説明

白色単層ポリエステルフィルム及びそれを用いた面光源反射部材

【課題】製膜性、白色性、反射性、軽量性、耐光性に優れた白色フィルム提供すること、およびそれを用いることにより輝度特性に優れた面光源を提供すること。
【解決手段】ポリエステル樹脂(A)、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)および無機粒子(C)を有してなるポリエステルフィルムであって、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の含有量が、ポリエステルフィルムに対し、3重量%以上15重量%以下であり、無機粒子(C)の含有量が、ポリエステルフィルムに対し、8重量%以上20重量%以下であり、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が180℃以上であり、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)がフィルム中において体積平均分散径1.5μm以下にて分散しており、フィルムが、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核とした空隙を有し、かつ、比重が0.55〜0.99であることを特徴とする白色単層ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色フィルムの改良に関し、さらに詳しくは面光源用反射部材(反射板、およびリフレクター)として好適な白色フィルムであって、反射特性、製膜性、耐光性を単層にもかかわらず両立することができる白色フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報表示機器などで多用されている液晶ディスプレイは、高い輝度を確保するために、ディスプレイ後部にバックライトと呼ばれる面光源を設置して光を照射している。また、バックライトは、単に光を照射するだけでなく、画面全体を均一に照射する必要がある。この特性を満たす方式として、サイドライト型及び直下型と呼ばれる面光源の構造がある。中でも、ノート型パソコン等に使用される薄型ディスプレイには、サイドライト型、つまり画面に対し側面から光を照射するタイプのバックライトが適用されている。
【0003】
一般的に、このサイドライト型では、導光板のエッジから冷陰極線管を照明光源とし、光を均一に伝播・拡散する導光板を利用し液晶ディスプレイ全体を均一に照射する導光板方式が採用されている。この方式は、より光を効率的に活用するため、冷陰極線管の周囲にリフレクターが設けられ、更に導光板から拡散された光を液晶画面側に効率的に反射させるために導光板の下に反射板が設けられている。これにより冷陰極線管からの光のロスを少なくし、液晶画面を明るくする機能を付与している。
【0004】
一方、液晶テレビのような大画面用では、サイドライト方式では画面の高輝度化が望めないことから、直下型ライト方式が採用されている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列するもので、反射板の上に平行に冷陰極線管が並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。
【0005】
このような液晶画面用の面光源に用いられるリフレクターや反射板(面光源反射部材と総称する)には、薄膜であることと同時に高い反射機能が要求され、従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルム、もしくはこれらのフィルムとプラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。これらの中で、特に非相溶樹脂の微粒子を含むシートを延伸して得られる内部に微細な気泡を含有させたフィルムは輝度の向上効果や均一性に優れることから幅広く用いられている(特許文献1、2、3)。
【0006】
近年では、テレビ、パソコン、携帯機器をはじめとした様々な機器に液晶ディスプレイが浸透している。画像もより高精細なものが求められるのに伴い、液晶ディスプレイの明るさを増して画像をより鮮明に、より見やすくする改良が進められており、照明光源(例えば、冷陰極線管)もより高輝度、高出力のものとなっており、反射板も光反射性の向上が求められている。また、反射板は蛍光管から発せられる高出力の光に長時間曝されることになるため、耐光性が低いと、長期使用中に光劣化して高い光反射性が維持できなくなるため、高い耐光性が求められている。以上の背景から、反射率向上及び耐光性向上のためには、内部に気泡を形成するための非相溶樹脂粒子を高濃度で添加し、さらに耐光性などの機能を有する必要がある。
【0007】
しかしながら、非相溶樹脂粒子及び耐光性を有する成分を同時に高濃度で含む単層のシートを延伸する場合、非相溶樹脂粒子及び耐光性を有する成分が表面から脱落して工程を汚染したり、空隙を多数含有するためにフィルム破れが多発してシート化が困難であった。そこで、空隙を含有する反射機能を持つ層と空隙を含有せずに耐光性を付与した層を機能別の層として積層する方法が行われている(特許文献1、2、3)。
【0008】
また、従来技術として単層で非相溶性成分及び耐光性を有する成分を同時に含むフィルムが知られている(特許文献4、5、6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−98660号公報
【特許文献2】特開2005−350615号公報
【特許文献3】特開2009−173015号公報
【特許文献4】特開平8−48792号公報
【特許文献5】特許第4306294号公報
【特許文献6】特表2009−516049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1、2、3に記載の方法を用いれば、工程汚染等の問題は軽減されるが、生産性に劣り、多層化するためにコストの面で劣る。
【0011】
また、特許文献4、5、6に記載のフィルムにおいて、反射性及び耐光性を向上させようとするならば、高延伸倍率化して比重を低くする必要があり、安定に製膜し難くなり生産性及びコストの面で劣る。逆に製膜性を優先させると反射性及び耐光性が低下し、比重が高くなり、特性及びコストの面で劣る。
【0012】
すなわち、従来の技術では、工程を汚染せず、経済性、反射性、製膜性、耐光性、及び軽量性の全てを兼ね備えた単層の白色フィルムを得ることは困難である。
【0013】
そこで、本発明は、上記従来の検討では達成し得なかった優れた経済性(工程非汚染性)、製膜性、白色性、反射性、及び軽量性を有する白色単層フィルム提供することを課題とする。また、その白色フィルムを用いることにより輝度特性に優れた面光源反射部材を安価に提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を用いるものである。すなわち、本発明の白色フィルムは、
ポリエステル樹脂(A)、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)および無機粒子(C)を有してなるポリエステルフィルムであって、
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の含有量が、ポリエステルフィルムに対し、3重量%以上15重量%以下であり、
無機粒子(C)の含有量が、ポリエステルフィルムに対し、8重量%以上20重量%以下であり、
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が180℃以上であり、
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)がフィルム中において体積平均分散径1.5μm以下にて分散しており、
フィルムが、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核とした空隙を有し、
かつ、比重が0.55〜0.99であることを特徴とする白色単層ポリエステルフィルム、
である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、反射特性及び耐光性を兼ね備えた白色フィルムを積層化することなく単層で容易かつ安価に安定して製造することができ、特にこの白色フィルムを面光源内の反射板やリフレクターとして用いた時、液晶画面を明るく照らし、液晶画像をより鮮明かつ見やすくすることができ、また長期使用における光劣化を抑制することができ有用なものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)白色フィルム
(1.1)白色フィルムの構成
本発明の白色フィルムは、ポリエステル樹脂(A)、該ポリエステル樹脂(A)とは非相溶の非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)、および白色無機粒子(C)を有していることが必要である。また、該非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核とした空隙を有していることが必要である。
【0017】
ポリエステル樹脂(A)と、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を用いることにより、後述するような方法により容易に非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核として、その周りに気泡を含有させることが可能となり、その結果、低比重かつ、高い反射特性を有する白色フィルムを製造することが可能となる。白色無機粒子(C)の周りには空隙が生成しづらいが、生成してもよい。
【0018】
本発明の白色フィルムは、上述の構成からなる単層の白色ポリエステルフィルムであって、反射光の光拡散性を制御したり、高い機械的強度をフィルムに付与したり、製膜性を付与したり、その他付随する機能を有する層は積層されていない。多層フィルムとすることは、原料や用役等の使用量が増加して環境及びコストへの負荷が増加し、プロセスが複雑になり、汎用性に乏しく、限られた装置でしか生産できないため、好ましくない。
【0019】
ここでいう単層とは、溶融押出に際して、1つの押出機にて原料を溶融混練して得られたフィルムをいう。また、2つ以上の押出機を用いて、同じ組成の原料を溶融混練して得られたフィルムも含まれる。
【0020】
なお、白色フィルムの製造工程内において、いわゆるインラインコーティング法を用いて、塗布層を設けたフィルムも、単層の白色フィルムに含めるものとする(ただし、上述した理由により、塗布層を有しないことが好ましい)。なお、塗布の手段としては、例えばグラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアナイフコート、ディッピングなどの方法を用いることができる。
【0021】
本発明の白色フィルムの厚みは10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。厚みが10μm未満の場合、製膜性に乏しい上、反射性が低いため、好ましくない。一方、500μmより厚い場合、光反射フィルムとして液晶ディスプレイなどに用いた場合、厚みが大きくなり、液晶ディスプレイの薄型化の需要の観点から、好ましくない。
【0022】
本発明の白色フィルムの厚みを上述の範囲にするためには、押出機からの樹脂の溶融押出量及び未延伸シートを延伸する工程の速度の調整により可能となる。
【0023】
(1.2)非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)
本発明の白色フィルムにおいて、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)としては、マトリックスとなるポリエステル樹脂(A)に非相溶であり、ガラス転移温度(Tg)が180℃以上であれば特に限定されないが、反射性の観点から、透明性の高いものが好ましい。また、組成や、溶融粘度などの異なる複数の非晶性シクロオレフィン系樹脂を用いたり、他の非晶性シクロオレフィン系樹脂やその他樹脂と共重合してもよい。ここでいう非晶性樹脂とは、昇温速度20℃/分で測定した示差走査熱量測定による結晶融解熱が1cal/g未満である樹脂を指す。
【0024】
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の具体例としては、透明性、耐熱性の観点から、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン、テトラシクロアルケン及びペンタシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種のシクロオレフィンと、エチレン、プロピレン等の直鎖オレフィンからなるコポリマーが挙げられる。
【0025】
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)におけるシクロオレフィンの代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、2−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5〕−3−デセン、5−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン、10−メチル−トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン等がある。
【0026】
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)における直鎖オレフィンの代表例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等がある。
【0027】
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)は、上述したシクロオレフィンとオレフィンを公知の方法(例えば特開昭61−271308、WO2007/060723)により重合したり、上市されている商品(例えば“TOPAS”(ポリプラスチックス(株)製))を購入することにより得ることができる。
【0028】
本発明の白色フィルムに含まれる非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)は、そのガラス転移温度(Tg)が180℃以上であることが必要である。より好ましくは185℃以上、さらに好ましくは190℃以上である。かかる範囲にすることにより、溶融押出工程での混練時において、マトリックス樹脂中により微細に分散し、縦延伸時(フィルム長手方向の延伸時)の高出力の表面熱処理においても、熱による核剤の変形が抑制されるために、フィルム内部の空隙をよりはっきりと形成することができ、横延伸時(フィルム幅方向の延伸時)の熱処理工程における空隙の消失をより抑制することができるためである。かかるガラス転移温度(Tg)が180℃に満たないと、延伸時及び延伸後のフィルム熱処理の際に、核剤である非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)が偏平になりやすく、その結果、それを核として形成された空隙が減少・または消失して、反射特性が低下する場合がある。また、反射特性を維持しようとして、熱処理温度を低温化すると、フィルムの寸法安定性が低下する場合があるため、好ましくない。
【0029】
本発明の白色フィルムにおいて、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)の上限は特に定められるものでないが、好ましくは280℃未満、より好ましくは250℃未満、さらに好ましくは220℃未満がよい。本発明の白色フィルムにおいて、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が280℃以上となると、溶融押出時に十分に軟化せずに微分散化が促進されないのみならず、溶融押出後のフィルターを閉塞させたり、濾圧を上昇させたりすることが考えられるためである。
【0030】
また、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)を前述の範囲に制御するためには、例えば非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)中のシクロオレフィン成分の含有量を増やし、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量を減らすことが挙げられる。具体的には、シクロオレフィン成分は60モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は40モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、シクロオレフィン成分は70モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は30モル%未満、さらに好ましくはシクロオレフィン成分が80モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が20モル%未満である。特に好ましくはシクロオレフィン成分が90モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が10モル%未満である。かかる範囲にすることにより、非晶性シクロオレフィン系コポリマーのガラス転移温度(Tg)を前述の範囲まで高めることができる。
【0031】
また、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の直鎖オレフィン成分は特に制限されるものではないが、反応性の観点からエチレン成分が好ましい。さらに、シクロオレフィン成分も特に制限されるものではないが、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性・透明性・高Tgの点から好ましい。
【0032】
本発明の白色フィルムにおいて、上述の非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)は、白色ポリエステルフィルムを構成する全材料の合計重量100重量%において、3重量%以上15重量%以下含有されていることが必要である。好ましくはシクロオレフィン系コポリマー(B)の含有量は3〜10重量%、さらに好ましくは3〜8重量%である。
【0033】
本発明の白色フィルムにおいて、白色ポリエステルフィルムを構成する全材料の合計重量100重量%において非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の含有量が3重量%未満であると、白色性や光反射特性及び比重に劣ることがある。一方、白色ポリエステルフィルムを構成する全材料の合計重量100重量%において非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の含有量が15重量%を越えると、延伸時のフィルム破れや後加工の際に粉発生等の不都合を生じたり、得られたフィルムを液晶ディスプレイの面光源反射板などに用いた場合、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の光劣化による黄色味が目立つようになり、耐光性の指標である劣化促進試験前後での色調b値の変化量(Δb値)5.0以下を満たさない場合がある。含有量をかかる範囲内にすることにより、十分な製膜性・白色性・反射性・軽量性を発現させることができる。
【0034】
(1.3)白色無機粒子(C)
本発明の白色フィルムにおいて、白色無機粒子(C)としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウム等を挙げることができる。
【0035】
これらの中で、フィルムの巻取り性、長時間の製膜安定性、反射特性向上もさることながら、特に耐光性向上の観点から、UV吸収能を有する白色無機系微粒子を含有せしめることが特に好ましい。かかる観点より、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、が好ましく、酸化チタンが最も好ましい。
【0036】
これらの白色無機系微粒子は、単独でも2種以上を併用してもよい。また、多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには本発明の効果を阻害しない範囲内において、樹脂に対する分散性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。
【0037】
また、本発明に使用される白色無機粒子(C)は、フィルム中での体積平均粒子径が0.05〜3μmであることが好ましく、より好ましくは0.07〜1μmである。白色無機粒子(C)の体積平均粒子径が上記範囲外である場合、凝集などによる白色無機粒子(C)の均一分散性不良、あるいは粒子自身によってフィルム表面の光沢または平滑性が低下する場合がある。
【0038】
また、本発明において、白色無機粒子(C)の含有量は、ポリエステルフィルムに対し、8重量%以上20重量%以下であることが必要であり、さらには10〜20重量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0039】
白色無機微粒子の含有量が8重量%より少ない場合には、フィルムの耐光性、白色性、隠蔽性などの特性を向上させることが難しくなることがあり好ましくない。白色無機粒子(C)の含有量が20重量%を超えると、フィルムの比重が増加したり、白色無機粒子(C)の光吸収能により高反射特性を得ることが困難になったり、フィルム表面の平滑性が低下しやすくなるだけでなく、延伸時のフィルム破れや後加工の際に粉発生等の不都合を生じる場合がある。
【0040】
本発明の白色フィルムにおいて、白色無機粒子(C)として酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを用いた場合、これを核とした微細な空隙を形成することが可能である。しかしながら、無機粒子は粒子形状が球面状になりにくい為、均一な空隙を形成することが難しい。
【0041】
(1.4)ポリエステル樹脂(A)
本発明の白色フィルムにおいて、ポリエステル樹脂(A)は、後述するポリエステル樹脂(a1)を用いてなるものであっても良いが、ポリエステル樹脂(a1)と後述するポリエステル樹脂(a2)を含むことが好ましい。
【0042】
なお、本発明において、ポリエステル樹脂(A)の含有量は、ポリエステルフィルムに対し、64重量%以上89重量%以下であることが好ましい。
【0043】
(1.4.1)ポリエステル樹脂(a1)
本発明の白色フィルムにおいて、ポリエステル樹脂(a1)は、1)ジカルボン酸成分もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体骨格と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。
【0044】
1)において、かかるポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体などが代表例として挙げられるが、これらに限定されず、例えば多官能酸である、トリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体等も好適に用いることができる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
【0045】
また、上述のジカルボン酸成分のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物も好ましく用いられる。
【0046】
また、1)においてかかるポリエステル樹脂を構成するジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などの芳香族ジオール類等のジオールなどが代表例としてあげられるがこれらに限定されない。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
【0047】
また、2)において、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体骨格と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物等が挙げられる。
【0048】
本発明の白色フィルムに用いられるポリエステル樹脂(a1)は、上述の化合物を適宜組み合わせて重縮合させることで得ることができる。
【0049】
本発明の白色フィルムに用いられるポリエステル樹脂(a1)に好適に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PEN)、ポリプロピレンテレフタレート(以下、PPT)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBT)などが挙げられる。
【0050】
ポリエステル樹脂(a1)として、上述の樹脂を用いることにより、高い無着色性を維持しつつ、フィルムとしたときに高い機械強度を付与することができる。より好ましくは、安価でかつ耐熱性が優れるという点で、PET、またはPENが好ましい
(1.4.2)ポリエステル樹脂成分(a2)
ここで、本発明の白色フィルムにおいて、該ポリエステル樹脂(A)がポリエステル樹脂成分(a2)を有し、該ポリエステル樹脂成分(a2)が炭素数4以上8以下の脂環式ジオール成分を含有することが好ましい。ここで、本発明における炭素数4以上8以下の脂環式とは、シクロアルカン(cycloalkane)のことであり、一般式 C2n(ただし4≦n≦8)であらわされる環式脂肪族炭化水素の総称である。
【0051】
炭素数4以上8以下の脂環式ジオールとは、炭素数4以上8以下の環式脂肪族炭化水素部分とジオール部分の両方の構造をあわせもつ物質をさす。すなわち、炭素数4以上8以下の脂環式ジオールの具体例としては、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロへキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロプロパンジメタノール、シクロブタンジメタノール、シクロペンタンジメタノール、シクロへキサンジメタノール、シクロヘプタンジメタノール、シクロオクタンジメタノールなどがあげられる。
【0052】
炭素数4以上8以下の環式脂肪族炭化水素部分に結合するジオール成分は、環式脂肪族炭化水素部分のいずれの炭素原子と結合してもかまわないが、例えば環式脂肪族炭化水素部分がシクロヘキサンの場合、1,4−の位置にジオール成分が結合していることが好ましい。
【0053】
上記の炭素数4以上8以下の脂環式ジオールのうち、モノマーの価格とポリエステル樹脂(特にPET)との混合が容易であるという点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)が特に好適に使用される。
【0054】
なお、本発明におけるジオール成分とは、ジオールとして存在している成分に限定されず、ポリエステルの構成成分、例えば共重合体として含有、またはこれら樹脂の混合物として含有する場合も含まれる。
【0055】
本発明の白色フィルムにおいて、脂環式ジオール成分の炭素数が、4未満および9以上であると、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のシクロオレフィン部分との相互作用が小さく、微分散化効果が不十分となり反射特性が大幅に低下する傾向にあるため好ましくない。すなわち、本発明の白色フィルムにおいて、炭素数4以上8以下の脂環式ジオール成分を導入することによって、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を用いた場合、炭素数4以上8以下の脂環式ジオールの環式脂肪族炭化水素部分と、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のシクロオレフィン部分との相互作用が可能となり、マトリックス中に微分散可能となり、その結果、得られるフィルムの反射特性をさらに高めることができるのである。
【0056】
本発明の白色フィルムにおいて、ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量は、フィルム全体に対して1.2重量%〜36重量%が好ましい。より好ましくは1.9重量%〜30重量%、更に好ましくは2.4重量%〜26重量、最も好ましくは3.3重量%〜20重量%である。ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量が1.2重量%に満たないと、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の微分散効果が低下し、反射性能が低下することがあるため、好ましくない。また36重量%を超えると、白色フィルムの耐熱性が低下し、高温下に曝されたときに寸法変化が大きくなることがあるため好ましくない。本発明の白色フィルムにおいて、ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量を1.2〜36重量%とすることで、反射性と寸法安定性を兼ね備えた白色フィルムとすることができる。
【0057】
(1.5)その他添加物
本発明の白色フィルムには、マトリックスに非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)をより微分散させるために、ポリエステル樹脂(A)に、さらに分散剤(D)を添加することが好ましい。
【0058】
分散剤(D)を添加することにより、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の分散径をさらに小さくすることが可能となり、その結果、延伸により生成する空隙をより多量化かつ微細化でき、結果的にフィルムの白色性、反射性、軽量性を高めることができるためである。
【0059】
かかる分散剤(D)の種類は特に限定されないが、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体または共重合体、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、界面活性剤および熱接着性樹脂等を用いることができる。もちろん、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0060】
中でも、ポリエステル成分とポリアルキレングリコール成分からなるポリエステル-ポリアルキレングリコール共重合体(D)が特に好ましい。
【0061】
この場合、ポリエステル成分としては、炭素数が2〜6の脂肪族ジオール部分と、テレフタル酸および/またはイソフタル酸部分からなるポリエステル成分が好ましい。また、ポリアルキレングリコール成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の成分が好ましい。
【0062】
特に好ましい組み合わせとしては、ポリエステル成分にはポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートを、ポリアルキレングリコール成分にはポリエチレングリコールもしくはポリテトラメチレングルコールを用いた組み合わせである。中でも、ポリエステル成分にはポリブチレンテレフタレートを、ポリアルキレングリコール成分にはポリテトラメチレングルコールを用いた組み合わせ、もしくはポリエステル成分にはポリエチレンテレフタレートを、ポリアルキレングリコール成分にはポリエチレングリコールを用いた組み合わせが特に好ましい。
【0063】
本発明で用いられる分散剤(D)の添加量は特に限定されるものではないが、マトリックスを構成する全樹脂100重量%に対して、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは2〜25重量%であり、さらにより好ましくは5〜20重量%である。添加量が0.1重量%より少ない場合、気泡を微細化する効果が小さくなることがあるため好ましくない。また、添加量が30重量%より多い場合には、耐熱性が低下し、寸法安定性を付与するためにフィルムの熱処理を実施した時にマトリックスが軟化し、その結果、空隙が減少または消失して、反射特性が低下したりする場合がある。また、反射特性を維持しようとして、熱処理温度を低温化すると、その場合にフィルムの寸法安定性が低下する場合があり、生産安定性の低下やコスト上昇などの問題も発生することがあるため、好ましくない。本発明の白色フィルムにおいて、全マトリックス成分に対する分散剤(D)の添加量を上述の範囲に制御することによって、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の分散効果を十分に発揮させつつ、フィルム製膜性や機械特性を維持することができる結果、高い反射率と寸法安定性を両立させることが可能となる。
【0064】
本発明の白色フィルムには、必要に応じて本発明の効果が損なわれない量での適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0065】
(2)フィルム特性
本発明では、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)が、フィルム中において、体積平均粒径Dv1.5μm以下で分散していることが必要である。より好ましくは体積平均粒径Dvが1.4μm以下、更に好ましくは1.3μm以下である。本発明の白色フィルムにおいて、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の体積平均粒径Dvが1.5μmを上回ると、白色フィルム中に非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核とした空隙を多数含有させることが困難となったり、粗大な気泡が形成される結果、フィルム厚み方向に多数の気固界面を形成させることが困難になる。そのため、白色フィルムとしての白色性、反射特性、軽量性に劣り、また液晶表示装置に組み込んでも輝度特性に劣ることがあるため好ましくない。本発明の白色フィルムにおいて、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の体積平均粒径Dvを1.5μm以下とすることによって、白色フィルムとしての高い反射特性を得ることができる。
【0066】
本発明の白色フィルムにおいて、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の体積平均粒径Dvを1.5μm以下とするためには、上述したように、ポリエステル樹脂成分(a2)及び分散剤(D)を含有させる方法が、好ましく用いられる。
【0067】
本発明の白色フィルムは、比重が0.55〜0.99であることが必要である。より好ましくは0.55〜0.95、さらに好ましくは0.55〜0.90である。ここでいう比重とは、白色フィルムを5cm×5cmの大きさに切りだしたものを5枚用意し、JIS K7112(1980)に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いてそれぞれを測定した平均値である。比重がかかる範囲を外れて低くなると、フィルムの強度が低下し、フィルムが破断しやすくなるため、製造方法としても不利となるため、量産には不向きであることに加え、液晶ディスプレイの反射板として用いるときの要求強度を満たすこともできなくなってしまうため、好ましくない。逆に比重がかかる範囲を外れて高くなると、空隙含有構造に由来する反射性が不十分となったり、単位体積あたりの樹脂量が多くなり、光劣化しやすく耐光性が低くなってしまうため、好ましくない。
【0068】
本発明の白色フィルムにおいて、比重を0.55〜0.99にする方法としては、1)非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の含有量を増やす、2)非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の体積平均粒径Dvを小さくする、3)延伸を高倍率化する、などが挙げられる。
【0069】
本発明の白色フィルムは相対反射率が100%以上であることが好ましい。より好ましくは100.5%以上、更に好ましくは101%以上である。ここでいう相対反射率とは、内面が硫酸バリウム製の積分球、10°傾斜スペーサーを備えた分光光度計、標準白色板として酸化アルミニウムを用いて、入射角10°で光を入射させたときの反射率を波長560nmの範囲で測定し、標準白色板の反射率を100%としたときの相対反射率を、波長560nmで平均して得られる反射率のことである。本発明の白色フィルムにおいて、相対反射率を100%以上とすることによって、白色性、反射特性に優れた白色フィルムとすることができ、特に液晶表示装置用として用いた場合に高い輝度向上効果を得ることができる。
【0070】
ここで、本発明の白色フィルムの相対反射率を上述の範囲に調整するためには、1)フィルム内部の非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の分散径、比重を前述の範囲に制御する、2)フィルム厚みを厚くする、などによって得ることができる。
【0071】
本発明の白色フィルムは、劣化促進試験前後での色調b値の変化量(Δb値)が5.0以下であることが好ましい。より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。ここでいうΔb値とは、劣化促進前の当該白色フィルムの色調b値を分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS Z−8722(2000)に準じた光学条件にて測定し、JIS K−7105(1981)に準じた色差bとして求め、当該白色フイルムを超促進耐候性試験装置アイスーパーUVテスター SUV−W131(岩崎電気株式会社製)で50℃、RH80%条件下で48時間UV照射(波長:295〜450nm、照度:100mW/cm(±5%))した後、初期の色調b値を測定した条件で同様に測定し、初期とUV照射後の値の差である。
【0072】
ここで、従来の白色フィルムでは、反射性、比重、耐光性及び製膜性を同時に上述の範囲に調整するためには、フィルムを積層化し、かつ該積層フィルムの内層としてポリエステルなどのマトリックス樹脂と該マトリックス樹脂に非相溶な樹脂を核とした空隙を有する層を設けて反射性を発現させ、最外層に白色無機粒子などを添加して耐光性を発現させ、最外層を保持層として高延伸倍率化させることにより空隙を拡げて比重を下げかつ製膜性も維持するという方法であった。本発明の白色フィルムにおいては、積層フィルムのような支持層を含まず単層で上記のような特性を持たせることができる。
【0073】
具体的には、本発明の白色フィルムでは、反射性を上げるために非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核として空隙を含有せしめ、耐光性を付与するために白色無機粒子(C)を含有せしめている。かかる方法は従来より行われているが、優れた製膜性、白色性、反射性、耐光性、及び軽量性を単層で同時に達成した例はない。例えば反射性、耐光性を付与すべく多量の空隙を含有せしめるために、多量の核剤を投入した場合、延伸時のフィルム破れや粉発生等による工程汚染及び後加工での取り扱い性悪化を生じる場合があるため、高延伸倍率化できない。そのため、高反射率たらしめるに十分な大きさ及び量の空隙を生成させることができず、単層での安定した製膜性、反射特性向上、及び軽量化の全てを両立させるのは困難であった。
【0074】
本発明の白色単層フィルムでは、延伸時のフィルム破れや粉発生等による工程汚染及び後加工での取り扱い性悪化を生じさせないために、縦延伸において、延伸中に赤外線ヒーターにより表面温度を従来よりも高くすることで、反射特性向上及び軽量化のための高延伸倍率化を可能にすることができる。
【0075】
赤外線ヒーターの出力は35〜150W/cmが好ましく、より好ましくは40〜100W/cm、さらに好ましくは50〜80W/cmである。赤外線ヒーターの出力が150W/cmよりも大きくなると、フィルムが軟化してしまい、安定製膜できないため、好ましくないことがある。赤外線ヒーターの出力が35W/cm未満になると、延伸時に表層付近の非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核剤とした空隙が、延伸時に開口して核剤が脱落して粉が発生するため、好ましくない。赤外線ヒーター出力をかかる範囲にすることにより、白色単層フィルムの表面付近のポリエステルマトリックスがフィルムの表面以外の部分のマトリックス(ポリエステル)よりも軟化するため、表面付近は非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核剤とした空隙が成長しにくくなるため、表面付近の空隙が開口せず脱落をおさえることができる。また、白色単層フィルムの内部まで熱が到達するまでに延伸が完了するため、高反射率たらしめるに十分な大きさ及び量だけ生成する。さらに表面付近のボイドが少ないために破れにくく、多くの核剤を添加していても高倍率に延伸することが可能となりさらに高反射率を達成することができる。
【0076】
赤外線ヒーターとフィルムの距離は5〜100mmが好ましく、より好ましくは10〜50mmであり、さらに好ましくは10〜20mmである。赤外線ヒーターとフィルムの距離が100mm以上であると、上述した赤外線ヒーター出力範囲では赤外線がフィルムに届くまでに減衰し、フィルムの表面温度を上げることができないため、好ましくない。赤外線ヒーターとフィルムの距離が5mm以下であると、上述した赤外線ヒーター出力範囲では、フィルム厚み方向全体が軟化してしまい、安定製膜できないため、好ましくない。
【0077】
赤外線ヒーターの本数は1本でも複数本でも特に限定されないが、照射ゾーンを通過する時間が0.2〜2秒間が好ましい。さらに好ましくは0.4秒〜1秒間である。製膜速度が遅い場合は1本でもかまわないが、製膜速度が早い場合、複数本並べることが好ましい。上限は特に規定されないがロール間の空隙から実際は4本が上限である。本発明でいう照射ゾーンはヒーター1本あたり40mmとし重複を除した距離をいう。通過する時間が0.2秒未満では昇温が十分にされず、また2秒以上ではフィルム内部の温度が高温になるため反射率が小さくなり好ましくない。
【0078】
また、赤外線ヒーターはフィルムの片面にのみ設置しても良いが、両面に設置することが好ましい。このとき、上記赤外線ヒーターの出力は片面あたりの出力をいう。
【0079】
また、本発明の白色単層フィルムでは、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を3〜15重量%、及び白色無機粒子(C)を8〜20重量%分散させたフィルムであり、該非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が180℃以上であり、該非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)がフィルム中において体積平均分散径1.5以下にて分散していることが重要であり、かかる条件を満たした場合に、上述した赤外線ヒーター高出力表面処理による方法を適用することにより、効果的に安定して高性能な白色単層ポリエステルフィルムを効率的に得ることができる。
【0080】
これにより、従来の白色単層フィルムでは達成し得なかった、優れた経済性、製膜性、白色性、反射性、耐光性、及び軽量性を有する白色単層ポリエステルフィルムを製造することが可能となる。
【0081】
(3)製造方法
ポリエステル樹脂(a1)の製造方法について、その一例を説明するが、かかる例のみに限定されるものではない。
【0082】
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を、得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行って、ポリエチレンテレフタレートペレット(ポリエステル樹脂(a1))を得ることが出来る。
【0083】
ポリエステル樹脂(a2)の製造方法について、その一例を説明するが、かかる例のみに限定されるものではない。
【0084】
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分として炭素数4以上8以下の脂環式ジオールを用い、触媒として酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いてアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し重縮合反応を行って、炭素数4以上8以下の脂環式ジオールとテレフタル酸を共重合したポリエステル樹脂(a2)を得ることが出来る。
【0085】
次に、本発明の白色フィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。
【0086】
ポリエステル樹脂(a1)とポリエステル樹脂(a2)と非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)と白色無機粒子(C)と分散剤(D)を含む混合物を、必要に応じて十分真空乾燥を行い、押出機を有する製膜装置の加熱された押出機に供給する。非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)及び白色無機粒子(C)の添加は、事前に均一に溶融混練して作製されたマスターチップを用いても、もしくは直接混練押出機に供給してもよい。ポリエステル樹脂成分(a2)の添加は、事前に均一にポリエステル樹脂(a1)と非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を含む混合物を溶融混練してマスターチップを添加する際に添加しても、もしくは直接混練押出機に供給するなどしてもよいが、事前に均一にポリエステル樹脂(a1)と非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を含む混合物を溶融混練してマスターチップを添加する際に添加するほうが、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の分散が促進されるという点でより好ましい。
【0087】
また、溶融押出に際してはメッシュ40μm以下のフィルターにて濾過した後に、Tダイ口金内に導入し押出成形により溶融シートを得ることが好ましい。
【0088】
この溶融シートを表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸単層フィルムを作製する。該未延伸単層フィルムを70〜120℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2.5〜4倍延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。この延伸時に上述した赤外線ヒーターによる表面熱処理を行っている。かかる赤外線ヒーターとしては、ヘレウス(株)製Twin Tube透明石英ガラス製カーボンヒーターが挙げられる。
【0089】
続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に2.5〜4倍に延伸する。
【0090】
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ2.5〜4倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸フィルムの反射率やフィルム強度が不十分となり、逆に面積倍率が16倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
【0091】
得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜240℃の温度で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却し、その後必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、本発明の白色フィルムを得ることができる。上記熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0092】
尚、一般に熱処理温度が高いほど、高い熱寸法安定性も高くなるが、本発明の白色フィルムは製膜工程において高温(190℃以上)で熱処理されることが好ましい。本発明の白色フィルムは一定の熱寸法安定性を有することが望まれるためである。本発明の白色フィルムは液晶ディスプレイなどに搭載されている面光源(バックライト)の反射フィルムとして用いられることがある。バックライトによってはバックライト内部の雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがあるためである。
【0093】
特に、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のガラス転移温度Tgを上述の温度範囲にすることにより、高温下での熱処理でも、空隙を生じさせるための核剤たる非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)がより熱変形せずに(潰れずに)、空隙を維持することができ、結果として、高い白色性、反射特性、及び軽量性を維持しつつ、耐光性に優れたフィルムを得ることができるため好ましい。
【0094】
また、二軸延伸の方法は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよいが、同時二軸延伸法を用いた場合は、製造工程のフィルム破れを防止できたり、加熱ロールに粘着することによって生ずる転写欠点が発生しにくい。また二軸延伸後に長手方向、幅方向いずれかの方向に再延伸してもよい。
【0095】
(4)用途
本発明の白色フィルムは、白色性、反射特性、隠蔽性が必要な用途に適用可能であるが、特に好ましい用途としては。光反射のために面光源に組込まれる板状材があげられる。具体的には、液晶画面用のエッジライトの反射板、直下型ライトの面光源の反射板、および冷陰極線管の周囲のリフレクター、等に好ましく用いられる。
【0096】
(5)測定方法
A.製膜性
実施例・比較例において製膜した際に、フィルム破れがほとんど生じないものを◎、僅かに発生するものを○、若干発生するものを△、頻発するものを×とした。大量生産には△以上の製膜性が必要であり、○以上であるとさらにコスト低減効果がある。
【0097】
B.体積平均粒径Dv
各実施例・比較例で作製した白色フィルムを切り出し、ミクロトームを用いてフィルムTD方向(フィルム幅方向(以下、「横方向」ということもある))と平行方向の断面を切り出し、該断面を白金−パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡”JSM−6700F”で3000〜5000倍のフィルム断面写真を撮影した。得られた画像から、以下の1)〜4)の手順で体積平均粒径Dvを求めた。
【0098】
1)該画像中の断面内に観察される非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)について、それぞれその断面積Sを求め、下記式(1)にて求められる粒径dをそれぞれ求めた。
d=2×(S/π)1/2・・・(1)
(ただしπは円周率)
2)得られた粒径dを用いて、下記式(2)においてDvをもとめた。
Dv=Σ[4/3π×(d/2)×d]/Σ[4/3π×(d/2)] ・・・(2)
3)上記1)〜2)を、5箇所場所を変えて実施し、その平均値でもって、体積平均粒径Dvとする。なお、観察点1箇所に付き、2500μm以上の領域にて上記評価を実施する。
【0099】
また、無機粒子(C)の体積平均粒径も同様の方法で求めるものとする。
【0100】
C.比重
白色フィルムを5cm×5cmの大きさに切りだし、JIS K7112(1980)に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて測定した。なお、各白色フィルムについて5枚用意し、それぞれを測定し、その平均値でもって該白色フィルムの比重とした。
【0101】
D.相対反射率
分光光度計U−3410((株)日立製作所)に、φ60積分球130−0632((株)日立製作所)(内面が硫酸バリウム製)および10°傾斜スペーサーを取りつけた状態で560nmの光反射率を求めた。なお、光反射率は白色フィルムの両面について求め、より高い数値を当該白色フィルムの反射率とした。標準白色板には(株)日立計測器サービス製の部品番号210−0740(酸化アルミニウム)を用いた。
【0102】
E.耐光性(Δb値)
劣化促進前の当該白色フィルムの色調b値を分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS Z−8722(2000)に準じた光学条件にて測定し、JIS K−7105(1981)に準じた色差bを求めた。このフイルムを超促進耐候性試験装置アイスーパーUVテスター SUV−W131(岩崎電気株式会社製)で50℃、RH80%条件下で48時間UV照射(295〜450nm、照度100mW/cm(±5%))した後、初期の色調b値を測定した条件で同様に測定し、初期とUV照射後の値の差をΔb値とした。
【0103】
F.経済性(工程汚染性)
製膜中の縦延伸の冷却ロール群において、
2000mフィルムが通過した後にそのいずれかのロールの表面にフィルムの通過する面全体または端部に汚れが見られる場合をC、
1万mフィルムが通過した後に汚れの付着が見られる場合をB、
5万mフィルムが通過した後に付着が見られた場合をA、
5万mフィルムが通過した後でも、そのいずれかのロールの表面に汚れがつかない場合をSとした。
汚れの付着が見られる場合には、清掃が必要になり、清掃中は生産が出来ないため、生産性及びコストの観点からA以上である事が好ましく、より好ましくはSである。
【実施例】
【0104】
以下実施例等によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0105】
(原料)
・ポリエステル樹脂(a1)
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(PET)を得た。
【0106】
・ポリエステル樹脂(a2)
CHDM(シクロヘキサンジメタノール)共重合PETを用いた。グリコール成分に対し、シクロヘキサンジメタノール60mol%を前述の方法で共重合したPETである。
【0107】
・非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B−1)
ガラス転移温度が180℃であるシクロオレフィン系コポリマー「TOPAS」(ポリプラスチックス(株)製)を用いた。
【0108】
・非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B−2)
ガラス転移温度が210℃であるシクロオレフィン系コポリマーを特開昭61−271308及びWO2007/060723記載の公知の方法に従って重合した。
【0109】
・非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B−3)
ガラス転移温度が160℃であるシクロオレフィン系コポリマー「TOPAS」(ポリプラスチックス(株)製)を用いた。
【0110】
・非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B−4)
ガラス転移温度が165℃であるシクロオレフィン系コポリマー「JSR ARTON F5023」(JSR(株)製)を用いた。
【0111】
・非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B−5)
ガラス転移温度が145℃であるシクロオレフィン系コポリマー「Apel APL6015T」(三井化学(株)製)を用いた。
【0112】
なお、上記非晶性シクロオレフィン系コポリマーB−1〜3は化学式1に示すようにノルボルネン成分とエチレン成分より構成される。
【0113】
上記非晶性シクロオレフィン系コポリマーB−4は化学式2に示すように3環成分とエチレン成分より構成される。
【0114】
上記非晶性シクロオレフィン系コポリマーB−5は化学式3に示すように多環成分とエチレン成分より構成される。
【0115】
化学式1
【0116】
【化1】

【0117】
化学式2
【0118】
【化2】

【0119】
化学式3
【0120】
【化3】

【0121】
・無機粒子(C)
DIC(株)が販売している、平均粒径0.25μmの酸化チタンマスターペレットを使用した(マトリックス樹脂はポリエステル樹脂(a1)である)。
【0122】
・分散剤(D)
PBT-PAG(ポリブチレンテレフタレート-ポリアルキレングリコール)共重合体を用いた。該樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPAG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体であり、メルトインデックス(MI)が14(2.160g、240℃)である。なお、共重合比率は、ブチレンテレフタレート:アルキレングリコール=70mol:30molである。
【0123】
【表1】

【0124】
(実施例1〜14)
表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機に供給し、280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ口金に導入した。ここで、ポリエステル樹脂(a1)、ポリエステル樹脂(a2)を合計したポリエステル樹脂(A)、非晶性シクロオレフィンコポリマー(B)、白色無機粒子(C)、分散剤(D)は、白色ポリエステルフィルムを構成する全材料の合計重量100重量%において、表1に示す分量で配合した。
【0125】
次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融単層シートとし、該溶融単層シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸単層フィルムを得た。続いて、10m/minで搬送させながら該未延伸単層フィルムを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールにてフイルム全体を加熱し、表1に示す赤外線ヒーター出力にて表面を加熱しながら、長手方向(縦方向)に延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。
【0126】
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に表2に示す倍率でそれぞれ延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで190℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で6%幅方向に弛緩処理を行った後、更に140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取って、厚さ188μmの白色単層フィルムを得た。製膜性は表2に示す通りであった。この白色単層フィルムの断面を観察したところ、内部に該非晶性シクロオレフィン系コポリマーを核とした微細な空隙を多数含有していた。体積平均粒径を表2に示す。また、フィルムの各種特性を表2に示す。このように本発明の白色単層フィルムは反射性、耐光性、軽量性に優れた特性であった。
【0127】
(比較例1〜4)
それぞれ表1に示した原料を用いて、実施例1と同様の条件で製膜を行い、厚さ188μmの白色単層フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に該非晶性シクロオレフィン系コポリマーを核とした微細な空隙を多数含有していた。また、白色単層ポリエステルフィルム中の該非晶性シクロオレフィン系コポリマーの体積平均粒径を表2に示す。また、フィルムの特性を表2に示す。体積平均粒径、反射率、耐光性のうちいずれかが劣っていた。さらに、比較例2及び4では、工程汚染性が高く生産性に劣っていた。
【0128】
(比較例5)
ポリエステル樹脂(a1)、ポリエステル樹脂(a2)を合計したポリエステル樹脂(A)、非晶性シクロオレフィンコポリマー(B)、分散剤(D)を表1に示した分量で配合して、実施例1と同様の条件で製膜を行い、厚さ188μmの白色単層フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に該非晶性シクロオレフィン系コポリマーを核とした微細な空隙を多数含有していた。白色単層ポリエステルフィルム中の該非晶性シクロオレフィン系コポリマーの体積平均粒径を表2に示す。また、フィルムの特性を表2に示す。比重及び反射性は優れているものの耐光性が劣っていた。
【0129】
(比較例6)
ポリエステル樹脂(a1)、白色無機粒子(C)を表1に示した分量で配合して、実施例と同様の条件で製膜を行い、厚さ188μmの白色単層フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、空隙はほとんど見られなかった。また、フィルムの特性を表2に示す。優れた耐光性を有するものの、比重及び反射性が劣っていた。
【0130】
(比較例7)
表1に示すガラス転移温度の低い非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B−3)を用いた原料組成で、実施例1と同様の条件で製膜を行い、厚さ188μmの白色単層フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に該非晶性シクロオレフィン系コポリマーを核とした微細な空隙を多数含有していたが、該非晶性シクロオレフィン系コポリマーの体積平均粒径は、表2に示すように劣っていた。フィルムの特性を表2に示す。優れた比重及び耐光性を有するものの、反射性に劣っていた。
【0131】
(比較例8)
表1に示す非晶性シクロオレフィン系コポリマ(B−4)を用いた原料組成にて、実施例1と同様の条件で製膜を行い、厚さ188μmの白色単層フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に該非晶性シクロオレフィン系コポリマーを核とした微細な空隙を多数含有していたが、該非晶性シクロオレフィン系コポリマーの体積平均粒径は劣っていた。フィルムの特性を表2に示す。優れた耐光性を有するものの、比重及び反射性に劣っていた。
【0132】
(比較例9)
表1に示す非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B−5)を用いた原料組成にて、実施例1と同様の条件で製膜を行い、厚さ188μmの白色単層フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に該非晶性シクロオレフィン系コポリマーを核とした微細な気泡を多数含有していたが、該非晶性シクロオレフィン系コポリマーの体積平均粒径は、表2に示すように、劣っていた。フィルムの特性を表2に示す。優れた比重及び耐光性を有するものの、反射性に劣っていた。
【0133】
(比較例10)
表1に示す原料組成にて、実施例1と同様の条件で製膜を行い、厚さ188μmの白色単層ポリエステルフィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、気泡を含有していが、該シクロオレフィン系コポリマーの体積平均粒径は、表2に示すように、劣っていた。また、フィルムの特性を表2に示す。多くの特性において劣っていた。
【0134】
(比較例11)
表1に示す原料組成にて、赤外線ヒーター出力を160W/cmとした以外は実施例1と同様の条件で製膜を行ったところ、延伸時に熱垂れを起こし、二軸延伸(配向)フィルムを得ることはできなかった。
【0135】
(比較例12)
表1に示す原料組成にて、実施例1と同様の条件で製膜を行い、厚さ188μmの白色単層フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に該非晶性シクロオレフィン系コポリマーを核とした微細な気泡を多数含有していたが、該非晶性シクロオレフィン系コポリマーの体積平均粒径は、表2に示すように劣っていた。フィルムの特性を表2に示す。多くの特性において劣っていた。また、工程汚染性が高く生産性に劣っていた。
【0136】
【表2】

【0137】
COC:シクロオレフィン系コポリマー
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の白色フィルムは、経済性、製膜性、白色性、反射性、軽量性、耐光性に優れ、その白色フィルムを用いることにより輝度特性に優れた面光源を安価に提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂(A)、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)および無機粒子(C)を有してなるポリエステルフィルムであって、
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)の含有量が、ポリエステルフィルムに対し、3重量%以上15重量%以下であり、
無機粒子(C)の含有量が、ポリエステルフィルムに対し、8重量%以上20重量%以下であり、
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が180℃以上であり、
非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)がフィルム中において体積平均分散径1.5μm以下にて分散しており、
フィルムが、非晶性シクロオレフィン系コポリマー(B)を核とした空隙を有し、
かつ、比重が0.55〜0.99であることを特徴とする白色単層ポリエステルフィルム。
【請求項2】
560nmにおける相対反射率が100%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の白色単層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
劣化促進試験前後での色調b値の変化量(Δb値)が5以下であることを特徴とする、請求項1または2の白色単層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の白色単層ポリエステルフィルムを用いた面光源反射板。

【公開番号】特開2011−94026(P2011−94026A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249155(P2009−249155)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】