説明

登山支援情報処理装置、データ生成装置、登山支援情報処理方法

【課題】登山者に応じた最適な休憩案内情報を報知可能な登山支援情報処理装置、データ生成装置、および登山支援情報処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の登山支援情報処理装置である腕時計1は、登山ルートおよび登山ルートにおける休憩条件を有する登山ルートデータを記憶する記憶手段17と、自己の現在位置を測位する現在位置測位手段13と、自己の現在位置における高度を検出する高度センサ12と、登山ルートデータ、自己位置、および高度に基づいて、休憩条件を満たすか否かを判断する休憩判断手段と、休憩判断手段により、前記休憩条件を満たすと判断された場合に、休憩を促す旨の休憩案内情報を報知する報知手段と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登山対象者の登山を支援する登山支援情報処理装置、登山情報処理方法、および登山支援情報処理装置に用いるデータを生成するデータ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、登山時の情報を配信する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のものは、山小屋に設置される端末とサーバとをインターネットにより接続する。そして、山小屋からサーバに、天候や温度、風向きや風速などの山の状況を送信し、サーバからインターネットを介して登山者が携帯する携帯端末装置にこれらの情報を配信するシステムである。また、このシステムでは、サーバから携帯端末装置に、山の状況の他、休憩可能な山小屋や宿泊施設、下山後の交通機関などの情報を配信される。
【0003】
【特許文献1】特開2004−13478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、登山では、登山ルートによって登山難易度が存在し、登山者に要求されるスキルも異なってくる。例えば登山ルートが同一ルートであっても、登山スキルが低い場合には、移動時間を短めに設定し、休憩回数や休憩時間を多く設定することが安全上好ましい。しかしながら、上記のような従来のシステムでは、休憩可能な山小屋などの情報が配信されるだけであるため、このような休憩タイミングなどが設定できず、登山対象者にとって最適となる休憩案内情報を報知することができない。また、山域では、携帯端末装置が通信不可能となる地域もあり、インターネットによる情報の配信では、必要な情報を配信できない場合があるという問題もある。
【0005】
本発明では、上記のような問題に鑑みて、登山者に応じた最適な休憩案内情報を報知可能な登山支援情報処理装置、データ生成装置、および登山支援情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の登山支援情報処理装置では、登山ルートおよび登山ルートにおける休憩条件を有する登山ルートデータを記憶する記憶手段と、自己の現在位置を測位する現在位置測位手段と、自己の現在位置における高度を検出する高度検出手段と、前記登山ルートデータ、前記現在位置測位手段により測位される自己位置、および前記高度検出手段により検出される高度に基づいて、前記休憩条件を満たすか否かを判断する休憩判断手段と、前記休憩判断手段により、前記休憩条件を満たすと判断された場合に、休憩を促す旨の休憩案内情報を報知する報知手段と、を具備することを特徴とする。
また、本発明の登山支援情報処理方法は、登山ルートおよび登山ルートにおける休憩条件を有する登山ルートデータを記憶する記憶手段と、自己の現在位置を測位する現在位置測位手段と、自己の現在位置における高度を検出する高度検出手段と、を備えた登山支援情報処理装置における登山支援情報処理方法であって、前記登山ルートデータ、前記現在位置測位手段により測位される自己位置、および前記高度検出手段により検出される高度に基づいて、前記休憩条件を満たすか否かを判断し、前記休憩判断手段により、前記休憩条件を満たすと判断された場合に、休憩を促す旨の休憩案内情報を報知することを特徴とする。
【0007】
ここで、休憩条件としては、休憩地点に関する位置情報、休憩地点の標高、登山者の移動標高差に基づいた休憩タイミング、移動時間、休憩時間、休憩回数などの情報が含まれる。また、休憩判断手段は、登山支援情報処理装置の自己位置、高度、およびこれらから演算される登山者の単位時間当たりの移動標高差などにより、休憩条件を満たすか否かを判断する。さらに、本発明の休憩案内情報とは、移動の停止を促す旨の停止案内情報の他、移動速度の低下(ペースダウン)を促す旨のペースダウン案内情報をも含むものとする。
この発明によれば、休憩判断手段は、記憶手段に記憶される休憩条件を有する登山ルートデータと、現在位置測位手段により測位される自己位置、および高度検出手段により検出される高度に基づいて、登山者の登山状態、すなわち現在位置、移動標高差、移動時間などが休憩条件を満たすか否かを判断する。そして、報知手段は、休憩判断手段により、休憩条件を満たすと判断された場合に休憩案内情報を報知する。これにより、登山支援情報処理装置は、登山者の登山レベルに応じて適切に休憩案内情報を報知できるため、登山者は、無理なく登山することができ、安全な登山を支援することができる。特に、登山スキルが低い登山初心者は、登山ペースの管理や休憩地点の設定が困難であるが、本発明の登山支援情報処理装置により、登山者の現在位置や高度に応じて、自動的に休憩案内情報が報知されるため、登山ペースの維持が容易となり、安全に登山することができる。
また、無線通信などを利用しないため、登山支援情報処理装置が例えば無線電波の届かない位置にある場合でも、適切に休憩案内情報を報知することができる。
【0008】
本発明の登山支援情報処置装置では、前記登山ルートデータは、前記休憩条件として休憩位置を有し、前記休憩判断手段は、前記現在位置測位手段により測位される自己位置が、前記休憩位置に達すると、前記休憩条件を満たすと判断することが好ましい。
【0009】
この発明によれば、現在位置測位手段により測位される自己位置が、休憩条件の休憩地点に達すると、休憩判断手段は、休憩条件が満たされたと判断し、報知手段は、休憩を促す休憩案内情報を報知する。このため、登山者は、予め設定された休憩地点を通過してしまうことなく、適切に休憩を実施することが可能となる。また、この休憩地点として、例えば山小屋など、休憩に適した地点を設定してもよく、このような構成では、登山者は、より適切な休憩を実施することができ、安全な休憩地点での休憩を実施することができる。
【0010】
本発明の登山支援情報処理装置では、所定時間毎に前記高度検出手段により計測される高度に基づいて、単位時間当たりの移動標高差を演算する移動ペース演算手段を備え、前記登山ルートデータは、前記休憩条件として、登山レベルに応じた単位時間当たりの移動標高差が記録される標準移動ペースデータを有し、前記休憩判断手段は、前記移動ペース演算手段により演算される単位時間当たりの移動標高差と、前記標準移動ペースデータとを比較することが好ましい。
【0011】
休憩判断手段は、単位時間当たりの移動標高差と、標準移動ペースデータとを比較し、休憩条件を満たすか否かを判断する。つまり、登山者の実際の移動ペースが、標準移動ペースデータに規定されるペースよりも速いオーバーペースである場合に、休憩条件を満たすと判断し、報知手段により休憩案内情報を報知する。
このため、適切なタイミングを報知することができ、登山者のオーバーペースによる疲れやスタミナの消費を抑えることができる。これにより、登山者の登山レベルに応じた適切な登山を支援することができる。
【0012】
この時、本発明の登山支援情報処理装置では、前記標準移動ペースデータは、登山レベルに応じた適正な単位時間当たりの移動標高差である適正ペースデータと、登山レベルに対して限界となる単位時間当たりの移動標高差である限界ペースデータと、を備え、前記報知手段は、前記休憩判断手段により、前記移動ペース演算手段により演算される単位時間当たりの移動標高差が、前記限界ペースデータよりも小さく、かつ前記移動標高差が前記適正ペースデータよりも大きい場合に、移動ペースを下げる旨の休憩案内情報を報知し、前記休憩判断手段により、前記移動ペース演算手段により演算される単位時間当たりの移動標高差が、前記限界ペースデータよりも大きい場合に、移動を停止して休憩する旨の休憩案内情報を報知することが好ましい。
【0013】
この発明では、休憩判断手段により、単位時間当たりの移動標高差が、適正ペースデータから限界ペースデータまでの間の値であると判断された場合に、報知手段は、ペースダウンを知らせる休憩案内情報を報知し、限界ペースデータを超える場合に休憩を促す休憩案内情報を報知する。これにより、登山対象者の登山レベルに応じて、休憩位置での停止による休憩かペースダウンかを適切に指示する報知を行うことができ、登山対象者のより安全な登山を支援することができる。
【0014】
本発明の登山支援情報処理装置では、前記現在位置測位手段により測位される前記自己位置が、所定時間以上同一箇所から移動しない休憩状態であるか、前記自己位置が所定時間以内に他の位置に移動する移動状態であるかを判別する登山状態判別手段と、前記登山状態判別手段により前記休憩状態から前記移動状態に変わったと判別されるタイミングからの、前記移動状態の時間を計測する移動状態計時手段と、を備え、前記登山ルートデータは、前記休憩条件として、登山レベルに応じた標準移動時間データを有し、前記休憩判断手段は、前記移動状態計時手段により計測される前記移動状態の時間が、前記標準移動時間データにより規定される時間に達した場合に、前記休憩条件に合致したと判断することが好ましい。
【0015】
この発明では、休憩条件として、登山対象者の登山レベルに応じた標準移動時間データが記録されている。この標準移動時間データとしては、例えば、登山レベルが初心者であれば1時間、中級者であれば1.5時間、上級者であれば2時間として設定される。そして、このような標準移動時間データと、移動状態計時手段により計時される時間とを比較して、移動開始からの時間が標準移動時間データを越える場合に、休憩を促す休憩案内情報が報知される。登山対象者が休憩なしに長時間登山を継続すると、安全上好ましくないが、上記構成により、標準移動時間データを超えた場合に、休憩案内情報を報知することにより、長時間の登山継続による危険を回避させることが可能となり、より安全な登山を支援することができる。
【0016】
本発明の登山支援情報処理装置では、自己位置における方位を検出する方位検出手段と、前記自己位置測位手段により検出される自己位置と、前記記憶手段に記憶される前記登山ルートデータの前記登山ルートとを比較して、前記自己位置と前記登山ルートとがずれているか否かを判断する誤ルート判断手段と、前記誤ルート判断手段により、前記自己位置が前記登山ルートからずれている場合に、前記方位検出手段にて検出される方位に基づいて、前記自己位置から前記登山ルートに向かう復帰方向を求める方向演算手段と、を備え、前記報知手段は、前記誤ルート判断手段により、前記自己位置が前記登山ルートからずれている場合に、前記方向演算手段により求められる前記復帰方向を報知することが好ましい。
【0017】
この発明によれば、誤ルート判断手段により自己位置と登山ルートとがずれていると判断された場合に、方向演算手段は、方位検出手段により検出される方位に基づいて、復帰方向を求め、報知手段は、この復帰方向を報知する。これにより、登山中に誤ったルートと通過した場合に、迅速に登山者にその旨を報知することができ、遭難や事故などを防止することができる。また、上記のように、無線を用いずに復帰方向を報知することができるので、登山支援情報処理装置が無線電波などの届かない山域にある場合でも、迅速に正確な登山ルートへの復帰方向を報知することができる。
【0018】
ここで、本発明の登山支援情報処理装置では、前記自己位置の前記登山ルートからのずれ量を演算するルートずれ演算手段を備え、前記誤ルート判断手段は、前記ずれ量が所定の閾値以上となった場合に、前記自己位置と前記登山ルートとがずれていると判断することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、例えば登山者が正規な登山ルートと並行する側道を移動した場合、正規の登山ルートから大きくずれておらず、安全上問題がないため、誤ルートとは判断しない。一方、正規の登山ルートから所定閾値以上離れた場合では、登山者が正規な登山ルートから大きく離れた側道に迷い込んだ可能性が大きく、この場合、誤ルートを判断して、復帰方向を報知する。これにより、安全上問題となる誤ルートに対してのみ、適切に復帰方向を報知することができ、不要な情報の報知をなくすことができる。よって、登山者に対して、必要な情報のみを適切に報知することができるとともに、登山支援情報処理装置の省電力化を図ることができる。
【0020】
本発明の登山支援情報処理装置では、前記現在位置測位手段は、所定時間間隔で自己位置を測位するとともに、測位した自己位置を記憶手段に記憶して蓄積させ、当該登山支援情報処理装置は、前記自己位置と前記登山ルートとが最後に重なるずれ開始位置を認識するルートずれ開始位置認識手段と、前記記憶手段に蓄積記憶される複数の前記自己位置から前記ずれ開始位置から現在の自己位置までの移動ルートをトレースするトレース手段と、を備え、前記報知手段は、前記トレース手段によりトレースされた移動ルートから、現在の自己位置から前記ずれ開始位置までの前記復帰方向を報知することが好ましい。
【0021】
この発明によれば、正規な登山ルートから側道に逸れた地点から現時点の自己位置までの誤ルートをトレースし、この誤ルートに沿って正規の登山ルートに戻る復帰ルートを報知する。すなわち、誤ルートの一地点から正規登山ルートへの最短距離を報知した場合、この一地点と正規登山ルートの間に例えば崖などの通行不可能な障害がある場合があり、復帰ルート中に危険を伴うおそれがある。これに対して、通過した誤ルートに沿って戻る復帰方向を報知することで、このような危険を回避することができ、安全な復帰ルートを報知することができる。したがって、登山者が誤ルートに誤って入った場合でも、安全に登山ルートに戻すように復帰方向を報知することができ、より安全な登山を支援することができる。
【0022】
そして、本発明の登山支援処理装置では、前記報知手段は、画像を表示させる表示部を備え、前記復帰方向を表示方向に表示させることが好ましい。
このような発明では、表示部に復帰方向を表示させることで、登山者が正規の登山ルートに戻る正確な方向を容易に確認することができ、復帰方向を間違えることなく、安全な登山を支援することができる。
【0023】
本発明の登山支援処理装置では、前記報知手段は、音声により休憩案内情報を報知する音声出力部を有することが好ましい。
【0024】
この発明によれば、音声により休憩案内情報や復帰方向を報知する。すなわち、登山者が登山に集中している状態では、表示部に休憩案内情報や復帰方向を表示させるだけでは、登山者がその表示に気づかないおそれがある。これに対して、音声により休憩案内情報や復帰方向を報知することにより、登山者に適切に情報を伝達することができる。また、上述したような表示部をも備える構成とし、音声および表示部への表示により休憩案内情報や復帰方向を報知する構成とすることで、より確実に登山者に情報を伝達させることができる。
【0025】
本発明のデータ生成装置は、登山ルートおよび登山ルートにおける休憩条件を有する登山ルートデータを記憶する記憶手段と、自己の現在位置を測位する現在位置測位手段と、自己の現在位置における高度を検出する高度検出手段と、前記登山ルートデータ、前記現在位置測位手段により測位される自己位置、および前記高度検出手段により検出される高度に基づいて、前記休憩条件を満たすか否かを判断する休憩判断手段と、前記休憩判断手段により、前記休憩条件を満たすと判断された場合に、休憩を促す旨の休憩案内情報を報知する報知手段と、を具備した登山支援情報処置装置における前記記憶手段に記憶される前記登山ルートデータを生成するデータ生成装置であって、登山ルートを読み込むルート読込手段と、登山対象者の登山スキルデータを読み込むスキル読込手段と、前記登山スキルデータに基づいて、前記登山対象者の休憩条件を設定する休憩条件設定手段と、前記登山ルートと、前記休憩条件とを関連付けた登山ルートデータを生成する登山ルートデータ生成手段と、を具備したことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、上記のようなデータ生成装置を用いることで、上述したような登山情報処理装置による登山支援を実施可能な登山ルートデータを、登山レベルに応じた休憩条件と、登山ルートとを関連付けて容易に作成することができる。また、登山レベルに応じた休憩条件を予め記憶部に記憶しておくなどの構成も可能であり、この場合、登山ルートを読み込み、登山者の登山レベルを選択するだけで、その登山レベルに応じた休憩条件を設定することが可能となる。このような構成では、登山ルートデータの生成が煩雑とならず、登山における前準備も容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る一実施形態の登山支援情報処理装置としての腕時計について図面を参照して説明する。
【0028】
〔腕時計の構成〕
図1は、本発明に係る一実施の形態の登山支援処理装置としての腕時計の外観図である。
図1において、腕時計1は、外装ケース2と、表示部3と、複数の操作部4と、接続部5と、外装ケース2に内蔵されるモジュール10(図2参照)と、を備えている。この腕時計1は、電子時計であり、現在時刻を表示部3に表示させる。また、腕時計1は、現在位置の測位や現在位置における高度を測定して測位した現在位置や高度などを表示部3に簡易表示することが可能な構成を有している。
【0029】
表示部3は、外装ケース2の上面に設けられている。この表示部3としては、例えば液晶パネルディスプレイや、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなど、小型かつ薄型化が可能な表示手段を用いることが好ましい。この表示部3には、図1に示すように、現在時刻表示領域31と、経過時間表示領域32と、現在高度表示領域33と、後述する休憩案内情報や復帰データなどの各種情報を表示可能な情報表示領域34と、を備えている。
【0030】
操作部4は、利用者に操作されることで所定の操作信号をモジュール10に出力する。この操作部4としては、例えば、押し込まれることで所定の操作信号をモジュール10に出力する操作ボタンであってもよく、回動されることで、回動角に応じた操作信号をモジュール10に出力するリューズであってもよい。
【0031】
接続部5は、腕時計1と外部機器とを接続する端子を有している。この接続部5は、通常時、図示しないカバーにより端子がカバーされて水や塵の侵入を防ぐ構成としてもよい。この接続部5に接続される外部機器としては、例えば後述するデータ生成装置としてのパーナルコンピュータなどを例示することができる。
なお、本実施の形態では、接続部5によりデータ生成装置であるパーソナルコンピュータに接続される例を説明するが、例えば腕時計1の内部に無線情報を受信可能なアンテナが設けられ、無線情報をアンテナにより受信して後述の登山ルートデータなどを取得する構成としてもよい。
【0032】
また、腕時計1には、音声出力部としてのスピーカ6(図2参照)が内蔵されている。このスピーカ6は、モジュールから出力される音声信号に応じた音声を出力する。
【0033】
(モジュールの構成)
次に、腕時計1の内部に格納されるモジュール10について、図2に基づいて説明する。
図2は、本実施の形態のモジュールの概略構成を示すブロック図である。
【0034】
図2において、モジュール10は、方位検出手段としての方位センサ11と、高度検出手段としての高度センサ12と、現在位置測位手段13と、報知手段を構成する報知制御手段15と、計時手段16と、記憶手段17と、CPU(Central Processing Unit)18と、を備えている。
【0035】
方位センサ11は、4方位(東西南北)を検出する。この方位センサ11としては、例えば磁気抵抗効果により3軸の地磁気を検出する一般的な3軸方位センサを用いることができる。そして、方位センサ11は、検出した方角に基づいた方位信号をCPU18に出力する。
【0036】
高度センサ12は、気圧を測定することで現在位置における海抜からの標高、すなわち絶対高度を検出する。なお、本実施の形態では、絶対高度を検出する高度センサ12を例示するが、これに限定されず、例えば所定の基準点(例えば登山口の標高)と現在位置における高度との差である相対高度を検出する構成などとしてもよい。そして、高度センサ12は検出した高度に応じた高度信号をCPU18に出力する。
【0037】
現在位置測位手段13は、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信機で受け取り、現在位置を測位する。また、測位法として、GPS信号の変調に基づいて位置を測位するいわゆるコード測位方式であってもよく、GPS信号の位相差に基づいて位置を検出するいわゆる干渉測位方式であってもよい。なお、本実施の形態では、GPS衛星からの信号を受信するGPS(Global Positioning System)を用いる例を示すが、これに限定されない。すなわち、現在、日本国で開発中であるQZSS、欧米諸国で開発中であるGalileo、ロシアで開発中であるGLONASSなど、衛星により自己位置を測位するものを利用することができる。そして、現在位置測位手段13は、測位した現在位置(自己位置)に基づいた位置信号をCPU18に出力する。
【0038】
なお、高度センサ12による高度測定、現在位置測位手段13による現在位置測位は、CPU18の制御により予め設定された所定時間おきに実施されてもよく、常時高度および現在位置を監視する構成としてもよい。所定時間おきに測定を実施する場合では、腕時計1の消費電力を抑えることができ、常時測定を実施する場合では、登山ルートをより詳細な把握することができる。
【0039】
I/F14は、接続部5に接続されており、接続部5の端子に接続される外部機器から外部信号を受信すると、この外部信号をCPU18にて処理可能な信号にデコードしてCPU18に出力する。また、I/F14は、CPU18から入力される信号を、接続部5を介して外部機器に出力する。
【0040】
報知制御手段15は、CPU18から入力される報知信号に基づいて、表示部3およびスピーカ6を制御して報知信号に応じた情報を出力する。なお、この報知制御手段15、表示部3、およびスピーカ6により、本発明の報知手段19が構成される。具体的には、報知制御手段15は、図2に示すように、表示制御部151と、音声制御部152とを備えている。
表示制御部151は、CPU18から画像信号が入力されると、この画像信号に基づいて表示部3を制御し、表示部3の各表示領域に画像信号に応じた画像を表示させる。この画像信号としては、現在時刻表示領域31に現在時刻を表示させる現在時刻画像信号、経過時間表示領域32に経過時間を表示させる経過時間画像信号、現在高度表示領域33に絶対高度を表示させる高度画像信号、情報表示領域34に各種情報、例えば休憩案内情報や復帰データ、標高ルート情報などを表示させる各種情報画像信号などが挙げられる。
音声制御部152は、CPU18から入力される音声信号が入力されると、スピーカ6に音声信号を出力して音声を発生させる制御をする。この音声信号としては、休憩案内情報や復帰データを報知するための音声、例えば「休憩してください」、「ペースダウンしてください」、「ルートが間違っています」などといった音声を出力してもよく、例えば表示部3の確認を促す旨のビープ音などを発生させるものであってもよい。
【0041】
計時手段16は、モジュール10内に設けられる図示しないパルス合成回路から出力されるパルス信号に基づいて、時間(時、分、秒)をカウントする。ここで、パルス合成回路は、例えば水晶発振子などの基準振動子を備え、この基準振動子から出力される基準パルスを分周してパルス信号を発生させる。このパルス合成回路はCPU18に接続され、回路のクロック信号となる。
そして、計時手段16は、時刻計時部161と、登山時間計時部162とを備えている。時刻計時部161は、パルス合成回路から入力されるパルス信号をカウントし、現在時刻を計時する。なお、標準電波を受信するアンテナを備え、受信した標準電波に基づいてカウントされる現在時刻を自動的に修正する電波修正機能を有するものであってもよく、GPS衛生から発信される時刻信号を受信することで現在時刻を自動修正するGPS時刻修正機能を有するものであってもよい。
登山時間計時部162は、例えば利用者により操作部4が操作され、CPU18から登山時間を計時する旨の計時命令信号が入力されると、登山開始時点からの時間をカウントする。この時間のカウントにおいても、パルス合成回路から入力されるパルス信号に基づいて、時間をカウントする。
【0042】
記憶手段17は、CPU18にて演算されたデータを一時的に記憶する記憶領域、モジュール10全体を制御するOS(Operating System)上で展開される各種プログラムを記憶する記憶領域、腕時計1を登山支援情報処理装置として駆動させるための登山ルートデータ200などの各種データを記憶する記憶領域などを備えている。
【0043】
ここで、記憶手段17に記憶される登山ルートデータ200について、図面に基づいて説明する。図3は、登山ルートデータの概略構成を示す図である。
図3に示すように、登山ルートデータ200は、登山の移動経路に関する情報であるルートデータ210と、休憩条件が記録される休憩条件データ220とを備えている。
図4は、ルートデータの一例を示す図である。
ルートデータ210は、登山経路を含む所定地域上空から見た、4方位(東西南北)に対応する地図上に、略線状の登山ルートが重ね合わされる地図データとして構築されている。なお、ルートデータ210としては、地図画像データに限らず、登山対象となる所定山域内の各座標位置と、これらの座標位置に対する経緯度と、登山ルートに対応する地点を示すルートフラグとが関連付けられて記録されるテーブルデータ形式のデータ構造などとしてもよい。
【0044】
休憩条件データ220は、休憩地点データ221と、登山スキルデータ222と、などを備えている。
休憩地点データ221は、ルートデータ210の登山ルート上における休憩地点を示すデータであり、例えばルートデータ210上における休憩地点の座標位置、経緯度、およびこの休憩地点における休憩時間などが記録されている。これらの休憩地点は、登山者の登山スキルに対して、安全上休憩することが好ましいと判断される標高差や距離などにより、予め設定されている。すなわち、移動距離に対して標高差変化量が所定値以上となる地点、移動標高差に対して移動距離が所定値以上となる地点に、休憩地点が設定されている。
【0045】
図5は、登山スキルデータの一例を示す図である。
登山スキルデータ222は、図5に示すように、登山レベルデータ223、標準標高差データ224、標準ペースデータ225、および標準移動時間データ226が関連付けられてテーブルデータ形式として構築されている。
登山レベルデータ223は、例えば「初級」「中級」「上級」といった登山者の登山のスキルレベルに関するデータである。なお、本実施の形態では、上記により3つに分類される例を示すが、例えば、年齢、登山経験年数、前回の登山からのブランク期間などの要素でさらに詳細に分類されるものであってもよい。
【0046】
標準標高差データ224は、登山者の登山レベルに対して、安全に登山可能な標高差変化量が記録されている。例えば、登山レベルデータが「初級」である場合には、100m、「中級」である場合には、150m、「上級」である場合には、200mが記録される。ここで、登山レベルデータが「初級」である場合を例に採ると、標高差変化量が100m以下である場合は、連続して登山しても安全であり、それ以上の標高差を連続して登山する場合は危険性が高くなることを意味している。そして、後述する休憩判断手段18Gは、休憩後の標高差変化量が、この標準標高差データ224に規定される値に達すると、休憩条件を満たすとして、報知情報を出力する処理を実施する。
【0047】
標準移動ペースデータ225には、登山者の登山レベルに対して安全に登山可能な移動高度変化量(標準移動標高差)が記録されている。例えば、登山レベルデータ223が「初級」である場合には、25(m/15min)、「中級」である場合には、37.5(m/15min)、「上級」である場合には、50(m/15min)が記録される。
【0048】
標準移動時間データ226は、登山レベルに対して安全に連続して登山可能な時間が記録されている。例えば、登山レベルデータ223が「初級」である場合には、1(h)、「中級」である場合には、1.5(h)、「上級」である場合には、2(h)が記録される。
【0049】
ここで、本実施の形態では、登山レベルが最も高い「上級」に対する標準標高差データ224、標準移動ペースデータ225、および標準移動時間データ226は、登山レベルが低い「初級」および「中級」に対する限界データすなわち危険性が増大する標高差変化量の限界値、移動速度の限界値、移動時間の限界値として設定されている。
【0050】
次に、CPU18により演算処理されるプログラムについて、説明する。図6は、CPU18によりソフトウェアとして処理が実施される各種プログラムの構成を示す図である。
図6に示すように、CPU18により処理されるプログラムとしては、センサ信号認識手段18Aと、登山ルートデータ読込手段18Bと、レベル設定手段18Cと、登山状態判別手段18Dと、移動状態時間計測手段としての状態別時間計測手段18Eと、移動ペース演算手段18Fと、休憩判断手段18Gと、ルートずれ演算手段18Hと、誤ルート判断手段18Iと、ルートずれ開始位置認識手段18Jと、トレース手段18Kと、方向演算手段18Lと、を備えている。
【0051】
センサ信号認識手段18Aは、所定時間間隔で方位センサ11、高度センサ12、および現在位置測位手段13から出力される各信号を受信し、現在位置における方位、絶対高度、および自己位置の経緯度を取得する。また、センサ信号認識手段18Aは、現在位置測位手段13から入力される自己位置は、例えば図4の「×」印に示すように、測位位置をルートデータ210上にプロットし、移動経路を記憶する。なお、センサ信号認識手段18Aは、高度センサ12および現在位置測位手段13からのセンサ信号に基づいた自己位置および高度と、登山開始からの経過時間とを関連付けたレコードデータと、記憶手段に蓄積してテーブルデータ化する構成としてもよい。
【0052】
登山ルートデータ読込手段18Bは、例えば利用者による操作部4の操作により、登山を開始する旨の操作信号が入力されると、記憶手段17に記憶された登山ルートデータ200を読み込む処理をする。
【0053】
レベル設定手段18Cは、例えば利用者による操作部4の操作により、安全レベルを変更する旨の操作信号が入力されると、この操作信号に応じた安全レベルを設定し、記憶手段に記憶する。ここで、安全レベルとは、登山スキルに対応して休憩の頻度や休憩時間の設定、登山ペースを決定するデータであり、例えば安全レベルが「高」に設定されると、登山レベルが「初級」である登山スキルデータに対応した休憩条件データが選択される。
【0054】
登山状態判別手段18Dは、センサ信号認識手段18Aにて取得した、現在の自己位置、現在の高度の変化状態から、腕時計1を装着した利用者が移動中である移動状態であるか、利用者が停止している状態であるかを判断する。具体的には、登山状態判別手段18Dは、所定時間間隔で定期的に入力される現在位置測位手段13および高度センサ12からのセンサ信号に基づいて、自己位置および高度が移動している移動状態であるか、自己位置および高度の変化が所定時間以上移動しない休憩状態であるかを判別する。すなわち、図4において、所定時間間隔おきにプロットされる自己位置が移動している場合には移動状態と判別し、図4中Aで示されるように、所定数のプロットされた点が移動していない、もしくは所定距離範囲内に位置する場合には、休憩状態であると判別する。
【0055】
状態別時間計測手段18Eは、例えば利用者による操作部4の操作により、登山を開始する旨の操作信号が入力されると、計時手段16の登山時間計時部162を駆動させ、登山時間のカウントを開始させる。
また、状態別時間計測手段18Eは、移動状態、および休憩状態における時間を計測する。具体的には、登山状態判別手段18Dにより、ルートデータ210上にプロットされる点が、休憩位置Aから移動し、休憩状態から移動状態に移行したと判別された場合、状態別時間計測手段18Eは、移動状態の時間のカウントを開始する。また、登山状態判別手段18Dにより、ルートデータ210上に、例えば3回略同一位置に自己位置を示す点がプロットされ、移動状態から停止状態に移行したと判別された場合、この移行タイミングからの時間(休憩時間)を計測する。
【0056】
移動ペース演算手段18Fは、高度センサ12により計測される高度と、高度センサ12により高度検出間隔とに基づいて、単位時間当たりの移動標高差(以降、高度移動ペースと称す)を演算する。
【0057】
休憩判断手段18Gは、現在位置測位手段13により測位される自己位置、高度センサ12により検出される高度、状態別時間計測手段により計測される移動状態の時間、移動ペース演算手段18Fにより演算される高度移動ペースと、登山ルートデータ読込手段18Bにより読み込まれた登山ルートデータ200の休憩条件データ220とに基づいて、休憩案内情報を報知制御手段15に出力する。
具体的には、休憩判断手段18Gは、現在の自己位置や高度が、休憩条件データ220の休憩地点データ221にて示される位置、高度に達した場合、休憩条件データ220の休憩条件を満たすと判断し、休憩案内情報として、移動を停止して休憩を促す旨の停止案内情報を報知制御手段15に出力する。
この停止案内情報としては、表示部3の情報表示領域34に例えば「REST」という文字、および休憩時間を表示させる停止画像データ、休憩を促す旨の音声またはビープ音、休憩時間を発音させる旨の停止音声データが含まれる。
ここで、図7に停止案内情報を表示する表示部の一例を示す。報知制御手段15の表示制御部151は、停止画像データが入力されると、図7に示すように、表示部3の情報表示領域34に停止画像データに基づいた画像、例えば「REST」の文字と休憩時間とを表示させる制御をする。また、音声制御部152は、停止音声データに基づいて、例えば、「○分休憩してください」といった音声や、表示部3の確認を促すビープ音をスピーカ6から出力させる。
【0058】
また、休憩判断手段18Gは、高度移動ペースと、登山スキルデータ222中の標準移動ペースデータ225と、を比較する。例えば、レベル設定手段18Cにより安全レベルが「高」に設定されている場合、登山レベルデータ223が「初級」である標準移動ペースデータ225を適正ペースデータとして、また、登山レベルデータ223が「上級」である標準移動ペースデータ225を限界ペースデータとして認識する。そして、休憩判断手段18Gは、高度移動ペースが、限界ペースデータに記録される値よりも大きい場合、休憩条件データの休憩条件を満たすと判断し、報知制御手段15に休憩案内情報として停止案内情報を出力する。また、休憩判断手段18Gは、高度移動ペースが、適正ペースデータから限界ペースデータの間である場合、休憩条件を満たすと判断し、休憩案内情報として、ペースダウン案内情報を報知制御手段15に出力する。
このペースダウン案内情報としては、表示部3の情報表示領域34に例えば「SLOW」という文字を表示させるペースダウン画像データ、ペースダウンを促す旨の音声またはビープ音を発音させる旨のペースダウン音声データが含まれる。
ここで、図8にペースダウン案内情報を表示する表示部の一例を示す。報知制御手段15の表示制御部151は、ペースダウン画像データが入力されると、図8に示すように、表示部3の情報表示領域34に停止画像データに基づいた画像、例えば「SLOW」の文字を表示させる制御をする。また、音声制御部152は、ペースダウン音声データに基づいて、例えば、「ペースダウンしてください」といった音声や、表示部3の確認を促すビープ音をスピーカ6から出力させる。
【0059】
さらに、休憩判断手段18Gは、状態別時間計測手段18Eにより計測される移動状態における時間と、標準移動時間データ226とを比較する。例えば、レベル設定手段18Cにより安全レベルが「高」に設定されている場合、登山レベルデータ223が「初級」である標準移動時間データ226と、登山レベルデータ223が「上級」である標準移動時間データ226とを認識し、このうち、登山レベルデータ223が「上級」である標準移動時間データ226を限界移動時間データとする。そして、休憩判断手段18Gは、移動状態の時間が、限界移動時間データに記録される値よりも大きい場合、休憩条件データ220の休憩条件を満たすと判断し、報知制御手段15に休憩案内情報として停止案内情報を出力する。また、休憩判断手段18Gは、移動状態の時間が、標準移動時間データから限界移動時間データの間である場合、休憩条件を満たすと判断し、休憩案内情報として、ペースダウン案内情報を報知制御手段15に出力する。
【0060】
さらには、休憩判断手段18Gは、高度センサ12により検出される高度の変化量と、標準標高差データ224とを比較する。例えば、レベル設定手段18Cにより安全レベルが「高」に設定されている場合、登山レベルデータ223が「初級」である標準標高差データ224と、登山レベルデータ223が「上級」である標準標高差データ224とを認識し、このうち、登山レベルデータ223が「上級」である標準標高差データ224を限界標高差データとする。そして、休憩判断手段18Gは、高度変化量が、限界標高差データに記録される値よりも大きい場合、休憩条件データ220の休憩条件を満たすと判断し、報知制御手段15に休憩案内情報として停止案内情報を出力する。また、休憩判断手段18Gは、高度変化量が、標準標高差データ224から限界標高差データの間である場合、休憩条件を満たすと判断し、休憩案内情報として、ペースダウン案内情報を報知制御手段15に出力する。
【0061】
ルートずれ演算手段18Hは、ルートデータ210上にプロットされる自己位置を示す点と、登山ルートとの距離を演算する。具体的には、ルートずれ演算手段18Hは、現在位置測位手段13にて測位された自己位置と登山ルートとの最短距離を演算する。
【0062】
誤ルート判断手段18Iは、ルートずれ演算手段18Hにより演算された、自己位置と登山ルートとのずれ量に基づいて、登山者の移動ルートが、登山ルート上であるか否かを判断する。具体的には、誤ルート判断手段18Iは、演算されたずれ量が、所定の閾値以上である場合に、登山ルートからずれた誤ルートを進んでいると判断する。
【0063】
ルートずれ開始位置認識手段18Jは、誤ルート判断手段18Iにより誤ルートであると判断された場合に、ルートデータ210上にプロットされた点のうち、最後に登山ルート上にプロットされた点を検索し、この点を誤ルートの開始地点(例えば図4における点B)として認識する。
トレース手段18Kは、ルートデータ210上で、ルートずれ開始位置認識手段18Jにより認識される誤ルートのずれ開始地点Bから現時点の自己位置(例えば図4中の点C)までを、時系列に沿ってトレースし、誤ルートの経路データ(例えば、図4中のルートD)を作成する。
方向演算手段18Lは、トレース手段18Kにより生成された誤ルートDと、方位センサ11から出力されるセンサ信号に基づいてセンサ信号認識手段18Aにより認識される方位とにより、登山ルートに復帰する復帰方向を演算する。
すなわち、ルートデータ210には、登山ルートにおける4方角(東西南北)が記録されているため、上記のようにトレース手段18Kにより誤ルートDを生成することで、方向演算手段18Lは、容易に誤ルートDに沿って登山ルートに戻る復帰方向を演算することが可能となる。また、方位センサ11により、当該腕時計1を装着した利用者が向いている方角が分かる。そして、方向演算手段18Lは、この方位センサ11にて検出された利用者が現在向いている方角から、演算された復帰方向がどの向きであるかを演算し、演算された復帰方向の向きを報知する復帰データを報知制御手段15に出力する。この復帰データとしては、復帰を促す旨の画像、利用者の現在の向きに対する復帰方向の方角を示す画像、復帰までの距離を示す画像などを含む復帰画像データと、復帰方向が表示部3に表示された旨を知らせる旨の音声データとを有している。
ここで、図9に復帰データを表示する表示部の一例を示す。報知制御手段15の表示制御部151は、復帰データが入力されると、図9に示すように、誤ルートDから登山ルートへの復帰を促す旨の画像である「BACK」を表示させ、その復帰方向を矢印により表示させ、さらに登山ルートに戻るまでの距離を表示させる。また、音声制御部152は、表示部3の確認を促すビープ音などをスピーカ6から出力させる。
【0064】
〔データ生成装置の構成〕
次に、上述したような登山支援情報処理装置としての腕時計1の記憶手段17に記憶される登山ルートデータ200を生成するデータ生成装置の構成を説明する。図10は、本実施の形態のデータ生成装置の概略構成を示す図である。
このデータ生成装置300としては、例えば登山ルートデータを生成する専用の端末装置の他、一般的なパーソナルコンピュータなどを利用することができる。そして、このデータ生成装置300は、図10に示すように、入出力部310と、記憶部320と、入力操作部330と、ディスプレイ340と、演算処理部350と、を備えている。
【0065】
入出力部310は、データ生成装置300と腕時計1などの外部機器とを通信可能に接続する。この入出力部310としては、例えばUSBケーブルなどの有線ケーブルを接続可能な端子部を有し、この有線ケーブルにより、腕時計1と通信可能に接続される。なお、例えば赤外線通信や、電波通信など、無線により腕時計1と通信可能に接続されるものであってもよい。また、入出力部310は、インターネットに接続可能なネット接続部を有しており、インターネットから各種情報を取得することも可能な構成となっている。さらに、入出力部310は、例えば光学式記録媒体や磁気式記録媒体、光磁気式記録媒体などの記録媒体を駆動可能な各種外付けドライブとも接続可能な構成となっている。
【0066】
入力操作部330は、例えばキーボードやマウスなど、利用者により操作されることで所定の操作信号を演算処理部350に出力する入力操作手段が接続される。
記憶部320は、演算処理部350にて演算されたデータを一時的に記憶する記憶領域、データ生成装置300全体を制御するOS(Operating System)上で展開される各種プログラムを記憶する記憶領域、入出力部310を介して取得した各種データを記憶する記憶領域などを備えている。この記憶部320としては、HD(Hard Disk)などの磁気式記録媒体、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学式記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)などの光磁気式記録媒体を駆動可能な各種ドライブや、ROMやRAMなどのメモリなどを用いることができる。
【0067】
次に、演算処理部350により演算処理されるプログラムについて説明する。演算処理部350により処理されるプログラムとしては、ルート読込手段351と、スキル読込手段352と、休憩条件設定手段353と、登山ルートデータ生成手段354と、などがある。
【0068】
ルート読込手段351は、記憶部320に予め記憶された登山ルートに関するルートデータ210、入出力部310を介してインターネットや、外付けドライブにより駆動される記録媒体などから取得されるルートデータ210を読み込む処理をする。
【0069】
スキル読込手段352は、例えば利用者による入力操作部330の操作により入力される、登山者のスキルに関するデータ、例えば登山レベルや、登山者の年齢、登山経験年数、性別などを読み込む処理をする。
そして、休憩条件設定手段353は、スキル読込手段352により読み込まれた各種データに基づいて、ルート読込手段351にて読み込まれたルートデータ210に対する休憩条件データを設定する。
これには、記憶部320に、登山者の登山レベル、年齢、経験年数、性別などの登山者の設定スキルデータと、これらの設定スキルデータに対応した、標準標高差データ、標準ペースデータ、および標準移動時間データなどの休憩設定データとを関連付けたテーブルデータを予め記憶しておく。そして、休憩条件設定手段353は、スキル読込手段により読み込まれたスキル設定データに対応した、休憩設定データを読み込む。そして、休憩条件設定手段353は、この読み込まれた休憩設定データから、登山スキルデータ222を生成する。
また、標準ペースデータに基づいて、ルートデータ210上における休憩地点を決定し、休憩地点データ221を生成する。なお、休憩地点データ221は、利用者の入力操作部330の入力操作により、手動により位置調整が可能な構成としてもよい。
そして、休憩条件設定手段353は、これらの登山スキルデータ222および休憩地点データ221を関連付けた休憩条件データ220を生成する。
【0070】
登山ルートデータ生成手段354は、ルート読込手段351により読み込まれたルートデータ210と、休憩条件設定手段353により設定された休憩条件データ220とを関連付けて、登山ルートデータ200を生成する。
【0071】
〔腕時計1による登山支援処理〕
次に、上述したような腕時計1による登山支援処理について、図面に基づいて説明する。
(登山ルートデータの登録)
まず、腕時計1に登録する登山ルートデータの生成方法、および腕時計1への登山ルートデータの登録処理について、図11に基づいて説明する。図11は、データ生成装置における登山ルートデータの生成処理のフローチャートである。
図11に示すように、登山ルートデータ200の生成処理では、利用者の入力操作部330の操作により、データ生成装置300に登山ルートデータの生成要求信号が入力されると、演算処理部350のルート読込手段351は、ルートデータ210を読み込む処理をする(ステップS101)。具体的には、ルート読込手段351は、利用者の入力操作部330の操作により指定される所定のルートデータ210を、例えばインターネットや記憶部、外付けドライブに導入された記録媒体などから読み込む処理を実施する。
【0072】
この後、演算処理部350は、ディスプレイ340上に、登山者のスキルに関する設定スキルデータを入力する旨を表示させる制御をする。そして、利用者の入力操作部330の操作により、登山者の登山レベル、年齢、経験年数、および性別などが入力されると、これを設定スキルデータとして読み込む(ステップS102)。
【0073】
そして、休憩条件設定手段353は、記憶部320に予め記憶されているデータテーブルから、ステップS102にて入力された設定スキルデータに対応した休憩設定データを読み込み、この休憩設定データに基づいて、登山スキルデータ222を生成する。
また、休憩条件設定手段353は、休憩設定データに基づいて、ルートデータ210上の休憩地点を決定し、休憩地点データ221を生成する。そして、これらの休憩地点データ221および登山スキルデータ222を関連付けて、休憩条件データ220を生成する(ステップS103)。
そして、登山ルートデータ生成手段354は、ステップS101にて読み込まれたルートデータ210と、ステップS103にて設定された休憩条件データ220とを関連付けた登山ルートデータ200を生成する(ステップS104)。
【0074】
この後、演算処理部350は、入出力部310に接続された腕時計1にステップS103にて生成した登山ルートデータ200を送信し、腕時計1は、受信した登山ルートデータ200を記憶手段17に適宜読み出し可能に記憶する(ステップS105)。
【0075】
(腕時計の動作)
次に、腕時計1による登山支援処理について説明する。
(休憩案内情報報知処理)
図12は、腕時計1の登山支援処理における休憩案内情報報知処理を示すフローチャートである。図13は、図12における休憩判断処理を示すフローチャートである。
【0076】
図12において、腕時計1により休憩案内情報報知処理を実施するには、まず、初期設定を設定する(ステップS201)。これには、まず、レベル設定手段18Cは、利用者の操作部の操作により、安全レベルを設定する。なお、ここでは、安全レベルとして、登山スキルが「初級」である登山者を対象とする設定、すなわち安全レベルが「高」である場合の、休憩案内情報報知処理を説明する。また、CPU18は、登山時間計時部162にてカウントされる時間を初期化し、すなわち「0」に設定する。さらに、CPU18は、単位時間当たりの高度変化量として、「0」を設定する。さらには、CPU18は、設定した安全レベルに対応する休憩条件データを読み込む処理をする。ここでは、安全レベルが「高」であるため、登山スキルデータ222から、登山レベルデータ223が「初級」である標準標高差データ224、標準ペースデータ225、標準移動時間データ226を読み込む。さらに、登山スキルデータ222から、登山レベルデータ223が「上級」である標準標高差データ224、標準ペースデータ225、標準移動時間データ226を読み込み、これを限界標高差データ、限界ペースデータ、限界移動時間データとして、記憶手段17に一時記憶する。
【0077】
そして、利用者の操作部4の操作により、例えば登山を開始する旨の設定入力があった場合、状態別時間計測手段18Eは、登山時間計時部162を制御して、登山時間のカウントを開始させる(ステップS202)。
【0078】
その後、CPU18は、現在位置測位手段13および高度センサ12により、毎秒自己位置および高度を測定させる(ステップS203)。また、センサ信号認識手段18Aは、測定された自己位置および高度を記憶手段17に蓄積記憶させる。この時、センサ信号認識手段18Aは、測位された自己位置をルートデータ210上にプロットし、移動経路をトレースする。
【0079】
また、移動ペース演算手段18Fは、ステップS203の処理により得られる単位時間当たりの高度変化量に基づいて、高度移動ペースを演算する(ステップS204)。なお、本実施の形態では、単位時間として15分を採用するものとする。すなわち、移動ペース演算手段18Fは、記憶手段17に記憶される15分前の自己位置と、現在の自己位置とから、15分当たりの移動距離を演算する。また、移動ペース演算手段18Fは、15分前の高度と、現在の高度から15分当たりの高度変化量を演算する。
【0080】
次に、休憩判断手段18Gは、現時点において休憩案内情報を報知するか否かを判断する休憩判断処理を実施する(ステップS205)。
この休憩判断処置では、図13に示すように、休憩判断手段18Gは、まず、現在位置測位手段13により測位される自己位置が、休憩地点データ221にて示される休憩地点に到達したか否かを判断する(ステップS211)。
このステップS211において、休憩判断手段18Gは、自己位置が休憩地点に到達したと判断した場合、休憩案内情報として、休憩地点で所定時間の休憩を促す旨の停止案内情報を生成する(ステップS212)。この時間としては、登山レベルデータ223に応じて予め設定されており、例えば登山レベルデータが「初級」(安全レベルが「高」)の場合では、「30分」の休憩を促す旨の停止案内情報を生成する。
【0081】
一方、ステップS211において、休憩判断手段18Gは、自己位置が休憩地点に達していないと判断した場合、ステップS204にて演算された高度移動ペースが、ステップS201で認識された標準移動ペースデータに記録される値、すなわち適正ペースデータ(例えば「初級」では、25(m/15min))以上であるか否かを判断する(ステップS213)。
このステップS213において、休憩判断手段18Gは、高度移動ペースが適正ペースデータを上回ると判断した場合、次にこの高度移動ペースが限界ペースデータの値(例えば「初級」では、50(m/15min))以上となるか否かを判断する(ステップS214)。そして、休憩判断手段は、このステップS214において、高度移動ペースが限界ペースデータよりも大きいと判断した場合、休憩判断手段18Gは、ステップS212の処理を実施し、停止案内情報を生成する。
【0082】
そして、ステップS213において、休憩判断手段18Gは、高度移動ペースが適正ペースデータよりも小さいと判断した場合、次に状態別時間計測手段18Eにより計測される移動状態の時間が、標準移動時間データの値(例えば「初級」では、1(h))以上か否かを判断する(ステップS215)。
そして、休憩判断手段18Gは、ステップS215において、移動状態の時間が標準移動時間データを上回ると判断した場合、および、ステップS214において、高度移動ペースが限界ペースデータよりも小さいと判断、すなわち高度移動ペースが適正ペースデータから限界ペースデータの間であると判断した場合、移動状態の時間が限界移動時間データの値(例えば「初級」では、2(h))以上となるか否かを判断する(ステップS216)。そして、休憩判断手段18Gは、このステップS216において、移動状態の時間が限界移動時間データよりも大きいと判断した場合、休憩判断手段18Gは、ステップS212の処理を実施し、停止案内情報を生成する。
【0083】
また、ステップS215において、休憩判断手段18Gは、移動状態の時間が標準移動時間データよりも小さいと判断した場合、次に高度センサ12により検出される高度変化量が標準標高差データの値を上回るか否かを判断する(ステップS217)。
このステップS217にて、標高差(高度)変化量が標準標高差データ(例えば「初級」では100m)よりも大きいと判断した場合、および、ステップS216において、移動状態の時間が限界移動時間データよりも小さいと判断、すなわち移動状態の時間が標準移動時間データから限界移動時間データの間であると判断した場合、標高差変化量が限界標高差データ(例えば「初級」では200m)以上となるか否かを判断する(ステップS218)。このステップS218において、標高差変化量が限界標高差データよりも大きいと判断された場合、ステップS212の処理により、休憩判断手段18Gは、停止案内情報を生成する。
【0084】
一方、ステップS218において、標高差変化量が限界標高差データよりも小さい場合、すなわち標高差変化量が標準標高差データから限界標高差データの間の値である場合、休憩案内情報として、移動速度の低下を促す旨のペースダウン案内情報を生成する(ステップS219)。
また、ステップS217において、標高差変化量が標準標高差データよりも小さい場合、休憩案内情報は生成しない。
【0085】
すなわち、ステップS205の休憩判断処理では、休憩判断手段18Gは、高度移動ペース、移動状態の時間、および標高差変化量のうち少なくともいずれか1つでも危険性が増大する限界値を超えた場合、および自己位置が休憩地点に到達した場合に、停止案内情報を生成する。また、休憩判断手段18Gは、高度移動ペース、移動状態の時間、および標高差変化量が限界値を超えない場合であっても、これらのうちいずれか1つでも標準値を超える場合に、ペースダウン案内情報を生成する。そして、休憩判断手段18Gは、高度移動ペース、移動状態の時間、および標高差変化量の全てが所定の標準値を下回る場合に、休憩案内情報を生成しない。
【0086】
図12に戻って、上記のようなステップS205の休憩判断処理の後、CPU18は、このステップS205により休憩案内情報が生成されたか否かを判断する(ステップS206)。そして、このステップS206において、休憩案内情報が生成されたと判断した場合、この休憩案内情報を報知制御手段15に出力する。これにより、表示制御部151は、表示部3に、図7または図8に示すような休憩案内画像を表示させる制御をし、音声制御部152は、音声により休憩案内情報、もしくは表示部3の確認を促す旨のビープ音などを出力する(ステップS207)。
また、現在位置測位手段13により測位される自己位置が一定期間移動しなかった場合、登山状態判別手段18Dは、休憩状態であると判断する。この場合、状態別時間計測手段18Eは、移動状態の時間をリセットし、すなわち移動状態の時間を「0」に設定する。そして、登山状態判別手段18Dにより、休憩状態から移動状態に移行したと判別されると、再び移動状態の時間のカウントを開始する。
さらに、登山状態判別手段18Dは、移動状態から休憩状態に移行したと判断すると、標高差変化量の値をリセットし、標高差変化量を「0」にする。
【0087】
このステップS207の後、およびステップS206において休憩案内情報がないと判断され場合、例えば、図1に示すように、表示部3の情報表示領域34に登山ルートにおける標高差変化を示す画像を表示させる。
この後、現在位置測位手段13にて測位される自己位置がルートデータ210上のゴール地点に到達したか否かを判断する(ステップS208)。このステップS208にて、自己位置がゴール地点に到達したと判断した場合、一連の休憩案内報知処理を終了させる。一方、ステップS208において、ゴール地点に到達していないと判断した場合は、ステップS203の処理に戻り、再び、自己位置および高度の測定を開始する。
【0088】
(復帰案内処理)
次に、腕時計1による復帰案内処理について説明する。図14は、腕時計の復帰案内処理を示すフローチャートである。
腕時計1は、上記登山支援処理中において、登山者が間違ったルートに侵入した際に復帰案内処理を実施する。
これには、図14に示すように、CPU18は、現在位置測位手段13により自己位置を測位させ、センサ信号認識手段18Aは、図4に示すように、現在位置測位手段13にて測位された自己位置をルートデータ210上にプロットする(ステップS301)。これにより、CPU18は、時系列に沿って登山者が移動した移動ルートをトレースすることができる。
【0089】
また、ルートずれ演算手段18Hは、ルートデータ210上にプロットされた自己位置から登山ルートまでの最短直線距離をずれ量として演算する(ステップS302)。
そして、誤ルート判断手段18Iは、この演算されたずれ量が所定距離以内、例えば10m以内であるか否かを判断する(ステップS303)。
このステップS303において、ずれ量が10m以内である場合、自己位置が正規の登山ルートから大きく逸れていないと判断し、通常の登山支援処理に戻る。すなわち、ステップS301の処理に戻る。
【0090】
一方、ステップS303において、誤ルート判断手段18Iは、ずれ量が10m以上である場合、正規の登山ルートから逸れた誤ルートに侵入したと判断する。
この場合、ルートずれ開始位置認識手段18Jは、最後に正規の登山ルート上にプロットされた自己位置を検索し、この地点とルートずれ開始地点Bとして認識する。そして、トレース手段18Kは、時系列に沿ってプロットされた過去の自己位置を辿り、ルートずれ開始地点Bから現在の自己位置Cまで誤ルートDをトレースする(ステップS304)。
【0091】
また、センサ信号認識手段18Aは、方位センサ11から入力される信号に基づいて、現在の方位、すなわち登山者が現在向いている方位を認識する(ステップS305)。
そして、方向演算手段18Lは、ステップS304の処理にて得られる誤ルートDの経路と、ステップS305により測定された現在の方位とに基づいて、誤ルートDに沿って正規の登山ルートに戻る復帰方向を演算する(ステップS306)。また、方向演算手段18Lは、誤ルートDに沿う現在位置Cから正規の登山ルートまでの距離(復帰距離)を演算する(ステップS307)。
【0092】
この後、方向演算手段18Lは、ステップS306にて得られる復帰方向、およびステップS307にて得られる復帰距離を復帰データとして報知制御手段15に出力する。
これにより、報知制御手段15の表示制御部151は、図9に示すように、表示部3の情報表示領域34に例えば、「BACK」といった復帰方向に沿った復帰を促す旨の画像、復帰方向を示す矢印、および復帰距離を表示させる制御をする。また、音声制御部152は、スピーカ6から音声により、復帰を促す旨の音声放置情報や、表示部3を確認する旨のビープ音などを出力させる(ステップS308)。
【0093】
その後、CPU18は、現在位置測位手段13にて測位される自己位置に基づいて、自己位置が登山ルート上に戻ったか否かを判断する(ステップS309)。このステップS309において、自己位置がまだ登山ルート上に戻っていないと判断した場合は、引き続き自己位置の測位を実施し(ステップS310)、ステップS304の処理を実施する。すなわち、自己位置が正規の登山ルートに復帰するまで、ステップS304〜ステップS308の復帰案内の処理を実施し続ける。また、ステップS309にて、自己位置が登山ルートに戻ったと判断された場合、一連の復帰案内処理を終了させ、再び、通常の登山支援処理を実施する。
【0094】
〔本実施の形態の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態の腕時計1は、ルートデータ210および休憩条件データ220が関連付けられて構成される登山ルートデータ200が記憶される記憶手段17と、自己位置を測位する現在位置測位手段13と、現在の高度を測定する高度センサ12と、を備えている。そして、腕時計1の休憩判断手段18Gは、自己位置や現在の高度に基づいて、休憩条件データに記録される休憩条件が満たされたか否かを判断し、休憩条件が満たされている場合に、報知手段19により休憩案内情報を報知させる。
このため、登山ルートデータの休憩条件データとして、登山者の登山スキルに応じた休憩条件が記録されていれば、登山者の登山レベルに応じた休憩案内情報を報知することができる。すなわち、登山者のスキルに応じて、自動的に休憩を案内することができる。これにより、例えば登山者が登山に夢中であり、スキルに見合わない無理な登山などをした場合でも、休憩案内情報を報知することにより、登山者は、登山ペースを容易に維持することが可能となり、登山者の安全な登山を支援することができる。
また、腕時計1の記憶手段17に予め記憶されている登山ルートデータ200と、現在位置測位手段13や高度センサ12により実測される自己位置および高度に基づいて、休憩案内情報を報知するため、例えば無線通信などを利用することがなく、無線電波が届きにくい山域においても、適切な休憩案内情報の報知を実施できる。
【0095】
また、休憩条件データ220として休憩地点データ221を有し、休憩判断手段18Gは、自己位置が休憩地点データ221にて示される地点に達した場合に、停止案内情報を報知制御手段15に出力する。
このため、登山者は、予め設定された安全上休憩することが好ましいとされる地点にて、安全に休憩を取ることができる。また、登山者が予め設定した休憩地点を通り過ぎて無理な登山を実施することを防止でき、安全な登山を支援することができる。
【0096】
休憩条件データ220の登山スキルデータ222には、標準ペースデータ225が記録されている。また、移動ペース演算手段18Fは、測位される高度変化量から単位時間当たりの高度移動ペースを演算する。そして、休憩判断手段18Gは、標準ペースデータ225と高度移動ペースとを比較して、高度移動ペースが大きい場合に、休憩案内情報を報知制御手段15に出力する。
このため、予め設定された休憩地点だけでなく、登山者の移動ペースが登山レベルに対して速すぎるオーバーペースの場合にも、休憩案内情報を報知することができる。したがって、登山者が無理なオーバーペースで登山を試みることを防止でき、登山者の安全な登山をより適切に支援することができる。
【0097】
また、休憩判断手段18Gは、演算された高度移動ペースと、適正ペースデータおよび限界移ペースデータとを比較する。そして、休憩判断手段18Gは、高度移動ペースが適正ペースデータから限界ペースデータの間である場合は、休憩案内情報として、ペースダウンを促す旨のペースダウン案内情報を出力する。一方、休憩判断手段18Gは、高度移動ペースが限界ペースデータ以上である場合は、休憩案内情報として、停止案内情報を出力する。
このため、移動を停止して休憩を促す停止案内情報だけでなく、標準より僅かに移動ペースが速い程度の場合には、ペースダウンを促すペースダウン案内情報を報知することで、移動速度を低下させる旨の報知を行うこともできる。これにより、登山者の登山ペースに対応して、より適切な休憩案内情報を報知することができるとともに、登山ペースの維持支援も実施することができる。
【0098】
また、登山状態判別手段18Dは、移動状態であるか休憩状態であるかを判別し、状態別時間計測手段18Eは、登山状態判別手段18Dにより、休憩状態から移動状態に移行したと判別されると、この移行タイミングからの移動状態の移動時間を計測する。また、休憩条件データ220の登山スキルデータ222には、登山レベルに対応した標準的な移動状態の時間に関する標準移動時間データ、および危険性が増大するとされる限界移動時間データが記録されている。そして、休憩判断手段18Gは、状態別時間計測手段18Eにより計測される移動状態の時間が、標準移動時間データから限界移動時間データの間である場合、ペースダウン案内情報を報知し、移動状態の時間が限界移動時間データ以上である場合に、停止案内情報を報知制御手段15に出力する。
すなわち、長時間の連続した登山は、体力を著しく消耗し、危険が増大するが、上記構成により、移動状態の時間をも監視し、時間に応じて停止案内情報またはペースダウン案内情報を報知することができる。したがって、長時間の連続した登山による危険性を回避可能な休憩案内情報を報知することができ、より安全な登山支援を実施することができる。
【0099】
さらには、休憩条件データ220の登山スキルデータ222には、登山レベルに対応した標準的な高度変化量である標準標高差データ、および危険性が増大するとされる限界値である限界標高差データが記録されており、休憩判断手段18Gは、前回の休憩時からの高度センサにより計測される高度の変化量が、標準標高差データから限界標高差データまでの間であれば、ペースダウン案内情報を、限界標高差データ以上であれば停止案内情報を報知制御手段15に出力する。
すなわち、急激な標高差の変化は、例えば高山病などが発症した場合に体により多くの負担を掛ける原因となり危険性が伴う。これに対して、上記構成により、登山レベルに応じた高度変化量に抑えるように、休憩案内情報を報知し、登山者の登山ペースを支援することで、例えば高山病の重症化などを未然に防ぐことができる。したがって、登山者にとって、より安全な登山支援を実施することができる。
【0100】
そして、ルートずれ演算手段18Hにより自己位置と正規の登山ルートとのずれ量を演算し、誤ルート判断手段は、このずれ量が10m以上である場合い正規の登山ルートから逸れた誤ルートに侵入したと判断する。この場合、方向演算手段18Lは、方位センサ11により検出される現在の方位に基づいて、正規の登山ルートに戻る復帰方向を演算し、この復帰方向を報知させる。
このため、登山者が誤ったルートに入った場合でも、復帰方向を報知して正規の登山ルートに戻るよう案内することができる。したがって、誤ルートに進入した場合に、復帰方向を知らせることで、登山者の遭難や事故を未然に防ぐことができ、登山者のより安全な登山を支援することができる。
【0101】
また、この時、ルートずれ開始位置認識手段18Jにより、最後に登山ルート上にプロットされた自己位置であるずれ開始地点を認識し、トレース手段により、このずれ開始地点から現在の自己位置までの誤ルートをトレースする。そして、方向演算手段は、この誤ルートに沿って正規な登山ルートに戻る方向を演算する。
すなわち、現在位置から最短で登山ルートに戻る復帰方向を報知した場合、現在位置と登山ルートとの間に、例えば崖や沼など危険が存在し、復帰が困難な場合がある。これに対して、上記構成では、すでに進んできた誤ルートに沿って登山ルートに戻る復帰方向を報知するため、上述したような危険がなく、安全に登山ルートに復帰する復帰方向を演算することができる。
さらに、方向演算手段18Lは、誤ルートに沿って登山ルートに戻る復帰距離を演算し、この復帰距離を報知制御手段15に出力して報知させる。このため、登山者は、登山ルートからどれだけの距離離れたかを容易に確認することができる。
【0102】
そして、報知制御手段15の表示制御部151は、上記のような復帰データに基づいて、表示部3に復帰方向を示す矢印を表示させる。このため、矢印により復帰方向が明確に示されているため、例えば音声などで報知する場合に比べて、より確実に登山ルートへの復帰方向を報知することができる。したがって、復帰ルートから逸れて別の誤ルートに侵入してしまうなどの事故や遭難を防止でき、より安全な登山支援を実施することができる。
【0103】
また、報知手段19は、音声制御部152により制御されるスピーカ6を備え、休憩案内情報や復帰データを音声により報知する。これにより、例えば登山者が腕時計1の表示部3を見ていない場合でも、音声により休憩案内情報や復帰データを登山者に報知することができる。したがって、休憩案内情報や復帰データをより確実に登山者に伝達することができ、登山者の安全な登山を支援することができる。
【0104】
また、データ生成装置300の休憩条件設定手段353は、スキル読込手段により読み込まれた設定スキルデータに基づいて、休憩条件データ220を生成する。そして、登山ルートデータ生成手段354は、ルート読込手段351により読み込まれたルートデータ210と、前記生成された休憩条件データ220とを関連付けた登山ルートデータ200を生成する。
この時、休憩条件設定手段353は、予め記憶部320に記憶された休憩設定データから読み込まれた設定スキルデータに対応したデータを認識し、休憩条件データを生成する。このため、登山レベルを指定するだけで、容易に登山ルートデータ200を生成することができる。
【0105】
〔本発明の変形例〕
以上、本発明の実施態様について具体的に示したが、前記各実施形態に限らず、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変形が可能である。
【0106】
例えば、上記実施の形態において、登山支援情報処理装置を備えた腕時計1を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、携帯電話や、携帯型ゲーム機器など、登山時に携帯可能な電子機器に本発明の登山支援情報処理装置を組み込むことができる。携帯電話や携帯型ゲーム機器などのように、比較的大きい画面サイズの表示部3を有するものであれば、さらに詳細な休憩案内情報や、登山ルートを表示部に表示させてもよい。
【0107】
上記実施の形態では、方位センサ11により方位を測定し、方向演算手段18Lは、ルートデータ210上にトレースされた誤ルートDと、測定された方位と、に基づいて、復帰方向を演算する構成としたが、これに限定されない。例えば、現在位置測位手段13により測位された自己位置の移動状況から登山者の進行方向を認識し、この認識された進行方向と、ルートデータ210上にトレースされた誤ルートDと、により復帰方向を演算する構成としてもよい。また、腕時計1に加速度センサを設け、現在位置測位手段13により測位される自己位置と、加速度センサにより検出される加速度および加速度の向きにより、登山者の進行方向を演算し、この進行方向と誤ルートDにより復帰方向を演算する構成などとしてもよい。
【0108】
高度センサ12は、海抜からの絶対高度である標高を測定する構成としたが、これに限定されない。例えば、上述したように、登山開始地点を標準点とし、この標準点からの相対高度を検出する構成としてもよい。
【0109】
また、高度検出手段として、高度センサ12により高度を検出する構成としたが、これに限定されない。例えば、ルートデータ210内の各地点に標高データを埋め込み、現在位置測位手段13にて測位される自己位置とルートデータ210とにより標高を求める構成などとしてもよく、別途、例えば図15に示すような、各地点とその標高とが記録される標高ルートデータを記憶手段に記憶させ、現在位置測位手段13により測位される自己位置と標高ルートデータとに基づいて、現在位置の標高を求める構成としてもよい。
【0110】
標高ルートデータ210は、登山経路における各地点の標高を示す経路データである。なお、図4において、標高ルートデータ210が、画像として形成される例を示すが、ルート上の各地点における各位置(例えば経緯度)と、これらの経緯度に対する標高がテーブルデータ形式にて記録されるデータ構造としてもよい。
【0111】
レベル設定手段により安全レベルの設定を実施し、この安全レベルの値により、休憩判断手段18Gにより判断される休憩条件データを変化させたが、これに限定しない。例えば、レベル設定手段が設けられず、予め設定された休憩条件データに基づいて、休憩案内情報を報知する構成などとしてもよい。この場合、登山スキルデータとして、登山レベルデータ223毎に標準標高差データ224、標準ペースデータ25、および標準移動時間データ226を分けて記録する必要がなく、例えば、予め設定された標準ペースデータ225、限界ペースデータ、および標準移動時間データ226のみが記録されるデータ構成などとすることができ、登山ルートデータ200のデータサイズをより小さくすることができ、またCPU18の処理負荷の軽減や、これに伴う省電力化を実現できる。
【0112】
休憩地点データとして、休憩地点の位置情報が記録される例を示したが、さらに山小屋などの休憩施設の位置を報知する構成などとしてもよい。
【0113】
ルートずれ演算手段18Hは、自己位置から登山ルートまでの最短距離を演算する構成としたが、これに限定されない。例えば、ルートずれ演算手段18Hは、ルートずれ開始位置認識手段により認識されたずれ開始地点からのずれ量を演算する構成としてもよい。すなわち、上記実施の形態では、登山者が登山ルートに沿う側道に誤って入った場合でも、登山ルートを進んでいると判断してしまい、誤ルートであると気づいた際にこの誤ルートの逆方向に沿って長い距離を移動して正規の登山ルートに復帰しなければいけない場合がある。これに対して、上記のように、誤ルートの開始地点からの距離を計測し、この距離が所定閾値以上となった際に、誤ルートであると判断する構成にすることで、例えば登山者が誤ルート上を所定距離進んだ場合に、早めに誤ルートである旨を報知することができ、登山ルートから大きく進路が逸れてしまうことを防止できる。
【0114】
また、方向演算手段18Lは、誤ルートに沿って逆方向となる復帰方向を演算したが、これに限定されず、例えば、登山ルートへの最短距離を演算する構成としてもよい。
【0115】
データ生成装置300は、記憶部320に予め記憶されているテーブルデータから、設定された設定スキルデータに対応する休憩設定データを読み込み、休憩条件データを生成したが、これに限定されない。例えば、休憩条件設定手段353は、利用者の入力操作により入力設定される単位時間当たりの標高差や、単位時間当たりの移動差に基づいて、休憩地点データを生成するものであってもよい。登山スキルデータ222において、利用者の入力操作により入力設定される値により、直接、登山スキルデータ222が設定される構成としてもよい。
【0116】
ステップS201の初期設定において、登山レベルデータ223が「上級」である標準標高差データ224、標準ペースデータ225、標準移動時間データ226を限界標高差データ、限界ペースデータ、限界移動時間データとしたが、これに限らず、例えば登山レベルデータ223が「中級」である標準標高差データ224、標準ペースデータ225、標準移動時間データ226を限界標高差データ、限界ペースデータ、限界移動時間データとしてもよい。また、登山スキルデータ222に、それぞれの登山レベルデータ223に対応する限界標高差データ、限界ペースデータ、限界移動時間データが記録される構成としてもよい。
【0117】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの構成などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係る一実施の形態の登山支援処理装置としての腕時計の外観図である。
【図2】本実施の形態のモジュールの概略構成を示すブロック図である。
【図3】登山ルートデータの概略構成を示す図である。
【図4】ルートデータの一例を示す図である。
【図5】登山スキルデータの一例を示す図である。
【図6】CPUにより処理が実施される各種プログラムの構成を示す図である。
【図7】停止案内情報を表示する表示部の一例を示す図である。
【図8】ペースダウン案内情報を表示する表示部の一例を示す図である。
【図9】復帰データを表示する表示部の一例を示す図である。
【図10】本実施の形態のデータ生成装置の概略構成を示す図である。
【図11】データ生成装置における登山ルートデータの生成処理のフローチャートである。
【図12】腕時計の登山支援処理における休憩案内情報報知処理を示すフローチャートである。
【図13】図12における休憩判断処理を示すフローチャートである。
【図14】腕時計の復帰案内処理を示すフローチャートである。
【図15】他の実施の形態における標高ルートデータの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
1…登山支援情報処理装置としての腕時計、3…表示部、6…音声出力部としてのスピーカ、11…方位検出手段としての方位センサ、12…高度検出手段としての高度センサ、13…現在位置測位手段としてのGPS、15…報知手段を構成する報知制御手段、17…記憶手段、18D…登山状態判別手段、18E…移動状態計時手段としての状態別時間計測手段、18F…移動ペース演算手段、18G…休憩判断手段、18H…ルートずれ演算手段、18I…誤ルート判断手段、18J…ルートずれ開始位置認識手段、18K…トレース手段、18L…方向演算手段、19…報知手段、200…登山ルートデータ、210…ルートデータ、220…休憩条件データ、221…休憩地点データ、222…登山スキルデータ、223…登山レベルデータ、225…標準ペースデータ、226…標準移動時間データ、300…データ生成装置、351…ルート読込手段、352…スキル読込手段、353…休憩条件設定手段、354…登山ルートデータ生成手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登山ルートおよび登山ルートにおける休憩条件を有する登山ルートデータを記憶する記憶手段と、
自己の現在位置を測位する現在位置測位手段と、
自己の現在位置における高度を検出する高度検出手段と、
前記登山ルートデータ、前記現在位置測位手段により測位される自己位置、および前記高度検出手段により検出される高度に基づいて、前記休憩条件を満たすか否かを判断する休憩判断手段と、
前記休憩判断手段により、前記休憩条件を満たすと判断された場合に、休憩を促す旨の休憩案内情報を報知する報知手段と、
を具備することを特徴とする登山支援情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の登山支援情報処理装置であって、
前記登山ルートデータは、前記休憩条件として休憩位置を有し、
前記休憩判断手段は、前記現在位置測位手段により測位される自己位置が、前記休憩位置に達すると、前記休憩条件を満たすと判断する
ことを特徴とする登山支援情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の登山支援情報処理装置であって、
所定時間毎に前記高度検出手段により計測される高度に基づいて、単位時間当たりの移動標高差を演算する移動ペース演算手段を備え、
前記登山ルートデータは、前記休憩条件として、登山レベルに応じた単位時間当たりの移動標高差が記録される標準移動ペースデータを有し、
前記休憩判断手段は、前記移動ペース演算手段により演算される単位時間当たりの移動標高差と、前記標準移動ペースデータとを比較する
ことを特徴とする登山支援情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の登山支援情報処理装置であって、
前記標準移動ペースデータは、登山レベルに応じた適正な単位時間当たりの移動標高差である適正ペースデータと、登山レベルに対して限界となる単位時間当たりの移動標高差である限界ペースデータと、を備え、
前記報知手段は、
前記休憩判断手段により、前記移動ペース演算手段により演算される単位時間当たりの移動標高差が、前記限界ペースデータよりも小さく、かつ前記移動標高差が前記適正ペースデータよりも大きい場合に、移動ペースを下げる旨の休憩案内情報を報知し、
前記休憩判断手段により、前記移動ペース演算手段により演算される単位時間当たりの移動標高差が、前記限界ペースデータよりも大きい場合に、移動を停止して休憩する旨の休憩案内情報を報知する
ことを特徴とする登山支援情報処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の登山支援情報処理装置であって、
前記現在位置測位手段により測位される前記自己位置が、所定時間以上同一箇所から移動しない休憩状態であるか、前記自己位置が所定時間以内に他の位置に移動する移動状態であるかを判別する登山状態判別手段と、
前記登山状態判別手段により前記休憩状態から前記移動状態に変わったと判別されるタイミングからの、前記移動状態の時間を計測する移動状態計時手段と、
を備え、
前記登山ルートデータは、前記休憩条件として、登山レベルに応じた標準移動時間データを有し、
前記休憩判断手段は、前記移動状態計時手段により計測される前記移動状態の時間が、前記標準移動時間データにより規定される時間に達した場合に、前記休憩条件を満たすと判断する
ことを特徴とした登山支援情報処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の登山支援情報処理装置であって、
自己位置における方位を検出する方位検出手段と、
前記自己位置測位手段により検出される自己位置と、前記記憶手段に記憶される前記登山ルートデータの前記登山ルートとを比較して、前記自己位置と前記登山ルートとがずれているか否かを判断する誤ルート判断手段と、
前記誤ルート判断手段により、前記自己位置が前記登山ルートからずれている場合に、前記方位検出手段にて検出される方位に基づいて、前記自己位置から前記登山ルートに向かう復帰方向を求める方向演算手段と、を備え、
前記報知手段は、前記誤ルート判断手段により、前記自己位置が前記登山ルートからずれている場合に、前記方向演算手段により求められる前記復帰方向を報知する
ことを特徴とする登山支援情報処置装置。
【請求項7】
請求項6に記載の登山支援情報処理装置であって、
前記自己位置の前記登山ルートからのずれ量を演算するルートずれ演算手段を備え、
前記誤ルート判断手段は、前記ずれ量が所定の閾値以上となった場合に、前記自己位置と前記登山ルートとがずれていると判断する
ことを特徴とする登山支援情報処理装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の登山支援情報処理装置であって、
前記現在位置測位手段は、所定時間間隔で自己位置を測位するとともに、測位した自己位置を記憶手段に記憶して蓄積させ、
当該登山支援情報処理装置は、
前記自己位置と前記登山ルートとが最後に重なるずれ開始位置を認識するルートずれ開始位置認識手段と、
前記記憶手段に蓄積記憶される複数の前記自己位置から前記ずれ開始位置から現在の自己位置までの移動ルートをトレースするトレース手段と、
を備え、
前記報知手段は、前記トレース手段によりトレースされた移動ルートから、現在の自己位置から前記ずれ開始位置までの前記復帰方向を報知する
ことを特徴とする登山支援情報処理装置。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の登山支援情報処理装置であって、
前記報知手段は、画像を表示させる表示部を備え、前記復帰方向を表示方向に表示させる
ことを特徴とする登山支援情報処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の登山支援情報処理装置であって、
前記報知手段は、音声により休憩案内情報を報知する音声出力部を有する
ことを特徴とする登山支援情報処理装置。
【請求項11】
登山ルートおよび登山ルートにおける休憩条件を有する登山ルートデータを記憶する記憶手段と、自己の現在位置を測位する現在位置測位手段と、自己の現在位置における高度を検出する高度検出手段と、前記登山ルートデータ、前記現在位置測位手段により測位される自己位置、および前記高度検出手段により検出される高度に基づいて、前記休憩条件を満たすか否かを判断する休憩判断手段と、前記休憩判断手段により、前記休憩条件を満たすと判断された場合に、休憩を促す旨の休憩案内情報を報知する報知手段と、を具備した登山支援情報処置装置における前記記憶手段に記憶される前記登山ルートデータを生成するデータ生成装置であって、
登山ルートを読み込むルート読込手段と、
登山対象者の登山スキルデータを読み込むスキル読込手段と、
前記登山スキルデータに基づいて、前記登山対象者の休憩条件を設定する休憩条件設定手段と、
前記登山ルートと、前記休憩条件とを関連付けた登山ルートデータを生成する登山ルートデータ生成手段と、
を具備したことを特徴とするデータ生成装置。
【請求項12】
登山ルートおよび登山ルートにおける休憩条件を有する登山ルートデータを記憶する記憶手段と、自己の現在位置を測位する現在位置測位手段と、自己の現在位置における高度を検出する高度検出手段と、を備えた登山支援情報処理装置における登山支援情報処理方法であって、
前記登山ルートデータ、前記現在位置測位手段により測位される自己位置、および前記高度検出手段により検出される高度に基づいて、前記休憩条件を満たすか否かを判断し、
前記休憩判断手段により、前記休憩条件を満たすと判断された場合に、休憩を促す旨の休憩案内情報を報知する
ことを特徴とする登山支援情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−97243(P2010−97243A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264875(P2008−264875)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】