説明

白色反射フレキシブルプリント回路基板

【課題】本発明は、白色の散乱反射面(白色表面)を有するフレキシブルプリント回路基板であって、前記白色表面が、短波長光等の光が照射されても変色しにくい高い耐光劣化性、及び高温の環境に置かれても変色しにくい優れた耐熱劣化性を有し、さらに柔軟性に優れるフレキシブルプリント回路基板を提供する。
【解決手段】フレキシブルプリント回路基板、及び、白色反射材層からなる表面を有し、前記白色反射材層が、フッ素樹脂と無機白色顔料を含む樹脂組成物により形成されていることを特徴とする白色反射フレキシブルプリント回路基板、及びこの白色反射フレキシブルプリント回路基板及びその白色反射材層からなる表面側に搭載されたLEDを有することを特徴とする照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を白色の反射面とした白色反射フレキシブルプリント回路基板に関する。より具体的には、LEDを実装した照明装置等に用いられるフレキシブルプリント回路基板であって、白色の反射面を有する白色反射フレキシブルプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの高効率化の進展にともない、その利用範囲も、白熱電球やハロゲン電球等の代替光源としての照明装置や、フラットパネルディスプレイ、ヘッドランプ等へと拡がっている。例えば、特許文献1(特開2002−184209号公報)には、フレキシブル基板(フレキシブルプリント回路基板)と、このフレキシブル基板の一方の面に実装された複数の発光ダイオード(LED)からなる発光部を有する照明装置が提案されている(請求項1)。
【0003】
LEDを照明に用いる場合、素子の高効率化とともに、光の有効活用のための照明の高反射率化が望まれる。特許文献1では、フレキシブルプリント回路基板のLEDが実装されている面を反射面として高反射率化が図られた照明装置が開示されている(請求項2)。このようなフレキシブルプリント回路基板では、その反射面となる表面は、高反射率化のため反射率の高い材料(高反射率材)により形成されることが望まれる。
【0004】
一方、照明やヘッドランプ等にLEDが使用される場合は、直接目に見える箇所での使用となるので、設計に考慮されていない迷光の反射光が特定の角度にのみ照射されることは好ましくない。そこで、反射面としては白色の散乱反射面が好ましく、フレキシブルプリント回路基板の反射面を形成する材料としては白色の色合いを持った高反射率材が望まれる。
【0005】
フレキシブルプリント回路基板をはじめとする回路基板において、その表面の色合いは、ソルダーレジストやカバーレイと呼ばれる塗膜やフィルムで決まることが多い。ソルダーレジストの多くはエポキシ樹脂系の感光剤からなり、酸化チタン等の顔料を混合して白色とすることができる。一方、カバーレイはポリイミドの場合が多いが、ポリイミドは素材そのものが黄褐色である。そのため、この場合は、エポキシ樹脂等の別樹脂に白色顔料を混合した樹脂組成物を、ポリイミド表面に塗布して白色表面にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−184209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エポキシ樹脂系の感光剤に酸化チタン等の顔料を混合した材料によりなる白色表面、及び、ポリイミドの表面にエポキシ樹脂等に白色顔料を混合した樹脂組成物を積層して形成される白色表面、のいずれも初期の白色度や反射率は良好である。しかし、エポキシ樹脂を含む多くの樹脂材料は内部に多数の炭素−炭素2重結合を含むため、紫外線等の短波長光を吸収すると結合が切れ黄色もしくは褐色に変色しやすい。
【0008】
LEDの発光には短波長光が含まれることが多く、特に白色LEDは、青色LEDと蛍光体による黄色光の混合により白色としているので、その発光には紫外線等の短波長光が含まれる。そこで、前記のいずれの白色表面も、白色LEDからの短波長の光により黄色や褐色等に変色し、白色度が低下するとともに反射率が低下する問題があった。
【0009】
又、LEDを実装した照明装置、フラットパネルディスプレイ、ヘッドランプ等は、いずれも高輝度が求められるため投入電力が大きく、素子の発熱も大きくなり、例えば60℃以上等の高温の環境で使用されることが多い。そこで、フレキシブルプリント回路基板の反射面となる白色表面については、高温の環境に長時間置かれても白色度や反射率が低下しにくいとの性質、すなわち優れた耐熱劣化性が望まれる。しかしながら、従来のフレキシブルプリント回路基板では、その白色表面は、近年の要請を十分満たすような優れた耐熱劣化性を有しなかった。
【0010】
さらに又、照明装置、ヘッドランプ等の反射面は、曲面や段差形状である場合が多く、フレキシブルプリント回路基板が反射面として貼られる場合、曲面や段差形状に沿って変形される場合が多い。この場合、フレキシブルプリント回路基板の柔軟性が低い(剛性が大きい)と、曲面や段差形状への変形により大きな反発力が生じ、照明装置等の製造や照明装置等の性能について問題が生じる。そこで、フレキシブルプリント回路基板には優れた柔軟性(小さな剛性)が望まれるが、エポキシ樹脂等からなる材料により白色表面を形成する従来の方法を適用すると、フレキシブルプリント回路基板の厚みが増すとともにその柔軟性が低下しかつ屈曲時にクラックが生じる問題があった。
【0011】
このように従来のフレキシブルプリント回路基板において、照明装置の反射面となる白色表面は、耐光劣化性及び耐熱劣化性が十分でなくその改善が課題となっていた。又、照明装置用のフレキシブルプリント回路基板の反射面として好適に用いられるような、優れた反射率、白色度を有するとともに、耐光劣化性及び耐熱劣化性に優れ、さらに柔軟性に優れる白色反射フレキシブルプリント回路基板が望まれていた。
【0012】
本発明は、白色の散乱反射面(白色表面)を有するフレキシブルプリント回路基板であって、前記白色表面が、短波長光等の光が照射されても変色しにくい高い耐光劣化性、及び高温の環境に置かれても変色しにくい優れた耐熱劣化性を有し、さらに柔軟性に優れるフレキシブルプリント回路基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、白色顔料を混入したフッ素樹脂により表面反射材を形成することで、高い耐熱劣化性及び優れた耐光劣化性を併せ持つ白色反射面を有し、さらに柔軟性にも優れるフレキシブルプリント回路基板が得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、前記の課題は、以下に示す構成により達成される。
【0014】
請求項1の発明は、フレキシブルプリント回路基板、及び、白色反射材層からなる表面を有し、前記白色反射材層が、フッ素樹脂と無機白色顔料を含む樹脂組成物により形成されていることを特徴とする白色反射フレキシブルプリント回路基板である。
【0015】
請求項1の発明を構成する白色反射材層は、無機白色顔料を含むことにより優れた白色度及び反射率を有するとともに、紫外線等の短波長光が照射されても、又高温の環境に置かれても、白色度や反射率の経時的な低下は生じにくい。すなわち、請求項1の白色反射フレキシブルプリント回路基板は、優れた耐光劣化性及び耐熱劣化性を有する。白色反射材層を構成するフッ素樹脂は、炭素の2重結合の含有量が少ないため、熱や光による結合の切断が少なく、その結果変色しにくいためと思われる。
【0016】
又、上記白色反射材層は、剛性(ヤング率)が小さいフッ素樹脂が構成材料であるため、曲げ等の変形に伴って生じる反発力が小さい(いわゆるコシがない)ものである。その結果、上記白色反射材層はフレキシブルプリント回路基板の柔軟性を損なわず、照明用途等において白色反射フレキシブルプリント回路基板を曲面や段差形状に沿わせて貼る場合でも、フレキシブルプリント回路基板と白色反射材層が反発することがない柔軟性に優れたものとなる。
【0017】
請求項1の発明を構成するフレキシブルプリント回路基板としては、LEDを搭載した照明装置等に用いられる公知のフレキシブルプリント回路基板と同様なものを挙げることができる。このフレキシブルプリント回路基板の一表面を被覆するように前記白色反射材層が設けられる。LEDを搭載した照明装置を作製するときは、この一表面側にLEDが搭載される。フレキシブルプリント回路基板の表面がカバーレイにより被覆されている場合は、このカバーレイ上に前記白色反射材層が設けられる。
【0018】
請求項2の発明は、前記フッ素樹脂が、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板である。
【0019】
フッ素樹脂とは、フッ素を含有し、C−F結合を有する樹脂を言う。具体例としては、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を挙げることができる。これらから選ばれるフッ素樹脂の1種を単独で用いてもよいが、2種以上のフッ素樹脂を混合して用いることもできる。
【0020】
フレキシブルプリント回路基板にLED等の素子や電子デバイスを実装する方法としては、生産性に優れるハンダリフローが採用されることが多い。ハンダリフローの最高温度は、通常、260℃程度であるので、前記フッ素樹脂としては、このハンダリフローの最高温度に耐えられる融点の高いフッ素樹脂、例えば、融点270℃のFEP、融点305℃のPFA、融点327℃のPTFEが、耐リフロー性(リフローの最高温度に耐えられる性質)の観点から好ましく用いることができる。ただし、以下に述べるように、融点が低いフッ素樹脂でも、架橋を施すことにより耐熱性を向上でき、好ましく用いることができる場合がある。
【0021】
請求項3の発明は、前記フッ素樹脂が、炭素−水素結合を有し、電離放射線照射により架橋されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板である。
【0022】
炭素−水素結合を有するフッ素樹脂は、電離放射線照射により架橋させることができるので、架橋前の融点が260℃程度の樹脂であっても、架橋処理により、優れた耐リフロー性を有する樹脂とすることができる。一般に、融点の低いフッ素樹脂は加工性が良好であるので、炭素−水素結合を有する融点の低いフッ素樹脂を用いて加工し、電離放射線照射により架橋させることにより、良好な加工性と電子デバイス実装時のリフロー温度に対する耐熱性をともに付与することができるので好ましい。請求項3は、この好ましい態様に該当する。
【0023】
炭素−水素結合を有し、電離放射線照射により架橋されるフッ素樹脂としては、例えば、融点260℃のETFEを挙げることができる。炭素−水素結合を有するフッ素樹脂としては、他にも、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、エチレン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等を挙げることができる。又、エチレン−四フッ化エチレン共重合体等の共重合体等の場合は、さらに本発明の趣旨を損ねない範囲で、他のモノマーの1種類以上を共重合させてもよい。例えば、無水マレイン酸等と共重合化すると接着性の改善が期待できる。
【0024】
本発明に用いられるフッ素樹脂としては、反応性官能基を、主鎖末端及び/又は側鎖末端に有するものを用いることもできる。ここで、反応性官能基としては、カルボニル基、カルボニル基を有する基、例えばカルボニルジオキシ基又はハロホルミル、水酸基及びエポキシ基等を挙げることができる。
【0025】
請求項4の発明は、前記無機白色顔料が、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板である。
【0026】
前記無機白色顔料としては、前記フッ素樹脂中に均一に分散し、樹脂組成物を白色とする顔料が用いられる。中でも、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛又は酸化珪素の少なくとも1種を含むものを用いることにより、高い白色度及び高い反射率を有する白色反射材層が得られる。
【0027】
本発明の白色反射フレキシブルプリント回路基板を構成する白色反射材層は、フッ素樹脂と無機白色顔料を含む樹脂組成物により形成されている。この樹脂組成物は、前記フッ素樹脂中に前記無機白色顔料を均一に分散したものである。白色反射材層は、この樹脂組成物をフィルム状に成形することにより製造することができる。
【0028】
請求項5の発明は、前記樹脂組成物が、分子量が1000以下であり、炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ以上有している多官能性モノマーを、フッ素樹脂100重量部に対し、0.5重量部以上、40重量部以下含有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板である。
【0029】
樹脂組成物が、分子量が1000以下であり、炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ以上有している多官能性モノマーを、フッ素樹脂100重量部に対し、0.5重量部以上、40重量部以下含有することにより、樹脂組成物の流動性が上がり加工性が良好になるとともに、多官能性モノマーを含むことで架橋の効果が増す。多官能性モノマーの含有量が、フッ素樹脂100重量部に対し0.5重量部未満では前記の効果がほとんど現れない。一方40重量部を越えると、混練が困難となり、ブリードアウト等の問題が生じる可能性があるとともに、変色の可能性が高まるので好ましくない。
【0030】
分子量が1000以下であり、炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ以上有している多官能性モノマーとしては、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0031】
請求項6の発明は、前記白色反射材層が、接着剤により前記フレキシブルプリント回路基板表面に接着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板である。
【0032】
この発明では、白色反射材層は、接着剤によりフレキシブルプリント回路基板の表面(カバーレイ表面も含む)に接着されているため、フレキシブルプリント基板の製造工程に大きな変更無く製造することが可能となる。すなわち、従来技術における白色反射材層の製造では、専用のフォトマスクやスクリーン等の部材、露光、現像や印刷等の工程を必要とし製造工程の変更が必要であったが、本発明の構成では、先にカバーレイフィルムに貼り付けることでカバーレイフィルムと一体化できるため、製造工程の大きな変更を必要としない。接着剤としては、エポキシ系、アクリル系等の接着剤を用いることができる。
【0033】
請求項7の発明は、前記白色反射材層と前記接着剤との界面が、プラズマ処理により改質されていることを特徴とする請求項6に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板である。白色反射材層と接着剤との界面をプラズマ処理により改質することにより、白色反射材層を構成するフッ素樹脂の表面濡れ性を改善でき、白色反射材層の接着強度をより向上させることができる。ここで、プラズマ処理とは、酸素、窒素、大気等に高周波電界を印加してプラズマ状態とし、このプラズマ中のイオンやラジカル、電子を白色反射材表面に照射、衝突させる方法をいう。
【0034】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板及びその白色反射材層からなる表面側に搭載されたLEDを有することを特徴とする照明装置である。
【0035】
以上説明した本発明の白色反射フレキシブルプリント回路基板に、LED等の発光素子を搭載してなる照明装置は、白熱電球やハロゲン電球等の代替光源として、又フラットパネルディスプレイ、ヘッドランプ等として用いることができる。本発明の白色反射フレキシブルプリント回路基板の白色反射面は、高い白色度と反射率を示し、又優れた耐光劣化性、耐熱劣化性を有するので、本発明の白色反射フレキシブルプリント回路基板の白色反射面側にLEDを搭載することにより、高輝度かつ長期間変色のない照明装置を製造することができる。又、照明装置を構成する白色反射フレキシブルプリント回路基板での、白色反射材層とフレキシブルプリント回路基板との間の反発力は小さいので、照明装置の耐久性も優れたものとなる。なお、フッ素樹脂として、その熱膨張率がポリイミドや銅箔等の熱膨張率に近い樹脂を用いる場合は、使用時の温度上昇により生じる反発力も小さくなり、照明装置の耐久性はさらに優れたものとなるので好ましい。
【0036】
なお、フッ素樹脂と無機白色顔料を含む樹脂組成物により形成されている白色反射材層を基板上に設けた白色反射板は、高い白色度と反射率を示し、又優れた耐光劣化性、耐熱劣化性を有するので、本発明の白色反射フレキシブルプリント回路基板以外の用途にも好適に用いられる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の白色反射フレキシブルプリント回路基板では、その反射面である白色反射材層(白色表面)は、短波長光等の光に長時間照射されても、又、高温の環境下に長時間置かれても、白色度や反射率の低下は小さく、優れた耐光劣化性、及び優れた耐熱劣化性を有する。さらに、本発明の白色反射フレキシブルプリント回路基板は柔軟性に優れているので、照明装置に反射面として貼られて曲面や段差形状等に沿った変形がされる場合でも、反発力の発生は抑制され、反発力の発生により生じる問題も抑制される。従って、高い反射率が求められるLEDを実装した照明装置等に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1で作製された白色反射フレキシブルプリント回路基板の断面図である。
【図2】実施の形態2で作製された白色反射フレキシブルプリント回路基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。なお、本発明はこの形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない限り、他の形態へ変更することができる。
【0040】
(実施の形態1)
エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)100重量部に対し、酸化チタン(TiO)を30重量部混入した樹脂組成物をフィルム状に成形し、0.05mm厚のフィルムを作製する。作製されたフィルムに加速電圧2000kVの加速電子を400kGy照射する。さらに1表面側に真空チャンバー内で100Paに減圧した酸素を平行平板電極に13.56MHzの高周波電源で印加して発生させたプラズマを30分間照射してプラズマ処理がされた白色反射材層を得る。
【0041】
ポリイミドの基板上に銅からなる回路が設けられた銅張積層板(CCL:Copper Clad Lamination)の回路上に、接着剤層を介してポリイミドフィルムからなるカバーレイが(銅からなる回路が露出するように)設けられたフレキシブルプリント回路基板の、カバーレイの表面に、前記のようにして作製された白色反射材層を、厚さ0.025mmのエポキシ樹脂接着シートを介して、熱プレスにより接着し、白色反射フレキシブルプリント回路基板のサンプルを作製する。
【0042】
図2は、このようにして作製された白色反射フレキシブルプリント回路基板の断面図である。図中、1は、CCLのポリイミド基板であり、2は、銅からなる回路であり、3はカバーレイであり、このカバーレイは、接着剤層(図中の下の層)とポリイミドフィルム(図中の上の層)からなる。図中、4は、白色反射材層を接着する接着剤層であり、5は、白色反射材層であり、接着剤層4に接する面は、プラズマ処理がされてプラズマ処理面6が形成されている。又、図中の7は、LEDの搭載部で銅からなる回路2が露出しており、この部分にLEDが搭載される。
【0043】
作製したサンプルは、LED実装を想定したリフロー条件(最高温度260℃、30秒)を負荷した後、85℃の高温槽に40000時間保管しても白色度の変化はほとんど無く、色差計(ミノルタ社製、機種CR−13)で測定した白色度は、90以上を保持する。すなわち、優れた耐熱劣化性を有する。又白色LED光を照射し続けても白色度に目立った変化は無く、色差計(ミノルタ社製、機種CR−13)で測定した白色度は、90以上を保持する。さらに、反射率の初期反射率からの低下も小さい。すなわち、優れた耐光劣化性を有する。
【0044】
(実施の形態2)
エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)100重量部に対し、酸化チタン(TiO)を30重量部混入した樹脂組成物をフィルム状に成形し、0.05mm厚のフィルムを作製する。作製されたフィルムに加速電圧2000kVの加速電子を600kGy照射する。さらに1表面側に真空チャンバー内を50Paに減圧した窒素をローラー電極に13.56MHzの高周波電源で印加して発生させたプラズマを5分/mの速度でプラズマを照射してプラズマ処理がされた白色反射材層を得る。
【0045】
ポリイミドの基板上に銅からなる回路が設けられた銅張積層板(CCL:Copper Clad Lamination)の回路上に、前記のようにして作製された白色反射材層を、銅からなる回路が露出するように、厚さ0.025mmのエポキシ樹脂接着シートを介して、熱プレスにより接着し、白色反射フレキシブルプリント回路基板のサンプルを作製する。
【0046】
図1は、このようにして作製された白色反射フレキシブルプリント回路基板の断面図である。図中、1は、CCLのポリイミド基板であり、2は、銅からなる回路であり、4は、白色反射材層を接着する接着剤層であり、5は、白色反射材層であり、接着剤層4に接する面は、プラズマ処理がされてプラズマ処理面6が形成されている。又、図中の7は、LEDの搭載部で銅からなる回路2が露出しており、この部分にLEDが搭載される。
【0047】
作製したサンプルは、LED実装を想定したリフロー条件(最高温度260℃、30秒)を負荷した後、85℃の高温槽に40000時間保管しても白色度の変化はほとんど無く、色差計(ミノルタ社製、機種CR−13)で測定した白色度は、90以上を保持する。すなわち、優れた耐熱劣化性を有する。又白色LED光を照射し続けても白色度に目立った変化は無く、色差計(ミノルタ社製、機種CR−13)で測定した白色度は、90以上を保持する。さらに、反射率の初期反射率からの低下も小さい。すなわち、優れた耐光劣化性を有する。
【0048】
(白色反射材層の変形に伴う反発力)
PTFEのヤング率は0.5GPaであり、フッ素樹脂のヤング率は1GPa以下の場合が多い。一方、エポキシ樹脂のヤング率は2GPa以上である。ヤング率と、応力(変形の際に生じる反発力に相当する)及びひずみ(変形量に相当する)との関係は、「応力=ヤング率×ひずみ」である。従って、照明器具の反射面の曲面や段差に沿わすように、白色反射材層を有する白色反射フレキシブルプリント回路基板を変形する場合に生じる反発力は、白色反射材層がフッ素樹脂より構成される本発明の方が、エポキシ樹脂等の他の樹脂により構成される従来技術より小さい。
【符号の説明】
【0049】
1 ポリイミド基板
2 銅からなる回路
3 カバーレイ
4 接着剤層
5 白色反射材層
6 プラズマ処理面
7 LEDの搭載部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント回路基板、及び、白色反射材層からなる表面を有し、前記白色反射材層が、フッ素樹脂と無機白色顔料を含む樹脂組成物により形成されていることを特徴とする白色反射フレキシブルプリント回路基板。
【請求項2】
前記フッ素樹脂が、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板。
【請求項3】
前記フッ素樹脂が、炭素―水素結合を有し、電離放射線照射により架橋されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板。
【請求項4】
前記無機白色顔料が、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板。
【請求項5】
前記樹脂組成物が、分子量が1000以下であり、炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ以上有している多官能性モノマーを、フッ素樹脂100重量部に対し、0.5重量部以上、40重量部以下含有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板。
【請求項6】
前記白色反射材層が、接着剤により前記フレキシブルプリント回路基板表面に接着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板。
【請求項7】
前記白色反射材層と前記接着剤との界面が、プラズマ処理により改質されていることを特徴とする請求項6に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の白色反射フレキシブルプリント回路基板及びその白色反射材層からなる表面側に搭載されたLEDを有することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−84628(P2012−84628A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228267(P2010−228267)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】