説明

発電プラント

【課題】潤滑系に用いる電動機容量を小さくできる発電プラントを提供することにある。
【解決手段】発電設備は、発電機3と、蒸気タービン2と、ガスタービン1により構成される。潤滑油タンク13の潤滑油が、蒸気タービン2と発電機3とガスタービン1の軸を支持する軸受4,5,7,8,9にそれぞれ供給される。潤滑油タンク13は、発電機3と、蒸気タービン2と、ガスタービン1で共通に備えられている。電動式主油ポンプ10(10A,10B,10C)は、潤滑油タンク13に蓄えられた潤滑油を、各軸受に供給をすると共に、3台以上備えられている。2台以上の前記電動式主油ポンプを常用ポンプとし、他の1台の前記電動式主油ポンプを非常用のバックアップ用ポンプとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラントに係り、特に、発電用の蒸気タービンや発電機やガスタービンなどに使用される軸受用潤滑油の供給系統を備える発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインドサイクル発電プラントは、例えば、ボイラ、発電機、蒸気タービンより構成されている(例えば、特許文献1参照)。従来のコンバインドサイクル発電プラントの潤滑系としては、発電機と蒸気タービンで共通の潤滑油タンク付油ポンプから潤滑油が供給されているコンベンショナル発電プラントと、ガスタービン、発電機、蒸気タービンより構成される。ここで、発電機と蒸気タービンまたはガスタービンと蒸気タービンと発電機で共通の潤滑油タンク付主油ポンプから潤滑油が供給されている。
【0003】
かかる潤滑系において、油ポンプとしては、100%容量の前記主油ポンプが2台設置され、1台を常用運転とし1台をバックアップ用運転としている。また、ポンプの下流にバックアップ用ポンプが起動するまでの間の潤滑油圧力低下緩和のためにアキュームレータを設置し、アキュームレータ下流に潤滑油圧力調整用のオリフィスを設置し、オリフィスと並列に潤滑油圧力調節弁を設置し、各軸受油を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−180370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、待機側電動ポンプが起動するまでの間の油圧低下を緩和させる為に、必然的にAC電動ポンプの吐出圧は必要圧の2倍〜3倍とせざるを得ず、電動機出力が大きくなるという問題がある。そして、従来システムでは、待機側電動ポンプ切り替え時に2〜3倍の必要軸受油量が必要となるため、主油ポンプ駆動の電動機容量が大きくなる問題がある。また、潤滑油圧力が低下すると、各軸受にて振動が発生するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、潤滑系に用いる電動機容量を小さくできる発電プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、発電機及び蒸気タービンより構成される発電設備と、前記蒸気タービンと前記発電機の軸を支持する軸受にそれぞれ潤滑油を供給するとともに、上記蒸気タービンと上記発電機で共通に備えられた潤滑油タンクと、該潤滑油タンクに蓄えられた潤滑油を、前記各軸受に供給をすると共に、3台以上備えられた電動式主油ポンプとを有し、2台以上の前記電動式主油ポンプを常用ポンプとし、他の1台の前記電動式主油ポンプを非常用のバックアップ用ポンプとするものである。
かかる構成により、潤滑系に用いる電動機容量を小さくできるものとなる。
【0008】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記複数の電動式主油ポンプの各々の容量は、100%よりも小さいものである。
【0009】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記蒸気タービンと前記発電機の軸に連結されたガスタービンを備え、前記潤滑油タンクは、前記ガスタービンに対しても共通に備えられ、前記潤滑油タンクの潤滑油は、前記ガスタービンの軸を支持する軸受にも供給されるものである。
【0010】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記主油ポンプ下流に設けられ、潤滑油圧力低下を緩和するアキュームレータを備えるようにしたものである。
【0011】
(5)上記(4)において、好ましくは、前記アキュームレータ下流に設置されるとともに、油圧調整用のオリフィスと、該油圧調整オリフィスと並列に設置された圧力調節弁とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、潤滑系に用いる電動機容量を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による発電プラントの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1を用いて、本発明の一実施形態による発電プラントの構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による発電プラントの構成図である。
【0015】
ガスタービン1,蒸気タービン2及び発電機3は、同一軸にて連結され、一軸のコンバインドサイクル発電プラントを構成している。蒸気タービンに蒸気を供給するためのボイラも備えているが、図示は省略している。
【0016】
ガスタービン1の軸の両側は、それぞれ、第1軸受4及び第2軸受5により回転可能に支持されている。蒸気タービン2の軸の両側は、それぞれ、第3軸受7及び第4軸受8により回転可能に支持されている。なお、第2軸受5と第3軸受7の間には、スラスト軸受6を配置している。また、発電機3の軸の両側は、それぞれ、第4軸受8及び第5軸受9により回転可能に支持されている。
【0017】
本実施形態では、主油ポンプとして、70%容量の遠心式主油ポンプ10A,10B,10Cを3台備えている。3台の70%容量の遠心式主油ポンプ10A,10B,10Cの内、2台は常用運転として起動させ、残りの1台はバックアップ運転とする。
【0018】
常用運転用の主油ポンプ10の駆動電動機の電源は常用ACとし、バックアップ用の主油ポンプ10の駆動電動機の電源は非常用AC電源とする。インターロックにて自動的に常用ポンプ駆動用電動機の電機故障や、所内電源全停時にバックアップ用電動機が自動的に運転を開始する。
【0019】
潤滑油タンク13に保持された潤滑油は、常用運転用の主油ポンプ10により吐出される。常用運転用の主油ポンプ10から吐出された潤滑油は、主油冷却器11にて冷却され、潤滑油フィルタ12により不純物を除去された後、第1軸受4,第2軸受5,スラスト軸受6,第3軸受7,第4軸受8,第5軸受9に供給される。このように、潤滑油タンク13は、ガスタービン1と、蒸気タービン2と、発電機3とで、共通に備えられている。
【0020】
また、主油ポンプ10の下流には、潤滑油圧力低下を緩和するアキュームレータが設けられる。そして、アキュームレータの下流には、油圧調整用のオリフィスが設置される。また、油圧調整オリフィスと並列に、圧力調節弁が設置されている。
【0021】
以上の説明した構成のように、タービン駆動に必要な最低油圧のために必要な動力を備えた遠心式主油ポンプを3台以上有し、2台以上の遠心式主油ポンプを常用運転とすることにより、消費電力を低くすることができ、必要軸受油量が多いプラント計画にも対応可能となる。
【0022】
すなわち、タービン駆動に必要な最低油圧のために必要な動力を備えた遠心式主油ポンプ2台以上が常時運転で、1台がバックアップの時に、1台の運転が止まってもタービン駆動に必要な最低油圧が保持されたままでのバックアップ用遠心式主油ポンプ起動となるので、必要以上の油圧を遠心式主油ポンプが必要とせず1台あたりの容量を抑えることができる。
【0023】
また、遠心ポンプの流量と圧力の特性より油圧力変動に対しても安定的なシステムとすることができ系統の単純化が図れる一方で、低電圧電動機で大容量ポンプのシステムの計画が可能となる。
【0024】
また、タービン駆動に必要な最低油圧のために必要な動力を備えた遠心式主油ポンプを3台以上設置することによって必要軸受油量が多いプラントにも台数を増やすことで対応が可能となる。
【0025】
なお、以上の説明では、潤滑油タンク13は、ガスタービン1と、蒸気タービン2と、発電機3とで、共通に備えられているが、蒸気タービン2と、発電機3とで、共通に備えられていてもよいものである。
【0026】
また、以上の説明は、ガスタービン1と、蒸気タービン2と、発電機3とからなるコンバイドサイクル発電設備に適用したものであるが、蒸気タービン2と、発電機3とからなるコンベンショナル発電設備に適用することもできる。
【符号の説明】
【0027】
1…ガスタービン
2…蒸気タービン
3…発電機
4…第1軸受
5…第2軸受
6…スラスト軸受
7…第3軸受
8…第4軸受
9…第5軸受
10…遠心式主油オイルポンプ(70%容量)
11…主油冷却器
12…潤滑油フィルタ
13…潤滑油タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機及び蒸気タービンより構成される発電設備と、
前記蒸気タービンと前記発電機の軸を支持する軸受にそれぞれ潤滑油を供給するとともに、上記蒸気タービンと上記発電機で共通に備えられた潤滑油タンクと、
該潤滑油タンクに蓄えられた潤滑油を、前記各軸受に供給をすると共に、3台以上備えられた電動式主油ポンプとを有し、
2台以上の前記電動式主油ポンプを常用ポンプとし、他の1台の前記電動式主油ポンプを非常用のバックアップ用ポンプとすることを特徴とする発電プラント。
【請求項2】
請求項1記載の発電プラントにおいて、
前記複数の電動式主油ポンプの各々の容量は、100%よりも小さいことを特徴とする発電プラント。
【請求項3】
請求項1記載の発電プラントにおいて、
前記蒸気タービンと前記発電機の軸に連結されたガスタービンを備え、
前記潤滑油タンクは、前記ガスタービンに対しても共通に備えられ、
前記潤滑油タンクの潤滑油は、前記ガスタービンの軸を支持する軸受にも供給されることを特徴とする発電プラント。
【請求項4】
請求項1記載の発電プラントにおいて、
前記主油ポンプ下流に設けられ、潤滑油圧力低下を緩和するアキュームレータを備えることを特徴とする発電プラント。
【請求項5】
請求項4記載の発電プラントにおいて、
前記アキュームレータ下流に設置されるとともに、油圧調整用のオリフィスと、
該油圧調整オリフィスと並列に設置された圧力調節弁とを備える特徴とする発電プラント。

【図1】
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【公開番号】特開2012−255346(P2012−255346A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127435(P2011−127435)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】