発酵麦芽飲料またはビール様飲料中の3−メチル−2−ブテン−1−チオールの高感度定量分析方法

【課題】日光臭の原因物質である3−メチル−2−ブテン−1−チオール(3MBT)を、官能閾値濃度より低い濃度域であって従来よりもさらに低い濃度域において、充分な感度と高い精度で定量分析することができる分析方法の提供。
【解決手段】発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中に不活性ガスを吹き込み、該飲料から微量揮発性成分を追い出して捕集管中の捕集剤で捕集し、得られた捕集成分を、加熱脱着装置、クライオフォーカストラップ、およびキャピラリーガスクロマトカラムを通した後に質量分析器を用いて検出する、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中の日光臭成分である3MBTの高感度定量分析方法であって、前記捕集管として2種以上の捕集管の組み合わせを使用し、かつ/または、内部標準物質として3MBTの安定同位体を用いることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、発酵麦芽飲料またはビール様飲料中の日光臭成分である3−メチル−2−ブテン−1−チオールの高感度定量分析方法に関する。
【0002】
背景技術
3−メチル−2−ブテン−1−チオール(以下において「3MBT」ということがある)は、ビールの「日光臭」の原因物質として知られている。「日光臭」とは、ビールを日光もしくは蛍光灯の下に長時間曝した時に発生する異臭のことをいう。3MBTの前駆体は、ホップのイソα酸(苦味成分)であり、このイソα酸の側鎖が520nm以下の波長によって開裂して、含硫アミノ酸から発生したSHラジカルと結合してチオール化合物を生成する。これが3MBTである。3MBTの生成機構は未だ充分解明されていないが、ビールの製造工程中においても 微量の3MBTが生成されることが知られている。
【0003】
3MBTは、官能閾値濃度が極めて低く(例えば4〜35ppt)、また反応性に富むため、官能閾値濃度以下の3MBTを精度良く分析することは困難であった。
【0004】
例えば、J. Am. Soc. Brew. Chem., 1991, 49(4), pp162-165(非特許文献1)には、ビール中の3MBTを捕集剤に捕集した後、ガスクロマトグラム法とFlamePhotometric Detector(FPD)検出器とを組合せて使用し、3MBTを定量する方法が報告されている。しかしながら、この方法は、官能閾値濃度以下の3MBTを定量分析するためには、必ずしも充分とは言えない点があった。
【0005】
また、J. Am. Soc. Brew. Chem., 1993, 51(2), pp70-74(非特許文献2)には、3MBTをHg(II)cyanideに捕集した後に、有機溶媒に抽出して、これをガスクロマトグラム法と質量分析器を組合せて使用することによって、官能閾値濃度以下(1ppt以下)の3MBTを検出できたことが報告されている。ここでは、内部標準物質として1−ヘキサンチオールが使用されている。しかしながら、この方法は、感度的にはそれ以前の技術に比べて充分であるものの、操作が煩雑であり、極微量の反応性の高い3MBTを、精度良く、かつ効率的に定量分析することは容易ではなかった。
【0006】
Proceedings of the 29th EBC Congress Dublin 2003(非特許文献3)には、捕集剤として4−ヒドロキシ水銀安息香酸ナトリウムを使用して分析を行ったところ、0.4ng/L(ppt)のビール中の3MBTを定量できたことが報告されている。しかしながら、この方法は、操作が煩雑であり、また水銀を使用するため安全性の観点からは望ましくない。
【0007】
特許第3390695号公報(特許文献1)には、捕集剤としてグラファイトカーボン10〜50重量%(好ましくは20〜40重量%)とポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)90〜50重量%(好ましくは80〜60重量%)とからなる組成物を使用するか、および/またはビール中に不活性ガスを吹き込むときのビール温度を−5℃〜10℃(好ましくは−2℃〜5℃)とすることによって、官能閾値濃度以下の3MBTを検出できたことが開示されている。この方法による3MBTの検出限界は、計算上0.21pptであったことも開示されており、また測定の際の内部標準物質としては1−ヘキサンチオールが使用されている。しかしながら、この方法は、感度的にはそれ以前の技術に比べて充分であるものの、捕集剤に捕集した状態の安定性が悪いため、極微量の反応性の高い3MBTを、精度良く、かつ効率的に定量分析するのは容易ではない。すなわち、信頼度の高いデータを得るためには、1つのサンプルに対して、2〜5回程度またはそれ以上の繰返し測定を実施することが望ましく、操作が煩雑となり易い。
【0008】
このため、3MBTを、官能閾値濃度より低い濃度域であって従来よりもさらに低い濃度域において、充分な感度を示し、かつ、高い精度で定量分析することができる定量分析方法が依然として望まれている。
【0009】
【特許文献1】特許第3390695号公報
【非特許文献1】J. Am. Soc. Brew. Chem., 1991, 49(4), pp162-165
【非特許文献2】J. Am. Soc. Brew. Chem., 1993, 51(2), pp70-74
【非特許文献3】Proceedings of the 29th EBC Congress Dublin 2003
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは今般、パージ&トラップ法とガスクロマトグラフ−質量分析法(GC/MS)とを組み合わせて分析を行う際に、捕集剤としてポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)を使用した捕集管を2種以上組み合わせて使用することによって、測定ノイズを発生させうる成分を被検体中から効率的に排除でき、より低いレベルの3MBTを、高精度で定量分析することができることを見いだした。また本発明者らは、3MBTの定量分析を行う際に、内部標準物質として、3MBTの安定同位体を使用することによって、より低いレベルの3MBTを、高精度で定量分析できることを見いだした。本発明はこれら知見に基づくものである。
【0011】
よって、本発明は、日光臭の原因物質である3MBTを、官能閾値濃度より低い濃度域であって従来よりもさらに低い濃度域において、充分な感度を示し、かつ高い精度で定量分析することができる3MBTの分析方法の提供をその目的とする。
【0012】
本発明による発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中の日光臭成分である3−メチル−2−ブテン−1−チオールの高感度定量分析方法は、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中に不活性ガスを吹き込み、該飲料から微量揮発性成分を追い出して捕集管中の捕集剤で捕集し、得られた捕集成分を、加熱脱着装置、クライオフォーカストラップ、およびキャピラリーガスクロマトカラムを通した後に質量分析器を用いて検出するものであって、
前記捕集管として、捕集管中の成分がポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)(50〜100重量%)とグラファイトカーボン(50〜0重量%)とからなる単一の捕集管を使用するか、または、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)を少なくとも各捕集管中の捕集剤として含んでなる、2種以上の捕集管の組み合わせを使用し、かつ
(1) 前記2種以上の捕集管の組み合わせが、第1の捕集管と、該第1の捕集管中の捕集剤を加熱脱着処理することによって発生する揮発性成分を捕集するように配置されてなる第2の捕集管とを少なくとも含んでなるものであり、ここで捕集管の少なくとも一つは、エタノール、二酸化炭素、水のような測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造を有してなること、
(2) 内部標準物質として、3−メチル−2−ブテン−1−チオールの安定同位体を用いること、
のいずれか一方または両方の条件下にて実施することを特徴とする方法である。
【0013】
本発明の方法によれば、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料(製造工程の半製品を含む)中に含まれ得る微量の3MBTを、官能閾値以下の濃度であっても、高い精度で定量分析することができる。本発明の方法によれば、従来知られている方法(例えば特許第3390695号公報に記載の方法)に比べて、検出限界の下限値濃度を半分以下のレベルにまでさらに下げることができ、この結果、このような低濃度の3MBTを高精度で検出することが可能となる。また本発明によれば、分析の際に、被検体となる飲料中に不活性ガスを吹き込むときの飲料温度を低温(例えば0℃より低い温度)にする必要が無い。したがって、本発明の方法は、緻密な工程管理、品質管理に貢献できるものであり、さらに日光臭を発生し難いホップ加工品の開発、工程条件の確立、新容器の開発に役立つものである。
【発明の具体的説明】
【0014】
本発明による方法は、前記したように、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中の日光臭成分である3−メチル−2−ブテン−1−チオールの高感度定量分析方法であって、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中に不活性ガスを吹き込み、該飲料から微量揮発性成分を追い出して捕集管中の捕集剤で捕集し、得られた捕集成分を、加熱脱着装置、クライオフォーカストラップ、およびキャピラリーガスクロマトカラムを通した後に質量分析器を用いて検出する方法、すなわち、パージ&トラップ法とガスクロマトグラフ−質量分析法(GC/MS)とを組み合わせて分析を行うことをその基本的構成とするものである。
【0015】
本発明において、「発酵麦芽飲料」とは、麦芽を用いて得られた加ホップ麦汁を主成分とする原料を、発酵させることによって得られる飲料をいい、例えば、ビール、発泡酒等が挙げられる。
また、「ビール様飲料」には、前記した「発酵麦芽飲料」以外の飲料であって、発酵麦芽飲料と同等に、日光暴露によって3−メチル−2−ブテン−1−チオールによる日光臭が発生もしくは増加し得る飲料、すなわち3MBTもしくはその前駆体を含有し得る飲料であれば、いずれのものも包含される。「ビール様飲料」としては、例えば、ビールと同等もしくは類似した風味を有する、穀物を原料とする発酵飲料などが挙げられ、具体例として、大豆やエンドウ豆のような豆類由来成分とホップとを原料として発酵させることによって得られる飲料(いわゆる、酒税法上「その他雑酒2」に分類されるアルコール飲料を包含する)などが挙げられる。
【0016】
またここでいう「飲料」には、製品としての飲料が含まれることは当然として、該飲料を製造する過程における半製品の状態のものや、飲料の評価の際等に使用される3MBTを含むコントロール溶液等も包含される。
【0017】
「不活性ガス」としては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられ、好ましい例としては、高純度の窒素ガスが挙げられる。
【0018】
本発明におけるパージ&トラップ処理は、慣用のパージ&トラップ装置であればいずれのものにおいても実施することができる。したがって、本発明においては、市販のパージ&トラップ装置を適宜使用することができる。また本発明におけるGC/MS法も、慣用のGC/MS装置であればいずれのものにおいても実施することができる。したがって、本発明においては、市販のGC/MS装置を適宜使用することができる。
【0019】
本発明の第一の態様によれば、本発明による方法であって、前記(1)の条件下にて実施される方法が提供される。換言すると、本発明の第一の態様によれば、パージ&トラップ法とGC/MSとを組み合わせて分析を行う、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中の3MBTの高感度定量分析方法であって、捕集管として、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)を少なくとも各捕集管中の捕集剤として含んでなる、2種以上の捕集管の組み合わせを使用する方法が提供される。このとき、この2種以上の捕集管の組み合わせは、第1の捕集管と、該第1の捕集管中の捕集剤を加熱脱着処理することによって発生する揮発性成分を捕集するように配置されてなる第2の捕集管とを少なくとも含んでなるものであり、ここで捕集管の少なくとも一つは、エタノール、二酸化炭素、水のような測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造を有してなるものである。好ましい態様によれば、ここで、第1の捕集管は、エタノール、二酸化炭素、水のような測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造を有してなるものである。
【0020】
このような2以上の捕集管の組み合わせには、これら第1および第2の捕集管を含んでなるものである限り、さらに、第3、第4等のような捕集管が組み合わされても良い。したがって本発明の第一の態様は、捕集剤として、複数の捕集管を直列に多段階に配置してなる、捕集管の組み合わせが包含される。好ましくは、該組み合わせは、第1の捕集管と第2の捕集管とからなる、2つの捕集管の組み合わせである。
【0021】
本発明において、エタノール、二酸化炭素、水のような成分は、GC/MSによる分析段階において測定ノイズを発生させ易い成分である。これら測定ノイズ成分は、パージ&トラップ処理して得られる微量揮発成分中にも混入し得る。本発明においては、捕集剤として、2種以上の捕集管を多段階に配置して、パージ&トラップ処理を行うことにより、これら測定ノイズ成分を、GC/MS装置に至る前の段階までに、効率的に排除することができる。さらに、このとき、捕集管として、エタノール、二酸化炭素、水のような測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造を有してなるものを使用することによって、極めて効率的にこれら測定ノイズ成分を排除することができる。
【0022】
ここで、捕集管が「測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造を有する」とは、捕集剤の、3MBTと、測定ノイズ成分とに対する捕集能力、すなわち、親和性に着目して、3MBTは捕集されるが、測定ノイズ成分は捕集され難くなるように捕集管内の捕集剤の構成割合または配置を調節した状態をいう。この捕集剤の構成割合または配置は、捕集管中の捕集剤単位量当たりの、該捕集管を通過する微量揮発性成分の接触量に基づいて適宜変更することができる。ここで接触量は、例えば、捕集管を通過する揮発性成分の量(一測定当たりの全量)を、捕集管中の捕集剤の重量で除した値と定義することができる。この接触量は、捕集管を通過する揮発性成分と、捕集管内の捕集剤とが接触する程度(機会)を表すことができる。
【0023】
捕集剤であるポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)は、3MBTの捕集効率に優れるものである。このポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)による3MBTの捕集能力は、測定ノイズ成分の捕集能力に比べて高いと考えた。このため、捕集管を通過する揮発性成分の接触量を低く抑えることにより、3MBTは捕集されるが、測定ノイズ成分は捕集され難い状態を作り出すことができる。該接触量を低く抑える手段としては、例えば、捕集管内の成分の内、捕集剤の割合を下げ、代わりに3MBTに対する捕集能を実質的に有さない充填剤を使用することが挙げられる。また、捕集管自体の体積を減らすかまたはその長さを短くするとしても良い。
【0024】
したがって、捕集管の「測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造」としては、好ましくは、捕集管内の成分が、ポリ(2、6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)と、3MBTに対する捕集能を実質的に有さない充填剤とからなる混合物からなる場合である。ここで、3MBTに対する捕集能を実質的に有さない充填剤は、3MBTに対する捕集能を実質的に有さないものであれば、測定ノイズ成分を捕集できるものであってもよいし、それらの捕集能も有さないものであってもよい。また「捕集能を実質的に有さない」とは、捕集処理後に脱着処理を実施しても対象物質を、本願発明の目的である分析をできるレベルには得られないことをいう。このような充填剤としては、例えば、ガラスビーズ、ガラスウール等が挙げられるが、作業性の観点からは、ガラスビーズが好ましい。
【0025】
したがって、本発明の好ましい態様によれば、第1の捕集管の管内の成分は、捕集剤としてのポリ(2、6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)と、ガラスビーズとからなる。
【0026】
充填剤としてガラスビーズを使用する場合、第1の捕集管におけるポリ(2、6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)と、ガラスビーズとの重量比率は、例えば、10:1〜1:10、好ましくは8:2〜2:8である。
【0027】
本発明の第一の態様における一つの好ましい態様によれば、第1の捕集管は、第1の捕集管中の捕集剤単位量当たりの、該捕集管を通過する微量揮発性成分の接触量を調節可能な構造を有する。これにより、被検体である発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料の種類、測定機器等の条件等に応じて、測定ノイズ成分を効率的に排除できる構成を、第1の捕集管において適宜選択することが可能となる。例えば、前述のように、第1の捕集管の管内の成分が、捕集剤としてのポリ(2、6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)と、ガラスビーズとからなる場合、その構成比を調節できるような構造に第1の捕集管をしておくことが挙げられる。
【0028】
本発明の第一の態様における別の一つの好ましい態様によれば、第1の捕集管中の全成分に対する捕集剤ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)の重量%は、第2の捕集管中の全成分に対する捕集剤ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)の重量%に比べて少なくなるように設定されてなる。このような構成を採用することによって、第1の捕集管において、測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑えられて、測定ノイズ成分が排除され、続く第2の捕集管において、より選択的に3MBTを捕集することを好適に行うことができる。また、捕集剤として使用される捕集管の組み合わせとして、捕集管の段数が3段またはさらに多い場合には、該組み合わせの捕集管中、パージプロセスに近い上流の捕集管となるほど、管内の全成分に対する捕集剤の重量%が少なくなるように設定することが望ましい。
【0029】
本発明の第一の態様において、第2の捕集管内の成分は、好ましくは、その全てがポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)からなる。換言すると、第2の捕集管の管内成分の100%は、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)であることが好ましい。
【0030】
よって、本発明の第一の態様における特に好ましい態様によれば、第1の捕集管は、捕集剤としてのポリ(2、6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)と、ガラスビーズとを含んでなり、かつ、第2の捕集管は、管内の成分が全て、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)である。このような構成を採用することによって、高精度で、検出限界に優れた3MBTの定量分析が可能となる。
【0031】
本発明の第一の態様において、パージ&トラップ処理の際には、被検体となる飲料に対し、内部標準物質を使用することが好ましい。ここで使用可能な内部標準物質としては、3MBTと物理化学的性質が類似する物質であれば適宜使用することができ、例えば、メチルエチルメルカプタン、1−ヘキサンチオール、1−オクタンチオール、3MBTの安定同位体などが使用可能である。内部標準物質の使用量は、被検体である飲料中に含まれる3MBT量に応じて適宜変更することができる。
【0032】
本発明の第二の態様によれば、本発明による方法であって、前記(2)の条件下にて実施される方法が提供される。換言すると、本発明の第二の態様によれば、パージ&トラップ法とGC/MSとを組み合わせて分析を行う、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中の3MBTの高感度定量分析方法であって、内部標準物質として、3−メチル−2−ブテン−1−チオールの安定同位体を用いる方法が提供される。内部標準物質として、3MBTの安定同位体を用いることによって、本発明による方法は、従来よりさらに低い検出限界域まで、優れた精度により3MBTの定量分析を行うことができる。内部標準物質として3MBTの安定同位体を用いることは、被検体中の3MBTが官能閾値濃度以下である場合に特に威力を発揮する。
【0033】
本発明の第二の態様においては、捕集剤としては、捕集管中の成分がポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)(50〜100重量%)とグラファイトカーボン(50〜0重量%)とからなる単一の捕集管を使用するか、または、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)を少なくとも各捕集管中の捕集剤として含んでなる、2種以上の捕集管の組み合わせを使用する。またここで、捕集管が2種以上の捕集管の組み合わせである場合、各捕集管が直列的に配置されて、上流に位置する捕集管中の捕集剤を加熱脱着処理することによって発生する揮発性成分を捕集できるように、次の捕集管が配置されてなることが好ましい。
【0034】
本発明において、「3MBTの安定同位体」とは、3MBTを構成する元素の原子の少なくともいずれか一つが、その元素の安定同位体元素で置換されてなるものをいう。このような安定同位体元素としては、例えば、重水素原子(D)、三重水素原子(T)、C13、S34が挙げられる。好ましくは、3MBTの安定同位体は、3MBT中の水素原子の1または2以上が水素元素の同位体(D体)に置換されてなるものであり、より好ましくは、3MBT中の2つの水素原子が、同位体である重水素(D体)により置換されてなるもの(d2−3MBT)である。このとき、水素原子の置換位置は特に限定されず、3MBTの構造上の任意の水素原子が同位体に置換されることができる。
【0035】
本発明において、このような3MBTの安定同位体は、慣用の方法によって、3MBT上の原子を置換することにより調製することができる。あるいは、3MBTを合成する過程の中間体において、その中の原子を置換することによって調製することができる。例えば、d2−3MBTは、下記のようなスキームに従って製造することができる。
【0036】
【化1】

【0037】
本発明の第三の態様によれば、本発明による方法であって、前記(1)および(2)の両方の条件下にて実施される方法が提供される。換言すると、本発明の第三の態様によれば、パージ&トラップ法とGC/MSとを組み合わせて分析を行う、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中の3MBTの高感度定量分析方法であって、捕集管として、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)を少なくとも各捕集管中の捕集剤として含んでなる、2種以上の捕集管の組み合わせを使用し、かつ、内部標準物質として、3−メチル−2−ブテン−1−チオールの安定同位体を用いる方法が提供される。このとき、この2種以上の捕集管の組み合わせは、第1の捕集管と、該第1の捕集管中の捕集剤を加熱脱着処理することによって発生する揮発性成分を捕集するように配置されてなる第2の捕集管とを少なくとも含んでなるものであり、ここで捕集管の少なくとも一つは、エタノール、二酸化炭素、水のような測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造を有してなるものである。好ましい態様によれば、ここで、第1の捕集管は、エタノール、二酸化炭素、水のような測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造を有してなるものである。このように特定の捕集剤と、特定の内部標準物質とを用いて分析を行うことによって、従来よりさらに低い検出限界域まで、より優れた精度で、3MBTの定量分析を行うことができる。
【0038】
本発明におけるパージ&トラップ処理を実施するための装置の一例の概略図を図1に示す。本発明におけるパージ&トラップ装置について、図1の場合を例として用い、以下に説明する。
【0039】
まず、ガス洗浄壜1中に、所定量(例えば、75mL程度)の被検体(発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料等)と、好ましくは内部標準物質である3MBT安定同位体とを入れ、バス2中に浸漬させる。バスには液体(低温にする必要が無いので通常は水)を入れ、バス温度を0℃〜40℃に調節し、バス中の被検体温度をその温度に制御する。不活性ガス(例えば、高純度窒素ガス)を被検体中に吹込み、被検体中の3MBTと、3MBT安定同位体とを追い出す(パージする)。このとき、不活性ガスの吹き込み時間は、通常、5〜10分程度であり、吹き込み速度は、通常20〜200mL/min、好ましくは50〜100mL/minのガス流量とすることができる。また吹き込みガスの温度は、バス温度を考慮して適宜設定できるが、通常は−10〜50℃であり、好ましくは0〜40℃、より好ましくは10〜20℃である。追い出された3MBTを含む微量揮発性成分を、パージ&トラップ装置内において、捕集管3中の捕集剤によって捕集する。このとき捕集剤としては、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)を少なくとも使用する。捕集を行う際の捕集管の温度、すなわち、捕集温度は、通常−5〜50℃であり、好ましくは10〜40℃、より好ましくは10〜20℃である。捕集処理後、捕集管内の捕集成分を、加熱脱着処理を施すことにより、捕集管から脱着させる。このとき、加熱脱着処理は、捕集管を約180℃、またはそれ以上に昇温させることにより行うことができる。
【0040】
なおここで、「約」を用いた値の表現は、その値を設定することによる目的を達成する上で、当業者であれば許容することができる値の変動を含む意味である。
【0041】
よって本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明の方法において、不活性ガスの吹き込み温度は0〜40℃であり、捕集管における捕集温度は10〜40℃であり、かつ/または、捕集管における脱着温度は約180℃である。
【0042】
好ましくは、捕集管3の後に、さらに第2段目として、捕集剤が充填された捕集管4を設置し、2段階の捕集をする。この場合、第1段目の捕集管(ここでは捕集管3)において、検体中から追い出された揮発性成分中から、分析の妨害となるエタノール、炭酸ガス(CO)、水のような成分(測定ノイズ成分)を系外に排出されるようにしてできるだけ多く除く。次いで、この捕集管3に加熱脱着処理を施し(例えば昇温条件、約20℃から約180℃に昇温)、測定ノイズ成分を極力除いた3MBTを含む揮発性成分(好ましくは3MBTに加えて内部標準物質3MBT安定同位体を含む)を脱着させる。続いて、第2段目の捕集管(ここでは捕集管4)において、該3MBTを含む揮発性成分から、3MBTと好ましくは3MBT安定同位体とを捕集する。この第2段目の捕集管でも、第1段目から移行してきた微量の水、エタノール、炭酸ガスのような測定ノイズ成分を破過し系外に排出して取り除くことができる。ここで、第1段目の捕集管3の管内の成分は、好ましくは、捕集剤であるポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)と、充填剤であるガラスビーズとの混合物である。このような構成とすることで、捕集管3では、3MBTを含む成分がポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)に捕集され、また、水、エタノールのような測定ノイズ成分がガラスビーズに捕集される一方、その過剰分は破過し系外に排出されることとなる。また、第2段目の捕集管4の管内の成分は、好ましくは、捕集剤であるポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)(100重量%)である。次に、この捕集管4に加熱脱着処理を施し(例えば昇温条件、約20℃から約180℃に昇温)、3MBTを含む揮発性成分を脱着させる。
【0043】
パージ&トラップ処理が終了したら、予め液体窒素等の慣用の冷却剤で冷却しておいたクライオフォーカストラップ5に、捕集管より得られた3MBTを含む揮発性成分を送り、冷却させ、濃縮する。ここで、冷却させたクライオフォーカストラップ5の温度は、例えば−200℃〜−50℃、好ましくは−70℃〜−180℃である。次いで、クライオフォーカストラップの温度を例えば50℃〜200℃、好ましくは60℃〜100℃に上げ、クライオフォーカストラップ中に冷却濃縮されていた3MBTを含む揮発性成分を、キャピラリーカラムに注入する。
このパージ&トラップとクライオフォーカストラップ部分の装置としては、例えば、市販のENTECH INSTRUMENTS.Inc.製 7100A(商品名)を用いることができる。
【0044】
クライオフォーカストラップにおいて、ガス化された3MBTと3MBT安定同位体は、キャリアガス(例えば、ヘリウムガスなど)によりガスクロマトグラフ装置に送られ、そこでキャピラリーカラムに注入させる。このようなGC装置としては、例えば、Agilent社製や島津製作所製のGC装置などを用いることができる。ここで使用されるキャピラリーカラムとしては、例えば、長さ60m、内径0.32mm、膜厚1μmのものを使用することができ、Agilent社製DB−1(商品名)のような市販品を使用することができる。キャピラリーカラムを収納するオーブンの分析時温度は、例えば、40℃から毎分10℃上昇させ、150℃となったところで毎分20℃上昇させるように、最終的に290℃となるように設定することができる。
キャピラリーカラムで分離されたサンプル中の3MBTを、質量分析器(MS)により定量する。このようなMS装置としては、例えば、Agilent社製5973 inertなどを用いることができる。
【0045】
本発明による3MBTの高感度定量分析方法は、前記したように、官能閾値濃度より低い濃度域であって従来よりもさらに低い濃度域において充分な感度と、高い精度で3MBTを、定量分析することができるものである。ここで、分析の「精度」とは、繰返し分析した際の分析値の“ばらつき”の程度を意味し、高精度とは、そのばらつきが少ない場合を意味する。本発明においては、この精度を下記のように定義されるC.V.値で評価することができる。
C.V.値(%)=
[繰返し測定したときの分析値の標準偏差]/[分析値の平均値] X 100
本発明によれば、C.V.値は、5.0%以下となるものであり、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%以下となる。このため本発明による方法は高い精度を有するものであって、分析の効率を高める上で有利である。
【0046】
またここで、分析の「感度」が高いとは、3MBTの検出限界の下限値がより小さい値であることを意味する。検出限界値は、検出限度をS/N=3を与える濃度とした場合の分析対象物質の濃度値と定義される。ここで、S/Nとは3MBTのシグナルピークの高さとノイズの高さとの比で表わされる。本発明によれば、3MBTの検出限界値、すなわち3MBTの検出可能な濃度範囲が、好ましくは0.11ppt以上である。このような検出限界の下限値は、従来の方法の場合にくらべて1/2以下の値であることから、飲料中に微量に含まれるだけでも問題となる3MBTを分析する上で、本発明の方法は優れた分析性能を有していると言える。
【0047】
したがって、本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明による方法において、3MBTの検出可能な濃度範囲が0.11ppt以上であって、繰り返し測定したときの分析値のばらつきを表すC.V.値が5.0%以下である。
【実施例】
【0048】
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
実施例1: 内部標準物質の検討
冷蔵の市販製品ビール(キリンビール株式会社製、「一番搾り」(商品名))75mLを250mLのガス洗浄壜に入れ、ここに消泡剤(シリコンオイル)を0.01%量添加し、さらに内部標準物質として、メチルエチルメルカプタン、1−ヘキサンチオール、または3MBT安定同位体をそれぞれ50pptとなるように添加した。なおここで、メチルエチルメルカプタンと1−ヘキサンチオールは市販品を使用し、また3MBT安定同位体は、上記した3MBT安定同位体の合成スキームにしたがって合成した「d2−3MBT」を用いた。
【0050】
調製した各サンプルを、下記表1に示した条件で、パージ&トラップ、およびGC/MSに供し、得られた結果から、3MBTのC.V.値および検出限界値を得た。
【0051】
ここで、C.V.値(%)は、前記したように、分析精度を表す指標であって、繰返し分析した際の結果の“ばらつき”の程度を表すものであって、
C.V.値(%)=
[繰返し測定したときの分析値の標準偏差]/[分析値の平均値] X 100
で定義される。
したがって各サンプルの場合のC.V.値は、この定義にしたがって算出した。
【0052】
また検出限界値は、検出限度をS/N=3を与える濃度とした場合の分析対象物質の濃度値と定義される。ここで、S/Nとは3MBTのシグナルピークの高さとノイズの高さとの比で表わされる。したがって、本実施例においては、3MBTを3.1ppt含むビールの分析をしたところ、S/Nは88.0であった。この値から、検出限界値を算出すると、3.10/(88.0/3)=0.105、となり、したがって、ここでの3MBTの検出限界は0.11pptであることがわかった。
【0053】
結果をまとめると、表2に示されるとおりであった。
結果から、3MBT安定同位体が最もばらつきが小さく、内部標準物質として最も優れていることが判明した。また得られた検出限界値は、官能閾値を大幅に下回る値であった。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
実施例2: 捕集剤の検討
冷蔵の市販製品ビール(キリンビール株式会社製、「一番搾り」(商品名))75mLを250mLのガス洗浄壜に入れ、ここに消泡剤(シリコンオイル)を0.01%量添加し、さらに内部標準物質(d2−3MBT)を50pptとなるように添加した。得られたサンプルを、捕集剤の条件を下記(a)および(b)の通りとした以外は、実施例1の場合と同様の条件にて、パージ&トラップ、およびGC/MSに供し、得られた結果から、3MBTのC.V.値および検出限界値を得、評価した。
捕集剤の条件:
(a) 捕集剤は、1段階のみであり、その捕集剤成分として、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)(100重量%)よりなる組成物を用いた(1段階法)。
(b) 実施例1と同様の条件の第1段目および第2段目の2段階の捕集剤を用いた(2段階法)。
【0057】
結果は、表3に示されるとおりであった。捕集剤を1段階よりも2段階とした方が、優れた検出精度および検出限界を達成することができた。
【0058】
【表3】

【0059】
実施例3: 3MBTの検量線の作成
冷蔵の市販製品ビール(キリンビール株式会社製、「一番搾り」(商品名))75mLを250mLのガス洗浄壜に入れ、0〜30pptの濃度となるように3MBT標準原液を添加し、検量線用標準溶液を調製した。ここにそれぞれ、消泡剤(シリコンオイル)を0.01%量添加し、さらに内部標準物質(d2−3MBT)を100pptとなるように添加した。得られたサンプルを、実施例1の場合と同様の条件にて、パージ&トラップ、およびGC/MSに供し、得られた3MBTと内部標準物質のピーク面積値の比より検量線を作成した。
【0060】
結果は図2に示されるとおりであった。
検量線における相関係数はr=0.999となり、本発明の方法は定量性に優れた方法であることが確認された。
【0061】
実施例4: 麦汁における3MBT検量線の作成
冷蔵の麦汁75mLを250mLのガス洗浄壜に入れ、0〜50pptの濃度となるように3MBT標準原液を添加し、検量線用標準溶液を調製した。ここにそれぞれ、消泡剤(シリコンオイル)を0.01%量添加し、さらに内部標準物質(d2−3MBT)を50pptとなるように添加した。得られたサンプルを、実施例1の場合と同様の条件にて、パージ&トラップ、およびGC/MSに供し、得られた3MBTと内部標準物質のピーク面積値の比より検量線を作成した。
【0062】
その結果、相関係数はr=0.998となり、本発明の方法は、製造工程途中における半製品中の3MBT測定手段としても優れた方法であることが確認された。
【0063】
実施例5: バス温度の影響
冷蔵の市販製品ビール(キリンビール株式会社製、「一番搾り」(商品名))75mLを250mLのガス洗浄壜に入れ、ここに消泡剤(シリコンオイル)を0.01%量添加し、さらに内部標準物質(d2−3MBT)を100pptとなるように添加した。得られたサンプルを、バス温度の条件をそれぞれ5,10,20,および40℃とした以外は、実施例1の場合と同様の条件にて、パージ&トラップ、およびGC/MSに供し、得られた結果から検出限界値を得、評価した。
【0064】
結果は表4に示されるとおりであった。
バス温度を特に冷却させることなく、バス温度5〜40℃の範囲において、良好な検出感度と精度を達成することができた。
【0065】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に用いる装置の概略図である。
【図2】実施例3において得られた3MBTの検量線を表すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
1 ガス洗浄壜
2 バス
3 第1の捕集管
4 第2の捕集管
5 クライオフォーカストラップ
31 ガラスビーズ
32 ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)
41 ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中に不活性ガスを吹き込み、該飲料から微量揮発性成分を追い出して捕集管中の捕集剤で捕集し、得られた捕集成分を、加熱脱着装置、クライオフォーカストラップ、およびキャピラリーガスクロマトカラムを通した後に質量分析器を用いて検出する、発酵麦芽飲料もしくはビール様飲料中の日光臭成分である3−メチル−2−ブテン−1−チオールの高感度定量分析方法であって、
前記捕集管として、捕集管中の成分がポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)(50〜100重量%)とグラファイトカーボン(50〜0重量%)とからなる単一の捕集管を使用するか、または、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)を少なくとも各捕集管中の捕集剤として含んでなる、2種以上の捕集管の組み合わせを使用し、かつ
(1) 前記2種以上の捕集管の組み合わせが、第1の捕集管と、該第1の捕集管中の捕集剤を加熱脱着処理することによって発生する揮発性成分を捕集するように配置されてなる第2の捕集管とを少なくとも含んでなるものであり、ここで捕集管の少なくとも一つは、エタノール、二酸化炭素、水のような測定ノイズ成分に対する捕集効率を低く抑える構造を有してなること、
(2) 内部標準物質として、3−メチル−2−ブテン−1−チオールの安定同位体を用いること、
のいずれか一方または両方の条件下にて実施することを特徴とする、方法。
【請求項2】
第1の捕集管が、第1の捕集管中の捕集剤単位量当たりの、該捕集管を通過する微量揮発性成分の接触量を調節可能な構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の捕集管中の全成分に対する捕集剤ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)の重量%が、第2の捕集管中の全成分に対する捕集剤ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)の重量%に比べて少なくなるように設定されてなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第2の捕集管内の成分が全て、ポリ(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1の捕集管内の成分が、ポリ(2、6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)と、3−メチル−2−ブテン−1−チオールに対する捕集能を実質的に有さない充填剤とからなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
充填剤がガラスビーズである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
不活性ガスの吹き込み温度が0〜40℃であり、
捕集管における捕集温度が10〜40℃であり、かつ/または、
捕集管における脱着温度が約180℃である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
3−メチル−2−ブテン−1−チオールの安定同位体が、3−メチル−2−ブテン−1−チオール中の水素原子の1または2以上が水素元素の同位体(D体)に置換されてなるものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
3−メチル−2−ブテン−1−チオールの検出可能な濃度範囲が0.11ppt以上であって、繰り返し測定したときの分析値のばらつきを表すC.V.値が5.0%以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−178184(P2007−178184A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374995(P2005−374995)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000253503)麒麟麦酒株式会社 (247)
【Fターム(参考)】