説明

発電機および発電機の検査方法

【課題】 発電機および発電機の検査方法を提供する。
【解決手段】 発電機1は、固定子3および回転子4を包み込むケーシング2を備える。このケーシング2は、発電機の運転中に発電機のケーシング内部7を検査できる開口部5を有する。この方法は、発電機の運転中に、ケーシング2の開口部5を通してケーシング内部7を検査することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機および発電機の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機は、固定子および回転子を収納するケーシングを備えることが知られている。
【0003】
回転子はファンを支持している。このファンは、運転中、固定子および回転子を冷却するために、ケーシング内部に包含される気体(通常空気または水素)を循環させる。
【0004】
ケーシングには、通常、例えば保守整備作業のために作業員がその中に入れるようにするドアが設けられる。
【0005】
この点に関して、定期的な保守整備作業が行われる場合には、作業員が発電機のケーシングの中に入り、固定子、回転子およびケーシング内部の他の構成要素を点検した後、必要な保守整備作業を行う。
【0006】
この手順は、効率的に実施されるべき保守整備作業という点から見ると不釣合いに長い発電機の停電を必要とする。それは、作業員が実際にケーシングの内部にアクセスしないと、損傷部品または問題のある部品を作業員が発見することができず、その後に、入手し得ない可能性もある必要とし得る予備部品を集めることになるからである。
【0007】
さらに、発電機の運転中はケーシングの内部にはアクセスできないので、問題が生じた場合、固定子、回転子またはケーシング内部の他の構成要素の状態を点検することが不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の技術的な目的は、既知の技術の前記の問題点が取り除かれる発電機および発電機の検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この技術的な目的の範囲内において、本発明の一態様は、保守整備作業の質を低下させることなく、換言すれば、作業員が保守整備作業に費やす時間を短縮することなく、定期的な保守整備作業のための発電機の停電を短縮し得る発電機および方法を提供するためのものである。
【0010】
本発明の別の態様は、発電機の運転中にも、固定子、回転子またはケーシング内部の他の構成要素の状態を点検するために、発電機を停止する必要なく発電機ケーシングの内部へのアクセスを可能にする発電機および方法を提供するためのものである。
【0011】
技術的な目的は、これらの態様および別の態様と共に、添付の特許請求の範囲による発電機および方法を提供することによって本発明に従って実現される。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として添付の図面に示した、好ましいが排他的ではない本発明の実施形態についての説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態における発電機の概略的な斜視図である。
【図2】図1の一部分の断面図である。
【図3】図1の一部分の別の断面図である。
【図4】発電機ケーシングの内部に設けることができるセンサーを備えたガイドの斜視図である。
【図5】異なる実施形態における発電機の一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照すると、これらの図面は、固定子3および回転子4を包み込むケーシング2を備えた発電機1を示す。
【0015】
ケーシング2は、発電機の運転中に発電機のケーシング内部7を外部から検査できる開口部5を有する。
【0016】
特に、発電機の運転中に、開口部5を通して、センサー6がケーシング内部7にアクセスできる。
【0017】
開口部5は、ケーシング2に結合されかつボックス状の構造を有するフランジ8内に画定される。
【0018】
開口部5には、曲線断面を有する透明な部品9(例えばガラス製)を設けるのが有利である。図に示すように、曲線断面は、その中心部分がケーシング2の内部に突き出たU字形の断面にすることが望ましい。図2は、第1実施形態の透明部品9を実線で、第2実施形態を破線で示している。
【0019】
透明部品9は、ボックス状構造のフランジ8の側部のケーシング内部7に向く側に結合される。対照的に、ボックス状構造のフランジ8の側部のケーシングの外側10(空気側)に向く側には、カバー11が設けられる。
【0020】
カバー11は、発電機の正常運転の間閉じることができ(図2)、必要な場合にのみ開けることができる(例えば、図3は、センサー6が開口部5にアクセスできるように、カバー11が取り外されている状態を示す)。これによって、透明部品9を、例えばダストに対して防護できる。
【0021】
以上述べた発電機の実施形態は、密閉水素冷却発電機において実施するのに特に適している。
【0022】
この場合、発電機のケーシング内部7からの水素の漏出を防止するため、シール12も装備することが望ましい。
【0023】
この実施形態における開口部5を備えた発電機の運転は、上に述べたところから明らかであり、およそ次のとおりである。
【0024】
正常運転の間は、カバー11が開口部5を覆って透明部品9を保護する(図2)。
【0025】
例えば、保守整備作業に先立って発電機のケーシング内部7を点検しなければならない場合(保守整備作業は、作業員が直接アクセスし得るように、発電機を停止してケーシングを開放することが必要である)は、カバー11を取り外して、センサー6をボックス状構造のフランジ8の中に導入する(図3)。図示のように、センサー6が透明部品9を損なうことはない。
【0026】
すなわち、センサー6は測定または監視操作を実行できる。
【0027】
センサー6は、ケーシング2を開放する必要なく発電機のケーシング内部7を観察するためのカメラとすることができる(水素冷却発電機の場合、ケーシング2を開放するには1/2日以上を要する場合があるからである)。
【0028】
使用可能な他のセンサーは、対応する測定を実施するための電界強度または磁界強度センサー、あるいはボロスコープである。
【0029】
以上の記述に対して修正および変形が可能である。
【0030】
例えば、発電機が空気冷却発電機である場合は、ボックス状構造のフランジ8を、カバー11および透明部品9なしにすることもできる。
【0031】
この場合は、運転中、センサー6が、発電機1のケーシング内部7に直接アクセスすることが可能である。
【0032】
また、この場合は、透明部品9が設けられる場合に可能な前記の検査/観察に加えて、きわめて局所的な測定も可能になる。
【0033】
特定の実施形態においては、発電機1に、内部センサー13、すなわち発電機ケーシング2の内部に納められるセンサーを設けることもできる。
【0034】
この場合は、内部センサー13は、発電機ケーシング2の内部において、冷却気体による大きな力に耐えなければならない。このため、センサー13はガイド14に(固定方式または摺動方式のいずれかによって)結合される。
【0035】
同じ理由(すなわち冷却気体によって加えられる力)から、安全な状態で運転するために、センサー13を直接監視する可能性(例えば開口部5に面するカメラを用いて)を用意することも非常に重要である。
【0036】
当然のことながら、センサー13を、必要な場合にのみ、開口部5を通してケーシング内部7に導入してガイド14に結合してもよい。
【0037】
本発明は発電機の検査方法にも関する。
【0038】
この方法は、発電機の運転中に、ケーシング2の開口部5を通して発電機のケーシング内部7を検査することを含む。
【0039】
当然のことながら、以上述べた特徴は、互いに独立に設けることができる。
【0040】
開口部を備えたフランジは、新規の発電機、およびまた(製造後の)既存の発電機にも適用し得る点が有利である。さらに、この開口部を備えたフランジは、内部の要件に従って任意の位置に装着可能である。
【0041】
実際の使用材料および寸法は、要件および現行技術に従って、随意に選択できる。
【符号の説明】
【0042】
1 発電機
2 ケーシング
3 固定子
4 回転子
5 開口部
6 センサー/ボロスコープ/カメラ
7 ケーシング内部
8 フランジ
9 透明部品
10 ケーシング外部(空気側)
11 カバー
12 シール
13 内部センサー
14 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子(3)および回転子(4)を包み込むケーシング(2)を備えた発電機(1)であって、前記ケーシング(2)が、発電機の運転中に発電機のケーシング内部(7)を検査できる少なくとも1つの開口部(5)を有することを特徴とする発電機(1)。
【請求項2】
前記開口部(5)が、前記ケーシング(2)に結合されるフランジ(8)内に画定されることを特徴とする、請求項1に記載の発電機(1)。
【請求項3】
前記フランジ(8)がボックス状の構造を有することを特徴とする、請求項2に記載の発電機(1)。
【請求項4】
前記開口部(5)に透明な部品(9)が設けられることを特徴とする、請求項1または3に記載の発電機(1)。
【請求項5】
前記透明な部品(9)が曲線断面を有することを特徴とする、請求項4に記載の発電機(1)。
【請求項6】
前記曲線断面が、その中心部分が前記ケーシング(2)の内部に突き出たU字形の断面であることを特徴とする、請求項5に記載の発電機(1)。
【請求項7】
前記透明部品(9)が、ケーシング内部(7)に向かって、前記ボックス状構造のフランジ(8)の側部に結合されることを特徴とする、請求項6に記載の発電機(1)。
【請求項8】
前記ボックス状構造のフランジ(8)の側部に、前記ケーシングの外側(10)に向って、カバー(11)が設けられることを特徴とする、請求項7に記載の発電機(1)。
【請求項9】
前記発電機ケーシング(2)の内部に納められる内部センサー(13)が設けられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発電機(1)。
【請求項10】
固定子(3)および回転子(4)を包み込むケーシング(2)を備えた発電機(1)の検査方法であって、発電機の運転中に、前記ケーシング(2)の開口部(5)を通してケーシング内部(7)を検査することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−200110(P2011−200110A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−60287(P2011−60287)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】