説明

発電装置

【課題】作動媒体の流通の停止後、発電装置の運転の実質的な早期停止を可能とし、膨張機に逆スラスト力が負荷されることを回避する。
【解決手段】発電装置1は、開閉弁15と、循環流路6において開閉弁15と蒸発器2との間の部位とスクリュー膨張機3と凝縮器4との間の部位とを連通可能な均圧流路17と、循環流路6において開閉弁15とスクリュー膨張機3との間の部位とスクリュー膨張機3と凝縮器4との間の部位とを連通可能な膨張機バイパス流路19と、運転停止時には、開閉弁15を閉じる一方で作動媒体ポンプ5の停止以後に膨張機バイパス弁18及び均圧弁16を開放する制御を行い、起動時には、開閉弁15を開放する一方で、作動媒体ポンプ5を駆動する前に膨張機バイパス弁18及び均圧弁16を閉じる制御を行うコントローラ20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電装置としては、水蒸気のフラッシュによって発電機を駆動するフラッシュ発電が広く導入されている。しかし、近年、省エネルギーの観点から、排熱回収等に利用するために、フラッシュ発電が利用できないような低温の熱によって発電できるシステムへのニーズが高まっている。
【0003】
そのような発電装置として、低沸点の作動媒体によってタービンや膨張機(エキスパンダ)を駆動するために、作動流体の蒸発器と、作動流体蒸気に膨張仕事をさせるためのタービンと、作動流体蒸気を凝縮させるための凝縮器と、作動流体を循環させるための循環ポンプとを直列に接続した閉ループ内で作動流体を循環させる熱サイクルであるランキンサイクルを利用したバイナリ発電システムがある。
【0004】
例えば、特許文献1のバイナリ発電システムは、容積型の流体機械であるスクリュータービン(スクリュー膨張機、スクリュエキスパンダなどとも呼称する)をタービンに用い、ランキンサイクルによって、そのスクリュータービンを回して発電機を駆動するようにしたバイナリ発電装置である。
【0005】
特許文献1のバイナリ発電システムでは、タービンに、容積型の流体機械であるスクリュータービンを用いている。このスクリュータービンの場合、スクリュータービンを構成する雌雄一対のスクリューロータの潤滑、シール等のために、潤滑油を混入させた状態の作動媒体をスクリュータービンに供給するための構成がよく採用されている。
【0006】
なお、多くのバイナリ発電システムには、緊急の際等に対処すべく、循環流路(特許文献1にいう「作動媒体ループ」)中の作動媒体の循環を停止するための緊急遮断弁が備えられている。例えば、特許文献1のバイナリ発電システムでは、図15に示すように、作動媒体ループにおいて、蒸発器(12)からスクリュータービン(14)に至る途中の部分に緊急遮断弁(V1)が設置されている。緊急遮断弁(V1)は一種の止弁であり、何らかの原因で圧力が設定値を越えたときに作動媒体ループを閉止する働きをするものである、とされている。
【0007】
また、特許文献1のバイナリ発電システムでは、作動媒体ループの緊急遮断弁(V1)の上流側の部分と油セパレータ(16)の下流側の部分とをバイパス管路(28)で接続し、そのバイパス管路(28)に圧力制御弁(V2)が設置されている。圧力制御弁(V2)は、スクリュータービン(14)の上流側つまり入り口側の圧力を感知してその圧力が設定値を越えたとき、バイパス管路(28)を通じて、スクリュータービン(14)の上流側(入り口側)と下流側(出口側)とを連通させるものである、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−088511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記システムにおいて、緊急遮断弁(V1)によって作動媒体ループを閉止した後も、蒸発器(12)に温水が供給されつづけると、スクリュータービン(14)の上流側、より詳しくは緊急遮断弁(V1)よりも上流側の作動媒体ループでの作動媒体の温度が上昇し、圧力も上昇する。また、緊急遮断弁(V1)によって作動媒体ループを閉止した後も、凝縮器(18)に冷水が供給されつづけると、スクリュータービン(14)の下流側での作動媒体ループでの作動媒体の温度が下降し、圧力も下降する。
【0010】
そして、その状態から緊急遮断弁(V1)を開放し、作動媒体ループの作動媒体の流通を再開(バイナリ発電システムを再起動)すると、スクリュータービン(14)の上流側と下流側との間の過大な圧力差によって、スクリューロータが急加速して、軸受けの破損等の不具合を生じる虞がある。なお、作動媒体ループを閉止するとともに蒸発器(12)への温水の供給を停止し、凝縮器(18)への冷水の供給も停止すれば、スクリュータービン(14)の上流側と下流側との間の圧力差を抑制することができるが、圧力差を全く無くすことは難しい。
【0011】
特許文献1では、スクリュータービン(14)の上流側つまり入り口側の圧力を感知してその圧力が設定値を越えたときに圧力制御弁(V2)を開放するため、バイパス管路(28)を通じて、スクリュータービン(14)の上流側(入り口側)と下流側(出口側)とを連通させることができる。このため、圧力制御弁(V2)を開放することにより、上述したようなスクリューロータの急加速、軸受けの破損などの不具合を生じる虞を抑制することができる。
【0012】
しかしながら、緊急遮断弁(V1)によって作動媒体ループを閉止するとともに、圧力制御弁(V2)を開放して、バイパス管路(28)を通じてスクリュータービン(14)の上流側(入り口側)と下流側(出口側)とを連通させたとしても、緊急遮断弁(V1)とスクリュータービン(14)の上流側(入り口側)との間に高圧の作動媒体が残留する。そのため、スクリュータービン(14)を回転する力が発生するので、緊急遮断弁(V1)によって作動媒体ループを閉止しても、バイナリ発電システムの運転を即座に停止することができないという問題が残されている。
【0013】
また、緊急遮断弁(V1)によって作動媒体ループを閉止すると、緊急遮断弁(V1)とスクリュタービン(14)の上流側(入り口側)との間の作動媒体ループには、緊急遮断弁(V1)によって作動媒体ループを閉止した時点での圧力とほぼ同等の圧力の作動媒体が保持される。一方で、蒸発器(12)に温水が供給されることにより発生した蒸気により、緊急遮断弁(V1)の上流側には前記圧力よりも高い圧力の作動媒体が保持されることになる。このため、バイパス管路(28)を通じてスクリュータービン(14)の上流側(入り口側)と下流側(出口側)とを連通させると、緊急遮断弁(V1)によって作動媒体ループを閉止した時点での圧力よりも若干高圧の作動媒体が、緊急遮断弁(V1)の上流側、より詳しくは、緊急遮断弁(V1)と蒸発器(12)との間の作動媒体ループ、からスクリュータービン(14)の下流側(出口側)に供給される。このため、緊急遮断弁(V1)とスクリュタービン(14)の上流側(入り口側)との間の作動媒体ループと、スクリュータービン(14)の下流側(出口側)の作動媒体ループとにおいて、圧力の高低が逆転する状態が生じ得る。
【0014】
このように圧力の高低が逆転する状態では、スクリュータービン(14)の下流側(出口側)から上流側(入り口側)に向けて、いわゆる逆スラスト力がスクリュータービン(14)に負荷される。この逆スラスト力により、スクリュータービン(14)を構成するスクリューロータの上流側(入り口側)の端面が、当該端面と相対するケーシングの面と接触したり、軸受けが破損したりするなどの新たな不具合を生じる虞がある。
【0015】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、循環流路(作動媒体ループ)に介設された緊急遮断弁等の開閉弁を閉じて、作動媒体の流通を一旦停止した後、その開閉弁を開放して、循環流路(作動媒体ループ)での作動媒体の流通を再開(発電装置を再起動)したとしても、膨張機が急加速することがないようするとともに、作動媒体の流通の停止以後、発電装置の運転の実質的な早期停止を可能とし、更に膨張機に逆スラスト力が負荷されず、その膨張機に負荷される逆スラスト力に伴う不具合の発生を回避することのできる発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的を達成するため、本発明は、作動媒体が流通する循環流路と、外部から供給される加熱媒体によって作動媒体を蒸発させる蒸発器と、蒸発した作動媒体が導入されることにより、発電機を回転駆動させる膨張機と、前記膨張機から排出された作動媒体が導入され、外部から供給される冷却媒体によって作動媒体を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で凝縮された作動媒体を前記蒸発器に再供給する作動媒体ポンプと、を備えた発電装置であって、前記循環流路における前記蒸発器と前記膨張機の入り口側との間の部位に配置された開閉弁と、均圧弁が設けられ、前記循環流路において、前記開閉弁と前記蒸発器との間の部位と、前記膨張機の出口側と前記凝縮器との間の部位とを連通可能な均圧流路と、膨張機バイパス弁が設けられ、前記循環流路において、前記開閉弁と前記膨張機の入り口側との間の部位と、前記膨張機の出口側と前記凝縮器との間の部位とを連通可能な膨張機バイパス流路と、運転停止時には、前記開閉弁を閉じる一方で前記作動媒体ポンプの停止以後に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を開放する制御を行い、起動時には、前記開閉弁を開放する一方で、前記作動媒体ポンプを駆動する以前に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を閉じる制御を行うコントローラと、を備えていることを特徴とする発電装置である。
【0017】
この構成では、運転停止時において、コントローラは、蒸発器と膨張機の入り口側との間の循環流路に介設された開閉弁を閉じる一方で、作動媒体ポンプの停止以後に均圧弁と膨張機バイパス弁を開放する。このため、蒸発器から膨張機の入り口側までに亘る循環流路の圧力(つまり、開閉弁の前後における循環流路内の圧力)が、膨張機の出口側における循環流路内の圧力とほぼ等しくなる。この結果、膨張機が圧力差に起因して駆動し続けることを抑制でき、作動媒体の流通の停止以後、発電装置の運転を早期に実質的に停止させることが可能となる。また、膨張機の上流側(入り口側)の圧力と下流側(出口側)の圧力の高低が逆転する状態が生じることを回避できる。したがって、膨張機に負荷される逆スラスト力に伴う不具合の発生を回避することができる。また、起動時においては、開閉弁の開放する一方で、開放されていた均圧弁及び前記膨張機バイパス弁を閉じるため、作動媒体ポンプを駆動して作動媒体の流通を再開(バイナリ発電装置を再起動)する場合において、膨張機が急加速することを防止することもできる。
【0018】
ここで、前記運転停止時において、前記作動媒体ポンプの停止以後において予め定められた時間が経過した場合に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を開放する制御を行ってもよい。
【0019】
一方、前記循環流路に、前記蒸発器と前記開閉弁との間に蒸発圧力センサが設けられている場合には、前記運転停止時において、前記作動媒体ポンプの停止以後において前記蒸発圧力センサで検出された圧力が予め定められた上限値以上となった場合に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を開放する制御を行ってもよい。
【0020】
この構成によれば、均圧弁を不必要に開放することがないため、膨張機に負荷される逆スラスト力に伴う不具合の発生を回避する効果をより一層確実なものとすることができる。
【0021】
また、前記循環流路に、前記蒸発器と前記開閉弁との間に配置された蒸発圧力センサと、前記膨張機と前記凝縮器との間に配置された吐出圧力センサとが設けられている場合には、前記運転停止時において、前記作動媒体ポンプの停止以後において前記蒸発圧力センサで検出された圧力と前記吐出圧力センサで検出された圧力との差圧が予め定められた所定値以上となった場合に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を開放する制御を行ってもよい。
【0022】
この構成では、均圧弁を不必要に開放することがないため、膨張機に負荷される逆スラスト力に伴う不具合の発生を回避する効果をより一層確実なものとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、循環流路(作動媒体ループ)に介設された緊急遮断弁等の開閉弁を閉塞して、作動媒体の流通を一旦停止した以後、その開閉弁を開放して、循環流路(作動媒体ループ)での作動媒体の流通を再開(発電装置を再起動)したとしても、膨張機が急加速することがなく、しかも、作動媒体の流通の停止以後、発電装置の運転の実質的な早期停止を可能とし、更に膨張機に逆スラスト力が負荷されず、その膨張機に負荷される逆スラスト力に伴う不具合の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発電装置の構成を示す図である。
【図2】前記発電装置の起動時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図3】前記発電装置の運転停止時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る発電装置の構成を示す図である。
【図5】図4に示した発電装置の起動時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図6】図4に示した発電装置の運転停止時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る発電装置の構成を示す図である。
【図8】図7に示した発電装置の起動時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図9】図7に示した発電装置の運転停止時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図10】本発明の第3実施形態の変形例に係る発電装置の起動時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図11】本発明の第3実施形態の変形例に係る発電装置の運転停止時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る発電装置の構成を示す図である。
【図13】図12に示した発電装置の起動時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図14】図12に示した発電装置の運転停止時における制御動作を説明するためのフロー図である。
【図15】従来の発電装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である発電装置1の構成を示している。発電装置1は、蒸発器2と、スクリュー膨張機3と、凝縮器4と、作動媒体ポンプ5とが設けられた循環流路6を備えたランキンサイクル熱機関である。この循環流路6には、作動媒体(例えばR245fa等のフロン系熱媒体)が封入されている。
【0027】
蒸発器2は、装置外部の熱源から供給される加熱媒体(例えば坑井から採取される蒸気やボイラで製造した蒸気)と作動媒体とを熱交換させて、作動媒体を蒸発させる熱交換器である。蒸発器2において蒸発した作動媒体は、循環流路6を通してスクリュー膨張機3に導入される。スクリュー膨張機3内では、作動媒体が膨張することにより、スクリューロータ(図示省略)が回転駆動される。スクリュー膨張機3で膨張して圧力が低下した状態で排出される作動媒体は、凝縮器4に導入される。凝縮器4は、装置外部の冷却源から供給される冷却媒体(例えば河川やクーリングタワーから供給される冷却水)と作動媒体とを熱交換することによって、作動媒体を冷却して凝縮させる熱交換器である。凝縮器4で凝縮して液体となった作動媒体は、作動媒体ポンプ5によって蒸発器2に再供給される。
【0028】
スクリュー膨張機3の回転軸には、発電機7が接続されている。この発電機7が、スクリュー膨張機3の回転エネルギーを電気エネルギーに変換、つまり、発電をする。
【0029】
この発電装置1では、上述のとおり、発電機7を駆動するための駆動機として、容積型の流体機械であるスクリュー膨張機3が用いられている。なお、本実施形態では、膨張機としてスクリュー膨張機が用いられているが、この構成に限られるものではなく、他の形態の膨張機を用いてもよい。
【0030】
スクリュー膨張機3を構成する雌雄一対のスクリューロータ(図示せず)の潤滑、シール等のために、スクリュー膨張機3には、潤滑油が混入された作動媒体が供給されている。ただし、潤滑油を熱交換器たる凝縮器4や蒸発器2にまで供給してしまうと、熱交換の効率の低下等の不具合の発生に繋がりかねない。このため、この発電装置1では、スクリュー膨張機3の出口側に油セパレータ8が設けられている。そして、潤滑油を混入させた状態の作動媒体は、油セパレータ8によって、潤滑油と分離される。油セパレータ8にて作動媒体から分離された潤滑油は、油ポンプ9の介設された油供給路10を介して、スクリュー膨張機3の入り側の近傍に供給される。
【0031】
加熱媒体は、加熱媒体供給流路11を通して蒸発器2に供給され、蒸発器2において作動媒体と熱交換される。加熱媒体は、蒸発器2を通じた後、更に、加熱媒体外排出流路12を通じて、熱源に環流、或いは、外部で2次利用または廃棄される。
【0032】
冷却媒体は、冷却媒体供給流路13に供給され、凝縮器2を通じた後、更に、冷却媒体排出流路14を通じて冷却源に環流または廃棄される。
【0033】
循環流路6における、蒸発器2とスクリュー膨張機3の入り口側との間の流路には、開閉弁15が設けられている。また、循環流路6には、均圧流路17が接続されている。均圧流路17は、一端部が開閉弁15と蒸発器2との間の流路6aに接続される一方、他端部がスクリュー膨張機3の出口側の流路6b(スクリュー膨張機3と油セパレータ8との間の流路6b)に接続されている。そして、均圧流路17には、開閉弁からなる均圧弁16が設けられている。すなわち、均圧流路17は、均圧弁16を開放することにより、循環流路6における開閉弁15と蒸発器2との間の部位と、循環流路6におけるスクリュー膨張機3の出口側と凝縮器4(又は油セパレータ8)との間の部位とを連通させることができる。なお、均圧流路17の前記他端部は、油セパレータ8と凝縮器4との間の流路に接続されていてもよく、あるいは、凝縮器内部の流路に接続されていてもよい。
【0034】
循環流路6には、膨張機バイパス流路19が接続されている。膨張機バイパス流路19は、一端部が開閉弁15とスクリュー膨張機3の入り口側との間の流路6cに接続され、他端部が均圧流路17における均圧弁16よりも下流側に接続されている。したがって、膨張機バイパス流路19は、均圧流路17を通してスクリュー膨張機3の出口側の流路6bに連通している。膨張機バイパス流路19には、開閉弁からなる膨張機バイパス弁18が設けられている。したがって、膨張機バイパス流路19は、膨張機バイパス弁18を開放することにより、循環流路6における開閉弁15とスクリュー膨張機3の入り口側との間の部位と、循環流路6におけるスクリュー膨張機3の出口側と凝縮器4(又は油セパレータ8)との間の部位とを連通させることができる。そして、後述するように、この発電装置1は、開閉弁15の開閉に応じて、均圧弁16と膨張機バイパス弁18を開閉するように構成されている。なお、膨張機バイパス流路19の前記他端部は、均圧流路17ではなく、スクリュー膨張機3の出口側の流路6bに接続されていてもよい。
【0035】
本実施形態に係る発電装置1には、制御部であるコントローラ20が設けられている。コントローラ20は、大別すると、3つの部位に分けられる。まず、コントローラ20は、キーボードや入力スイッチ等で構成される入力部20aを備える。さらに、コントローラ20は、入力部20a等から出力された入力信号を受信し、その入力信号に応じて演算を行い、適宜、発電装置1を構成するコントローラ20以外の構成品や、後述の表示部20cに対して制御信号を出力する演算部20bを備える。そして、コントローラ20は、演算部20bからの出力に応じて、所定の表示(や場合によっては音声の出力)を行う出力部としての表示部20cを備える。
【0036】
コントローラ20の演算部20bは、ROM、RAM、CPU等を有し、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、所定の機能を発揮する。この機能には、開閉弁15、均圧弁16、膨張機バイパス弁18を開閉するための開閉制御手段が含まれている。より詳しく説明すると、コントローラ20の演算部20bは、発電装置1の操作者の操作に基づいて入力部20a等から出力された入力信号や、コントローラ20以外の構成品(各種センサ)からの入力信号に応じて、開閉弁15、均圧弁16及び膨張機バイパス弁18を開閉するための出力信号を出力するように構成されている。
【0037】
次に、本発電装置1の動作制御について、図2及び図3を参照しつつ説明する。図2は、起動時の発電装置1の動作制御を示すフロー図である。また、図3は、運転停止時の発電装置1の動作制御を示すフロー図である。
【0038】
まず、起動時の発電装置1の制御動作について説明する。最初に、発電装置1の操作者によって起動のための操作(図示しない「起動スイッチ」の押し込みなど)がなされると、起動指令がコントローラ20の入力部20aから演算部20bに対して発信される(ステップSt1)。
【0039】
コントローラ20の演算部20bは、起動指令の入力を受けると、膨張機バイパス弁18を開放するとともに、均圧弁16を開放する(ステップSt2)。続いて、タイマによって所定時間をカウントし(ステップSt3)、当該所定時間が経過すると、開閉弁15を開放する(ステップSt4)。そして、膨張機バイパス弁18を閉じるとともに、均圧弁16を閉じる(ステップSt5)。そして、最後に作動媒体ポンプ5を起動する(ステップSt6)。
【0040】
すなわち、この発電装置1は、起動時には、開閉弁15を開放した(ステップSt4)と同時、あるいはそれより後に、膨張機バイパス弁18を閉じるとともに均圧弁16を閉じる(ステップSt5)よう構成されている。この開閉弁15等の開閉操作は、作動媒体ポンプ5を起動する以前に行われる。
【0041】
起動時においては、まず均圧弁16及び膨張機バイパス弁18を開放することにより、開閉弁15よりも上流側(開閉弁15と蒸発器2との間の流路6a)の圧力と開閉弁15の下流側(開閉弁15のスクリュー膨張機3の入口側との間の流路6c)の圧力とを均圧させるとともに、スクリュー膨張機3の入口側の圧力(開閉弁15の下流側の圧力)と膨張機3の出口側の流路6bの圧力とを均圧させる。これにより、作動媒体ポンプの起動時において、開閉弁15が閉じられた状態で均圧流路17の均圧弁16が開放されたとしても、スクリュー膨張機3の入口側(開閉弁15とスクリュー膨張機3の上流側(入口側)との間)よりも出口側の方の圧力が高くなる事態を回避することができる。また、スクリュー膨張機3の急加速を抑制することができる。
【0042】
次に、図3を参照しつつ運転停止時の発電装置1の制御動作について説明する。運転停止時においてはまず、発電装置1の操作者によって運転停止のための操作(図示しない「停止スイッチ」の押し込みなど)がなされると、停止指令がコントローラ20の入力部20aから演算部20bに対して発信される(ステップSt11)。
【0043】
コントローラ20の演算部20bは、停止指令の入力を受けると、作動媒体ポンプ5を停止する(ステップSt12)。続いて、開閉弁15を閉じるとともに膨張機バイパス弁18を開放する(ステップSt13)。そして、タイマによって予め定められた所定時間(場合によってはゼロ時間でもよい)をカウントし(ステップSt14)、当該所定時間が経過すると、最後に均圧弁16を開放する(ステップSt15)。
【0044】
このように、本発電装置1は、運転停止時において、開閉弁15を閉じたと同時、あるいはそれよりも後に、膨張機バイパス弁18を開放し(ステップSt13)、その後、均圧弁16を開放する(ステップSt15)よう構成されている。
【0045】
すなわち、作動媒体ポンプ5の停止時に、開閉弁15からスクリュー膨張機3の入り口側までの間の流路6cに高圧の作動媒体が残った状態であると、開閉弁15を閉じても、スクリュー膨張機3を回転させる力が働いてしまう。しかしながら、この発電装置1では、開閉弁15を閉じるとともに(同時に)、膨張機バイパス弁18を開放することにより、膨張機3の入り口側までの間の流路6cの圧力を下げ、その圧力と、膨張機3の出口側以降の流路6bの圧力とが同じ圧力になるようにしている。これによって、開閉弁15を閉じた後にスクリュー膨張機3を回転させる力が生ずることを軽減することができる。すなわち、作動媒体の流通の停止以後、早期に発電装置1の運転の実質的な停止が可能となる。
【0046】
また、起動時においては、開閉弁15を開放する(ステップSt4)よりも前に、膨張機バイパス弁18を開放するとともに均圧弁16の開放し(ステップSt2)、更に、運転停止時においては、開閉弁15を閉じると同時、あるいはそれよりも後に、膨張機バイパス弁18を開放する(ステップSt13)とともに均圧弁16を開放する(ステップSt15)ことにより、作動媒体ポンプ5を起動して作動媒体の流通を再開(バイナリ発電装置1を再起動)しても、スクリュー膨張機3が急加速することがなく、また膨張機3に逆スラスト力が負荷されない。このため、膨張機3に負荷される逆スラスト力に伴う不具合の発生を回避することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態では、運転停止時において、コントローラ20は、蒸発器2とスクリュー膨張機3の入り口側との間の循環流路6a,6cに介設された開閉弁15を閉じる一方で、作動媒体ポンプ5の停止以後に均圧弁16と膨張機バイパス弁18を開放する。このため、蒸発器2からスクリュー膨張機3の入り口側までに亘る循環流路6a,6cの圧力(つまり、開閉弁15の前後における循環流路内の圧力)が、スクリュー膨張機3の出口側における循環流路6b内の圧力とほぼ等しくなる。この結果、作動媒体の流通の停止以後、発電装置1の運転を早期に実質的に停止させることが可能となり、また、スクリュー膨張機3の上流側(入り口側)の圧力と下流側(出口側)の圧力の高低が逆転する状態が生じることを回避できる。したがって、スクリュー膨張機3に負荷される逆スラスト力に伴う不具合の発生を回避することができる。また、起動時においては、開閉弁15の開放する一方で、開放されていた均圧弁16及び膨張機バイパス弁18を閉じるため、作動媒体ポンプ5を駆動して作動媒体の流通を再開(バイナリ発電装置1を再起動)する場合において、スクリュー膨張機3が急加速することを防止することもできる。
【0048】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態の発電装置1aを示している。尚、これ以降の実施形態の説明では、先に説明した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0049】
第2実施形態の発電装置1aは、第1実施形態の発電装置1の構成に加えて、蒸発器2と開閉弁15との間の流路6aに設けられた圧力センサ(蒸発圧力センサ)21を備える点で異なり、それ以外の点については、上述の発電装置1と同じ構成である。蒸発圧力センサ21は、循環流路6における蒸発器2の下流側での作動媒体の圧力を検出するものであり、この蒸発圧力センサ21により、蒸発器2での蒸発圧力を検出可能となっている。
【0050】
この発電装置1aのコントローラ20は、後述するように、運転停止時において、蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvが所定の上限値Pv_H以上の場合に、均圧弁16を開放するように構成されている。
【0051】
次に、図5及び図6を参照しつつ、この発電装置1aの制御の内容について説明する。図5は、起動時における発電装置1aの制御動作を示すフロー図である。また、図6は、運転停止時における発電装置1aの制御動作を示すフロー図である。
【0052】
まず、起動時の発電装置1aの制御の内容について説明する。起動時における発電装置1aの制御動作は、第1実施形態の発電装置1の起動時の制御動作と共通しているところが多いが、図5に示されているとおり、起動指令が出力された(ステップSt1)後に分岐処理ステップ(ステップSt7)が備えられている点で第1実施形態と異なる。分岐処理ステップ(ステップSt7)では、蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvが所定の上限値Pv_h以上であるかどうかを判断する。
【0053】
この分岐処理ステップ(ステップSt7)でYESと判断されると、すなわち、圧力Pvが所定の上限値Pv_h以上であると判断されると、膨張機バイパス弁18を開放するとともに、均圧弁16を開放し(ステップSt2)、その後は、第1実施形態の発電装置1と同様の処理を行う。一方、分岐処理ステップ(ステップSt7)でNOと判断されると、すなわち、圧力Pvが所定の上限値Pv_hよりも小であると判断されると、ステップSt2やステップSt3を行なわず、即座に開閉弁15を開放する(ステップSt4)。
【0054】
運転停止時においては、第2実施形態の発電装置1aの制御動作は、第1実施形態の発電装置1の制御動作と共通しているところが多いが、第2実施形態では、図6に示されているとおり、タイマによる所定時間の計時を行うステップ(ステップSt14)の後に分岐処理ステップ(ステップSt16)が備えられている点で第1実施形態と異なる。分岐処理ステップ(ステップSt16)では、蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvが所定の上限値Pv_h以上であるかどうかを判断する。
【0055】
この分岐処理ステップ(ステップSt16)でYESと判断されると、すなわち、圧力Pvが所定の上限値Pv_h以上であると判断されると、均圧弁16を開放する(ステップSt15)。一方、分岐処理ステップ(ステップSt16)でNOと判断されると、すなわち、圧力Pvが所定の上限値Pv_hより小であると判断されると、ステップSt15に移行せず、この分岐処理ステップに戻る。
【0056】
第2実施形態では、起動時において、圧力Pvが所定の上限値Pv_hよりも小であると判断されると、ステップSt2,St3を行なわず、即座に開閉弁15を開放(ステップSt4)することができるので、起動を迅速化することができる。また、運転停止時においては、圧力Pvが所定の上限値Pv_hよりも小である間は、ステップSt15に移行せず、この分岐処理ステップを繰り返すように構成されているので、均圧弁16を不必要に開放することがない。すなわち、逆スラスト力の荷重は均圧弁16を開放することに起因するので、均圧弁16を不必要に開放しないことによって、スクリュー膨張機3に負荷される逆スラスト力の発生を抑制し、それに伴う不具合の発生を回避する効果をより一層確実なものとすることができる。
【0057】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態の発電装置1bを示している。
【0058】
第3実施形態の発電装置1bは、第2実施形態の発電装置1aの構成と多くの点で共通するが、上述の発電装置1aの構成に加えて吐出圧力センサ22が設けられている点で第2実施形態と異なる。吐出圧力センサ22は、循環流路6における膨張機3と凝縮器4との間の流路6bに設けられている。
【0059】
コントローラ20の演算部20bは、後述するように、運転停止時において、蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvと吐出圧力センサ22で検出された圧力Pdとの差圧ΔPが、予め定められた所定値ΔPH以上の場合に、均圧弁16を開放するように構成されている。
【0060】
次に、図8及び図9を参照しつつ、この発電装置1bの制御の内容について説明する。図8は、起動時における発電装置1bの制御動作を示すフロー図である。また、図9は、運転停止時における発電装置1bの制御動作を示すフロー図である。
【0061】
まず、起動時の発電装置1bの制御の内容を説明する。起動時における発電装置1bの制御動作は、第2実施形態の発電装置1aの起動時の制御動作と共通しているところが多いが、図8に示されているとおり、分岐処理ステップ(ステップSt7)の代わりに、差圧ΔPに基づく判断ステップ(ステップSt8)が設けられている点で第2実施形態と異なる。判断ステップ(ステップSt8)は、起動指令の出力ステップ(ステップSt1)の後に実行されるステップであって、蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvと吐出圧力センサ22で検出された圧力Pdとの差圧ΔPが所定値ΔPH以上であるかどうかを判断するステップである。
【0062】
この判断ステップ(ステップSt8)でYESと判断されると、すなわち、差圧ΔPが所定値ΔPH以上であると判断されると、膨張機バイパス弁18を開放するとともに、均圧弁16を開放し(ステップSt2)、その後は、第1実施形態や第2実施形態と同様の処理を行う。一方、判断ステップ(ステップSt8)でNOと判断されると、すなわち、差圧ΔPが所定値ΔPHよりも小であると判断されると、ステップSt2,St3を行なわず、即座に開閉弁15を開放する(ステップSt4)。
【0063】
運転停止時においては、第3実施形態の発電装置1bの制御動作は、第2実施形態の発電装置1aの制御動作と共通しているところが多いが、図9に示されているとおり、タイマによる所定時間の計時を行うステップ(ステップSt14)の後に判断ステップ(ステップSt17)が設けられている点で、第2実施形態と異なる。判断ステップ(ステップSt17)では、蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvと吐出圧力センサ22で検出された圧力Pdとの差圧ΔPが所定値ΔPH以上であるかどうかを判断する。
【0064】
この判断ステップ(ステップSt17)でYESと判断されると、すなわち、差圧ΔPが所定値ΔPH以上であると判断されると、均圧弁16を開放する(ステップSt15)。一方、判断ステップ(ステップSt17)でNOと判断されると、すなわち、差圧ΔPが所定値PHよりも小であると判断されると、ステップSt15に移行せず、この判断ステップに戻る。
【0065】
第3実施形態では、起動時において、差圧ΔPが所定値ΔPHよりも小であると判断されると、ステップSt2,St3を行なわず、即座に開閉弁15を開放することができるので(ステップSt4)、起動を迅速化することができる。また、運転停止時においては、差圧ΔPが所定値PHよりも小であると判断される間は、ステップSt15に移行せず、判断ステップを繰り返すように構成されているので、均圧弁16を不必要に開放することがない。すなわち、逆スラスト力の荷重は均圧弁16を開放することに起因するので、均圧弁16を不必要に開放しないことによって、スクリュー膨張機3に負荷される逆スラスト力の発生を抑制し、それに伴う不具合の発生を回避する効果をより一層確実なものとすることができる。
【0066】
ここで、第3実施形態に係る発電装置1bの別の制御例について、図10及び図11を参照しつつ説明する。図10は、起動時における発電装置1bの制御動作を示すフロー図である。また、図11は、運転停止時における発電装置1bの制御動作を示すフロー図である。
【0067】
起動時においては、図10に示すように、タイマによるカウント処理を行うステップ(ステップSt3)と、開閉弁15を開放する処理を行うステップ(ステップSt4)との間に、蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvと吐出圧力センサ22で検出された圧力Pdとの差圧ΔPが所定値ΔPHよりも小であるかどうかを判断する第2判断処理ステップ(ステップSt9)が備えられている点で、図8に示したフロー図と相違する。
【0068】
蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvと吐出圧力センサ22で検出された圧力Pdとの差圧ΔPが所定値ΔPHよりも小であるかどうかを判断する第2判断処理ステップ(ステップSt9)にて、YESと判断されると、開閉弁15を開放する処理を行うステップ(ステップSt4)に移行し、その後は、図8に示したフロー図と同様の処理を行う。一方、第2判断処理ステップ(ステップSt9)にて、NOと判断されると、「膨張機バイパス弁、均圧弁が開の状態となっていない」旨か、「蒸発圧力センサか吐出圧力センサが異常である」旨の警報を、コントローラ11の表示部11cに発信する警報処理(ステップSt10)を行う。
【0069】
この第2判断処理ステップ(ステップSt9)の実行により、起動時においては、蒸発圧力センサ21で検出された圧力Pvと吐出圧力センサ22で検出された圧力Pdとの差圧ΔPが所定値ΔPHよりも小である場合に限って、開放弁15を開放することができるので、作動媒体の流通を再開(バイナリ発電装置1bを再起動)しても、スクリュー膨張機3が急加速することがないという効果をより一層確実なものとすることができる。
【0070】
なお、運転停止時においては、図11に示すように、図9に示した制御と同じ制御が実行される。
【0071】
(第4実施形態)
図12は、本発明の第4実施形態の発電装置1cを示している。
【0072】
第4実施形態の発電装置1cは、第3実施形態の発電装置1bの構成と多くの点で共通するが、上述の発電装置1bの構成に加え、加熱媒体供給流路11に開閉弁からなる加熱媒体供給弁23が設けられている点で第3実施形態と異なり、また、膨張機バイパス流路19の一端部が均圧流路17に接続されるのではなくスクリュー膨張機3と油セパレータ8との間の流路6bに接続され、かつ、均圧流路17の一方が、凝縮器4の内部の流路に接続される点でも第3実施形態と異なる。
【0073】
次に、図13及び図14を参照しつつ、この発電装置1cの制御の内容について説明する。図13は、起動時における発電装置1cの制御動作を示すフロー図である。また、図14は、運転停止時における発電装置1cの制御動作を示すフロー図である。
【0074】
まず、起動時の発電装置1cの制御の内容を説明する。起動時における発電装置1cの制御動作は、第3実施形態の発電装置1bの起動時の制御動作と共通しているところが多いが、図13に示されているとおり、開閉弁15を開放するステップ(ステップSt4)の前に、加熱媒体供給弁23を開放する処理を行うステップ(ステップSt20)が実行される点で、第3実施形態と異なる。
【0075】
次いで、運転停止時の発電装置1cの制御の内容について説明する。運転停止時における発電装置1cの制御動作は、第3実施形態の発電装置1bの運転停止時の制御動作と共通しているところが多いが、図14に示されているとおり、停止指令を出力する処理ステップ(ステップSt11)の後に、加熱媒体供給弁23を閉じる処理を行うステップ(ステップSt21)が実行される点で、第3実施形態と異なる。
【0076】
このように、運転停止時においては加熱媒体供給弁23を閉じることによって、まず蒸発器2への加熱媒体の供給を停止し、蒸発器2の温度の上昇、ひいては、蒸発圧力センサ21で検出される圧力Pvの上昇を抑制することにより、発電装置1cの停止を円滑にすすめることができる。
【0077】
また、均圧流路17の一方を凝縮器4に直接つなぎこむことにより、配管を通じて作動媒体が油セパレータ8へ戻ることを防止することができる。すなわち、発電装置1の起動時において、加熱媒体供給弁23を開放して(ステップSt20)、加熱媒体が蒸発器2に流れるようにした時に、蒸発器2で気化した作動媒体(液状態のものも含まれている)は、蒸発器2から凝縮器4へ移動するが、このとき、作動媒体が蒸発器2から油セパレータ8に移動することを回避することができる。
【符号の説明】
【0078】
1,1a,1b 発電装置発電サイクル
2 蒸発器
3 スクリュー膨張機
4 凝縮器
5 作動媒体ポンプ
6 循環流路
7 発電機
8 油セパレータ
9 油ポンプ
10 油供給路
11 加熱媒体供給流路
12 加熱媒体排出流路
13 冷却媒体供給流路
14 冷却媒体排出流路
15 開閉弁
16 均圧弁
17 均圧流路
18 膨張機バイパス弁
19 膨張機バイパス流路
20 コントローラ
21 蒸発圧力センサ
22 吐出圧力センサ
23 加熱媒体供給弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動媒体が流通する循環流路と、
外部から供給される加熱媒体によって作動媒体を蒸発させる蒸発器と、
蒸発した作動媒体が導入されることにより、発電機を回転駆動させる膨張機と、
前記膨張機から排出された作動媒体が導入され、外部から供給される冷却媒体によって作動媒体を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された作動媒体を前記蒸発器に再供給する作動媒体ポンプと、
を備えた発電装置であって、
前記循環流路における前記蒸発器と前記膨張機の入り口側との間の部位に配置された開閉弁と、
均圧弁が設けられ、前記循環流路において、前記開閉弁と前記蒸発器との間の部位と、前記膨張機の出口側と前記凝縮器との間の部位とを連通可能な均圧流路と、
膨張機バイパス弁が設けられ、前記循環流路において、前記開閉弁と前記膨張機の入り口側との間の部位と、前記膨張機の出口側と前記凝縮器との間の部位とを連通可能な膨張機バイパス流路と、
運転停止時には、前記開閉弁を閉じる一方で前記作動媒体ポンプの停止以後に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を開放する制御を行い、起動時には、前記開閉弁を開放する一方で、前記作動媒体ポンプを駆動する以前に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を閉じる制御を行うコントローラと、
を備えていることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記運転停止時において、前記作動媒体ポンプの停止以後において予め定められた時間が経過した場合に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を開放する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記循環流路には、前記蒸発器と前記開閉弁との間に蒸発圧力センサが設けられており、
前記運転停止時において、前記作動媒体ポンプの停止以後において前記蒸発圧力センサで検出された圧力が予め定められた上限値以上となった場合に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を開放する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項4】
前記循環流路には、前記蒸発器と前記開閉弁との間に配置された蒸発圧力センサと、前記膨張機と前記凝縮器との間に配置された吐出圧力センサとが設けられており、
前記運転停止時において、前記作動媒体ポンプの停止以後において前記蒸発圧力センサで検出された圧力と前記吐出圧力センサで検出された圧力との差圧が予め定められた所定値以上となった場合に前記膨張機バイパス弁及び前記均圧弁を開放する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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