説明

白色発光ランプとそれを用いた照明装置

【課題】黄色蛍光体の特性を改善することによって、高輝度と高演色性とを両立させた白色発光ランプを提供する。
【解決手段】白色発光ランプ1は、半導体発光素子2から出射された光が照射されて白色光を発光する発光部9を具備する。発光部9は黄色蛍光体を含む。黄色蛍光体は、(Sr1-x-y-z-u,Bax,Mgy,Euz,Mnu2SiO4(0.1≦x≦0.35、0.025≦y≦0.105、0.025≦z≦0.25、0.0005≦u≦0.02)で表される組成を有するユーロピウムおよびマンガン付活アルカリ土類珪酸塩蛍光体からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体発光素子を具備する白色発光ランプとそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)は、電気エネルギーを紫外光や可視光に変換して放射する半導体発光素子であり、長寿命で信頼性が高く、光源として用いた場合に交換作業が軽減されるというような利点を有する。LEDチップを透明樹脂で封止したLEDランプは、携帯型通信機器、PC周辺機器、OA機器、家庭用電気機器等の表示部に使用される液晶表示装置のバックライト、また信号装置、各種スイッチ類、車載用ランプ、一般照明等の照明装置に幅広く利用されている。
【0003】
LEDランプから放射される光の色調に関しては、LEDチップと種々の発光色を有する蛍光体とを組合せることによって、青色から赤色まで使用用途に応じた可視光領域の光を実現することができる。特に、白色発光型のLEDランプ(白色LEDランプ)は、液晶表示装置のバックライトや車載用ランプ等の用途に急速に普及している。将来的には蛍光ランプの代替品として大きく伸張することが期待されている。例えば、一般的な蛍光ランプは水銀を用いていることから、将来的には水銀を使用しない白色LEDランプが蛍光ランプに置き換わっていくものと考えられている。
【0004】
現在、普及もしくは試行されている白色LEDランプとしては、青色発光のLEDと黄色蛍光体(YAG等)とを組合せたLEDランプと、発光波長が360〜440nmの紫外発光のLEDと青、緑、赤の各蛍光体の混合物(BGR蛍光体)とを組合せたLEDランプとが知られている。現状では、前者の方が後者より輝度特性に優れることから普及している。しかし、前者の白色LEDランプは光の分布が青色成分と黄色成分とに偏っており、赤色成分の光が不足している。このため、前者の白色LEDランプは光源光として目的の発光色度を有していたとしても、この光源を用いて物体を見たときの反射光が太陽光の下で見る自然色とは大きく異なるというような難点を有している。
【0005】
これに対して、後者の紫外発光LEDを用いた白色LEDランプは、輝度が前者より劣るものの、発光や投影光の色ムラが少なく、将来的には白色ランプの主流になることが期待されている。紫外発光LEDを用いた白色LEDランプに関しては、各蛍光体の特性やそれらの組合せに基づいて、輝度(明るさ)や演色性等のランプ特性を改善することが進められている(特許文献1,2参照)。例えば、白色LEDランプの明るさを向上させるために、発光ピーク波長が500〜530nmの緑色蛍光体に代えて、発光ピーク波長が540〜570nmの黄色蛍光体を用いることが検討されている。
【0006】
緑色蛍光体に代えて黄色蛍光体を含む混合蛍光体(BYR蛍光体)を適用した白色LEDランプは、BGR蛍光体を用いた白色LEDランプより明るさが向上するため、照明装置用の光源として期待されている。しかしながら、従来の黄色蛍光体を含むBYR蛍光体を適用した白色LEDランプでは、必ずしも十分な特性の改善効果は得られておらず、白色LEDランプの輝度や演色性等をより一層高めることが求められている。一方、黄色蛍光体に関しては、青色発光LEDとの組合せで用いられる蛍光体が種々提案されている。
【0007】
青色発光LEDと組合せて用いられる黄色蛍光体としては、セリウム付活イットリウムアルミン酸塩蛍光体(YAG)、セリウム付活テルビウムアルミン酸塩蛍光体(TAG)、ユーロピウム付活アルカリ土類珪酸塩蛍光体(BOSS)等が知られている(特許文献3参照)。従来の黄色蛍光体に関しては、青色発光LEDから放出される青色光(発光波長:430〜500nm)で励起したときの発光特性は検討されているものの、紫外発光LEDから放出される発光波長が360〜440nmの光で励起したときの発光特性については十分に検討されておらず、その検討並びに発光特性の改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−171000号公報
【特許文献2】特開2003−160785号公報
【特許文献3】特許第3749243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、黄色蛍光体の特性を改善することによって、高輝度と高演色性とを両立させた白色発光ランプと、それを用いた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様に係る白色発光ランプは、ピーク波長が370nm以上470nm以下の範囲の光を出射する半導体発光素子と、前記半導体発光素子から出射された光が照射されて白色光を発光する発光部であって、前記光を吸収してピーク波長が535nm以上570nm以下の範囲の光を発光する黄色蛍光体を含む発光部とを具備する。黄色蛍光体は、
一般式:(Sr1-x-y-z-u,Bax,Mgy,Euz,Mnu2SiO4
(式中、x、y、zおよびuは0.1≦x≦0.35、0.025≦y≦0.105、0.025≦z≦0.25、0.0005≦u≦0.02を満足する数である)
で表される組成を有するユーロピウムおよびマンガン付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体からなる。
【0011】
本発明の態様に係る照明装置は、本発明の態様に係る白色発光ランプを具備することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による白色発光ランプを示す断面図である。
【図2】図1に示す白色発光ランプの変形例を示す断面図である。
【図3】本発明に適用される黄色蛍光体の発光スペクトルの一例を従来の黄色蛍光体と比較して示す図である。
【図4】本発明の実施形態による白色LEDランプの発光スペクトルの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による照明装置の構成を示す平面図である。
【図6】図5に示す照明装置の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の白色発光ランプを白色LEDランプに適用した実施形態の構成を示す断面図である。図1に示す白色LEDランプ1は、励起源(光源)としてLEDチップ2を有している。励起源はLEDチップ2に限られるものではない。白色発光ランプの励起源としては、発光のピーク波長が370nm以上470nm以下の範囲の発光ダイオードやレーザダイオード等の半導体発光素子が用いられる。
【0014】
励起源としてのLEDチップ2には、InGaN系、GaN系、AlGaN系等の各種の発光ダイオードが用いられる。LEDチップ2の発光ピーク波長は370nm以上430nm以下の範囲であることが好ましい。このようなLEDチップ2をBYR蛍光体と組合せて用いることによって、高輝度でかつ色再現性に優れた白色LEDランプ1を実現することができる。ここでは励起源としての発光ダイオードをLEDチップ2と表記し、最終的に白色発光を得るための発光ランプを白色LEDランプ1と表記する。
【0015】
LEDチップ2は配線基板3上に実装されている。配線基板3上には円筒状の枠体4が設けられており、枠体4の内壁面は反射層とされている。枠体4は少なくとも表面が金属等の導電材料で形成されており、LEDチップ2に対する電気配線の一部を構成している。LEDチップ2の上部電極2aはボンディングワイヤ5を介して枠体4と電気的に接続されている。LEDチップ2の下部電極2bは配線基板3の金属配線層6と電気的および機械的に接続されている。枠体4内には透明樹脂7が充填されており、この透明樹脂層7内にLEDチップ2が埋め込まれている。
【0016】
LEDチップ2が埋め込まれた透明樹脂層7は、白色光を得るための蛍光体8を含有している。透明樹脂層7中に分散された蛍光体8は、LEDチップ2から出射される光により励起されて白色光を発光する。すなわち、蛍光体8が分散された透明樹脂層7は、白色光を発光する発光部9として機能するものである。発光部9はLEDチップ2の発光面を覆うように配置されている。透明樹脂層7には、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等が用いられる。なお、基板3や枠体4等の構成は任意である。
【0017】
発光部9は図2に示すように、蛍光体8を含有しない第1の透明樹脂層7Aと、蛍光体8を含有する第2の透明樹脂層7Bとを備えていてもよい。第1の透明樹脂層7AはLEDチップ2の発光面を覆うように配置されている。第2の透明樹脂層7Bは第1の透明樹脂層7Aを覆うように配置されている。このような構成を有する発光部9は、白色LEDランプ1の発光効率の向上に寄与する。第1の透明樹脂7Aは、例えばLEDチップ2の発光面から500〜2000μmの範囲に配置される。
【0018】
白色光を得るための蛍光体8は、LEDチップ2から出射された光(例えば紫外光や紫色光)を吸収し、ピーク波長が440nm以上470nm以下の範囲の光を発光する青色(B)蛍光体、ピーク波長が535nm以上570nm以下の範囲の光を発光する黄色(Y)蛍光体、ピーク波長が590nm以上630nm以下の範囲の光を発光する赤色(R)蛍光体とを含んでいる。蛍光体8は青色、黄色、赤色の混合蛍光体(BYR蛍光体)である。BYR蛍光体8は同じ色の蛍光体を2種類以上含んでいてもよいし、青、黄、赤以外の発光色を有する蛍光体を補助的に含んでいてもよい。BYR蛍光体8は予め各蛍光体を結合剤で結合した状態で透明樹脂層7中に分散させてもよい。
【0019】
白色LEDランプ1に印加された電気エネルギーは、LEDチップ2で紫外光や紫色光に変換される。LEDチップ2から出射された光は、透明樹脂層7中に分散されたBYR蛍光体8でより長波長の光に変換される。BYR蛍光体8中に含まれる青色蛍光体、黄色蛍光体および赤色蛍光体からの発光が混色されて放出されることによって、総計として白色光が白色LEDランプ1から発光される。BYR蛍光体8を構成する各蛍光体のピーク波長が上記範囲内であるときに、輝度や演色性等に優れる白色光を得ることができる。
【0020】
BYR蛍光体8を構成する各蛍光体のうち、黄色蛍光体には
一般式:(Sr1-x-y-z-u,Bax,Mgy,Euz,Mnu2SiO4 …(1)
(式中、x、y、zおよびuは0.1≦x≦0.35、0.025≦y≦0.105、0.025≦z≦0.25、0.0005≦u≦0.02を満足する数である)
で表される組成を有するユーロピウム(Eu)およびマンガン(Mn)付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体が用いられる。式(1)で組成が表されるEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体は、ピーク波長が370〜430nmの範囲の紫外光や紫色光の吸収効率に優れるだけでなく、赤色発光成分の補強効果を有している。
【0021】
図3にEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)の発光スペクトル(A)を、従来の黄色蛍光体((Sr,Ba,Eu)2SiO4蛍光体)の発光スペクトル(B)と比較して示す。図3から明らかなように、EuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体は従来の黄色蛍光体に比べて600〜700nmの発光強度が増加し、赤味が増強されている。これによって、赤色発光成分を補強することが可能となる。さらに、450nm前後に見られるサブピークは青色発光成分として使用することができる。
【0022】
赤色蛍光体は青色蛍光体や黄色蛍光体と比べて、波長370〜430nmの範囲の紫外線や紫色光に対する発光効率が劣ることが知られている。このような点に対して、EuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体で赤色発光成分を補強することによって、青、黄、赤の各発光成分を混色させて得られる白色光の輝度や演色性を向上させることが可能となる。すなわち、EuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体で赤色蛍光体の発光不足を補強して、輝度バランスを向上させることによって、白色光の輝度を高めることができる。さらに、輝度バランスを向上させることで、白色光の演色性を向上させることができる。
【0023】
式(1)で示される組成を有する黄色蛍光体においては、Eu付活アルカリ土類珪酸塩蛍光体の発光スペクトルにMnの発光が加わることによって、赤色発光成分が補強されるものと考えられる。このような効果を得る上で、Mnの含有量は式(1)中のuの値として0.0005〜0.02の範囲とする。uの値が0.0005未満であると、赤色発光成分の補強効果を十分に得ることができない。uの値が0.02を超えると600〜700nmの赤色発光成分の増加効果以上に、535〜570nmの範囲の黄色発光成分の低下が著しくなる。uの値は0.005〜0.02の範囲であることがより好ましい。
【0024】
Euは主として黄色発光を得るための付活剤である。Euの含有量は黄色発光を得るために、式(1)中のzの値として0.025〜0.25の範囲とする。Euの含有量が上記範囲から外れると黄色発光成分の強度等が低下する。Euの含有量はzの値として0.05〜0.2の範囲とすることがより好ましい。
【0025】
EuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体による赤色発光成分の補強効果は、ピーク波長が370〜430nmの範囲の紫外光や紫色光で励起した場合に顕著に現れる現象である。なお、EuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体をピーク波長が440〜470nmの青色光(青色発光LEDから出射される光)で励起した場合にも、若干発光スペクトルの赤色成分が増強される。EuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体は、励起源としてピーク波長が370〜430nmの範囲のLEDチップ2を用いた白色LEDランプ1の黄色蛍光体として有効である。
【0026】
ところで、従来のEu付活アルカリ土類珪酸塩蛍光体((Sr,Ba,Eu)2SiO4蛍光体)に単にMnを添加しただけでは、蛍光体作製時に蛍光体の体色が黒化して、良好な発光特性を得ることはできない。そこで、この実施形態の黄色蛍光体においては、EuおよびMn付活アルカリ土類珪酸塩蛍光体((Sr,Ba,Eu,Mn)2SiO4蛍光体)に、さらにMgを添加している。
【0027】
(Sr,Ba,Eu,Mn)2SiO4蛍光体にMgを添加することによって、黄色蛍光体としての発光特性を維持することが可能となる。上述した黒化防止効果を得る上で、Mgの含有量は式(1)中のyの値として0.025〜0.105の範囲とする。yの値が0.025未満であると、黄色蛍光体の黒化防止効果を十分に得ることができない。yの値が0.105を超えると535〜570nmの範囲の黄色発光成分が低下する。yの値は0.075〜0.105の範囲とすることがより好ましい。
【0028】
Baの含有量はEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体を黄色蛍光体とする上で、式(1)中のxの値として0.1〜0.35の範囲とする。Baの含有量が上記範囲から外れるとアルカリ土類珪酸塩の結晶構造等が変化して、緑味を帯びた蛍光体となる。xの値は0.1〜0.3の範囲とすることがより好ましい。
【0029】
BYR蛍光体8を構成する各蛍光体のうち、青色蛍光体や赤色蛍光体にはLEDチップ2から出射される光(特に紫外光や紫色光)を効率よく吸収するものであれば各種の蛍光体を使用することができる。EuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体からなる黄色蛍光体との組合せの点から、青色蛍光体はEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩蛍光体およびEu付活アルミン酸塩蛍光体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。赤色蛍光体はEu付活酸硫化ランタン蛍光体であることが好ましい。
【0030】
青色蛍光体としてのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩蛍光体は、
一般式:(Sr1-a-b-c,Baa,Cab,Euc5(PO43Cl …(2)
(式中、a、bおよびcは0≦a≦0.45、0≦b≦0.03、0.005≦c≦0.03を満足する数である)
で表される組成を有することが好ましい。式(2)の組成を満足するEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩蛍光体は、LEDチップ2から出射される光の吸収効率が高く、かつ式(1)で表される黄色蛍光体との組合せ性に優れるものである。
【0031】
Eu付活アルミン酸塩蛍光体は、
一般式:(Ba1-a-b-c,Sra,Cab,Euc)MgAl1017 …(3)
(式中、a、bおよびcは0≦a≦0.1、0≦b≦0.1、0.005≦c≦0.4を満足する数である)
で表される組成を有することが好ましい。式(3)の組成を満足するEu付活アルミン酸塩蛍光体は、LEDチップ2から出射される光の吸収効率が高く、かつ式(1)で表される黄色蛍光体との組合せ性に優れるものである。
【0032】
赤色蛍光体としてのEu付活酸硫化ランタン蛍光体は、
一般式:(La1-a-b,Eua,Mb22S …(4)
(式中、MはSm、Ga、SbおよびSnから選ばれる少なくとも1種を示し、aおよびbは0.08≦a≦0.16、0.000001≦b≦0.003を満足する数である)
で表される組成を有することが好ましい。式(4)の組成を満足するEu付活酸硫化ランタン蛍光体は、LEDチップ2から出射される光の吸収効率が高く、かつ式(1)で表される黄色蛍光体との組合せ性に優れるものである。
【0033】
図4は上述した青、黄および赤の各蛍光体を含むBYR蛍光体8を用いた白色LEDランプ1の発光スペクトルの一例を示している。図4は電流値20mA、ピーク値400nmのLEDチップからの紫外光を、BYR蛍光体で(x,y)色度値が(x=0.300〜0.350,y=0.300〜0.350)の白色光に変換したときの発光スペクトルである。上述した各蛍光体の組合せによれば、青色発光成分のピーク値が450nm、緑色発光成分のピーク値が560nm、赤色発光成分のピーク値が623nmにあり、輝度が370mcd以上、平均演色指数(Ra)が90以上の特性値を得ることができる。
【0034】
青、黄および赤の各蛍光体は、例えばそれらの混合物として透明樹脂層7中に分散させる。各蛍光体の混合比率は目的とする白色光の色度に応じて任意に設定される。必要に応じて、青、黄および赤以外の蛍光体を添加してもよい。発光部9で良質な白色発光を得る上で、各蛍光体の混合比率は青色蛍光体を15〜35質量%の範囲、黄色蛍光体を35〜70質量%の範囲、赤色蛍光体を残部(青色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の合計が100質量%)とすることが好ましい。
【0035】
さらに、青、黄および赤の各蛍光体はそれぞれ10μm以上80μm以下の範囲の平均粒径を有していることが好ましい。ここで言う平均粒径とは粒度分布の中位値(50%値)を示すものである。青、黄および赤の各蛍光体の平均粒径を10〜80μmの範囲とすることによって、LEDチップ2から出射される紫外光や紫色光の吸収効率を高めることができる。従って、白色LEDランプ1の輝度をさらに高めることが可能となる。蛍光体の平均粒径は20〜70μmの範囲とすることがさらに好ましい。
【0036】
青、黄および赤の各蛍光体は、透明樹脂層7中での分散状態の均一性を高める上で、予め無機結合剤や有機結合剤等の結合剤で一体化し、この状態で透明樹脂層7中に分散させるようにしてもよい。無機結合剤としては微粉化したアルカリ土類ホウ酸塩等が用いられる。有機結合剤としてはアクリル樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂が用いられる。結合剤を用いて一体化処理することで、各蛍光体がランダムに結び付いて大粒径化する。これによって、透明樹脂層7中での各蛍光体の沈降速度の差に基づく分散状態の不均一性等が解消されるため、白色光の再現性や発光の均一性を高めることが可能となる。
【0037】
この実施形態の白色LEDランプ1は、輝度特性、演色性、色再現性等のランプ特性に優れている。従って、白色LEDランプ1は車載用ランプ、信号装置、各種スイッチ類、一般照明等の照明装置の光源として有効である。本発明の実施形態による照明装置は、光源として1個または複数個の白色LEDランプ1を具備している。図5および図6は本発明の実施形態による照明装置(照明器具)を示している。これらの図に示す照明装置11は、光源として複数個の白色LEDランプ1を具備している。
【0038】
白色LEDランプ1は適用する照明装置11の光量や用途等に応じて、基板12上に各種の配列で配置されて用いられる。図5は円板状の基板12上にマトリクス状に配置された複数の白色LEDランプ1を具備する照明装置11を示している。図6は矩形状の基板12上に直線状に配置された複数の白色LEDランプ1を具備する照明装置11を示している。基板12は白色LEDランプ1の配線基板3であってもよいし、配線基板3とは別体の基板であってもよい。この実施形態の白色LEDランプ1を用いた照明器具11は、従来の蛍光ランプの代替品として高品質の照明を提供するものである。
【実施例】
【0039】
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
【0040】
(実施例1)
青色蛍光体として平均粒径が12μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.59,Ca0.01,Ba0.39,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体を用意した。黄色蛍光体として平均粒径が15μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)蛍光体を用意した。赤色蛍光体として平均粒径が12μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.938,Eu0.06,Sm0.00222S)蛍光体を用意した。蛍光体の粒径はレーザー回折法で測定した値である。
【0041】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを30質量%、黄色蛍光体スラリーを43質量%、赤色蛍光体スラリーを27質量%の割合で混合した。
【0042】
次に、図2に構成を示した白色LEDランプ1のLEDチップ(発光ピーク波長:399nm,サイズ:300×300μm)2上に、蛍光体を含まないシリコーン樹脂を滴下した後、上記した各蛍光体を含む混合スラリーを滴下し、140℃で熱処理してシリコーン樹脂を硬化させることによって、白色LEDランプ1を作製した。得られた白色LEDランプを後述する特性評価に供した。
【0043】
(実施例2)
青色蛍光体として平均粒径が15μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.75,Ca0.01,Ba0.23,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が16μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0965,Eu0.05,Mn0.00352SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が17μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.938,Eu0.06,Ga0.00222S)蛍光体を用意した。
【0044】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを22質量%、黄色蛍光体スラリーを67質量%、赤色蛍光体スラリーを11質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例1と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0045】
(実施例3)
青色蛍光体として平均粒径が23μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.59,Ca0.01,Ba0.39,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が25μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.095,Eu0.05,Mn0.0052SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が25μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.9397,Eu0.06,Sb0.000322S)蛍光体を用意した。
【0046】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを29質量%、黄色蛍光体スラリーを41質量%、赤色蛍光体スラリーを30質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例1と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0047】
(実施例4)
青色蛍光体として平均粒径が17μmのEu付活アルミン酸塩((Ba0.72,Eu0.28)MgAl1017)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が18μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が15μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.9397,Eu0.06,Sm0.000322S)蛍光体を用意した。
【0048】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを25質量%、黄色蛍光体スラリーを55質量%、赤色蛍光体スラリーを20質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例1と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0049】
(実施例5)
青色蛍光体として平均粒径が25μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.75,Ca0.01,Ba0.23,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が27μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が25μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.9399,Eu0.06,Sn0.000122S)蛍光体を用意した。
【0050】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを25質量%、黄色蛍光体スラリーを65質量%、赤色蛍光体スラリーを10質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例1と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0051】
(比較例1)
青色蛍光体として平均粒径が5μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.75,Ca0.01,Ba0.23,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が7μmのEuおよびMn付活アルミン酸塩((Ba0.8,Eu0.2)(Mg0.75,Mn0.25)Al1017)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が7μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.94,Eu0.0622S)蛍光体を用意した。
【0052】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを15質量%、黄色蛍光体スラリーを14質量%、赤色蛍光体スラリーを71質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例1と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0053】
(比較例2)
青色蛍光体として平均粒径が12μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.59,Ca0.01,Ba0.39,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が15μmのEu付活アルカリ土類珪酸塩((Sr0.78,Ba0.11,Ca0.01,Eu0.12SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が12μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.938,Eu0.06,Sm0.00222S)蛍光体を用意した。
【0054】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを56質量%、黄色蛍光体スラリーを12質量%、赤色蛍光体スラリーを32質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例1と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0055】
(実施例6)
青色蛍光体として平均粒径が35μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.59,Ca0.01,Ba0.39,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が32μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が38μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.9398,Eu0.06,Sm0.000222S)蛍光体を用意した。
【0056】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを31質量%、黄色蛍光体スラリーを44質量%、赤色蛍光体スラリーを25質量%の割合で混合した。
【0057】
次に、図2に構成を示した白色LEDランプ1のLEDチップ(発光ピーク波長:396nm,サイズ:300×300μm)2上に、蛍光体を含まないシリコーン樹脂を滴下した後、上記した各蛍光体を含む混合スラリーを滴下し、140℃で熱処理してシリコーン樹脂を硬化させることによって、白色LEDランプ1を作製した。得られた白色LEDランプを後述する特性評価に供した。
【0058】
(実施例7)
青色蛍光体として平均粒径が34μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.75,Ca0.01,Ba0.23,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が35μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が33μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.939,Eu0.06,Ga0.00122S)蛍光体を用意した。
【0059】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを24質量%、黄色蛍光体スラリーを65質量%、赤色蛍光体スラリーを11質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例6と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0060】
(実施例8)
青色蛍光体として平均粒径が30μmのEu付活アルミン酸塩((Ba0.72,Sr0.02,Ca0.01,Eu0.25)MgAl1017)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が29μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が31μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.938,Eu0.06,Sm0.00222S)蛍光体を用意した。
【0061】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを23質量%、黄色蛍光体スラリーを57質量%、赤色蛍光体スラリーを20質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例6と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0062】
(実施例9)
青色蛍光体として平均粒径が45μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.75,Ca0.01,Ba0.23,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が48μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が49μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.9397,Eu0.06,Sm0.000322S)蛍光体を用意した。
【0063】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを20質量%、黄色蛍光体スラリーを65質量%、赤色蛍光体スラリーを15質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例1と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0064】
(実施例10)
青色蛍光体として平均粒径が55μmのEu付活アルミン酸塩((Ba0.8,Eu0.2)MgAl1017)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が60μmのEuおよびMn付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩((Sr0.7,Ba0.15,Mg0.0975,Eu0.05,Mn0.00252SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が57μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.938,Eu0.06,Sb0.00222S)蛍光体を用意した。
【0065】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを22質量%、黄色蛍光体スラリーを53質量%、赤色蛍光体スラリーを25質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例1と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0066】
(比較例3)
青色蛍光体として平均粒径が5μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.75,Ca0.01,Ba0.23,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が3μmのEuおよびMn付活アルミン酸塩((Ba0.8,Eu0.2)(Mg0.75,Mn0.25)Al1017)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が8μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.94,Eu0.0622S)蛍光体を用意した。
【0067】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを15質量%、黄色蛍光体スラリーを14質量%、赤色蛍光体スラリーを71質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例6と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0068】
(比較例4)
青色蛍光体として平均粒径が35μmのEu付活アルカリ土類クロロ燐酸塩((Sr0.59,Ca0.01,Ba0.39,Eu0.015(PO43・Cl)蛍光体、黄色蛍光体として平均粒径が32μmのEu付活アルカリ土類珪酸塩((Sr0.78,Ba0.115,Ca0.005,Eu0.12SiO4)蛍光体、赤色蛍光体として平均粒径が38μmのEu付活酸硫化ランタン((La0.9398,Eu0.06,Sm0.000222S)蛍光体を用意した。
【0069】
各蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂に30質量%の割合で混合してスラリーを作製した。これら各スラリーを白色LEDランプの発光色度が(x=0.29〜0.34,y=0.29〜0.34)の範囲に入るように、青色蛍光体スラリーを54質量%、黄色蛍光体スラリーを9質量%、赤色蛍光体スラリーを37質量%の割合で混合した。このようにして調合した混合スラリーを用いる以外は実施例6と同様にして、図2に構成を示した白色LEDランプ1を作製し、後述する特性評価に供した。
【0070】
実施例1〜10および比較例1〜4の各白色LEDランプに20mAの電流を流して点灯させ、各白色LEDランプの輝度と平均演色指数を測定した。これらの測定結果を表1に示す。各白色LEDランプの発光特性は、Instrument System社製CAS 140 COMPACT ARRAY SPECTROMETERおよび大塚電子社製MCPD装置を用いて測定した。
【0071】
【表1】

【0072】
表1から明らかなように、実施例1〜10による各白色LEDランプは比較例1〜4に比べて輝度と演色性が共に優れることが分かる。さらに、実施例1〜10による白色LEDランプをそれぞれ用いて、図3に示す照明装置を作製したところ、良好な発光特性を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の白色発光ランプは、黄色蛍光体として長波長成分をより多く含むユーロピウムおよびマンガン付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体を用いている。このため、輝度特性と演色性を共に向上させることができる。このような高演色性と高輝度とを両立させた白色発光ランプは照明用途等に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…白色LEDランプ、2…LEDチップ、3…配線基板、4…枠体、5…ボンディングワイヤ、6…金属配線層、7…透明樹脂層、7A…第1の透明樹脂層、7B…第2の透明樹脂層、8…BYR蛍光体、9…発光部、11…照明装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーク波長が370nm以上470nm以下の範囲の光を出射する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射された光が照射されて白色光を発光する発光部であって、前記光を吸収してピーク波長が535nm以上570nm以下の範囲の光を発光する黄色蛍光体を含む発光部とを具備し、
前記黄色蛍光体は、
一般式:(Sr1-x-y-z-u,Bax,Mgy,Euz,Mnu2SiO4
(式中、x、y、zおよびuは0.1≦x≦0.35、0.025≦y≦0.105、0.025≦z≦0.25、0.0005≦u≦0.02を満足する数である)
で表される組成を有するユーロピウムおよびマンガン付活アルカリ土類マグネシウム珪酸塩蛍光体からなることを特徴とする白色発光ランプ。
【請求項2】
請求項1記載の白色発光ランプにおいて、
前記発光部は、前記光を吸収してピーク波長が590nm以上630nm以下の範囲の光を発光する赤色蛍光体を含み、
前記赤色蛍光体は、
一般式:(La1-a-b,Eua,Mb22
(式中、MはSm、Ga、SbおよびSnから選ばれる少なくとも1種を示し、aおよびbは0.08≦a≦0.16、0.000001≦b≦0.003を満足する数である)
で表される組成を有するユーロピウム付活酸硫化ランタン蛍光体からなることを特徴とする白色発光ランプ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の白色発光ランプにおいて、
前記黄色蛍光体は10μm以上80μm以下の範囲の平均粒径を有することを特徴とする白色発光ランプ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の白色発光ランプにおいて、
前記発光部は、前記半導体発光素子の発光面を覆うように設けられ、前記黄色蛍光体を含有する透明樹脂層を有することを特徴とする白色発光ランプ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の白色発光ランプにおいて、
前記発光部は、前記半導体発光素子の発光面を覆うように設けられ、前記黄色蛍光体を含有しない第1の透明樹脂層と、前記第1の透明樹脂層を覆うように設けられ、前記黄色蛍光体を含有する第2の透明樹脂層とを備えることを特徴とする白色発光ランプ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の白色発光ランプにおいて、
前記半導体発光素子は発光ダイオードまたはレーザダイオードを備えることを特徴とする白色発光ランプ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の白色発光ランプを具備することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項7記載の照明装置において、
さらに、複数の前記白色発光ランプが配置された基板を具備することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−48270(P2013−48270A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231967(P2012−231967)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2008−557027(P2008−557027)の分割
【原出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(303058328)東芝マテリアル株式会社 (252)
【Fターム(参考)】