説明

発電装置

【課題】熱源の変動に応じて、複数の熱サイクルに熱量を適切に分配して発電できる発電装置を提供する。
【解決手段】発電サイクル1a,1bを複数有し、それぞれの発電サイクル1a,1bの蒸発器2に加熱媒体を供給する加熱媒体供給分岐流路12と、蒸発器2から加熱媒体を排出する加熱媒体排出分岐流路13と、凝縮器4に冷却媒体を供給する冷却媒体供給分岐流路16と、凝縮器4から冷却媒体を排出する冷却媒体排出分岐流路17とを備える発電装置100において、加熱媒体供給分岐流路12および加熱媒体排出分岐流路13の少なくともいずれかに加熱媒体遮断弁18を設け、冷却媒体供給分岐流路16および冷却媒体排出分岐流路17の少なくともいずれかに冷却媒体遮断弁19を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電装置としては、水蒸気のフラッシュによって発電機を駆動するフラッシュ発電が広く導入されている。しかし、近年、省エネルギーの観点から、排熱回収等に利用するために、フラッシュ発電が利用できないような低温の熱によって発電できるシステムへのニーズが高まっている。
【0003】
そのような発電装置として、例えば特許文献1に記載されているように、低沸点の作動媒体によってタービンや膨張機(エキスパンダ)を駆動するために、作動流体の蒸発器と、作動流体蒸気に膨張仕事をさせるためのスクリュータービンと、作動流体蒸気を凝縮させるための凝縮器と、作動流体を循環させるための循環ポンプとを直列に接続した閉ループ内で作動流体を循環させる熱サイクルであるランキンサイクルを利用したバイナリ発電システムがある。
【0004】
通常、バイナリ発電システムでは、地熱発電のように大容量の熱源(坑井、蒸気井など)から蒸気等の加熱媒体が蒸発器に供給される。ただ、その熱源から供給される蒸気等の加熱媒体の流量等、すなわち、熱源から供給される熱量は状況に応じて大きく変化する場合が多い。従って、従来のバイナリ発電システムでは、大きく変動する熱源の状況に適切に対応するための種々の技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1のバイナリ発電システムは、ランキンサイクルによってスクリュータービンを回して発電機を駆動するようにしたバイナリ発電装置に、蒸発器の作動流体の液面を調節することによってスクリュータービンの出力を制御する構成を備えている。これにより熱源の状況、ひいては蒸発器に供給される熱量の増減に係わらず、蒸発器の作動流体液面を適正に調節して、蒸発器の伝熱性能を適正に保持し、また、急激な作動流体循環量の増大に伴うポンプ動力が増大するといった不具合を回避することができる。
【0006】
ところで、大容量の熱源から供給される熱量が十二分に存在する場合には、蒸発器を複数構成し、それに伴って、蒸発器と、スクリュータービン(スクリュエキスパンダ)等の膨張機と、凝縮器と、循環ポンプとを直列に接続した閉ループ内で作動流体を循環させて熱サイクルを複数構成することが考えられる。
【0007】
しかしながら、単に、上述のような熱サイクルを複数構成するのみでは、いずれの熱サイクルにどの程度の熱量を分配して供給するかが考慮されておらず、非効率な熱回収となり、変動する熱源の状況に適切に対応し得ない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−103023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記問題点に鑑みて、熱源の変動に応じて、複数の熱サイクルに熱量を適切に分配して発電できる発電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明による発電装置は、蒸発器において外部から供給される加熱媒体によって作動媒体を蒸発させ、蒸発した作動媒体を発電機に接続した膨張機に導入して前記膨張機を駆動することにより発電し、前記膨張機から排出された作動媒体を凝縮器に導入し、前記凝縮器において外部から供給される冷却媒体によって作動媒体を冷却して凝縮させ、凝縮した作動媒体をポンプによって前記蒸発器に再供給する発電サイクルを複数有し、熱源から加熱媒体が供給される共通の加熱媒体供給共通流路から分岐して、それぞれの前記発電サイクルの前記蒸発器に加熱媒体を供給する加熱媒体供給分岐流路と、それぞれの前記発電サイクルの前記蒸発器から作動媒体と熱交換した加熱媒体を排出する加熱媒体排出分岐流路と、冷却源から冷却媒体が供給される共通の冷却媒体供給共通流路から分岐して、それぞれの前記発電サイクルの前記凝縮器に冷却媒体を供給する冷却媒体供給分岐流路と、それぞれの前記発電サイクルの前記凝縮器から作動媒体と熱交換した冷却媒体を排出する冷却媒体排出分岐流路とを備え、前記加熱媒体供給分岐流路および前記加熱媒体排出分岐流路の少なくともいずれかに設けられ、加熱媒体の流れを遮断する加熱媒体遮断弁と、前記冷却媒体供給分岐流路および前記冷却媒体排出分岐流路の少なくともいずれかに設けられ、冷却媒体の流れを遮断する冷却媒体遮断弁とを有するものとする。
【0011】
この構成によれば、加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉鎖することで、発電サイクルへの熱の出入りを個別に遮断して、発電サイクルを完全に停止させられる。これにより、変動する熱源の状況に応じて、最適な発電サイクルの組み合わせを選択して運転することができ、発電サイクルのエネルギー変換効率を高く維持し、供給される熱エネルギーを最大限に電力に変換できる。
【0012】
また、本発明の発電装置は、少なくともいずれかの前記発電サイクルの前記加熱媒体供給分岐流路および前記加熱媒体排出分岐流路に設けられ、それぞれ加熱媒体の温度を検出する加熱媒体供給温度検出器および加熱媒体排出温度検出器と、それぞれの前記発電機の発電量を検出する電力検出器と、前記加熱媒体供給温度検出器の検出値と前記加熱媒体排出温度検出器の検出値との差分と、前記電力検出器の検出値とに基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有してもよい。
【0013】
この構成によれば、蒸発器に供給される熱量と発電量とのバランスに基づいて、運転する発電システムの合計容量が適切であるか否かを判断し、発電システムの容量を調整するので、供給される熱エネルギーを最大限に電力に変換できる。
【0014】
この発電装置において、前記制御装置は、前記加熱媒体供給温度検出器の検出値と加熱媒体排出温度検出器の検出値との差分が所定の加熱温度差下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、前記加熱媒体供給温度検出器の検出値と加熱媒体排出温度検出器の検出値との差分が前記加熱温度差下限値以上で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることが好ましい。
【0015】
また、本発明の発電装置は、少なくともいずれかの前記発電サイクルの前記冷却媒体供給分岐流路および前記冷却媒体排出分岐流路に設けられ、それぞれ冷却媒体の温度を検出する冷却媒体供給温度検出器および冷却媒体排出温度検出器と、前記冷却媒体供給温度検出器の検出値と前記冷却媒体排出温度検出器の検出値との差分および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有してもよい。
【0016】
この構成によれば、凝縮器に供給される冷熱量と発電量とのバランスに基づいて、運転する発電システムの合計容量が適切であるか否かを判断し、発電システムの容量を調整するので、供給される冷熱エネルギーを最大限に利用して発電できる。
【0017】
この発電装置において、前記制御装置は、前記冷却媒体供給温度検出器の検出値と冷却媒体排出温度検出器の検出値との差分が所定の冷却温度差下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、前記冷却媒体供給温度検出器の検出値と冷却媒体排出温度検出器の検出値との差分が前記冷却温度差下限値以上で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることが好ましい。
【0018】
また、本発明の発電装置は、少なくともいずれかの前記発電サイクルの前記蒸発器の上流および下流に配設され、それぞれ前記作動媒体の温度を検出する作動媒体蒸発前温度検出器および作動媒体蒸発後温度検出器と、前記作動媒体蒸発前温度検出器の検出値と前記作動媒体蒸発後温度検出器の検出値との差分および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有してもよい。
【0019】
この構成によれば、作動媒体が加熱媒体から受け取った熱量と発電量とのバランスに基づいて、運転する発電システムの合計容量が適切であるか否かを判断し、発電システムの容量を調整するので、供給される冷熱エネルギーを最大限に利用して発電できる。
【0020】
この発電装置において、前記制御装置は、前記作動媒体蒸発前温度検出器の検出値と前記作動媒体蒸発後温度検出器の検出値との差分が所定の蒸発温度差下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、前記作動媒体蒸発前温度検出器の検出値と前記作動媒体蒸発後温度検出器の検出値との差分が前記蒸発温度差下限値以上で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることが好ましい。
【0021】
また、本発明の発電装置は、少なくともいずれかの前記発電サイクルの前記凝縮器の上流および下流に配設され、それぞれ前記作動媒体の温度を検出する作動媒体凝縮前温度検出器および作動媒体凝縮後温度検出器と、前記作動媒体凝縮前温度検出器の検出値と前記作動媒体凝縮後温度検出器の検出値との差分および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有してもよい。
【0022】
この構成によれば、作動媒体が冷却媒体に放出した熱量と発電量とのバランスに基づいて、運転する発電システムの合計容量が適切であるか否かを判断し、発電システムの容量を調整するので、供給される冷熱エネルギーを最大限に利用して発電できる。
【0023】
この発電装置において、前記作動媒体凝縮前温度検出器の検出値と前記作動媒体凝縮後温度検出器の検出値との差分が所定の凝縮温度差下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、前記作動媒体凝縮前温度検出器の検出値と前記作動媒体凝縮後温度検出器の検出値との差分が前記凝縮温度差下限値以上で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることが好ましい。
【0024】
この発電装置において、少なくともいずれかの前記発電サイクルに設けられ、作動媒体の流量を検出する作動媒体流量検出器と、それぞれの前記発電機の発電量を検出する電力検出器と、前記作動媒体流量検出器の検出値および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有してもよい。
【0025】
この構成によれば、作動媒体の流量と発電量とのバランスに基づいて、運転する発電システムの合計容量が適切であるか否かを判断し、発電システムの容量を調整するので、供給される冷熱エネルギーを最大限に利用して発電できる。
【0026】
また、この発電装置において、前記制御装置は、前記作動媒体流量検出器の検出値が所定の流量上限値より大きくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、前記作動媒体流量検出器の検出値が前記流量上限値以下で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることが好ましい。
【0027】
また、本発明の発電装置において、前記制御装置は、それぞれの前記発電サイクルの運転時間の積算時間を記憶し、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開くときには、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクル中で、前記積算時間が最も短い前記発電サイクルの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じるときには、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクル中で、前記積算時間が最も長い前記発電サイクルの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることが好ましい。
【0028】
また、本発明の発電装置において、前記電力下限値は、現在、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開けられている前記発電サイクルの最大発電量の和と、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開けられている前記発電サイクルの最大発電量の和から次に前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じるべき前記発電サイクルの最大発電量を減じた値との間の値であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態の発電装置の構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態の発電装置の構成図である。
【図3】図2の発電装置の制御の流れ図である。
【図4】本発明の第3実施形態の発電装置の構成図である。
【図5】図4の発電装置の制御の流れ図である。
【図6】本発明の第4実施形態の発電装置の構成図である。
【図7】図6の発電装置の制御の流れ図である。
【図8】本発明の第5実施形態の発電装置の構成図である。
【図9】本発明の第6実施形態の発電装置の構成図である。
【図10】本発明の第7実施形態の発電装置の構成図である。
【図11】本発明の第8実施形態の発電装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。先ず、図1に、本発明の第1実施形態である発電装置100の構成を示す。発電装置100は、2つの発電サイクル1a,1bを有する。発電サイクル1a,1bは、それぞれ、蒸発器2、スクリュ膨張機3、凝縮器4およびポンプ5が介設され、作動媒体(例えばR245fa等のフロン系熱媒体)が封入された閉鎖した循環流路6からなるランキンサイクル熱機関である。
【0031】
蒸発器2は、装置外部の熱源から供給される加熱媒体(例えば坑井から採取される蒸気やボイラで製造した蒸気)と熱交換して、作動媒体を蒸発させる熱交換器である。蒸発器2において蒸発した作動媒体は、スクリュ膨張機3に導入され、スクリュ膨張機3内で膨張することにより、スクリュ膨張機3を回転駆動する。スクリュ膨張機3で膨張して圧力が低下した状態で排出される作動媒体は、凝縮器4に導入される。凝縮器4は、装置外部の冷却源から供給される冷却媒体(例えば河川やクーリングタワーから供給される冷却水)と熱交換することによって作動媒体を冷却して凝縮させる熱交換器である。凝縮器4で凝縮して液体となった作動媒体は、ポンプ5によって蒸発器2に再供給される。
【0032】
スクリュ膨張機3の回転軸には、発電機7が接続されている。この発電機7が、スクリュ膨張機3の回転エネルギーを、電気エネルギーに変換、つまり、発電をする。発電機7の発電量は、電力検出器8によってそれぞれ検出され、その検出値が制御装置9に入力されるようになっている。
【0033】
加熱媒体は、加熱媒体供給共通流路10に供給され、加熱媒体外排出共通流路11を通じて熱源に環流、或いは、外部で2次利用または廃棄される。各発電サイクル1の蒸発器2には、それぞれ、加熱媒体供給共通流路10から分岐した加熱媒体供給分岐流路12を介して加熱媒体が供給される。蒸発器2を通過した加熱媒体は、加熱媒体排出共通流路11に合流する加熱媒体排出分岐流路13を介して排出されるようになっている。
【0034】
冷却媒体は、冷却媒体供給共通流路14に供給され、冷却媒体排出共通流路15を通じて冷却源に環流または廃棄される。各発電サイクル1a,1bの凝縮器4には、冷却媒体供給共通流路14から分岐した冷却媒体供給分岐流路16を介して冷却媒体が供給される。凝縮器4を通過した冷却媒体は、冷却媒体排出共通流路16に合流する冷却媒体排出分岐流路17を介して排出されるようになっている。
【0035】
第2の発電サイクル1bには、加熱媒体供給分岐流路12に加熱媒体遮断弁18が設けられ、冷却媒体供給分岐流路16に冷却媒体遮断弁19が設けられている。加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19は、オペレータが制御装置9を操作することによって略同時に開閉できるようになっている。
【0036】
本実施形態の発電装置100では、発電サイクル1a,1bの電力検出器8の検出値が低下したときに、第2の発電サイクル1bのポンプ5を停止し、且つ、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を閉鎖することで、第2の発電サイクル1bの循環流路6内の作動媒体の循環および加熱媒体や冷却媒体との熱交換を完全に停止することができる。
【0037】
これにより、加熱媒体や冷却媒体の供給量が低下したとき、第1の発電サイクル1aのみに加熱媒体や冷却媒体を供給することで、第1の発電サイクル1aに供給される熱量を確保し、第1の発電サイクル1aの発電効率を高く維持することができる。つまり、加熱媒体や冷却媒体の供給量に応じて、運転している発電サイクル1a,1bの合計容量が最適な値になるように、発電サイクル1a,1bの運転サイクル数を調整することで、発電容量に対して大幅に小さい電力の発電を行うことによる発電効率の低下を防止できる。
【0038】
発電装置100では、逆に、第1の発電サイクル1aのみを運転しているときに電力検出器8の検出値上昇したときは、第2の発電サイクル1bのポンプ5を起動し、且つ、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を開放することで、第2の発電サイクル1bの運転を開始する。これにより、第1の発電サイクル1a単体の容量を超えて供給される熱エネルギーを、第2の発電サイクル1bにも分散して電力に変換できる。
【0039】
続いて、図2に、本発明の第2実施形態の発電装置200を示す。尚、これ以降の実施形態の説明では、先に説明した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0040】
本実施形態の発電装置200の第1の発電サイクル1aでは、加熱媒体供給分岐流路12に、蒸発器2に供給される加熱媒体の温度を検出する加熱媒体供給温度検出器20が設けられ、加熱媒体排出分岐流路13に、蒸発器2から排出される加熱媒体の温度を検出する加熱媒体排出温度検出器21が設けられている。加熱媒体供給温度検出器20および加熱媒体排出温度検出器21の検出値は、制御装置9に入力されるようになっている。
【0041】
また、本実施形態において、加熱媒体遮断弁18は、加熱媒体排出分岐流路13に設けられ、冷却媒体遮断弁19は、冷却媒体排出分岐流路17に設けられている。本実施形態の加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19は、制御装置9によって自動的に開閉される。
【0042】
図3に、発電装置200の制御装置9による加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19の開閉に係る制御の流れを示す。本実施形態において、制御装置9は、ステップS1において、第1の発電サイクル1aの加熱媒体供給温度検出器20の検出値と加熱媒体排出温度検出器21の検出値との差分(加熱温度差)ΔThを算出し、予め設定されている加熱温度差下限値Sthと比較する。
【0043】
ステップS1において、加熱温度差ΔThが加熱温度差下限値Sthより小さければ、制御装置9は、ステップS2で第2の発電サイクル1bのポンプ5を起動し、ステップS3で第2の発電サイクル1bの加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を開放することによって、第2の発電サイクル1bの運転を開始する。
【0044】
ステップS1において、加熱温度差ΔThが加熱温度差下限値Sth以上であれば、ステップS4に進んで、第1の発電サイクル1aの電力検出器8の検出値W1と第2の発電サイクル1bの電力検出器8の検出値W2との合計値を算出し、この合計値を、予め設定されている電力下限値Spと比較する。
【0045】
ステップS4において、電力検出器8の検出値の合計値(W1+W2)が、電力下限値Sp以上であれば、ステップS1に戻る。ステップS4において、電力検出器8の検出値の合計値(W1+W2)が、電力下限値Spより小さければ、制御装置9は、ステップS5で第2の発電サイクル1bのポンプ5を停止し、ステップS3で第2の発電サイクル1bの加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を閉鎖することによって、第2の発電サイクル1bの運転を停止する。
【0046】
ステップS2およびS3で第2の発電サイクル1bの運転を開始、或いは、ステップS5およびS6で第2の発電サイクル1bの運転を停止したときは、ステップS7に進んで、発電装置200全体の運転が安定するために必要であると考えられる値に予め設定された待ち時間が経過してから、ステップS1に戻って、制御を継続する。
【0047】
本実施形態において、第1の発電サイクル1aの蒸発器2において作動流体が加熱媒体から単位時間当たりに受け取る熱量は、第1の発電サイクル1aの容量によって制約される。このため、運転している発電サイクル1a,1bの合計容量に対して加熱媒体供給共通流路10に供給される加熱媒体の流量が大きくなっても、蒸発器2において作動媒体が加熱媒体から受け取る単位時間当たりの熱量は大きくならない。従って、各蒸発器2を通過する過熱媒体の流量が設計値よりも大きくなると、熱媒体供給温度検出器20と加熱媒体排出温度検出器21との検出温度の差分ΔThは、設計値よりも小さな値となる。
【0048】
このため、第1の発電サイクル1aだけで発電した方が高効率となる加熱媒体の流量の上限値に対応する、媒体供給温度検出器20と加熱媒体排出温度検出器21との検出温度の差分ΔThの値を、予め、加熱温度差下限値Sthとして制御装置9に記憶させておくことで、加熱媒体の流量の上昇に応じて、第2の発電サイクル1bを自動的に追加運転して、加熱媒体の熱エネルギーを最大限に電力に変換することができる。尚、第1の発電サイクル1aの発電機7と第2の発電サイクル1bの発電機7との連携(共通の電力系統への給電するための同期)は、発電機7の形式等に応じて、公知の方法が採用される。
【0049】
また、蒸発器2を通過する加熱媒体の流量が減少してくると、蒸発器2において作動媒体に供給できる熱量が小さくなる。すると、スクリュ膨張機3において動力に変換できる熱エネルギーが減少するので、発電機7の出力が低下する。このため、電力下限値Spを、第1の発電サイクル1aおよび第2の発電サイクル1bを共に運転するよりも、第1の発電サイクル1aを単独で運転した方が最終的に多くの電力を得られると考えられる加熱媒体の流量において、電力検出器8の検出値の合計(W1+W2)として観測される値に設定することで、加熱媒体供給共通流路10に供給される加熱媒体の流量の減少に対して、発電装置200全体の容量を適切に減少させて、発電効率の低下を防止できる。
【0050】
このように、本実施形態では、制御装置9が、第1の発電サイクル1aの単独での運転と、第1および第2の発電サイクル1a,1bの並列運転とを適切に切り換えるので、加熱媒体供給共通流路10に供給される加熱媒体の流量が変動しても、常に、高効率の発電を行うことができる。
【0051】
尚、本実施形態において、ステップS2とステップS3、および、ステップS5とステップS6は、略時間差なく実行される手順であり、それぞれ、順番を入れ替えても問題ない。
【0052】
さらに、図4に、本発明の第3実施形態の発電装置300を示す。本実施形態の発電装置300は、合計n(3以上の任意の自然数)組の発電サイクル1a〜1nを有する。発電サイクル1a〜1nは、主に使用される第1番目の発電サイクル1aと、複数の出力調整用の補助発電サイクル1b〜1nとからなる。第2番目の発電サイクル1bから第n番目の発電サイクルまでは、全て第2実施形態の第2の発電サイクル1bと同じ構成である。
【0053】
本実施形態の制御装置9は、第2の発電サイクル1bから第nの発電サイクル1nまでの、それぞれの運転時間の積算値を個別に記憶し、加熱媒体供給共通流路10に供給される加熱媒体の流量の変化に対して、運転時間の積算値に応じて起動する発電サイクル1xおよび停止する発電サイクル1yを決定する。
【0054】
図5に、本実施形態の制御装置9による制御の流れを示す。ステップS11において、第1の発電サイクル1aの加熱媒体供給温度検出器20の検出値と加熱媒体排出温度検出器21の検出値との差分(加熱温度差)ΔThが予め設定した加熱温度差下限値Sthより小さければ、制御装置9は、ステップS12で、予め決定されている第x番目の発電サイクル1xのポンプ5を起動し、ステップS13で第x番目の発電サイクル1xの加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を開放することによって、第x番目の発電サイクル1xの運転を開始する。
【0055】
制御装置9は、ステップS12およびS13で第x番目の発電サイクル1xの運転を開始した後、ステップS14において、さらに加熱媒体の流量が増加したときに始動すべき次の発電サイクルの番号xを改めて決定する。具体的には、制御装置9は、その時点で停止している発電サイクル1i(i=2〜n)の中で最も運転時間の積算値が小さいものを次に起動する発電サイクル1xとする。
【0056】
また、本実施形態の制御装置9は、ステップS11において、加熱温度差ΔThが加熱温度差下限値Sth以上であれば、ステップS15に進んで、全ての発電サイクル1aから1nの電力検出器8の検出値の合計値(ΣWi)を、各発電サイクル1iの最大発電量Pi(定格出力)と各発電サイクル1iの運転状態のステイタスfi(運転中は1、停止中は0)とを掛け合わせた値の合計値から次に停止する第y番目の発電システム1yの最大発電量Pyに所定の係数k(0≦k<1)を掛け合わせた値を差し引いた値である電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)と比較する。
【0057】
つまり、制御装置9は、発電装置300の現時点の合計発電量(ΣWi)と、現在運転している発電サイクル1iの最大発電量の合計値(Σ(fi・Pi))と、現在運転している発電サイクル1iの最大発電量の合計値から次に停止する第y番目の発電サイクル1yの発電量を減じた値(Σ(fi・Pi)−Py)との間の係数kによって決まる電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)と比較することで、運転中の発電サイクル1iの容量が、加熱媒体供給共通流路10に供給されている加熱媒体の流量に対して過剰であるか否かを判定する。
【0058】
ステップS15において、その時点の発電装置300の合計発電量(ΣWi)が電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)以上であれば、運転中の発電サイクル1iの容量の合計が、加熱媒体供給共通流路10に供給されている加熱媒体の流量に対して適切であるのでステップS11に戻り、加熱媒体の流量(加熱温度差ΔTh)の確認を行う。
【0059】
ステップS15において、その時点の発電装置300の合計発電量(ΣWi)が電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)より小さければ、運転中の発電サイクル1iの容量が過剰であるので、制御装置9は、ステップS16およびS17において、第y番目の発電サイクル1yのポンプ5の停止並びに加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19の閉鎖を行って、第y番目の発電サイクルを停止する。さらに、制御装置9はステップS18において、第1番目の発電サイクル1aを除いてその時点で運転しているすべての発電サイクル1i(i=2〜n)の中で運転時間の積算値が最も大きいものを次に停止する発電サイクル1yとする。
【0060】
第x番目の発電サイクル1xを起動した場合、および、第y番目の発電サイクル1yを停止した場合は、ステップS19において時間待ちをしてから、ステップS11に戻る。
【0061】
本実施形態では、第2番目の発電サイクル1bから第n番目の発電サイクル1nまでの積算運転時間が平均して増加するように、運転または停止する発電サイクル1iが選択されるので、各発電サイクル1iの損耗が平均化される。
【0062】
さらに、図6に、本発明の第4実施形態の発電装置400を示す。本実施形態の発電装置400は、全て同じ構成からなる合計n組の発電サイクル1a〜1nを有する。つまり、全ての発電サイクル1a〜1nは、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19、並びに、加熱媒体供給温度検出器20および加熱媒体排出温度検出器21を有する。
【0063】
図7に、本実施形態の制御装置9による制御の流れを示す。本実施形態では、ステップS21において、次に停止すべき第y番目の発電サイクル1aの加熱媒体供給温度検出器20の検出値と加熱媒体排出温度検出器21の検出値との差分(加熱温度差)ΔThyが予め設定した加熱温度差下限値Sthより小さければ、制御装置9は、ステップS22で、予め決定されている第x番目の発電サイクル1xのポンプ5を起動し、ステップS23で第x番目の発電サイクル1xの加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を開放することによって、第x番目の発電サイクル1xの運転を開始し、ステップS24でその時点で停止している発電サイクル1i(i=1〜n)の中で最も運転時間の積算値が小さいものを次に起動する発電サイクル1xとする。
【0064】
また、本実施形態の制御装置9は、ステップS21において、加熱温度差ΔThyが加熱温度差下限値Sth以上であれば、ステップS25に進んで、全ての発電サイクル1aから1nの電力検出器8の検出値の合計値(ΣWi)を、各発電サイクル1iの最大発電量と各発電サイクル1iの運転状態のステイタスとを掛け合わせた値の合計値から次に停止する第y番目の発電システム1yの最大発電量に所定の係数kを掛け合わせた値を差し引いた電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)と比較する。
【0065】
ステップS25において、その時点の発電装置400の合計発電量(ΣWi)が電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)以上であれば、ステップS21に戻る。ステップS25において、その時点の発電装置300の合計発電量(ΣWi)が電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)より小さければ、制御装置9は、ステップS26およびS27において、第y番目の発電サイクルのポンプ5の停止並びに加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19の閉鎖を行う。さらに、制御装置9はステップS28において、第1番目の発電サイクル1aを含めてその時点で運転している発電サイクル1i(i=1〜n)の中で最も運転時間の積算値が大きいものを次に停止する発電サイクル1yとする。
【0066】
第x番目の発電サイクル1xを起動した場合、および、第y番目の発電サイクル1yを停止した場合は、ステップS29において時間待ちをしてから、ステップS21に戻る。
【0067】
続いて、図8に、本発明の第5実施形態の発電装置500を示す。本実施形態の発電装置500は、主たる第1の発電サイクル1aと、補助的な第2乃至第n番目の発電サイクル1b〜1nを有する。本実施形態の第1の発電サイクル1a〜1nは、冷却媒体供給分岐流路16および冷却媒体排出17に、それぞれの冷却媒体の温度を検出する冷却媒体供給温度検出器22および冷却媒体排出温度検出器23が設けられている。
【0068】
本実施形態において、制御装置9は、冷却媒体供給温度検出器22の検出値と冷却媒体排出温度検出器23の検出値との差分(冷却温度差)ΔTcを算出し、予め設定した冷却温度差下限値Stcと比較する。そして、制御装置9は、冷却温度差ΔTcが冷却温度差下限値Stcよりも小さい場合は、予め決定しておいた第x番目の発電サイクル1xのポンプ5を始動し、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を開放することによって、第x番目の発電システム1xの運転を開始する。
【0069】
また、制御装置9は、冷却温度差ΔTcが冷却温度差下限値Stc以上であり、且つ、全ての発電サイクル1a〜1nの電力検出器8の検出値の合計値(ΣWi)が、その時点で運転している発電サイクル1iの最大発電量の合計値から次に停止する第y番目の発電システム1yの最大発電量に所定の係数kを掛け合わせた値を差し引いた電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)より小さい場合には、予め決定しておいた第y番目の発電サイクル1xのポンプ5を停止し、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を閉鎖することによって、第y番目の発電システム1yの運転を停止する。
【0070】
本実施形態は、冷却媒体の流量に応じて発電サイクル1iの運転数を調整する。つまり、本実施形態は、加熱媒体の流量は豊富であるが、冷却媒体の流量や温度がボトルネックとなる場合に適用されるものである。また、主従のない複数の発電サイクル1iを並列に接続した発電装置においても、冷却媒体の凝縮器4前後の温度差に応じて発電サイクル1iの運転数を調整してもよい。
【0071】
続いて、図9に、本発明の第6実施形態の発電装置600を示す。本実施形態の発電装置600は、主たる第1の発電サイクル1aと、補助的な第2乃至第n番目の発電サイクル1b〜1nを有する。本実施形態の第1の発電サイクル1aは、蒸発器2の上流側および下流側の循環流路6においてそれぞれ作動媒体の温度を検出する作動媒体蒸発前温度検出器24および作動媒体蒸発後温度検出器25が設けられている。
【0072】
本実施形態において、制御装置9は、作動媒体蒸発前温度検出器24の検出値と作動媒体蒸発後温度検出器25の検出値との差分(蒸発温度差)ΔTeを算出し、予め設定した蒸発温度差下限値Steと比較する。そして、制御装置9は、蒸発温度差ΔTeが冷却温度差下限値Steよりも小さい場合は、予め決定しておいた第x番目の発電サイクル1xのポンプ5を始動し、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を開放することによって、第x番目の発電システム1xの運転を開始する。
【0073】
また、制御装置9は、蒸発温度差ΔTeが蒸発温度差下限値Ste以上であり、且つ、全ての発電サイクル1a〜1nの電力検出器8の検出値の合計値(ΣWi)が、その時点で運転している発電サイクル1iの最大発電量の合計値から次に停止する第y番目の発電システム1yの最大発電量に所定の係数kを掛け合わせた値を差し引いた電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)より小さい場合には、予め決定しておいた第y番目の発電サイクル1xのポンプ5を停止し、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を閉鎖することによって、第y番目の発電システム1yの運転を停止する。
【0074】
本実施形態は、蒸発器2における熱交換量に応じて発電サイクル1iの運転数を調整する。また、主従のない複数の発電サイクル1iを並列に接続した発電装置においても、蒸発器2における熱交換量(蒸発温度差)に応じて発電サイクル1iの運転数を調整してもよい。
【0075】
続いて、図10に、本発明の第7実施形態の発電装置700を示す。本実施形態の発電装置700は、主たる第1の発電サイクル1aと、補助的な第2乃至第n番目の発電サイクル1b〜1nを有する。本実施形態の第1の発電サイクル1aは、凝縮器4の上流側および下流側の循環流路6においてそれぞれ作動媒体の温度を検出する作動媒体凝縮前温度検出器26および作動媒体凝縮後温度検出器27が設けられている。
【0076】
本実施形態において、制御装置9は、作動媒体凝縮前温度検出器26の検出値と作動媒体凝縮後温度検出器25の検出値との差分(凝縮温度差)ΔTdを算出し、予め設定した凝縮温度差下限値Stdと比較する。そして、制御装置9は、凝縮温度差ΔTdが凝縮温度差下限値Stdよりも小さい場合は、予め決定しておいた第x番目の発電サイクル1xのポンプ5を始動し、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を開放することによって、第x番目の発電システム1xの運転を開始する。
【0077】
また、制御装置9は、凝縮温度差ΔTdが凝縮温度差下限値Std以上であり、且つ、全ての発電サイクル1a〜1nの電力検出器8の検出値の合計値(ΣWi)が、その時点で運転している発電サイクル1iの最大発電量の合計値から次に停止する第y番目の発電システム1yの最大発電量に所定の係数kを掛け合わせた値を差し引いた電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)より小さい場合には、予め決定しておいた第y番目の発電サイクル1xのポンプ5を停止し、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を閉鎖することによって、第y番目の発電システム1yの運転を停止する。
【0078】
本実施形態は、凝縮器4における熱交換量に応じて発電サイクル1iの運転数を調整する。また、主従のない複数の発電サイクル1iを並列に接続した発電装置においても、凝縮器4における熱交換量(凝縮温度差)に応じて発電サイクル1iの運転数を調整してもよい。
【0079】
続いて、図11に、本発明の第8実施形態の発電装置800を示す。本実施形態の発電装置800は、主たる第1の発電サイクル1aと、補助的な第2乃至第n番目の発電サイクル1b〜1nを有する。本実施形態の第1の発電サイクル1aは、循環流路6に、ポンプ5が吐出した作動媒体の流量を検出する作動媒体流量検出器28が設けられている。また、ポンプ5は、蒸発器2の液面を一定に保つように回転数制御される。
【0080】
本実施形態において、制御装置9は、作動媒体流量検出器28の検出値Fと、予め設定した流量上限値Sfとを比較する。そして、制御装置9は、作動媒体の流量Fが流量上限値Sfよりも大きい場合は、予め決定しておいた第x番目の発電サイクル1xのポンプ5を始動し、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を開放することによって、第x番目の発電システム1xの運転を開始する。
【0081】
また、制御装置9は、作動媒体の流量Fが流量上限値Sf以下であり、且つ、全ての発電サイクル1a〜1nの電力検出器8の検出値の合計値(ΣWi)が、その時点で運転している発電サイクル1iの最大発電量の合計値から次に停止する第y番目の発電システム1yの最大発電量に所定の係数kを掛け合わせた値を差し引いた電力下限値(Σ(fi・Pi)−k・Py)より小さい場合には、予め決定しておいた第y番目の発電サイクル1xのポンプ5を停止し、加熱媒体遮断弁18および冷却媒体遮断弁19を閉鎖することによって、第y番目の発電システム1yの運転を停止する。
【0082】
本実施形態は、凝循環流路6の作動媒体の流量に応じて発電サイクル1iの運転数を調整する。また、主従のない複数の発電サイクル1iを並列に接続した発電装置においても、循環流路6の作動媒体の流量に応じて発電サイクル1iの運転数を調整してもよい。
【符号の説明】
【0083】
100,200,300,400,500,600,700,800…発電装置
1a,1b,1n…発電サイクル
2…蒸発器
3…スクリュ膨張機
4…凝縮器
5…ポンプ
6…循環流路
7…発電機
8…電力検出器
9…制御装置
10…加熱媒体供給共通流路
11…加熱媒体排出共通流路
12…加熱媒体供給分岐流路
13…加熱媒体排出分岐流路
14…冷却媒体供給共通流路
15…冷却媒体排出共通流路
16…冷却媒体供給分岐流路
17…冷却媒体排分岐流路
18…加熱媒体遮断弁
19…冷却媒体遮断弁
20…加熱媒体供給温度検出器
21…加熱媒体排出温度検出器
22…冷却媒体供給温度検出器
23…冷却媒体排出温度検出器
24…作動媒体蒸発前温度検出器
25…作動媒体蒸発後温度検出器
26…作動媒体凝縮前温度検出器
27…作動媒体凝縮後温度検出器
28…作動媒体流量検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器において外部から供給される加熱媒体によって作動媒体を蒸発させ、蒸発した作動媒体を発電機に接続した膨張機に導入して前記膨張機を駆動することにより発電し、前記膨張機から排出された作動媒体を凝縮器に導入し、前記凝縮器において外部から供給される冷却媒体によって作動媒体を冷却して凝縮させ、凝縮した作動媒体をポンプによって前記蒸発器に再供給する発電サイクルを複数有し、
熱源から加熱媒体が供給される共通の加熱媒体供給共通流路から分岐して、それぞれの前記発電サイクルの前記蒸発器に加熱媒体を供給する加熱媒体供給分岐流路と、
それぞれの前記発電サイクルの前記蒸発器から作動媒体と熱交換した加熱媒体を排出する加熱媒体排出分岐流路と、
冷却源から冷却媒体が供給される共通の冷却媒体供給共通流路から分岐して、それぞれの前記発電サイクルの前記凝縮器に冷却媒体を供給する冷却媒体供給分岐流路と、
それぞれの前記発電サイクルの前記凝縮器から作動媒体と熱交換した冷却媒体を排出する冷却媒体排出分岐流路とを備え、
前記加熱媒体供給分岐流路および前記加熱媒体排出分岐流路の少なくともいずれかに設けられ、加熱媒体の流れを遮断する加熱媒体遮断弁と、
前記冷却媒体供給分岐流路および前記冷却媒体排出分岐流路の少なくともいずれかに設けられ、冷却媒体の流れを遮断する冷却媒体遮断弁とを有することを特徴とする発電装置。
【請求項2】
少なくともいずれかの前記発電サイクルの前記加熱媒体供給分岐流路および前記加熱媒体排出分岐流路に設けられ、それぞれ加熱媒体の温度を検出する加熱媒体供給温度検出器および加熱媒体排出温度検出器と、
それぞれの前記発電機の発電量を検出する電力検出器と、
前記加熱媒体供給温度検出器の検出値と前記加熱媒体排出温度検出器の検出値との差分および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記加熱媒体供給温度検出器の検出値と加熱媒体排出温度検出器の検出値との差分が所定の加熱温度差下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、
前記加熱媒体供給温度検出器の検出値と加熱媒体排出温度検出器の検出値との差分が前記加熱温度差下限値以上で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることを特徴とする請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
少なくともいずれかの前記発電サイクルの前記冷却媒体供給分岐流路および前記冷却媒体排出分岐流路に設けられ、それぞれ冷却媒体の温度を検出する冷却媒体供給温度検出器および冷却媒体排出温度検出器と、
前記冷却媒体供給温度検出器の検出値と前記冷却媒体排出温度検出器の検出値との差分および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記冷却媒体供給温度検出器の検出値と冷却媒体排出温度検出器の検出値との差分が所定の冷却温度差下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、
前記冷却媒体供給温度検出器の検出値と冷却媒体排出温度検出器の検出値との差分が前記冷却温度差下限値以上で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることを特徴とする請求項4に記載の発電装置。
【請求項6】
少なくともいずれかの前記発電サイクルの前記蒸発器の上流および下流に配設され、それぞれ前記作動媒体の温度を検出する作動媒体蒸発前温度検出器および作動媒体蒸発後温度検出器と、
前記作動媒体蒸発前温度検出器の検出値と前記作動媒体蒸発後温度検出器の検出値との差分および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記作動媒体蒸発前温度検出器の検出値と前記作動媒体蒸発後温度検出器の検出値との差分が所定の蒸発温度差下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、
前記作動媒体蒸発前温度検出器の検出値と前記作動媒体蒸発後温度検出器の検出値との差分が前記蒸発温度差下限値以上で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることを特徴とする請求項6に記載の発電装置。
【請求項8】
少なくともいずれかの前記発電サイクルの前記凝縮器の上流および下流に配設され、それぞれ前記作動媒体の温度を検出する作動媒体凝縮前温度検出器および作動媒体凝縮後温度検出器と、
前記作動媒体凝縮前温度検出器の検出値と前記作動媒体凝縮後温度検出器の検出値との差分および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項9】
前記作動媒体凝縮前温度検出器の検出値と前記作動媒体凝縮後温度検出器の検出値との差分が所定の凝縮温度差下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、
前記作動媒体凝縮前温度検出器の検出値と前記作動媒体凝縮後温度検出器の検出値との差分が前記凝縮温度差下限値以上で、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることを特徴とする請求項8に記載の発電装置。
【請求項10】
少なくともいずれかの前記発電サイクルに設けられ、作動媒体の流量を検出する作動媒体流量検出器と、
それぞれの前記発電機の発電量を検出する電力検出器と、
前記作動媒体流量検出器の検出値および前記電力検出器の検出値に基づいて、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開閉する制御装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記作動媒体流量検出器の検出値が所定の流量上限値より大きくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、
前記作動媒体流量検出器の検出値が前記流量上限値以下であり、且つ、前記電力検出器の検出値が所定の電力下限値より小さくなったとき、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクルのいずれか1つの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることを特徴とする請求項10に記載の発電装置。
【請求項12】
前記制御装置は、それぞれの前記発電サイクルの運転時間の積算時間を記憶し、
前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開くときには、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が閉じている前記発電サイクル中で、前記積算時間が最も短い前記発電サイクルの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を開き、
前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じるときには、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開いている前記発電サイクル中で、前記積算時間が最も長い前記発電サイクルの前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じることを特徴とする請求項3,5,7,9,11のいずれかに記載の発電装置。
【請求項13】
前記電力下限値は、現在、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開けられている前記発電サイクルの最大発電量の和と、前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁が開けられている前記発電サイクルの最大発電量の和から次に前記加熱媒体遮断弁および冷却媒体遮断弁を閉じるべき前記発電サイクルの最大発電量を減じた値との間の値であることを特徴とする請求項3,5,7,9,11のいずれかに記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−202262(P2012−202262A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65848(P2011−65848)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】