説明

白色変換のためのLEDチップの設計

【課題】可視スペクトル(例えば、青色および紫色)の範囲内の比較的高い周波数で放射し、かつ、蛍光体と共に使用される発光ダイオードを提供すること。
【解決手段】発光ダイオードであって、能動部分と、該能動部分の上面上および該能動部分の該上面の周囲における隆起縁と、該縁と該能動部分の該上面とによって画定された空間における樹脂と、該樹脂内の蛍光粒子であって、該蛍光粒子は、該能動部分によって放射された周波数を変換する、蛍光粒子とを備えている、発光ダイオード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに関する。特に、本発明は、可視スペクトル(例えば、青色および紫色)の範囲内の比較的高い周波数で放射し、かつ、蛍光体と共に使用される発光ダイオードに関し、該蛍光体は、LEDによって生成された光のうちの一部を補完的な色に変換し、該補完的な色は、LEDの光と共に白色の出力を生成する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、適切な半導体材料において電子正孔の再結合イベントを促進させることによって印加電圧を光に変換する光半導体デバイスの一種である。次に、再結合イベントにおいて解放されたエネルギーの一部または全てが光子を生成する。
【0003】
発光ダイオードは、他の半導体デバイスの多数の好ましい特性を共有している。これらは、概ね強固な物理的特性、長い寿命、高い信頼性、および特定の材料に応じた低いコストを含む。
【0004】
本明細書において、多数の用語が使用されており、該用語は、業界においては一般的であり、かつ、周知なものである。しかしながら、かかる業界の使用において、これらの用語は、時には、用語の意味が非公式的に混合される。従って、これらの用語は、本明細書においては、出来る限り正確に使用されるが、あらゆる場合において、用語の意味は、文脈において明確になる。
【0005】
従って、用語「ダイオード」または「チップ」は、一般的には、一部の形式のオーム接触と共に、反対の導電タイプ(p型およびn型)の2つの半導体の部分を最低でも含むことにより、結果として出来たpn接合部全体に渡って電流が印加されることを可能にする構造を指す。
【0006】
用語「ランプ」は、適切な電気接触と適合される発光ダイオードと、潜在的には、電気回路もしくは照明備品または両方に追加または包含され得る別個のデバイスを形成するレンズとを示すために使用される。
【0007】
本明細書において使用される場合、用語「パッケージ」は、一般的には、プラスチックレンズ(樹脂、エポキシ、カプセル材料)と共に、(時には、電流が印加される金属の小片と同様に単純な)適切な物理的構造および電気的構造上に半導体チップを配置したものを指し、該プラスチックレンズは、一部の物理的保護をダイオードに提供し、かつ、光の出力を光学的に導く。パッケージは、多くの場合に、反射構造を含み、該反射構造は、しばしばポリマーで形成され、該ポリマーの中にダイオードがある。レンズと電気接触とを加えることが、一般的には、ランプを形成する。
【0008】
発光ダイオードおよびダイオードランプの構造および動作に関する適切な参考文献は、非特許文献1および非特許文献2を含む。
【0009】
LEDによって放射される色は、大部分は、ダイオードが形成される材料によって定義される。砒化ガリウム(GaAs)および燐化ガリウム(GaP)で形成されたダイオードは、可視スペクトルのより低いエネルギー(赤色および黄色)の部分における光子を放射する傾向がある。炭化珪素(SiC)およびIII族の窒化物(例えば、AlGaN、InGaN、AlInGaN)のような材料は、より大きなバンドギャップを有しており、それにより、可視スペクトルの緑色、青色、および紫色の部分、ならびに電磁スペクトルの紫外線部分に現れるより大きなエネルギーを有する光子を生成し得る。
【0010】
一部の用途においては、LEDの出力が異なる色に変調または変換されるときに、LEDはより有用となる。特に、青色発光LEDの利用可能性が非常に増加したことに伴い、青色光子を下方変調する黄色放射蛍光体の使用が、同様に増加した。特に、ダイオードによって放射された青色光と蛍光体によって放射された黄色光との組み合わせが、白色光を作り出し得る。次に、固体ソースからの白色光の利用可能性は、特に照明を含み、かつ、の多数の用途(特に照明など)にカラーティスプレイのライティングとして固体ソースを組み込む可能性を提供する。
【0011】
いくつかのタイプの構造が、現在、白色発光LEDにおける色の変換のために使用されている。1つの構造および関連の技術において、LEDチップは、パッケージ上に置かれ、次に、ポリマー樹脂で大部分または全体を被覆され、該ポリマー樹脂は、分散した蛍光体を有し、かつ、該ポリマー樹脂は、LEDランプのレンズ部分を形成する。これは、簡単な構造であり、かつ、簡単なプロセスであるが、該構造およびプロセスは、ダイオード全体に渡って、比較的多くの色の変化を生成する。
【0012】
別の技術においては、蛍光体が、チップの表面に直接的に堆積されるか、またはチップ表面の非常に近くに堆積され、その後に、レンズ樹脂が、蛍光体を適切に固定するために適用される。これは、より良好な色の均一性(より低いCCT変化)と、より明るい出力と、より低い望ましくない散乱とを生成する。しかしながら、対応する不利な点は、蛍光体が、製造プロセスの間に正確に配置されなければならず、その結果、処理のコスト、および結果として出来るダイオードのコストを増加させるということである。
【0013】
第3のオプションにおいて、蛍光体は、「ミニグロブ(mini−glob)」、すなわち、LEDチップの表面だけに適用される、分散した蛍光体を有するわずかな量の樹脂として適用される。別個のステップにおいて、蛍光体を有していないポリマー樹脂が加えられることにより、最終的なレンズおよびパッケージを生成する。ミニグロブ技術は、製造上の観点からは比較的容易なものであり、あまり費用がかからない傾向があり、分散した樹脂の技術とチップ上の蛍光体の技術との間の良好な折衷物を提供する。しかしながら、対応する問題は、チップおよびミニグロブの幾何形状(例えば、図1)が、変換されていない青色光の所望の放射よりも高い放射をもたらすということである。ミニグロブ技術はまた、蛍光体を保持する樹脂のメニスカスを画定することに依存する。チップの外縁は、かかるメニスカスを画定する最も容易な用法であるが、これが、メニスカスの縁における蛍光体の不在に基づいて出力の均一性の欠如を生み出す。
【0014】
第4のオプションにおいて、樹脂と蛍光体とが、予備成形品(pre−form)(例えば、立体の長方形の形状)の中に鋳造また成形される。次に、予備成形品が、製造プロセスの間にLEDチップに隣接して配置される。これは、明るくかつ高密度の出力を生成するが、比較的に困難な製造になる。従って、製造コストとダイオードのコストとが比較的に高くなる。さらに、予備成形技術は、ミニグロブ技術と同じ青色光の漏れを被る傾向があるダイオードの幾何形状を生成する。予備成形技術に関する別の問題は、一般的には、能動層、特に、p型能動層において使用される電流拡散フィンガから生じる。これらのフィンガは、予備成形品がダイオードチップにおいて同一平面に来ることを妨げる傾向がある。予備成形品とダイオードの表面との間の結果として出来たギャップは、高角度の青色光が、予備成形品と相互作用することなく逃げることを可能にする。
【0015】
これらの構造のうちのいくつかに関する代表的な記述が、同一人に譲渡され、かつ、同時係属中の特許文献1「Side View Surface mount White LED」に述べられている。他の代表的なパッケージは、(限定するものではないが)特許文献2を含む。
【0016】
蛍光体自体が別の潜在的な問題をもたらす。当該分野において概ね周知ように、蛍光体は、ある周波数の光子を吸収し、次に、異なる(一般的には、より低いエネルギーの)周波数または周波数範囲の光子を放射する固体の材料である。青色発光ダイオードが白色光を生成するために使用されるときには、多くの場合にセリウムをドーピングされたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)が、有用かつ例示的な蛍光体を代表する。使用の際、YAGは、III族の窒化物LEDによって放射された周波数のような青色の周波数を吸収し、そのエネルギーをより低い周波数の範囲に変換し、黄色が支配的となる。LEDからの青色光と蛍光体からの黄色光との組み合わせが全体的な白色の放射を生成する。
【0017】
従来、蛍光体は、関連のある前駆体を混合し、比較的に高い温度(例えば、1,000℃)において圧力の下で、関連のある前駆体を焼結し、次に、焼結された物体を機械的に粉砕することによって生成される。これが、LEDチップ上の樹脂レンズの中に組み込まれ得る粉末を生成する。
【0018】
LEDに関して、一定のサイズよりも小さい蛍光粒子は、カプセル材料内に適切に分散されない傾向があり、より高い確率の表面の欠陥を示す傾向があり、そして、白色変換および白色出力の観点ではあまり効率的ではない。従って、(粒子を横切るおおよその直径に基づいた)蛍光粒子のサイズは、効率を最大化するために、少なくとも約1ミクロン(μm)を上回り、好適には2μmを上回るべきである。多くのLEDの用途において、2μm〜25μmの範囲にある蛍光粒子のサイズが、概して好ましい。
【0019】
しかしながら、これらのサイズは、一定の寸法のLEDチップと大きさが同様になるような充分な大きさである。例えば、図1に例示されているように、大きな粒子は、ミニグロブの縁に配置することが困難であるか、または不可能であり、それにより青色光の漏れの問題を悪化させる。
【0020】
複数のエピタキシャル層から形成されたダイオードにおいては、光の大部分が概ね垂直方向に放射される。すなわち、ダイオードチップの表面が水平方向であると考えられる場合には、光の大部分が水平面に対して垂直な線の約70°の範囲内にあるので、青色光の問題はまた悪化させられる。結果として、蛍光粒子は、概して、より垂直な放射とより効率的に相互作用するように配置される。
【0021】
さらに、水平方向に近い角度(すなわち、水平面に対して約20°の範囲内)で放射される出力は、概して、垂直に放射された出力よりも低く、このことが、蛍光体を用いた青色光の変換のバランスを取ることに困難さを加える。
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0262339号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0199884号明細書
【非特許文献1】Sze、PHYSICS OF SEMICONDUCTOR DEVICES、第2版(1981年)
【非特許文献2】Schubert、LIGHT−EMITTING DIODES、Cambride University Press(2003年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
一局面において、本発明は、発光ダイオードであり、該発光ダイオードは、能動部分と、能動部分の上面上および能動部分の上面の周囲における隆起縁とを含む。樹脂は、縁と能動部分の上面とによって画定される空間にあり、蛍光粒子が、樹脂内にあることにより、能動部分によって放射された周波数を変換する。
【0023】
別の局面において、本発明は、半導体前駆体ウエハである。この局面において、本発明は、基板と、ウエハ上の複数のLEDチップ前駆体とを含み、複数のチップ前駆体は、LEDチップ表面の周囲に沿って垂直に向けられた縁を有する。複数の縁を付けられたチップ前駆体は、ポリマー樹脂で満たされ、複数の樹脂で満たされた前駆体は、樹脂内に蛍光体を有する。
【0024】
別の局面において、本発明は、発光ダイオード構造であり、該発光ダイオード構造は、能動部分と、能動部分の上面上および能動部分の上面の周囲における隆起縁と、隆起縁上および能動部分の上面の上にある樹脂予備成形品と、能動部分によって放射された周波数を変換する、樹脂予備成形品内の蛍光粒子とを含む。
【0025】
別の局面において、本発明は、出力によって発光ダイオードを調節する方法である。この局面において、本発明は、発光ダイオードによって生成された色と放射束とそれらの組み合わせとから成る群から選択された量を測定することを包含する。次に、ダイオードは、ポリマー樹脂と組み合わされた多量の蛍光体で被覆され、該ダイオードは、ダイオードからの測定された色と樹脂内の加えられた蛍光体とに基づいて選択された色を生成する。
【0026】
さらに別の局面において、本発明は、出力によって発光ダイオードを分類する方法を包含する。この局面において、本発明は、ウエハを探査することを含み、該ウエハは、複数のLED前駆体を含むことにより、波長、放射束、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された量を測定する。次に、探査されたウエハのマップが、測定した量に従って作成され、樹脂における多量の蛍光体が、マッピングされた出力に基づいて、ウエハ上の個々のダイオードに加えられる。次に、ダイオードは分離され、出力によってソートされる。
【0027】
さらに別の局面において、本発明は、色変換発光ダイオードを形成する方法である。この局面において、本発明は、発光ダイオードチップの上面の周囲に隆起縁を形成することと、次に、隆起縁によって作り出されたウェルを、分散した蛍光体を有するポリマー樹脂で満たすこととを包含し、該蛍光体は、ダイオードチップによって放射された周波数に応答し、かつ、該蛍光体は、ダイオードチップによって放射された周波数とは異なる応答周波数を放射する。
【0028】
本発明の上記および他の目的および利点、およびそれらを遂行する方法は、添付の図面と関連付けて列挙される以下の詳細な記述に基づいてより明確になる。
【0029】
本発明はさらに以下の手段を提供する。
【0030】
(項目1)
発光ダイオードであって、
能動部分と、
該能動部分の上面上および該能動部分の該上面の周囲における隆起縁と、
該縁と該能動部分の該上面とによって画定された空間における樹脂と、
該樹脂内の蛍光粒子であって、該蛍光粒子は、該能動部分によって放射された周波数を変換する、蛍光粒子と
を備えている、発光ダイオード。
【0031】
(項目2)
上記能動部分は、III族の窒化物材料系から形成される、項目1に記載の発光ダイオード。
【0032】
(項目3)
上記能動部分は、炭化珪素と、サファイアと、サブマウント構造とから成る群から選択される支持構造上にある、項目2に記載の発光ダイオード。
【0033】
(項目4)
上記隆起縁は、金属と、半導体と、セラミックとから成る群から選択される、項目1に記載の発光ダイオード。
【0034】
(項目5)
上記隆起縁の内側または外側の、上記能動部分に対するオーム接触を備えている、項目1に記載の発光ダイオード。
【0035】
(項目6)
スペクトルの青色部分で放射する能動部分と、上記ダイオードからの該青色放射を大部分は黄色の周波数に下方変換する蛍光体とを備えている、項目1に記載の発光ダイオード。
【0036】
(項目7)
半導体前駆体ウエハ上にある、項目1に記載の複数の発光ダイオード。
【0037】
(項目8)
上記基板は、炭化珪素と、サファイアと、サブマウント構造とから成る群から選択される、項目7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【0038】
(項目9)
上記チップ前駆体のそれぞれは、上記樹脂内に、同一な組成および同一な量の蛍光体を含む、項目7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【0039】
(項目10)
異なるチップ前駆体は、上記樹脂内に、異なる量の蛍光体を含む、項目7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【0040】
(項目11)
異なるチップ前駆体は、上記樹脂内に、異なる組成の蛍光体を含む、項目7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【0041】
(項目12)
異なるチップ前駆体は、異なる樹脂の組成を含む、項目7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【0042】
(項目13)
上記チップ前駆体は、スペクトルの青色部分で放射し、上記蛍光体は、該チップ前駆体からの該青色放射を大部分は黄色の周波数に下方変換する蛍光体である、項目7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【0043】
(項目14)
発光ダイオード構造であって、
能動部分と、
該能動部分の上面上および該能動部分の該上面の周囲における隆起縁と、
該隆起縁上および該能動部分の該上面の上にある樹脂予備成形品と、
該樹脂予備成形品内の蛍光粒子であって、該蛍光粒子は、該能動部分によって放射された周波数を変換する、蛍光粒子と
を備えている、発光ダイオード構造。
【0044】
(項目15)
上記予備成形品のフットプリントは、上記上面によって画定される面積よりも広く、それにより該予備成形品は、上記隆起縁の少なくとも一部の部分を越えて横方向に延びている、項目14に記載の発光ダイオード構造。
【0045】
(項目16)
上記隆起縁は、金属と、半導体と、セラミックとから成る群から選択される、項目14に記載の発光ダイオード構造。
【0046】
(項目17)
発光ダイオード構造であって、
能動部分と、
該能動部分の上面上の隆起接触と、
カットアウトを有する樹脂予備成形品であって、該カットアウトは、該隆起接触の幾何形状に適合し、かつ、該カットアウトは、該予備成形品が該能動部分の該上面に隣接して存在するときには、該カットアウト内で該隆起接触とぴたりと合う、樹脂予備成形品と、
該樹脂予備成形品内の蛍光粒子であって、該蛍光粒子は、該能動部分によって放射された周波数を変換する、蛍光粒子と
を備えている、発光ダイオード構造。
【0047】
(項目18)
出力によって発光ダイオードを調節する方法であって、
発光ダイオードによって生成された波長と放射束とそれらの組み合わせとから成る群から選択された量を測定することと、
その後、ポリマー樹脂と組み合わされた多量の蛍光体でダイオードを被覆することであって、該ダイオードは、測定された色と該樹脂内の加えられた蛍光体とに基づいて、選択された色を生成する、ことと
を包含する、方法。
【0048】
(項目19)
黄色放射蛍光体を含むポリマー樹脂で上記ダイオードを被覆することによって青色発光ダイオードを調節することをさらに包含する、項目18に記載の方法。
【0049】
(項目20)
黄色放射蛍光体を含む樹脂予備成形品で上記ダイオードを被覆することを包含する、項目19に記載の方法。
【0050】
(項目21)
分散した黄色蛍光体を有する液体樹脂の液滴を、上記発光ダイオードの表面上のウェルに加えることを包含する、項目19に記載の方法。
【0051】
(項目22)
上記ウェルを画定し、次に、液体樹脂の液滴を該画定されたウェルに加えるために、上記発光ダイオードの上記上面上に、隆起縁を形成することを包含する、項目21に記載の方法。
【0052】
(項目23)
上記隆起周囲を形成する上記ステップは、該周囲を形成するためにハンダを施し、次に、該縁を形成するためにハンダをリフローすることを包含する、項目21に記載の方法。
【0053】
(項目24)
上記隆起周囲の縁を形成する上記ステップは、セラミック材料を堆積することを包含する、項目21に記載の方法。
【0054】
(項目25)
酸化アルミニウム、酸化チタニウム、二酸化珪素から成る群から選択された材料を堆積することを包含し、該材料は、入射光の分散を助ける、項目24に記載の方法。
【0055】
(項目26)
出力によって発光ダイオードを分類する方法であって、
ウエハを探査することであって、該ウエハは、複数のLED前駆体を含むことにより、波長、放射束、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された量を測定する、ことと、
該測定した量に従って該探査されたウエハのマップを作成することと、
該マッピングされた出力に基づいて、樹脂における多量の蛍光体を、該ウエハ上の個々のダイオードに加えることと、
該ダイオードを分離し、出力によってソートすることと
を包含する、方法。
【0056】
(項目27)
上記樹脂内の上記蛍光体を、個々のダイオードに加える上記ステップは、該蛍光体を有する樹脂予備成形品を加えることを包含する、項目26に記載の方法。
【0057】
(項目28)
上記樹脂内の上記蛍光体を、個々のダイオードに加える上記ステップは、液体樹脂の液滴と分散した蛍光体とを、各ダイオード前駆体の表面におけるウェルに加えることを包含する、項目26に記載の方法。
【0058】
(項目29)
上記液体樹脂の液滴と上記分散した蛍光体とを加える上記ステップに先立ち、周辺の縁を各ダイオード前駆体に加えることによって各ダイオードの上記表面における上記ウェルを形成するステップをさらに包含する、項目28に記載の方法。
【0059】
(項目30)
複数の青色発光ダイオードを含むウエハを探査することと、該ダイオードからの青色の放射に応答して、大部分は黄色の周波数を放射する蛍光体を加えることとを包含する、項目26に記載の方法。
【0060】
(項目31)
上記蛍光体および上記樹脂を加える前に、青色放射に従って、青色発光LED前駆体のウエハをマッピングすることを包含する、項目26に記載の方法。
【0061】
(項目32)
上記蛍光体および上記樹脂を加えた後に、白色放射に従って、LED前駆体のウエハをマッピングすることを包含する、項目26に記載の方法。
【0062】
(摘要)
発光ダイオードは、関連するウエハ構造、ならびに製造技術およびマッピング技術と共に開示される。ダイオードは、能動部分と、能動部分の上面上および能動部分の上面の周囲における隆起縁と、縁と能動部分の上面とによって画定された空間における樹脂と、能動部分によって放射された周波数を変換する、樹脂内の蛍光粒子とを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本発明は、発光ダイオード構造に関し、特に、背景技術において述べられたミニグロブタイプの構造に関する。ある程度、本発明は、従来技術の一定の局面に関して理解され得る。従って、図1〜図7は、従来技術の代表的な構造および特性を例示する。
【0064】
図1は、概略的に10で示された発光ダイオードの概略的断面図である。図1および本明細書における他の図面は、実際に、従来技術と本発明との特定の局面を例示する目的のための概略図であるということが理解される。さらに、図1〜図5は、図1〜図5が例示する所与のダイオードの完全な断面図ではなく、部分的な断面図である。
【0065】
図1において、ダイオード10は、基板11と、矢印12によって示された能動部分とを含む。ほとんどの状況において、能動部分12は、少なくとも2つのエピタキシャル層を含み、該2つのエピタキシャル層は、pn接合部を共に形成し、該pn接合部は、電流が接合部全体に渡って印加されたときに、光子を放射する。
【0066】
図1は、ミニグロブダイオードを例示しており、この用語は、本明細書においては、限定する目的ではなく説明的に使用されている。この用語は、13において示された樹脂の液滴を指しており、該樹脂の液滴は、能動部分12の表面に適用され、能動部分12の表面を覆う。液滴13は、点から成る円14によって示される蛍光粒子を有する。先に示したように、蛍光粒子14は、蛍光粒子が比較的に大きいときに、意図した目的のためにより良く働く傾向がある。従って、図1に概略的に示されたように、ミニグロブ構造は、ミニグロブ構造の縁の近くに液滴13の一部分を含む傾向にあり、該ミニグロブ構造の縁においては、蛍光粒子はあまりにも大きいのでフィットしない。
【0067】
蛍光粒子14は、矢印15によって象徴された放射を生成する目的のために含まれる。白色発光ダイオードの場合、能動面12は、矢印16によって象徴された青色放射を生成する傾向があり、蛍光粒子14は黄色放射を生成し、青色放射と黄色放射との組み合わせが、白色光を生成する。能動部分の縁において、樹脂の幾何形状は、蛍光粒子14を含むにはあまりにも小さく、従って、支配的な放射は、能動部分12と蛍光粒子14との両方からの色の所望の混合ではなく、能動部分によって生成された色(例えば、青色)となる。
【0068】
図7は、概略的に、チップの幾何形状に対する色温度の正確なグラフではなく、典型的なグラフにおける出力に関する効果を例示する。図7において、y軸は色温度を表し、x軸はチップ上の相対位置を表しており、0が中央を表しており、−80がチップの縁に近い位置を表している。(標準単位ケルビン、Kの)色温度は、周知のCIE色温度図から取られている。このシステムにおいて、色温度は、光源のスペクトル特性を特徴付ける単純化された様式である。技術的に、色温度は、黒体源が、示された色の光を生成するために加熱されることを必要とする温度を指す。
【0069】
このシステムを使用して、約2500K〜10,000Kの色温度は、白色光の様々なトーンを表す。しかしながら、図7は、ダイオードチップの縁の近くを例示しているので、色温度は急速に30,000Kを上回る温度、すなわち、青色放射に上昇する。最終的な効果は、青色発光縁を有する白色ダイオードまたは黄白色ダイオードである。
【0070】
図2は、図1および図3〜図5を文脈に置いている。概略的に示されているように、ミニグロブ13は、図1にLEDランプの表面の外観を与えている。しかしながら、実際には、図1および図3〜図5は、LEDチップを例示している。図2は、概略的に20で示されたLEDランプを例示することによって差異を明確にしている。ランプ20は、パッケージまたはヘッダ21と金属接触22および金属接触23とを含み、これらの上に、LEDチップ(または本明細書において後に記述されるチップのうちの1つ)が配置される。それぞれのワイヤ18およびワイヤ19(または均等な構造)が能動部分12を接触22および接触23に接続する。レンズ24は、チップ10と、図1に関して記述され他の要素の全てとを被覆する。レンズ24は、液滴13の樹脂と同じ、または液滴13の樹脂とは異なる樹脂で作られ得る。
【0071】
図3、図4および図5は、本発明に従ったLEDチップの実施形態を例示する。図3から開始すると、発光ダイオードが、概略的に27で示されており、能動部分30を含む。隆起縁31が、能動部分30の上面32の上に、能動部分30の上面32に対して概して垂直に、そして、能動部分30の上面32の周囲(例えば図6)にある。例示的な実施形態において、隆起縁は、約50ミクロンの高さである。樹脂33は、縁31と上面32とによって画定された空間を満たす。蛍光粒子34が樹脂33内にあり、能動部分によって放射された周波数を変換する蛍光体を表している。
【0072】
本明細書において使用される場合、用語「垂直方向」は、90°の角度に限定されず、チップから上方に延び、かつ、記述された方法および例示された方法でポリマー樹脂を保持することを助ける物理的な縁または物理的な縁構造も指し得る。従って、(例えば)チップの表面に対して45°の角度で設定された縁を含むエッジは、必ず、チョップ表面の上に垂直になっている部分を含み得、この部分は、単にメニスカスであるというだけでなく、チップ上に、適切に樹脂を保持するように働く。
【0073】
同様に、本明細書において使用される場合、語句「周囲に」は、本発明を限定するのではなく、説明的なものである。従って、隆起縁は、周囲と完璧に整列する必要はなく、チップの周囲の内側のへりに設けられた縁は、意図した目的に働く。
【0074】
背景技術において述べられたように、本発明は、白色発光ダイオードの生成の際の利点を提供するので、能動部分30は、一般的には、III族の窒化物材料系から形成される。図3の内訳部分によって示されるように、多くの状況において、能動部分は、窒化ガリウム(GaN)の隣接する層36および層37の間の窒化インジウムガリウム(InGaN)の少なくとも1つの層35の2つのヘテロ構造を含む。GaN層36およびGaN層37は、互いに反対(すなわち、1つがn型、そして1つがp型)にドーピングされることにより、能動層35全体に渡る電流注入を提供する。
【0075】
能動部分30はまた、ホモ接合部、単一のヘテロ接合部、超格子構造、および複数の量子の井戸を含み得るということを、当業者は認識する。
【0076】
窒化インジウムガリウムが、能動層35として使用されるときには、約0.2のインジウムの原子分率(すなわち、In0.2Ga0.8N)が、一般的には好ましい。なぜならば、該原子分率が所望の出力を提供するからであり、かつ、インジウムのより大きな原子分率は、あまり安定しない組成物を形成する傾向にあるからである。
【0077】
図3において、能動部分30は、基板または他の支持構造40に配置され、該基板または他の支持構造40は、最も一般的には、炭化珪素、サファイア、およびサブマウント構造から成る群から選択される。これらのうちのそれぞれが、当該分野において周知のそれぞれの利点を有する。炭化珪素が導電するようにドーピングされることにより、垂直方向のダイオードを提供し得る。サファイアは、好ましい光学特性を有するが、導電するようにはドーピングされ得ず、従って、構造を水平方向の幾何形状に限定する。サブマウント構造は、多数の材料で形成され、ダイオードランプにおけるダイオードの製造、熱伝達特性、および幾何形状の点で利点を提供する。
【0078】
隆起縁31は、一般的には、金属、半導体、およびセラミックから成る群から選択される。金属は、他のタイプの半導体のパターニングおよびリソグラフィと同一な周知の方法で堆積され得る。半導体およびセラミックは、概ね周知の堆積およびエッチングのステップを適用されることにより、同様なサイズの他の構造を形成することと全く同一な方法で所望の構造を生成し得る。縁はまた、ハンダを施し、次に、充分に理解された技術でハンダをリフローすることによって形成され得るか、または酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、または二酸化珪素(SiO)のようなセラミックを堆積または成形することによって形成され得る。これらの組成物は、一般的には、色が白く、高い反射率を有し、それにより隆起縁の光散乱機能を補助する。
【0079】
図3が例示するように、隆起縁31は、樹脂の液滴33が、チップのエッジにおいてメニスカスを形成するのではなく、ウェルを満たすことを可能にする。結果として、能動部分30のエッジにおける樹脂33の厚さまたは深さは、樹脂33がチップ面32にメニスカスを形成した場合に、樹脂33がなり得る厚さまたは深さ(例えば、図1)よりも、隆起縁31に対して大きく(高く)なり得る。次に、これは、所望の蛍光体のより多くの粒子およびより大きい粒子が、能動部分30の物理的なエッジに存在することを可能にする。次に、これが、チップまたは能動部分30からの光子が、蛍光体34と相互作用することなく、または蛍光体34によって放射された黄色の周波数と混合することなく放射され得る可能性を最小化するか、またはそのような可能性をなくす。本発明はまた、所望される場合には、(ドーム型ではなく)フラットフィル(flat−fill)のミニグロブ技術を可能にする。
【0080】
さらに、このタイプのダイオードにおいて、より高い割合の垂直な光は、管理することがより容易であり、本発明は、この利点を提供することを補助する。
【0081】
例示的な実施形態(例えば、III族の窒化物)において、能動部分30は、可視スペクトルの青色部分を放射し、蛍光体34は、ダイオードからの青色放射を大部分は黄色の周波数に下方変換する。
【0082】
期待の周波数によって、樹脂33は、一般的には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリシロキサン、およびポリエステルから成る群から選択される。ポリシロキサン樹脂は、樹脂33に対して特に有利である。なぜならば、ポリシロキサン樹脂は、III族の窒化物材料系によって生成される比較的に高いエネルギーの青色光子によってあまり影響されないからである。同様に、(通常はセリウムでドーピングされた「YAG」)イットリウムアルミニウムガーネットは、青色の周波数を大部分は黄色の周波数に下方変換するための例示的な蛍光体を表す。
【0083】
しかしながら、青色発光ダイオードと黄色蛍光体との組み合わせから白色光を生成することは、非常に有用であるが、本発明の構造的な局面は、これらの色に限定されないということが理解される。従って、他の色を放射する蛍光体、または他の色を放射するLEDが組み合わされることにより、所望の出力の色(例えば、CIE色度座標)を生成し得る。さらに、用語「白色」は、いくぶん主観的であり、異なるエンドユーザは、特定のLED−蛍光体の組み合わせを用いて生成され得る特定の色合いを所望または要求し得る。さらに、いくつかの異なるランプからの白色の出力は、システムレベルにおいて最終的な「白色」(またはその他任意の色の選択)を生成するために組み合わされ得る。
【0084】
図3はまた、ダイオード27が、能動領域からの光の抽出を増加させるために、レンズ状の面26を含み得るということを例示する。代表的な面は、限定するものではないが、米国特許出願公開第20070037307号に開示されている面を含み、米国特許出願公開第20070037307号の内容は、その全体が本明細書において参考として援用される。
【0085】
図4および図5は、予備成形バージョンの技術を使用する実施形態を例示する。図4は、42でチップを例示し、該チップは、基板43(または均等なサブマウント構造)と、1つの能動層(または複数の能動層)44とを含む。図3におけるように、能動部分44の面45は、レンズ状の特徴46を含み得る。隆起縁は、47で例示されている。図4に例示された実施形態において、隆起縁47は、チップのエッジの周りで連続している必要はない。なぜならば、隆起縁47は、製造プロセスの一部分として液体の液滴を保持する必要がないからである。その代わりに、蛍光粒子51を有する固体の予備成形品50が、隆起縁47の上にある。先の実施形態の利点と同一な方法において、これが、予備成形品50が能動部分44の上面45のサイズに適合または超過することを可能にする。次に、これが、能動部分44からの光子(ここでもやはり、一般的には、青色光子)が、蛍光体51からの黄色光と混合することなく放射されたり、または蛍光体51によって青色の周波数から黄色の周波数に変換されたりする可能性を最小化するか、またはそのような可能性をなくす。
【0086】
図5は、隆起縁によって提供され得る他の利点のうちの一部を例示する。図5において、ダイオードは、概略的に、53で示されており、ここでもやはり基板54と能動部分(または層)55と含む。隆起縁は、56で例示されている(図面は必ずしもサイズに比例していないということが理解される)。オーム接触57は、能動部分55に作成され、一般的には、ハンダ62と、ワイヤまたは均等物61とにさらに接続される。隆起縁56の内側にかかる構造が全く存在しないことは、能動部分55の関連部分に、液滴または予備成形品62のいずれかを配置する仕事を非常に単純化する。
【0087】
図3および図4に関して記述された光学的利点に加えて、このダイオード53において、隆起縁56は、ワイヤボンド構造またはワイヤボンドの幾何形状が全くない空間を画定し、該空間の中に、蛍光体を有する樹脂が加えられ得る。樹脂と蛍光体とは、図3と同一な液滴として、または図5に例示されたような、蛍光粒子63を有する予備成形品62としてのいずれかで加えられ得る。
【0088】
図5は、隆起縁56の外側のオーム接触57を例示する。さらに、LED53は、中央のボンドパッド(bond pad)を有し得、該中央のボンドパッドは、縁56の高さまで隆起され得、蛍光体と樹脂とが中央のオーム接触の周りで縁を埋める。次に、ワイヤボンド接続が、中央の隆起ポストに行われ得る。これは、例えば、中央のボンドパッドをバンプボンディングし、蛍光体−カプセル材料の混合物でウェルを満たし、次に、バンプパッド(bump pad)の上部にワイヤボンディングすることによって行われ得る。
【0089】
図10および図11は、予備成形品を使用する別の方法を例示する。この実施形態において、ダイオードは、概略的に87で示され、図5に例示された実施形態と全く同一な方法で、基板54と能動部分55とを含む。しかしながら、この実施形態においては、蛍光粒子63を有する予備成形品90は、カットアウト91を含み、該カットアウト91は、能動部分55における内部ボンドパッド92と実質的に適合する。カットアウト91とボンドパッド92とは、互いに位置を合わせるような形状およびサイズにされ、それにより予備成形品が押されるか、またはボンドパッド92上に置かれ得る。図10は、横断面図で、ボンドパッド92を例示しているが、上面図(例えば、図11)で取られたときには、ボンドパッド92は、円形、正方形、長方形、または一部の他の適切な形状であり得るということが理解される。この実施形態において、隆起縁56は任意的であり得る。なぜならば、内部ボンドパッド92と予備成形品90における開口部91との間の位置合わせは、能動部分55に対する蛍光体63の意図した位置をもたらすからである。ワイヤ93は、他の従来の方法でダイオード87に電気接続を提供する。
【0090】
図4および図5に示された実施形態に対する関連の材料は、図3に関して記述された材料と同じであり得る。従って、能動部分44と能動部分55とは、一般的には、III族の窒化物材料系から形成され、可視スペクトルの青色部分で放射する。蛍光体51と蛍光体63とは、一般的には、セリウムをドーピングされたYAGであり、大部分は、スペクトルの黄色部分で放射する。基板43と基板54とは、ここでもやはり、炭化珪素、サファイア、および他のサブマウント構造の中から選択され得る。樹脂の予備成形品50と樹脂の予備成形品62とはそれぞれ、示された(または他の)関連の樹脂のうちの任意のもので形成され得、高周波数の青色放射に対するポリシロキサンの安定性が理由で、ポリシロキサンは特に有利である。
【0091】
図6は、概略的に65で示されたダイオード前駆体の概略図であり、斜視の様式で図3、図4および図5からの要素の一部を例示している。特に、図3を参照すると、ダイオード65は、基板40と、66および67で例示された2つの能動層とを含む。隆起縁31と、エピ層66およびエピ層67によって形成される能動部分の上面32とが、ウェル70を画定し、該ウェル70の中に、蛍光体を含む樹脂の液滴が、たった今記述された利点を伴って置かれ得る。さらに、図6は、図4および図5に例示されたもののような予備成形品(それぞれ50および62)が隆起縁31上で支持され得る方法を例示する。
【0092】
別の局面において、本発明は、半導体前駆体ウエハである。この実施形態の局面が、図8に例示されており、図8は、概略的に72で示されたウエハの概略的上面図である。多くの状況において、ウエハは、完全に円形ではないが、一次フラット(primary flat)と呼ばれる1つの直線状のエッジ74と、二次フラット(secondary flat)と呼ばれる第2の直線状のエッジ75とを含む。一次フラットの直線状のエッジは、一般的には、弦が特定の屈折率の結晶面と平行になるように向けられている。二次フラットは、一般的には、一次フラットよりも短く、一次フラットに対する二次フラットの位置が、ウエハの表面を識別する。
【0093】
ウエハ72は、基板73上に複数のLEDチップ前駆体76を含む。図8の概略図において、個々のLEDチップ前駆体は、実際の尺度よりも大きく比例して例示されているということが理解される。実用において、傷および欠陥がLED前駆体の完成を妨げる(または不完全な前駆体を生成する)一部の位置が存在し、これらは、概略的に、空の位置によって表されている。チップ前駆体は、一般的には、発光半導体のエピタキシャル層で形成され、潜在的に、(直接的または最終的な電気接触に対する)一部の金属を含み、かつ、潜在的に、個々のダイオード76を互いから隔離するために一部の絶縁構造を含む。これらの絶縁構造は、エッジトレンチまたは堆積された不動態化材料を含み得、エッジトレンチまたは堆積された不動態化材料のうちの両方は、概して、当該分野において周知であり、本明細書においては記述されない。
【0094】
複数のチップ前駆体76、好適には、全てのチップ前駆体76が、個々のチップの実施形態に対して記述された隆起縁を含む。次に、複数(好適には、全て)の隆起チップ前駆体が、ポリマー樹脂で満たされ、チップ前駆体を満たした複数(好適には、全て)の樹脂が、樹脂内に蛍光体を含む。
【0095】
先の実施形態におけるように、基板は、一般的には、炭化珪素、サファイア、およびサブマウント構造の間から選択され、チップは、III族の窒化物材料系から形成される。
【0096】
各チップ前駆体76は、隆起縁を含むので、本発明は、従来の技術を上回る、何らかの製造上の利点を提供する。例えば、一部の実施形態において、チップ前駆体76のそれぞれは、樹脂内に、同一の組成の蛍光体および同一の量の蛍光体を含む。あるいは、他の実施形態において、異なるチップ前駆体は、異なる量の蛍光体、または異なる蛍光体の組成、または異なる樹脂の組成、あるいはこれらの違いの組み合わせを含み得る。
【0097】
先の実施形態におけるように、樹脂は、PMMA、ポリカーボネート、ポリシロキサン、およびポリエステルから成る群の間から選択される。隆起縁は、ここでもやはり、金属、半導体およびセラミックから成る群から選択される。
【0098】
好適な実施形態において、チップ前駆体は、スペクトルの青色部分で放射し、蛍光体は、青色の周波数を可視スペクトルの大部分は黄色の部分に下方変換する。
【0099】
次に、本発明の構造的特徴が、個々のダイオードと、発光ダイオードの群との両方を分類する新たな方法に対する機会を提供する。従って、例として、ここでもやはり図8を使用すると、本発明は、ウエハ72を探査するステップを含み、該ウエハ72は、複数のLED前駆体76を含むことにより、波長、放射束、およびこれらの特性の組み合わせから成る群から選択された量を測定する。次に、方法は、測定した量に従って探査されたウエハのマップを作成し、マッピングされた出力に基づいて樹脂内の多量の蛍光体をウエハ上の個々のダイオードに加えるステップを含む。次に、ダイオードが分離され、出力によってソートされ得る。
【0100】
これが、ダイオードが切り離されパッケージされた後ではなく、ダイオードがウエハ上にある間に、色によってダイオードを分類する利点を提供する。ダイオードが分離された後ではなく、ウエハ構造においてダイオードを区分けすることは、製造プロセスの効率と生産量とにおいてかなりの利点を有する。
【0101】
言い換えると、青色の周波数は、可視スペクトルの範囲内の約455ナノメートル〜約490ナノメートルの範囲にある。多くの理由で、個々のダイオードからの放射は、単一のウエハ全体に渡ってダイオードごとに異なり得る。従って、探査ステップ(用語「探査」は、明確に使用されているのではなく、概略的に使用されている)が、個々のダイオード(またはダイオードの群)によって放射された異なる青色の周波数を識別するために使用され得る。ダイオードが所望の光の出力を生成するためにまだウエハ上にある間に、異なる放射に基づいて、各個々のダイオードに加えられる蛍光体の組成または量(あるいは両方)が、そのダイオードにあつらえて作られ得る。
【0102】
代替的なステップまたは補完的なステップとして、蛍光体がダイオード前駆体に加えられた後に、ウエハはまた、色に従って探査およびマッピングされ得る。言い換えると、蛍光体が加えられる前に、ダイオードは、ダイオードの青色放射に従ってマッピングされ得るか、または蛍光体が加えられた後に、ダイオードは、ダイオードの白色放射に従ってマッピングされ得るか、または両方であり得る。
【0103】
先に示したように、蛍光体は、予備成形品としての、蛍光体を有する液滴として加えられ得る。
【0104】
本発明は、ダイオードがウエハ上にある間に、ダイオードの出力をあつらえて作る特定の利点を提供するが、かかるあつらえは、全く同一な方法で個々のダイオードにも適用され得る。
【0105】
さらに別の局面において、本発明は、色変換発光ダイオードを形成する方法を包含する。この局面において、本発明は、ダイオードチップの上面の周囲において隆起縁を形成するステップと、次に、隆起縁によって作成されるウェルを、分散した蛍光体を有するポリマー樹脂で満たすステップとを含み、該分散した蛍光体は、ダイオードチップによって放射された周波数に応答し、かつ、該分散した蛍光体は、ダイオードチップによって放射された周波数とは異なる周波数に応答して放射する。
【0106】
構造の実施形態におけるように、隆起縁を形成するステップは、金属を堆積するステップと、セラミックを堆積するステップと、別の半導体を堆積するステップとの間から選択され得る。
【0107】
一部の場合において、隆起縁を形成するステップは、炭化珪素基板をエッチングすることを包含し得る。
【0108】
白色発光ダイオードに関して、方法は、青色発光ダイオードチップ上に隆起縁を形成することと、ウェルをポリマー樹脂で満たすこととを包含し、該ポリマー樹脂は、大部分は黄色の周波数で放射する分散した蛍光体を有する。所望される場合には、チップの青色出力がこの時点に測定され得、これに続いて、ダイオードチップの測定された周波数の出力と蛍光体の出力とに基づいて、白色光の所望の色座標を生成する組み合わせで、樹脂と蛍光体とが加えられる。
【0109】
図9は、本発明に従って、概略的に80で示されたダイオードの別の実施形態の上面図である。この実施形態において、隆起縁は、金属で形成され、81で示されている。ダイオードに対するワイヤボンドパッドが、コーナー82を形成する。多数の電流拡散フィンガ83および電流拡散フィンガ84が、縁81と能動部分の表面85とによって形成されるウェルの中に含まれる。この実施形態は、縁が低角度の光の方向を変えることにより、より大きな量子効率を獲得し得る方法を例示すると共に、(各辺が同一であるので)チップを取り付けるための全ての方向を例示する。これはまた、直列または並列に複数のチップを共に配列する能力を提供する。なぜならば、この実施形態において、隆起部分81は、実際に、電流拡散フィンガの一部分を形成し得るからである。
【0110】
図面および明細書において、本発明の好適な実施形態が述べられており、特定の用語が利用されてきたが、それらの用語は、概略的かつ記述的な意味でのみ使用されており、限定する目的では使用されておらず、本発明の範囲は特許請求の範囲において定義される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、従来技術のミニグロブダイオードの一部分の断面概略図である。
【図2】図2は、代表的なLEDランプの断面概略図である。
【図3】図3は、本発明に従ったミニグロブダイオードの一部分の断面概略図である。
【図4】図4は、本発明に従った予備成形ダイオード構造の断面図である。
【図5】図5は、本発明に従った予備成形ダイオード構造の第2のバージョンの断面概略図である。
【図6】図6は、本発明に従ったダイオード構造の斜視図である。
【図7】図7は、従来技術のダイオードに関する、チップの幾何形状に対する色温度のグラフである。
【図8】図8は、本発明に従ったウエハおよび関連するダイオード前駆体の概略図である。
【図9】図9は、本発明に従ったダイオード構造の一実施形態の上面図である。
【図10】図10は、本発明に従ったダイオード構造の別の実施形態の断面図である。
【図11】図11は、図10に例示されたダイオード構造の上面図である。
【符号の説明】
【0112】
27 発光ダイオード
30 能動部分
31 隆起縁
32 上面
33 樹脂
34 蛍光粒子
35 窒化インジウムガリウム(InGaN)の層
36、37 窒化ガリウム(GaN)の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードであって、
能動部分と、
該能動部分の上面上および該能動部分の該上面の周囲における隆起縁と、
該縁と該能動部分の該上面とによって画定された空間における樹脂と、
該樹脂内の蛍光粒子であって、該蛍光粒子は、該能動部分によって放射された周波数を変換する、蛍光粒子と
を備えている、発光ダイオード。
【請求項2】
前記能動部分は、III族の窒化物材料系から形成される、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記能動部分は、炭化珪素と、サファイアと、サブマウント構造とから成る群から選択される支持構造上にある、請求項2に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記隆起縁は、金属と、半導体と、セラミックとから成る群から選択される、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記隆起縁の内側または外側の、前記能動部分に対するオーム接触を備えている、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
スペクトルの青色部分で放射する能動部分と、前記ダイオードからの該青色放射を大部分は黄色の周波数に下方変換する蛍光体とを備えている、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
半導体前駆体ウエハ上にある、請求項1に記載の複数の発光ダイオード。
【請求項8】
前記基板は、炭化珪素と、サファイアと、サブマウント構造とから成る群から選択される、請求項7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【請求項9】
前記チップ前駆体のそれぞれは、前記樹脂内に、同一な組成および同一な量の蛍光体を含む、請求項7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【請求項10】
異なるチップ前駆体は、前記樹脂内に、異なる量の蛍光体を含む、請求項7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【請求項11】
異なるチップ前駆体は、前記樹脂内に、異なる組成の蛍光体を含む、請求項7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【請求項12】
異なるチップ前駆体は、異なる樹脂の組成を含む、請求項7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【請求項13】
前記チップ前駆体は、スペクトルの青色部分で放射し、前記蛍光体は、該チップ前駆体からの該青色放射を大部分は黄色の周波数に下方変換する蛍光体である、請求項7に記載の半導体前駆体ウエハ。
【請求項14】
発光ダイオード構造であって、
能動部分と、
該能動部分の上面上および該能動部分の該上面の周囲における隆起縁と、
該隆起縁上および該能動部分の該上面の上にある樹脂予備成形品と、
該樹脂予備成形品内の蛍光粒子であって、該蛍光粒子は、該能動部分によって放射された周波数を変換する、蛍光粒子と
を備えている、発光ダイオード構造。
【請求項15】
前記予備成形品のフットプリントは、前記上面によって画定される面積よりも広く、それにより該予備成形品は、前記隆起縁の少なくとも一部の部分を越えて横方向に延びている、請求項14に記載の発光ダイオード構造。
【請求項16】
前記隆起縁は、金属と、半導体と、セラミックとから成る群から選択される、請求項14に記載の発光ダイオード構造。
【請求項17】
発光ダイオード構造であって、
能動部分と、
該能動部分の上面上の隆起接触と、
カットアウトを有する樹脂予備成形品であって、該カットアウトは、該隆起接触の幾何形状に適合し、かつ、該カットアウトは、該予備成形品が該能動部分の該上面に隣接して存在するときには、該カットアウト内で該隆起接触とぴたりと合う、樹脂予備成形品と、
該樹脂予備成形品内の蛍光粒子であって、該蛍光粒子は、該能動部分によって放射された周波数を変換する、蛍光粒子と
を備えている、発光ダイオード構造。
【請求項18】
出力によって発光ダイオードを調節する方法であって、
発光ダイオードによって生成された波長と放射束とそれらの組み合わせとから成る群から選択された量を測定することと、
その後、ポリマー樹脂と組み合わされた多量の蛍光体でダイオードを被覆することであって、該ダイオードは、測定された色と該樹脂内の加えられた蛍光体とに基づいて、選択された色を生成する、ことと
を包含する、方法。
【請求項19】
黄色放射蛍光体を含むポリマー樹脂で前記ダイオードを被覆することによって青色発光ダイオードを調節することをさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
黄色放射蛍光体を含む樹脂予備成形品で前記ダイオードを被覆することを包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
分散した黄色蛍光体を有する液体樹脂の液滴を、前記発光ダイオードの表面上のウェルに加えることを包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ウェルを画定し、次に、液体樹脂の液滴を該画定されたウェルに加えるために、前記発光ダイオードの前記上面上に、隆起縁を形成することを包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記隆起周囲を形成する前記ステップは、該周囲を形成するためにハンダを施し、次に、該縁を形成するためにハンダをリフローすることを包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記隆起周囲の縁を形成する前記ステップは、セラミック材料を堆積することを包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
酸化アルミニウム、酸化チタニウム、二酸化珪素から成る群から選択された材料を堆積することを包含し、該材料は、入射光の分散を助ける、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
出力によって発光ダイオードを分類する方法であって、
ウエハを探査することであって、該ウエハは、複数のLED前駆体を含むことにより、波長、放射束、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された量を測定する、ことと、
該測定した量に従って該探査されたウエハのマップを作成することと、
該マッピングされた出力に基づいて、樹脂における多量の蛍光体を、該ウエハ上の個々のダイオードに加えることと、
該ダイオードを分離し、出力によってソートすることと
を包含する、方法。
【請求項27】
前記樹脂内の前記蛍光体を、個々のダイオードに加える前記ステップは、該蛍光体を有する樹脂予備成形品を加えることを包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記樹脂内の前記蛍光体を、個々のダイオードに加える前記ステップは、液体樹脂の液滴と分散した蛍光体とを、各ダイオード前駆体の表面におけるウェルに加えることを包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記液体樹脂の液滴と前記分散した蛍光体とを加える前記ステップに先立ち、周辺の縁を各ダイオード前駆体に加えることによって各ダイオードの前記表面における前記ウェルを形成するステップをさらに包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
複数の青色発光ダイオードを含むウエハを探査することと、該ダイオードからの青色の放射に応答して、大部分は黄色の周波数を放射する蛍光体を加えることとを包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記蛍光体および前記樹脂を加える前に、青色放射に従って、青色発光LED前駆体のウエハをマッピングすることを包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記蛍光体および前記樹脂を加えた後に、白色放射に従って、LED前駆体のウエハをマッピングすることを包含する、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−21599(P2009−21599A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180814(P2008−180814)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】