説明

発酵茶

【課題】2種以上の植物性の原料を用い、個々の原料が具備しない新規な薬効を奏することのできる茶を得ることにある。
【解決手段】茶の葉を萎凋し、ついで、これを揉捻しつつ、ナシの果実、ビワの未熟果実、ブルーベリーの果実、サザンカの葉、ナスの果実、リンゴの果実、レタスの葉、シソの葉、タンポポ、アボガド(果肉、種子)、キンモクセイ、ドクダミの葉、ツバキの葉、ブドウの果実、ウメの果実、ライチの果実、バナナの果実、ジャガイモの根茎、アジサイの葉、サトイモの根茎、ヨモギの葉、ホウレンソウの葉、ゴボウの根、ヤマイモの根、シイタケの子実体、イチジクの果実、ミカンの未熟果実、ボリジの葉、レンコンの根茎、ニンジンの根、カボチャの果実、カキの果実、マンゴーの果実、サツマイモの根、オクラの果実からなる群から選ばれる1種以上の原料を添加して揉捻し、発酵させたのち、加熱して発酵茶とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多種類の植物性の原料を混合して用い、これを発酵してなる発酵茶およびその製法ならびにこの発酵茶を用いた茶飲料、抽出液、固形物、食品に関する。
【背景技術】
【0002】
多種類の植物性の原料を用いて作られた茶としては、例えば特開平2−291229号公報には、ハブ草の実、トウモロコシの実、鳩麦の実、柿の葉などの多種類の植物性の原料を配合した配合茶が開示されている。
また、特開平5−56772号公報には、柿、ドクダミ、イチジク、熊笹、松、ヨモギ、アロエ、ビワ、桑、ウコギなどの原料を混合した健康茶が開示されている。
【0003】
しかしながら、これら先行発明に提案された茶では、多種類の原料を単に混合しただけのものであるので、個々の原料が有する薬効が総和して奏されるだけであり、これ以外の新しい薬効を期待できなかった。
【特許文献1】特開平2−291229号公報
【特許文献2】特開平5−56772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明における課題は、2種以上の植物性の原料を用い、個々の原料が具備しない新規な薬効を奏することのできる茶を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、
請求項1にかかる発明は、茶の葉と、
ナシの果実、ビワの未熟果実、ブルーベリーの果実、サザンカの葉、ナスの果実、リンゴの果実、レタスの葉、シソの葉、タンポポ、アボガド(果肉、種子)、キンモクセイ、ドクダミの葉、ツバキの葉、ブドウの果実、ウメの果実、ライチの果実、バナナの果実、ジャガイモの根茎、アジサイの葉、サトイモの根茎、ヨモギの葉、ホウレンソウの葉、ゴボウの根、ヤマイモの根、シイタケの子実体、イチジクの果実、ミカンの未熟果実、ボリジの葉、レンコンの根茎、ニンジンの根、カボチャの果実、カキの果実、マンゴーの果実、サツマイモの根、オクラの果実からなる群(以下、B群と呼ぶことがある。)から選ばれる1種以上の原料とが混合、揉捻され、発酵してなる発酵茶である。
【0006】
請求項2にかかる発明は、請求項1記載の発酵茶を水で抽出してなる茶飲料である。
請求項3にかかる発明は、請求項1記載の発酵茶を有機溶媒で抽出してなる抽出液である。
請求項4にかかる発明は、請求項1記載の発酵茶を有機溶媒で抽出し、有機溶媒を除去してなる固形物である。
請求項5にかかる発明は、請求項1記載の発酵茶を含む食品である。
【0007】
請求項6にかかる発明は、茶の葉を萎凋し、ついで、これを揉捻しつつ、上記B群から選ばれる1種以上の原料を添加して揉捻し、発酵させたのち、加熱することを特徴とする発酵茶の製法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、茶の葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼなどの酸化酵素の働きにより、茶の葉に含まれる一次ポリフェノールの1種であるフラバン−3−オール類が酸化重合して、その一部が二次ポリフェノールであるテアフラビン類やテアフラガリン類に変化するが、揉捻時にB群の原料を添加することで、この反応の速度が促進され、かつB群の材料中のポリフェノールもテアフラビン類、テアフラガリン類に変化し、短時間の揉捻、短時間の発酵により十分量のテアフラビン類やテアフラガリン類などが生成する。
そして、このテアフラビン類やテアフラガリン類が血糖値上昇抑制作用、抗菌作用を発揮する。
【0009】
このため、本発明の茶飲料、抽出液、固形物、食品を摂取することで、血糖値上昇抑制の効果が期待できるものとなり、生活習慣病等の改善に寄与するものとなる。
さらに、本発明の発酵茶の原料には、従来商品価値が低く廃棄されていた茶の葉や植物を有効利用できるので、経済的な効果も高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明で用いられる茶の葉は、いわゆるツバキ科の常緑低木Thea sinensis L.の葉である。この葉としては、一番茶以外に二番茶、三番茶、秋冬番茶、刈番茶なども使用でき、比較的多くのポリフェノール類を含む二番茶以降の安価な茶の葉のほうが好ましい。なお、これらの遅手の茶の葉は、現在価格が低迷し、かなりのものが廃棄されているが、このものを本発明では有効に利用できる。
【0011】
また、B群に属する原料は、ナシの果実、ビワの未熟果実、ブルーベリーの果実、サザンカの葉、ナスの果実、リンゴの果実、レタスの葉、シソの葉、タンポポ、アボガド(果肉、種子)、キンモクセイ、ドクダミの葉、ツバキの葉、ブドウの果実、ウメの果実、ライチの果実、バナナの果実、ジャガイモの根茎、アジサイの葉、サトイモの根茎、ヨモギの葉、ホウレンソウの葉、ゴボウの根、ヤマイモの根、シイタケの子実体、イチジクの果実、ミカンの未熟果実、ボリジの葉、レンコンの根茎、ニンジンの根、カボチャの果実、カキの果実、マンゴーの果実、サツマイモの根、オクラの果実であって、これらの1種または任意の2種以上の混合物が用いられる。混合物における混合比は任意であり、いかなる混合比であってもよい。
このB群に属する原料は、これを茶の葉とともに揉捻して発酵させた場合に、多量のテアフラビン類が生成する性質を有するものが選択されている。
【0012】
これらの原料は、必要に応じて乾燥され、その含水量が10〜30%程度とされ、さらには適宜の寸法、例えば1〜10mm角程度の大きさにに切断されて以後の加工に供される。
【0013】
次に、これら茶の葉とB群に属する原料を用いて本発明の発酵茶を製造する方法を説明する。
まず、茶の葉を乾燥し、水分量を減少させ、萎凋させる。この工程では、例えば粗揉機を用い、茶の葉を撹拌しつつ、温度40〜150℃の加熱空気を茶の葉に当てる方法、密閉撹拌容器内に茶の葉を投入し、容器内の空気を吸引して内部を減圧状態として撹拌して乾燥する方法、萎凋槽を用いてネット上に散布した茶の葉の下方から通気する方法などが用いられる。
この萎凋により原料の茶の葉の水分量は50〜60%となり、60%近くまで減少させておくと、茶の葉から水分が揉み出されないことから有効成分の流出を防止できるとともに品質の低下を抑えることができ、後の乾燥工程が短縮できる。
【0014】
ついで、萎凋工程を経た原料の茶の葉を揉捻するとともに、この揉捻時にB群の原料を添加し、両方の原料を揉捻する。
B群の原料の添加量は、絶乾重量比で茶の葉100部に対してB群原料5〜20部、好ましくは7〜15部の範囲とされ、5部未満または20部を越えると、得られる発酵茶の血糖値上昇抑制作用が低くなる。
【0015】
揉捻は、茶の葉の揉捻に用いられている通常の揉捻機を用いる方法などが採用でき、これ以外の揉捻方法を用いても良い。
揉捻時間は、15〜25分とされ、15分未満または25分を超えると、得られる発酵茶の血糖値上昇抑制作用が低くなる。
また、揉捻時の原料の温度は、20〜40℃とされ、20℃未満では発酵不足となり、40℃を越えると品質低下となる。
さらに、B群の原料の添加のタイミングは、茶の葉の揉捻開始と同時に添加してもよく、あるいは一定時間茶の葉のみの揉捻を行った後、B群の原料を添加してさらに揉捻してもよい。全揉捻時間のうち、揉捻開始から0〜40%の時間が経過したのち、B群の原料を添加することができる。
【0016】
この揉捻において、茶の葉およびB群の原料の組織が破壊され、茶の葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼなどの酸化酵素が茶の葉およびB群の原料中に含まれるポリフェノールを酸化、重合し、酸化重合物が生成する。
【0017】
ついで、この状態の混合原料を発酵工程に移す。すなわち、揉捻後の混合原料を数cmの厚さに堆積し、温度20〜27℃、湿度30〜60%RHの発酵室内などの環境下において静置する。
発酵時間は0〜4時間とされる。ここで、発酵時間が0時間と言うことは、先の揉捻工程において揉捻の開始と同時に発酵が開始するためであり、揉捻工程の時間を発酵工程に含めない場合には、したがって発酵時間が0時間と言うこともあり得るのであり、実体は0時間でも発酵が行われているものである。発酵時間が4時間を超えると、得られる発酵茶の味、香りが低下する傾向がある。薬効を重視した場合では、1時間以下が好ましく、0時間でもよい。
【0018】
上記製造工程において、揉捻時間、発酵時間が長くなるほどAGH阻害性が低くなる。また、同様に抗酸化作用(1,1−ジピクリル−2−フェニルヒドラジル(DPPH)消去活性)も低くなる。機能性に注目して製造を行うなら揉捻時間15〜25分、発酵時間をなるべく短くすることが理想である。
【0019】
また、発酵時間が長くなるほど味に関しては苦渋みが強くなり、香りも悪くなり発酵時間が短いほど味、香りとも優れる。
【0020】
さらに、ナシの果実、ビワの未熟果実、ナスの果実、リンゴの果実、ウメの果実、ジャガイモの根茎、サトイモの根茎、ゴボウの根、ヤマイモの根、ミカンの未熟果実、レンコンの根茎、ニンジンの根、カボチャの果実、カキの果実、サツマイモの根は形状が大きい、または硬いため裁断した方が茶の葉と揉み込んだ方が化学反応が起こりやすい。茶の葉との揉捻時間は25分が最適である。
【0021】
また、ブルーベリーの果実、レタスの葉、シソの葉、タンポポ、アボガド(果肉、種子)、キンモクセイ、ドクダミの葉、ブドウの果実、ライチの果実、バナナの果実、アジサイの葉、ヨモギの葉、ホウレンソウの葉、シイタケの子実体、イチジクの果実、ボリジの葉、マンゴーの果実、オクラの果実は形状が薄い、または柔らかいため茶の葉と直ぐに化学反応が起こりやすいため、これらの原料を添加した時の揉捻時間は15分が最適である。
【0022】
サザンカの葉、ツバキの葉は、茶の葉との揉捻時間は20分が最適である。
【0023】
所定の発酵時間が経過したならば、原料を加熱して発酵を止め、乾燥する。例えば、連続式乾燥機に原料を投入し、これに温度80〜120℃の熱風を吹き込み、排気温度が50〜60℃となるように操作する。加熱時間は10〜30分程度で十分であり、これにより原料中の水分量を5%程度とする。
【0024】
これにより、本発明の発酵茶が得られるが、加熱工程後のものは、いわゆる荒茶となり、これに必要に応じて仕上げ加工を施して仕上げ茶とすることができる。この仕上げ加工では、再乾燥、火入れ、篩い分け、整形、選別などの従来の緑茶の茶葉における仕上げ加工とほぼ同じことが行われる。仕上げ加工により、貯蔵性、香りなどの品質を高めて商品性を向上させることができる。
【0025】
このようにして得られた発酵茶にあっては、茶の葉と、B群に属する原料とが混合、揉捻され、発酵せしめられてなるものであり、茶の葉とB群の原料を混合して揉捻して発酵させる過程において、ポリフェノールの酸化重合物であるテアフラビン類やテアフラガリン類が生成し、揉捻時にB群の原料を添加することで、この反応が促進され、短時間の揉捻、短時間の発酵により十分量のテアフラビン類やテアフラガリン類などが生成する。
そして、このテアフラビン類やテアフラガリン類が高いマルターゼ阻害率およびスクラーゼ阻害率を示し、血糖値上昇抑制作用を発揮することが判明した。
【0026】
また、この発酵茶の熱水抽出物(茶飲料)には、高い抗菌作用を発揮するとされるテアフラビンジガレートが多量に含まれていることが高速液体クロマトグラフィーによって確認され、抗菌作用も期待できるものである。さらに、抗酸化作用も期待できる。
【0027】
本発明の茶飲料は、上述の発酵茶を温度40〜100℃の温水または熱水に浸して、発酵茶に含まれる可溶性成分を水に抽出した抽出水溶液である。水と発酵茶との割合は、水100重量部に対して、発酵茶(含水量5%)0.5〜20重量部とされ、浸漬時間は、3〜60分とされるが、この範囲に限定されることはない。
【0028】
この茶飲料には、上述の高いマルターゼ阻害率およびスクラーゼ阻害率を示し、血糖値上昇抑制作用を発揮し、かつテアフラビンジガレートが多量に含まれ、高い抗菌作用が発揮される。さらには、抗酸化作用も期待できる。
【0029】
本発明の抽出液は、上述の発酵茶をエタノールなどの有機溶媒で抽出処理して得られた抽出溶液である、この抽出液には、発酵茶から溶解したエキスがふくまれていて、このものを単独で摂取してよく、また食品添加物として他の食品に添加して他の食品に血糖値上昇抑制作用、抗菌作用を付与することもできる。
【0030】
上記抽出処理の処理条件については、有機溶媒100重量部に対して発酵茶(含水量5%)0.1〜20重量部とされ、常圧または加圧下で、温度−20〜60℃、時間1〜60分とされるが、この範囲に限定されず、適宜変更することができる。
抽出処理後、ろ過、遠心分離などで、固形分を除去して抽出液を得る。
【0031】
本発明の固形物は、上記抽出液の有機溶媒を除去して得られたもの、発酵茶のエキスが固体化されて含まれるもので、塊状、粉末状の形態となっている。このものでは、有機溶媒としてはメタノール、エタノール、アセトンなどを用いることができる。有機溶媒の除去方法には、蒸発などの周知の方法が用いられる。
【0032】
この固形物では、これを単独で摂取してよく、また食品添加物として他の食品に添加して他の食品に血糖値上昇抑制作用、抗菌作用を付与することもできる。
【0033】
本発明の食品は、上述の発酵茶を種々の食品素材に添加したものである。発酵茶には、茶葉の形状のままのもの以外にこれを粉砕した粉末状のものなどが用いられる。
食品素材としては特に限定されることはなく、納豆、豆乳、味噌、醤油などの大豆食品、はんぺん、かまぼこ、ちくわなどの練り製品、ハム、ソーセージなどの食肉加工品、飴、キャラメル、最中、羊羹などの菓子類など多岐にわたる。
【0034】
また、発酵茶の添加量も限定されず、任意であり、例えば、食品素材100重量部に対して、発酵茶(含水量5%)0.1〜200重量部の範囲で適宜に決めることができる。
この発酵茶を含む食品は、同様にして血糖値上昇抑制作用、抗菌作用、抗酸化作用を有するものである。
なお、請求項1ないし請求項5に記載の発明にあっては、B群の材料としてビワの葉を用いても良く、同様に血糖値上昇抑制作用、抗菌作用を得ることができる。
【0035】
以下、具体例を示す。
(実験例1)
実験例1では、茶の葉とB群に属する原料を用いて得られた発酵茶についての試験管レベルでの機能性の検討を行った。
茶の葉(主に二番茶からなるもの)を粗揉機により水分含量を減少させた(萎凋)後、揉捻工程に移した後、揉捻工程で茶の葉に対してナシの果実、ビワの未熟果実、ブルーベリーの果実、サザンカの葉、ナスの果実、リンゴの果実、レタスの葉、シソの葉、タンポポ、アボガド(果肉、種子)、キンモクセイ、ドクダミの葉、ツバキの葉、ブドウの果実、ウメの果実、ライチの果実、バナナの果実、ジャガイモの根茎、アジサイの葉、サトイモの根茎、ヨモギの葉、ホウレンソウの葉、ゴボウの根、ヤマイモの根、シイタケの子実体、イチジクの果実、ミカンの未熟果実、ボリジの葉、レンコンの根茎、ニンジンの根、カボチャの果実、カキの果実、マンゴーの果実、サツマイモの根、オクラの果実を重量比9〜11%添加し15〜25分間、茶の生葉と一緒に揉み込んだ後、熱風を吹き込み発酵を止めると同時に乾燥を行った。
【0036】
上述の製造過程によって得られた発酵茶(サンプル濃度;2.0mg/ml)のAGH阻害性(マルターゼ及びスクラーゼ阻害性)について測定した。その結果を表1に示す。また、表2に、参考として血糖値上昇抑制作用効果が高いされる緑茶、紅茶、グアバ茶のAGH阻害性を示す。
なお、AGH阻害性の評価は、松井らによる遊離AGHを用いた方法(J.Agric.food Chem.,47,550−553,(1999))に拠って行った。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
血糖値上昇を抑制する代表的な食品には緑茶、グアバ茶、紅茶が知られている。茶の葉にナシの果実、ビワの未熟果実、ブルーベリーの果実、サザンカの葉、ナスの果実などを一緒に揉み込み酵素反応起こさせることで、緑茶、グアバ茶、紅茶よりもマルターゼ、スクラーゼ阻害率が高くなる。
【0040】
(実験例2)
実験例2では、茶の葉に含まれるポリフェノールの1種であるエステル型カテキンと各種植物との反応について検討を行った。なお、エステル型カテキンとしては、実験操作上、純品を使用した。
【0041】
リンゴ果実、シソ葉、レタス葉、あるいはナシ果実のいずれか60gを200mLの水とミキサーで均一になるまで破砕し、4重のガーゼでろ過した。植物のろ液3mLをエピガロカテキン−3−O−ガレート及びエピカテキン−3−O−ガレートそれぞれ5mgを含む水溶液1mLと10mLの試験管中で混合し、高速振盪機(CM−1000型、東京理科器械社製)で1500rpmで室温、1時間振盪した。反応液は電子レンジ中で沸騰するまで数十秒間加熱し、冷却後エタノール3mLを加えた。溶液はメンブランフィルター(0.45μm)でろ過して高速液体クロマトグラフィーで分析した。分析条件はカラム:Cosmosil 5C18 ARII(4.6x250mm)、カラム温度:35℃、移動相:A;50mM リン酸、B;CH3CN、B 4%から30%(39分間)、30%から75%(15分間)、流速:0.8 ml /min、検出:フォトダイオードアレイ検出(Max absorbance)であり、それぞれの植物を添加した反応液のクロマトグラムをそれぞれ図1のA〜Dに示す。
【0042】
図1の各クロマトグラムを検討すると、エピガロカテキン−3−O−ガレートまたはエピカテキン−3−O−ガレートとリンゴ果実、シソ葉、レタス葉、あるいはナシ果実との酵素反応を起こさせることで、多量のテアフラビンジガレートが生成することがわかる。
テアフラビンジガレートには緑茶カテキンよりも高い抗菌作用を有することから、本発明の発酵茶は、抗菌作用分野にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】エステル型カテキンとリンゴ果実、シソ葉、レタス葉、ナシ果実との反応生成物の高速液体クロマトグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶の葉と、
ナシの果実、ビワの未熟果実、ブルーベリーの果実、サザンカの葉、ナスの果実、リンゴの果実、レタスの葉、シソの葉、タンポポ、アボガド(果肉、種子)、キンモクセイ、ドクダミの葉、ツバキの葉、ブドウの果実、ウメの果実、ライチの果実、バナナの果実、ジャガイモの根茎、アジサイの葉、サトイモの根茎、ヨモギの葉、ホウレンソウの葉、ゴボウの根、ヤマイモの根、シイタケの子実体、イチジクの果実、ミカンの未熟果実、ボリジの葉、レンコンの根茎、ニンジンの根、カボチャの果実、カキの果実、マンゴーの果実、サツマイモの根、オクラの果実からなる群から選ばれる1種以上の原料とが混合、揉捻され、発酵してなる発酵茶。
【請求項2】
請求項1記載の発酵茶を水で抽出してなる茶飲料。
【請求項3】
請求項1記載の発酵茶を有機溶媒で抽出してなる抽出液。
【請求項4】
請求項1記載の発酵茶を有機溶媒で抽出し、有機溶媒を除去してなる固形物。
【請求項5】
請求項1記載の発酵茶を含む食品。
【請求項6】
茶の葉を萎凋し、ついで、これを揉捻しつつ、
ナシの果実、ビワの未熟果実、ブルーベリーの果実、サザンカの葉、ナスの果実、リンゴの果実、レタスの葉、シソの葉、タンポポ、アボガド(果肉、種子)、キンモクセイ、ドクダミの葉、ツバキの葉、ブドウの果実、ウメの果実、ライチの果実、バナナの果実、ジャガイモの根茎、アジサイの葉、サトイモの根茎、ヨモギの葉、ホウレンソウの葉、ゴボウの根、ヤマイモの根、シイタケの子実体、イチジクの果実、ミカンの未熟果実、ボリジの葉、レンコンの根茎、ニンジンの根、カボチャの果実、カキの果実、マンゴーの果実、サツマイモの根、オクラの果実からなる群から選ばれる1種以上の原料を添加して揉捻し、発酵させたのち、加熱することを特徴とする発酵茶の製法。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−202481(P2007−202481A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25838(P2006−25838)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000214191)長崎県 (106)
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【出願人】(505225197)長崎県公立大学法人 (31)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】