説明

発電方法、タービン発電機、タービン発電機の制御方法、制御装置、および該タービン発電機を備えた船舶

【課題】需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、ディーゼルエンジンの燃料消費を浪費することなく発電電力を抑制できるタービン発電機の制御方法および装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ディーゼルエンジン3から排出される排気ガスの排気エネルギーを動力源として駆動されるパワータービン7と蒸気タービン9とを直列に結合してなるタービン発電機において、ディーゼルエンジン3は排気ターボ過給機5を備え、該排気ターボ過給機5に供給される前の排気ガスの一部を抽気して排気ガスをパワータービン7に供給量を調整して供給し、エコノマイザ11によって生成された蒸気を蒸気タービン9に供給量を調整して供給し、需要電力が減少し発電電力が余剰になったとき、パワータービン7への排気ガス供給量を減少せしめてパワータービン7の出力を最小にした後に、蒸気タービン9へ蒸気供給量を減少せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舶用ディーゼルエンジンや陸上発電機用ディーゼルエンジン等を構成するエンジン本体から排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力源として駆動されるパワータービン(ガスタービン)および蒸気タービンを直列に結合してなるタービン発電機、タービン発電機の制御方法および制御装置、さらに、発電方法、該タービン発電機を備えた船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガスの一部を過給機に送らず、パワータービン等に導いて排気エネルギーを動力して回収する技術が、特許文献1(特開昭63−186916号公報)で知られている。
また、この特許文献1には、パワータービンに排気ガスが入るときに排気ガス量を調整して、ディーゼルエンジンから過給機へ送られる排気ガス量の変化幅を小さくする技術が示されている。さらに、パワータービンに入る排気ガス量の調整は、パワータービンのガス入口を複数通路によって形成してそれぞれの通路にバイパス弁を設けて行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−186916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1では、パワータービンに入る排気ガス量は、バイパス弁の開閉制御によって行われている。また、ディーゼルエンジンの排気ガスの一部を抽気して、該抽気ガスをパワータービンに導くとともに、排気ガスの排熱を利用して生成される蒸気を蒸気タービンに導くようにして発電する排熱回収システムにおいては、従来はパワータービンへの排気ガスの導入量を制御する入口弁は、一般的にON、OFFの開閉弁であり、任意のガス量に制御する機能は有していない。
【0005】
一方、船舶の運航状況によっては、前記パワータービンおよび蒸気タービンによる合計出力が船内需要電力に対して余剰となることがあるが、パワータービンおよび蒸気タービンの発生出力は、ディーゼルエンジンの出力に依存するため、余剰電力対策を適切に行うことはディーゼルエンジンの燃料消費率の向上に極めて効果的である。
【0006】
かかる余剰電力対策として、従来は、軸発電機等を複数併設して、作動発電機を選択制御したり、また、抵抗を設置して消費させたり、さらに、発生する蒸気の余剰分を捨てて、蒸気タービンの出力を低下させる等の対策が採られていた。
しかし、軸発電機等を複数併設するには設置費用が増大し、またそれ以外の余剰電力の調整に伴うエネルギーの系外への放出は、ディーゼルエンジンの燃料の浪費でもある。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑み、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、ディーゼルエンジンの燃料消費を浪費することなく発電電力を抑制できる発電方法、タービン発電機、タービン発電機の制御方法および装置、さらに該タービン発電機を備えた船舶を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成するため、本願発明の第1発明は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力源として駆動されるパワータービン(ガスタービン)および蒸気タービンを直列に結合してなるタービン発電機の制御方法において、前記ディーゼルエンジンは排気ターボ過給機を備え、該排気ターボ過給機に供給される前の排気ガス(燃焼ガス)の一部を抽気し、該抽気された排気ガスを前記パワータービンに供給量を調整して供給し、排気ガス熱交換器によって生成された蒸気を前記蒸気タービンに供給量を調整して供給し、需要電力が減少し発電機の電力が余剰になったとき、パワータービンへの供給量を減少せしめてパワータービンの出力を最小にした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめることを特徴とする。
【0009】
また、第1発明のタービン発電機の制御方法を実施するための装置発明に関する第2発明は、前記タービン発電機の制御装置において、前記ディーゼルエンジンは排気ターボ過給機を備え、該排気ターボ過給機に供給される前の排気ガスの一部を抽気して該抽気を前記パワータービンへ供給する抽気通路と、該抽気通路に設けられて供給量を調整する排ガス量調整弁と、排気ガス熱交換器によって排気ガスの排熱と熱交換して生成された蒸気を蒸気タービンに供給する蒸気供給通路と、該蒸気供給通路に設けられて供給量を調整する蒸気量調整弁と、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったとき、前記排ガス量調整弁を絞ってパワータービンへの供給量を減少してパワータービンの出力を最小にした後に、前記蒸気量調整弁を絞って蒸気タービンへの供給量を減少せしめるコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
かかる第1発明、第2発明によれば、発電電力が余剰状態になったとき、まずパワータービンの出力を減少させることを行うため、すなわち、抽気ガス量を減少させることによって、排気ターボ過給機のタービン部への排気ガス量が増大してコンプレッサ部によって加圧されてディーゼルエンジンの燃焼室への給気量が増大してエンジンの燃焼効率が向上し燃料消費率が改善される。
【0011】
蒸気タービンの方から先に出力減少を行った場合には、排気ガス熱交換器で生成された蒸気を捨てる(ダンプして)ことで蒸気タービンの出力減少を行わなければならない。
この場合、排気ガス熱交換器によって生成された蒸気を無駄に捨てることになり、ディーゼルエンジンの燃料消費率の改善には好ましくないが、本発明では給気圧力を高めるように影響するためエンジンの燃焼効率の改善が効果的に得られる。
さらに、パワータービンおよび蒸気タービンともに速い出力制御が可能になるため、発電機の急激な負荷変動時の周波数、電圧変動を最小に抑えることが出来る。
【0012】
また、第1発明において、好ましくは、前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とが予め設定され、前記パワータービンによる供給可能電力を最小にした後に前記蒸気タービンによる供給電力を減少するとよい。また、前記パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめるとよい。
第2発明において、好ましくは、前記コントローラには、予めパワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とが設定される負荷分担制御部を備えて、供給可能な電力割合が設定されるとよい。また、前記パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめるとよい。
【0013】
それぞれの構成によれば、前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とを予め設定することで、パワータービンによる出力制御範囲をあらかじめ設定でき、燃料消費量を改善しつつ信頼性ある余剰電力の抑制が可能になる。また、あらかじめ発電能力を設定できるため、発電機の使用用途に応じた設計の自由度を有する。
また、パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめるため、燃料消費率が改善される。
【0014】
また、第2発明において、好ましくは、前記タービン発電機が船舶推進用のディーゼルエンジンの排気エネルギーによって駆動されるとともに、前記タービン発電機とは別に他のディーゼルエンジン発電機が設けられ、前記コントローラの負荷分担制御部には、前記タービン発電機のパワータービンによる供給可能電力と蒸気タービンによる供給可能電力と前記他のディーゼルエンジン発電機の供給可能電力が設定され、前記コントローラは船舶内の需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、前記他のディーゼルエンジン発電機の出力を最小にし、次に前記パワータービンの出力を最小にし、最後に前記蒸気タービンの出力を最小にするとよい。
【0015】
かかる構成によれば、供給電力が余剰状態にあるときに最初に、他のディーゼルエンジン発電機の出力を最小にし、依然余剰状態の場合には、タービン発電機のパワータービンの出力を最小にし、さらに余剰状態の場合には、蒸気タービンの出力を最小にすることで、すなわち、蒸気タービンの出力の減少を最終ステップとすることで、供給電力の過剰時に船舶推進用のディーゼルエンジン、さらに他のディーゼルエンジン発電機で消費される燃料消費率の改善を達成できる。
【0016】
次に、第3発明は、発電方法に関するものであり、ディーゼルエンジンを駆動して排気ガスを排出する工程と、前記ディーゼルエンジンから排出される排気ガスによってパワータービンを駆動する工程と、前記ディーゼルエンジンの排ガスを排気ガス熱交換器に導入して蒸気を生成する工程と、前記排気ガス熱交換器によって生成された蒸気により蒸気タービンを駆動する工程とを備えた発電方法において、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になった場合に前記パワータービンへの排気ガスの供給量を減少せしめる工程と、前記パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、前記蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめる工程と、を備えることを特徴とする。
また、第3発明において好ましくは、前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とを予め設定しておき、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になった場合に前記パワータービンによる供給電力を減少させて最小にした後に、前記蒸気タービンによる供給電力を減少せしめる工程、を備えるとよい。
また、第3発明において好ましくは、さらに他のディーゼルエンジン発電機を駆動する工程を備え、前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力と前記他のディーゼルエンジン発電機の供給可能電力とを予め設定しておき、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になった場合に前記他のディーゼルエンジン発電機による供給電力を減少させて最小にし、次に前記パワータービンによる供給電力を減少させて最小にし、その次に前記蒸気タービンによる供給電力を減少せしめる工程、を備えるとよい。また、前記パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめるとよい。
【0017】
次に、第4発明は、タービン発電機に関するものであり、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力源として駆動されるパワータービン(ガスタービン)および蒸気タービンを直列に結合してなるタービン発電機において、前記ディーゼルエンジンは排気ターボ過給機を備え、該排気ターボ過給機に供給される前の排気ガスの一部を抽気して該抽気を前記パワータービンへ供給する抽気通路と、該抽気通路に設けられて供給量を調整する排ガス量調整弁と、排気ガス熱交換器によって排気ガスの排熱と熱交換して生成された蒸気を蒸気タービンに供給する蒸気供給通路と、該蒸気供給通路に設けられて供給量を調整する蒸気量調整弁と、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったとき、前記排ガス量調整弁を絞ってパワータービンへの排気ガスの供給量を減少せしめてパワータービンの出力を最小にした後に、前記蒸気量調整弁を絞って蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめるコントローラと、を備えたことを特徴とする。
また第4発明において好ましくは、前記コントローラには、予め前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とが設定される負荷分担制御部を備えて、供給可能な電力割合が設定されるとよい。
また、第4発明において好ましくは、前記タービン発電機が船舶推進用のディーゼルエンジンの排気ガスの排気エネルギーによって駆動されるとともに、前記タービン発電機とは別に他のディーゼルエンジン発電機が設けられ、前記コントローラの負荷分担制御部には、前記タービン発電機の前記パワータービンによる供給可能電力と蒸気タービンによる供給可能電力と前記他のディーゼルエンジン発電機の供給可能電力が設定され、前記コントローラは船舶内の需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、前記他のディーゼルエンジン発電機による供給電力を減少させて最小にし、次に前記パワータービンによる供給電力を減少させて最小にし、その次に前記蒸気タービンによる供給電力を減少せしめるとよい。また、前記パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめるとよい。
【0018】
次に、第5発明は、第4発明と同様にタービン発電機に関するものであり、ディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを動力源として駆動するパワータービンと、前記ディーゼルエンジンから排出される排気ガスと熱交換して蒸気を生成する排気ガス熱交換器と、前記排気ガス熱交換器で生成した蒸気を動力源として駆動する蒸気タービンを備えるタービン発電機において、前記ディーゼルエンジンは排気ターボ過給機と、前記排気ターボ過給機に供給される前の排気ガスの一部を抽気して前記パワータービンへ供給する抽気通路と、前記抽気通路に設けられて供給量を調整する排気ガス量調整弁と、前記排気ガス熱交換器によって排気ガスと熱交換して生成された蒸気を前記蒸気タービンに供給する蒸気供給通路と、前記蒸気供給通路に設けられて供給量を調整する蒸気量調整弁と、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったとき、前記排気ガス量調整弁を絞って前記パワータービンへの排気ガスの供給量を減少させて前記パワータービンの出力を最小にした後に、前記蒸気量調整弁を絞って前記蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめるコントローラと、を備えたことを特徴とする。
また、第5発明において好ましくは、前記コントローラには、予め前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とが設定される負荷分担制御部を備えて、供給可能な電力割合が設定されるとよい。
また、第5発明において好ましくは、前記タービン発電機が船舶推進用のディーゼルエンジンの排気ガスの排気エネルギーによって駆動されるとともに、前記タービン発電機とは別に他のディーゼルエンジン発電機が設けられ、前記コントローラの負荷分担制御部には、前記タービン発電機のパワータービンによる供給可能電力と蒸気タービンによる供給可能電力と前記他のディーゼルエンジン発電機の供給可能電力が設定され、前記コントローラは船舶内の需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、前記他のディーゼルエンジン発電機による供給電力を減少させて最小にし、次に前記パワータービンによる供給電力を減少させて最小にし、その次に前記蒸気タービンによる供給電力を減少せしめるとよい。また、前記パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめるとよい。
以上の第3発明、第4発明、第5発明によれば、前述した第1発明、第2発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0019】
次に、第6発明は、第2発明と同様にタービン発電機の制御装置に関するものである。また、第7発明は、船舶に関するものであり、前述した第4発明、第5発明のタービン発電機を備えることを特徴とする。
かかる第7発明によれば第4発明、第5発明のタービン発電機による作用効果を有する船舶を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、発電電力が余剰状態になったとき、発電機に対して直列に接続されているパワータービンの出力をまず減少させ、その後蒸気タービンの出力を減少させるため、最初にパワータービンの出力減少に伴ってディーゼルエンジンの排気ターボ過給機のタービン部への排気ガス量が増大して、排気ターボ過給機による加圧給気の増大によってディーゼルエンジンの燃焼効率が向上して燃料消費率が改善されることで、余剰電力の発生をディーゼルエンジンの燃料消費を浪費することなく抑制できる発電方法、タービン発電機、タービン発電機の制御方法および装置、さらに該タービン発電機を備えた船舶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかるタービン発電機の全体構成図である。
【図2】第1実施形態の制御装置全体構成を示す構成図である。
【図3】第1実施形態のフローチャートである。
【図4】第1実施形態の供給電力の余剰抑制状態を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の制御装置全体構成を示す構成図である。
【図6】第2実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかるタービン発電機の全体構成図である。舶用ディーゼルエンジンへの適用を例にして説明する。
タービン発電機1は、船舶推進用のディーゼルエンジン3と、排気ターボ過給機5と、パワータービン(ガスタービン)7と、蒸気タービン9と、排気ガス熱交換器としての排ガスエコノマイザ11とを具備して構成されている。
ディーゼルエンジン3からの出力はプロペラ軸を介してスクリュープロペラに直接的または間接的に接続されている。また、ディーゼルエンジン3の各気筒のシリンダ部13の排気ポートは排気ガス集合管としての排気マニホールド15に接続され、排気マニホールド15は、第1排気管L1を介して排気ターボ過給機5のタービン部5aの入口側と接続され、また、排気マニホールド15は第2排気管L2(抽気通路)を介してパワータービン7の入口側と接続されて、排気ガスの一部が、排気ターボ過給機5に供給される前に抽気されてパワータービン7に供給されるようになっている。
【0024】
一方、各シリンダ部13の給気ポートは給気マニホールド17に接続されており、給気マニホールド17は、給気管K1を介して排気ターボ過給機5のコンプレッサ部5bと接続している。また、給気管K1には空気冷却器(インタークーラ)19が設置されている。
排気ターボ過給機5は、タービン部5aと、コンプレッサ部5bと、タービン部5aとコンプレッサ部5bを連結する回転軸5cとより構成されている。
【0025】
パワータービン7は、第2排気管L2を介して排気マニホールド15から抽気された排気ガスによって回転駆動されるようになっており、また、蒸気タービン9は、排ガスエコノマイザ11によって生成された蒸気が供給されて回転駆動されるようになっている。
この排ガスエコノマイザ11は、排気ターボ過給機5のタービン部5aの出口側から第3排気管L3を介して排出される排気ガスと、パワータービン7の出口側から第4排気管L4を介して排出される排気ガスとが、導入されて熱交換部21によって、排気ガスの熱によって給水管23によって供給された水を蒸発させて蒸気を発生させる。そして、排ガスエコノマイザ11で生成された蒸気は第1蒸気管J1を介して蒸気タービン9に導入され、また、該蒸気タービン9で仕事を終えた蒸気は第2蒸気管J2によって排出されて図示しないコンデンサ(復水器)に導かれるようになっている。
【0026】
パワータービン7と蒸気タービン9とは直列に結合されて発電機25を駆動するようになっている。蒸気タービン9の回転軸29は図示しない減速機およびカップリングを介して発電機25に接続し、また、パワータービン7の回転軸27は図示しない減速機およびクラッチ31を介して蒸気タービン9の回転軸29と連結されている。
【0027】
また、第2排気管L2には、パワータービン7に導入するガス量を制御する排ガス量調整弁33と、非常時にパワータービン7への排気ガスの供給を遮断する非常停止用緊急遮断弁35とが設けられている。また、非常停止用緊急遮断弁35が遮断したときに、排気ターボ過給機5のタービン部5aへの過過給(エンジンの最適運転圧力を超えての過給)を防止するためにバイパス弁34が第4排気管L4との間に設けられている。
【0028】
さらに、第1蒸気管J1には、蒸気タービン9に導入する蒸気量を制御する蒸気量調整弁37と、非常時に蒸気タービン9への蒸気の供給を遮断する非常停止用緊急遮断弁39とが設置されている。前記排ガス量調整弁33および蒸気量調整弁37は、後述するコントローラ41によって、その開度が制御される。
以上のように発電機25は、船舶推進用のディーゼルエンジン3の排気ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力として駆動されるようになっており、排気エネルギー回収装置を構成している。
【0029】
図2に示すように、コントローラ43には、発電機25の出力電力を検出する電力センサ45からの信号が入力され、発電機25の回転速度として蒸気タービン9の回転軸29の回転速度を検出する回転センサ49からの信号が入力されている。さらに、船内消費電力を検出する船内消費電力センサ51からの信号が入力されている。
【0030】
また、コントローラ43には、負荷分担制御部53、パワータービン用ガバナー部55、蒸気タービン用ガバナー部57を備え、負荷分担制御部53には、予め、パワータービン7による供給可能電力(出力分担割合)が、例えばA(KW)に設定され、蒸気タービン9による供給可能電力(出力分担割合)が、例えばB(KW)に設定され(図4参照)ている。
そして、負荷分担制御部53から設定された分担割合に応じた発電能力の指示信号が、パワータービン用ガバナー部55、蒸気タービン用ガバナー部57にそれぞれ出力される。
【0031】
パワータービン用ガバナー部55は、予め設定された前記負荷分担制御部53からのパワータービン7の出力分担割合に応じて、設定されている回転数ドループ制御(比例制御)による制御関数に基づいて、発電機25の回転速度変動に対して目標回転速度に安定させるように、回転センサ49で検出される実回転速度との偏差を基に制御信号が算出される。そして、該制御信号が排ガス量調整弁33に出力され、該排ガス量調整弁33の開度が制御されてパワータービン7に供給される排ガス流量が制御される。この回転数ドループ制御関数とは、回転速度目標値と実際に制御された現在の回転速度との偏差に比例ゲインをかけることにより制御量を演算する関数である。
【0032】
また、蒸気タービン用ガバナー部57においても、前記パワータービン用ガバナー部55と同様に、予め設定された前記負荷分担制御部53からの蒸気タービン9の出力負担割合に応じて、設定されている回転数ドループ制御(比例制御)による制御関数に基づいて、発電機25の回転速度変動に対して目標回転速度に安定させるように、回転センサ49で検出される実回転速度との偏差を基に制御信号が算出される。そして、該制御信号が蒸気量調整弁37に出力され、該蒸気量調整弁37の開度が制御されて蒸気タービン9に供給される蒸気量が制御されるようになっている。
【0033】
次に、需要電力が減少して発電機25による発電電力が余剰状態になったときの出力抑制方法について、図3のフローチャート、および図4の供給電力説明図を基に説明する。
【0034】
まず、ステップS1において制御を開始すると、ステップS2で船内消費電力センサ51からの信号と、発電機25の電力センサ45からの信号とに基づいて、発電機25からの発電電力が船内消費電力を超えて余剰状態にあるか否かを判定する。超えている場合には、ステップS3において、パワータービン7の出力を減少させて最小まで低下させる。
【0035】
このパワータービン7の出力を減少させて最小にするとは、あらかじめ設定された最小の出力まで低下すること、またパワータービン7の出力をゼロにすることをも含む。そして、ステップS4において、再び発電機25からの発電電力が船内消費電力を超えて余剰状態にあるか否かを判定する。
【0036】
なお、パワータービン7の出力を減少させて最小にする際に、段階的に最小まで低下させても、連続的に低下させてもよく、最小に達する前にステップS4の判定を行って余剰状態にあるかを判定しつつ最小にするようにしてもよいことは勿論である。
パワータービン7の出力を最小にするには、具体的には、コントローラ43に備えられたパワータービン用ガバナー部55からの信号によって排ガス量調整弁33の開度が調整される。発電機25の回転数と発電電力とはほぼ比例関係にあるため、余剰電力の場合には、船内消費電力に基づく目標発電電力に相当する発電機25の目標回転速度になるようにパワータービン7の出力が低下する。
【0037】
ステップS4において、発電機25からの発電電力が船内消費電力を超えて余剰状態にある場合には、既にパワータービン7は最小まで低下されているため、次のステップS5に進んで蒸気タービン9の出力を減少させて、ステップS6で終了する。
ステップS6で終了後に再びステップS1に戻り、ステップS2からの処理を繰り返す。繰り返しは一定時間間隔で行われる。
【0038】
前記供給電力の抑制状態を示す図4において、負荷分担制御部53によって初期設定されたパワータービン(PT)7の出力A(KW)と、蒸気タービン(ST)9の出力B(KW)とが、パワータービン7だけが、出力抑制されて最小値として設定されたA−ΔAに電力低下が行われる。
【0039】
以上の第1実施形態によれば、発電電力が余剰状態になったとき、まずコントローラ43によってパワータービン7の出力を減少させることを行うため、すなわち、排気マニホールド15から抽気された排気ガス量が減少して、排気ターボ過給機5のタービン部5aへの排気ガス量が増大してコンプレッサ部5bによって加圧されてディーゼルエンジン3の燃焼室への給気量が増大してエンジンの燃焼効率が向上し燃料消費率が改善される。
【0040】
蒸気タービン9の方から先に出力の低下を行った場合には、排ガスエコノマイザ11で生成された蒸気を捨てる(ダンプして)ことで蒸気タービン9の出力の低下を行わなければならない。この場合、排ガスエコノマイザ11によって生成された蒸気を無駄に捨てることになり、ディーゼルエンジン3の燃料消費率の改善には好ましくない。本発明では燃焼室への給気圧力を高めるように影響するためエンジンの燃焼効率の改善が効果的に得られる。
さらに、パワータービン7および蒸気タービン9ともに速い出力制御が可能になるため、発電機25の急激な負荷変動時の周波数、電圧変動を最小に抑えることが出来る。
【0041】
また、パワータービン7による供給可能電力と蒸気タービン9による供給可能電力とを予め設定することで、パワータービン7による出力制御範囲をあらかじめ設定でき、燃料消費量を改善しつつ信頼性ある余剰電力の抑制が可能になる。また、あらかじめ発電能力を設定できるため、発電機の使用用途に応じた設計の自由度を有する。
【0042】
さらに、第1実施形態によれば、パワータービン7の出力制御と、蒸気タービン9の出力制御とをそれぞれ独立のパワータービン用ガバナー部55および蒸気タービン用ガバナー部57を用いて制御するため、パワータービン7の出力制御と蒸気タービン9の出力制御とを関連づけることなく別々に独自に制御でき、最初にパワータービン7のみの出力の減少が可能になる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図5、6を参照して説明する。第2実施形態は、図5に示すように、発電機25によって発電された電力が船内に供給されると共に、船内に別途設置された複数のディーゼルエンジン発電機(他のディーゼルエンジン発電機)60からの電力と合流して船内電源として利用される。
すなわち、第1実施形態で説明した発電機25は、プロペラ軸を介してスクリュープロペラに直接的または間接的に接続される船舶推進用のディーゼルエンジン3からの排気ガスを回収して利用することで発電するものであるが、第2実施形態においては、この発電機25に加えて、さらに別途発電専用のディーゼルエンジン発電機60を備えたものである。
【0044】
コントローラ62の負荷分担制御部64には、予め、パワータービン7による供給可能電力(出力分担割合)、蒸気タービン9による供給可能電力(出力分担割合)、さらに、船内に別途設置された複数のディーゼルエンジン発電機60による供給可能電力(出力分担割合)が設定されている。
そして、負荷分担制御部64から、前記設定された割合から算出した供給可能電力、または設定された供給可能電力をパワータービン用ガバナー部55、蒸気タービン用ガバナー部57、さらにディーゼルエンジン発電機60のガバナー部(不図示)に指示する。
【0045】
次に、発電機25およびディーゼルエンジン発電機60による発電出力が船内消費電力を上回り、発電出力が余剰状態にある時の出力抑制方法について、図6のフローチャートを参照して説明する。
第1実施形態の図3のフローチャートに対して、ステップS12、S13が追加されたもので、ステップS14からS18は第1実施形態と同一である。
【0046】
まず、ステップS11において制御を開始すると、ステップS12で船内消費電力センサ51からの信号と、発電機25の電力センサ45からの電力信号と、ディーゼルエンジン発電機60からの電力信号とに基づいて、発電機25からの発電電力とディーゼルエンジン発電機60の合計発電電力が、船内消費電力を超えて余剰状態にあるか否かを判定する。超えている場合には、ステップS13において、ディーゼルエンジン発電機(他のディーゼルエンジン発電機)60の出力を最小にする。そして、ステップS14で、再度発電機25からの発電電力とディーゼルエンジン発電機60からの発電電力との合計発電電力が、船内消費電力を超えて余剰状態にあるか否かを判定する。超えている場合にはステップS15でパワータービン7の出力を最小にする。ステップS14以降は第1実施形態と同様である。
【0047】
かかる第2実施形態によれば、供給電力が余剰状態にあるときに最初に、ディーゼルエンジン発電機60の出力を最小にし、依然余剰状態の場合には、パワータービン7の出力を最小にし、さらに余剰状態の場合には、蒸気タービン9の出力を最小にすることで、すなわち、蒸気タービン9の出力の低下を最終ステップとすることで、供給電力の過剰時にタービン発電用のディーゼルエンジン3、さらにディーゼルエンジン発電機60で消費される燃料消費率の改善を効率的に達成できる。その他については、前記第1実施形態で説明したものと同様の構成および作用効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、舶用ディーゼルエンジンや陸上発電機用ディーゼルエンジン等を構成するエンジン本体から排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力源として駆動されるパワータービン(ガスタービン)および蒸気タービンを直列に結合してなるタービン発電機において、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、ディーゼルエンジンの燃料消費を浪費することなく発電電力を抑制できるので、タービン発電機の制御方法および装置に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0049】
1 タービン発電機
3 ディーゼルエンジン
5 排気ターボ過給機
7 パワータービン(ガスタービン)
9 蒸気タービン
11 排ガスエコノマイザ(排気ガス熱交換機)
13 シリンダ部
15 排気マニホールド
17 給気マニホールド
25 発電機
33 排ガス量調整弁
37 蒸気量調整弁
43 コントローラ
45 電力センサ
49 回転センサ
51 船内消費電力センサ
53 負荷分担制御部
55 パワータービン用ガバナー部
57 蒸気タービン用ガバナー部
60 ディーゼルエンジン発電機(他のディーゼルエンジン発電機)
L1 第1排気管
L2 第2排気管(抽気通路)
L3 第3排気管
L4 第4排気管
K1 給気管
J1 第1蒸気管
J2 第2蒸気管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力源として駆動されるパワータービン(ガスタービン)および蒸気タービンを直列に結合してなるタービン発電機の制御方法において、
前記ディーゼルエンジンは排気ターボ過給機を備え、該排気ターボ過給機に供給される前の排気ガス(燃焼ガス)の一部を抽気し、該抽気された排気ガスを前記パワータービンに供給量を調整して供給し、排気ガス熱交換器によって生成された蒸気を前記蒸気タービンに供給量を調整して供給し、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったとき、パワータービンへの供給量を減少せしめてパワータービンの出力を最小にした後に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめることを特徴とするタービン発電機の制御方法。
【請求項2】
前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とが予め設定され、前記パワータービンによる供給可能電力を最小にした後に前記蒸気タービンによる供給電力を減少することを特徴とする請求項1記載のタービン発電機の制御方法。
【請求項3】
前記パワータービンの出力を最小にした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項記載のタービン発電機の制御方法。
【請求項4】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力源として駆動されるパワータービン(ガスタービン)および蒸気タービンを直列に結合してなるタービン発電機の制御装置において、
前記ディーゼルエンジンは排気ターボ過給機を備え、該排気ターボ過給機に供給される前の排気ガスの一部を抽気して該抽気を前記パワータービンへ供給する抽気通路と、該抽気通路に設けられて供給量を調整する排ガス量調整弁と、排気ガス熱交換器によって排気ガスの排熱と熱交換して生成された蒸気を蒸気タービンに供給する蒸気供給通路と、該蒸気供給通路に設けられて供給量を調整する蒸気量調整弁と、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったとき、前記排ガス量調整弁を絞ってパワータービンへの供給量を減少してパワータービンの出力を最小にした後に、前記蒸気量調整弁を絞って蒸気タービンへの供給量を減少せしめるコントローラと、を備えたことを特徴とするタービン発電機の制御装置。
【請求項5】
前記コントローラには、予めパワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とが設定される負荷分担制御部を備えて、供給可能な電力割合が設定されることを特徴とする請求項4記載のタービン発電機の制御装置。
【請求項6】
前記タービン発電機が船舶推進用のディーゼルエンジンの排気エネルギーによって駆動されるとともに、前記タービン発電機とは別に他のディーゼルエンジン発電機が設けられ、前記コントローラの負荷分担制御部には、前記タービン発電機のパワータービンによる供給可能電力と蒸気タービンによる供給可能電力と前記他のディーゼルエンジン発電機の供給可能電力が設定され、前記コントローラは船舶内の需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、前記他のディーゼルエンジン発電機の出力を最小にし、次に前記パワータービンの出力を最小にし、最後に前記蒸気タービンの出力を最小にすることを特徴とする請求項4記載のタービン発電機の制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記パワータービンの出力を最小にした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のタービン発電機の制御装置。
【請求項8】
ディーゼルエンジンを駆動して排気ガスを排出する工程と、前記ディーゼルエンジンから排出される排気ガスによってパワータービンを駆動する工程と、前記ディーゼルエンジンの排ガスを排気ガス熱交換器に導入して蒸気を生成する工程と、前記排気ガス熱交換器によって生成された蒸気により蒸気タービンを駆動する工程とを備えた発電方法において、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になった場合に前記パワータービンへの排気ガスの供給量を減少せしめる工程と、前記パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、前記蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめる工程と、を備えることを特徴とする発電方法。
【請求項9】
前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とを予め設定しておき、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になった場合に前記パワータービンによる供給電力を減少させて最小にした後に、前記蒸気タービンによる供給電力を減少せしめる工程、を備えることを特徴とする請求項8に記載の発電方法。
【請求項10】
さらに他のディーゼルエンジン発電機を駆動する工程を備えた請求項8の発電方法において、前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力と前記他のディーゼルエンジン発電機の供給可能電力とを予め設定しておき、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になった場合に前記他のディーゼルエンジン発電機による供給電力を減少させて最小にし、次に前記パワータービンによる供給電力を減少させて最小にし、その次に前記蒸気タービンによる供給電力を減少せしめる工程、を備えることを特徴とする請求項8に記載の発電方法。
【請求項11】
前記パワータービンの出力を減少させて最小とした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の発電方法。
【請求項12】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気エネルギーを動力源として駆動されるパワータービン(ガスタービン)および蒸気タービンを直列に結合してなるタービン発電機において、前記ディーゼルエンジンは排気ターボ過給機を備え、該排気ターボ過給機に供給される前の排気ガスの一部を抽気して該抽気を前記パワータービンへ供給する抽気通路と、該抽気通路に設けられて供給量を調整する排ガス量調整弁と、排気ガス熱交換器によって排気ガスの排熱と熱交換して生成された蒸気を蒸気タービンに供給する蒸気供給通路と、該蒸気供給通路に設けられて供給量を調整する蒸気量調整弁と、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったとき、前記排ガス量調整弁を絞ってパワータービンへの排気ガスの供給量を減少せしめてパワータービンの出力を最小にした後に、前記蒸気量調整弁を絞って蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめるコントローラと、を備えたことを特徴とするタービン発電機。
【請求項13】
前記コントローラには、予め前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とが設定される負荷分担制御部を備えて、供給可能な電力割合が設定されることを特徴とする請求項12に記載のタービン発電機。
【請求項14】
前記タービン発電機が船舶推進用のディーゼルエンジンの排気ガスの排気エネルギーによって駆動されるとともに、前記タービン発電機とは別に他のディーゼルエンジン発電機が設けられ、前記コントローラの負荷分担制御部には、前記タービン発電機の前記パワータービンによる供給可能電力と蒸気タービンによる供給可能電力と前記他のディーゼルエンジン発電機の供給可能電力が設定され、前記コントローラは船舶内の需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、前記他のディーゼルエンジン発電機による供給電力を減少させて最小にし、次に前記パワータービンによる供給電力を減少させて最小にし、その次に前記蒸気タービンによる供給電力を減少せしめることを特徴とする請求項12に記載のタービン発電機。
【請求項15】
前記コントローラは、前記パワータービンの出力を最小にした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のタービン発電機。
【請求項16】
ディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを動力源として駆動するパワータービンと、前記ディーゼルエンジンから排出される排気ガスと熱交換して蒸気を生成する排気ガス熱交換器と、前記排気ガス熱交換器で生成した蒸気を動力源として駆動する蒸気タービンを備えるタービン発電機において、前記ディーゼルエンジンは排気ターボ過給機と、前記排気ターボ過給機に供給される前の排気ガスの一部を抽気して前記パワータービンへ供給する抽気通路と、前記抽気通路に設けられて供給量を調整する排気ガス量調整弁と、前記排気ガス熱交換器によって排気ガスと熱交換して生成された蒸気を前記蒸気タービンに供給する蒸気供給通路と、前記蒸気供給通路に設けられて供給量を調整する蒸気量調整弁と、需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったとき、前記排気ガス量調整弁を絞って前記パワータービンへの排気ガスの供給量を減少させて前記パワータービンの出力を最小にした後に、前記蒸気量調整弁を絞って前記蒸気タービンへの蒸気の供給量を減少せしめるコントローラと、を備えたことを特徴とするタービン発電機。
【請求項17】
前記コントローラには、予め前記パワータービンによる供給可能電力と前記蒸気タービンによる供給可能電力とが設定される負荷分担制御部を備えて、供給可能な電力割合が設定されることを特徴とする請求項16に記載のタービン発電機。
【請求項18】
前記タービン発電機が船舶推進用のディーゼルエンジンの排気ガスの排気エネルギーによって駆動されるとともに、前記タービン発電機とは別に他のディーゼルエンジン発電機が設けられ、前記コントローラの負荷分担制御部には、前記タービン発電機のパワータービンによる供給可能電力と蒸気タービンによる供給可能電力と前記他のディーゼルエンジン発電機の供給可能電力が設定され、前記コントローラは船舶内の需要電力が減少して発電電力が余剰状態になったときに、前記他のディーゼルエンジン発電機による供給電力を減少させて最小にし、次に前記パワータービンによる供給電力を減少させて最小にし、その次に前記蒸気タービンによる供給電力を減少せしめることを特徴とする請求項16に記載のタービン発電機。
【請求項19】
前記コントローラは、前記パワータービンの出力を最小にした後に、さらに発電電力が需要電力を上回る場合に、前記蒸気タービンへの供給量を減少せしめることを特徴とする請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のタービン発電機。
【請求項20】
請求項16から請求項19のいずれか1項に記載のタービン発電機に備えられる前記コントローラによって、タービン発電機の運転を制御することを特徴とするタービン発電機の制御装置。
【請求項21】
前記請求項12から請求項19のいずれか1項に記載のタービン発電機を備えることを特徴とする船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29111(P2013−29111A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−218846(P2012−218846)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2009−174962(P2009−174962)の分割
【原出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】