説明

発電熱交換ハイブリッドパネル

【課題】設置現場おいて太陽電池モジュールに熱交換パネルを後付けして容易に一体化可能な発電熱交換ハイブリッドパネルを提供することである。
【解決手段】発電熱交換ハイブリッドパネル2は、光を受光して発電可能な発電パネル14と、この発電パネル14の外周部に設けられて発電パネル14を固定する為のフレーム枠15とを有する太陽電池モジュール3と、伝熱可能な伝熱シート21と、この伝熱シート21の裏面側に設けられて内部に熱媒体を流通させる為の配管22とを有する熱交換パネル11と、熱交換パネル11を伝熱シート21を介して発電パネル14の裏面に密着可能に支持するとともに、熱交換パネル11と発電パネル14との間で熱交換可能となるように熱交換パネル11をフレーム枠15に固定する固定金具12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電熱交換ハイブリッドパネルに関し、特に設置現場おいて太陽電池パネルと熱交換パネルとを容易に一体化して設置可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムにおいて、太陽光エネルギーを電力に変換する平板状の太陽電池パネルを主体とした太陽電池モジュールが、屋根等に固定架台を介して設置されている。
【0003】
一般的な太陽電池モジュールの構成に関して、例えば、特許文献1には、1枚の大面積の太陽電池パネルと、この太陽電池パネルの外周に設けられた枠状フレームと、この枠状フレームの内部に設けられ且つ太陽電池パネルを裏面側から支持する複数のリブとを備えた大型の太陽電池モジュールが開示されている。
【0004】
ところで、太陽電池パネルは、太陽光を受光して電力に変換して発電するが、発電に寄与しなかった太陽光により太陽電池パネルが熱を持って温度が上昇してしまい、この温度上昇に伴い発電効率が低下するという問題がある。そこで、太陽電池パネルを冷却する必要があるが、単純に冷却するのではなく、発生した熱を有効に活用した発電と集熱を同時に行うハイブリッドパネルが実用に供されている。
【0005】
例えば、特許文献2には、複数のシリコン太陽電池セルを有する太陽電池パネルと、この太陽電池パネルの裏面側に配置されて太陽電池パネルの熱を吸収する集熱パネルと、これら太陽電池パネルと集熱パネルとを一体的に支持して固定する為の枠体とを備えた構造のハイブリッドパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3674234号公報
【特許文献2】特開平10−62017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2のような従来のハイブリッドパネルを、住宅等の暖房システムに使用する場合、2〜3枚程度のハイブリッドパネルで十分な湯水を供給可能である。しかし、屋根等の設置面の全面に対して複数のハイブリッドパネルを設置すると、ハイブリッドパネルに余剰が生じてしまうので、コスト高となってしまう。このため、ハイブリッドパネルと発電機能のみを有する太陽電池モジュール(太陽電池パネル)とを並設することが望ましい。
【0008】
しかし、ハイブリッドパネルと太陽電池モジュールとの形状、サイズ、固定構造等が必ずしも同様に設計されているとは限らない。このため、ハイブリッドパネルと太陽電池モジュールとを並設する場合、意匠的な問題で配置パターンが制限されたり、異なる固定構造で夫々設置すると手間が掛かる上コストが増加する等、種々の制約が生じてしまう虞がある。
【0009】
本発明の目的は、太陽電池モジュールと共通の形状、サイズ、固定構造を有する発電熱交換ハイブリッドパネルを提供すること、設置現場おいて太陽電池モジュールに熱交換パネルを後付けして容易に一体化可能な発電熱交換ハイブリッドパネルを提供すること、既存の床暖房パネルを利用可能な発電熱交換ハイブリッドパネルを提供すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発電熱交換ハイブリッドパネルは、光を受光して発電可能な発電パネルと、この発電パネルの外周部に設けられて前記発電パネルを固定する為のフレーム枠とを有する太陽電池モジュールと、伝熱可能な伝熱シートと、この伝熱シートの裏面側に設けられて内部に熱媒体を流通させる為の配管とを有する熱交換パネルと、前記熱交換パネルを前記伝熱シートを介して前記発電パネルの裏面に密着可能に支持するとともに、前記熱交換パネルと前記発電パネルとの間で熱交換可能となるように前記熱交換パネルを前記フレーム枠に固定する固定金具とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2の発電熱交換ハイブリッドパネルは、請求項1の発明において、前記熱交換パネルは、床暖房に用いられる床暖房パネルと同構造のものであることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発電熱交換ハイブリッドパネルは、請求項1又は2の発明において、前記熱交換パネルは、床暖房に用いられる小根太入りの床暖房パネルと同構造のものであることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発電熱交換ハイブリッドパネルは、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記フレーム枠は、パネル内側に向って開口する断面コ字状に構成され、前記フレーム枠の下部フランジと前記熱交換パネルとの隙間に前記固定金具を差し込んで前記熱交換パネルを固定することを特徴としている。
【0014】
請求項5の発電熱交換ハイブリッドパネルは、請求項1〜4の何れか1項の発明において、前記固定金具は、前記フレーム枠の対向する1対のフレーム枠部材に架着されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、固定金具によって、熱交換パネルを伝熱シートを介して発電パネルの裏面に密着可能に支持するとともに、熱交換パネルと発電パネルとの間で熱交換可能となるように熱交換パネルをフレーム枠に固定するので、固定金具を介して、太陽電池モジュールのフレーム枠に熱交換パネルを後付けして発電熱交換ハイブリッドパネルを組み立てることができる。
【0016】
従って、発電熱交換ハイブリッドパネルを、太陽電池モジュールの形状、サイズ、固定構造と共通化することができるので、形状とサイズが共通となって意匠的価値を損なうことなく設置することができ、固定構造が共通となって設置コストを低減することができ、依って、発電熱交換ハイブリッドパネルと太陽電池モジュールとを容易に並設することができる。
【0017】
また、発電熱交換ハイブリッドパネルは、太陽電池モジュールに後付け的に熱交換パネルを組み付けることで構成されるので、発電と熱交換(集熱)を同時に行う発電熱交換ハイブリッドパネルとして使用するか、発電機能のみを有する太陽電池モジュールとして使用するかを、設置現場でも容易に択一的に選択することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、熱交換パネルは、床暖房に用いられる床暖房パネルと同構造のものであるので、既存の床暖房パネルを容易に適用可能であり、既存のものを流用することでコストを低減可能である。
【0019】
請求項3の発明によれば、熱交換パネルは、床暖房に用いられる小根太入りの床暖房パネルと同構造のものであるので、既存の小根太入りの床暖房パネルを適用可能であり、既存のものを流用することでコストを低減可能である。小根太により、熱交換パネルの強度を向上させることができる。しかも、固定金具を、熱交換パネルの小根太にビスで直接固定可能となるので、固定金具を小型化することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、フレーム枠は、パネル内側に向って開口する断面コ字状に構成され、フレーム枠の下部フランジと熱交換パネルとの隙間に固定金具を差し込んで熱交換パネルを固定するので、太陽電池モジュールの内部空間を有効に活用して、固定金具により熱交換パネルをフレーム枠に確実に固定することができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、固定金具は、フレーム枠の対向する1対のフレーム枠部材に架着されるので、熱交換パネルの2カ所を全長に亙って安定的に支持固定でき、発電パネルと熱交換パネルとを全面に亙って確実に密着させることができ、しかも、ハイブリッドパネルの強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1に係る複数の発電熱交換ハイブリッドパネルを含むパネル群の平面図である。
【図2】図1の側面拡大図である。
【図3】発電熱交換ハイブリッドパネルの平面図である。
【図4】発電熱交換ハイブリッドパネルの裏面図である。
【図5】図4のV-V線断面図である。
【図6】図4のVI-VI線断面図である。
【図7】図6の拡大図である。
【図8】部分的変更形態にかかる発電熱交換ハイブリッドパネルの裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0024】
最初に、各種建物の屋上等に本発明の発電熱交換ハイブリッドパネル2を含むパネル群1が配設された全体構造について簡単に説明する。
図1,図2に示すように、複数の発電熱交換ハイブリッドパネル2と複数の太陽電池モジュール3とからなるパネル群1が、南側屋根等の傾斜した設置面S上に金属製の固定架台4を介して設置されている。パネル群1は、例えば、3行4列のマトリックス状に並べた複数のパネルを備えており、パネル行の各々は、2条の横ラック6により上下両端を支持する状態に配置される。
【0025】
3行のパネル行のうち最下段のパネル行は、4枚の発電熱交換ハイブリッドパネル2で構成され、他の2行のパネル行は、4枚の太陽電池モジュール3で夫々構成されている。尚、太陽電池モジュール3は、詳細は後述するが、本発明の発電熱交換ハイブリッドパネル2から熱交換パネル11と固定金具12を取り外した状態のものである。
【0026】
次に、太陽電池モジュール3について説明する。
図1〜図7に示すように、太陽電池モジュール3は、光を受光して発電可能な長方形状の発電パネル14と、この発電パネル14の外周部に設けられて発電パネル14を固定する為のフレーム枠15とを有している。尚、この太陽電池モジュール3は、図1,図2に示すように単体で設置されても使用可能である。
【0027】
発電パネル14は、平板状の太陽電池セル14a、この太陽電池セル14aの表面側を覆うカバーガラス(図示略)、太陽電池セルを封止する合成樹脂材とこの合成樹脂材を覆う保護フィルムからなる背面保護材(図示略)等から構成されている。この発電パネル14で発電された電力は、パネル裏面側から延びる正極線14bと負極線14cとを介して外部に出力可能である。この発電パネル14の構造は、一般的な構造なのでこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0028】
フレーム枠15は、発電パネル14の長片側を保持する為の対向する1対の横フレーム枠部材15a,15bと、発電パネル14の短辺側を保持する為の対向する1対の縦フレーム枠部材15c,15dとから構成されている。
【0029】
フレーム枠部材15a〜15dの各々は、下部フランジ16と、この下部フランジ16から垂直に延びる縦板部17と、この縦板部17の上端部に形成された上部フランジ18と、この上部フランジ18の内周部に形成された嵌合溝18aとを有し、パネル内側に向って開口する断面コ字形に構成されている。尚、横フレーム枠部材15a,15bの下部フランジ16の外周部分には、縦板部17より外周側へ突出した突出部19が形成されている。この突出部19には、上方に開口された浅い溝状の係合溝19aが形成されている。
【0030】
フレーム枠部材15a〜15dの嵌合溝18aには、発電パネル14の外周部が係合され、接着剤を介して固定されている。尚、フレーム枠15はアルミニウム製又はアルミニウム合金製のものであるが、アルミニウム以外の軽合金製とすることも可能である。フレーム枠15の表面には酸化アルミニウムの絶縁性被膜が形成されている。
【0031】
次に、固定架台4について簡単に説明する。
図1,図2に示すように、固定架台4は、設置面Sにパネル群1を取り付ける為のものであり、設置面Sの上下方向向きに且つ左右方向に適当間隔おきに配設された複数の縦ラック5と、これら複数の縦ラック5の上に左右方向向きに且つ発電熱交換ハイブリッドパネル2の上下幅とほぼ等しい間隔おきに配設された複数の横ラック6とを有する。
【0032】
縦ラック5と横ラック6は、夫々、アルミニウム又はアルミニウム合金を押し出し成形した条材である。縦ラック5は複数の締結部材5aを介して設置面Sに固定されている。縦ラック5と横ラック6の各交差部において、横ラック6は縦ラック5に対して1対の連結金具7により固定されている。尚、最下段の横ラック6には軒カバー8が設けられ、最上段の横ラック6には棟カバー9が夫々設けられている。
【0033】
図2に示すように、横ラック6は、底板6a、1対のリブ6b、1対の横支持板6c、1対の縦支持板6d、頂部支持板6e、中段板6f等を有する。右側(上側)の横支持板6cの上に下側の横フレーム枠部材15a又は棟カバー9が載置支持される。右側の縦支持板6dの右端面下部には係合溝6gが形成され、横フレーム枠部材15aの突出部19が係合溝6gに係合している。頂部支持板6eの右側部分には、横フレーム枠部材15aが当接するL形受部6hが一体形成されている。
【0034】
図2に示すように、横ラック6の左側(下側)の横支持板6cの上に上側の横フレーム枠部材15b又は軒カバー8が載置支持される。固定部材6jの下端部を横フレーム枠部材15bの係合溝19aに係合させ、締結ボルト6kを、横ラック6のレール溝6iに挿入されているナット6lに螺合して、固定部材6jを横ラック6の頂部支持板6eに固定することで、横フレーム枠部材15bを横ラック6に押圧固定する。
【0035】
次に、本発明の発電熱交換ハイブリッドパネル2について説明する。
図1〜図7に示すように、発電熱交換ハイブリッドパネル2(以下、ハイブリッドパネル2という)は、発電パネル14を備えた上記の太陽電池モジュール3と、この太陽電池モジュール3のフレーム枠15の内部に(発電パネル14の下面に密着状に)設けられた熱交換パネル11と、この熱交換パネル11を太陽電池モジュール3のフレーム枠15に支持固定する為の複数(例えば、4本)の固定金具12とを備えている。
【0036】
ハイブリッドパネル2は、例えば、(1.3m〜2.0m)×1.0m程度のサイズに構成され、一般的に複数枚並べて設置されて発電すると共に、集熱を行い暖房システムの為の湯水を供給するものである。尚、ハイブリッドパネル2の形状は、長方形状に限らず正方形状や台形状のものであっても良い。
【0037】
次に、熱交換パネル11について説明する。
図4〜図7に示すように、熱交換パネル11は、伝熱性に優れる伝熱シート21と、この伝熱シート21の裏面側に設けられた配管22と、この配管22が埋設状に設けられた断熱材23と、この断熱材23の裏面側に設けられた保護層24とを有している。この熱交換パネル11の構造は、床暖房に用いられる床暖房パネルと同構造のものであり、既存の床暖房パネルを適用可能である。
【0038】
伝熱シート21は、例えば、厚さ40μm程度の蒸着アルミフィルムからなり、配管22と断熱材23の上面を覆うように形成されている。
【0039】
配管22は、内部に熱媒体を流通させる為のもので、例えば、架橋ポリエチレン管又は銅管等からなり、蛇行状に構成されている(図4参照)。各熱交換パネル11の配管22の端部は、熱交換パネル11の裏面側開口部に設けられた配管接続部25の往き口25aと戻り口25bに夫々連通している。熱媒体は、例えば、グリコールプライン水溶液等の不凍液が使用される。
【0040】
断熱材23は、例えば、低発泡スチレン又はグラスウール等で形成されている。断熱材23の下端面は、合成樹脂製の保護層24で覆われている。断熱材23は、上端部に配管22の形状に合わせた蛇行状のパイプ収容溝23aが形成され、このパイプ収容溝23aに配管22が収容されている。熱交換パネル11の構造は、一般的な床暖房パネルと同様の構造を有するものなので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0041】
次に、固定金具12について説明する。
図3〜図7に示すように、ハイブリッドパネル2は、熱交換パネル11を支持固定する為の複数の固定金具12を備えている。具体的には、これら固定金具12は、熱交換パネル11を、伝熱シート21を介して発電パネル14の裏面に密着可能に支持するとともに、熱交換パネル11と発電パネル14との間で熱交換可能となるようにフレーム枠15に固定するものである。
【0042】
複数の固定金具12は、夫々、アルミニウム又はアルミニウム合金を押し出し成形した条材である。複数の固定金具12は、夫々、下側フランジ27と、この下側フランジ27の端部から上方に延びるウェブ28と、このウェブ28の端部から下側フランジ27と平行方向に延びる上部フランジ29とからなるほぼ断面C形(断面コ字形)に構成されたものである。下側フランジ27と上側フランジ29の先端側は、互いに接近する方向に僅かに屈曲されて構成されている。
【0043】
複数の固定金具12は、ハイブリッドパネル2の縦方向両端部に配設され且つ横方向に延びる第1,第2固定金具12a,12bと、これら固定金具12a,12b間に所定の間隔を空けて平行に配設され且つ横方向に延びる1対の第3固定金具12c,12dとを有する。
【0044】
第1固定金具12aは、開口側を横フレーム枠部材15a側に向けた姿勢で、横フレーム枠部材15aの下部フランジ16と熱交換パネル11との隙間に差し込まれて、熱交換パネル11の縦方向下端部をフレーム枠15に固定している。第1固定金具12aの長さ方向両端部が、複数のビス26を介して横フレーム枠部材15aの下部フランジ16に固定されている。
【0045】
第2固定金具12bは、開口側を横フレーム枠部材15b側に向けた姿勢で、横フレーム枠部材15bの下部フランジ16と熱交換パネル11との隙間に差し込まれることで、熱交換パネル11の縦方向上端部をフレーム枠15に固定している。第2固定金具12bの長さ方向両端部が、複数のビス26を介して横フレーム枠部材15bの下部フランジ16に固定されている。
【0046】
1対の第3固定金具12c,12dは、配管接続部25を挟んで開口側が互いに反対側を向いた姿勢で、その長さ方向両端部が、対向する1対の縦フレーム枠部材15c,15dの下部フランジ16と熱交換パネル11の隙間に夫々差し込まれて、1対の縦フレーム枠部材15c,15dに架着されて、熱交換パネル11が全長に亙って支持されている。1対の第3固定金具12c,12dの両端部は、複数のビス26を介して縦フレーム枠部材15c,15dに夫々固定されている。
【0047】
尚、これら複数の固定金具12(12a〜12d)は、熱交換パネル11をフレーム枠15に支持固定するだけでなく、熱交換パネル11の捩れ等の変形を防止することで剛性を向上させて、ハイブリッドパネル2の強度を向上させることができる。
【0048】
次に、ハイブリッドパネル2の配管22を流れる熱媒体の循環経路について説明する。
図1に示すように、貯湯タンク31が、例えば、各種建物の軒下や建物間の隙間等に配設されている。この貯湯タンク31は、湯水を貯留可能な上下方向に比較的細長いタンクであり、内部に熱媒体の循環経路の一部を形成する熱交換通路部(熱交換器)を有している。
【0049】
貯湯タンク31と各ハイブリッドパネル2の往き口25aとを接続する為の往き配管32と、各ハイブリッドパネル2の戻り口25bと貯湯タンク31とを接続する為の戻り配管33とが、固定架台4の内側に配設されている。往き配管32と戻り配管33は、ヘッダー式に構成されており、各ハイブリッドパネル2は並列に接続されている。往き配管32と戻り配管33をヘッダー式配管にすることで、各ハイブリッドパネル2に対して均等な循環流量を確保することができる。
【0050】
往き配管32は、貯湯タンク31の熱交換通路部から延びる往き通路部34aが接続され、往き配管32からは複数の往き枝通路部35aが分岐され、これら往き枝通路部35aが、各ハイブリッドパネル2の往き口25aに接続されている。各ハイブリッドパネル2の戻り口25bから延びる複数の戻り枝通路部35bが戻り配管33で合流され、戻り配管33から延びる戻り通路部34bが貯湯タンク31の熱交換通路部に接続されている。
【0051】
循環ポンプ(図示略)の駆動を介して、熱媒体が貯湯タンク31の熱交換通路部から往き通路部34aを通り、往き配管32を介して複数の往き枝通路部35aを通り、各ハイブリッドパネル2の蛇行状の配管22に送られ、熱交換パネル11で熱媒体が加熱される。この加熱された熱媒体は、各ハイブリッドパネル2に対応する複数の戻り枝通路部35bを通り、戻り配管33を介して戻り通路部34bを通り、貯湯タンク31の熱交換通路部に送られて、貯湯タンク31内の湯水との間で熱交換が行われる。
【0052】
次に、本発明のハイブリッドパネル2の作用及び効果について説明する。
先ずは、要求される負荷熱量と設置面Sの面積に応じてパネル群1における発電熱交換ハイブリッドパネル2と太陽電池モジュール3の設置数とその割合を算出する。次に、ハイブリッドパネル2と太陽電池モジュール3とを設置面Sに設置する為に、分解した状態のハイブリッドパネル2(太陽電池モジュール3、熱交換パネル11、固定金具12)を設置面S上又はその近傍部に搬入する。
【0053】
次に、太陽電池モジュール3に熱交換パネル11を後付けしてハイブリッドパネル2を組み立てる場合、熱交換パネル11を太陽電池モジュール3の裏面からフレーム枠15内に挿入し、第1,第2固定金具12a,12bを横フレーム枠部材15a,15bの下部フランジ16と熱交換パネル11との隙間に夫々差し込むことで、第1,第2固定金具12a,12bにより、先に挿入した熱交換パネル11を、伝熱シート21を介して発電パネル14の裏面に密着状になるように支持固定する。そして、第1,第2固定金具12a,12bを複数のビス26を介してフレーム枠15に固定する。
【0054】
次に、1対の第3固定部材12c,12dを上記と同様にフレーム枠15内に挿入し、1対の第3固定部材12c,12dを1対の縦フレーム枠部材15c,15dに架着する。そして、第3固定部材12c,12dを、縦フレーム枠部材15c,15dに複数のビス26を介して夫々固定する。この後、ハイブリッドパネル2を太陽電池モジュール3と同様の固定方法で固定架台4に固定する。
【0055】
こうして、複数の固定金具12a〜12dにより、熱交換パネル11がフレーム枠15に固定され、熱交換パネル11と発電パネル14とが熱交換可能となるので、発電パネル14の発電に寄与されなかった太陽光により発電パネル14が熱を持っても、この熱が伝熱シート21を介して熱交換パネル11の内部の配管22へ伝達され、配管22を流れる熱媒体を加熱することができると共に、発電パネル14を冷却することができる。
【0056】
このような構成によれば、固定金具12(12a〜12d)によって、熱交換パネル11を伝熱シート21を介して発電パネル14の裏面に密着可能に支持するとともに、熱交換パネル11と発電パネル14との間で熱交換可能となるように熱交換パネル11をフレーム枠15に固定するので、固定金具12を介して、太陽電池モジュール3のフレーム枠15に、熱交換パネル11を後付けしてハイブリッドパネル2を組み立てることができる。
【0057】
従って、ハイブリッドパネル2を、太陽電池モジュール3の形状、サイズ、固定構造と共通化することができるので、形状とサイズが共通となって意匠的価値を損なうことなく設置することができ、固定構造が共通となって設置コストを低減することができ、依って、ハイブリッドパネル2と太陽電池モジュール3とを容易に並設することができる。
【0058】
さらに、このハイブリッドパネル2は、太陽電池モジュール3に後付け的に熱交換パネル11を組み付けることで構成されるので、発電と熱交換(集熱)を同時に行うハイブリッドパネル2として使用するか、発電機能のみを有する太陽電池モジュール3として使用するかを、設置現場でも容易に択一的に選択することができる。
【0059】
熱交換パネル11は、床暖房に用いられる床暖房パネルと同構造のものであるので、既存の床暖房パネルを容易に適用可能であり、既存のものを流用することでコストを低減可能である。
【0060】
フレーム枠15は、パネル内側に向って開口する断面コ字状に構成され、フレーム枠15の下部フランジ16と熱交換パネル11との隙間に固定金具12(12a,12b)を差し込んで熱交換パネル11を固定するので、太陽電池モジュール3の内部空間を有効に活用して、固定金具12(12a,12b)により熱交換パネル11の上端部及び下端部を全長に亙ってフレーム枠15に確実に固定することができる。
【0061】
固定金具12(12c,12d)は、フレーム枠15の対向する1対の縦フレーム枠部材15c,15dに架着されるので、熱交換パネル11の上下方向の途中部の2カ所を横方向の全長に亙って安定的に支持固定でき、発電パネル14と熱交換パネル11とを全面に亙って確実に密着させることができ、しかも、ハイブリッドパネル2の強度を向上させることができる。
【0062】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]図8に示すように、ハイブリッドパネル2Aの熱交換パネル11Aは、床暖房に用いられる小根太入りの床暖房パネルと同構造のものであっても良い。この小根太41は、複数の細長い木材で構成され、断熱材23内において蛇行状の配管22A間に櫛歯状に配置されている。複数の固定金具12は、第1,第2固定金具12a,12bに代えて、小根太41毎にビス26aにより固定された複数の小型固定金具12e,12fを有している。各小型固定金具12e,12fは、第1,第2固定金具12a,12bの断面形状と同様な断面C形(断面コ字形)に構成されたものである。複数の小型固定金具12e,12fは、夫々、横フレーム枠部材15a,15bの下部フランジ16と熱交換パネル11Aとの隙間に差し込まれて、熱交換パネル11Aの縦方向両端部をフレーム枠15に固定している。
【0063】
この構成によれば、熱交換パネル11Aとして太陽電池モジュール3に対して既存の小根太入りの床暖房パネルを容易に適用可能であり、既存のものを流用することでコストを低減可能である。小根太41により、熱交換パネル11Aの強度を向上させることができる。しかも、熱交換パネル11Aの各小根太41に小型固定金具12e,12fをビス26aで夫々直接固定可能となるので、第1,第2固定金具12a,12bと比較して、固定金具12を小型化することができ、さらに、小根太41により熱交換パネル11Aの強度が向上するので、第3固定金具12c,12dを省略することができる。
【0064】
[2]前記固定金具12の設置箇所は、図4に示す位置に限定する必要はなく、例えば、第1,第2固定金具12a,12bを、縦フレーム枠部材15c,15dの下部フランジ16と熱交換パネル11との隙間に差し込んで下部フランジ16に夫々固定し、1対の第3固定金具12c,12dを1対の横フレーム枠部材15a,15bに架着した構成であっても良い。
【0065】
また、複数の固定金具12の設置数は、必ずしも4本に限定する必要はなく、1対の第3固定金具12c,12dを省略して、第1,第2固定金具12a,12bのみ設置しても良いし、1対の第3固定金具12c,12dのうち一方を省略して、3本の固定金具12を設置しても良いし、5本以上の固定金具12を設置しても良い。
【0066】
[3]前記固定金具12の形状は、必ずしも断面C形(断面コ字形)に限定する必要はなく、断面I形、断面H形や断面中空の四角形状等に構成しても良いし、同様の機能を奏するものであれば、種々の形状に構成しても良い。また、複数の固定金具12を、同様の機能を奏するものであれば、夫々が異なる形状に構成しても良い。
【0067】
[4]前記ハイブリッドパネル2に積雪を検知する為の積雪センサーを設けても良い。この構成によると、積雪センサーが降雪を検知した場合、降雪時にハイブリッドパネル2の配管22に10℃〜15℃程度の低温水を循環させて、ハイブリッドパネル2の上端面に積雪した雪を溶かすことが可能となり、多降雪エリアにおけるハイブリッドパネル2の設置が可能となる。
【0068】
[5]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0069】
2,2A 発電熱交換ハイブリッドパネル
3 太陽電池モジュール
11,11A 熱交換パネル
12 固定金具
12a〜12d 第1〜第3固定金具
12e,12f 小型固定金具
14 発電パネル
15 フレーム枠
15a,15b 横フレーム枠部材
15c,15d 縦フレーム枠部材
16 下部フランジ
21 伝熱シート
22,22A 配管
41 小根太

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受光して発電可能な発電パネルと、この発電パネルの外周部に設けられて前記発電パネルを固定する為のフレーム枠とを有する太陽電池モジュールと、
伝熱可能な伝熱シートと、この伝熱シートの裏面側に設けられて内部に熱媒体を流通させる為の配管とを有する熱交換パネルと、
前記熱交換パネルを前記伝熱シートを介して前記発電パネルの裏面に密着可能に支持するとともに、前記熱交換パネルと前記発電パネルとの間で熱交換可能となるように前記熱交換パネルを前記フレーム枠に固定する固定金具とを備えたことを特徴とする発電熱交換ハイブリッドパネル。
【請求項2】
前記熱交換パネルは、床暖房に用いられる床暖房パネルと同構造のものであることを特徴とする請求項1に記載の発電熱交換ハイブリッドパネル。
【請求項3】
前記熱交換パネルは、床暖房に用いられる小根太入りの床暖房パネルと同構造のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電熱交換ハイブリッドパネル。
【請求項4】
前記フレーム枠は、パネル内側に向って開口する断面コ字状に構成され、前記フレーム枠の下部フランジと前記熱交換パネルとの隙間に前記固定金具を差し込んで前記熱交換パネルを固定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の発電熱交換ハイブリッドパネル。
【請求項5】
前記固定金具は、前記フレーム枠の対向する1対のフレーム枠部材に架着されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の発電熱交換ハイブリッドパネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115224(P2013−115224A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259794(P2011−259794)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】