説明

発電システム

【課題】 複数種類の分散型電源を電力系統と連系させた発電システムにおいて、電圧上昇抑制制御の実行の際に、系統電圧の上昇発生の状況に応じた適切な電圧上昇抑制制御を実行させる発電システムを提供する。
【解決手段】 自然発電装置(太陽光発電装置)NP及び燃料電池発電装置FPを商用の電力系統1と系統連系させる。各発電装置のパワーコンディショナ2に内蔵の制御部を通信線25で相互通信可能に接続し、電圧上昇抑制制御を行う際に両パワーコンディショナ2,2を連係制御する。出力を強制低下させる際には、自然発電装置NP側を優先させ、電力系統の電圧上昇が長期に亘り継続すれば、燃料電池発電装置FP側の出力を強制低下させる。燃料電池発電装置FPの熱回収による蓄熱が十分であれば例外的に逆にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を消費することで発電する燃料発電装置(例えば燃料電池発電装置)と、自然エネルギー(例えば太陽光又は風力)を用いた自然発電装置(例えば太陽光発電装置又は風力発電装置)とを含む複数種類の分散型電源を電力系統と連系させた発電システムに関し、特に複数種類の分散型電源が同時発電中における電圧上昇抑制制御の実行に際し、その電圧上昇の状況に応じて迅速処理を可能とする技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電により発電された直流電力を交流電力に変換すると共に、商用電力系統に電力を供給する系統連系制御を行うためにパワーコンディショナが用いられている。そして、太陽光発電装置による分散電源を電力系統と連系させる場合に、パワーコンディショナにより電圧上昇抑制制御を行うことが知られている(例えば特許文献1参照)。又、パワーコンディショナが複数存在する場合に、それぞれの運転データを集計するために通信回線を介して互いに送受信することも行われている(例えば特許文献2参照)。そして、前記の如き電圧上昇抑制制御を行うことにより太陽光発電モジュールでは発電電力が無駄に余ることとなり、この結果、発電効率の低下を招くことも報告されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−35640号公報
【特許文献2】WO2006/075371号公報
【特許文献3】特許第3942400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、系統電圧が変動し、その変動量が上昇側に閾値を超えた場合に、電圧上昇抑制制御が実行されることになるが、複数種類の分散型電源を電力系統と連系させた発電システムにおいて、系統電圧が閾値を超える度にそれぞれの分散型電源で画一的又は個別的に電圧上昇抑制制御を実行させることとすると、電圧上昇抑制制御が煩雑になったり、電圧上昇抑制の迅速化が図り得なくなったりする結果を招くおそれがある。
【0005】
すなわち、系統電圧の変動は様々であり、電圧上昇しても短期間で元の通常電圧範囲に復帰することもあれば、長期間に亘り電圧上昇状態が持続することもある。このように短期間の電圧上昇に対しても、長期間に亘る電圧上昇と同様の電圧上昇抑制制御を画一的に実行させることとすると、煩雑なものとなったり、迅速性に欠けるものとなったりするおそれがある。
【0006】
一方、燃料電池発電では、その起動や停止に手間と時間を要する上に、発電量の変更も緩やかにしか制御し得ないという事情もある。これに対し、太陽光発電の場合には、発電量の変更そのものはパワーコンディショナでの交流変換出力の変更により容易かつ速やかに可能であるという事情がある。さらに、燃料電池発電の場合には、通常は電力のみならず熱回収も行われ、回収熱が給湯等に利用されており、熱回収量(例えば貯湯量)が十分に蓄熱されている状態(満蓄状態)では、さらに発電が継続されると無駄に放熱しなければならない事態が生じることも考えられる。
【0007】
したがって、複数の分散型電源にそれぞれ備えられているパワーコンディショナにより電圧上昇抑制制御が分散型電源毎に個別にかつ画一的に行われると、再度、電圧上昇させようとすると時間がかかったり、あるいは、回収熱の利用効率を損なったりすることにもなりかねない事態を招くことになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数種類の分散型電源を電力系統と連系させた発電システムにおいて、電圧上昇抑制制御の実行の際に、系統電圧の上昇発生の状況に応じた適切な電圧上昇抑制制御を実行させるようにした発電システムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、自然エネルギーを利用して発電する自然発電装置と、燃料を消費して発電する燃料発電装置とを電力系統に連系させてなる発電システムを対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記自然発電装置に設けられたパワーコンディショナと、前記燃料発電装置に設けられたパワーコンディショナと、電圧上昇抑制制御を実行するための制御部とを備えることとする。そして、前記制御部として、前記自然発電装置及び燃料発電装置が同時発電運転中において前記電圧上昇抑制制御を実行する際には、前記自然発電装置の側のパワーコンディショナによる出力電圧の抑制処理を優先させるように双方のパワーコンディショナを連係制御する構成とした(請求項1)。
【0010】
具体的には、前記制御部として、前記電圧上昇抑制制御を実行する際には、その電圧上昇抑制制御が必要となる前記電力系統の系統電圧の上昇状態の継続期間の長短に応じて、設定時間よりも短い短期間であれば前記自然発電装置の側のパワーコンディショナのみを対象にして前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理を行う一方、設定時間よりも長い長期間に亘り前記上昇状態が継続すれば前記燃料発電装置側のパワーコンディショナを対象にして前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理を許可する構成とすることができる(請求項2)。例えば、前記設定時間が経過するまでは自然発電装置側のパワーコンディショナのみを対象にして前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理を行う一方、前記設定時間が経過するまで出力電圧の抑制処理を実行しても、なおも電圧上昇抑制が必要なときは、前記燃料発電装置側のパワーコンディショナを対象にして前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理を許可する。
【0011】
本発明の場合、電圧上昇抑制制御を実行する際に、自然発電装置側の出力電圧の抑制処理を優先させることで、電力系統の系統電圧が上昇することにより電圧上昇抑制が必要になった場合でも、その電圧上昇状態が短期間であれば、自然発電装置側の電圧上昇抑制制御が優先されることになり、例えば自然発電装置側の出力電圧が低下されるものの燃料電池発電装置側の出力電圧は変更することなく同じ状態で発電が継続されることになる。この場合、自然発電装置側の出力電圧の低下や復帰という変更は燃料電池発電装置の側の出力電圧を低下等させる場合に比して極めて迅速に行うことができる上に、出力電圧の低下等の変更が緩速にしかできない燃料電池発電装置の側は出力電圧の変更を実施しないで済むため、系統電圧の電圧上昇抑制を極めて応答性よくかつ迅速に処理することが可能となる。しかも、電力系統の系統電圧の上昇の度に自然発電装置側及び燃料電池発電装置側の双方を対象にして画一的に電圧上昇抑制制御を繰り返す煩雑さも回避し得ることとなる。
【0012】
本発明の発電システムにおいて、前記燃料電池発電装置として、発電に伴う排熱を回収して蓄熱する蓄熱部を備えたものとする一方、前記制御部として、前記電圧上昇抑制制御における例外処理を実行する例外処理部を備えたものとしてもよい。この場合、前記例外処理部として、前記電圧上昇抑制制御を実行する際に、燃料発電装置側での熱回収状況において前記蓄熱部による現在の蓄熱状況が満蓄状態であれば、前記自然発電装置側のパワーコンディショナを対象にした前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理の優先実行をキャンセルし、代わりに、前記燃料発電装置側のパワーコンディショナを対象にして前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理を優先させる連係制御を実行する構成とすることができる(請求項3)。
【0013】
このようにすることにより、次の作用が得られることになる。すなわち、燃料電池発電装置側の蓄熱状況が満蓄状態にあるときには、熱回収の観点からは燃料電池発電装置側の出力電圧を通常の発電状態に維持しておく必要はなく、むしろ維持しておくと放熱運転を実施しなければならず、蓄熱を無駄に放出しなければならないことになる。そこで、このような状況にあるときには、自然発電装置側だけをまず出力低下させる等の自然発電装置側の出力電圧の抑制処理を優先させるという基本的な処理に対する例外として、前記の例外処理部による例外処理を実行させることで、燃料電池発電装置の側の熱回収の無駄を継続させることなく、熱回収効率の向上と系統電圧の電圧上昇抑制との双方を満足させ得ることになる。
【0014】
本発明の制御部として、前記出力電圧の抑制処理を優先させる場合には、優先させる側の出力電圧の抑制処理を他の側よりも先にする処理、及び/又は、優先させる側の出力電圧の抑制量を他の側よりも大にする処理、を実行する構成とすることができる(請求項4)。このようにすることにより、優先することによる作用を得つつも、電圧上昇抑制を確実に実現させ得ることになる。
【0015】
なお、本発明における自然発電装置として、太陽光発電装置とすることができる(請求項5)。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明したように、本発明の発電システムによれば、電圧上昇抑制制御を実行する際に、自然発電装置側の出力電圧の抑制処理を優先させることで、電力系統の系統電圧が上昇することにより電圧上昇抑制が必要になった場合、その電圧上昇状態が短期間であれば、例えば自然発電装置側の出力電圧を低下させるものの燃料電池発電装置側の出力電圧は変更することなく同じ状態で発電を継続させることができるようになる。このため、自然発電装置側の出力電圧の低下や復帰という変更は燃料電池発電装置の側の出力電圧を低下等させる場合に比して極めて迅速に行うことができる上に、出力電圧の低下等の変更が緩速にしかできない燃料電池発電装置の側は出力電圧の変更を実施しないで済むため、系統電圧の電圧上昇抑制を極めて応答性よくかつ迅速に処理することができるようになる。しかも、電力系統の系統電圧の上昇の度に自然発電装置側及び燃料電池発電装置側の双方を対象にして画一的に電圧上昇抑制制御を繰り返す煩雑さも回避することができるようになる。
【0017】
特に請求項3によれば、燃料電池発電装置側の蓄熱状況が満蓄状態にあるときには、自然発電装置側だけをまず出力低下させる等の自然発電装置側の出力電圧の抑制処理を優先させるという基本的な処理に対する例外として、例外処理部による例外処理を実行させることで、燃料電池発電装置の側の熱回収の無駄を継続させることなく、熱回収効率の向上と系統電圧の電圧上昇抑制との双方を満足させることができるようになる。
【0018】
請求項4によれば、出力電圧の抑制処理を優先させる場合として、優先させる側の出力電圧の抑制処理を他の側よりも先にする処理、及び/又は、優先させる側の出力電圧の抑制量を他の側よりも大にする処理、を実行する構成とすることで、優先することによる作用を得つつも、電圧上昇抑制を確実に実現させることができるようになる。
【0019】
請求項5によれば、本発明における自然発電装置として具体的に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の発電システムの全体概念図を示す模式図である。
【図2】図1の燃料電池発電装置の例を示す模式図である。
【図3】図1のパワーコンディショナの例を示す模式図である。
【図4】図1のいずれのパワーコンディショナが電圧上昇抑制制御を主導するかを設定するためのフローチャートである。
【図5】各パワーコンディショナの制御部が備える電圧上昇抑制制御のフローチャートの第1部分である。
【図6】各パワーコンディショナの制御部が備える電圧上昇抑制制御のフローチャートの第2部分である。
【図7】各パワーコンディショナの制御部が備える電圧上昇抑制制御のフローチャートの第3部分である。
【図8】系統電圧の変動と、自然発電装置の電圧出力及び燃料発電装置の電圧出力との関係を示すタイムチャートであり、図8(a)は電圧上昇変動が短期間の場合のタイムチャート、図8(b)は電圧上昇変動が長期間の場合のタイムチャートである。
【図9】図9(a)は図8(b)のA部拡大説明図であり、図9(b)は図6の例外状況が生じたときに実行される例外処理における、系統電圧の変動と、自然発電装置の電圧出力及び燃料発電装置の電圧出力との関係を示すタイムチャートである。
【図10】電圧上昇抑制制御部と、複数のパワーコンディショナとの関係を示すものであり、図10(a)は各パワーコンディショナに制御部(電圧上昇抑制制御部)が設けられた本実施形態の場合の例であり、図10(b)はいずれか1つのパワーコンディショナに制御部(電圧上昇抑制制御部)が設けられてこの1つの制御部により他のパワーコンディショナも制御される場合であり、図10(c)は1つの独立した制御部(電圧上昇抑制制御部)により複数のパワーコンディショナが制御される場合である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る発電システムを示す。この発電システムは、複数の分散型電源として自然エネルギー(例えば太陽光)を利用する自然発電装置(例えば太陽光発電装置)NP及び燃料を消費して発電する燃料発電装置として燃料電池発電装置FPを備え、これらの複数の分散型電源が商用の電力系統1と系統連系されたものである。自然発電装置NP及び燃料電池発電装置FPの両分散型電源はそれぞれパワーコンディショナ2を備えており、このパワーコンディショナ2により後述の如く各分散型電源側でのDC−AC変換(交流変換)や電力制御が行われて家庭負荷3に対する配電と電力系統1への送電とが可能とされている。
【0023】
図2は前記の燃料電池発電装置FPとして固体酸化物型燃料電池による発電装置の例を示し、熱電併給が可能となっている。図中の符号4は電池本体であり、この電池本体4はセルスタック41と、改質器42と、空気用熱交換器43とを備えている。この電池本体4に対する燃料ガス・空気・水蒸気等の供給及び排ガスの排出は、いずれも予熱・蒸発器5を通して行われるようになっている。この予熱・蒸発器5に対し燃料ガス回路6、改質用空気供給回路7及びカソード空気供給回路8が通される一方、予熱用の熱源として電池本体4の側から排ガスが導入されて水供給処理回路9に導出され、排ガス中の水分回収により得た純水が予熱・蒸発器5内の燃料ガス回路6に戻されて水蒸気改質用の水蒸気に変換されるようになっている。
【0024】
上記セルスタック41は、複数のセルが所定間隔ずつ隔てた状態で立設されて構成されており、各セルは小径円筒形状のアノード(燃料極)と、この外周側を覆う大径円筒形状のカソード(空気極)とが間に電解質を挟んだ状態で同心円状に一体化されたものである。アノードや、カソードはいずれもNi等の金属酸化物を含有するセラミックスにより形成されたものであり、電解質は例えばYSZ(イットリウム安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されたものである。
【0025】
セルのアノードの内孔に対し改質器42から供給された燃料ガスが下端から上端に向けて流され、又、カソードの外周面に空気用熱交換器43からカソード空気が供給されるようになっている。カソードではカソード空気の酸素が酸素イオンとなって電解質を通り、アノードでは燃料ガスの水素と反応して水(水蒸気)を生成する一方、その際に生じた電子が回路を通してカソード側に移動して酸素を再びイオン化するということを繰り返して発電される。アノードの内孔に供給された燃料ガスは上記反応に利用された後、オフガスとして改質器バーナに導かれて燃焼用の燃料として利用されるようになっている。又、カソード空気は上方に排気され、改質器バーナからの燃焼排ガスと共に、排ガスとして予熱・蒸発器5に送られるようになっている。その際、上記排ガスは空気を加熱するための熱源として空気用熱交換器43を通過するようになっている。
【0026】
燃料ガス回路6には、元ガス電磁弁やガバナ等からなる調整弁61と、バッファータンク62、ガス流量センサ63、脱硫器64及び逆止弁65等とが介装され、予熱・蒸発器5に入る前に改質用空気供給回路7が合流するようになっている。改質用空気供給回路7には、図示省略のフィルタを通した大気を吸い込んで送給する改質用空気ブロワ71と、バッファータンク72と、改質空気用流量センサ73及び逆止弁74等とが介装されている。そして、改質用空気供給回路7が合流された燃料ガス回路6には、予熱・蒸発器5内において、水供給処理回路9からの純水が供給され、この純水が予熱・蒸発器5において水蒸気に蒸発した状態で改質器42に送られるようになっている。カソード空気供給回路8には、改質用空気供給回路7と同様に、図示省略のフィルタを通した大気を吸い込んで送給するカソード空気ブロワ81と、バッファータンク82及びカソード空気用流量センサ83等とが介装されている。
【0027】
水供給処理回路9は、予熱・蒸発器5を通過した後の排ガスに含まれる水分の水回収、回収した凝縮水の精製及び精製後の純水の貯留、並びに、貯留した純水を水蒸気として再利用すべく上記予熱・蒸発器5への供給をそれぞれ行う回路である。水供給処理回路9には、排熱回収用熱交換器91と、この熱交換器91で集水された凝縮水を一時貯留するドレンタンク92と、給水ポンプ93と、純水に精製するための逆浸透膜(RO膜)やイオン交換膜等からなる水精製部94と、純水流量を検出する純水流量センサ95と、逆止弁96とが上流側から順に介装されている。この水供給処理回路9から予熱・蒸発器5に供給された純水は予熱・蒸発器5で蒸発されて水蒸気になって改質器42及び電池本体4のアノード側に供給されることになる。上記排熱回収用熱交換器91では、予熱・蒸発器5で顕熱回収された後の排ガスの潜熱回収を行うことにより、貯湯ユニット10側の循環回路101から排熱回収用熱交換器91に循環供給される水を熱交換加熱するようになっている。
【0028】
排熱回収用熱交換器91での熱交換により加熱・昇温された湯が蓄熱部としての貯湯タンク102に戻されて貯留されることになる。これにより、燃料電池の排ガスからの熱回収が図られて、その回収熱が貯湯タンク102に湯の状態で蓄熱されることになる。貯湯ユニット10の循環回路101には循環ポンプ103及び冷却用ラジエータ104が介装されている。循環ポンプ103が作動されると、貯湯タンク102の底部から湯水が取り出された後、排熱回収用熱交換器91に送られ、この排熱回収用熱交換器91で排ガスとの熱交換により加熱されて高温になった湯水が貯湯タンク102の頂部に戻されるように循環作動することになる。そして、補助熱源機104において、貯湯タンク102から導出された湯水を内蔵の燃焼バーナの燃焼熱により加熱し、所定温度まで補助加熱された後に図示省略の給湯栓等への給湯のために出湯したり、図示省略の浴槽に対し湯張り等のために出湯したりするようになっている。又、貯湯タンク102内の蓄熱量(所定温度以上の貯湯量)が十分な満蓄状態に至れば、そのままの状態では熱回収が不能となるため、さらなる熱回収を行うために冷却用ラジエータ104で湯を放熱した上で、熱回収用熱交換器91に送られるようになっている。
【0029】
以上の如く、燃料電池発電装置FPにおいては、種々の構成要素が複雑に関係するため、発電運転のための起動又は停止、あるいは、その発電量の変更等にかなりの時間を要することになる。そして、貯湯ユニット10の側では排熱回収により給湯,湯張り又は温水暖房の熱源としての給湯等のために熱利用を行っていたり、あるいは、このような熱利用のために貯湯タンク102での蓄熱量(所定温度以上の貯湯量)が不十分で、熱交換加熱により蓄熱を実行中であったり等の場合には、これらの熱需要を満たすために発電量の変更に際しては発電側の事情の他に熱利用の面からの事情をも考慮する必要がある。
【0030】
図3は、パワーコンディショナ2の例を示し、このパワーコンディショナ2は自然発電装置NP又は燃料電池発電装置FPにより発電される直流電力を所定電圧まで昇圧するコンバータ部21と、昇圧された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ部22と、電力系統1との間を開閉により解列(遮断)/接続切換する連系リレー部23と、電圧上昇抑制制御部を含み前記のインバータ部22等の出力制御を行う制御部24とを備えて構成されている。そして、自然発電装置NP側のパワーコンディショナ2に設けられた制御部24と、燃料電池発電装置FP側のパワーコンディショナ2に設けられた制御部24とは通信線25を介して相互通信可能に互いに接続されている。
【0031】
電圧上昇抑制制御部による電圧上昇抑制制御は、系統電圧が所定の閾値(例えば107V未満)を超えるような電圧上昇を検知したときに、各分散型電源(自然発電装置NP又は燃料電池発電装置FP)側の出力電圧を下げてそのときの系統電力側の電圧値よりも低くなるようにパワーコンディショナ2の特にインバータ部22で出力制御するようになっている。前記の電圧上昇の検知は、所定時間(例えば30秒間)の間の平均の系統電圧が前記閾値を超えたことで、電圧上昇検知と確定して後述の電圧上昇抑制制御を開始するようになっている。
【0032】
自然発電装置NP側のパワーコンディショナ2の制御部24と、燃料電池発電装置FP側のパワーコンディショナ2の制御部24とには互いに同じ電圧上昇抑制制御部が備えられているが、実際に前記の系統電圧が閾値を超える電圧上昇が検知された場合には、2つの制御部24,24が互いに連係して電圧上昇抑制制御を実行するようになっている。具体的には、2つの制御部24,24の内のいずれか一方の電圧上昇抑制制御部が電圧上昇抑制制御の実行を主導し、他方の電圧上昇抑制制御部は主導側の電圧上昇抑制制御部からの制御信号を通信線25を介して受けて従属するようになっている。なお、いずれが主導するにしても、閾値以上の電圧を検出したことの情報は主導側及び従属側の双方間で互いに通信することにより情報共有するようになっている。
【0033】
そして、制御部24,24の内のいずれが主導するかは、予め設定された設定情報(例えばDipスイッチによる設定等)に基づいて定められるか、あるいは、そのような事前の設定情報がなければ、前記の系統電圧が閾値を超える事態の発生をいずれのパワーコンディショナ2が先に検出したかによって定められるようになっている。
【0034】
図4は、このような主導設定の処理の例を示し、まず前記の事前の設定情報により燃料電池発電装置FP側の制御部24が主導するようになっているか否かを判定し(ステップS1)、燃料電池発電装置FP側の制御部24が主導するように設定されているのであれば(ステップS1でYES)、以後の電圧上昇抑制制御の実行は燃料電池発電装置FP側の制御部24が主導するようにし(ステップS2)、逆に自然発電装置NP側の制御部24が主導するように設定されているのであれば(ステップS1でNO,ステップS3でYES)、以後の電圧上昇抑制制御の実行は自然発電装置NP側の制御部24が主導するようにする(ステップS4)。一方、そのような事前の設定情報が無ければ(ステップS3でNO)、燃料電池発電装置FP及び自然発電装置NPの双方で抑制すべき閾値以上の電圧を検出したか否かを判定し(ステップS5)。双方の側で検出され(ステップS5でYES)、しかも同時検出の場合には燃料電池発電装置FPの側が主導することと予め設定されているのであれば(ステップS6でYES)、以後の電圧上昇抑制制御の実行は燃料電池発電装置FP側の制御部24が主導するようにする(ステップS2)。逆に、同時検出の場合には自然発電装置NPの側が主導することと予め設定されているのであれば(ステップS6でNO)、以後の電圧上昇抑制制御の実行は自然発電装置NP側の制御部24が主導するようにする(ステップS4)。一方、ステップS5で一方の側だけで閾値以上の電圧を検出した場合には(ステップS5でNO)、それが燃料電池発電装置FP側で検出したのであれば(ステップS7でYES)、以後の電圧上昇抑制制御の実行は燃料電池発電装置FP側の制御部24が主導するようにする(ステップS2)。逆に、自然発電装置NP側で検出したのであれば(ステップS7でNO)、以後の電圧上昇抑制制御の実行は自然発電装置NP側の制御部24が主導するようにする(ステップS4)。閾値以上の電圧を先に検出した発電装置(自然発電装置NP又は燃料電池発電装置FP)の側の制御部24に以後の主導を行わせるという設定手法を採用することにより、次の効果を得ることができる。すなわち、双方の制御部24,24の電圧センサ間で検出精度のバラツキがあったとしても、安全側で電圧上昇を検出して、その安全側で検出した情報に基づき電圧上昇抑制制御を実施することができるようになる。
【0035】
図5〜図7は電圧上昇抑制制御の例を示すものであり、これらを参照しつつ、電圧上昇抑制制御の内容について説明する。
【0036】
燃料電池発電装置FP及び自然発電装置NPにおいて共に通常の発電運転を行いつつ(ステップS11)、例えば30秒間の平均の系統電圧が抑制すべき閾値(抑制閾値;例えば107V)未満であるか否かを連続して監視する(ステップS12)。系統電圧が抑制閾値未満を維持していれば(ステップS12でYES)、電圧上昇抑制制御は行わずにリターンして通常の発電運転と前記の監視とを継続する(ステップS13)。
【0037】
ステップS12で系統電圧が抑制閾値以上であることが検出されていれば(ステップS12でNO)、例外状況(後述)が発生していないことを確認した上で(ステップS14でNO)、電圧上昇抑制制御を開始する。制御開始と共にタイマカウントを開始させ、まず、電圧上昇抑制のための出力の強制低下制御を燃料電池発電装置FPではなくて自然発電装置NP側に対し行う(ステップS15)。つまり自然発電装置NP側のパワーコンディショナ2のインバータ部22での出力電圧を所定の一単位分だけ低下させる。系統電圧が抑制閾値を超えている限り(ステップS16でNO)、タイマ値が設定時間tpに到達するまで前記の一単位分の低下処理を繰り返す(ステップS17でNO,ステップS15)。この過程で、系統電圧が抑制閾値未満に低下したことが検出されれば(ステップS16でYES)、系統電圧を監視しながら、ステップS15で低下させた自然発電装置NP側の出力を徐々に上げていってリターンする(ステップS18)。前記の設定時間tpとしては、例えば3分〜30分を設定する。
【0038】
図8(a)に示すように、系統電圧が抑制閾値を超えたことにより(同図のタイミングT1参照)、自然発電装置NP側の出力電圧の低下を開始させ、この自然発電装置NP側だけの出力電圧の低下により設定時間tpの経過する前までに系統電圧が抑制閾値未満に復帰(低下)するというような系統電圧の上昇が短期間だけのものであれば、自然発電装置NP側の電圧上昇抑制制御だけで燃料電池発電装置FP側の出力電圧は変更することなく同じ状態で発電を継続させることになる。この場合、自然発電装置NP側の出力電圧の低下や復帰という変更は燃料電池発電装置FPの側の出力電圧を低下等させる場合に比して極めて迅速に行うことができる上に、出力電圧の低下等の変更が緩速にしかできない燃料電池発電装置FPの側は出力電圧の変更を実施しないで済むため、系統電圧の電圧上昇抑制を極めて応答性よくかつ迅速に処理することができるようになる。
【0039】
ステップS15での自然発電装置NPの側の出力電圧を一単位分ずつ低下させることを繰り返しても、系統電圧が抑制閾値を超えているまま設定時間tpが経過すれば(ステップS17でYES)、つまり、系統電圧の電圧上昇が設定時間tpを超えて長時間継続する場合には、自然発電装置NP側の出力電圧の低下処理を停止させる一方、燃料電池発電装置FP側のパワーコンディショナ2のインバータ部22での出力電圧の強制低下処理を開始させる(ステップS19)。要するに、系統電圧が長期間に亘る電圧上昇状態になれば、自然発電装置NPの側での出力電圧の低下処理に加えて、初めて、燃料電池発電装置FPの側についても強制出力低下の実行を開始させるのである。換言すれば、系統電圧の電圧上昇が一時的なものではないことを確認した上で、燃料電池発電装置FP側の強制出力低下の実行を開始させるのである。
【0040】
すなわち、燃料電池発電装置FP側のパワーコンディショナ2のインバータ部22での出力を絞ることにより、燃料電池発電装置FP側の運転制御を行うコントローラもパワーコンディショナ2での出力低下に伴い発電量を低下させることになる。燃料電池発電装置FPの側の出力電圧を低下させることで(ステップS19)、系統電圧が抑制閾値未満に低下すれば(図6のステップS20でYES)、系統電圧を監視しながら、ステップS15で低下させた自然発電装置NP側の出力をまず上げ、次にステップS19で低下させた燃料電池発電装置FP側の出力を徐々に上げていって、リターンする(ステップS21)。一方、ステップS20で系統電圧が依然として抑制閾値を超えていれば(ステップS20でNO)、自然発電装置NP側の出力を最小限まで下げ(ステップS22)、これにより系統電圧が下がれば、前記と同様に、系統電圧を監視しながら自然発電装置NP側の出力及び燃料電池発電装置FP側の出力を徐々に上げていってリターンする(ステップS23でYES,ステップS21)。
【0041】
以上の系統電圧の電圧上昇が長期間に及ぶ場合の電圧上昇抑制制御の状況について、図8(b)を参照しつつ見てみると、系統電圧が抑制閾値を超えると(タイミングT1参照)、自然発電装置NP側の出力電圧を設定時間tpが経過するまで強制的に下げ、設定時間tpが経過すれば(タイミングT2参照)、自然発電装置NP側の出力電圧の低下を停止させ、代わりに燃料電池発電装置FP側の出力電圧の低下を開始させる。系統電圧が抑制閾値未満に低下すれば(タイミングT3参照)、燃料電池発電装置FP側の出力電圧の低下を停止させて自然発電装置NP側の出力を上げ、自然発電装置NP側の出力電圧が元の状態に回復すれば(タイミングT4参照)、燃料電池発電装置FP側の出力電圧を上げていく。なお、前記の自然発電装置NPの出力電圧を設定時間tpが経過するまで所定の一単位ずつ下げては系統電圧が抑制閾値未満に下がったか否かを判定し、これを繰り返す点については、図9(a)に示すように、系統電圧が抑制閾値未満に下がったか否かの判定に所定時間tv(例えば30秒間)の平均値を採るために、その所定時間tvだけ待機しては出力電圧を所定の一単位ずつ下げることを繰り返すことになる。
【0042】
ステップS23で、まだ系統電圧が抑制閾値未満に下がらなければ、ステップS19で低下処理を一旦停止した自然発電装置NP側の出力電圧を最小限まで低下させることになる(ステップS26)。その前に、ステップS22で最小限出力まで低下させた燃料電池発電装置FPを完全に停止させた方が光熱費抑制の観点において効率の良い状況にあるか否か、つまり燃料電池発電装置FPの停止条件が成立するか否かを判定し(ステップS24)、成立しなければ燃料電池発電装置FP側を最小限出力で運転継続させた状態で自然発電装置NP側を最小限出力に絞り(ステップS24でNO,ステップS26)、成立すれば燃料電池発電装置FP側を完全に停止させた上で(ステップS24でYES,ステップS25)、自然発電装置NP側を最小限出力に絞る(ステップS26)。停止条件の成立とは、貯湯タンク102(図2参照)内の蓄熱量(所定温度以上の貯湯の量)が十分にある又は所定量以上にあり、それ故に燃料電池発電装置FPでの熱回収の効率(熱変換効率)が低下する状態にあること、内蔵の電子時計から割り出した現時点が午前の時間帯に属し、それ故に太陽光の光量が増大して自然発電装置NPの発電出力が増大する状況にある上に、貯湯の使用量が午後(夜)に比して少ない状況にあること、が成立することである。このような停止条件が成立する場合には、燃料電池発電装置FPを完全に停止させた方が、最小限出力で運転を継続させるよりは光熱費の抑制を図ることができるからである。
【0043】
以上により系統電圧が抑制閾値未満になれば、ステップS21を経てリターンし(ステップS27でYES)、それでも系統電圧が抑制閾値以上であれば、つまり系統電圧が抑制閾値未満まで下がらなければ(ステップS27でNO)、最終的に、連系リレー部23を開放して電力系統1との接続を遮断(系統解列)し、異常の解除を待った上でリターンする(ステップS28)。
【0044】
以上の各処理が本発明の基本的な処理である。次に、図5のステップS14で例外状況有りの場合の例外的な処理について図7に基づいて説明する。原則的処理の例外としては、燃料電池発電装置FP側の蓄熱量が満蓄状態にあるときには、熱回収の観点からは燃料電池発電装置FP側の出力電圧を通常の発電状態に維持しておく必要はなく、むしろ維持しておくとラジエータ104(図2参照)による放熱を実施しなければならず、蓄熱を無駄に放出しなければならないことになるため、このような状況にあるときには、自然発電装置NP側だけをまず出力低下させるという基本的な処理の例外的処理を実行する状況(例外状況)にあると判定し(ステップS14でYES)、以下の例外処理に基づく電圧抑制制御を実行する。これにより、燃料電池発電装置FPの側の熱回収の無駄を継続させることなく、熱回収効率の向上と系統電圧の電圧上昇抑制との双方を満足させ得ることになる。
【0045】
すなわち、まずは燃料電池発電装置FP側の出力電圧を強制的に下げ(図7のステップS29)、それにより系統電圧が抑制閾値未満に下がれば(ステップS30でYES)、系統電圧を監視しながら燃料電池発電装置FP側の出力電圧を上げていって、リターンする(ステップS33)。やはり系統電圧が抑制閾値を超えたままであれば(ステップS30でNO)、燃料電池発電装置FP側の出力電圧を最小限にまで下げる(ステップS31)。これにより系統電圧が抑制閾値未満になれば(ステップS32でYES)前記のステップ33の処理を行う一方、抑制閾値を超えたままであれば(ステップS32でNO)、今度は自然発電装置NP側の出力電圧を強制的に低下させる(ステップS36)。その際、前記のステップS24,S25の処理と同様に、燃料電池発電装置FPの運転を完全に停止させた方が良いか否かの判定(停止条件成立か否かの判定;ステップS34)を行い、停止条件成立であれば、燃料電池発電装置FP側の発電運転を完全停止させる(ステップS35)。
【0046】
自然発電装置NP側の出力電圧を低下させることで系統電圧が抑制閾値未満に下がれば(ステップS37でYES)、系統電圧を監視しながら、先ず自然発電装置NP側を上げ、次に燃料電池発電装置FP側を上げて回復させる(ステップS38)。自然発電装置NP側の出力電圧を所定量低下させても、系統電圧が抑制閾値未満に低下しなければ(ステップS37でNO)、自然発電装置NP側の出力電圧を最小限まで下げ(ステップS39)、これにより系統電圧が抑制閾値未満になれば(ステップS40でYES)、前記のステップS38の処理を行い、やはり系統電圧は抑制閾値を超えたままであれば、系統解列を行い異常解除を待つ(ステップS41)。以上のステップS14の判定と、図7に示すステップS29〜ステップS41により例外処理部が構成されている。
【0047】
以上の例外処理の状況は図9(b)に示すように、系統電圧が抑制閾値を超えれば(タイミングT1参照)、自然発電装置NP側の出力は下げずに、燃料電池発電装置FP側の出力を下げる。燃料電池発電装置FP側の出力を最小限まで下げても系統電圧が抑制閾値未満に低下しなければ(タイミングT5参照)、次に自然発電装置NP側の出力を下げ、これにより系統電圧が抑制閾値未満に下がれば(タイミングT6参照)、自然発電装置NP側の出力を上げ、元の出力に回復すれば(タイミングT7参照)、燃料電池発電装置FP側の出力を上げていく。
【0048】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、図10(a)に示すように各パワーコンディショナ2に対し電圧上昇抑制制御部を含む制御部24が設けられ、複数の制御部24を通信線25により通信接続して連係制御を実現させるようにしているが、これに限らず、例えば図10(b)に示すように、いずれか一方のパワーコンディショナ2だけに制御部24を設け、この制御部24により前記の一方のパワーコンディショナのみならず、制御部を設けていない他方のパワーコンディショナ2aの制御を通信線25により行わすようにしてもよい。さらに、図10(c)に示すように、独立した制御部24によって、それぞれ制御部を設けていない複数のパワーコンディショナ2a,2aの制御を通信線25,25により行わすようにしてもよい。
【0049】
上記実施形態の自然発電装置NPとしては、太陽光発電装置の他に、風力発電装置や潮力発電装置等の自然エネルギーを利用して発電する装置によって構成してもよい。又、上記実施形態では燃料を消費して発電する燃料発電装置として燃料電池発電装置FPを示したが、これに限らず、例えばガスエンジン発電装置により構成してもよい。さらに燃料電池発電装置FPとしては、もちろん固体酸化物型燃料電池以外のタイプの燃料電池を用いた発電装置であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
FP 燃料電池発電装置(燃料発電装置)
NP 自然発電装置(太陽光発電装置)
1 電力系統
2 パワーコンディショナ
24 制御部(電圧上昇抑制制御部)
102 貯湯タンク(蓄熱部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用して発電する自然発電装置と、燃料を消費して発電する燃料発電装置とを電力系統に連系させてなる発電システムであって、
前記自然発電装置に設けられたパワーコンディショナと、前記燃料発電装置に設けられたパワーコンディショナと、電圧上昇抑制制御を実行するための制御部とを備え、
前記制御部は、前記自然発電装置及び燃料発電装置が同時発電運転中において前記電圧上昇抑制制御を実行する際には、前記自然発電装置の側のパワーコンディショナによる出力電圧の抑制処理を優先させるように双方のパワーコンディショナを連係制御するように構成されている、
ことを特徴とする発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発電システムであって、
前記制御部は、前記電圧上昇抑制制御を実行する際には、その電圧上昇抑制制御が必要となる前記電力系統の系統電圧の上昇状態の継続期間の長短に応じて、設定時間よりも短い短期間であれば前記自然発電装置の側のパワーコンディショナのみを対象にして前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理を行う一方、設定時間よりも長い長期間に亘り前記上昇状態が継続すれば前記燃料発電装置側のパワーコンディショナを対象にして前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理を許可するように構成されている、発電システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の発電システムであって、
前記燃料電池発電装置は発電に伴う排熱を回収して蓄熱する蓄熱部を備える一方、前記制御部は前記電圧上昇抑制制御における例外処理を実行する例外処理部を備え、
前記例外処理部は、前記電圧上昇抑制制御を実行する際に、燃料発電装置側での熱回収状況において前記蓄熱部による現在の蓄熱状況が満蓄状態であれば、前記自然発電装置側のパワーコンディショナを対象にした前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理の優先実行をキャンセルし、代わりに、前記燃料発電装置側のパワーコンディショナを対象にして前記電力系統に対する出力電圧の抑制処理を優先させる連係制御を実行するように構成されている、発電システム。
【請求項4】
請求項1に記載の発電システムであって、
前記制御部は、前記出力電圧の抑制処理を優先させる場合には、優先させる側の出力電圧の抑制処理を他の側よりも先にする処理、及び/又は、優先させる側の出力電圧の抑制量を他の側よりも大にする処理、を実行するように構成されている、発電システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発電システムであって、
前記自然発電装置は太陽光発電装置である、発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138988(P2012−138988A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287982(P2010−287982)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】