
本発明の別の実施の形態において、購入者が証書の物理的コピーをシステムに通知せずに別の人物に売った状況に対応するために、ASDホスト101の回答により、ハードコピー証書は有効であるが、証書が顧客以外の別の人物により購入されたことが示された場合、ASD105は、証書を受け入れる。これにより、物理的証書を流通させやすくするることができる。
【0134】
印刷ハードコピー証書(例えば、第三者を通じて入手したハードコピー証書)の有効性を確認するために、認証作業が顧客に対して行われる。かかる認証作業は、売り作業の変形である。印刷ハードコピー証券を無効化し、資金を顧客の口座に移す代わりに、ハードコピー証書は、認証作業の後に顧客に返却される。
【0135】
オンライン転換作業は、証券取扱金融機関のオンライン口座に証書を保持するために、顧客が印刷ハードコピー証書をオンライン証書に転換することを希望した場合に行われる。これは売り作業の別の変形である。資金を顧客の口座に移す代わりに、文書のオンライン版が顧客の口座に移される。加えて、オンライン転換作業により、証券保有者は、条件が満たされた後の時点において、図17に示したような市場価格ではなく、指値又は逆指値注文で証書を売ることができるようになる。指値注文とは、表示された量の証券を指定価格又はそれ以上で売買する注文である。逆指値注文とは、証券の価格が特定の点まで上昇又は下降した場合に取引を始めるようにしてある注文である。買い停止注文の価格は、現在のASK価格よりも上に設定されており、売り中止注文の価格は、現在のBID価格よりも下に設定されている。
【0136】
証書鍵KBは、ASD105とASD105ホストとの間の通信を安全にするために使用される鍵KAとは異なるのが通常である。証券取扱金融機関は(証書鍵が危険にさらされた場合の被害を限定するために)異なるクラスの証書に対しては異なるKBを使用することもできる。
【0137】
ASD105により、顧客は(1)証券の印刷証書を購入することと、(2)証券の印刷証書を売却又はオンライン証書への転換のために挿入することができるようになる。ASD105の新規な奇な特徴は、(1)印刷証書を改竄不能にするための暗号チェックサムの使用と、(2)印刷証書を偽造不能にするための特殊紙及びその読取の使用である。
【0138】
投資者は、株式でも債券でもない本発明に係る新しい金融商品を購入し、以前には存在しなかった新しい金融市場において利益を追求することができ、一方、事業者は、株式でも債券でもないこれらの証券を使用して資金を調達することができる。本発明に係る金融商品は、公共事業に投資されるべき事業者の民間資金を発掘することになる。したがって、本発明は、世界各国の中央政府又は地方自治体がたとえ厳しい財政状態であっても道路や医療施設のようなインフラ整備を容易に行うことができるようになる。
【0139】
本発明の発行システムは、暗号チェックサムが印刷された小切手、コマーシャルペーパー、旅券、運転免許証、身分証明書、スマートカード、クレジットカード等の発行に適用することができる。小切手、紙幣、コマーシャルペーパー、旅券、運転免許証、身分証明書、スマートカード及びクレジットカードの所有権は証券又は本発明の利付き金融商品のように自由に取引可能でも譲渡可能でもないが、発行当局又は(銀行のような)その他の機関は更新のために発行ハードコピー文書が本物であることを確認するために暗号チェックサムを使用することができる。例えば、証券及び本発明の利付き金融商品を取引するというよりは、銀行が本発明の発行機を介して(例えば、新しい満期を記載した)小切手の発行及び更新依頼を受けることができる。別の例として、自動車管轄当局が本発明の発行機を介して市民からの運転免許証の発行及び更新依頼を受けることができる。
【0140】
本発明の暗号チェックサムは成績証明書等に適用することができる。これらの文書には所有権の問題はないが、発行当局が後に文書の確認を必要とすることがある。学校が暗号チェックサムを成績証明書に押し、印刷された情報に何らかの改竄がないかどうかを見るために、学校宛にファックスされたコピーを確認することがある。
【0141】
本発明は、偽造不能ハードコピー文書の作成に関して既に記載したような従来技術との組合せで適用することができる。例えば、切手又はクレジットカードのような小さなスペースへの微細な文言の印刷には、マイクロ印刷を適用することができる。その他の例としては、特殊紙の指定、又は紙に施されるホログラム又は透かしパターンの指定、又はハードコピー文書を印刷するための高解像度印刷技術がある。
【0142】
本発明は、サーバ及びネットワークを介してサーバに接続された複数の発行機を提供することにより新しい市場を形成する方法を提供する。
【0143】
上記明細書においては、本発明の原理、好ましい実施の形態及び手順の態様について説明してきた。しかしながら、本願の意図する発明は、開示された特定の実施の形態だけに限定されるわけではない。ここに記載した実施の形態は、例示であって、この例示に限定あれるものではない。本発明の主旨から逸脱せずに、変形及び変更を他の人々が行うこともできるし、均等物を採用することもできる。したがって、特許請求の範囲に定義されたような本発明の思想の範囲内の全ての変形、変更及び均等物を含むことが明確に意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0144】
添付図面と共に考慮した場合は、本発明に対する理解が深まることになるので、本発明の様々なその他の目的、特徴、及び付随効果がより完全に理解されるであろう。なお、図面全体を通じて、類似の参照文字は同じ又は類似の部分を表している。
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る証券発行システムを示した線図である。
【図2】本発明の実施の形態の全体構造のブロック図である。
【図3】図2に示したコンピュータをより詳細に示したブロック図である。
【図4】図3に示した実施の形態に係る証券会社のコンピュータにより実行されるプログラムのセグメントを表したフローチャートである。
【図5】図3に示した実施の形態に係る投資者のコンピュータにより実行されるプログラムのセグメントを表したフローチャートである。
【図6】本発明の代替実施の形態の全体構造のブロック図である。
【図7】図6に示したプリンタをより詳細に示したブロック図である。
【図8】図6に示した実施の形態に係る証券会社のコンピュータにより実行されるプログラムのセグメントを表したフローチャートである。
【図9】図6に示した実施の形態に係る投資者のコンピュータにより実行されるプログラムのセグメントを表したフローチャートである。
【図10】お台場カジノプロジェクト用1種類を含む3種類の本発明の利付き金融商品の表である。
【図11】日本高速道路プロジェクト用のものを含む3種類の本発明の利付き金融商品の表である。
【図12】本発明の2種類の利付き金融商品の表である。
【図13】本発明に係る発行機のハードウェアブロック図である。
【図14】本発明に係る暗号チェックサムを有する印刷された証券の一例である。
【図15】繊維が埋込まれた紙に印刷された証券の読取の例である(現実には、埋込まれた繊維の数はもっと多いであろう)。
【図16】顧客の購入依頼によりASD105コンピュータにより実行される手順である。
【図17】顧客の「売却」依頼によりASD105コンピュータにより実行される手順である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードコピー証書の取引を行う発行機であって、
潜在的購入者によって挿入されたID記録媒体を受け取る受取手段と、
上記受け取ったID記録媒体に記録された識別情報を検索する情報検索手段と、
上記潜在的購入者が証券又は利付き金融商品の取引の依頼をする入力手段と、
ネットワークを介してサーバで情報を検索することにより依頼された取引を行う取引処理手段と、
上記潜在的購入者が購入した上記ハードコピー証書と暗号チェックサムとをプリントアウトする印刷手段とを備える発行機。
【請求項2】
更に、保有者が挿入したハードコピー文書を読み取る読取手段と、
上記ハードコピー文書が少なくとも読み取られた暗号チェックサムに従って発行機と接続された発行機により発行されたのかどうかを判定する判定手段とを備える請求項1記載の発行機。
【請求項3】
上記印刷手段は、更に、ランダムパターンを上記ハードコピー証書に印刷し、
上記読取手段は、上記ハードコピー証書を購入者に提供する前にランダムパターンを有する上記ハードコピー証書を読み取る請求項2記載の発行機。
【請求項4】
上記読取手段は、上記保有者により挿入されたハードコピー証書を読み取り、上記ハードコピー証書が上記ランダムパターンを含んでいない場合、上記判定手段は、上記ハードコピー証書を発行機と接続された発行機により発行されたものではないと判定する請求項2記載の発行機。
【請求項5】
上記判定手段は、上記ハードコピー証書を発行機と接続された発行機により発行されたものであると判定した場合、上記取引処理手段がハードコピー文書を市場価格で買戻すか又はハードコピー文書を保有者のために電子証券に転換する請求項2記載の発行機。
【請求項6】
上記電子証券は、上記保有者の指示する人又は機関の任意のEメールアカウントに送信される請求項5記載の発行機。
【請求項7】
上記機関は、証券保管機構又は仲買人である請求項6記載の発行機。
【請求項8】
上記保有者は、仲買人を介して電子証券の売却の指値注文又は逆指値注文を行う請求項7記載の発行機。
【請求項9】
上記判定手段は、上記ハードコピー文書を発行機と接続された発行機により発行されたものではないと判定した場合、上記取引処理手段がハードコピー証書を保有者に戻すか又は上記印刷手段に対してハードコピー証書に「無効」と印刷するように命令し、それをローカルに保存する請求項2記載の発行機。
【請求項10】
ハードコピー証書が証券又は利付き金融商品である請求項1記載の発行機。
【請求項11】
上記印刷手段は、更に、透かし又はホログラムを有する上記ハードコピー証書を印刷する請求項2記載の発行機。
【請求項12】
上記印刷手段は、上記ハードコピー証書を厚紙、着色紙、蛍光繊維紙又は金属若しくはUV敏感性糸を埋込んだ紙に印刷する請求項2記載の発行機。
【請求項13】
上記印刷手段は、上記暗号チェックサムを上記ハードコピー証書にマイクロ印刷で印刷する請求項2記載の発行機。
【請求項14】
上記暗号チェックサムは、暗号アルゴリズム及び上記ハードコピー証書に印刷すべき上記暗号チェックサム以外の情報を用いて生成される請求項1記載の発行機。
【請求項15】
上記暗号アルゴリズムは、鍵付きハッシュ関数Hである請求項14記載の発行機。
【請求項16】
KBがサーバの保持する証書鍵を表し、Yが上記ハードコピー証書に印刷すべき上記暗号チェックサム以外の情報を表し、暗号チェックサムが、鍵付きハッシュ関数HをKB及び情報YにH(KB、Y)として適用することにより生成される請求項15記載の発行機。
【請求項17】
上記取引処理手段は、サーバとの通信のために異なる鍵KAを使用する請求項16記載の発行機。
【請求項18】
サーバは、クラスの異なるハードコピーに対しては異なる証書鍵KBを使用する請求項16記載の発行機。
【請求項19】
新規発行証券又は利付き金融商品用の発行システムであって、
サーバと、
ネットワークを介してサーバに接続された複数の発行機とを備え、
上記それぞれの発行機は、
潜在的購入者によって挿入されたID記録媒体を受け取る受取手段と、
上記受け取ったID記録媒体に記録された識別情報を検索する情報検索手段と、
上記潜在的購入者が証券又は利付き金融商品の取引の依頼をする入力手段と、
ネットワークを介してサーバで情報を検索することにより依頼された取引を行う取引処理手段と、
上記潜在的購入者が購入した上記ハードコピー証書と暗号チェックサムとをプリントアウトする印刷手段とを有する発行システム。
【請求項20】
ハードコピー証書を業務処理する発行機であって、
潜在的購入者によって挿入されたID記録媒体を受け取る受取手段と、
受け取ったID記録媒体に記録された識別情報を検索する情報検索手段と、
潜在的購入者がハードコピー証書の取引の依頼をする入力手段と、
ネットワークを介してサーバで情報を検索することにより依頼された取引を行うための取引処理手段と、
潜在的購入者が購入した上記ハードコピー証書と暗号チェックサムとをプリントアウトするための印刷手段とを備え、
上記ハードコピー証書が、小切手、コマーシャルペーパー、旅券、運転免許証、身分証明書、スマートカード又はクレジットカードである発行機。
【請求項21】
更に、保有者が挿入したハードコピー文書を読み取るための読取手段と、
上記ハードコピー文書が読取手段により得られた結果に従って発行機と接続された発行機により発行されたのかどうかを判定する判定手段とを備える請求項20記載の発行機。
【請求項22】
上記判定手段は、ハードコピー証書を発行機と接続された発行機により発行されたものであると判定した場合、上記印刷手段が新しい有効期限及び新しい暗号チェックサムを有する更新ハードコピー証書を印刷する請求項21記載の発行機。
【請求項1】
ハードコピー証書の取引を行う発行機であって、
潜在的購入者によって挿入されたID記録媒体を受け取る受取手段と、
上記受け取ったID記録媒体に記録された識別情報を検索する情報検索手段と、
上記潜在的購入者が証券又は利付き金融商品の取引の依頼をする入力手段と、
ネットワークを介してサーバで情報を検索することにより依頼された取引を行う取引処理手段と、
上記潜在的購入者が購入した上記ハードコピー証書と暗号チェックサムとをプリントアウトする印刷手段とを備える発行機。
【請求項2】
更に、保有者が挿入したハードコピー文書を読み取る読取手段と、
上記ハードコピー文書が少なくとも読み取られた暗号チェックサムに従って発行機と接続された発行機により発行されたのかどうかを判定する判定手段とを備える請求項1記載の発行機。
【請求項3】
上記印刷手段は、更に、ランダムパターンを上記ハードコピー証書に印刷し、
上記読取手段は、上記ハードコピー証書を購入者に提供する前にランダムパターンを有する上記ハードコピー証書を読み取る請求項2記載の発行機。
【請求項4】
上記読取手段は、上記保有者により挿入されたハードコピー証書を読み取り、上記ハードコピー証書が上記ランダムパターンを含んでいない場合、上記判定手段は、上記ハードコピー証書を発行機と接続された発行機により発行されたものではないと判定する請求項2記載の発行機。
【請求項5】
上記判定手段は、上記ハードコピー証書を発行機と接続された発行機により発行されたものであると判定した場合、上記取引処理手段がハードコピー文書を市場価格で買戻すか又はハードコピー文書を保有者のために電子証券に転換する請求項2記載の発行機。
【請求項6】
上記電子証券は、上記保有者の指示する人又は機関の任意のEメールアカウントに送信される請求項5記載の発行機。
【請求項7】
上記機関は、証券保管機構又は仲買人である請求項6記載の発行機。
【請求項8】
上記保有者は、仲買人を介して電子証券の売却の指値注文又は逆指値注文を行う請求項7記載の発行機。
【請求項9】
上記判定手段は、上記ハードコピー文書を発行機と接続された発行機により発行されたものではないと判定した場合、上記取引処理手段がハードコピー証書を保有者に戻すか又は上記印刷手段に対してハードコピー証書に「無効」と印刷するように命令し、それをローカルに保存する請求項2記載の発行機。
【請求項10】
ハードコピー証書が証券又は利付き金融商品である請求項1記載の発行機。
【請求項11】
上記印刷手段は、更に、透かし又はホログラムを有する上記ハードコピー証書を印刷する請求項2記載の発行機。
【請求項12】
上記印刷手段は、上記ハードコピー証書を厚紙、着色紙、蛍光繊維紙又は金属若しくはUV敏感性糸を埋込んだ紙に印刷する請求項2記載の発行機。
【請求項13】
上記印刷手段は、上記暗号チェックサムを上記ハードコピー証書にマイクロ印刷で印刷する請求項2記載の発行機。
【請求項14】
上記暗号チェックサムは、暗号アルゴリズム及び上記ハードコピー証書に印刷すべき上記暗号チェックサム以外の情報を用いて生成される請求項1記載の発行機。
【請求項15】
上記暗号アルゴリズムは、鍵付きハッシュ関数Hである請求項14記載の発行機。
【請求項16】
KBがサーバの保持する証書鍵を表し、Yが上記ハードコピー証書に印刷すべき上記暗号チェックサム以外の情報を表し、暗号チェックサムが、鍵付きハッシュ関数HをKB及び情報YにH(KB、Y)として適用することにより生成される請求項15記載の発行機。
【請求項17】
上記取引処理手段は、サーバとの通信のために異なる鍵KAを使用する請求項16記載の発行機。
【請求項18】
サーバは、クラスの異なるハードコピーに対しては異なる証書鍵KBを使用する請求項16記載の発行機。
【請求項19】
新規発行証券又は利付き金融商品用の発行システムであって、
サーバと、
ネットワークを介してサーバに接続された複数の発行機とを備え、
上記それぞれの発行機は、
潜在的購入者によって挿入されたID記録媒体を受け取る受取手段と、
上記受け取ったID記録媒体に記録された識別情報を検索する情報検索手段と、
上記潜在的購入者が証券又は利付き金融商品の取引の依頼をする入力手段と、
ネットワークを介してサーバで情報を検索することにより依頼された取引を行う取引処理手段と、
上記潜在的購入者が購入した上記ハードコピー証書と暗号チェックサムとをプリントアウトする印刷手段とを有する発行システム。
【請求項20】
ハードコピー証書を業務処理する発行機であって、
潜在的購入者によって挿入されたID記録媒体を受け取る受取手段と、
受け取ったID記録媒体に記録された識別情報を検索する情報検索手段と、
潜在的購入者がハードコピー証書の取引の依頼をする入力手段と、
ネットワークを介してサーバで情報を検索することにより依頼された取引を行うための取引処理手段と、
潜在的購入者が購入した上記ハードコピー証書と暗号チェックサムとをプリントアウトするための印刷手段とを備え、
上記ハードコピー証書が、小切手、コマーシャルペーパー、旅券、運転免許証、身分証明書、スマートカード又はクレジットカードである発行機。
【請求項21】
更に、保有者が挿入したハードコピー文書を読み取るための読取手段と、
上記ハードコピー文書が読取手段により得られた結果に従って発行機と接続された発行機により発行されたのかどうかを判定する判定手段とを備える請求項20記載の発行機。
【請求項22】
上記判定手段は、ハードコピー証書を発行機と接続された発行機により発行されたものであると判定した場合、上記印刷手段が新しい有効期限及び新しい暗号チェックサムを有する更新ハードコピー証書を印刷する請求項21記載の発行機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−66293(P2007−66293A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−160938(P2006−160938)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.リナックス
【出願人】(501346238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160938(P2006−160938)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.リナックス
【出願人】(501346238)
【Fターム(参考)】
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