説明

白色インク組成物

【課題】ヒビ割れが発生することを低減でき、かつ、耐擦性に優れた画像を記録すること
ができる白色インク組成物を提供すること。
【解決手段】本発明に係る白色インク組成物は、白色顔料と、エチレン酢酸ビニル樹脂と
、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方である樹脂成分と、
を含み、前記エチレン酢酸ビニル樹脂の含有量(W1)と前記樹脂成分の含有量(W2)
との比(W1/W2)は、1/6以上60/13以下であり、前記白色顔料は、二酸化チ
タンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な記録方式を用いて、記録媒体にインクを付着させて所望の画像を形成
することが知られている。このような画像の形成に用いるインクは、その用途に応じて様
々な成分が添加され調製されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷層を保護するために用いられる紫外線硬化型のオーバー
プリント用インク組成物について記載されている。また、特許文献2には、インクジェッ
ト方式を用いた配線パターンの形成に用いられる導体パターン用インクについて記載され
ている。
【0004】
ところで、記録媒体に付着された画像には、インクに含まれる成分や、記録方法等によ
って、ヒビ割れが生じる場合がある。このような不具合を防止するために、上記の特許文
献1には、修正液組成物にエチレン酢酸ビニルを添加して、修正液乾燥後の折り曲げに対
してクラックを防止することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−8376号公報
【特許文献2】特開2007−194175号公報
【特許文献3】米国特許第4880465号明細書
【特許文献4】米国特許第3562754号明細書
【特許文献5】特開2007−16103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されているように、画像のヒビ割れを防止する
ために、インク組成物に種々の材料を添加すると、画像の耐擦性が低下する場合があった

【0007】
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、ヒビ割れの発生を低減でき、かつ、耐
擦性に優れた画像を記録することができる白色インク組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
態様または適用例として実現することができる。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る白色インク組成物は、白色顔料と、エチレン酢酸ビニル系
樹脂と、スライドガラス上に0.5gを滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で1
0分乾燥したときにヒビが発生する樹脂成分と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本適用例によれば、ヒビ割れの発生を低減でき、かつ、耐擦性に優れた画像を得ること
ができる。従って、本適用例の白色インク組成物を用いて白色画像を形成した場合には、
該白色画像にカラー画像を重ねた場合であっても、記録された画像のヒビ割れの発生を効
果的に低減することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に記載の白色インク組成物において、フルオレン系樹脂又はス
チレンアクリル系樹脂であることができる。
【0012】
適用例2によれば、画像の耐擦性を向上することができる。
【0013】
[適用例3]適用例1に記載の白色インク組成物において、前記エチレン酢酸ビニル系
樹脂の含有量(W1)と前記樹脂成分の含有量(W2)との比(W1/W2)は、1/6
以上60/13以下であることが好ましい。
【0014】
適用例3によれば、エチレン酢酸ビニル系樹脂を含有することにより、記録媒体に対す
る耐擦性を向上させることができる。
【0015】
[適用例4]適用例1に記載の白色インク組成物において、前記白色顔料は、二酸化チ
タンであることが好ましい。
【0016】
適用例4によれば、白色度に優れた画像を形成することができる。
【0017】
[適用例5]適用例1ないし適用例3のいずれか1例に記載の白色インク組成物におい
て、前記エチレン酢酸ビニル系樹脂の平均粒子径は、10nm以上800nm以下である
ことが好ましい。
【0018】
適用例5によれば、ひび割れの発生が低減された画像を得ることができる。
【0019】
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか1例に記載の白色インク組成物におい
て、前記白色顔料の平均粒子径は、200nm以上400nm以下であることが好ましい

【0020】
適用例6によれば、沈降による白色度の低下や目詰まりを低減することができる。
【0021】
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれか1例に記載の白色インク組成物におい
て、エチレン酢酸ビニル系樹脂の平均粒子径R1と、前記白色顔料の平均粒子径R2とが
、R1≧R2であることが好ましい。
【0022】
適用例7によれば、画像を形成した際に、エチレン酢酸ビニルが画像表面に現れやすく
なるので、画像のすべり性を向上させ、より耐擦性が優れた画像を得ることができる。
【0023】
[適用例8]請求項1ないし請求項7のいずれか1例に記載の白色インク組成物におい
て、前記樹脂成分の含有量は、0.75質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
【0024】
適用例8によれば、インクジェット記録装置から白色インク組成物を吐出させた際に、
白色インク組成物の吐出安定性を向上させることができる。また、画像の耐擦性を向上す
ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本
発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
【0026】
1.白色インク組成物
本発明の一実施形態に係る白色インク組成物は、白色顔料と、エチレン酢酸ビニル系樹
脂と、樹脂成分と、を含む。以下、本実施形態に係る白色インク組成物に含まれる各成分
について詳細に説明する。
【0027】
1.1.白色顔料
本実施形態に係る白色インク組成物は、白色顔料を含有する。白色顔料としては、例え
ば金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物としては、例
えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。ま
た、白色顔料には、中空構造を有する粒子を含み、中空構造を有する粒子としては、特に
限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、特許文献3(米国
特許第4880465号)や特許文献4(米国特許第3562754号)などの明細書に
記載されている粒子を好ましく用いることができる。本実施形態の白色インク組成物に含
有される白色顔料としては、これらの中でも、白色度および耐擦性の観点から、二酸化チ
タンが好ましい。
【0028】
前記白色顔料の含有量(固形分)は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは
1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である
。白色顔料の含有量が上記範囲を超えると、インクジェット式記録ヘッドの目詰まりが発
生して信頼性を損なうことがある。一方、白色インク組成物の含有量が上記範囲未満であ
ると、白色度等の色濃度が不足する傾向がある。
【0029】
体積基準の平均粒子径(以下、平均粒子径)は、白色顔料において好ましくは30nm
以上600nm以下であり、より好ましくは200nm以上400nm以下である。平均
粒子径が前記範囲を超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なったり、インク
ジェット式記録ヘッドの目詰まり等信頼性を損なったりすることがある。一方、平均粒子
径が前記範囲未満であると、白色度が不足する傾向にある。
【0030】
なお、白色顔料の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装
置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測
定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙
げられる。
【0031】
なお、本発明において「白色インク組成物」とは、エプソン純正写真用紙<光沢>(セ
イコーエプソン社製)に、duty100%以上で吐出されたインクの明度(L*)およ
び色度(a*、b*)が、分光測光器Spectrolino(商品名、GretagMa
cbeth社製)を用いて、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN N
B、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、とし
て設定して計測した場合に、70≦L*≦100、−4.5≦*≦2、−6≦b*≦2.5
、の範囲を示すものをいう。
【0032】
また、本明細書において、「duty値」とは、下式で算出される値である。
【0033】
duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」
および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
【0034】
1.2.エチレン酢酸ビニル系樹脂
本実施形態に係る白色インク組成物は、エチレン酢酸ビニル系樹脂を含有する。エチレ
ン酢酸ビニル系樹脂の機能の一つとしては、画像のヒビ割れの発生を低減することが挙げ
られる。本実施形態に係る白色インク組成物は、後述するようにフルオレン系樹脂または
スチレンアクリル系樹脂を含有しているので、画像にヒビ割れが発生することがある。こ
のような場合、エチレン酢酸ビニル系樹脂をさらに添加することで、画像のヒビ割れの発
生を効果的に低減することが可能となる。
【0035】
エチレン酢酸ビニル系樹脂としては、溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプ
、溶媒中に溶解した状態で存在している溶液タイプのいずれのタイプを用いてもよいが、
溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプが好ましい。これらの中でも、画像のヒ
ビ割れの発生を効果的に低減できるという観点から、エチレン酢酸ビニル系樹脂が好まし
い。これらのエチレン酢酸ビニル系樹脂は、1種単独または2種以上組み合わせて用いる
ことができる。
【0036】
白色インク組成物に好適なエチレン酢酸ビニル系樹脂の市販品としては、「エバフレッ
クスEV210」(三井・デュポンポリケミカル化学株式会社製、エチレン酢酸ビニル系
樹脂、粒径200nm)等のエバフレックスシリーズが挙げられる。その他、スミカフレ
ックスS−201HQ(住化ケムテックス株式会社製、エチレン酢酸ビニル系樹脂、粒径
600nm)、スミカフレックスS−410HQ(住化ケムテックス株式会社製、エチレ
ン酢酸ビニル系樹脂、粒径900nm)等のスミカフレックスシリーズ等が挙げられる。
これらは、常法によりエチレン酢酸ビニル系樹脂を水中に分散させた水系エマルジョンの
形態で市販されている。本実施形態に係る白色インク組成物においては、水系エマルジョ
ンの形態のまま直接添加することができる。
【0037】
エチレン酢酸ビニル系樹脂の平均粒子径は、好ましくは10nm以上800nm以下で
あり、より好ましくは200nm以上400nm以下である。エチレン酢酸ビニル系樹脂
の平均粒子径が前記範囲にあると、画像のヒビ割れの発生を低減することができるが、2
00nm以上400nm以下の平均粒子径を有するエチレン酢酸ビニル系樹脂を用いるこ
とでヒビ割れの発生を防止できる効果がより一層高くなる。
【0038】
また、エチレン酢酸ビニル系樹脂の平均粒子径R1と、前記白色顔料の平均粒子径R2
との関係は特に限定はされないが、好ましくは、R1≧R2−100(nm)以上が好ま
しい、より好ましくはR1≧R2以上が好ましい。エチレン酢酸ビニル系樹脂の平均粒子
径が白色顔料の平均粒子径に対して前記範囲であると、インクの吐出の安定性が得られや
すくなる。エチレン酢酸ビニル系樹脂は、記録媒体への密着性を向上させる性質を備えて
いるので、画像の耐擦性を向上させることができる。また、後述する樹脂成分(フルオレ
ン系樹脂またはスチレンアクリル系樹脂)と、を併用することにより、耐擦性をより効果
的に向上できる。
【0039】
エチレン酢酸ビニル系樹脂の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度
分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光
散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会
社製)を用いることができる。
【0040】
エチレン酢酸ビニル系樹脂の含有量(固形分)は、白色インク組成物の全質量に対して
、好ましくは0.2質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上
5質量%以下、特に好ましくは0.7質量%以上3質量%以下である。エチレン酢酸ビニ
ル系樹脂の含有量が上記範囲を超えると、記録された画像の耐擦性が低下することがある
。一方、上記範囲未満であると、画像のヒビ割れの発生を低減できる効果が期待できない
場合がある。
【0041】
1.3.樹脂成分
本実施形態に係る白色インク組成物は、スライドガラス(例えば、MICRO SLI
DE GLASS S−7213、松波硝子工業株式会社製)上に樹脂成分0.5gを滴
下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥したときにヒビ割れが発生する
樹脂成分を含有する。樹脂成分の具体例としては、フルオレン系樹脂およびスチレンアク
リル系樹脂の少なくとも一方である。本実施形態に係る白色インク組成物に含まれる樹脂
成分は、白色インク組成物を記録媒体に定着させる機能を有するだけでなく、記録媒体に
形成された画像の耐擦性を向上させる機能を有する。
【0042】
上記樹脂成分は、乾燥させた際にヒビ割れを発生する場合がある。樹脂成分のヒビ割れ
は、例えば、スライドガラス(MICRO SLIDE GLASS S−7213、松
波硝子工業株式会社製)上に樹脂成分0.5gを滴下して、温度50℃、湿度0%RHの
条件で10分間乾燥したときにおける、樹脂成分のヒビ割れの有無によって判断すること
ができる。
【0043】
樹脂成分の一例として用いられるフルオレン系樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂で
あれば特に制限されるものではなく、例えば下記のモノマー単位(a)ないし(d)を共
重合することにより得ることができる。
【0044】
(a)イソホロンジイソシアネート(CAS No.4098−71−9)
(b)4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール](
CAS No.117344−32−8)
(c)3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸(CAS
No.4767−03−7)
(d)トリエチルアミン(CAS No.121−44−8)
本発明に用いられるフルオレン系樹脂は、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[
2−(フェノキシ)エタノール](CAS No.117344−32−8)で示される
ようなフルオレン骨格を有するモノマーを含有する樹脂であれば特に制限されない。
【0045】
また、樹脂成分の一例として用いられるスチレンアクリル系樹脂としては、例えば、ス
チレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル
酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体
、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げら
れる。なお、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重
合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
【0046】
なお、スチレンアクリル系樹脂としては、市販されているものを利用してもよい。スチ
レンアクリル系樹脂の市販品としては、具体例には、ジョンクリル62J(BASFジャ
パン株式会社製)等が挙げられる。
【0047】
フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂は、いずれも白色インク組成物によっ
て形成される画像の耐擦性を向上させることができるが、特に白色インク組成物にフルオ
レン系樹脂が配合されると、より画像の耐擦性を向上させることができる。
【0048】
樹脂成分の含有量(固形分)は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.
2質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以上5質量%以下、特
に好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。樹脂成分の含有量が上記範囲を超え
ると、画像のヒビ割れが発生したり、インクジェット式記録ヘッドの吐出安定性が低下し
たりする場合がある。一方、上記範囲未満であると、耐擦性に優れた画像を形成すること
ができない場合がある。なお、樹脂成分は1種類だけではなく、2種類以上添加してもよ
い。
【0049】
本実施形態に係る白色インク組成物において、エチレン酢酸ビニル系樹脂の含有量(W
1)と樹脂成分の含有量(W2)との比(W1/W2)は、1/6以上60/13以下で
あり、好ましくは1/6以上3以下である。本実施形態に係る白色インク組成物は、エチ
レン酢酸ビニル系樹脂と樹脂成分とが上記比の値の範囲内で含有されていると、ひび割れ
の発生が少なく、かつ、耐擦性に優れた画像を記録することができる。一方、本実施形態
に係る白色インク組成物は、エチレン酢酸ビニル系樹脂と樹脂成分との比が上記値の範囲
を超えて含有されていると、インクジェット式記録ヘッドの吐出安定性を低下させたり、
耐擦性に優れない画像を形成したりする場合がある。また、本実施形態に係る白色インク
組成物は、エチレン酢酸ビニル系樹脂と樹脂成分との比が上記値の範囲未満で含有されて
いると、インクジェット式記録ヘッドの吐出安定性を低下させたり、ヒビ割れの発生した
画像を形成したりする場合がある。
【0050】
1.4.その他の成分
本実施形態に係る白色インク組成物は、有機溶媒を含有することができる。白色インク
組成物には、複数種の有機溶媒が含有されていてもよい。白色インク組成物に用いる有機
溶媒としては、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体等が
挙げられる。
【0051】
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−
ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オク
タンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、記録媒体に対する白色イ
ンク組成物の濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、記録媒体上に優れた画
像を形成することができる。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有
量が、白色インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好
ましい。
【0052】
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール
類は、白色インク組成物をインクジェット式記録装置に用いた場合に、ヘッドのノズル面
でのインクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ま
しく用いることができる。多価アルコール類を含有する場合には、その含有量が、白色イ
ンク組成物の全質量に対して、2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0053】
ピロリドン誘導体として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピ
ロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン
、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂成分の良好な
溶解剤として作用することができる。ピロリドン誘導体を含有する場合には、その含有量
が、白色インク組成物の全質量に対して、3質量%以上25質量%以下であることが好ま
しい。
【0054】
また、本実施形態に係る白色インク組成物は、界面活性剤を含有することができる。界
面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げ
られる。
【0055】
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例え
ば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−30
6、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−34
6、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351
A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A
、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−2
2−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以
上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。シリコン系界面活性剤は、記録媒体上
で白色インクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有するという観点か
ら好ましく用いることができる。シリコン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量
が、白色インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であること
が好ましい。
【0056】
アセチレングリコール系界面活性剤として、例えば、サーフィノール104、104E
、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、1
04S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、
DF110D、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全
て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)
、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001
、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036
、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3
(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E4
0、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。ア
セチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力および界面張
力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。アセ
チレン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、白色インク組成物の全質量に対
して、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0057】
本実施形態に係る白色インク組成物は、水を50%以上含有する、いわゆる水系インク
であってもよい。水系インクは、非水系(溶剤系)インク(例えば、記録物に用いるイン
クとしては特許文献5(特開2007−16103号公報)に記載されたインクを参照)
に比べて、記録ヘッドに用いられているピエゾ素子や、記録媒体に含まれる有機バインダ
ー等への反応性が弱いので、これらを溶かしたり、腐食させたりすることを低減できる場
合がある。また、水系インクは、高沸点・低粘度の溶剤を多く含有する非水系インクに比
べて、乾燥性に優れた画像を形成することができる場合がある。さらに、水系インクは、
溶剤系インクに比べて、臭気も抑えられており、かつ、その組成の50%以上が水である
ので環境にも良いという利点がある。
【0058】
本実施形態に係る白色インク組成物は、さらに、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆
剤、キレート化剤等を含有することができる。本実施形態に係る白色インク組成物は、こ
れらの化合物を含有していると、その特性がさらに向上する場合がある。
【0059】
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸
化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0060】
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナ
トリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、
デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市
販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニ
サイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げ
られる。
【0061】
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0062】
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレ
ンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
【0063】
本実施形態に係る白色インク組成物は、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンド
ミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと
同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィル
ター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0064】
1.5.白色インク組成物の物性
白色インク組成物をインクジェット式記録装置に用いる場合において、白色インク組成
物の20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく
、3mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。白色インク組成物は、
20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから適量吐出され、飛行曲がりを起こ
すことや飛散することを一層低減できるので、インクジェット式記録装置に好適に使用す
ることができる。白色インク組成物の粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機
株式会社製)を用いて、白色インク組成物の温度を20℃に保持することで測定できる。
【0065】
1.6.用途
本実施の形態に係る白色インク組成物は、特に限定されないが、各種インクジェット記
録方式に適用することができる。インクジェット記録方式としては、例えば、サーマルジ
ェット式インクジェット、ピエゾ式インクジェット、連続インクジェット、ローラーアプ
リケーション、スプレーアプリケーション等が挙げられる。
【0066】
本実施形態に係る白色インク組成物は、各種記録媒体に塗布することにより白色画像を
形成することができる。記録媒体としては、例えば、紙、厚紙、繊維製品、シートまたは
フィルム、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等が挙げられる。
【0067】
なお、記録媒体に形成された白色画像には、画像の保護や光沢性の付与等の観点から、
その表面に顔料等の色材を含有していないクリアインク組成物が塗布される場合がある。
クリアインク組成物からなる層(以下、「クリア層」ともいう。)の形成時には、白色画
像に含まれる成分が凝集したり、クリアインク組成物に含まれる成分が凝集したりする場
合がある。これにより、記録媒体に形成される白色画像およびクリア層の少なくとも一方
がヒビ割れる場合がある。しかしながら、本実施形態に係る白色インク組成物を用いると
、クリア層を有する白色画像を形成する場合であっても、ヒビ割れの発生を効果的に低減
することができる。なお、クリアインク組成物としては、公知の組成のものを用いること
ができる。
【0068】
また、白色インク組成物は、例えばプラスチック製品や金属製品のような白色とは限ら
ない記録媒体にカラー画像を記録する場合において、カラー画像の発色性を向上させるた
めに、記録媒体の色を消す用途に使用されてもよい。また、白色インク組成物は、透明シ
ートにカラー画像を記録する場合において、カラー画像の透過性を下げるための白色遮蔽
層(下地層)の形成に用いられることがある。このとき、カラーインク組成物を用いたカ
ラー画像の形成時に、白色画像(下地層)に含まれる成分が凝集したり、カラーインク組
成物に含まれる成分が凝集したりする場合がある。これにより、記録媒体に形成される白
色画像(下地層)およびカラー画像の少なくとも一方がヒビ割れる場合がある。しかしな
がら、本実施形態の白色インク組成物は、カラー画像を記録するための下地層として用い
られても、ヒビ割れの発生を効果的に低減することができる。なお、カラーインク組成物
としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の色材(上述した白色顔料を除く)
を含む公知の組成からなるものを用いることができる。
【0069】
2.実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定され
るものではない。
【0070】
2.1.インク組成物の調製
(1)白色インク組成物
表1〜表2に示す配合量で、二酸化チタン粒子、エチレン酢酸ビニル系樹脂、樹脂成分
としてのフルオレン系樹脂又はスチレンアクリル系樹脂、1,2−ヘキサンジオール、2
−ピロリドン、プロピレングリコール、ポリシロキサン系界面活性剤およびイオン交換水
を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過、真空ポンプを用いて脱気処理をし
て、例1〜15の各白色インク組成物を得た。なお、表1〜2の例1〜15に記載されて
いる単位は、質量%であり、二酸化チタン粒子、エチレン酢酸ビニル系樹脂、および樹脂
成分についてはいずれも固形分換算した値である。
【0071】
表1および表2に記載の成分は、以下のものを用いた。
・二酸化チタン粒子(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R) Sl
urry」、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含む
スラリー)
・ポリシロキサン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK
−348」)
・エチレン酢酸ビニル系樹脂A(住化ケムテックス社製、商品名「スミカフレックス
S−201HQ」、平均粒子径600nm)
・エチレン酢酸ビニル系樹脂B(住化ケムテックス社製、商品名「スミカフレックス S
−410HQ」、平均粒子径900nm)
・エチレン酢酸ビニル系樹脂C(三井・デュポンポリケミカル化学株式会社製、商品名「
エバフレックス EV210」、平均粒子径200nm)
・スチレンアクリル系樹脂(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリル62J

【0072】
なお、下記によって製造されたフルオレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂は、スライ
ドガラス(MICRO SLIDE GLASS S−7213、松波硝子工業株式会社
製)上に樹脂成分0.5gを滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥
したときにおいて、ヒビ割れが発生する樹脂成分であった。
【0073】
また、表1〜2に記載したフルオレン系樹脂としては、以下のようにして合成したもの
を用いた。フルオレン系樹脂は、イソホロンジイソシアネート30質量部、4,4’−(
9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール]50質量部、3−ヒドロ
キシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸100質量部、トリエチルア
ミン30質量部を秤りとり十分に混合した後、触媒存在下120℃で5時間撹拌すること
により合成した。得られたフルオレン系樹脂は、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビ
ス[2−(フェノキシ)エタノール]をモノマー構成比率略50質量%含有する、分子量
3300の樹脂であった。
【0074】
(2)シアンインク組成物
C.I.ピグメントブルー15:3(シアン顔料)を4質量%、アクリル酸−アクリル
酸エステル共重合体(分子量25,000、ガラス転移温度80℃、酸価180、顔料分
散用樹脂)2質量%、スチレンアクリル酸共重合体(分子量50,000、酸価130、
平均粒子径75nm)2質量%、1,2−ヘキサンジオール 5%、界面活性剤(ビック
ケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」)0.6質量%、サーフィノー
ルDF−110D(商品名、日信化学工業株式会社製)0.2質量%、2−ピロリドン5
%、プロピレングリコール10%、純水 残分、を混合攪拌して、シアンインク組成物を
調製した。
【0075】
2.2.耐擦性評価試験
2.2.1.耐擦性評価用サンプルの作成
【0076】
記録媒体として、「ルミラー(R) S10−100μm」(東レ株式会社製、インク
受容層が形成されていない市販のPETシート)と、を用いた。
【0077】
インクジェット記録方式のプリンターとして、インクジェットプリンターPX−G93
0(商品名、セイコーエプソン株式会社製、ノズル解像度:180dpi)の紙案内部に
温度が可変できるヒーターを取り付けて改造したものを用いた。
【0078】
表1〜2に記載の白色インク組成物を、インクジェットプリンター専用のインクカート
リッジにそれぞれ充填した。このようにして得られたインクカートリッジをプリンターに
装着した。また、ブラック以外のインクカートリッジは、それぞれ市販のものを装着した
。ブラック以外のインクカートリッジは、ダミーとして用いるもので、本実施例の評価で
は用いないので、効果には関与しない。
【0079】
次いで、印刷条件は、プリンターのヒーター設定温度を40℃とした。印刷中のプリン
ターのヘッドの近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、ヒーター設定温度と略
同じであった。上記記録媒体に対して、解像度1440×720dpiで、100%du
tyのベタパターンの白色画像を形成した。このようにして、耐擦性評価サンプルが得ら
れた。
【0080】
2.2.2.耐擦性評価
得られた耐擦性評価サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥後、学振型摩擦堅牢試験機
AB−301(テスター産業株式会社製を用いて、荷重200g,摩擦回数10回の条件
で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子と記録物とを擦り合わせ、画像の
表面状態を目視にて観察した。なお、評価基準は以下のとおりであり、C以上の評価であ
ると実用上使用に問題ない程度の耐擦性を備えると判断できる。
【0081】
A:画像の表面に傷がなく、画像の剥がれも認められない
B:画像の表面に傷は認められるが、画像の剥がれは認められない
C:画像の表面に傷が認められ、わずかに画像の剥がれが認められる
D:画像が完全に剥がれる
【0082】
2.3.ヒビ割れ試験
2.3.1.ヒビ割れ評価用サンプルの作成
【0083】
記録媒体として、「ルミラー(R) S10−100μm」(東レ株式会社製、インク
受容層が形成されていない市販のPETシート)と、を用いた。
【0084】
インクジェット記録方式のプリンターとして、インクジェットプリンターPX−G93
0(商品名、セイコーエプソン株式会社製、ノズル解像度:180dpi)の紙案内部に
温度が可変できるヒーターを取り付けて改造したものを用いた。
【0085】
表1〜2に記載の白色インク組成物を、インクジェットプリンター専用のインクカート
リッジにそれぞれ充填した。また、シアンインク組成物は、「2.1.インク組成物の調
製(2)シアンインク組成物」で調製したものを、インクカートリッジに充填した。
【0086】
このようにして得られたインクカートリッジをプリンターに装着した。なお、ブラック
およびシアン以外のインクカートリッジはそれぞれ市販のものを装着した。ブラックおよ
びシアン以外のインクカートリッジは、ダミーとして用いるもので、本実施例の評価では
用いないので、効果には関与しない。
【0087】
次いで、印刷条件は、プリンターのヒーター設定温度を40℃とした。印刷中のプリン
ターのヘッドの近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、ヒーター設定温度と略
同じであった。上記記録媒体に対して、解像度1440×720dpiで、100%du
tyのベタパターンの白色画像を形成した。そして、得られた白色画像を50℃の恒温槽
で10分乾燥後、白色画像上に上記のシアンインク組成物を吐出して、解像度1440×
720dpiで、30%〜100%dutyのduty毎にシアン画像を形成した。この
ようにして、ヒビ割れ評価用サンプルを得た。
【0088】
2.3.2.ヒビ割れ評価
得られたヒビ割れ評価用サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥後、画像表面を目視に
より判定した。評価基準は下記の通りであり、C以上の評価であると実用上の使用に問題
ない程度にヒビ割れを防止できていると判断できる。
【0089】
A:duty100%でも画像のヒビ割れ無し
B:duty80%までなら画像のヒビ割れ無し
C:duty50%までなら画像のヒビ割れ無し
D:duty30%でも画像がヒビ割れる
【0090】
2.4.吐出安定性評価
上述した温度の設定で、それぞれの組成物について、解像度1440×720dpiで
、100%dutyのベタパターンをA4サイズの記録媒体に連続して100枚印刷した
。その後、100枚目の印刷物を観察し、ドット抜けとドット曲がりの有無を調べた。評
価の基準としては以下のようにし、評価結果を表1および表2に記した。
【0091】
A:ドット抜けおよびドット曲がりがともに認められない
B:ドット抜けまたはドット曲がりが認められる
【0092】
2.5.評価結果
以上の評価結果を表1〜2に併せて示す。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
表1の評価試験結果に示すように、例1〜例11の白色インク組成物は、いずれも実用
上の使用に問題ない程度にヒビ割れの防止された画像を記録でき、かつ、実用上の使用に
問題ない程度の耐擦性を備えた画像を記録できた。特に、例2〜例10の白色インク組成
物では、エチレン酢酸ビニル系樹脂の含有量(W1)と樹脂成分の含有量(W2)との比
(W1/W2)が、1/6以上60/13以下である。そのため、表1の評価試験結果に
示すように、例2〜例10に係る白色インク組成物は、より効果的にヒビ割れの防止でき
た画像を記録でき、かつ、より耐擦性に優れた画像を記録できた。
【0096】
一方、表2に記載の例12の白色インク組成物は、フルオレン系またはアクリルスチレ
ン系樹脂を含有していない。そのため、表2の評価試験結果に示すように、例12の白色
インク組成物は、耐擦性が不十分な画像を記録した。
【0097】
また、表2に記載の例13および例14の白色インク組成物は、エチレン酢酸ビニル系
樹脂を含有していない。そのため、表2の評価試験結果に示すように、例13および例1
4の白色インク組成物は、低dutyの画像の記録に用いても、画像のヒビ割れを防止で
きなかった。
【0098】
また、表2に記載の例15の白色インク組成物は、エチレン酢酸ビニル系樹脂および樹
脂成分を含有していない。そのため、表2の評価試験結果に示すように、例15の白色イ
ンク組成物は、耐擦性が不十分な画像を記録することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色顔料と、
エチレン酢酸ビニル系樹脂と、
スライドガラス上に0.5gを滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間
乾燥したときにヒビが発生する樹脂成分と、
を含む白色インク組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の白色インク組成物において、
前記樹脂成分が、
フルオレン系樹脂又はスチレンアクリル系樹脂である、白色インク組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の白色インク組成物において、
前記エチレン酢酸ビニル系樹脂の含有量(W1)と前記樹脂成分の含有量(W2)との
比(W1/W2)は、1/6以上60/13以下である、白色インク組成物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の白色インク組成物において、
前記白色顔料は、二酸化チタンである、白色インク組成物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の白色インク組成物において、
前記エチレン酢酸ビニル系樹脂の平均粒子径は、10nm以上800nm以下である、
白色インク組成物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の白色インク組成物において、
前記白色顔料の平均粒子径は、200nm以上400nm以下である、白色インク組成
物。
【請求項7】
請求項1ないし請求6のいずれか一項に記載の白色インク組成物において、
エチレン酢酸ビニル系樹脂の平均粒子径R1と、前記白色顔料の平均粒子径R2とが、
R1≧R2である、白色インク組成物。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の白色インク組成物において、
前記樹脂成分の含有量は、0.75質量%以上5質量%以下である、白色インク組成物


【公開番号】特開2012−87262(P2012−87262A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237163(P2010−237163)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】