説明

白熱ランプ装置

【課題】 複数並列配置された白熱ランプ装置において、白熱ランプ相互のランプ離間距離を小さくした白熱ランプ装置を提供するものであり、これにより、加熱ローラの一層の細管化が図れるものである。
【解決手段】 本発明の白熱ランプ装置は、内部にフィラメント1(11,12)が配置された管状のガラスバルブ2を有する白熱ランプA,Bが、複数並列に配置されてなり、互いに並列する一対の白熱ランプの一方には、ガラスバルブ2に排気管残部21が形成され、白熱ランプの他方には、ガラスバルブ2に凹部22が形成され、一方の白熱ランプの排気管残部21が、他方の白熱ランプの凹部22に挿入されように配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式を利用した複写機、レーザプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置における、熱ローラ定着方式の加熱定着装置を構成する加熱ローラ内に配置されて当該加熱ローラの加熱源として用いられる白熱ランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から加熱ローラ内に熱源として白熱ランプを配置した構図は知られていた。
通常、加熱ローラ上を通る紙の大きさによって、例えば、A4サイズ、B4サイズなどの通紙領域が異なる場合に対応するように、或いは、スイッチ投入後、短時間で加熱ローラの表面温度を所定の温度に到達させるために光出力を大きくするために、通常、複数の白熱ランプが並列に加熱ローラ内に配置されている。
【0003】
近年、スイッチ投入後、短時間で加熱ローラの表面温度を所定の温度に到達させるためには、加熱ローラの熱容量を小さくする必要があり、具体的には、加熱ローラのローラ径を小さくしている。つまり、加熱ローラが細管化している。
【0004】
図6は、加熱ローラ内に配置される従来の白熱ランプ装置の説明図である。
外径6mmの白熱ランプを2本用いた構造であり、内部にフィラメント1が配置された管型のガラスバルブ2を有する白熱ランプAとBがあり、それぞれの排気管残部21が対向する白熱ランプのバルブ2に接するようにして、両側のシール部3をベース4で連結固定した構造である。
【0005】
このように、それぞれの排気管残部21を、内側に向けることにより、白熱ランプ装置を加熱ローラ内に挿入する時などに、作業者がガラスバルブを握っても、バルブが撓むことがなく、破損を防止できるという効果を期待できる。
また、排気管残部21が並置したガラスバルブから突出することがないので、加熱ローラの開口縁に当たる心配がなく、挿入作業の作業性が向上し、該排気管残部21が加熱ローラの開口縁に当たって白熱ランプが破損することを防止できるというものである。
【0006】
ところで、このような白熱ランプ装置によれば、それぞれの排気管残部21がバルブ2の表面から突出し、これが並置された他方のバルブに当接する状態になっているので、排気管残部21の突出長分だけ、それぞれのバルブ2が離間し、その離間分だけ近接させることができず、全体としてコンパクト化が図れないという問題がある。
【0007】
ところで最近では、加熱ローラの急速な昇温のため、更には画像形成装置全体の小型化のために、加熱ローラは一層細管化することが求められている。
これに対応するために、白熱ランプ装置のそれぞれの白熱ランプの中心軸間の距離(ランプ離間距離)Lをさらに縮める必要があるが、上記従来技術によれば排気管残部がバルブ表面から突出し、これが並置された白熱ランプのバルブに当接する構造であるため、これ以上、ランプ離間距離を縮めることができなかった。
【特許文献1】特許第3893913号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術の問題点に鑑みて、本発明では、複数並列配置された白熱ランプ装置において、該白熱ランプ相互のランプ離間距離を小さくした白熱ランプ装置を提供するものである。
これにより、加熱ローラの一層の細管化が図れるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、内部にフィラメントが配置された管状のガラスバルブを有する白熱ランプが、複数並列に配置されてなる白熱ランプ装置において、
互いに並列する一対の前記白熱ランプの一方には、ガラスバルブに排気管残部が形成され、前記白熱ランプの他方には、ガラスバルブに凹部が形成され、
前記一方の白熱ランプの排気管残部が、前記他方の白熱ランプの凹部に挿入されように配置されていることを特徴とする。
また、前記互いに並列する一対の白熱ランプは、ガラスバルブの表面同士が互いに接触するように配置されていることを特徴とする。
また、前記白熱ランプの各々には、ガラスバルブに排気管残部と凹部が形成されており、該排気管残部と凹部は、ガラスバルブの長手方向の中心線に対して、非対称の位置に形成されていることを特徴とする。
また、前記フィラメントは、発光部と非発光部を有し、前記凹部が、ガラスバルブの前記フィラメントの非発光部に対応する位置に形成されていることを特徴とする。
更には、前記フィラメントは、発光部と非発光部を有し、前記排気管残部が、ガラスバルブの前記フィラメントの非発光部に対応する位置に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の白熱ランプ装置は、並置された一方のランプのバルブの排気残部が他方のランプのバルブの凹部に挿入されるようになるので、並置されたランプ相互の距離が少なくなり、全体としてコンパクトになり、これを挿入する加熱ローラの一層の小型化が図れる。
また、排気残部が凹部内に全て挿入されることにより、ランプ相互が接触するように並置されるので、ランプ間距離が更に小さく出来る。
更に、互いの排気残部と凹部を中心線に対して非対称に設けることにより、各ランプの設定の際に、軸方向を逆に取り付けてしまうといったことが未然に防止できる。
そして、凹部をフィラメントの非発光部に対応した位置に設けることにより、発光部からの熱が凹部に直接曝されることがないので、該凹部の熱歪みによるダメージを防止できる。
同様に、排気残部をフィラメントの非発光部に対応した位置に設けることにより、発光部からの熱が排気残部に直接曝されることがないので、該排気残部の熱歪みによるダメージを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願発明の白熱ランプ装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本願発明の白熱ランプ装置の実施例の全体説明図である。
図2は、図1において左側の排気残部と凹部が嵌め込まれた部分を示す拡大図である。
図に示す実施形態においては、外径6mmの白熱ランプを2本用いた構造であり、ガラスバルブ2内に発光部11と非発光部12を有するフィラメント1が配置された白熱ランプAとBを有し、それぞれの白熱ランプは排気管残部21と、ガラスバルブ2に内部に向けて凹んだ凹部22が形成されている。
そして、白熱ランプA、Bの両側のシール部3は共通のベース4で連結固定されている。
【0012】
また、白熱ランプA、Bのフィラメント1の発光部11は、互いに重なり合わないように形成されている。
この白熱ランプ装置の例では、ガラスバルブ2の長手方向の中心線Pが加熱ローラ上を通過する紙の中心となる基準線でもあり、中心線Pを中心にして、幅狭の通紙領域aはA4サイズの通紙領域であり、幅広の通紙領域bはB4サイズの通紙領域である。
【0013】
しかして、一方の白熱ランプAの排気残部21と凹部22は、他方の白熱ランプBの凹部22と排気残部21にそれぞれ対応する位置関係で形成されていて、ランプA、Bが並置されるとき、排気残部21が凹部22内にそれぞれ挿入された状態となる。
こうすることにより、ランプ離間距離L1は、図6の従来例におけるランプ離間距離Lより小さなものとすることができる。
【0014】
また、図1の例では、白熱ランプA、Bの排気管残部21と凹部22は、ガラスバルブの長手方向の中心線Pに対して、非対称の位置に形成されている。
こうすることによる利点は以下の通りである。
加熱ローラに用いられる白熱ランプのフィラメント1には、方向性がある。
例えば、図1に示す白熱ランプAでは、一側端、例えば右側の発光部11の発熱量が、他端、例えば左側の発光部11より大きくなっている。
図1に示す白熱ランプ装置を加熱ローラ内に配置するが、加熱ローラの一側、例えば右側にはギアや回転軸が設けられていて、それらに熱が奪われることから、これを考慮して、白熱ランプAでは、右側の発光部11の発熱量を大きくすることにより、熱の損失を補償している。
このように、同じ白熱ランプAにおける左右の発光部11、11は発熱量が異なるように設定されることが通常行なわれる。
つまり、白熱ランプAには方向性があり、白熱ランプBと排気管残部21と凹部22で嵌め合う場合に、ランプの向きが決まった方向に嵌め合う必要がある。
排気管残部21と凹部22が中心線Pに対して対称の位置に形成されていると、白熱ランプAが白熱ランプBに左右反対に嵌め込まれる可能性があり、これを防止するために、白熱ランプA、Bの排気管残部21と凹部22は、ガラスバルブの長手方向の中心線Pに対して、非対称の位置に形成されている。
【0015】
凹部22は、ガラスバルブ2の内部に向けて凹ますものであり、凹部の先端がフィラメントの発光部11に近づくと、凹部の温度が上昇して、凹部が熱歪によって破損する可能性がある。
このため、凹部22は、フィラメント1の非発光部12に対応する位置でガラスバルブに形成され、発光部11から遠ざけて、温度上昇を防止し、該凹部の熱歪によるダメージを防止する。
【0016】
図3は、本願発明の他の実施例の白熱ランプ装置の排気残部と凹部が嵌め込まれた部分を示す拡大図である。
図3では、凹部22の大きさ及び深さが、排気残部21よりも大きくかつ深く形成されている例である。
こうすることにより、排気管残部21全体が凹部22に嵌め込まれることになり、互いに並列する一対の白熱ランプA、Bはガラスバルブの表面同士が接触する状態で並置されることになる。従って、両ランプA、Bのランプ離間距離L2を一層小さなものとできる。
【0017】
図4は、本願発明の他の実施例の説明図である。
図4では、排気管残部21及び凹部22ともに、フィラメント1の非発光部12に対応する位置にガラスバルブに形成されている。
これは、排気管残部21はガラス管をチップオフする際に、歪みが溜まりやすい部分であり、凹部22と同様に熱的に弱い部分であり、フィラメント1の発光部11から遠ざけることにより、排気管残部21の熱歪によるダメージを防止するものである。
【0018】
以上の説明では、白熱ランプが2本並置されている例を示したが、これに限られるものではなく、3本以上であってもよい。
図5には、白熱ランプが3本並置されている例が示されている。
ここでは、ランプAの排気管残部21は一対の隣接するランプBの凹部22に嵌まり込み、このランプBの排気管残部21は隣接する他のランプCの凹部22に嵌まり込み、更に、ランプCの排気管残部21は先のランプAの凹部22に嵌まり込むものである。
なお、図5においては、各ランプA、B、Cの排気管残部21と凹部22は軸方向の同一断面位置に設けられているように見られるが、これらは互いに軸方向で異なる位置に設けられるほうがよい。
【0019】
また、上記図5に示す3本の実施例に限られず、例えば4本以上であってもよいことは勿論である。
【0020】
上記のように、互いに並列する一対の白熱ランプに排気管残部と凹部を形成して、これらを互いに嵌まり込むように配置したことにより、白熱ランプ相互のランプ離間距離を小さくすることができ、複数本からなる白熱ランプを挿入する加熱ローラの一層の細管化が図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施例を示す。
【図2】図1の拡大部分断面図。
【図3】他の実施例の拡大部分断面図。
【図4】他の実施例を示す。
【図5】更に他の実施例の断面図。
【図6】従来例を示す。
【符号の説明】
【0022】
A、B、C・・白熱ランプ
1・・・フィラメント
11・・発光部
12・・非発光部
2・・・ガラスバルブ
21・・排気管残部
22・・凹部
L、L1、L2・・ランプ離間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にフィラメントが配置された管状のガラスバルブを有する白熱ランプが、複数並列に配置されてなる白熱ランプ装置において、
互いに並列する一対の前記白熱ランプの一方には、ガラスバルブに排気管残部が形成され、
前記白熱ランプの他方には、ガラスバルブに凹部が形成され、
前記一方の白熱ランプの排気管残部が、前記他方の白熱ランプの凹部に挿入されように配置されていることを特徴とする白熱ランプ装置。
【請求項2】
前記互いに並列する一対の白熱ランプは、ガラスバルブの表面同士が互いに接触するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の白熱ランプ装置。
【請求項3】
前記白熱ランプの各々には、ガラスバルブに排気管残部と凹部が形成されており、
該排気管残部と凹部は、ガラスバルブの長手方向の中心線に対して、非対称の位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の白熱ランプ装置。
【請求項4】
前記フィラメントは、発光部と非発光部を有し、
前記凹部は、ガラスバルブの前記フィラメントの非発光部に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の白熱ランプ装置。
【請求項5】
前記フィラメントは、発光部と非発光部を有し、
前記排気管残部は、ガラスバルブの前記フィラメントの非発光部に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の白熱ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−117147(P2009−117147A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288200(P2007−288200)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)