説明

白色コールラビ

本発明は、過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有さないコールラビ植物の葉柄、茎および球根と比較して、収穫段階において過剰な白色色彩を有する葉柄、茎および球根を生じる遺伝的形質を有するコールラビ植物に関する。過剰な白色色彩は、RHSカラーチャート(第5版)に基づいて、155 AもしくはBもしくはCまたはNN 155 AもしくはBもしくはCもしくはDのような白色群、および190 Dもしくは191 Dもしくは192 Dもしくは193 Dのような灰緑色群における段階的な色彩である。本発明の植物は、第1のコールラビ親植物と第2のコールラビ親植物を交雑させ、過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有さない植物の葉柄、茎および球根と比較して、葉柄、茎および球根の過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有する植物について選択することにより取得され得て、ここで、親の一方は、代表的な種子が受託番号NCIMB 41530ものとでNCIMBに寄託されている種子から育てられた植物またはその子孫植物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な色彩形質を有するコールラビ植物に関する。本発明はさらに、これらの植物の子孫および繁殖材料(propagation material)に関する。
【背景技術】
【0002】
コールラビは、ヤセイカンラン種コールラビ群(species Brassica oleracea spp Gongylodes Group)の植物である。コールラビは、その球根(塊茎)が生長し、調理野菜として使用され得るが、それはまたスープにおいて使用されたり、またはサラダとして生で食される。コールラビの球根は、通常、薄緑色であり、時折、紫の色調を有する。
【0003】
野菜の市場において、現存する野菜とは外見が異なる野菜についての欲求が常に存在する。消費者は、野菜の色彩におけるバリエーションを好む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、現存するコールラビ植物とは異なる色彩を有するコールラビを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において、極めて白色の茎、極めて白色の葉柄および極めて白色の球根を有する突然変異体コールラビが開発された。この形質は、本明細書において、「過剰な白色形質(extra white trait)」と呼ばれる。この点における「過剰な白色」は、Royal Horticultural SocietyのRHSカラーチャート(第5版)に基づいて、155 AもしくはBもしくはCおよびNN 155 AもしくはBもしくはCもしくはDの色彩範囲を有する白色群、または190 Dもしくは191 Dもしくは192 Dもしくは193 Dの色彩範囲を有する灰緑色群における段階的な色彩を有することを意味する。通常のコールラビの色彩は、同じカラーチャートに基づいて、黄緑色群の色彩である149 AもしくはBもしくはCもしくはD、ならびに150 CおよびDの範囲における色彩を有する。RHSカラーチャートは、植物色彩同定のための標準的な基準である。
【0006】
過剰な白色形質は、単一の優性遺伝子により生じる。したがって、該形質を有する雑種は、親の一方がこの形質についてホモ接合体である場合に作製することができる。該形質は、すべての型のコールラビ植物に導入することができる。
【0007】
本発明のコールラビ植物は、第1のコールラビ親植物と第2のコールラビ親植物を交雑させ、過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有さない植物の葉柄、茎および球根と比較して、葉柄、茎および球根の過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有する植物について選択することにより取得され得て、ここで、親の一方は、代表的な種子がNCIMBの受託番号NCIMB 41530ものとで寄託されている種子から育てられた植物またはその子孫植物である。
【0008】
本発明はさらに、本発明のコールラビ植物の球根に関する。コールラビ球根は、通常、葉が付いていたり付いていなかったりするが、根はない状態で売られる。本発明は、その両方の態様に関する。
【0009】
本発明はさらに、本発明のコールラビ植物の種子および有性生殖のために適当な植物の部分に関する。そのような部分は、例えば、小胞子、花粉、子房、胚珠、胚嚢および卵細胞からなる群から選択される。さらに、本発明は、栄養生殖のために適当な植物の部分、特に、挿し木、根、茎、細胞、プロトプラストに関する。
【0010】
本発明のさらなる局面において、本発明は、過剰な白色のコールラビ植物の組織培養物を提供する。組織培養物は、再生可能細胞を含む。そのような組織培養物は、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、分裂組織細胞、根、根端、葯、花、種子および茎に由来することができる。
【0011】
本発明の他の局面において、本発明のコールラビ植物の形態学的および生理学的特性のすべてを有するコールラビ植物が提供され、それを代表する種子は、NCIMBの受託番号NCIMB 41530ものとで寄託されており、ここで、該植物は、本発明の植物の種子から育てられるか、またはその部分もしくは組織培養から再生する。
【0012】
本発明はまた、本発明のコールラビ植物の子孫に関する。そのような子孫は、本発明の植物またはその子孫植物の有性生殖もしくは栄養生殖により作製することができる。再生植物体は、その代表的な種子がNCIMBの受託番号NCIMB 41530ものとで寄託されている特許請求の範囲に記載された植物の関連する形態学的および生理学的特性のすべてを有する。これは、そのような子孫が本発明のコールラビ植物について特許請求の範囲に記載されたものと同じ特性、すなわち、過剰な白色形質を有することを意味する。これに加えて、植物は、1個またはそれ以上の他の特性で修飾され得る。そのようなさらなる修飾は、例えば、突然変異誘発によるか、もしくはトランスジーンを用いた形質転換により達成される。
【0013】
本発明はさらに、雑種種子および雑種種子を作製する方法に関するものであり、後者の方法は、第1の親植物と第2の親植物を交雑させ、生じた雑種種子を回収することを含み、ここで、該第1の親植物または該第2の親植物は、特許請求の範囲に記載された植物である。
【0014】
さらに、本発明は、消費のために適当であり得る小型植物またはその部分、例えば、芽、クレス(cress)および子葉を提供する。本発明はまた、該小型植物またはコールラビ球根の部分を含む食品に関する。
【0015】
本発明のさらなる局面において、本発明は、本発明の植物の特性を有する品種を作製する方法であって、下記の工程:
a) 母植物と父植物を交雑させて雑種種子を作製すること;
b) 該雑種種子を育てて雑種植物を作製すること;
c) 該雑種植物を同系交配させてF2子孫種子を作製すること;
d) 本発明の過剰な白色特性を有する該F2植物を選択すること; および
e) 所望により、工程c)およびd)を繰り返すこと
を含み、少なくとも母植物または父植物のいずれかが本発明の植物またはその子孫植物である、方法を提供する。
【0016】
本発明の形質を提供する親が必ずしも寄託された種子から直接育てられた植物ではないことは明らかである。親はまた、該種子からの子孫植物または他の手段により本発明の形質を有することが同定された種子からの子孫植物であることができる。
【0017】
新規の「過剰な白色」コールラビ(Brassica oleracea ss gongylodes)の種子は、2007年12月7日にNCIMB Ltd., Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn, Aberdeen, AB21 9YA Scotland, UKに寄託され、受託番号NCIMB 41530が与えられた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】通常のコールラビ植物(左)と本発明のコールラビ植物(右)の比較。本発明の植物に相当する図の影部分は、「過剰な白色」であり、これらの部分は、既知のコールラビにおいて薄緑色である。
【図2】図1で示される植物の拡大写真。本発明の植物に相当する図の影部分は、「過剰な白色」であり、これらの部分は、既知のコールラビにおいて薄緑色である。
【図3】図1で示される植物の葉の拡大写真。本発明の植物に相当する図の影部分は、「過剰な白色」であり、これらの部分は、既知のコールラビにおいて薄緑色である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明はさらに、下記の実施例において説明されるが、それは、いかなる方法においても本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0020】
実施例
実施例1
本発明の植物を得るために、下記の交雑を行った。極めて白色の葉柄、茎および球根の存在について子孫を選択した。
【表1】

P23、P173、BE392およびKO2411のすべては、Rijk Zwaanのコールラビ育種系統である。Koristは、Bejo種子の商業的雑種である。
【0021】
雑種31281 F1において、1個の極めて白色の植物(03.70558)が見出された。F2世代(05.91695)を得るために、この植物を同系交配させる。また、この植物から小胞子培養によりDH植物を作製した。
【0022】
F2世代は、93個の白色個体と24個の通常の緑色個体に分別され、38 DH株は、15個の白色個体と23個の通常の緑色個体に分別された。これらの分別データは、単一の優性遺伝子が過剰な白色特性に関与していることを示す。
【0023】
本発明のコールラビは、形態および習性において通常のコールラビである。葉の色彩は、通常の緑色、青緑色、灰緑色であるが、葉柄の色彩は、クロロフィルが存在しないために極端な白色である。残りの特性は、通常のコールラビと同様である。該特定の形質は、種々の生育条件および園芸慣習について使用可能なすべての型のコールラビに導入することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有さないコールラビ植物の葉柄、茎および球根と比較して、収穫段階において過剰な白色色彩を有する葉柄、茎および球根を生じる遺伝的形質を有するコールラビ植物。
【請求項2】
遺伝的形質が、幼植物期、特に、播種および移植の直後から約2から3ヶ月ですでに可視的である、請求項1に記載のコールラビ植物。
【請求項3】
過剰な白色色彩が、RHSカラーチャート(第5版)に基づいて、155 AもしくはBもしくはCまたはNN 155 AもしくはBもしくはCもしくはDのような白色群、および190 Dもしくは191 Dもしくは192 Dもしくは193 Dのような灰緑色群における段階的な色彩である、請求項1または2に記載のコールラビ植物。
【請求項4】
請求項1-3のいずれか1項に記載のコールラビ植物であって、第1のコールラビ親植物と第2のコールラビ親植物を交雑させ、過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有さない植物の葉柄、茎および球根と比較して、葉柄、茎および球根の過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有する植物について選択することにより取得され得て、親の一方は、代表的な種子が受託番号NCIMB 41530ものとでNCIMBに寄託されている種子から育てられた植物またはその子孫植物である、コールラビ植物。
【請求項5】
請求項1-4のいずれか1項に記載のコールラビ植物の球根。
【請求項6】
請求項1-4のいずれか1項に記載の植物を作製するために適当な繁殖材料(propagation material)であって、該繁殖材料が、種子、有性生殖のために適当な植物の部分、特に、小胞子、花粉、子房、胚珠、胚嚢および卵細胞、栄養生殖のために適当な植物の部分、特に、挿し木、根、茎、細胞およびプロトプラスト、再生可能細胞の組織培養物、および組織培養物を作製するために適当な植物の部分、特に、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、分裂組織細胞、根、根端、葯、花、種子および茎から選択され、繁殖材料から作製される植物が、過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有さない植物の葉柄、茎および球根と比較して、過剰な白色の葉柄、茎および球根を生じる遺伝的形質を有する、繁殖材料。
【請求項7】
過剰な白色を生じる遺伝的形質を有さない植物の葉柄、茎および球根と比較して、過剰な白色の葉柄、茎および球根を生じる遺伝的形質についてホモ接合体である、倍加半数体コールラビ植物。
【請求項8】
過剰な白色の葉柄、茎および球根を有する雑種コールラビ植物であって、代表的な種子が受託番号NCIMB 41530ものとでNCIMBに寄託されている種子から育てられた植物またはその子孫植物と他の植物を交雑させ、過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有さない植物の葉柄、茎および球根と比較して、葉柄、茎および球根の過剰な白色色彩を生じる遺伝的形質を有する植物について選択することにより取得され得る、雑種コールラビ植物。
【請求項9】
芽、クレス(cress)または子葉から選択される、請求項1-8のいずれか1項に記載の小型コールラビ植物またはその部分。
【請求項10】
請求項1-8のいずれか1項に記載のコールラビ植物の球根またはその部分を含む、食品。
【請求項11】
請求項1-8のいずれか1項に記載の小型コールラビ植物またはその部分、とりわけ、芽、クレスまたは子葉を含む、食品。
【請求項12】
請求項1-8のいずれか1項に記載の植物の特性を有する品種を作製する方法であって、下記の工程:
a) 母植物と父植物を交雑させて雑種種子を作製すること;
b) 該雑種種子を育てて雑種植物を作製すること;
c) 該雑種植物を同系交配させてF2子孫種子を作製すること;
d) 本発明の過剰な白色特性を有する該F2植物を選択すること; および
e) 工程c)およびd)を繰り返してもよいこと
を含み、母植物または父植物が請求項1-8のいずれか1項に記載の植物またはその子孫植物である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−500639(P2012−500639A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524308(P2011−524308)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060346
【国際公開番号】WO2010/023093
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(500502222)ライク・ズワーン・ザードテールト・アン・ザードハンデル・ベスローテン・フェンノートシャップ (19)
【Fターム(参考)】