説明

発電プラント

【課題】
発電プラント20が、ガスタービンユニット1を有する。
【解決手段】
このガスタービンユニット1の煙道ガス8が、蒸気タービンユニット10のボイラ9内に供給され、次いで再循環フロー12内と放出フロー13内とに偏向される。再循環フロー12は、混合物6を形成する新鮮空気7と混合される。この混合物6は、前記ガスタービンユニットの圧縮機2内に供給される。放出フロー13は、CO回収ユニット14内に供給される。このCO回収ユニット14は、アミンを母材とする又はチルドアンモニアを母材とするCO回収ユニットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラントに関し、特に煙道ガスの再循環を伴う発電プラントとCO回収ユニットとに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2010/072710号パンフレットは、図1に関して圧縮機2、燃焼室3及びタービン4から構成されるガスタービンユニット1を有する発電プラントを開示する。
【0003】
周辺地域から来る新鮮空気7を含む混合物6が、圧縮機2内に供給され、(燃焼室3内の混合物6の、燃料との燃焼から出る)煙道ガス8が、タービン4から発生する。
【0004】
(一般に高温を呈する)当該煙道ガス8が、蒸気タービンユニット10のボイラ9内に供給される。煙道ガス8が、このボイラ9内で熱を蒸気タービンユニット10の水に伝える。
【0005】
煙道ガス8が、ボイラ9から再循環フロー12内に分岐される。混合物6を生成するため、この再循環フロー12は、冷却器18内で冷却されて新鮮空気7と混合される。当該混合物6は、圧縮機2内に供給される。放出フロー13は、冷却器19内で冷却され、次いでCO回収ユニット内に供給され、煙道ガス放出部15を通じて大気中に放出される。これに対して、CO回収ユニット14内に回収されるCOは、CO貯蔵器16内に貯蔵される。
【0006】
COを回収する異なる種類の方法が公知である。以下に幾つかの当該方法を簡単に列挙する。
【0007】
第1の種類の方法は、溶剤又は吸収剤による分離を有する。当該幾つかの方法の中では、アミン(溶剤)を使用する方法が最も古い方法である。この方法は、発電プラントのガス流とは異なる条件及び特徴を有するガス流に対して発展したものである。特にこの方法は、石油産業に関連して発展したものである。当該石油産業では、通常は、化学的に還元するガス流が処理される。これに対して、ガスタービンからの煙道ガスは、通常は酸化する特性を有する。吸収剤を有する方法は、ガス流が吸収剤物質を高圧で貫流することを要求する。再生が、圧力を下げること(圧力変動吸着)によって又は温度を上げること(温度変動吸着)によって起こる。
【0008】
第2の種類の方法は、膜によるガス分離を有する。例えば、多孔膜、ゼオライト、高分子膜等のような各種の膜が使用され得る。
【0009】
第3の種類の方法は、ガス流冷却及びガス流凝縮による低温分離を有する。
【0010】
したがって、複数の異なる可能性が、CO回収方法を実施するために存在し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2010/072710号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、発電プラント内でのシナジー稼働を可能にする選択されたCO回収ユニットを有する発電プラントを提供することにある。
【0013】
特に発電プラントは、ガスタービンユニット、蒸気タービンユニット及びCO回収ユニットを有し、煙道ガスの再循環も実施する。この場合、発電プラントを構成する全てのユニットと当該再循環部とが、共同して低コストの発電プラント及び/又は稼働を可能にするシナジー効果を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この技術的課題は、本発明にしたがって、添付した特許請求の範囲に記載の発電プラントを提供することによって解決される。
【0015】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付図面中の限定しない例によって示された好適であるものの排他的ではない発電プラントの実施の形態に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の発電プラントの概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の発電プラントの概略図である。
【図3】本発明の好適な実施の形態の発電プラントの一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当該発電プラントは、既に上述した発電プラントと同じ特徴を有する。したがって、発電プラントの説明は、以下では繰り返さず、最も関連する構成要素だけを列挙する。特に図2及び3では、図1中で使用される同じ符合は、同等又は類似の構成要素を示す。
【0018】
発電プラント20は、ガスタービンユニット1を有する。このガスタービンユニット1の煙道ガス8が、蒸気タービンユニット10のボイラ9(あらゆる種類のボイラが可能である。例えば、再熱式ボイラ)内に供給され、次いで(ダイバータ21を通じて)再循環フロー12内に偏向される。当該煙道ガス8は、混合物6を形成する新鮮空気7と混合される。この混合物6は、ガスタービンユニットの圧縮機2内に供給される。また、当該発電プラント20は、CO回収ユニット14内に供給される放出フロー13を有する。図2中では、符合22,23は、当該フロー循環を支援する圧縮機又は送風機を示す。
【0019】
好ましくは、CO回収ユニット14は、アミンを母材とする又はチルドアンモニアを母材とするCO回収ユニットである。
【0020】
これらの要素の組み合わせは、全ての当該要素が発電プラント及びその稼動のトータルコストを低減することに寄与するというシナジー効果を奏することが証明されている。
【0021】
さらに、当該煙道ガス循環は、煙道ガス中のCO量を増大させる。当該COの増大は、煙道ガス8がCO回収ユニット14を通過しなければならないこのCO回収ユニット14のサイズを、煙道ガス循環なしで理論的に要求される当該サイズに比べて低減させる。さらに、CO回収ユニット14が、アミン又はチルドアンモニアを母材とするユニットである場合、煙道ガス中のCO濃度が増大するために、再生コストの低減が確認されている。
【0022】
冷却器24が、CO回収ユニット14の上流に設けられている。好ましくは、この冷却器24は、ボイラ9の下流で且つダイバータ21の上流に設けられている。
【0023】
好ましくは、この冷却器24は、シャワー冷却器である、すなわち煙道ガスが冷却器のハウジングの底から上昇し、冷却液(一般に水)がこのハウジングの頂部から落下する場合の冷却器である。
【0024】
当該冷却器のサイズが、より大きいものの、1つの冷却器だけで済むので、ダイバータ21の上流のこの冷却器の当該特別な位置が、コストをさらに低減する。選択されたこの特別な種類の冷却器(シャワー冷却器)は、冷却効果と濾過効果とを併せ持った大量の煙道ガスの処理を可能にする(すなわち、冷却されることに加えて、燃焼工程中に発生しうる粒子が、煙道ガスから除去される)。
【0025】
一般に、煙道ガス8は、NO及びNOを含む(これらの生成物は、燃焼中に自然に発生する)。厳しい規制が、これらの成分に対して設けられているので、当該成分の放出は、燃焼中の当該成分の発生を回避することによって及び/又は煙道ガス8が周囲地域内に放出される前に、当該成分を除去することによって制限されなければならない。
【0026】
NOが、水に溶けて反応:
3NO + HO → 2HNO + NO
にしたがって硝酸HNOを生成することが知られているので、冷却器24は、好ましくは大量のNOを煙道ガス8から除去するために設計され得る。
【0027】
このことは、冷却器24から出てCO回収ユニット14に供給される煙道ガス中のNOの量を非常に少なくすることを可能にする(これに対して、上記の反応に起因して、NOの量は増大する)。
【0028】
煙道ガス8が、CO回収ユニット14を通過する場合、COに加えて、NOも、煙道ガスから除去される結果、大気中に放出される煙道ガス8中のNOの量が非常に少ない。
【0029】
煙道ガス内のNOの量も低減するため、酸化剤が、煙道ガス8中に添加されて、NOをこの酸化剤と反応させ、NOを生成する。この余計なNOは問題ではない。何故なら、(既に説明したように)当該NOは、放出前の煙道ガス8の処理中に当該煙道ガス8から除去されるからである。
【0030】
この点に関しては、当該酸化剤は、好ましくは冷却器24の上流及び/又は冷却器24内に設けられる。換言すれば、酸化剤が、煙道ガスのNOとの反応の誘因となる。
【0031】
図3は、酸化剤がボイラ9の上流(位置25)で添加される例を示す。この場合、当該酸化剤は、好ましくはO、オゾン等のようなガス状の酸化剤である。
【0032】
さらに、酸化剤が、煙道ガス8中の位置26(すなわち、ボイラ9と冷却器24との間)でも注入される。この場合、液体状の酸化剤及び気体状の酸化剤の双方が使用され得る。
【0033】
さらに、酸化剤が、冷却器19の頂部の位置28で供給されてもよい(当該冷却器19は、シャワー冷却器である)。この溶液は、液状の酸化剤にとって好ましい。
【0034】
酸化剤を煙道ガスと反応させるためには、当然に、提唱した溶液のうちの1つの溶液を使用してもよいし又は当該これらの溶液を組み合わせてもよい。
【0035】
当該CO回収プラントが、チルドアンモニアを母材とする回収プラントである場合、さらなるシナジー効果が得られる。
【0036】
一般に、チルドアンモニアCO回収プラントが使用される場合、大抵はアンモニアの一部が、煙道ガス8から抽出され、硫酸を使用することによって洗浄ユニット29内で再回収されなければならない。
【0037】
有益的には、冷却器24で収集された硝酸HNOが、(配管30を通じて)洗浄ユニット29に供給されて、アンモニアを中和する。このことは、さらなるシナジー効果を達成することを可能にし、コストをさらに低減することを可能にする。次いで、排水が、配管31を通じて洗浄ユニット29から放出される。
【0038】
当然に、必要に応じて、冷却器24が、ダイバータ21とポンプ23との間に設けられてもよい。
【0039】
当然に、説明した特徴は、互いに独立して提供されてもよい。
【0040】
実際には、使用される材料及び寸法は、要件及び従来の技術に応じて任意に選択され得る。
【符号の説明】
【0041】
1 ガスタービンユニット
2 ガスタービンユニットの圧縮機
3 ガスタービンユニットの燃焼室
4 ガスタービンユニットのタービン
6 混合物
7 新鮮空気
8 煙道ガス
9 ボイラ
10 蒸気タービンユニット
12 再循環フロー
13 放出フロー
14 CO回収ユニット
15 煙道ガス放出部
16 CO貯蔵部
18 冷却器
19 冷却器
20 発電プラント
21 ダイバータ
22 圧縮機
23 圧縮機
24 冷却器
25,26,28 酸化剤の注入部
29 洗浄ユニット
30 配管
31 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電プラント(20)が、ガスタービンユニット(1)を有し、このガスタービンユニット(1)の煙道ガス(8)が、蒸気タービンユニット(10)のボイラ(9)内に供給され、次いで再循環フロー(12)内に偏向され、当該煙道ガス(8)は、混合物(6)を形成する新鮮空気(7)と混合され、この混合物(6)は、前記ガスタービンユニットの圧縮機(2)内に供給され、また、前記発電プラント(20)は、CO回収ユニット(14)内に供給される放出フロー(13)を有する発電プラント(20)において、
前記CO回収ユニット(14)は、アミンを母材とする又はチルドアンモニアを母材とするCO回収ユニットであることを特徴とする発電プラント(20)。
【請求項2】
前記煙道ガス(8)用の冷却器(24)が、前記CO回収ユニット(14)の上流に設置されたシャワー冷却器であることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント(20)。
【請求項3】
酸化剤が、前記冷却器(24)の上流及び/又は前記冷却器(24)内の煙道ガス(8)に供給されることを特徴とする請求項2に記載の発電プラント(20)。
【請求項4】
前記冷却器(24)は、前記ボイラ(9)の下流で且つ前記煙道ガス(8)を再循環フロー(12)内と放出フロー(13)内とに分岐させるダイバータ(21)の上流に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の発電プラント(20)。
【請求項5】
前記CO回収ユニット(14)は、前記煙道ガス(8)から抽出されたアンモニアを中和するための洗浄ユニット(29)を有する、チルドアンモニアを母材とする回収プラントであり、前記冷却器(24)で収集された硝酸が、前記洗浄ユニット(29)に供給されることを特徴とする請求項2に記載の発電プラント(20)。
【請求項6】
前記ボイラ(6)は、再熱式ボイラであることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント(20)。
【請求項7】
ガスタービンユニット(1)を有する発電プラント(20)を稼働するための方法であって、前記ガスタービンユニット(1)の煙道ガス(8)が、蒸気タービンユニット(10)のボイラ(9)内に供給され、
前記煙道ガス(8)を再循環フロー(12)と放出フロー(13)とに分岐させ、
前記再循環フロー(12)を、混合物(6)を形成する新鮮空気(7)と混合し、
前記混合物(6)を前記ガスタービンユニットの圧縮機(2)内に供給し、
前記放出フロー(13)をCO回収ユニット(14)内に供給する、ことから成る当該方法において、
前記CO回収ユニット(14)を、アミンを母材とするか又はチルドアンモニアを母材とするCO回収ユニットとして稼働させることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記煙道ガス(8)を冷却器(24)内で冷却し、この冷却器(24)は、前記CO回収ユニット(14)の上流に設置されたシャワー冷却器であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
酸化剤を、前記冷却器(24)の上流及び/又は前記冷却器(24)内に供給することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記CO回収プラント(14)は、前記煙道ガス(8)から抽出されたアンモニアを中和するための洗浄ユニット(29)を有する、アンモニアを母材とする回収プラントであり、前記方法は、前記冷却器(24)で収集された硝酸を前記洗浄ユニット(29)に供給することから成ることを特徴とする請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−87794(P2012−87794A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−228776(P2011−228776)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】