説明

発電機

【課題】コギングがないまたは小さくでき、体積を大きくせずに、より高い電圧を発電できる発電機を提供する。
【解決手段】コイル211、221を有する固定子200と、周方向に90°ずつ磁極が変化するように配列された永久磁石列110と、120、130、140を有し、永久磁石列110、120、130、140が同心円状に配置され、永久磁石列140と永久磁石列140が、永久磁石列110と永久磁石列120よりも内側に配置され、コイル211が永久磁石列110と永久磁石列120との間に配置され、コイル221が永久磁石列130と永久磁石列140との間に配置される回転子100と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電機に関し、特に、風力発電用の発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電用の発電機に鉄心を使用すると、コギングが起きるので、微風の時には回転しないという問題がある。コギングをなくすには、鉄心を用いない、コアレス発電機とすればいいが、単に鉄心を用いないだけでは、磁場が弱くなってしまい、所望の電圧を発生することができなくなってしまう。
【0003】
磁場を高めるのに、ハルバッハ配列という永久磁石の配列方法があり、ハルバッハ配列された永久磁石を用いた永久磁石回転電機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−201343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発電機では、永久磁石をN極とS極とが交互になるように配置するが、N極とS極とを交互に配列した構造だと、磁場が磁石配列の表側と裏側の両方に発生してしまい、磁場を有効に利用できない。これに対して、ハルバッハ配列では、永久磁石の磁極を90°ずつ回転させながら配列しているので、磁石配列の一方の側の磁場が弱まり、その磁石配列の他方の側では、その分磁場が強くなって、永久磁石の配列の片側に強い磁場を発生させることができる。
【0006】
このようなハルバッハ配列をした永久磁石をリング状にした回転子と、コイルを備える固定子とを用い、回転子にシャフトを取り付け、シャフトを風力で回転させるようにすれば、風力発電用等の発電機を構成することができる。
【0007】
このような風力発電用等の発電機では、発電する電圧を高くしたいという要望と、発電機の体積を小さくしたいという要望がある。電圧を高くするには、永久磁石の軸方向の厚さを厚くすればよいが、その分発電機の厚さも厚くなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明の主な目的は、コギングがないまたは小さくでき、体積を大きくせずに、より高い電圧を発電することができる発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
第1のコイルと第2のコイルとを有する固定子と、
前記固定子に対して回転可能に設けられ、
周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が変化するように周方向に配列された複数の第1の永久磁石を有する第1の永久磁石列であって、前記第1の永久磁石列の内側の磁場が強めあい、外側の磁場が弱めあう前記第1の永久磁石列と、
周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が前記第1の永久磁石列とは反対方向に変化するように周方向に配列された複数の第2の永久磁石を有する第2の永久磁石列であって、前記第1の永久磁石列の内側に配置され、前記第2の永久磁石列の外側の磁場が強めあい、内側の磁場が弱めあう前記第2の永久磁石列と、
周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が変化するように周方向に配列された複数の第3の永久磁石を有する第3の永久磁石列であって、前記第3の永久磁石列の内側の磁場が強めあい、外側の磁場が弱めあう前記第3の永久磁石列と、
周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が前記第3の永久磁石列とは反対方向に変化するように周方向に配列された複数の第4の永久磁石を有する第4の永久磁石列であって、前記第3の永久磁石列の内側に配置され、前記第4の永久磁石列の外側の磁場が強めあい、内側の磁場が弱めあう前記第4の永久磁石列と、
を有し、
前記第1の永久磁石列と、前記第2の永久磁石列と、前記第3の永久磁石列と、前記第4の永久磁石列とが同心円状に配置され、
前記第3の永久磁石列と前記第4の永久磁石列が、前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列よりも内側に配置され、
前記第1のコイルが前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列との間に配置され、前記第2のコイルが前記第3の永久磁石列と前記第4の永久磁石列との間に配置される回転子と、
を備える発電機が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コギングがないまたは小さくでき、体積を大きくせずに、より高い電圧を発電することができる発電機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の好ましい第1の実施の形態の発電機を説明するための概略平面図である。
【図2】図2は、図1のA部の概略部分拡大図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい第1の実施の形態の発電機で発電される交流の周波数を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の好ましい第2の実施の形態の発電機を説明するための概略平面図である。
【図5】図5は、本発明の好ましい第3の実施の形態の発電機を説明するための概略平面図である。
【図6】図6は、図5のXX線概略縦断面図である。
【図7】図7は、図5のXX線概略斜視図である。
【図8】図8は、図5のXX線概略部分斜視図である。
【図9】図9は、第3の実施の形態の変形例を説明するための概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1、図2を参照すれば、本実施の形態の発電機1は、回転子100と固定子200とを備えている。回転子100にシャフト(図示せず)を取り付け、シャフト(図示せず)を風力で回転させるようにすれば、風力発電用の発電機を構成することができる。回転子100は、永久磁石配列110、120、130、140、150、160を備えている。固定子200は、コイル配列210、220、230を備えている。永久磁石配列110、120、130、140、150、160はそれぞれリング状に構成され、コイル配列210、220、230もそれぞれリング状に構成されている。永久磁石配列110、120、130、140、150、160およびコイル配列210、220、230は同心円状に配置されている。永久磁石配列120は、永久磁石配列110の内側に設けられ、永久磁石配列130は、永久磁石配列120の内側に設けられ、永久磁石配列140は、永久磁石配列130の内側に設けられ、永久磁石配列150は、永久磁石配列140の内側に設けられ、永久磁石配列160は、永久磁石配列150の内側に設けられている。
【0014】
発電機1は、3列の副発電機11、12、13を備えている。副発電機11は、永久磁石配列110、120およびコイル配列210を備え、コイル配列210は、永久磁石配列110と、永久磁石配列120の間に設けられている。副発電機12は、永久磁石配列130、140およびコイル配列220を備え、コイル配列220は、永久磁石配列130と、永久磁石配列140の間に設けられている。副発電機13は、永久磁石配列150、160およびコイル配列230を備え、コイル配列230は、永久磁石配列150と、永久磁石配列160の間に設けられている。
【0015】
永久磁石配列110、120、130、140、150、160は、それぞれ永久磁石111、121、131、141、151、161の磁極を90°ずつ回転させながら配列したハルバッハ配列となっている。以下、永久磁石配列110、120およびコイル配列210を備える副発電機11を例にとって説明するが、副発電機12、副発電機13も同様である。
【0016】
永久磁石配列110の永久磁石111の数と永久磁石配列120の永久磁石121の数は同じである、永久磁石配列110の永久磁石111のうち径方向に着磁した永久磁石111の磁極方向と、永久磁石配列120の永久磁石121のうち径方向に着磁した永久磁石121の磁極方向は、同じ半径上に配置されているもの同士は同じである。永久磁石配列110の永久磁石111のうち周方向に着磁した永久磁石111の磁極方向と、永久磁石配列120の永久磁石121のうち周方向に着磁した永久磁石121の磁極方向は、同じ半径上に配置されているもの同士は反対である。
【0017】
副発電機11の永久磁石配列110では、永久磁石111の磁極を周方向に90°ずつ回転させながら配列しているので、配列の一方の側(本実施例では外側)の磁場が弱まり、その配列の他方の側(本実施例では内側)では、その分磁場が強くなって、永久磁石111の配列110の片側(本実施例では内側)に強い磁場を発生させることができる。また、永久磁石配列120では、永久磁石121の磁極を周方向に90°ずつ回転させながら配列しているので、配列の一方の側(本実施例では内側)の磁場が弱まり、その配列の他方の側(本実施例で外側)では、その分磁場が強くなって、永久磁石121の配列120の片側(本実施例では外側)に強い磁場を発生させることができる。
【0018】
このように永久磁石配列110と永久磁石配列120とを構成しているので、永久磁石配列110と永久磁石配列120との間の空間の磁場は強くなり、その一方では、永久磁石配列110の外側と永久磁石配列120の内側には、磁場は殆ど漏れなくなる。そして、この永久磁石配列110と永久磁石配列120との間にコイル配列210を配置しているので、高い電圧を発生することができる。このように、コイル配列210が配置される領域の磁場が強くなるので、コイル配列210を構成するコイル211に鉄心を使用しなくても、高い電圧を発生することができるようになる。そして、鉄心を使用しないので、コギングをなくすかまたは小さくできる。なお、コイル配列210は複数のコイル211がU相−V相−W相の順に巻かれてY結線しており、3相交流を発生する。
【0019】
本実施の形態では、永久磁石配列110、120およびコイル配列210を備える副発電機11と、永久磁石配列130、140およびコイル配列220を備える副発電機12と、永久磁石配列150、160およびコイル配列230を備える副発電機13との3列の副発電機11、12、13を備えている。副発電機11、12、13は同心円状に配置されている。永久磁石配列110に用いられている永久磁石111の個数と、永久磁石配列120に用いられている永久磁石121の個数は同じである。永久磁石配列130に用いられている永久磁石131の個数と、永久磁石配列140に用いられている永久磁石141の個数は同じである。永久磁石配列150に用いられている永久磁石151の個数と、永久磁石配列160に用いられている永久磁石161の個数は同じである。副発電機11、12、13は半径が異なり、副発電機11、12、13の永久磁石の数は半径に比例し、従って、極数も半径に比例し、コイル211、221、231の直列個数も半径に比例する。副発電機11、12、13は極数が異なるために、出力周波数が、互いに異なる。図3に示すように、例えば半径が、副発電機13の半径がrであり、副発電機12の半径が2rであり、副発電機11の半径が3rのときには、副発電機12で発電される交流の周波数は副発電機13で発電される交流の周波数の2倍となり、副発電機11で発電される交流の周波数は副発電機13で発電される交流の周波数の3倍となる。副発電機11、12、13で発電される交流をそれぞれ整流し、加え合わせれば、例えば、副発電機11のみで発電した電圧よりもより高い電圧を取り出すことができる。さらに、副発電機11、12、13は、同じ平面内に同心円状に配置されているので、発電機1の体積は大きくせずに、高い電圧を発電することができる。
【0020】
(第2の実施の形態)
図4を参照すれば、第1の実施の形態では、副発電機11、12、13の極数が半径に比例し、コイル211、221、231の直列個数も半径に比例したが、本実施の形態では、副発電機11、12、13を角度的に相似形状にしており、副発電機11、12、13の極数は互いに同じであり、コイル211、221、231の直列個数も互いに同じである点が第1の実施の形態と異なるが、他の点は同様である。
【0021】
副発電機11、12、13は同心円状に配置されている。永久磁石配列110に用いられている永久磁石111の個数と、永久磁石配列120に用いられている永久磁石121の個数と、永久磁石配列130に用いられている永久磁石131の個数と、永久磁石配列140に用いられている永久磁石141の個数と、永久磁石配列150に用いられている永久磁石151の個数と、永久磁石配列160に用いられている永久磁石161の個数は同じである。副発電機11、12、13は半径が異なるが、副発電機11、12、13の極数は互いに同じである。コイル211、221、231の直列個数も互いに同じである。従って、副発電機11、12、13の出力周波数は、互いに同じである。また位相も同じである。従って、副発電機11、12、13を直列に接続して発電機2の出力を取り出す。このように、副発電機11、12、13で発電される交流を加え合わせて発電機2の出力を取り出すので、例えば、副発電機11のみで発電した電圧よりもより高い電圧を取り出すことができる。さらに、副発電機11、12、13は、同じ平面内(同じ高さ)に同心円状に配置されているので、発電機2の体積は大きくせずに、高い電圧を発電することができる。
【0022】
本実施の形態においても、副発電機11の永久磁石配列110では、永久磁石111の磁極を周方向に90°ずつ回転させながら配列しているので、配列の一方の側(本実施例では外側)の磁場が弱まり、その配列の他方の側(本実施例では内側)では、その分磁場が強くなって、永久磁石111の配列110の片側(本実施例では内側)に強い磁場を発生させることができる。また、永久磁石配列120では、永久磁石121の磁極を周方向に90°ずつ回転させながら配列しているので、配列の一方の側(本実施例では内側)の磁場が弱まり、その配列の他方の側(本実施例で外側)では、その分磁場が強くなって、永久磁石121の配列120の片側(本実施例では外側)に強い磁場を発生させることができる。従って、永久磁石配列110と永久磁石配列120との間の空間の磁場は強くなり、その一方では、永久磁石配列110の外側と永久磁石配列120の内側には、磁場は殆ど漏れなくなる。そして、この永久磁石配列110と永久磁石配列120との間にコイル配列210を配置しているので、高い電圧を発生することができる。このように、コイル配列210が配置される領域の磁場が強くなるので、コイル配列210を構成するコイル211に鉄心を使用しなくても、高い電圧を発生することができるようになる。そして、鉄心を使用しないので、コギングをなくすかまたは小さくできる。このことは、副発電機12、13についても同様である。
【0023】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の好ましい第3の実施の形態の発電機を説明するための概略平面図であり、図6は、図5のXX線概略縦断面図であり、図7は、図5のXX線概略斜視図であり、図8は、図5のXX線概略部分斜視図であり、図7からコイル配列に関連する部分を削除して、磁石配列に関連する部分を示した図である。
【0024】
本実施の形態の発電機3の、永久磁石配列110、120およびコイル配列210を備える副発電機11と、永久磁石配列130、140およびコイル配列220を備える副発電機12と、永久磁石配列150、160およびコイル配列230を備える副発電機13は、第2の実施の形態の副発電機11、12、13と同じである。副発電機11、12、13を直列に接続して発電機2の出力を取り出すのも第2の実施の形態と同じである。
【0025】
本実施の形態では、コイル211、221、231を取り付けるコイル取り付け部材400と、永久磁石111、121、131、141、151、161を取り付ける永久磁石取り付け部材300とを備えている。コイル取り付け部材400は平板状であり、その中心に軸410が固定されて取り付けられている。軸410にはベアリング420が取り付けられている。永久磁石取り付け部材300の中央部には、このベアリング420が取り付けられており、永久磁石取り付け部材300は、軸410の回りをベアリング420を介して回転する。なお、コイル取り付け部材400と永久磁石取り付け部材300は非磁性材料で構成されている。
【0026】
永久磁石取り付け部材300には、外側から順に溝311、320、312、330、313および中央部の凹部340が同心円状に形成されている。溝311の外側の側壁301の内側には永久磁石111が取り付けられている。溝311の内側の側壁302の外側には永久磁石121が取り付けられている。溝311内であって永久磁石111と永久磁石121の間には、コイル211が配置されている。コイル211はコイル取り付け部材400に取り付けられている。溝312の外側の側壁303の内側には永久磁石131が取り付けられている。溝312の内側の側壁304の外側には永久磁石141が取り付けられている。溝312内であって永久磁石131と永久磁石141の間には、コイル221が配置されている。コイル221はコイル取り付け部材400に取り付けられている。溝313の外側の側壁305の内側には永久磁石151が取り付けられている。溝313の内側の側壁306の外側には永久磁石161が取り付けられている。溝313内であって永久磁石151と永久磁石161の間には、コイル231が配置されている。コイル231はコイル取り付け部材400に取り付けられている。
【0027】
永久磁石111、121およびコイル211が設けられている溝311と、永久磁石131、141およびコイル221が設けられている溝312と、永久磁石151、161およびコイル231が設けられている溝313は、周方向に連続して設けられている。溝320は、溝311と溝312との間に設けられている。溝330は、溝312と溝313との間に設けられている。溝320、330は、それぞれ周方向に4分割して設けられている。溝320と溝320との間には壁322が存在し、溝330と溝330との間には壁332が存在している。
【0028】
永久磁石取り付け部材300の中央部の凹部340の底部341には、貫通孔342が設けられている。
【0029】
少なくとも、コイル取り付け部材400と、コイル取り付け部材400に取り付けられたコイル211、221、231と、コイル取り付け部材400に取り付けられた軸410により固定子200が構成されている。少なくとも、永久磁石取り付け部材300と、
永久磁石取り付け部材300に取り付けられた永久磁石111、121、131、141、151、161とにより回転子100が構成されている。
【0030】
回転子100は、固定子200の中心の軸410の回りをベアリング420を介して回転する。永久磁石取り付け部材300の中央部には、シャフト430が取り付けられ、シャフト430にはブレード等(図示せず)が取り付けられ、風力でシャフト430が回転するように構成されており、風力発電用の発電機3を構成している。
【0031】
固定子200に対して回転子100を回転すると、コイル211、221、231には起電力が生じて発電することができる。この際、コイル211、221、231に電流が流れることによって、コイル211、221、231が発熱するので、冷却することが好ましい。本実施の形態では、永久磁石取り付け部材300の溝320と溝320との間には壁322が存在し、溝330と溝330との間には壁332が存在している。壁322と壁332は、回転子100が回転し、永久磁石取り付け部材300が回転すると、回転し、永久磁石取り付け部材300に取り付けた羽根のような作用をして、遠心力で空気を外側に押し出すので、空気の流れが生じてコイル211、221、231を冷却することができる。
【0032】
図6を参照すれば、回転子100を回転すると、永久磁石取り付け部材300の中央部の凹部340の底部341に設けた貫通孔342から空気が取り込まれ、コイル取り付け部材400と永久磁石取り付け部材300の壁306および永久磁石161との間を通り、その後、コイル231と永久磁石161、永久磁石取り付け部材300の溝313および永久磁石161との間を通り、その後、コイル取り付け部材400と永久磁石151および永久磁石取り付け部材300の壁305との間を通り、永久磁石取り付け部材300の溝330に流入する。溝330に流入した空気は、溝330と溝330との間の壁332(図5、図8参照)によって遠心力で外側に押し出され、コイル取り付け部材400と永久磁石取り付け部材300の壁304および永久磁石141との間を通り、その後、コイル221と永久磁石141、永久磁石取り付け部材300の溝312および永久磁石131との間を通り、その後、コイル取り付け部材400と永久磁石131および永久磁石取り付け部材300の壁303との間を通り、永久磁石取り付け部材300の溝320に流入する。溝320に流入した空気は、溝320と溝320との間の壁322(図5、図8参照)によって遠心力で外側に押し出され、コイル取り付け部材400と永久磁石取り付け部材300の壁302および永久磁石121との間を通り、その後、コイル211と永久磁石121、永久磁石取り付け部材300の溝311および永久磁石111との間を通り、その後、コイル取り付け部材400と永久磁石111および永久磁石取り付け部材300の壁301との間を通り、外部に放出される。
【0033】
このように、永久磁石取り付け部材300に溝320、溝330を設け、溝320と溝320との間には壁322が存在し、溝330と溝330との間には壁332が存在する構造であるので、永久磁石取り付け部材300が回転すると、壁322、壁332は回転し、永久磁石取り付け部材300に取り付けた羽根のような作用をして、遠心力で空気を外側に押し出すので、空気の流れが生じてコイル211、221、231を冷却することができる。なお、本実施の例では、壁322は周方向に4個設けられ、壁332も週方向に4個設けられているが、壁322のみでも、壁332のみでも遠心力で空気を外側に押し出すことができ、また、壁は少なくとも一つあれば、遠心力で空気を外側に押し出すことができる。また、永久磁石取り付け部材300に溝320、溝330を設けているので、永久磁石取り付け部材300を軽量化することができ、発電機3を軽量化することができる。さらに、壁322,332は板状の部材で構成されていてなんら差支えない。
【0034】
本実施の形態では、永久磁石配列110、120およびコイル配列210を備える副発電機11と、永久磁石配列130、140およびコイル配列220を備える副発電機12と、永久磁石配列150、160およびコイル配列230を備える副発電機13は、第2の実施の形態の副発電機11、12、13と同じであったが、本実施の形態の永久磁石取り付け部材300に設けた溝320、溝330、溝320と溝320との間の壁322、溝330と溝330との間の壁332等の構造は、永久磁石配列110、120およびコイル配列210を備える副発電機11と、永久磁石配列130、140およびコイル配列220を備える副発電機12と、永久磁石配列150、160およびコイル配列230を備える副発電機13が、第1の実施の形態の副発電機11、12、13と同じ構造のものにも、適用でき、遠心力で空気を外側に押し出して、空気の流れを生じさせてコイル211、221、231を冷却することができる。また、発電機3を軽量化することができる。また、第1の実施の形態や第2の実施の形態の副発電機11、12、13と異なる他の構造にも適用できる。
【0035】
本実施の形態では、永久磁石取り付け部材300に溝320、溝330を設け、溝320と溝320との間には壁322が存在し、溝330と溝330との間には壁332が存在し、壁322および壁332は、半径方向と平行な方向に設けられていたが、壁322および壁332は、半径方向と平行でなくても、所定の角度を有して設けられていてもよい。
【0036】
本実施の形態では、永久磁石取り付け部材300の中央部の凹部340の底部341に設けた貫通孔342が空気取り込み口として作用しているが、空気取り込み口は、図9に示す貫通孔441のように、コイル取り付け部材400の中央部に設けてもよく、永久磁石取り付け部材300の中央部およびコイル取り付け部材400の中央部の両方に設けてもよい。
【0037】
また、第1〜第3の実施の形態では、3個の副発電機11、12、13を使用したが、副発電機は2個でもよく、4個以上でもいい。
【0038】
また、第1〜第3の実施の形態では、副発電機11の永久磁石配列110では、永久磁石111の磁極を周方向に90°ずつ回転させながら配列して、配列の外側の磁場が弱まり、その配列の内側では、その分磁場が強くなって、永久磁石111の配列110の内側)に強い磁場を発生させ、また、永久磁石配列120では、永久磁石121の磁極を周方向に90°ずつ回転させながら配列して、配列の内側の磁場が弱まり、その配列の外側では、その分磁場が強くなって、永久磁石121の配列120の外側に強い磁場を発生させたが、磁極を周方向に90°ずつ回転させなくても、例えば、45°ずつ回転させてもよく、周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が変化するように複数の第1の永久磁石を周方向に配列して、第1の永久磁石の配列の内側の磁場が強めあい、外側の磁場が弱めあうようにし、周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が第1の永久磁石とは反対方向に変化するように複数の第2の永久磁石を周方向に配列して、第1の永久磁石の配列の内側に配置し、第2の永久磁石の配列の外側の磁場が強めあい、内側の磁場が弱めあうように配置してもよい。
【0039】
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態を説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0040】
1、2、3 発電機
11、12、13 副発電機
100 回転子
110、120、130、140、150、160 永久磁石配列
111、121、131、141、151、161 永久磁石
200 固定子
210、220、230 コイル配列
211、221、231 コイル
300 永久磁石取り付け部材
301、302、302、304、305、306 側壁
311、312、313、320、330 溝
322、332 壁
340 凹部
341 底部
342 貫通孔
400 コイル取り付け部材
410 軸
420 ベアリング
430 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコイルと第2のコイルとを有する固定子と、
前記固定子に対して回転可能に設けられ、
周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が変化するように周方向に配列された複数の第1の永久磁石を有する第1の永久磁石列であって、前記第1の永久磁石列の内側の磁場が強めあい、外側の磁場が弱めあう前記第1の永久磁石列と、
周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が前記第1の永久磁石列とは反対方向に変化するように周方向に配列された複数の第2の永久磁石を有する第2の永久磁石列であって、前記第1の永久磁石列の内側に配置され、前記第2の永久磁石列の外側の磁場が強めあい、内側の磁場が弱めあう前記第2の永久磁石列と、
周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が変化するように周方向に配列された複数の第3の永久磁石を有する第3の永久磁石列であって、前記第3の永久磁石列の内側の磁場が強めあい、外側の磁場が弱めあう前記第3の永久磁石列と、
周方向に2πの整数等分ずつ磁極の方向が前記第3の永久磁石列とは反対方向に変化するように周方向に配列された複数の第4の永久磁石を有する第4の永久磁石列であって、前記第3の永久磁石列の内側に配置され、前記第4の永久磁石列の外側の磁場が強めあい、内側の磁場が弱めあう前記第4の永久磁石列と、
を有し、
前記第1の永久磁石列と、前記第2の永久磁石列と、前記第3の永久磁石列と、前記第4の永久磁石列とが同心円状に配置され、
前記第3の永久磁石列と前記第4の永久磁石列が、前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列よりも内側に配置され、
前記第1のコイルが前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列との間に配置され、前記第2のコイルが前記第3の永久磁石列と前記第4の永久磁石列との間に配置される回転子と、
を備える発電機。
【請求項2】
前記回転子に、径方向に平行にまたは径方向と所定の角度を有して設けられた壁をさらに備える請求項1記載の発電機。
【請求項3】
前記第1の永久磁石列と、前記第2の永久磁石列と、前記第3の永久磁石列と、前記第4の永久磁石列とが、同じ高さに配置されている請求項1または2記載の発電機。
【請求項4】
前記複数の第1の永久磁石の磁極の方向が周方向に90°ずつ回転するように前記複数の第1の永久磁石が周方向に配列され、
前記複数の第2の永久磁石の磁極の方向が周方向に90°ずつ回転するように前記複数の第2の永久磁石が周方向に配列され、
前記複数の第1の永久磁石の磁極の方向と前記複数の第2の永久磁石の磁極の方向が、径方向の磁極の方向については同じ方向であり、周方向の磁極の方向については反対方向であり、
前記複数の第3の永久磁石の磁極の方向が周方向に90°ずつ回転するように前記複数の第3の永久磁石が周方向に配列され、
前記複数の第4の永久磁石の磁極の方向が周方向に90°ずつ回転するように前記複数の第4の永久磁石が周方向に配列され、
前記複数の第3の永久磁石の磁極の方向と前記複数の第4の永久磁石の磁極の方向が、径方向の磁極の方向については同じ方向であり、周方向の磁極の方向については反対方向である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項5】
前記複数の第1の永久磁石の個数と、前記複数の第2の永久磁石の個数は同じであり、
前記複数の第3の永久磁石の個数と、前記複数の第4の永久磁石の個数は同じであり、
前記複数の第1の永久磁石の個数と、前記複数の第3の永久磁石の個数の比は、前記第1の永久磁石列の半径と、前記第3の永久磁石列の半径の比に等しい請求項1〜4のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項6】
前記複数の第1の永久磁石の個数と、前記複数の第2の永久磁石の個数と、前記複数の第3の永久磁石の個数と、前記複数の第4の永久磁石の個数は同じである請求項1〜4のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項7】
前記回転子は、前記複数の第1〜第4の永久磁石を取り付ける永久磁石取り付け部材をさらに備え、
前記永久磁石取り付け部材は、周方向に設けられた複数の溝を有し、前記壁は、前記複数の溝間の壁である請求項2記載の発電機。
【請求項8】
前記回転子または前記固定子の少なくとも一方の中央部に設けられた空気取り込み口をさらに備える請求項2または7記載の発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62989(P2013−62989A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201092(P2011−201092)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年8月1日 社団法人 電気設備学会発行の「2011年(第29回)電気設備学会全国大会講演論文集」に発表
【出願人】(501241645)学校法人 工学院大学 (14)