説明

白色ポリエステルフィルムおよびその製造方法

【課題】サイドライト方式のバックライトユニットに求められる高い輝度特性をも満足することができる、輝度特性に優れた白色ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供すること。
【達成手段】ボイド形成剤を含有するポリエステルシートを、ロール加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第1弾の縦延伸を施した後、非接触ヒーター加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第2弾の縦延伸を施し、かつ合計の縦延伸倍率を2.0倍以上とする多段縦延伸をして、次いで横延伸をして、白色ポリエステルフィルムを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色ポリエステルフィルム、およびその製造方法に関する。特に、サイドライト方式のバックライトユニットにおける反射板として好適に用いることができる白色ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶ディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイを背後から照明するバックライトユニットには、主に液晶ディスプレイの背面に備えるライト(例えばCCFL等)から光を照射し、液晶ディスプレイを照明するバックライト方式と、例えば特許文献1に示されているようなサイドライト方式とがある。かかるサイドライト方式は、液晶ディスプレイの背面に、ある厚みを持ったアクリル板などの透明基材の片面に網点印刷やシボ加工など各種処理を施した導光板を備え、かかる導光板のエッジよりLEDなどの照明を当てて、導光板の前面に光を取り出し、液晶ディスプレイを照明する方式である。かかるサイドライト方式においては、画面の背面でなく、エッジ部に照明を設置するため、バックライト方式より薄型にできるという利点がある。その利点から、近年サイドライト方式が広く用いられるようになっている。
【0003】
さらに近年、特にサイドライト方式のバックライトユニットにおいて、コスト削減を目的とした照明光源個数の減少やバックライトユニットに使用される輝度向上フィルムの排除が進められており、照明光の画面背面への逃げを防ぐために画面の背面に設置される反射板は、より高い反射特性、輝度特性を有することが望まれている。ここで反射板には、薄さと光の高反射性の観点から、ポリエステルフィルム内部に微細なボイドを含有させ、該ボイドで光を散乱させることにより白色化された、白色反射ポリエステルフィルムが主に用いられている。
【0004】
この微細なボイドの形成は、ポリエステル中に、ボイド形成剤(例えば、高融点の非相溶ポリマーもしくは硫酸バリウムなどの無機粒子)を細かく分散させ、それを延伸することにより達成される。すなわち、延伸に際して、ボイド形成剤周りにボイドが形成され、これが光に散乱作用を発揮するため、白色化され、高反射性を得ることが可能となることが知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−62104号公報
【特許文献2】特開2010−59381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記背景技術に鑑み、輝度特性が向上した白色ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。特に、サイドライト方式のバックライトユニットに求められる高い輝度特性をも満足することができる、輝度特性に優れた白色ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、検討の結果、従来知られているいかなるボイド形成剤を使用しても、従来の延伸方法によって形成されたボイドを有する白色ポリエステルフィルムでは、例えば近年のサイドライト方式のバックライトに求められる輝度特性のように、非常に高い要求は達成することが極めて困難であることを見出した。
そして、ボイド形成に際して、従来の延伸方法とは異なる延伸方法を採用することにより、輝度特性が向上すること、特にサイドライト方式バックライトユニットにおける反射板として用いたときに輝度特性が向上することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の製造方法を採用するものである。
1.ボイド形成剤を含有するポリエステルシートを、ロール加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第1弾の縦延伸を施した後、非接触ヒーター加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第2弾の縦延伸を施し、かつ合計の縦延伸倍率(第1弾の縦延伸倍率×第2弾の縦延伸倍率)を2.0倍以上とし、次いで横延伸を施す、白色ポリエステルフィルムの製造方法。
【0009】
また本発明は、以下の構成を採用するものである。
2.ボイド形成剤を含有するポリエステルシートを少なくとも縦延伸、次いで横延伸して得られる白色ポリエステルフィルムであって、該縦延伸が、ロール加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第1弾の縦延伸を施した後、非接触ヒーター加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第2弾の縦延伸を施す多段縦延伸であり、かつ合計の縦延伸倍率(第1弾の縦延伸倍率×第2弾の縦延伸倍率)が2.0倍以上である白色ポリエステルフィルム。
3.白色ポリエステルフィルムが、サイドライト方式バックライトユニット用反射板用である、上記2に記載の白色ポリエステルフィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、輝度特性に優れた白色ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供することができる。
また、本発明の白色ポリエステルフィルムは、とりわけサイドライト方式のバックライトユニットにおける反射板として用いたときに、優れた輝度特性の向上を示すため、かかる用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、製膜機械軸方向を縦方向または長手方向またはMDと呼称する場合がある。また、該製膜機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向を横方向または幅方向またはTDと呼称する場合がある。
【0012】
[白色ポリエステルフィルム]
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステルに微細なボイドを多数含有させて白色を呈するようにしたポリエステルフィルムである。かかるボイドは、ポリエステルにボイド形成剤を含有させたポリエステル組成物をシート化して得られたポリエステルシートを、延伸することで形成される。
【0013】
(ポリエステル)
ポリエステルは、ジオール成分とジカルボン酸成分とから縮重合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸を用いることができる。ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールを用いることができる。
【0014】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)が好ましい。また、高濃度にボイド形成剤を添加して反射率向上しても、安定して製膜できるという観点から、共重合ポリエステルを用いることが好ましく、かかる共重合ポリエステルとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
【0015】
かかる共重合ポリエステルにおける共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分を例示することができる。かかる共重合ポリエステルにおける共重合成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特に製膜性の観点からイソフタル酸が好ましく、これらを共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましい。共重合ポリエチレンテレフタレートにおける共重合量は、全ジカルボン酸成分100モル%に対して、好ましくは4〜16モル%、さらに好ましくは6〜14モル%である。この範囲の共重合量であることで、良好な製膜性を得ることができ、また反射率の向上効果を高くすることができ、これらの効果を同時に得ることができる。
【0016】
ポリエステルの融点は、製膜性の観点から、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは245℃以下、特に好ましくは240℃以下である。他方、耐熱性や機械特性の観点からは、ポリエステルの融点は210℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは215℃以上、特に好ましくは220℃以上である。このような融点を有するポリエステルとしては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、全酸成分に対して2,6−ナフタレンジカルボン酸成分4〜16モル%共重合体)、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、全ジカルボン酸成分100モル%に対してイソフタル酸成分4〜16モル%共重合体)、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、全ジカルボン酸成分100モル%に対してシクロヘキサンジメタノール成分4〜16モル%共重合体)を挙げることができる。なかでも、高い機械特性と製膜性とを得るために、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、全ジカルボン酸成分100モル%に対してイソフタル酸成分4〜16モル%共重合体)が好ましい。
【0017】
(ボイド形成剤)
ボイド形成剤としては、無機粒子、有機粒子などの粒子を用いることができる。また、フィルムを形成するポリエステルに非相溶な樹脂(以下、非相溶樹脂と呼称する場合がある。)を用いることができる。また、これらを併用してもよい。
無機粒子としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、酸化チタン等の粒子を例示することができる。また有機粒子としては、シリコーン、アクリル等の粒子を例示することができる。粒子は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
これら粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μm、特に好ましくは0.6〜2μmである。このような平均粒径の粒子を用いることにより、反射率の向上効果を高くすることができ、輝度の向上効果を高めることができる。また、粒子の凝集およびフィルム表面における粗大突起を抑制することができ、フィルム破断を抑制することができる。平均粒径が小さすぎる場合は、粒子の凝集が生じ易く、他方大きすぎる場合は、フィルム表面において粗大突起が形成されやすく、フィルム破断に繋がることがある。
非相溶樹脂としては、エチレン−ノルボルネン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等を例示することができる。非相溶樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上述した粒子を併用してもよい。
【0019】
ボイド形成剤の含有量は、延伸時にボイド形成剤とポリエステルとの界面で剥離により形成されるボイドの体積率(ボイドの体積/全体積)を、好ましくは30〜80%に形成させうる量に設定することが好ましい。このようなボイド体積率とすることにより、反射率の向上効果を高めることができ、輝度の向上効果を高めることが出来る。また、耐光性に優れ、長期使用による黄変を抑制することができる。ボイド体積率が小さすぎると、好ましい反射率、輝度を得ることが困難となる傾向にある。また、黄変抑制の向上効果が低くなる。他方、ボイド体積率が大きすぎると、フィルム製膜中に破断を生じやすくなる傾向にある。このような観点から、ボイドの体積率は、さらに好ましくは35〜75%、特に好ましくは38〜70%になるように、ボイド形成剤が含有させる。
【0020】
上記のようなボイド体積率とするには、例えば、ボイド形成剤を硫酸バリウム単独で用いる場合、フィルムの重量に対して31〜60重量%(ポリエステルが69〜40重量%となる。以下同様。)であることが好ましく、さらに好ましくは35〜57重量%、特に好ましくは40〜54重量%である。また、例えば、ボイド形成剤として炭酸カルシウムを単独で用いた場合は、19〜38重量%(ポリエステルが81〜62重量%となる。以下同様。)であることが好ましく、さらに好ましくは22〜36重量%、特に好ましくは25〜34重量%である。
【0021】
非相溶樹脂の場合は、例えばフィルムの重量に対して15〜40重量%(ポリエステルが85〜60重量%となる。以下同様。)であることが好ましく、このような含有量とすることにより、上記したボイド体積率の範囲を達成しやすく、また反射率の向上効果を高めることができ、輝度の向上効果を高めることができる。含有量が少なすぎると、輝度の向上効果が低くなる傾向にある。他方、含有量が多すぎると、フィルム製膜中に破断が生じやすくなる傾向にある。また、耐熱性が低下する傾向にある。このような観点から、含有量は、さらに好ましくは17〜38重量%、特に好ましくは20〜35重量%である。
【0022】
本発明においては、これらのなかでも、反射率の向上効果が高く、それにより輝度の向上効果を高くすることができ、また高い耐熱性を得ることができることから、ボイド形成剤としては、無機粒子を用いることが好ましく、なかでもポリエステルポリマー中に安定して分散させることができ、製膜性がよく、かつ反射率の向上効果をさらに高くすることができることから、硫酸バリウム粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化チタン粒子がさらに好ましく、硫酸バリウム粒子が特に好ましい。
【0023】
[積層白色ポリエステルフィルム]
本発明の白色ポリエステルフィルムは、サイドライト方式のバックライトユニットで求められるような、特に高い輝度特性を、好ましくは100〜350μmのフィルムの厚みで得るために、上述した白色ポリエステルフィルムを反射層として、さらに支持層とから構成される積層白色ポリエステルフィルムであることが好ましい。ここで反射層とは、ボイド形成剤を比較的多く含有するなどして、主に反射機能を付与するための層である。また、支持層とは、ボイド形成剤を含有しないか、あるいは比較的少なく含有するなどして、主に製膜性を向上するための層である。これらの層を、本発明の課題を阻害しない範囲において、各々複数層有していてもよい。
【0024】
本発明においては、積層白色ポリエステルフィルムとしては、反射層と支持層とからなる2層積層白色ポリエステルフィルム、反射層とその両面に設けられた支持層とからなる3層積層白色ポリエステルフィルム、支持層とその両面に設けられた反射層からなる3層積層白色ポリエステルフィルムのいずれかであることが好ましい。
【0025】
反射層と支持層とからなる2層積層白色ポリエステルフィルムである場合は、特に反射特性に優れより好ましい。反射層とその両面に設けられた支持層とからなる3層積層白色ポリエステルフィルムである場合は、特に機械特性に優れより好ましい。とりわけ、性能、コストの観点で2層が好ましい。また、本発明においては、かかる積層白色ポリエステルフィルムは、共押出法により得られるものであることが好ましい。
以下、白色ポリエステルフィルムが、積層白色ポリエステルフィルムである場合の支持層について説明する。
【0026】
(支持層)
支持層は、ボイド体積率が好ましくは30%未満、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下であり、これにより製膜性を向上することができる。このようなボイド体積率とするには、ボイド形成剤が好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜10重量%、およびポリエステルが好ましくは100〜70重量%、さらに好ましくは100〜90重量%のポリエステル組成物を用いればよい。ボイド形成剤としては、上述したものを用いることができ、上述と同様の理由から無機粒子が好ましく、硫酸バリウム粒子が特に好ましく、反射率の向上効果を高くすることができる。
【0027】
支持層のポリエステル組成物は、製膜性の観点からはボイド形成剤を含有していなくてもよいが、含有量が0.1重量%以上であると、支持層においてわずかにボイドが形成され、かかるボイドによりフィルム表面に突起あるいはうねりが形成され、滑り性を付与することができる。このような観点から、含有量は、0.2重量%以上がさらに好ましい。他方、含有量が多すぎると反射層を支える支持層としての強度を保つことが困難となる傾向にあり、フィルムの破断に繋がりかねない。このような観点から、含有量は、5.0重量%以下がさらに好ましい。
【0028】
また、ボイド形成剤として粒子を用いた場合、かかる粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μm、特に好ましくは0.6〜2μmである。この範囲の平均粒径であることによって、粒子が凝集して粗大突起が発生することがなく、フィルム延伸時に破断することのないフィルムを得ることができて好ましい。また、上述した突起あるいはうねりに対しても好ましい。
【0029】
支持層のポリエステルとしては、共重合成分を含んでも含まなくてもよいが、共重合ポリエステルであることが好ましく、延伸性をさらに優れたものとすることができる。共重合ポリエステルとしては、前記ポリエステルの項において述べたような共重合ポリエステルを用いることができる。共重合成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特に製膜性の観点からイソフタル酸が好ましく、これらを共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましい。共重合ポリエチレンテレフタレートにおける共重合量は、全ジカルボン酸成分100モル%に対して、好ましくは0.1〜10モル%、さらに好ましくは0〜9モル%である。このような範囲とすることで製膜性に優れる。また、熱に対する寸法安定性に優れる。共重合量が少なすぎると、共重合することによる効果が薄れ、製膜性の向上効果が低くなる傾向にある。他方、多すぎると、寸法安定性が不足する傾向にある。
【0030】
積層構成における反射層の厚み(フィルム中の全反射層の積算厚み)は、積層白色ポリエステルフィルムにおける全反射層および全支持層の合計厚み100%に対して、好ましくは60〜90%、さらに好ましくは60〜85%である。反射層がこの範囲の厚みであると、反射率の向上効果が高く、また製膜時の良好な延伸性を得ることができる。反射層が薄すぎると、反射率の向上効果が低くなる傾向にあり、他方厚すぎると、延伸性に劣る傾向となる。
【0031】
また、支持層の厚み(フィルム中の全支持層の積算厚み)は、積層白色ポリエステルフィルムにおける全反射層および全支持層の合計厚み100%に対して、好ましくは10〜40%、さらに好ましくは15〜40%であり、このような厚みを採用することで、支持層としての機能、すなわち延伸性等を向上することができる。
【0032】
[フィルム厚み]
本発明の白色ポリエステルフィルムの総厚みは、好ましくは100〜350μm、さらに好ましくは、100〜300μm、さらに好ましくは110〜290μm、特に好ましくは120〜280μmである。この範囲とすることで、反射率の向上効果を高くすることができる。また、生産性やコストの点からも優れる。厚みが薄すぎると、反射率の向上効果が低下し、また光源からの熱による耐撓み性が悪化する。他方、厚すぎると、これ以上厚くしても輝度の向上は大きく望めず、また安定した製膜性が得ることができない。
【0033】
[製造方法]
以下、本発明の白色ポリエステルフィルムを製造する方法を、反射層/支持層の2層積層白色ポリエステルフィルムの場合を例に説明するが、本発明はかかる構成に限定されるものではないことは上述のとおりである。また、本発明の特徴的部分である縦延伸工程以外の工程においては、以下の製造方法に限定されず、従来の製造方法を採用することもできる。さらに、以下においては、ポリエステルのガラス転移温度をTg、融点をTmという場合がある。
【0034】
(ポリエステル組成物の製造)
ボイド形成剤のポリエステルへの配合は、ポリエステルの重合時に行ってもよく、重合後に行ってもよい。重合時に行う場合は、エステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に配合してもよく、重縮合反応開始前に配合してもよい。また、重合後に行う場合は、重合後のポリエステルに添加し溶融混練すればよい。この場合、ボイド形成剤を比較的高濃度で含有するマスターペレットを製造し、これを、ボイド形成剤を含有しないポリエステルペレットと配合することで、所望の含有率でボイド形成剤を含有するポリエステル組成物を得ることができ、好ましい。
【0035】
すなわち、ボイド形成剤をポリエステルに含有させる方法としては、下記のいずれかの方法をとることが好ましく、なかでも(ウ)または(エ)の方法をとることが特に好ましい。
(ア)ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に添加、もしくは重縮合反応開始前に添加する方法。
(イ)ポリエステルに添加して、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)または(イ)の方法において、粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これらと添加剤を含有しないポリエステルとを混練して、所定量を含有させる方法。
(エ)上記(ウ)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
【0036】
次いで、上記で得られたボイド形成剤を含有するマスターペレットと、ボイド形成剤を含有しないポリエステルペレットとを用いて、反射層を形成するためのポリエステル組成物と、支持層を形成するためのポリエステル組成物とを、それぞれポリエステル組成物中のボイド形成剤の含有量が所定量となるように配合し、十分に乾燥した後、それぞれ別々の押出機に投入し、溶融混練し、溶融状態のポリエステル組成物を得る。
【0037】
ここで、本発明では、かかる溶融状態のポリエステル組成物を、製膜時のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用いて濾過することが好ましい。この濾過を行うことにより、ボイド形成剤として一般的には凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子を用いた場合でも、凝集を抑えて、粗大異物の少ない白色ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0038】
(押出工程)
次に、それぞれの溶融したポリエステル組成物を、フィードブロックを用いた同時多層押出法により、溶融状態で所定の積層構成となるように積層し、ダイから押し出し、積層未延伸シートを製造する。すなわち反射層を構成するポリエステル組成物の溶融物と、支持層を構成するポリエステル組成物の溶融物とを、フィードブロックを用いて反射層/支持層となるように積層し、ダイに展開して押し出しを実施する。この時、フィードブロックで積層されたポリエステル組成物は、そのまま積層された形態を維持している。
ダイより押し出された未延伸シートを、キャスティングドラムで冷却固化して、未延伸フィルムとする。
【0039】
(縦延伸工程)
次に、この未延伸フィルムを縦延伸(製膜機械軸方向に延伸)する。ここで本発明においては、かかる縦延伸として、ロール加熱延伸法による第1段の縦延伸が施された後、非接触ヒーター加熱延伸法による第2段の縦延伸を施す多段縦延伸で行うことを特徴とする。第1段、第2弾の縦延伸は、2本のロール間で行われる場合は両ロール間の速度比が延伸倍率であり、3本以上のロール間で行われる場合は、最後のロールの速度を最初のロール速度で除した値を延伸倍率とし、該第1弾の縦延伸は、倍率1.1倍以上で行い、該第2段の縦延伸は、倍率1.1倍以上で行い、合計の縦延伸倍率(第1弾の縦延伸倍率×第2弾の縦延伸倍率)を2.0倍以上とする。このような多段縦延伸を採用することにより、フィルム中のボイドを効率的に形成することができるためか、反射率を高くし、それにより輝度を高くすることができる。また、フィルム中のボイドの形状が特異な形状となるためか、サイドライト方式のバックライトユニットにおける反射板として用いたときに、とりわけ優れた輝度特性の向上が見られる。すなわち、サイドライト方式は、バックライト方式とは反射板に入射する光の方向等性質が異なるため、ボイドの形状が輝度特性の向上に寄与していると推測されるためである。第1弾の縦延伸および/または第2弾の縦延伸における延伸倍率が上記所定倍率未満であると、優れた反射率および輝度が得られない。かかる観点から、第1弾の縦延伸倍率は倍率1.3倍以上が好ましい。また、第2弾の縦延伸倍率は倍率1.3倍以上が好ましい。他方、第1弾の縦延伸および/または第2弾の縦延伸における延伸倍率は、反射率および輝度の観点からは高い方が好ましいが、高すぎる場合は、破断が生じやすくなり生産性に劣る傾向にある。かかる観点から、第1弾の縦延伸倍率は2.5倍以下が好ましく、2.3倍以下がさらに好ましい。また、第2弾の縦延伸倍率は2.5倍以下が好ましく、2.3倍以下がさらに好ましい。延伸倍率のとりわけ好ましい態様としては、倍率1.1〜2.5倍で第1弾の縦延伸を行い、次いで倍率1.1〜2.5倍で第2段の縦延伸を行うこと、さらには、倍率1.3〜2.3倍で第1弾の縦延伸を行い、次いで倍率1.3〜2.3倍で第2段の縦延伸を行うことである。
【0040】
さらに、合計の縦延伸倍率が上記所定倍率未満であると、得られるフィルムの白さが不良となり、本発明の白色フィルムを得ることができない。また、優れた反射率および輝度が得られない。かかる観点から、合計の縦延伸倍率は、2.0倍以上が好ましく、2.3倍以上がさらに好ましく、2.5倍以上が特に好ましい。他方、合計の縦延伸倍率は、高い方が反射率および輝度の観点から好ましいが、高すぎると製膜中に破断が発生し易くなる傾向にある。かかる観点から、合計の縦延伸倍率は、5.0倍以下が好ましく、4.5倍以下がより好ましく、4.0倍以下がさらに好ましく、3.8倍以下が特に好ましい。
【0041】
また、上記のような多段縦延伸においては、第1弾の縦延伸は、加熱された2本以上のロール間において、これらロール間の周速差を利用して延伸するロール加熱延伸である。また、第2弾の縦延伸は、加熱されていてもよい2本以上のロール間において、例えばIRヒーターのごとくフィルムと非接触のヒーターを用いてフィルムを加熱し、これらロール間の周速差を利用して延伸する非接触ヒーター加熱延伸である。このような態様を採用することにより、ボイドが効率的に形成されたり、ボイドの形状が好ましい形状になったりするためか、反射率および輝度を高くすることができ、特にサイドライト方式のバックライトユニットにおける反射板として用いたときに、とりわけ優れた輝度特性の向上が見られる。
【0042】
縦延伸温度は、ポリエステル(フィルムが反射層と支持層とを有する場合は、反射層のポリエステル)のガラス転移温度(Tg)以上の温度、さらにはTg〜(Tg+70℃)の温度とするのが好ましい。これにより、反射率および輝度の向上効果を高くすることができる。
【0043】
(横延伸工程、熱固定工程)
縦延伸後のフィルムは、続いて、横延伸(製膜機械軸方向と厚み方向に垂直な方向への延伸)を施す。また次いで、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとすることが好ましい。これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステル(フィルムが反射層と支持層とを有する場合は、反射層のポリエステル)のTgより高い温度から始めるとよい。そして、好ましくは(Tg+5℃)〜(Tg+70℃)の温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温することができる。
横延伸の倍率は、好ましくは3.0〜5.0倍、より好ましくは3.2〜4.5倍、さらに好ましくは3.4〜4.0倍である。かかる倍率は、望ましいボイド体積率を勘案して適宜調整することができる。
【0044】
横延伸後のフィルムは、両端を把持したまま(Tm−20℃)〜(Tm−100℃)で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理することが好ましく、熱収縮率を低下させることができる。これより高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。熱処理温度が(Tm−100℃)より低いと熱収縮率が大きくなることがある。また、熱固定後フィルム温度を常温に戻す過程で(Tm−20℃)〜(Tm−100℃)の領域の熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜5.0%、さらに好ましくは0.2〜4.5%、特に好ましくは0.3〜4.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
【0045】
[白色ポリエステルフィルムの特性]
(反射率)
本発明の白色ポリエステルフィルムの反射率は、96%以上であることが好ましい。このような反射率であると、輝度特性により優れ、表示装置においては、画面が明るくなる、消費電力を低くできる等の利点がある。このような観点から、反射率は、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上である。
なお、上記のような反射率は、ボイド形成剤の種類、大きさ、使用量、フィルムの積層構造、フィルムの延伸の態様および熱固定の態様等を適宜調整することによって達成することができる。特に高い反射率を得るためには、本発明が規定する縦延伸の態様を採用すればよい。
【0046】
(熱収縮率)
本発明の白色ポリエステルフィルムは、MDおよびTDの、150℃30分における熱収縮率がいずれも−0.5%〜1.5%であることが好ましい。これにより、表示装置においては、光源からの熱による寸法変化を抑制することができ、寸法変化による輝度斑の発生等を抑制することができる。このような観点から、上記熱収縮率は、さらに好ましくは−0.4〜1.0%、特に好ましくは−0.3〜0.5%である。
なお、上記のような熱収縮率は、ポリエステルの種類、フィルムの積層構造、フィルムの延伸、熱固定、弛緩の態様等を適宜調整することによって達成することができる。
【実施例】
【0047】
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
【0048】
(2)各層の厚み
フィルムサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたフィルムサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面が観察できるように薄膜切片にした後、光学顕微鏡を用いて観察撮影し、写真から各層の厚み比を測定し、フィルム全体の厚みから計算して、各層の厚みを求めた。
【0049】
(3)製膜性
フィルムを1万m製膜での破断がなかったものを製膜性○とし、1万m未満で破断が生じたがサンプルが採取出来たものを製膜性△とし、破断によりサンプルが採取出来なかったものを製膜性×とした。
【0050】
(4)相対輝度
評価用に用意した液晶テレビ(SONY社製KDL−32EX700 2010年モデル)を分解し、そのサイドライト型バックライトユニットから、元々組み込まれていた反射シートを取り外し、その代わりに測定対象とするフィルムサンプルを組み込み(一方の表層が反射層で、他方の表層が支持層である場合は、反射層が導光版側となるように組み込み)、電源を入れてから50分間放置して輝度を安定させた後、バックライトユニット正面における輝度(cd/m)を測定した。なお、輝度の測定には、輝度計(大塚電子製MC−940)を用いた。測定は、輝度計のディテクト装置の位置をバックライトユニット中心に合わせ、バックライトユニットから50cmの距離で一定に保ち、温度23℃・相対湿度60%RHにコントロールされた暗室で行うことで、環境による輝度変動を極力排除して実施した。また、測定の前後において、元々組み込まれていた反射シートを用いて輝度測定を行い、それらの測定値のばらつきが0.5%未満であることが確認された場合のみ、間で測定した測定対象の輝度データを採用することとした。採用しうるデータが3回繰返し測定されたところで、その3つのデータを平均して輝度とした。
【0051】
本測定においては、上記のような留意をしている為、測定データのばらつきは0.5%以下であるものと考えられる。一般的に、輝度は、測定室の環境、測定器の種類により測定値が変化することが知られており、絶対値を評価することは得策ではない為、本発明においては、評価用に用いた液晶テレビに元々組み込まれていた反射シートの輝度を100%としたときの相対値(相対輝度)を評価した。元々組み込まれていた光反射シートとの相対輝度が101%未満である場合は輝度に優れない(評価×)、輝度が101〜102%である場合は輝度にある程度優れる(評価△)、102%を超えるものは輝度に優れる(評価○)とした。
【0052】
(5)反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。なお、一方の表層が反射層で、他方の表層が支持層である場合は、反射層側について測定した。
【0053】
(6)熱収縮率
フィルムサンプルに30cm間隔で標点をつけ、荷重をかけずに150℃に設定したオーブンで30分間熱処理を行い、熱処理後の標点間隔を測定して、フィルムの縦方向および横方向について熱収縮率を求めた。
【0054】
(7)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、樹脂サンプルの場合は10mg、フィルムサンプルの場合は20mgについて、温度範囲20〜290℃、昇温速度20m/分で昇温し、290℃で3分間保持し、次いでサンプルを急冷してクエンチし、再度温度範囲20〜290℃、昇温速度20m/分で昇温した際の、ガラス転移温度Tg(単位:℃)および融点Tm(単位:℃)を求めた。
【0055】
[実施例1]
(反射層を形成するポリエステル組成物の製造)
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル18重量部(得られる共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対して12モル%の共重合量となる。)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し、重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルのジエチレングリコール成分量は2.5重量%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素量は5ppmであった。このポリエステル(Tg=71℃)にボイド形成剤として、平均粒径0.7μmの硫酸バリウム粒子を、得られるポリエステル組成物100重量%に対して47重量%となるように添加して、反射層を形成するためのポリエステル組成物とした。
【0056】
(支持層を構成するポリエステル組成物の製造)
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル9重量部(得られる共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対して6モル%の共重合量となる。)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルのジエチレングリコール成分量は2.5重量%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素量は5ppmであった。このポリエステル(Tg=73℃)に、ボイド形成剤として、平均粒径0.7μmの硫酸バリウム粒子を、得られるポリエステル組成物100重量%に対して4重量%となるように添加して、支持層を形成するためのポリエステル組成物とした。
【0057】
(フィルムの製造)
上記で得られたポリエステル組成物を、それぞれ別々に、280℃に加熱された2台の押出機に供給し、反射層を形成するためのポリエステル組成物と、支持層を形成するためのポリエステル組成物とを、2層フィードブロック装置を使用して合流させ、反射層/支持層という層構成となるように積層し、その積層状態を保持したままダイよりシート状に押し出して成形した。さらに、このシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化して未延伸フィルムとして、かかる未延伸フィルムを、縦方向に、4本のロールを用い、表1に示す温度および延伸倍率で第1段のロール加熱延伸を行い、続いて、フィルムからの距離2cmに設置された、表1に示す表面温度の3本のIRヒーターを用いて第2段の非接触ヒーター加熱延伸を行うことで多段の縦延伸を行った。かかる多段の縦延伸を行った後、25℃のロール群で冷却して縦延伸フィルムを得た。続いて、得られた縦延伸フィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で横方向に3.8倍に延伸した。その後テンター内で200℃の温度で10秒間熱固定を行い、横方向に1.0%弛緩を行い、次いでフィルムのエッジ部分をナイフで切り落として縦方向に0.5%の弛緩を行い、室温まで冷やして、二軸延伸された白色ポリエステルフィルムを得た。得られた白色ポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
【0058】
[実施例2〜13、比較例1〜3]
縦延伸を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして白色ポリエステルフィルムを作成した。得られた白色ポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
【0059】
[比較例4]
縦延伸を表1に示す条件としてフィルム製膜を試みたが、縦延伸工程においてフィルム破断が多発し、サンプル採取ができなかった。
【0060】
[比較例5]
得られた未延伸フィルムを、縦方向に、4本のロールを用い、表2に示す温度および延伸倍率で第1段のロール加熱延伸を行い、続いて、さらに4本のロールを用い、表2に示す温度および延伸倍率で第2段のロール加熱延伸を行うことで多段の縦延伸を行った以外は、実施例1と同様にして白色ポリエステルフィルムを作成した。得られた白色ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
【0061】
[比較例6]
得られた未延伸フィルムを、縦方向に、フィルムからの距離2cmに設置された、表3に示す表面温度の3本のIRヒーターを用いて第1段の非接触ヒーター加熱延伸を行い、続いて、さらにフィルムからの距離2cmに設置された、表3に示す表面温度の3本のIRヒーターを用いて第2段の非接触ヒーター加熱延伸を行うことで多段の縦延伸を行った以外は、実施例1と同様にして白色ポリエステルフィルムを作成した。得られた白色ポリエステルフィルムの評価結果を表3に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、優れた輝度特性を有し、液晶表示装置の反射板として好適に用いることができる。また、とりわけサイドライト型のバックライトユニットにおける反射板として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイド形成剤を含有するポリエステルシートを、ロール加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第1弾の縦延伸を施した後、非接触ヒーター加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第2弾の縦延伸を施し、かつ合計の縦延伸倍率(第1弾の縦延伸倍率×第2弾の縦延伸倍率)を2.0倍以上とし、次いで横延伸を施す、白色ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項2】
ボイド形成剤を含有するポリエステルシートを少なくとも縦延伸、次いで横延伸して得られる白色ポリエステルフィルムであって、該縦延伸が、ロール加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第1弾の縦延伸を施した後、非接触ヒーター加熱延伸法にて倍率1.1倍以上で第2弾の縦延伸を施す多段縦延伸であり、かつ合計の縦延伸倍率(第1弾の縦延伸倍率×第2弾の縦延伸倍率)が2.0倍以上である白色ポリエステルフィルム。
【請求項3】
白色ポリエステルフィルムが、サイドライト方式バックライトユニット用反射板用である、請求項2に記載の白色ポリエステルフィルム。