説明

発電プラント

【課題】
既知の技術の問題点に対処する発電プラントおよび方法を提供することである。
【解決手段】
監視システムが、少なくとも一つの再循環流質量流量センサ(30)と、少なくとも一つの再循環流酸素濃度センサ(31)と、混合気体質量流量の少なくとも一つのセンサ(32)と、コンプレッサ入口の作業上流側で酸素濃度に達するように、少なくとも一つの再循環流質量流量センサ(30)と、再循環流酸素濃度センサ(31)と、混合気体質量流量のセンサ(32)により検出される情報を精緻に加工するために配置された制御ユニット(35)を備えていることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電プラントに関する。特に以下において、煙道ガス再循環(flue gas recirculation)と二酸化炭素捕捉ユニットを備えた発電プラントに関して言及する。
【背景技術】
【0002】
図1に関して、特許文献1はコンプレッサ2、燃焼室3およびタービン4を備えたガスタービンユニット1を有する発電プラントを開示している。
【0003】
環境から流入する外気7を含む混合気体(mixture)6がコンプレッサ2に送給され、(燃焼室3内部の燃料との混合気体6の燃焼に由来する)煙道ガス8がタービン4から排出される。
【0004】
(通常高温の)この煙道ガス(flue gas)8は、蒸気タービンユニット10の再熱ボイラ9に送給され、このボイラ9内において、煙道ガス8は、熱を蒸気ユニット10の水に伝達する。
【0005】
煙道ガス8は、ボイラ9から、再循環流(recirculated flow)12および排出流(discharged flow)13に分割されるべくダイバータ11に供給される。
【0006】
再循環流12は、冷却器14において冷却され、外気7と混合され、コンプレッサ2に送給される混合気体6を形成するために、ファン15を介して混合器16に供給される。
【0007】
排出流13は、冷却器19において冷却され、続いて、後に22から大気に放出されるべくファン20を介してCO捕捉ユニット21に送給される。一方、CO捕捉ユニット21において捕捉されるCOは24内に貯蔵される。
【0008】
煙道ガス再循環のために、コンプレッサ入口での酸素の総量は外気中の酸素の総量よりも少ない。これに関して、外気酸素濃度は通常およそ21モル%であり、発電プラントのコンプレッサ入口での酸素の濃度は21モル%未満かあるいは21モル%よりもずっと低い。
【0009】
コンプレッサ入口での酸素の濃度が低すぎる場合、燃焼室3の内部では、酸素量が少なすぎて、かつ量論量(すなわち完全燃焼を達するために理論上必要とされる最低量)以下に落ちることもあることが明らかである。この場合、高一酸化炭素、不完全燃焼の炭化水素およびついには消炎を伴う不完全燃焼が起こることがある。
【0010】
作業上流側から来る、なお酸素が豊富な煙道ガスが供給される作業下流側の燃焼室を有する複数の燃焼室が使用される場合(連続燃焼式ガスタービン機関)、この問題は抜き差しならない。
【0011】
この理由で、ガスタービンユニットのコンプレッサ入口での酸素濃度の測定が必要とされる。
【0012】
それにも関らず、コンプレッサ入口の作業上流側の流れ条件は極めて複雑であり、かつ大きい渦、乱流および継続する混合を有することを特徴とする。実際のところ、酸素濃度の直接の測定は実施することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許公開第2010/072710号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の技術的な課題は、既知の技術の上記の問題点に対処する発電プラントおよび方法を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この技術的な課題の範囲内において、本発明の一態様は、ガスタービンユニットコンプレッサ入口のすぐ作業上流側の領域内での酸素濃度測定を可能にする発電プラントを提供することである。
【0016】
この技術的な課題は、この態様と他の態様と協働して、従属請求項による発電プラントを提供することにより達せられる。
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面における非限定的な例によって表現される発電プラントの好ましいが排他的でない実施形態に関する説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発電プラントの概略図である。
【図2】コンプレッサ入口の発電プラント作業上流側の部分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、すでに記述された発電プラントに対する言及を使用する。なぜなら
本発明における発電プラントは同じ特徴を有していることがあるからである。
【0020】
発電プラントはコンプレッサ2の入口において混合気体酸素濃度用の監視システムを備えている。
【0021】
監視システムは再循環流質量流量センサ30を備えており、この再循環流質量流量センサは混合器16の作業上流側で、好ましくはダイバータ11の作業下流側で接続している。
【0022】
再循環流酸素濃度センサ31も混合器16の作業上流側で接続しており、再循環流酸素濃度センサ31は冷却器14の作業下流側で接続しているのが好ましい。
【0023】
さらに、コンプレッサ2の作業上流側で接続している混合気体質量流量のセンサ32も設けられている。
【0024】
さらに監視システムは制御ユニット35を備えており、この制御ユニットはセンサ30,31および32に接続しており、かつコンプレッサ入口の作業上流側で(すなわちコンプレッサ入口で)酸素濃度に達するように、センサにより検出される情報を精緻に加工する(elaborate)ために配置されている。
【0025】
特に精緻な加工は次の式を基に行われる。
fg×[Ofg+Mfa×[Ofa=M×[O

ここで、Mfgは煙道ガスの質量流量
[Ofgは煙道ガスの酸素質量濃度
faは外気の質量流量
[Ofaは外気中の酸素質量濃度
はコンプレッサに供給される混合気体の質量流量
[Oはコンプレッサに供給される混合気体の酸素質量濃度
を示す。
−Mfgはセンサ30で測定される。
−[Ofgはセンサ31で測定される。
−Mfaは差M−Mfgを計算して求められる。
−[Ofaは公知であり、かつほぼ23質量%に等しい。
−Mはセンサ32で測定される。
−[Oは正確に計算できる。
【0026】
制御ユニット35はコンピュータを備えていて、その計算は制御ユニット35で作動するプログラムコードにより実行される。
【0027】
異なる実施形態において、センサ32は従来の質量流量センサであり、従って質量流を直接測定することができる。
【0028】
好ましい異なる実施形態において、センサ32により質量流量を間接的に測定することができる。この場合、混合気体質量流量のセンサ32は、温度センサ37、圧力センサ38および(コンプレッサの入口で)案内翼位置制御装置39を備えており、これらはコンプレッサマップ(compressor maps)と関連して精緻に加工される情報を供給し、必要とされる混合気体質量流量に達するために、制御ユニット35に接続している。これらのセンサはコンプレッサ2の流れ上流側の測定を提供するという意味でコンプレッサの上流側で接続されている。案内翼制御装置が案内翼そして一般的にコンプレッサに接続されているのが明瞭である。
【0029】
混合気体内での正確に計算された酸素濃度を基にして、調節と操作制御を行うことができる。例えば、FGR率(すなわち煙道ガス再循環比、この比はガスタービンユニットを通過する全質量流量により除算された再循環質量流量として定義されている)は、全操作条件においてコンプレッサ入口に供給される混合気体内の最小酸素濃度を保証するために調節される。
【0030】
さらに難しい実施形態も可能である。
【0031】
例えば、二つの冷却器14と19の代わりに、発電プラントは再熱ボイラ9とダイバータ11の間に設けられた冷却器(実例は図示していない)を一つだけ有していてもよい。この場合、センサ31はこの冷却器の作業下流側に、しかしダイバータ11の後方に設けられるのが好ましい。
【0032】
本発明はさらに発電プラントを操業するための方法にも関する。
【0033】
本方法は、再循環流質量流量を検出し、再循環流酸素濃度を検出し、混合気体質量流量を検出し、コンプレッサの入口の作業上流側の酸素濃度に達するように、検出される情報を精緻に加工する。
【0034】
記載された特徴は互いに独立して提供されるのが好ましい。
【0035】
使用される材料と寸法は実際、必要性と従来技術に応じて自由に選択できる。
【符号の説明】
【0036】
1 ガスタービンユニット
2 1のコンプレッサ
3、3a、3b 1の燃焼室
4、4a、4b 1のタービン
6 混合気体
7 外気
8 煙道ガス
9 10の再熱ボイラ
10 蒸気タービンユニット
11 ダイバータ
12 再循環流
13 排出流れ
14 冷却器
15 ファン
16 混合器
19 冷却器
20 ファン
21 CO捕捉ユニット
22 大気への放出
24 CO貯蔵

30 再循環流質量流量センサ
31 再循環流酸素濃度センサ
32 混合気体質量流量のセンサ
35 制御ユニット制御ユニット
37 温度センサ
38 圧力センサ
39 案内翼位置制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンユニット(1)を備えた発電プラントであって、このガスタービンユニットの煙道ガス(8)がダイバータ(11)に供給され、ダイバータにおいて、煙道ガスが再循環流(12)と排出流(13)に分流され、前記再循環流が外気(7)と共に混合器(16)に供給されて、ガスタービンユニット(1)のコンプレッサ(2)の入口に供給される混合気体(6)を形成し、
コンプレッサの入口で混合酸素の内容を監視するための監視システムが設けられている発電プラントにおいて、
監視システムが、
−少なくとも一つの再循環流質量流量センサ(30)と、
−少なくとも一つの再循環流酸素濃度センサ(31)と、
−混合質量流量の少なくとも一つのセンサ(32)と、
−コンプレッサ入口の作業上流側で酸素濃度に達するように、少なくとも一つの再循環流質量流量センサ(30)と、再循環流酸素濃度センサ(31)と、混合質量流量のセンサ(32)により検出される情報を精緻に加工するために配置された制御ユニット(35)を備えていることを特徴とする発電プラント。
【請求項2】
少なくとも一つの再循環流質量流量センサ(30)が、混合器(16)の作業上流側に接続していることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント。
【請求項3】
少なくとも一つの再循環流質量流量センサ(30)が、ダイバータ(11)の作業下流側に接続していることを特徴とする請求項2に記載の発電プラント。
【請求項4】
少なくとも一つの再循環流酸素濃度センサ(31)が、混合器(16)の作業上流側に接続していることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント。
【請求項5】
再循環流(12)のための流路における再熱ボイラ(9)の作業下流側に冷却器(14)が設けられており、少なくとも一つの再循環流酸素濃度センサ(31)が、冷却器(14)の作業下流側に接続していることを特徴とする請求項4に記載の発電プラント。
【請求項6】
混合質量流量の少なくとも一つのセンサ(32)の少なくとも一部が、コンプレッサ(2)の作業上流側に接続していることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント。
【請求項7】
混合質量流量の少なくとも一つのセンサ(32)が、質量流量の間接的測定を提供していることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント。
【請求項8】
混合質量流量の少なくとも一つのセンサ(32)が、温度センサ(37)と、圧力センサ(38)と、案内翼位置制御装置(3)を備えていることを特徴とする請求項7に記載の発電プラント。
【請求項9】
温度センサ(37)、圧力センサ(38)、および案内翼位置制御装置(3)
が、混合質量流量に達するように、関連して精緻に加工される情報を供給するために制御ユニット(35)に接続していることを特徴とする請求項8に記載の発電プラント。
【請求項10】
排出流(13)がCO捕捉ユニット(21)に供給されていることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント。
【請求項11】
ガスタービンユニット出口がダイバータ(11)に接続したボイラ(9)に接続していることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント。
【請求項12】
ガスタービンユニット(1)を備えた発電プラントを操業する方法であって、このガスタービンユニットの煙道ガス(8)がダイバータ(11)に供給され、ダイバータにおいて、煙道ガスが再循環流(12)と排出流(13)に分流され、前記再循環流が外気(7)と共に混合器(16)に供給されて、ガスタービンユニット(1)のコンプレッサ(2)の入口に供給される混合気体(6)を形成し、
コンプレッサの入口で混合酸素の内容を監視するための監視システムが設けられている方法において、
前記監視システムが、
−少なくとも一つの再循環流質量流量センサ(30)により、再循環流質量流量を検出し、
−少なくとも一つの再循環流酸素濃度センサ(31)により、再循環流酸素濃度を検出し、
−混合質量流量の少なくとも一つのセンサ(32)により、混合質量流量を検出し、
−コンプレッサ入口の作業上流側で酸素濃度に達するように、少なくとも一つの再循環流質量流量センサ(30)と、再循環流酸素濃度センサ(31)と、混合質量流量のセンサ(32)により検出される情報を精緻に加工することを特徴とする方法。
【請求項13】
排出流(13)がCO捕捉ユニット(21)に供給されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ガスタービンユニット(1)から来る煙道ガス(8)が蒸気タービンユニット(10)の再熱ボイラ(9)を通過し、ついでダイバータ(11)に供給されることを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−88037(P2012−88037A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−228774(P2011−228774)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland