説明

白色ポリエステル組成物およびその製造方法

【課題】白色顔料などの不活性無機粒子が高度に混練分散含有され、かつ、混練時の熱劣化や色相の悪化等が抑制された白色ポリエステル組成物の製造方法の提供。
【解決手段】不活性無機粒子が、組成物の重量を基準として、5〜70重量%の範囲で添加された白色ポリエステル組成物を製造するに際し、含水率500ppm以下の不活性無機粒子をタンデム型二軸混練押出機により混練分散させることを特徴とする白色ポリエステル組成物の製造方法およびそれによって得られた白色ポリエステル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不活性無機粒子が混練分散された白色ポリエステル組成物およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、不活性無機粒子を5〜70重量%の範囲で含有しながらも、溶融熱安定性に優れた白色ポリエステル組成物であり、特に液晶ディスプレイ用反射板基材等に使用される白色ポリエステルフィルムに好適な白色ポリエステル組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルに硫酸バリウムや酸化チタンなどの白色顔料、または、非相溶樹脂を含有させて白色ポリエステルフィルムとすることが特開2004−50479号公報(特許文献1)や特開2005―125700号公報(特許文献2)で提案されている。これらに提案される白色ポリエステルフィルムは、液晶ディスプレイ用反射板基材として好適に使用されると開示されているが、そのためには白色顔料や非相溶樹脂がポリエステル中で高度に分散含有されている必要がある。一般的に、これら白色顔料や非相溶樹脂をポリエステル中に分散含有させる手段としては、あらかじめ白色顔料を分散精製処理したスラリーとして、ポリエステル合成中に添加する方法や、二軸押出機を用いポリエステル中に白色顔料や非相溶樹脂を添加混練させる方法が提案されている。しかしながら、前者の方法では添加時にヒートショックなどで再凝集が起こり、後者の方法では混練時の剪断発熱でポリエステルの劣化が起こり色相を悪化させるなどの問題が潜在しており、満足のいく品質を有する白色ポリエステルフィルムを得るのは困難であった。
【0003】
また、特開2008−238449(特許文献3)では、硫酸バリウムや酸化チタンなどの白色顔料を、タンデム型二軸混練押出器を用いて溶融混練することにより、ポリエステル樹脂の熱劣化や色相の悪化を抑制させている。一方で、近年はこれら白色ポリエステル樹脂を用いたフィルム等の成形体を作製するにあたり、発生した工程屑を再度溶融して使用することより、工程での歩留まりを向上させることが要求されている。そのため、白色ポリエステル樹脂のさらなる熱劣化や色相悪化の抑制が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−50479号公報
【特許文献2】特開2005−125700号公報
【特許文献3】特開2008−238449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の従来技術が有する問題を解消し、不活性無機粒子の混練時の熱劣化や色相の悪化等をさらに抑制した白色ポリエステル組成物の製造方法およびそれを用いた白色ポリエステル樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記従来技術の有する問題を解決しようと鋭意研究した結果、添加する不活性無機粒子の含水率が大きく影響していることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、不活性無機粒子を、その含水率500ppm以下になるまで乾燥させ、その状態で組成物の重量を基準として、5〜70重量%の含有量になるようにポリエステルに溶融混練する白色ポリエステル組成物の製造方法およびそれによって得られた白色ポリエステル組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不活性無機粒子を、含水率500ppm以下になるまで乾燥させ、その状態で組成物の重量を基準として、5〜70重量%の含有量になるようにポリエステルに溶融混練することにより、不活性無機粒子をポリエステル中に熱劣化を抑えながら高度に分散させることができる。したがって、本発明によれば、液晶ディスプレイ用反射板基材等に使用される白色ポリエステルフィルムとして好適な白色ポリエステル組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステル樹脂]
本発明におけるポリエステルは、単独重合体でも共重合体であってもよい。共重合体の場合、共重合成分の割合は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、繰り返し単位を基準として、30モル%以下、さらに20モル%以下であることが好ましい。
【0009】
本発明におけるポリエステルは、全ジカルボン酸成分の70モル%以上、さらに80モル%以上、特に85モル%以上がテレフタル酸成分もしくは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分であることが好ましく、全グリコール成分の70モル%以上、さらに80モル%以上、特に85モル%以上がエチレングリコール成分からなるものが好ましい。なお、このようなポリエステルは、それ自体公知の方法により製造できる。
【0010】
ポリエステルが共重合体の場合、共重合成分は、それ自体公知のものを採用でき、例えば、ジカルボン酸成分としてはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸が主たる酸成分である場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(テレフタル酸が主たる酸成分である場合)、5−ナトリウムジカルボン酸を、またグリコール成分としては、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができる。なお、これらの共重合成分は1種のみでなく2種以上を併用してもよい。
【0011】
本発明におけるポリエステルの固有粘度は、オルトクロロフェノール溶媒下にて35℃で測定した固有粘度で、0.5dl/g〜0.8dl/g、さらに0.54dl/g〜0.7dl/gであることが好ましい。固有粘度が下限未満の場合は、本発明により製造された白色ポリエステル組成物を、各製品に使用する際に要求される機械強度などの特性が不足することがある。他方、固有粘度が上限を超える場合は、溶融重合工程およびフィルム製膜工程などにおける溶融混練時の生産性が損なわれることがある。
また、本発明におけるポリエステルには、それ自体公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤が添加されていても良い。
【0012】
[不活性無機粒子]
本発明における不活性無機粒子は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されるものではないが、白色性を効率良く達成し得るとの観点から、白色無機粒子であることが好ましい。
白色無機粒子としては、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素などが好ましく挙げられ、これらの中でも硫酸バリウムが特に好ましい。これらは単独であっても良いし、2種以上の白色無機粒子を併用して使用しても構わない。
【0013】
本発明における不活性無機粒子は、含水率500ppm以下になるまで乾燥させ、その状態でポリエステル組成物の重量を基準として、5〜70重量%の含有量になるように溶融混練される。不活性無機粒子が白色無機粒子である場合、含水率は400ppm以下であることが好ましく、更には300ppm以下であることが好ましい。白色無機粒子の含水率が500ppmより多い場合、ポリエステル樹脂と溶融混練する際に熱分解反応が進行し、得られる白色ポリエステル組成物の固有粘度が低下し、フィルムへの製膜が困難となる。
【0014】
本発明における不活性無機粒子は、白色ポリエステル組成物の重量を基準として、ポリエステル樹脂中に5重量%添加させる必要がある。不活性無機粒子が白色無機粒子である場合、その添加量は30〜70重量%であることが好ましく、更に35〜68重量%、特に40〜65重量%であることが好ましい。白色無機粒子の添加量が下限未満では、白色ポリエステルフィルムとしたときの白度や反射特性などが不十分となりやすい。一方、白色無機粒子の添加量が上限を超えると、白色無機粒子の分散性が不充分となったり、フィルム等に成形する際、製膜性が低下しやすい。
【0015】
また、不活性無機粒子の乾燥は、真空乾燥機を用いて、高温真空条件下で数時間熱処理することにより行なうことが好ましい。このときの乾燥条件として、乾燥機の温度は150〜200℃の範囲にあることが好ましい。乾燥機の温度が150℃未満では、不活性無機粒子中の水分を十分に除去することが難しく、他方200℃を超えても不活性無機粒子中の水分除去率は変わらず、過剰な熱処理となったり、粒子同士がかえって凝集してしまうことがある。また、乾燥機の真空度は5〜20Kpaの範囲にあることが好ましい。真空度を5KPa未満にしても、不活性無機粒子中の水分除去率は変わらない。一方で、20KPaを超えると無機粒子中の水分を除去できなくなる。さらに真空乾燥機を用いた乾燥時間は2〜6時間の範囲にあることが好ましい。本発明における真空乾燥機を使用した不活性無機粒子乾燥の利点は、真空条件下で乾燥することにより、不活性無機粒子中の水分率を極微量まで低減でき、溶融混練で押し出された白色ポリエステル組成物の熱劣化や色相悪化を抑制できることにある。
【0016】
ポリエステル樹脂に不活性無機粒子を添加する溶融混練する方法としては、二軸押出機による溶融混練があげられるが、この方法では無機粒子を高濃度練り込むことが困難であり、かつ二軸混練の圧縮熱により、樹脂の熱劣化が進行しやすくなるため、タンデム型二軸混練押出機を用いて2段階で練り込むほうが好ましい。以下にタンデム型二軸押出機を用いた溶融混練の条件を記載する。
【0017】
[タンデム型二軸混練押出機]
本発明におけるタンデム型二軸混練押出機は、第1段目混練機と第2段目混練機を直列に連結した構造を持つものである。第1段目混練機は二軸混練機であり、高い混練分散性を得られることから、スクリューまたはローターの回転速度が400〜800rpmの高速回転ができる構造としたものであることが好ましい。スクリューまたはローターの回転速度が400rpm未満では、白色ポリエステル組成物を製造する際、不活性無機粒子の分散性が不十分となりやすい。一方、スクリューまたはローターの回転速度が800rpmを超えると、混練の際の剪断発熱が大きくなりすぎるため、ポリエステル樹脂が熱劣化を起こして機械特性が悪化したり、色相が悪化したりする恐れがある。
【0018】
また、第1段目混練機のシリンダー長(L)とシリンダー径(D)の比(L/D)は5〜10の範囲であることが好ましい。L/Dが5未満であると混練長が短すぎるため混練度が不足し、不活性無機粒子の分散性が不十分となりやすい。一方、L/Dが10を超えると、混練長が長すぎて高温状態での滞留時間が大きくなるため、ポリエステル樹脂が熱劣化を起こして機械特性が悪化したり、色相が悪化したりする恐れがある。
更に、第1段目混練機の樹脂出口部には、シリンダー内の樹脂充満率を調整できることから、絞り機構を備えていることが好ましい。シリンダー内の樹脂充満率を調整することにより、滞留時間をある程度調整することが可能である。
【0019】
本発明におけるタンデム型二軸混練押出機の第2段目混練機は、二軸混練機、単軸混練機のいずれであっても良いが、単軸混練機であることが好ましい。第2段目混練機は強混練する必要がないことから、定量押し出しを主目的とした単軸混練機である方が、白色ポリエステル組成物の熱劣化や色相悪化を抑制しやすいことから好ましい。また、第2段目混練機のスクリューまたはローターの回転速度は80〜150rpmであることが好ましい。第2段目混練機のスクリューまたはローターの回転速度がこの範囲であると、剪断発熱を低く抑えることができ、白色ポリエステル組成物の熱劣化や色相悪化を抑制しやすいことから好ましい。
【0020】
[白色ポリエステル組成物の製造]
本発明の白色ポリエステル組成物の製造方法について以下に説明する。本発明では前述のとおり、不活性無機粒子を、含水率500ppm以下になるまで乾燥させてから、タンデム型の二軸押出機などを使用し、組成物の重量を基準として、5〜70重量%の含有量になるよう不活性無機粒子をポリエステルに溶融混練することを特徴とする。
不活性無機粒子の乾燥は、前述のとおり、真空乾燥機を用いて、高温真空条件下で数時間熱処理することが好ましい。
【0021】
ポリエステル樹脂中に不活性無機粒子を混練分散させる混練装置としては、上述したタンデム型二軸混練押出機の使用が好ましい。タンデム型二軸混練押出機へのポリエステルおよび不活性無機粒子の供給方法は、例えばスクリュー式または振動式などの定量供給フィーダーを使用して、第1段目混練機にそれぞれ定量供給し、第1段目混練機に供給されたポリエステルおよび不活性無機粒子は、スクリューまたはローターの回転速度が400〜800rpmといった高速回転下で溶融混練分散されながら短時間で第1段目混練機を通過させる。この際、第1段目混練機のシリンダー温度はポリエステル樹脂が溶融可能な温度であれば特に限定されないが、熱劣化や色相悪化の抑制の観点から200〜300℃の範囲であることが好ましい。第1段目混練機を通過した白色ポリエステル組成物は、溶融状態のまま第2段目混練機に供給される。第2段目混練機は二軸または単軸の混練機であり、白色ポリエステル組成物はスクリューまたはローターの回転速度が80〜150rpmといった低速回転下で均一混練されながら第2段目混練機を通過させるのが好ましい。この際、第2段目混練機のシリンダー温度は、第1段目混練機と同様にポリエステル樹脂が溶融可能な温度であれば特に限定されないが、熱劣化や色相悪化の抑制の観点から280℃以下で溶融可能な範囲の温度とすることが好ましい。第2段目混練機を通過した溶融状態の白色ポリエステル組成物は、異物などを除去する目的で、所望の目開きのフィルターを通過させても良い。このようにして得られた白色ポリエステル組成物は、それ自体公知の方法により、例えばカッティングされたペレット状など、所望の形態の組成物として得ることができる。
【0022】
本発明の白色ポリエステル組成物は、その色相が、L*値が74〜90、さらに78〜86の範囲、またb*値が3〜14の範囲、さらに5〜10の範囲であることが好ましい。白色ポリエステル組成物の色相がこの範囲であると、白色ポリエステルフィルムとした時、白度や反射特性に優れ、特に液晶ディスプレイ用反射板基材に好適に用いることができるため好ましい。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。なお、得られた白色ポリエステル組成物の特性は下記の方法で測定、評価した。
【0024】
(1)固有粘度(IV)
ポリエステルをオルトクロロフェノール50ml中に、加熱溶解した後、一旦冷却させ、不溶分を取り除いた後、その溶液をオストワルド式粘度管にて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
【0025】
(2)白色ポリエステル組成物の色相(L*値、b*値)
白色ポリエステル組成物を285℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを140℃、1時間乾燥結晶化処理を行った。その後、色差計調整用の白色標準プレート上に置き、プレート表面のハンターL*、b*を、ミノルタ社製ハンター型色差計(CR−200型)を用いて測定した。L*は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、b*はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。また他の詳細な操作はJIS Z−8729に準じて行った。
【0026】
(3)白色ポリエステル組成物の反射率
(ア)白色ポリエステルフィルムの製造
得られた白色ポリエステル組成物をペレット状にカッティングし、このペレットを280℃に加熱された押出機に供給してダイスよりシート状に押し出した後、表面温度25℃の冷却ドラム上で冷却固化して未延伸フィルムを得る。得られた未延伸フィルムを回転金属ロールで搬送しながら赤外線ヒーター加熱により100℃の延伸温度で縦方向に2.9倍延伸する。次いで、フィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き熱風加熱により120℃の延伸温度で横方向に3.6倍延伸する。更にテンター内で210℃の温度で熱固定して厚さ100μmの白色ポリエステルフィルムを得た。
【0027】
(イ)反射率の測定
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を、得られた白色ポリエステルフィルムについて波長400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより2nm間隔で反射率を読み取った。上記の範囲内で平均値を求めた上、次の基準で判定した。
○:全測定領域において反射率90%以上
△:全測定領域において反射率85%以上〜90%未満
×:全測定領域において反射率が85%未満
【0028】
[参考例1] ポリエステル樹脂Aの製造
テレフタル酸ジメチル89部およびイソフタル酸ジメチル11部とエチレングリコール70部の混合物に、トリメリット酸チタン(全酸成分に対し、Ti元素として8モル%)を加圧反応が可能なSUS製容器に仕込み、0.08MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後常圧に戻し、リン酸トリメチルとエチレングリコールの反応物を全酸成分に対し、P元素として10モル%添加し、エステル交換反応を終了させた。
その後混合物を重合容器に移し、常法にて高真空のもと重縮合反応を行い、最終内温が290℃まで昇温して反応を終了させ、極限粘度0.71、融点が226℃のポリエステル樹脂Aを得た。
【0029】
[実施例1]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−1(堺化学社製)(平均粒径:0.7μm)を真空乾燥機にて200℃、10KPaの条件で4時間乾燥したものと、参考例1で作成したポリエステル樹脂Aとを、神戸製鋼所製タンデム型二軸混錬押し出し機NEX−T60型機にそれぞれ定量性を持つスクリューフィーダーより連続定量供給し、第1段目二軸混練機(L/D=7)でローター回転速度600rpm、シリンダー温度240℃の条件にて混錬処理した。続いて溶融状態の白色ポリエステル組成物を第2段目単軸混練押出機に供給し、スクリュー回転速度115rpm、シリンダー温度230℃の条件にてストランド状に押し出し、これをカッティングして、硫酸バリウム粒子濃度59.5%の白色ポリエステル組成物からなるペレットを得た。このときの生産能力(速度)は120Kg/Hrとした。得られた白色ポリエステル組成物の特性を表1に示す。
【0030】
[実施例2]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−1(平均粒径:0.7μm)を真空乾燥機にて200℃、10KPaの条件で3時間乾燥したものを使用する以外は実施例1と同様の条件で白色ポリエステル組成物を作製した。特性を表1に示す。
【0031】
[実施例3]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−1(平均粒径:0.7μm)を真空乾燥機にて200℃、10KPaの条件で2時間乾燥したものを使用する以外は実施例1と同様の条件で白色ポリエステル組成物を作製した。特性を表1に示す。
【0032】
[実施例4]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−2(平均粒径:1.2μm)を真空乾燥機にて200℃、10KPaの条件で2時間乾燥したものを使用する以外は実施例1と同様の条件で白色ポリエステル組成物を作製した。特性を表1に示す。
【0033】
[実施例5]
白色ポリエステル組成物中の硫酸バリウム粒子の濃度を、表1に示す濃度に変更する以外は、実施例1と同様の操作で白色ポリエステル組成物を得た。得られた白色ポリエステル組成物の特性を表1に示す。
【0034】
[実施例6]
白色ポリエステル組成物中の硫酸バリウム粒子の濃度を、表1に示す濃度に変更する以外は、実施例1と同様の操作で白色ポリエステル組成物を得た。得られた白色ポリエステル組成物の特性を表1に示す。
【0035】
[比較例1]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−1(平均粒径:0.7μm)を乾燥せずに使用する以外は実施例1と同様の条件で白色ポリエステル組成物を作製した。特性を表1に示す。
【0036】
[比較例2]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−1(平均粒径:0.7μm)を真空乾燥機にて200℃、10KPaの条件で1時間乾燥したものを使用する以外は実施例1と同様の条件で白色ポリエステル組成物を作製した。特性を表1に示す。
【0037】
[比較例3]
実施例1と同様で未乾燥の不活性無機粒子およびポリエステル樹脂を、タンデム型ではない二軸混練押出機:神戸製鋼所製KTX−46型機(L/D=53)にそれぞれ定量性を持つスクリューフィーダーより連続定量供給し、スクリュー回転速度400rpm、シリンダー温度230℃、真空度50Paの条件にて混練処理後、ストランド状に押し出し、これをカッティングして、硫酸バリウム粒子濃度60%の白色ポリエステル組成物からなるペレットを得た。このときの生産能力(速度)は50kg/hrとした。得られた白色ポリエステル組成物の特性を表1に示す。
【0038】
[比較例4]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−2(堺化学社製)(平均粒径:1.2μm)を乾燥せずに使用する以外は実施例1と同様の条件で白色ポリエステル組成物を作製した。特性を表1に示す。
【0039】
[比較例5]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−1(平均粒径:0.7μm)を真空乾燥機にて200℃、10KPaの条件で4時間乾燥したものを、硫酸バリウム粒子の含有量が75重量%になる条件で白色ポリエステル組成物を作製した。特性を表1に示す。
【0040】
[比較例6]
不活性無機粒子として、硫酸バリウム粒子B−1(平均粒径:0.7μm)を乾燥せずに使用し、ポリエステル樹脂を140℃で6時間事前に乾燥する以外は実施例1と同様の条件で白色ポリエステル組成物を作製した。特性を表1に示す。
【0041】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の白色ポリエステル組成物の製造方法は、不活性無機粒子を高度に混練分散することができ、かつ、混練時の熱劣化や色相の悪化も抑制することが可能なことから、特に液晶ディスプレイ用反射板基材等に使用される白色ポリエステルフィルムに好適な白色ポリエステル組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性無機粒子を、含水率500ppm以下になるまで乾燥させ、その状態で組成物の重量を基準として、5〜70重量%の含有量になるようにポリエステルと溶融混練することを特徴とする白色ポリエステル組成物の製造方法。
【請求項2】
溶融混練をタンデム型二軸混練押出機で行う請求項1記載の白色ポリエステル組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法で得られた白色ポリエステル組成物。

【公開番号】特開2012−172043(P2012−172043A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34688(P2011−34688)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】