白檀油およびその使用
本明細書において、白檀油の組成物およびそのような組成物を製造および使用する方法が提供される。一実施形態において、対象の非皮膚癌を治療する方法が提供され、この方法は、非皮膚癌を有する対象に白檀油を含む有効量の組成物を投与することを含む。別の実施形態において、上記白檀油は、サンタルム・アルブムまたはサンタルム・スピカトゥム、またはその組み合わせからである。さらに別の実施形態において、上記非皮膚癌は、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、白血病、肝臓癌、膵癌、結腸癌、および中枢神経系癌からなる群から選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月1日に出願された米国特許仮出願第61/309,183号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
癌は、正常な細胞の境界、および正常な細胞の成長速度を超えて成長する異常細胞の急速な生成を特徴とする。癌は、2008年に世界で760万の死亡を占めた主要な死因である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において、白檀油の治療上有効な組成物およびその組成物を含むキットが提供される。また、組成物の作成方法および使用方法が提供される。より具体的には、本明細書において、対象の非皮膚癌を治療する方法であって、有効量の白檀油を含む組成物を非皮膚癌を有する対象に投与することを含む方法が提供される。また、対象の光線性角化症の扁平上皮癌(SCC)への進行を阻止する方法であって、有効量の白檀油を含む組成物を光線性角化症を有する対象に投与することを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】C8161ヒトメラノーマ細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図2】C8161ヒトメラノーマ細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図3】FADUヒト頭頸部癌細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図4】FADUヒト頭頸部癌細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図5】HELAヒト子宮頚癌細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図6】HELAヒト子宮頚癌細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図7】MIA PACA−2ヒト膵癌細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図8】MIA PACA−2ヒト膵癌細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図9】SNU−398ヒト肝細胞癌(肝臓)細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図10】SNU−398ヒト肝細胞癌(肝臓)細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図11】ヒトMRC5細胞(正常なヒト胎児の肺線維芽)細胞における20時間後のオーストラリア白檀油および東インド白檀油の毒性の作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
白檀は、精油を含有するビャクダン(Santalum)属の様々な香木の名称である。この木材は、重く、色が黄色であるほか、きめが細かく、他の多くの芳香性木材と異なり、数十年間その芳香を保持する。本物の白檀は、中規模の半寄生樹木である。本方法において、ビャクダン属の任意の成員からの油が使用され得る。例えば、東インド白檀(サンタルム・アルブム(Santalum album))または西オーストラリア白檀(サンタルム・スピカトゥム(Santalum spicatum))を、これらに限定されないが、本明細書において述べる方法に使用することができる。この属種の他のいくつかの成員もまた香木を有し、インド、オーストラリア、インドネシア、および太平洋諸島にわたって見出される。
【0006】
サンタルム・アルブム、すなわち東インド白檀は、現在自然界で危急種であり、結果的に非常に高価である。インドおよびネパールの白檀木はすべて政府所有であり、野生のものからの採取は厳しく管理されている。商業的なサンタルム・アルブムの農園が、この15年で西オーストラリアに設立され、持続可能で一貫した油の供給が確立された。サンタルム・エッリプティクム(Santalum ellipticum)、S.フレュキネティアヌム(S.freycinetianum)、およびハワイ白檀であるS.パニクラトゥム(S.paniculatum)も使用することができる。
【0007】
上に述べたように、サンタルム・スピカトゥム(西オーストラリア白檀)を使用することができる。その精油において構成する化学物質の濃度は、他のビャクダン属種、例えば、S.アルブムのものと異なる。本明細書に述べる方法、組成物、およびキットに使用することができるオーストラリアに産出される他の種類は、S.アクミナトゥム(S.acuminatum)、S.ランケオラトゥム(S.lanceolatum)、S.ムッラヤヌム(S.murrayanum)、S.オブトゥシフォリウム(S.obtusifolium)およびS.アルブムを含むが、これらに限定されない。
【0008】
S.スピカトゥムおよびS.アルブム種は、それらの成分の違いによって反映される異なる芳香を有する。水蒸気蒸留して得たオーストラリアおよびインドの白檀油の成分の比較は、表1に提示される。成分および百分率は抽出法で変動し得る。
【表1】

【0009】
白檀から油状物を製造するにはいくつかの方法がある。一般に、水蒸気蒸留法が使用されるが、溶媒抽出法およびこれらの組み合わせも使用することができる。水蒸留は抽出の伝統的方法である。この方法によって、芳香油が産出される。粉末木材に水蒸気を通す代わりに、水蒸留器中で水に粉末を浸漬させる。下からの火で、容器は水を加熱し、水蒸気を送り出し、冷却させて、次いで、ヒドロゾルの上面から白檀油が取り出される。
【0010】
白檀精油はまた、過熱水蒸気を粉末木材に通す方法である、水蒸気蒸留によって抽出することができる。水蒸気は、木材の細胞構造中に固定された精油を放出し排出するのを助ける。次いで、水蒸気は冷却され、その結果、白檀ヒドロゾルおよび白檀精油が得られる。
【0011】
CO2超臨界抽出は、植物材料から精油(および他の成分)を抽出するための別の技法である。それは水または水蒸気を使用せず、その代わりに超臨界CO2(二酸化炭素)が溶媒として使用される。この方法によって、芳香成分を加熱しないで抽出することが可能であり、その後、CO2は蒸発によって結果として得られた抽出物から除去され、次いで、油状物は精製され濾過される。以下を参照のこと:M. J. Piggott, et al., Western Australian Sandalwood Oil:Extraction by Different Techniques and Variations of the Major Components in Different Sections of a Single Tree, Flavour and Fragrance Journal 12(1):43 − 46 (1998)(これは、参照により本明細書に組み込まれる)。高水準の芳香油を含む商業上価値のある白檀の製造は、樹木が最低限で少なくとも8年生であることを要するが、14年生以上が好ましい。オーストラリアは、現在、サンタルム・スピカトゥムの最大の生産者であり、オーストラリアは、今後数年において商業量のインド白檀を製造するであろう。
【0012】
ほとんどの樹木と異なり、白檀は、幹部をのこぎりで切り倒す代わりに、樹木全体を転覆させることにより収穫される。このように、幹および根からの価値のある木材はまた、油を得るために販売または加工することができる。樹木全体が収穫され、油製造のために使用されるということによって、製造された油を、その季節にわたり、およびある季節から別の季節まで著しく均一なものとしている。この樹木が西洋の医薬品製造に使用されることになる場合、これは重要な利点であり、季節の植物に由来する医薬品または果物、ナッツ、または葉などの他の樹木および潅木の季節の産品に比較して優れている。さらに、油の再現性の改善点は、抽出技法のいくつかが標準化されたことである。例えば、ISO 3518:2002およびISO 22769:2009参照。さらに、商業的な農園からの抽出油を使用することができるが、樹木細胞の細胞培養または発酵から油を抽出することもできる。
【0013】
本明細書に使用される場合、白檀油は、この油の国際標準化機構(ISO)規格に適合する白檀油であってもよく、したがって、S.スピカトゥムに由来する場合、20〜45%のサンタロール、S.アルブムに由来する場合、57〜79%のサンタロールを含む。しかし、この20〜45%のサンタロールおよび57〜79%のサンタロールは、純粋な油に対して、かつ、そのような油が他の賦形剤または活性成分と組み合わせる前に測定される。白檀油の効果的な調製物は、それが調製される白檀油より低い(または高い)サンタロールの濃度を有していてもよいこと、および効果的な濃度は、製剤化前にISO規格から外れた白檀油に由来してもよいことが理解される。サンタロールは、α−サンタロール(以下に示される)、β−サンタロール(以下に示される)、または他の活性なその異性体または誘導体(エステルなどの)であってもよい。
【0014】
本明細書に使用される場合、白檀油は、S.スピカトゥムに由来する場合、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%のサンタロールまたは本明細書に述べる百分率間中の任意の百分率を含むことができる。白檀油は、S.アルブムに由来する場合、少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%のサンタロールまたは本明細書に述べる百分率の間の任意の百分率を含むことができる。上に述べたように、本油は、栽培した樹木または樹木細胞の細胞培養から抽出することができる。
【0015】
本明細書に述べる方法において、白檀油は、プラスもしくはマイナス約20%、より好ましくはプラスもしくはマイナス約10%、5%、2%および1%、または本明細書に述べる百分率間中の任意の百分率の、表1に列挙された量の成分を含むことができる。組成物は、白檀油を単独で含むことができ、または薬学的に許容される賦形剤もしくは希釈剤を含むことができる。組成物はまた、白檀油に加えて他の活性成分を含むことができる。白檀油が賦形剤および/または他の活性成分と組み合わせられた場合、組成物中の白檀油の量は、組成物の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%であってもよい。
【0016】
また、白檀油の活性は、別々にまたはともに作用する表1に述べる1つ以上の成分による場合があることが理解される。したがって、主薬(複数可)の濃度を増加し、不活性成分(複数可)の濃度を低減する製剤が、本明細書に述べられる。主薬、またはその誘導体を合成したものは、白檀油の天然に存在する成分と組み合わせて、または置き換えて製剤化されてもよい。
【0017】
白檀油は、水蒸気蒸留、超臨界CO2抽出、溶媒抽出、水蒸留およびその組み合わせによって調製することができる。また、表1に識別されるような白檀油の1つ以上の活性成分を合成し、その後個々の活性成分をともに組み合わせることも可能である。
【化1】

【0018】
本明細書に使用される場合、対象という用語は、脊椎動物、より具体的には哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、人類以外の霊長動物、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類)、魚、鳥または爬虫類もしくは両生動物であってもよい。この用語は特定の年齢や性別を表わさない。したがって、オスであろうとメスであろうと、成体および新生児対象が包含されることが意図される。本明細書に使用される場合、患者または対象は交換可能に使用され、疾患または障害を有する対象を指すことができる。患者または対象という用語は、ヒトおよび獣医学の対象を含む。
【0019】
対象の癌を治療する本方法は、白檀油を含む有効量の組成物を非皮膚癌を有する対象に投与することを含む。任意の非皮膚癌を、本明細書に述べる方法によって治療することができる。これらは、膵癌、乳癌、脳腫瘍(例えば、神経膠芽細胞腫)、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、中枢神経系癌、卵巣癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、腎癌、副腎癌、肝臓癌、および白血病を含むが、これらに限定されない。癌は、充実性新生物(例えば、肉腫または癌腫)、または造血系に作用する癌の増殖(例えば、リンパ腫または白血病)であってもよい。対象の非皮膚癌を治療する本方法は、有効量の白檀油を対象に投与することを含み、ここで対象の癌は子宮頚癌ではない。
【0020】
本明細書に使用される場合、治療、治療する、治療すること、または、寛解という用語は、疾患もしくは症状の作用、または疾患もしくは症状の症候を低減する方法を指す。したがって、開示された方法において、治療とは、確立した疾患もしくは症状、または疾患もしくは症状の症候の重症度において、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の低減または回復を指すことができる。例えば、癌を治療する方法が、白檀油を含む組成物を与えられなかった対照の対象と比較して、対象のその疾患の1つ以上の症候の10%の低減がある場合、治療であると考えられる。したがって、この低減は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、または対照水準と比較して、10〜100の任意の百分率の低減であってもよい。治療が、疾患または症状の、疾患、症状または症候の治癒や完全な除去を必ずしも指さないことが理解される。
【0021】
さらに、有効量の白檀油を対象に投与することを含む、対象の光線性角化症の扁平上皮癌(SCC)への進行を阻止する方法が提供される。本明細書に使用される場合、「阻止する」、「阻止すること」または「阻止」は、光線性角化症の扁平皮膚細胞癌への進行の開始または発生を、排除、遅延、回避、除去、妨害、停止、または妨げる方法を意味する。例えば、開示された方法は、SCCの阻止のための組成物を与えられなかった光線性角化症を有する対照の対象と比較したとき、対象のSCCの開始または光線性角化症のSCCへの進行において約10%の低減または遅れがある場合、阻止であると考えられる。したがって、この低減は、対照の対象と比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはその間の任意の率の低減であってもよい。
【0022】
白檀油に含まれる成分の作用様式はアポトーシスであってもよい。したがって、白檀油、または本明細書の成分を、化学療法剤と組み合わせることは有利であり得る。これらの化学療法剤は、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール塩酸塩、アルクニン(AcrQnine)、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン(Ambomycin)、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、ビサントレン塩酸塩、ビスナフィド(Bisnafide)ジメシラート、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルマスティン、カルビシン塩酸塩、カルゼルシン、セデフィンゴール、クロランブシル、シロルマイシン(Cirolemycin)、シスプラチン、クラドリビン、クリスナトルメシラート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、デザグアニンメシラート、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキセート、エフロミチン塩酸塩、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロメート、エピプロピジン、エピルビシン、エピルビシン塩酸塩、エルブロゾール、エソルビシン塩酸塩、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エチルヨード化油I131、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、ファドロゾール塩酸塩、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、金Au198、ヒドロキシ尿素、イダルビシン塩酸塩、イホマイド、イルモホシン、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ−Ia、インターフェロンガンマ−Ib、イプロプラチン、イリノテカン塩酸塩、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、リアロゾール塩酸塩、ロメテレキソールナトリウム、ロムスチン、ロソキサントロン塩酸塩、マソプロコール、メイタンシン、メクロレタミン塩酸塩、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メトプリン(Metoprine)、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、ミトマルシン、マイトマイシンC、ミトスペル、ミトタン、ミトキサントロン、ミトキサントロン塩酸塩、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、ピロキサントロン塩酸塩、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、ピューロマイシン、ピューロマイシン塩酸塩、ピラゾフリン、リボプリン、ログレトイミド、サフィンゴール(Safmgol)、サフィンゴール塩酸塩、セムスチン、シムトラゼン、スパルホセートナトリウム、スパルソマイシン、スピロゲルマニウム塩酸塩、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウムSr89、スロフェヌル、タリソマイシン、タキサン、タキソイド、テコガランナトリウム、テガフール、テロキサントロン塩酸塩、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、トポテカン塩酸塩、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキセート、グロクロン酸トリメトレキセート、トリプトレリン、ツブロゾール塩酸塩、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシナート、硫酸ビンロイロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、ゾルビシン塩酸塩を含むが、これらに限定されない。化学療法剤との白檀油組成物の組み合わせは、一般にどちらか薬剤だけに必要とされる投薬量を減少させる。これは、そのような減少が、白檀油組成物または化学療法剤いずれかの、より高用量によって引き起こされる毒性を同時に低減するので、非常に望ましい。
【0023】
白檀油またはその成分は、医薬品組成物において提供することができる。意図する投与様式に応じて、医薬品組成物は、好ましくは正確な投薬量の単回投与に適切な単位剤形で、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、散剤、液剤、または懸濁剤などの、固体、半固体または液体の剤形の形態であってもよい。組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせた白檀油の治療有効量を含有し、さらに、他の医薬剤、医薬品薬剤、担体、または希釈剤を含有してもよい。薬学的に許容される担体は、受け入れがたい生物学的作用を引き起こさず、医薬品組成物に含まれている他の成分と有害な方式で相互作用せずに、選択された化合物と共に個体に投与することができる、生物学上またはその他の点で必ずしも望ましいわけではない物質を意味する。
【0024】
本明細書において開示される組成物を投与するための様々な送達システムは公知であり、リポソーム、微粒子またはマイクロカプセル中のカプセル化を含む。導入の方法は、粘膜、局所用、皮内、鞘内、気管内、ネブライザー経由、吸入経由、小胞内、筋肉内、腹腔内、膣、直腸、静脈内、皮下、鼻腔内、および経口経路を含むが、これらに限定されない。投与の組み合わせも使用することができる。例えば、組成物は、鼻腔内かつ静脈内で対象に送達することができる。別の例において、組成物は、経口でかつ静脈内で対象に投与することができる。化合物は、何らかの都合のよい経路、例えば、上皮の壁または皮膚と粘膜の壁(例えば、口腔粘膜、直腸、膣および腸粘膜など)を通る吸収による浸剤または大量注射によって投与することができ、他の生物学上活性な薬剤と共に投与することができる。投与は全身的または局所的であってもよい。医薬品組成物は、治療を必要とする領域、例えば、局所適用または腫瘍への直接注射などの局所注射によって、局所的に送達することができる。送達の様式は、癌の種類を含む多くの因子に基づいて経験的に決定される。
【0025】
本明細書に開示される投与方法のすべてについて、各方法は、場合によって、癌を有する対象を診断する、または扁平上皮癌を予防もしくは阻止する必要がある対象を診断するステップをさらに含む。本方法はまた、場合によって、化学療法剤と組み合わせた白檀油組成物の有効性の評価、および治療レジメンの修正を含むことができる。
【0026】
癌を治療するのに有効な治療剤の量は、癌の性質およびその関連する症候に依存し得、標準の臨床技法によって決定することができる。したがって、これらの量は癌の種類に依存して変化する。さらに、インビトロアッセイを最適な投薬量範囲を特定するために使用することができる。製剤において使用される正確な用量はまた、投与の経路、および疾患または障害の重篤度に依存し、従事者および各対象の状況の判断に従って決定されるべきである。例えば、対象に投与される組成物中の白檀油の濃度は、約0.5マイクロモル〜約300マイクロモルである。他の例において、白檀油の濃度は、約1マイクロモル〜約150マイクロモル、約5マイクロモル〜約150マイクロモル、約10マイクロモル〜約150マイクロモル、約20マイクロモル〜約150マイクロモル、約30マイクロモル〜約150マイクロモル、約40マイクロモル〜約150マイクロモル、約50マイクロモル〜約150マイクロモル、60マイクロモル〜約150マイクロモル、70マイクロモル〜約150マイクロモル、80マイクロモル〜約150マイクロモル、90マイクロモル〜約150マイクロモル、100マイクロモル〜150マイクロモル、125マイクロモル〜150マイクロモル、1マイクロモル〜約300マイクロモル、約5マイクロモル〜約300マイクロモル、約10マイクロモル〜約300マイクロモル、約20マイクロモル〜約300マイクロモル、約30マイクロモル〜約300マイクロモル、約40マイクロモル〜約300マイクロモル、約50マイクロモル〜約300マイクロモル、60マイクロモル〜約300マイクロモル、70マイクロモル〜約300マイクロモル、80マイクロモル〜約300マイクロモル、90マイクロモル〜約300マイクロモル、100マイクロモル〜300マイクロモル、125マイクロモル〜300マイクロモル、150マイクロモル〜300マイクロモル、175マイクロモル〜300マイクロモル、200マイクロモル〜300マイクロモル、225マイクロモル〜300マイクロモル、250マイクロモル〜300マイクロモル、または275マイクロモル〜300マイクロモルであってもよい。白檀油の濃度がマイクロモルで表わされる場合、これは白檀油中のアルファ−サンタロールのマイクロモルであることが理解される。例えば、白檀油の濃度は、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、60、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300マイクロモルまたは本明細書に述べる濃度の間の任意の濃度であってもよい。組成物中の白檀の濃度はまた、約.0002%〜約0.1%白檀油(w/w)であってもよい。例えば、組成物中の白檀の濃度は、約.0002%〜約.005%、または約.0002%〜約.01%、または約.0002%〜約.05%、または約.0002%〜約0.1%であってもよい。白檀油の濃度はまた、約.0002%、.0003%、.0004%、.0005%、.0006%、.0007%、.0008%、.0009%、001%、.002%、.003%、.004%、.005%、.006%、.007%、.008%、.009%、.01%、.02%、.03%、.04%、.05%、.06%、.07%、.08%、.09%、0.1%または本明細書に述べる百分率の間の任意の百分率であってもよい。複数の投与および/または投与量も、使用することができる。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験システムに由来する用量応答曲線から推定することができる。
【0027】
本明細書に述べる送達メカニズムのいずれについても、当業者は、標的器官での白檀油の濃度が約0.5のマイクロモル〜約300マイクロモルの間になるように組成物を製剤化することができる。この範囲は、標的器官での濃度が、送達メカニズムおよび標的器官に依存して高くまたは低くなり得ないように限定することが意図されている。製剤および送達の経路に応じて、標的器官でこの濃度を達成するために、投薬量は、約0.01mg/kg〜約100mg/kgの範囲であってもよい。例えば、投薬量は、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、約1mg/kg〜約5mg/kg、約1mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約25mg/kg、約1mg/kg〜約50mg/kg、約1mg/kg〜100mg/kgまたは本明細書に述べる投薬量の間の他の任意の投薬量の範囲であってもよい。
【0028】
本開示はまた、医薬品組成物の1つ以上の成分を詰めた1つ以上の容器を含む医薬品パックまたはキットを提供する。場合によって、キット中のそのような容器(複数可)に関係するのは、例えば、注射器、吸入器などを含む投与の様式である。
【0029】
本明細書に使用される場合、担体という用語は、任意の賦形剤、希釈剤、増量剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、脂質、安定剤、または医薬品製剤において使用するための当業界で周知の他の材料を包含する。組成物中に使用される担体の選択肢は、組成物の意図する投与経路に依存する。これらの材料を含有する薬学的に許容される担体および製剤の調製は、例えば、 Remington’s Pharmaceutical Sciences, 21st Edition, ed.University of the Sciences in Philadelphia, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia Pa., 2005に記載されている。生理学的に許容される担体の例は、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、および他の有機酸を含む緩衝剤などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10未満の残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;および/またはTWEEN(登録商標)(ICI, Inc.; Bridgewater, New Jersey)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(商標)(BASF; Florham Park, NJ)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0030】
非経口的注射に適切な白檀油を含有する組成物は、生理学的に許容される無菌の水性または非水性の溶液、分散液、懸濁剤または乳剤、および無菌の注射溶液または分散液への再構成用の無菌散剤を含んでもよい。非経口的注射用の組成物はまた、リポソーム、乳剤または共溶媒を含有することができる。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど、その適切な混合物、植物油(オリーブ油など)およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。適当な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆の使用によって、分散液の場合、必要とされる粒子の大きさの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0031】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および調剤用薬剤(dispensing agents)などの補助剤を含んでいてもよい。微生物の作用の阻止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって促進することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなども含まれていてよい。注射可能な医薬品形態の長期間の吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0032】
本明細書に記載される化合物またはその誘導体の経口投与のための固体剤は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤を含む。そのような固体剤において、本明細書に記載される化合物またはその誘導体は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸カルシウム、または(a)例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸のようなフィラーまたは増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩(alignates)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴムのような結合剤、(c)例えば、グリセロールのような湿潤剤、(d)例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(e)例えば、パラフィンのような溶液遅延剤、(f)例えば、第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコール、およびグリセロールモノステアレートのような湿潤剤、(h)例えば、カオリンおよびベントナイトのような吸着剤、ならびに(i)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムのような滑沢剤、またはその混合物などの少なくとも1つの不活性の通常の賦形剤(または担体)と混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合には、剤形がまた緩衝剤を含んでいてもよい。硬質または軟質のカプセル剤などの固体剤は、経口投与が望ましい膀胱癌または他の癌の治療において使用することができる。これらのカプセル剤用の投薬量範囲は上に述べた。
【0033】
同様の種類の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中のフィラーとして使用されてもよい。
【0034】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤などの固体剤は、腸溶コーティングおよび当業界で公知の他のものなどの被覆および外皮を用いて調製することができる。それらは乳白剤を含んでよく、腸管の特定の部分で活性化合物(複数可)を遅れて放出するような組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例は、高分子物質およびワックスである。活性化合物はまた、適当であれば、1つ以上の上述の賦形剤を用いる微視的な被包性の形態であってもよい。
【0035】
本明細書に記載される化合物またはその誘導体の経口投与のための液体剤は、薬学的に許容される乳剤、溶液、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤は、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤などの当業界で一般に使用される不活性希釈剤を含んでいてもよく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物などが挙げられる。
【0036】
リポソームおよびナノ粒子もまた、ある器官への組成物の部位特異的な送達のために、例えば、肝臓への送達のために使用することができる。鼻または肺癌の治療用の組成物は、エアゾールまたは他の吸入可能な形態に製剤化することができる。
【0037】
本明細書において、範囲は、1つの「約」特定の値からかつ「約」別の特定の値まで、1つの「約」特定の値から、または、「約」別の特定の値まで、として提示することができる。そのような範囲が表わされた場合、この範囲は、1つの特定の値からかつ別の特定の値まで、1つの特定の値から、または、別の特定の値まで、を含む。同様に、先行詞「約」の使用によって、値が近似値として提示された場合、特定の値が開示されていることが理解されよう。
【0038】
この出願の全体にわたって、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物全体の開示は、参照により本出願に組み込まれる。
【0039】
多くの態様が記載されている。それにもかかわらず、様々な変更が行われ得ることが理解される。さらに、1つの特徴またはステップが記載される場合、たとえ組み合わせが明示的に述べられなくても、それは本明細書における他の任意の特徴またはステップと組み合わせることができる。したがって、他の態様は請求の範囲内にある。
実施例
【0040】
本明細書に記載される実験のために、2種の白檀油抽出物を調べた。油は水蒸気蒸留によって調製し、表1に示される成分を含んでいた。
乳癌
【0041】
乳癌における活性の解析のために、いくつかの細胞株を、上記の2種の白檀油の腫瘍破壊活性に対してアッセイした。スクリーニングは、NCI/NIHのDevelopmental Therapeutics Programによって開発されたものに基づくプロトコルを使用して、Southern Research Institute (Birmingham AL)によって行われた。手短に言えば、癌スクリーニングパネルのヒト腫瘍細胞株を、10%ウシ胎児血清および2mML−グルタミンを含有するRPMI 1640培地(SIGMA ALDRICH(登録商標))で生長させる。
【0042】
十分な細胞が繁殖したら、すべての付着性株の7枚のプレートに、合計体積50μLに5,000細胞/ウェルで接種し、すべての懸濁性株の7枚のプレートに、合計体積50μLに5,000〜20,000細胞/ウェル(細胞株に応じて)で接種した。プレートは、湿らせた細胞培養インキュベーター内に終夜置いて付着細胞を付着させた。
【0043】
50μLの油溶液を様々な濃度で、50μLの細胞および培地を既に含有する適したウェルに添加し、必要とされる化合物の最終濃度に細胞を晒した。50μLの培地を培地および細胞対照ウェルに添加し、50μLの適したミックスを、適したプレートのビヒクル対照ウェルに添加した。薬物曝露と同時に、CellTiter−Glo(登録商標)Assay(CTG)アッセイを0日プレートに行い、0日カウントを得た。細胞は化合物に72時間晒す。72時間の曝露後、CTGを使用して残りのすべてのプレートをアッセイした。
【0044】
各油の成長阻害活性の程度は、IC50として報告され、これは、細胞を含むが油試料は含まない対照ウェルに観察されたものの50%である、72時間での細胞成長をもたらす油の名目濃度である。結果は下記に提示される。
【表2】

【0045】
ヒト乳癌に由来する6つの細胞株に対する強力な活性が示された。これは、多くのヒト乳癌に対する広範囲の活性を示す。特に、6つの乳癌細胞株すべての成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、S.スピカトゥム油よりおよそ2〜3倍の活性であった。
肺癌
【0046】
肺癌細胞株を実施例1に記載された同じ実験計画法を使用して調べた。結果は以下に提示される。
【表3】

【0047】
これらの実験は、ヒト非小細胞性肺癌に由来する、9つの細胞株に対する強力な活性を示した。これは、多くの肺癌に対する広範囲の活性を示す。特に、9つの肺癌細胞株すべての成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、S.スピカトゥム油よりおよそ1.5〜4倍の活性であった。
前立腺および卵巣癌
【0048】
前立腺および卵巣癌の細胞株は、上記と同じ実験計画法を使用して調べた。結果は以下に提示される。
【表4】

【0049】
ヒト卵巣および前立腺癌に由来する、8つの細胞株に対する強力な活性が示された。これは、多くのヒト生殖腺の癌に対する広範囲の活性を示す。特に、8つの癌細胞株すべての成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、S.スピカトゥム油よりおよそ1.5〜3倍の活性であった。
腎癌
【0050】
腎癌細胞株は上記の実験計画法を使用して調べた。結果は以下に提示される。
【表5】

【0051】
ヒト腎癌に由来する8つの細胞株に対する強力な活性が示された。これは、多くの肝臓癌に対する広範囲の活性を示す。特に、9つの腎癌細胞株すべての成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、S.スピカトゥム油よりおよそ2〜4倍の活性であった。
他の癌
【0052】
他の様々な癌細胞株も上記の実験計画法を使用して調べた。結果は以下に提示される。
【表6】

【0053】
ヒト骨髄、CNS、大腸および皮膚に由来する様々な細胞株に対する強力な活性が示された。これは、種々様々の癌に対する広範囲の活性を示す。特に、すべての癌細胞株の成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、すべての株においてS.スピカトゥム油より活性であった(白血病約1〜3倍、大腸約1.5〜5倍、CNS株約2.5〜4倍、およびメラノーマ株約1.5〜4倍)。
【0054】
要約すると、調べたすべての細胞株が両方の油によってその成長を阻害され、S.アルバム油はS.スピカトゥム油より活性であった。
用量応答曲線
【0055】
投与量を得るためにいくつかの細胞株を72時間以上にわたって検討した。本油を、SNU−398肝細胞癌(HCC)、FaDu頭頚部癌、HeLa子宮頚癌、MiaPaCa−2膵癌、およびC8161メラノーマ細胞株に対して評価した。72時間の処置後の細胞生存率を、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイによって測定した。
【0056】
より詳しくは、癌細胞株はAmerican Type Culture Collection(ATCC)(Manassas, VA)から得られ、適当な成長培地に維持した。細胞は、5%の二酸化炭素を含む、湿らせた雰囲気中で37℃で繁殖させた。50%の集密度に成長したら、細胞は細胞培養培地へ再懸濁した。処置1日前(0日)、細胞をMTTアッセイ用の96ウェルプレートのウェルへ平板培養する。
【0057】
細胞生存率はMTTアッセイを使用して決定した。この比色定量手順は、ミトコンドリアによるMTT試薬のフォルマザンへの変換を測定する。フォルマザン生成は570nmでの分光光度測定によって定量し、これは生存する細胞の数に比例する。細胞を培養し、異なる濃度の薬剤(複数可)で72時間処置した。処置後、50μlのMTTを各ウェルに添加し、37℃で1〜3時間インキュベートした。各ウェルを吸引し200μlのDMSOを各ウェルに添加し、フォルマザンを溶解した。吸光度(OD)値を570nmの単一波長でμQuantマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【0058】
細胞を72時間白檀油で処置した。これらの調査からの結果を、各細胞株において、IC50値(細胞生存率を各薬剤のビヒクル対照の50パーセント低減する薬物の濃度)を計算するために使用した。統計的な比較(t検定、(不対、両側))または分散分析(多数の群中)を、各群の間で行った。差異は、p<0.05で有意であると考えられる。結果は図1〜10に示される。手短に言えば、NCI−60ヒト腫瘍細胞パネルにおいても見られたように、5つの細胞株すべての成長は両方の油によって阻害され、S.アルブム油はS.スピカトゥム油より活性であった。
【0059】
上に述べた結果は、白檀油が様々な固体腫瘍および他の癌を表す細胞株に対する全般的な適用可能性を有することを示す。したがって、本明細書に示されるように、白檀油は広範囲の腫瘍破壊剤である。
【0060】
マウスモデルにおけるインビボ調査は、単純な、十分に特性評価された共溶媒(Cremophorなどの)で製剤化された油を使用し、油の能力が、全身的投与後にヒト腫瘍異種移植片の成長を阻害することを示す。リポソーム、ナノ粒子およびマイクロカプセル化された油に基づく製剤は、全身的送達ビヒクルとしてインビボで評価することができる。
【0061】
例えば、以下のプロトコル(これに限定されないが)が使用される(Jacob et al. Gene Ther. Mol. Biol. 8: 213−219 (2004)を参照)。手短に言えば、腫瘍細胞は完全培地で成長させる。細胞が、収穫前に3〜4時間で70〜80%である場合、培地は新鮮な培地と置き換え、死んで分離した細胞を除去する。培地を除去し、細胞はPBSで洗浄する。最小量のトリプシン−EDTAを添加する。細胞を分散させ、完全培地を添加する(10:1〜5:1)。細胞は、直ちに1500rpm以下で2〜5分間、遠心分離機にかけ、氷の上に細胞を保存する前にPBSで2度洗浄する。細胞を血球計数器を使用してカウントする。死細胞を排除するためにトリパンブルー染色を使用する。細胞をトリパンブルー溶液(トリパンブルーはPBS中で0.8mMに希釈したものである。)と1:1混合する。生存細胞はトリパンブルーを排除するが、死細胞はトリパンブルーを取り込むことによって青に染まる。300μlが1注射当たりの細胞の必要とする数を含むような体積に、細胞を懸濁する。通常、約3.0x106細胞が、1注射当たり必要である。
【0062】
4〜6週齢であるマウスに、約3.0x106細胞を下横腹中へ皮下注射する(s.c.)。白檀を含む組成物は、腫瘍が約50〜60mm3の平均体積に到達する約1〜3週間後に、本明細書に述べる任意の投与方法によって投与する。腫瘍直径はデジタルノギスで測定し、mm3での腫瘍体積は、式:体積=(幅2)x長さ/2によって計算される。白檀を含む組成物の投与の後、期待される腫瘍の大きさの減少は、上記のようにデジタルノギスで測定することができる。症候の低減もまた評価することができる。
毒性
【0063】
図11は、白檀油が、約0.1%(w/w)未満の白檀油の濃度でMRC5細胞に有毒でないことを示す。図11において、白檀油の投与後20時間でヒト肺細胞株MRC5において、明るく着色したウェルは細胞死を示さず、より黒っぽいウェルは細胞死を示す。図11はまた、白檀油が他の精油ほど有毒でないことを示す。例えば、白檀油は、ヒトMRC5細胞において、約0.1%(w/w)未満の濃度で、シナモン、レモングラスまたは丁子芽油ほど有毒ではない。また、ヒトMRC5細胞において、白檀油は、約0.05%(w/w)および約0.05%〜約0.1%(w/w)の間の濃度で、ケイ皮油ほど有毒ではない。白檀油は、最も抗腫瘍形成性の薬剤より広い、癌の治療のための治療濃度域を有する。したがって、白檀油は、他のほとんどの抗腫瘍形成性の薬剤より高い高用量でさえ、正常細胞に対する有害作用がほとんどまたは全く無く癌を治療するために使用することができる。反対に、白檀油は、他のほとんどの抗腫瘍形成性の薬剤より低い低用量でさえ、治療効果がある。
【0064】
安全に関する追加の情報を得るために、マウスに白檀油の量を増加して投薬し、LD50を決定することができる(Opdyke et al., Food and Cosmetics Toxicology 989−990 (1974); およびBar and Griepentrog, Medizin Ernhar 244 (1967)を参照)。エイムス試験法は、標準プロトコルに従って突然変異誘発性を決定することができる(McCann et al. “Detection of carcinogens as mutagens in the Salmonella/microsome test: Assay of 300 chemicals.” Proc. Natl. Acad. Sci.USA 72(12): 5135−5139 (1975)を参照)。
光線性角化症の扁平上皮癌への進行の阻止
【0065】
光線性角化症の損傷(複数可)を有する対照に、白檀油を含む局所用製剤を投与する。次いで、損傷を、時間をあけて、視覚的に観察し、および/または生検を実施して、対照組織試料と比較して、損傷(複数可)が扁平上皮癌に進行しているか判定する。組織試料は、製剤と接触させなかった光線性角化症外傷からの対照組織試料、または正常な皮膚からの組織試料と比較することができる。代替として、損傷は生検を実施し、標準方法に従って分類することができる(例えば、Krouse et al.“Progression of skin lesions from normal skin to squamous cell carcinoma,” Anal. Quant. Cytol,.Histol. 31(1):17−25(2009)を参照)。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月1日に出願された米国特許仮出願第61/309,183号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
癌は、正常な細胞の境界、および正常な細胞の成長速度を超えて成長する異常細胞の急速な生成を特徴とする。癌は、2008年に世界で760万の死亡を占めた主要な死因である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において、白檀油の治療上有効な組成物およびその組成物を含むキットが提供される。また、組成物の作成方法および使用方法が提供される。より具体的には、本明細書において、対象の非皮膚癌を治療する方法であって、有効量の白檀油を含む組成物を非皮膚癌を有する対象に投与することを含む方法が提供される。また、対象の光線性角化症の扁平上皮癌(SCC)への進行を阻止する方法であって、有効量の白檀油を含む組成物を光線性角化症を有する対象に投与することを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】C8161ヒトメラノーマ細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図2】C8161ヒトメラノーマ細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図3】FADUヒト頭頸部癌細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図4】FADUヒト頭頸部癌細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図5】HELAヒト子宮頚癌細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図6】HELAヒト子宮頚癌細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図7】MIA PACA−2ヒト膵癌細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図8】MIA PACA−2ヒト膵癌細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図9】SNU−398ヒト肝細胞癌(肝臓)細胞株に対するオーストラリア白檀油の作用を示す図である。
【図10】SNU−398ヒト肝細胞癌(肝臓)細胞株に対する東インド白檀油の作用を示す図である。
【図11】ヒトMRC5細胞(正常なヒト胎児の肺線維芽)細胞における20時間後のオーストラリア白檀油および東インド白檀油の毒性の作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
白檀は、精油を含有するビャクダン(Santalum)属の様々な香木の名称である。この木材は、重く、色が黄色であるほか、きめが細かく、他の多くの芳香性木材と異なり、数十年間その芳香を保持する。本物の白檀は、中規模の半寄生樹木である。本方法において、ビャクダン属の任意の成員からの油が使用され得る。例えば、東インド白檀(サンタルム・アルブム(Santalum album))または西オーストラリア白檀(サンタルム・スピカトゥム(Santalum spicatum))を、これらに限定されないが、本明細書において述べる方法に使用することができる。この属種の他のいくつかの成員もまた香木を有し、インド、オーストラリア、インドネシア、および太平洋諸島にわたって見出される。
【0006】
サンタルム・アルブム、すなわち東インド白檀は、現在自然界で危急種であり、結果的に非常に高価である。インドおよびネパールの白檀木はすべて政府所有であり、野生のものからの採取は厳しく管理されている。商業的なサンタルム・アルブムの農園が、この15年で西オーストラリアに設立され、持続可能で一貫した油の供給が確立された。サンタルム・エッリプティクム(Santalum ellipticum)、S.フレュキネティアヌム(S.freycinetianum)、およびハワイ白檀であるS.パニクラトゥム(S.paniculatum)も使用することができる。
【0007】
上に述べたように、サンタルム・スピカトゥム(西オーストラリア白檀)を使用することができる。その精油において構成する化学物質の濃度は、他のビャクダン属種、例えば、S.アルブムのものと異なる。本明細書に述べる方法、組成物、およびキットに使用することができるオーストラリアに産出される他の種類は、S.アクミナトゥム(S.acuminatum)、S.ランケオラトゥム(S.lanceolatum)、S.ムッラヤヌム(S.murrayanum)、S.オブトゥシフォリウム(S.obtusifolium)およびS.アルブムを含むが、これらに限定されない。
【0008】
S.スピカトゥムおよびS.アルブム種は、それらの成分の違いによって反映される異なる芳香を有する。水蒸気蒸留して得たオーストラリアおよびインドの白檀油の成分の比較は、表1に提示される。成分および百分率は抽出法で変動し得る。
【表1】

【0009】
白檀から油状物を製造するにはいくつかの方法がある。一般に、水蒸気蒸留法が使用されるが、溶媒抽出法およびこれらの組み合わせも使用することができる。水蒸留は抽出の伝統的方法である。この方法によって、芳香油が産出される。粉末木材に水蒸気を通す代わりに、水蒸留器中で水に粉末を浸漬させる。下からの火で、容器は水を加熱し、水蒸気を送り出し、冷却させて、次いで、ヒドロゾルの上面から白檀油が取り出される。
【0010】
白檀精油はまた、過熱水蒸気を粉末木材に通す方法である、水蒸気蒸留によって抽出することができる。水蒸気は、木材の細胞構造中に固定された精油を放出し排出するのを助ける。次いで、水蒸気は冷却され、その結果、白檀ヒドロゾルおよび白檀精油が得られる。
【0011】
CO2超臨界抽出は、植物材料から精油(および他の成分)を抽出するための別の技法である。それは水または水蒸気を使用せず、その代わりに超臨界CO2(二酸化炭素)が溶媒として使用される。この方法によって、芳香成分を加熱しないで抽出することが可能であり、その後、CO2は蒸発によって結果として得られた抽出物から除去され、次いで、油状物は精製され濾過される。以下を参照のこと:M. J. Piggott, et al., Western Australian Sandalwood Oil:Extraction by Different Techniques and Variations of the Major Components in Different Sections of a Single Tree, Flavour and Fragrance Journal 12(1):43 − 46 (1998)(これは、参照により本明細書に組み込まれる)。高水準の芳香油を含む商業上価値のある白檀の製造は、樹木が最低限で少なくとも8年生であることを要するが、14年生以上が好ましい。オーストラリアは、現在、サンタルム・スピカトゥムの最大の生産者であり、オーストラリアは、今後数年において商業量のインド白檀を製造するであろう。
【0012】
ほとんどの樹木と異なり、白檀は、幹部をのこぎりで切り倒す代わりに、樹木全体を転覆させることにより収穫される。このように、幹および根からの価値のある木材はまた、油を得るために販売または加工することができる。樹木全体が収穫され、油製造のために使用されるということによって、製造された油を、その季節にわたり、およびある季節から別の季節まで著しく均一なものとしている。この樹木が西洋の医薬品製造に使用されることになる場合、これは重要な利点であり、季節の植物に由来する医薬品または果物、ナッツ、または葉などの他の樹木および潅木の季節の産品に比較して優れている。さらに、油の再現性の改善点は、抽出技法のいくつかが標準化されたことである。例えば、ISO 3518:2002およびISO 22769:2009参照。さらに、商業的な農園からの抽出油を使用することができるが、樹木細胞の細胞培養または発酵から油を抽出することもできる。
【0013】
本明細書に使用される場合、白檀油は、この油の国際標準化機構(ISO)規格に適合する白檀油であってもよく、したがって、S.スピカトゥムに由来する場合、20〜45%のサンタロール、S.アルブムに由来する場合、57〜79%のサンタロールを含む。しかし、この20〜45%のサンタロールおよび57〜79%のサンタロールは、純粋な油に対して、かつ、そのような油が他の賦形剤または活性成分と組み合わせる前に測定される。白檀油の効果的な調製物は、それが調製される白檀油より低い(または高い)サンタロールの濃度を有していてもよいこと、および効果的な濃度は、製剤化前にISO規格から外れた白檀油に由来してもよいことが理解される。サンタロールは、α−サンタロール(以下に示される)、β−サンタロール(以下に示される)、または他の活性なその異性体または誘導体(エステルなどの)であってもよい。
【0014】
本明細書に使用される場合、白檀油は、S.スピカトゥムに由来する場合、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%のサンタロールまたは本明細書に述べる百分率間中の任意の百分率を含むことができる。白檀油は、S.アルブムに由来する場合、少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%のサンタロールまたは本明細書に述べる百分率の間の任意の百分率を含むことができる。上に述べたように、本油は、栽培した樹木または樹木細胞の細胞培養から抽出することができる。
【0015】
本明細書に述べる方法において、白檀油は、プラスもしくはマイナス約20%、より好ましくはプラスもしくはマイナス約10%、5%、2%および1%、または本明細書に述べる百分率間中の任意の百分率の、表1に列挙された量の成分を含むことができる。組成物は、白檀油を単独で含むことができ、または薬学的に許容される賦形剤もしくは希釈剤を含むことができる。組成物はまた、白檀油に加えて他の活性成分を含むことができる。白檀油が賦形剤および/または他の活性成分と組み合わせられた場合、組成物中の白檀油の量は、組成物の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%であってもよい。
【0016】
また、白檀油の活性は、別々にまたはともに作用する表1に述べる1つ以上の成分による場合があることが理解される。したがって、主薬(複数可)の濃度を増加し、不活性成分(複数可)の濃度を低減する製剤が、本明細書に述べられる。主薬、またはその誘導体を合成したものは、白檀油の天然に存在する成分と組み合わせて、または置き換えて製剤化されてもよい。
【0017】
白檀油は、水蒸気蒸留、超臨界CO2抽出、溶媒抽出、水蒸留およびその組み合わせによって調製することができる。また、表1に識別されるような白檀油の1つ以上の活性成分を合成し、その後個々の活性成分をともに組み合わせることも可能である。
【化1】

【0018】
本明細書に使用される場合、対象という用語は、脊椎動物、より具体的には哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、人類以外の霊長動物、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類)、魚、鳥または爬虫類もしくは両生動物であってもよい。この用語は特定の年齢や性別を表わさない。したがって、オスであろうとメスであろうと、成体および新生児対象が包含されることが意図される。本明細書に使用される場合、患者または対象は交換可能に使用され、疾患または障害を有する対象を指すことができる。患者または対象という用語は、ヒトおよび獣医学の対象を含む。
【0019】
対象の癌を治療する本方法は、白檀油を含む有効量の組成物を非皮膚癌を有する対象に投与することを含む。任意の非皮膚癌を、本明細書に述べる方法によって治療することができる。これらは、膵癌、乳癌、脳腫瘍(例えば、神経膠芽細胞腫)、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、中枢神経系癌、卵巣癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、腎癌、副腎癌、肝臓癌、および白血病を含むが、これらに限定されない。癌は、充実性新生物(例えば、肉腫または癌腫)、または造血系に作用する癌の増殖(例えば、リンパ腫または白血病)であってもよい。対象の非皮膚癌を治療する本方法は、有効量の白檀油を対象に投与することを含み、ここで対象の癌は子宮頚癌ではない。
【0020】
本明細書に使用される場合、治療、治療する、治療すること、または、寛解という用語は、疾患もしくは症状の作用、または疾患もしくは症状の症候を低減する方法を指す。したがって、開示された方法において、治療とは、確立した疾患もしくは症状、または疾患もしくは症状の症候の重症度において、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の低減または回復を指すことができる。例えば、癌を治療する方法が、白檀油を含む組成物を与えられなかった対照の対象と比較して、対象のその疾患の1つ以上の症候の10%の低減がある場合、治療であると考えられる。したがって、この低減は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、または対照水準と比較して、10〜100の任意の百分率の低減であってもよい。治療が、疾患または症状の、疾患、症状または症候の治癒や完全な除去を必ずしも指さないことが理解される。
【0021】
さらに、有効量の白檀油を対象に投与することを含む、対象の光線性角化症の扁平上皮癌(SCC)への進行を阻止する方法が提供される。本明細書に使用される場合、「阻止する」、「阻止すること」または「阻止」は、光線性角化症の扁平皮膚細胞癌への進行の開始または発生を、排除、遅延、回避、除去、妨害、停止、または妨げる方法を意味する。例えば、開示された方法は、SCCの阻止のための組成物を与えられなかった光線性角化症を有する対照の対象と比較したとき、対象のSCCの開始または光線性角化症のSCCへの進行において約10%の低減または遅れがある場合、阻止であると考えられる。したがって、この低減は、対照の対象と比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはその間の任意の率の低減であってもよい。
【0022】
白檀油に含まれる成分の作用様式はアポトーシスであってもよい。したがって、白檀油、または本明細書の成分を、化学療法剤と組み合わせることは有利であり得る。これらの化学療法剤は、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール塩酸塩、アルクニン(AcrQnine)、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン(Ambomycin)、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、ビサントレン塩酸塩、ビスナフィド(Bisnafide)ジメシラート、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルマスティン、カルビシン塩酸塩、カルゼルシン、セデフィンゴール、クロランブシル、シロルマイシン(Cirolemycin)、シスプラチン、クラドリビン、クリスナトルメシラート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、デザグアニンメシラート、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキセート、エフロミチン塩酸塩、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロメート、エピプロピジン、エピルビシン、エピルビシン塩酸塩、エルブロゾール、エソルビシン塩酸塩、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エチルヨード化油I131、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、ファドロゾール塩酸塩、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、金Au198、ヒドロキシ尿素、イダルビシン塩酸塩、イホマイド、イルモホシン、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ−Ia、インターフェロンガンマ−Ib、イプロプラチン、イリノテカン塩酸塩、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、リアロゾール塩酸塩、ロメテレキソールナトリウム、ロムスチン、ロソキサントロン塩酸塩、マソプロコール、メイタンシン、メクロレタミン塩酸塩、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メトプリン(Metoprine)、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、ミトマルシン、マイトマイシンC、ミトスペル、ミトタン、ミトキサントロン、ミトキサントロン塩酸塩、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、ピロキサントロン塩酸塩、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、ピューロマイシン、ピューロマイシン塩酸塩、ピラゾフリン、リボプリン、ログレトイミド、サフィンゴール(Safmgol)、サフィンゴール塩酸塩、セムスチン、シムトラゼン、スパルホセートナトリウム、スパルソマイシン、スピロゲルマニウム塩酸塩、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウムSr89、スロフェヌル、タリソマイシン、タキサン、タキソイド、テコガランナトリウム、テガフール、テロキサントロン塩酸塩、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、トポテカン塩酸塩、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキセート、グロクロン酸トリメトレキセート、トリプトレリン、ツブロゾール塩酸塩、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシナート、硫酸ビンロイロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、ゾルビシン塩酸塩を含むが、これらに限定されない。化学療法剤との白檀油組成物の組み合わせは、一般にどちらか薬剤だけに必要とされる投薬量を減少させる。これは、そのような減少が、白檀油組成物または化学療法剤いずれかの、より高用量によって引き起こされる毒性を同時に低減するので、非常に望ましい。
【0023】
白檀油またはその成分は、医薬品組成物において提供することができる。意図する投与様式に応じて、医薬品組成物は、好ましくは正確な投薬量の単回投与に適切な単位剤形で、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、散剤、液剤、または懸濁剤などの、固体、半固体または液体の剤形の形態であってもよい。組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせた白檀油の治療有効量を含有し、さらに、他の医薬剤、医薬品薬剤、担体、または希釈剤を含有してもよい。薬学的に許容される担体は、受け入れがたい生物学的作用を引き起こさず、医薬品組成物に含まれている他の成分と有害な方式で相互作用せずに、選択された化合物と共に個体に投与することができる、生物学上またはその他の点で必ずしも望ましいわけではない物質を意味する。
【0024】
本明細書において開示される組成物を投与するための様々な送達システムは公知であり、リポソーム、微粒子またはマイクロカプセル中のカプセル化を含む。導入の方法は、粘膜、局所用、皮内、鞘内、気管内、ネブライザー経由、吸入経由、小胞内、筋肉内、腹腔内、膣、直腸、静脈内、皮下、鼻腔内、および経口経路を含むが、これらに限定されない。投与の組み合わせも使用することができる。例えば、組成物は、鼻腔内かつ静脈内で対象に送達することができる。別の例において、組成物は、経口でかつ静脈内で対象に投与することができる。化合物は、何らかの都合のよい経路、例えば、上皮の壁または皮膚と粘膜の壁(例えば、口腔粘膜、直腸、膣および腸粘膜など)を通る吸収による浸剤または大量注射によって投与することができ、他の生物学上活性な薬剤と共に投与することができる。投与は全身的または局所的であってもよい。医薬品組成物は、治療を必要とする領域、例えば、局所適用または腫瘍への直接注射などの局所注射によって、局所的に送達することができる。送達の様式は、癌の種類を含む多くの因子に基づいて経験的に決定される。
【0025】
本明細書に開示される投与方法のすべてについて、各方法は、場合によって、癌を有する対象を診断する、または扁平上皮癌を予防もしくは阻止する必要がある対象を診断するステップをさらに含む。本方法はまた、場合によって、化学療法剤と組み合わせた白檀油組成物の有効性の評価、および治療レジメンの修正を含むことができる。
【0026】
癌を治療するのに有効な治療剤の量は、癌の性質およびその関連する症候に依存し得、標準の臨床技法によって決定することができる。したがって、これらの量は癌の種類に依存して変化する。さらに、インビトロアッセイを最適な投薬量範囲を特定するために使用することができる。製剤において使用される正確な用量はまた、投与の経路、および疾患または障害の重篤度に依存し、従事者および各対象の状況の判断に従って決定されるべきである。例えば、対象に投与される組成物中の白檀油の濃度は、約0.5マイクロモル〜約300マイクロモルである。他の例において、白檀油の濃度は、約1マイクロモル〜約150マイクロモル、約5マイクロモル〜約150マイクロモル、約10マイクロモル〜約150マイクロモル、約20マイクロモル〜約150マイクロモル、約30マイクロモル〜約150マイクロモル、約40マイクロモル〜約150マイクロモル、約50マイクロモル〜約150マイクロモル、60マイクロモル〜約150マイクロモル、70マイクロモル〜約150マイクロモル、80マイクロモル〜約150マイクロモル、90マイクロモル〜約150マイクロモル、100マイクロモル〜150マイクロモル、125マイクロモル〜150マイクロモル、1マイクロモル〜約300マイクロモル、約5マイクロモル〜約300マイクロモル、約10マイクロモル〜約300マイクロモル、約20マイクロモル〜約300マイクロモル、約30マイクロモル〜約300マイクロモル、約40マイクロモル〜約300マイクロモル、約50マイクロモル〜約300マイクロモル、60マイクロモル〜約300マイクロモル、70マイクロモル〜約300マイクロモル、80マイクロモル〜約300マイクロモル、90マイクロモル〜約300マイクロモル、100マイクロモル〜300マイクロモル、125マイクロモル〜300マイクロモル、150マイクロモル〜300マイクロモル、175マイクロモル〜300マイクロモル、200マイクロモル〜300マイクロモル、225マイクロモル〜300マイクロモル、250マイクロモル〜300マイクロモル、または275マイクロモル〜300マイクロモルであってもよい。白檀油の濃度がマイクロモルで表わされる場合、これは白檀油中のアルファ−サンタロールのマイクロモルであることが理解される。例えば、白檀油の濃度は、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、60、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300マイクロモルまたは本明細書に述べる濃度の間の任意の濃度であってもよい。組成物中の白檀の濃度はまた、約.0002%〜約0.1%白檀油(w/w)であってもよい。例えば、組成物中の白檀の濃度は、約.0002%〜約.005%、または約.0002%〜約.01%、または約.0002%〜約.05%、または約.0002%〜約0.1%であってもよい。白檀油の濃度はまた、約.0002%、.0003%、.0004%、.0005%、.0006%、.0007%、.0008%、.0009%、001%、.002%、.003%、.004%、.005%、.006%、.007%、.008%、.009%、.01%、.02%、.03%、.04%、.05%、.06%、.07%、.08%、.09%、0.1%または本明細書に述べる百分率の間の任意の百分率であってもよい。複数の投与および/または投与量も、使用することができる。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験システムに由来する用量応答曲線から推定することができる。
【0027】
本明細書に述べる送達メカニズムのいずれについても、当業者は、標的器官での白檀油の濃度が約0.5のマイクロモル〜約300マイクロモルの間になるように組成物を製剤化することができる。この範囲は、標的器官での濃度が、送達メカニズムおよび標的器官に依存して高くまたは低くなり得ないように限定することが意図されている。製剤および送達の経路に応じて、標的器官でこの濃度を達成するために、投薬量は、約0.01mg/kg〜約100mg/kgの範囲であってもよい。例えば、投薬量は、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、約1mg/kg〜約5mg/kg、約1mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約25mg/kg、約1mg/kg〜約50mg/kg、約1mg/kg〜100mg/kgまたは本明細書に述べる投薬量の間の他の任意の投薬量の範囲であってもよい。
【0028】
本開示はまた、医薬品組成物の1つ以上の成分を詰めた1つ以上の容器を含む医薬品パックまたはキットを提供する。場合によって、キット中のそのような容器(複数可)に関係するのは、例えば、注射器、吸入器などを含む投与の様式である。
【0029】
本明細書に使用される場合、担体という用語は、任意の賦形剤、希釈剤、増量剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、脂質、安定剤、または医薬品製剤において使用するための当業界で周知の他の材料を包含する。組成物中に使用される担体の選択肢は、組成物の意図する投与経路に依存する。これらの材料を含有する薬学的に許容される担体および製剤の調製は、例えば、 Remington’s Pharmaceutical Sciences, 21st Edition, ed.University of the Sciences in Philadelphia, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia Pa., 2005に記載されている。生理学的に許容される担体の例は、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、および他の有機酸を含む緩衝剤などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10未満の残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;および/またはTWEEN(登録商標)(ICI, Inc.; Bridgewater, New Jersey)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(商標)(BASF; Florham Park, NJ)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0030】
非経口的注射に適切な白檀油を含有する組成物は、生理学的に許容される無菌の水性または非水性の溶液、分散液、懸濁剤または乳剤、および無菌の注射溶液または分散液への再構成用の無菌散剤を含んでもよい。非経口的注射用の組成物はまた、リポソーム、乳剤または共溶媒を含有することができる。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど、その適切な混合物、植物油(オリーブ油など)およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。適当な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆の使用によって、分散液の場合、必要とされる粒子の大きさの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0031】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および調剤用薬剤(dispensing agents)などの補助剤を含んでいてもよい。微生物の作用の阻止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって促進することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなども含まれていてよい。注射可能な医薬品形態の長期間の吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0032】
本明細書に記載される化合物またはその誘導体の経口投与のための固体剤は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤を含む。そのような固体剤において、本明細書に記載される化合物またはその誘導体は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸カルシウム、または(a)例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸のようなフィラーまたは増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩(alignates)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴムのような結合剤、(c)例えば、グリセロールのような湿潤剤、(d)例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(e)例えば、パラフィンのような溶液遅延剤、(f)例えば、第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコール、およびグリセロールモノステアレートのような湿潤剤、(h)例えば、カオリンおよびベントナイトのような吸着剤、ならびに(i)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムのような滑沢剤、またはその混合物などの少なくとも1つの不活性の通常の賦形剤(または担体)と混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合には、剤形がまた緩衝剤を含んでいてもよい。硬質または軟質のカプセル剤などの固体剤は、経口投与が望ましい膀胱癌または他の癌の治療において使用することができる。これらのカプセル剤用の投薬量範囲は上に述べた。
【0033】
同様の種類の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中のフィラーとして使用されてもよい。
【0034】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤などの固体剤は、腸溶コーティングおよび当業界で公知の他のものなどの被覆および外皮を用いて調製することができる。それらは乳白剤を含んでよく、腸管の特定の部分で活性化合物(複数可)を遅れて放出するような組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例は、高分子物質およびワックスである。活性化合物はまた、適当であれば、1つ以上の上述の賦形剤を用いる微視的な被包性の形態であってもよい。
【0035】
本明細書に記載される化合物またはその誘導体の経口投与のための液体剤は、薬学的に許容される乳剤、溶液、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤は、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤などの当業界で一般に使用される不活性希釈剤を含んでいてもよく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物などが挙げられる。
【0036】
リポソームおよびナノ粒子もまた、ある器官への組成物の部位特異的な送達のために、例えば、肝臓への送達のために使用することができる。鼻または肺癌の治療用の組成物は、エアゾールまたは他の吸入可能な形態に製剤化することができる。
【0037】
本明細書において、範囲は、1つの「約」特定の値からかつ「約」別の特定の値まで、1つの「約」特定の値から、または、「約」別の特定の値まで、として提示することができる。そのような範囲が表わされた場合、この範囲は、1つの特定の値からかつ別の特定の値まで、1つの特定の値から、または、別の特定の値まで、を含む。同様に、先行詞「約」の使用によって、値が近似値として提示された場合、特定の値が開示されていることが理解されよう。
【0038】
この出願の全体にわたって、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物全体の開示は、参照により本出願に組み込まれる。
【0039】
多くの態様が記載されている。それにもかかわらず、様々な変更が行われ得ることが理解される。さらに、1つの特徴またはステップが記載される場合、たとえ組み合わせが明示的に述べられなくても、それは本明細書における他の任意の特徴またはステップと組み合わせることができる。したがって、他の態様は請求の範囲内にある。
実施例
【0040】
本明細書に記載される実験のために、2種の白檀油抽出物を調べた。油は水蒸気蒸留によって調製し、表1に示される成分を含んでいた。
乳癌
【0041】
乳癌における活性の解析のために、いくつかの細胞株を、上記の2種の白檀油の腫瘍破壊活性に対してアッセイした。スクリーニングは、NCI/NIHのDevelopmental Therapeutics Programによって開発されたものに基づくプロトコルを使用して、Southern Research Institute (Birmingham AL)によって行われた。手短に言えば、癌スクリーニングパネルのヒト腫瘍細胞株を、10%ウシ胎児血清および2mML−グルタミンを含有するRPMI 1640培地(SIGMA ALDRICH(登録商標))で生長させる。
【0042】
十分な細胞が繁殖したら、すべての付着性株の7枚のプレートに、合計体積50μLに5,000細胞/ウェルで接種し、すべての懸濁性株の7枚のプレートに、合計体積50μLに5,000〜20,000細胞/ウェル(細胞株に応じて)で接種した。プレートは、湿らせた細胞培養インキュベーター内に終夜置いて付着細胞を付着させた。
【0043】
50μLの油溶液を様々な濃度で、50μLの細胞および培地を既に含有する適したウェルに添加し、必要とされる化合物の最終濃度に細胞を晒した。50μLの培地を培地および細胞対照ウェルに添加し、50μLの適したミックスを、適したプレートのビヒクル対照ウェルに添加した。薬物曝露と同時に、CellTiter−Glo(登録商標)Assay(CTG)アッセイを0日プレートに行い、0日カウントを得た。細胞は化合物に72時間晒す。72時間の曝露後、CTGを使用して残りのすべてのプレートをアッセイした。
【0044】
各油の成長阻害活性の程度は、IC50として報告され、これは、細胞を含むが油試料は含まない対照ウェルに観察されたものの50%である、72時間での細胞成長をもたらす油の名目濃度である。結果は下記に提示される。
【表2】

【0045】
ヒト乳癌に由来する6つの細胞株に対する強力な活性が示された。これは、多くのヒト乳癌に対する広範囲の活性を示す。特に、6つの乳癌細胞株すべての成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、S.スピカトゥム油よりおよそ2〜3倍の活性であった。
肺癌
【0046】
肺癌細胞株を実施例1に記載された同じ実験計画法を使用して調べた。結果は以下に提示される。
【表3】

【0047】
これらの実験は、ヒト非小細胞性肺癌に由来する、9つの細胞株に対する強力な活性を示した。これは、多くの肺癌に対する広範囲の活性を示す。特に、9つの肺癌細胞株すべての成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、S.スピカトゥム油よりおよそ1.5〜4倍の活性であった。
前立腺および卵巣癌
【0048】
前立腺および卵巣癌の細胞株は、上記と同じ実験計画法を使用して調べた。結果は以下に提示される。
【表4】

【0049】
ヒト卵巣および前立腺癌に由来する、8つの細胞株に対する強力な活性が示された。これは、多くのヒト生殖腺の癌に対する広範囲の活性を示す。特に、8つの癌細胞株すべての成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、S.スピカトゥム油よりおよそ1.5〜3倍の活性であった。
腎癌
【0050】
腎癌細胞株は上記の実験計画法を使用して調べた。結果は以下に提示される。
【表5】

【0051】
ヒト腎癌に由来する8つの細胞株に対する強力な活性が示された。これは、多くの肝臓癌に対する広範囲の活性を示す。特に、9つの腎癌細胞株すべての成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、S.スピカトゥム油よりおよそ2〜4倍の活性であった。
他の癌
【0052】
他の様々な癌細胞株も上記の実験計画法を使用して調べた。結果は以下に提示される。
【表6】

【0053】
ヒト骨髄、CNS、大腸および皮膚に由来する様々な細胞株に対する強力な活性が示された。これは、種々様々の癌に対する広範囲の活性を示す。特に、すべての癌細胞株の成長が両方の油によって阻害され、S.アルバム油は、すべての株においてS.スピカトゥム油より活性であった(白血病約1〜3倍、大腸約1.5〜5倍、CNS株約2.5〜4倍、およびメラノーマ株約1.5〜4倍)。
【0054】
要約すると、調べたすべての細胞株が両方の油によってその成長を阻害され、S.アルバム油はS.スピカトゥム油より活性であった。
用量応答曲線
【0055】
投与量を得るためにいくつかの細胞株を72時間以上にわたって検討した。本油を、SNU−398肝細胞癌(HCC)、FaDu頭頚部癌、HeLa子宮頚癌、MiaPaCa−2膵癌、およびC8161メラノーマ細胞株に対して評価した。72時間の処置後の細胞生存率を、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイによって測定した。
【0056】
より詳しくは、癌細胞株はAmerican Type Culture Collection(ATCC)(Manassas, VA)から得られ、適当な成長培地に維持した。細胞は、5%の二酸化炭素を含む、湿らせた雰囲気中で37℃で繁殖させた。50%の集密度に成長したら、細胞は細胞培養培地へ再懸濁した。処置1日前(0日)、細胞をMTTアッセイ用の96ウェルプレートのウェルへ平板培養する。
【0057】
細胞生存率はMTTアッセイを使用して決定した。この比色定量手順は、ミトコンドリアによるMTT試薬のフォルマザンへの変換を測定する。フォルマザン生成は570nmでの分光光度測定によって定量し、これは生存する細胞の数に比例する。細胞を培養し、異なる濃度の薬剤(複数可)で72時間処置した。処置後、50μlのMTTを各ウェルに添加し、37℃で1〜3時間インキュベートした。各ウェルを吸引し200μlのDMSOを各ウェルに添加し、フォルマザンを溶解した。吸光度(OD)値を570nmの単一波長でμQuantマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【0058】
細胞を72時間白檀油で処置した。これらの調査からの結果を、各細胞株において、IC50値(細胞生存率を各薬剤のビヒクル対照の50パーセント低減する薬物の濃度)を計算するために使用した。統計的な比較(t検定、(不対、両側))または分散分析(多数の群中)を、各群の間で行った。差異は、p<0.05で有意であると考えられる。結果は図1〜10に示される。手短に言えば、NCI−60ヒト腫瘍細胞パネルにおいても見られたように、5つの細胞株すべての成長は両方の油によって阻害され、S.アルブム油はS.スピカトゥム油より活性であった。
【0059】
上に述べた結果は、白檀油が様々な固体腫瘍および他の癌を表す細胞株に対する全般的な適用可能性を有することを示す。したがって、本明細書に示されるように、白檀油は広範囲の腫瘍破壊剤である。
【0060】
マウスモデルにおけるインビボ調査は、単純な、十分に特性評価された共溶媒(Cremophorなどの)で製剤化された油を使用し、油の能力が、全身的投与後にヒト腫瘍異種移植片の成長を阻害することを示す。リポソーム、ナノ粒子およびマイクロカプセル化された油に基づく製剤は、全身的送達ビヒクルとしてインビボで評価することができる。
【0061】
例えば、以下のプロトコル(これに限定されないが)が使用される(Jacob et al. Gene Ther. Mol. Biol. 8: 213−219 (2004)を参照)。手短に言えば、腫瘍細胞は完全培地で成長させる。細胞が、収穫前に3〜4時間で70〜80%である場合、培地は新鮮な培地と置き換え、死んで分離した細胞を除去する。培地を除去し、細胞はPBSで洗浄する。最小量のトリプシン−EDTAを添加する。細胞を分散させ、完全培地を添加する(10:1〜5:1)。細胞は、直ちに1500rpm以下で2〜5分間、遠心分離機にかけ、氷の上に細胞を保存する前にPBSで2度洗浄する。細胞を血球計数器を使用してカウントする。死細胞を排除するためにトリパンブルー染色を使用する。細胞をトリパンブルー溶液(トリパンブルーはPBS中で0.8mMに希釈したものである。)と1:1混合する。生存細胞はトリパンブルーを排除するが、死細胞はトリパンブルーを取り込むことによって青に染まる。300μlが1注射当たりの細胞の必要とする数を含むような体積に、細胞を懸濁する。通常、約3.0x106細胞が、1注射当たり必要である。
【0062】
4〜6週齢であるマウスに、約3.0x106細胞を下横腹中へ皮下注射する(s.c.)。白檀を含む組成物は、腫瘍が約50〜60mm3の平均体積に到達する約1〜3週間後に、本明細書に述べる任意の投与方法によって投与する。腫瘍直径はデジタルノギスで測定し、mm3での腫瘍体積は、式:体積=(幅2)x長さ/2によって計算される。白檀を含む組成物の投与の後、期待される腫瘍の大きさの減少は、上記のようにデジタルノギスで測定することができる。症候の低減もまた評価することができる。
毒性
【0063】
図11は、白檀油が、約0.1%(w/w)未満の白檀油の濃度でMRC5細胞に有毒でないことを示す。図11において、白檀油の投与後20時間でヒト肺細胞株MRC5において、明るく着色したウェルは細胞死を示さず、より黒っぽいウェルは細胞死を示す。図11はまた、白檀油が他の精油ほど有毒でないことを示す。例えば、白檀油は、ヒトMRC5細胞において、約0.1%(w/w)未満の濃度で、シナモン、レモングラスまたは丁子芽油ほど有毒ではない。また、ヒトMRC5細胞において、白檀油は、約0.05%(w/w)および約0.05%〜約0.1%(w/w)の間の濃度で、ケイ皮油ほど有毒ではない。白檀油は、最も抗腫瘍形成性の薬剤より広い、癌の治療のための治療濃度域を有する。したがって、白檀油は、他のほとんどの抗腫瘍形成性の薬剤より高い高用量でさえ、正常細胞に対する有害作用がほとんどまたは全く無く癌を治療するために使用することができる。反対に、白檀油は、他のほとんどの抗腫瘍形成性の薬剤より低い低用量でさえ、治療効果がある。
【0064】
安全に関する追加の情報を得るために、マウスに白檀油の量を増加して投薬し、LD50を決定することができる(Opdyke et al., Food and Cosmetics Toxicology 989−990 (1974); およびBar and Griepentrog, Medizin Ernhar 244 (1967)を参照)。エイムス試験法は、標準プロトコルに従って突然変異誘発性を決定することができる(McCann et al. “Detection of carcinogens as mutagens in the Salmonella/microsome test: Assay of 300 chemicals.” Proc. Natl. Acad. Sci.USA 72(12): 5135−5139 (1975)を参照)。
光線性角化症の扁平上皮癌への進行の阻止
【0065】
光線性角化症の損傷(複数可)を有する対照に、白檀油を含む局所用製剤を投与する。次いで、損傷を、時間をあけて、視覚的に観察し、および/または生検を実施して、対照組織試料と比較して、損傷(複数可)が扁平上皮癌に進行しているか判定する。組織試料は、製剤と接触させなかった光線性角化症外傷からの対照組織試料、または正常な皮膚からの組織試料と比較することができる。代替として、損傷は生検を実施し、標準方法に従って分類することができる(例えば、Krouse et al.“Progression of skin lesions from normal skin to squamous cell carcinoma,” Anal. Quant. Cytol,.Histol. 31(1):17−25(2009)を参照)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の非皮膚癌を治療する方法であって、非皮膚癌を有する対象に白檀油を含む有効量の組成物を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記白檀油が、サンタルム・アルブムまたはサンタルム・スピカトゥム、またはその組み合わせからである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記白檀油がサンタルム・アルブムからである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記白檀油を含む組成物が、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記白檀油が、表1に列挙された成分の少なくとも1つまたはその誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非皮膚癌が、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、白血病、肝臓癌、膵癌、結腸癌、および中枢神経系癌からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非皮膚癌が、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、白血病、肝臓癌、膵癌、結腸癌、および中枢神経系癌からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記非皮膚癌が、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、白血病、肝臓癌、膵癌、結腸癌、および中枢神経系癌からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
光線性角化症を有する対象に白檀油を含む有効量の組成物を投与することを含む、対象の光線性角化症の扁平上皮癌(SCC)への進行を阻止する方法。
【請求項10】
前記組成物が約1〜300マイクロモルの白檀油を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が約0.0002〜0.02%(w/w)の白檀油を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、細胞においてケイ皮油の同じ濃度ほど有毒でない白檀油の濃度を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞がヒトMRC5細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記濃度が約0.0002〜0.02%(w/w)である、請求項12に記載の方法。
【請求項1】
対象の非皮膚癌を治療する方法であって、非皮膚癌を有する対象に白檀油を含む有効量の組成物を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記白檀油が、サンタルム・アルブムまたはサンタルム・スピカトゥム、またはその組み合わせからである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記白檀油がサンタルム・アルブムからである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記白檀油を含む組成物が、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記白檀油が、表1に列挙された成分の少なくとも1つまたはその誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非皮膚癌が、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、白血病、肝臓癌、膵癌、結腸癌、および中枢神経系癌からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非皮膚癌が、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、白血病、肝臓癌、膵癌、結腸癌、および中枢神経系癌からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記非皮膚癌が、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、白血病、肝臓癌、膵癌、結腸癌、および中枢神経系癌からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
光線性角化症を有する対象に白檀油を含む有効量の組成物を投与することを含む、対象の光線性角化症の扁平上皮癌(SCC)への進行を阻止する方法。
【請求項10】
前記組成物が約1〜300マイクロモルの白檀油を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が約0.0002〜0.02%(w/w)の白檀油を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、細胞においてケイ皮油の同じ濃度ほど有毒でない白檀油の濃度を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞がヒトMRC5細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記濃度が約0.0002〜0.02%(w/w)である、請求項12に記載の方法。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【公表番号】特表2013−521299(P2013−521299A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556177(P2012−556177)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/026706
【国際公開番号】WO2011/109411
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512059268)サンタリス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Santalis Pharmaceuticals, Inc.
【住所又は居所原語表記】Suite 100 12621 Silicon Drive San Antonio TEXAS 78249 USA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/026706
【国際公開番号】WO2011/109411
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512059268)サンタリス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Santalis Pharmaceuticals, Inc.
【住所又は居所原語表記】Suite 100 12621 Silicon Drive San Antonio TEXAS 78249 USA
【Fターム(参考)】
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