説明

発電機(FDG)

【課題】 単極発電機は一般的な電磁誘導を利用した発電機に比べ、逆トルクが無く小さな動力エネルギーで回転子を回す事が出来るが、出力電圧(V)は非常に小さいため、あまり実用化されていない。
【解決手段】 回転する導体内を貫く磁場の方向を交互に反転させ、該筒状の導体内の磁場の方向は遠心方向3aと求心方向3bを交互に成るようにする。該導体内の電気(電子)の流れがジグザク方向に流れるように該導体内に電気的通路を設けることにより、磁場内での電気(電子)の流れる距離を最長に出来、電圧(V)を高めることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は「ファラディの円盤」の原理に基づく発電機(FDG)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁誘導による発電機は、回転子に対して常に逆トルクが発生しており、発電のために回転子を回すには大きな動力エネルギーを消耗することになる。それ故、この方法による発電は地球環境の負荷が大きい。それを解決するためには逆トルクを伴わない「ファラディの円盤」の原理に基づく発電機、所謂、単極発電機が良い。単極発電機は磁石と導体を接合し、同じ軸上を回転させて発電するため逆トルクは発生せず、回転子を回転させる動力エネルギーは小さくて済む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、単極発電機が一般に普及されない原因は、大きな電流(A)を得ることは出来るが、電圧(V)は非常に小さいためによる。
【0004】
単極発電機では回転する導体(回転子)の軸側と周側で刷子(ブラシ)等で集電するが、これには特開2001−286117や特開H09−238458等で開示されているように、次の二つの問題が在る。一つは周側の導体の回転速度は軸側の速度よりも速く、周側の刷子(ブラシ)の磨耗破損が頻繁に起きる。もう一つは集電部が軸側と周側にあるため、一つの回転軸に複数の回転子を備えて直列接続させることが困難であるため、電圧を上げることが難しい。
【0005】
電圧を上げるためには、イ)導体を貫く磁場の磁力を高める、ロ)回転速度を速める、ハ)磁場内にある、導体内の電気(電子)の流れる距離を長くする。本発明は導体内に起電された電気(電子)の流れる距離を長くし、電圧(V)を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特許請求項1で示すように、複数の磁石1を回転軸4に平行に、筒状に配置し、各磁石の磁場方向をそれぞれ遠心方向3a、求心方向3bになるように各磁石を交互に並べる。該磁石の軸側、及び/又は周側に導体2を固着し、固着された導体2の中を貫通する磁場の方向を遠心方向3a、求心方向3bと交互になるようにする。(図1及び2)
【0007】
該回転軸を水平にし、該磁石及び導体の回転子を回転させれば、「フレミングの右手」(図3)で示すように、各導体内に発生した電流(電子)5は回転軸に並行に左右二方向に交互に流れる。該導体内の電気(電子)が最長距離を流れるように、各導体間は電気的絶縁するが、両端は交互に電気的に接合し、一本の電気的通路を設ける。
【0008】
また、特許請求項2で示すように、回転軸を中心として半径方向に磁石、及び/又は導体を積層し、各層の導体を直列式に接続し、電気(電子)の流れる距離を長くし、電圧(V)を上げる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発電機は「ファラディの円盤」の原理に基づいているが、所謂一般的な単極発電機(Homopolar Generator)ではない。単極発電機は回転する導体を貫く磁場の方向は一方向だけであり、それ故単極発電機と言われ、導体を円盤で用いた場合、導体内に発生する電圧(V)は回転する導体の中心部と、その周辺部間だけで発生し、電気(電子)の流れる方向は、遠心方向か求心方向のどちらか一方向だけである。それ故、磁場内の電気(電子)の流れる距離が短く、電圧を上げることが出来ない。
【0010】
本発明の発電機は回転する導体内を貫く磁場の方向は交互に反転し、該筒状の導体内の磁場の方向は遠心方向3aと求心方向3bを交互に成る事を特徴とする。それ故、該導体内の電気(電子)の流れがジグザク方向に流れるように該導体内に電気的通路を設けることにより、磁場内での電気(電子)の流れる距離を最長に出来、電圧(V)を高めることが出来る。
【0011】
以上のことから、本発明は小さな動力エネルギーで大きな電流(A)と電圧(V)を得ることが出来る。因って、本発明はCO2削減という地球環境負荷を削減するために貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発電機を軸方向から見た概略図
【図2】 本発電機の斜視概略図
【図3】 磁場、運動方向、電流の流れ方向を示した「フレミングの右手」
【発明を実施するための形態】
【0013】
先ず図1及び図2は特許請求項1を示している概念図で、図1は軸方向から見ている。半径方向に着磁された複数個の磁石1を、磁極が交互になるように、筒状に並べ(図2)、磁場の方向が交互に遠心方向(3a)、求心方向(3b)になるように配置する。各磁石1の周側に導体2をそれぞれ固着し、該導体内2を通る磁場の方向を、遠心方向(3a)と求心方向(3b)に交互になるようにする。
【0014】
磁石1と導体2と一体になった回転子を、軸4を中心に回転させると、フレミングの右手(図3)が示すように、回転する導体内の磁場の方向3が交互に反転しているため、該導体内を流れる電気(電子)の流れ方向5は交互に反転する(図2)。
【0015】
筒状に並べられた導体2の両端を交互に電気的に接続子6で接続すると、電気(電子)の流5れはジグザグ状に流れ(図2)、磁場内での電気(電子)の流れる距離が増大し、電圧(V)を上げることが出来きる。
【0016】
更に、該回転子に、磁石、導体、磁石と積層することにより、更なる大きな磁力を得、又、各層の導体が直列式に繋げられ、導体内の電気(電子)の流れる距離が更に長くなり、より大きな電圧(V)を得ることが出来る。
【記号の説明】
【0017】
1 磁石
2 導体
3a 磁場の方向(遠心方向)
3b 磁場の方向(求心方向)
4 回転軸
5 電気の流れ方向
6 接続子
7a 端子(入)
7b 端子(出)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の磁石を回転軸に平行に、筒状に配置し、各磁石の磁場方向をそれぞれ遠心方向、求心方向と交互になるように各磁石を並べ、該磁石の軸側、及び/又は周側に導体を固着し、固着された導体の中を貫通する磁場の方向を遠心方向、求心方向と交互になるようにし、各導体間は電気的絶縁するが、両端は交互に電気的に接合し、ジグザクに一本の電気的通路を設けた発電機。
【請求項2】
前記請求項の発電機であって、複数個の磁石の代わりに、一個の磁石であって、磁場の方向を遠心方向、求心方向と交互になるように着磁した磁石を用いた発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−284068(P2010−284068A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150332(P2009−150332)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(505097402)有限会社サンワールド (14)
【出願人】(509141143)