白色発光化合物
【課題】一つの有機低分子化合物であって異なる色の発色をすることにより白色発光を可能とする白色発光化合物。
【解決手段】C2h対称群に属する分子構造を有し、その分子構造の中心に芳香環骨格を有し、分子内に互いに反対方向且つ並列である少なくとも2個の双極子(すなわち四極子)を有することを特徴とする白色発光化合物。
【解決手段】C2h対称群に属する分子構造を有し、その分子構造の中心に芳香環骨格を有し、分子内に互いに反対方向且つ並列である少なくとも2個の双極子(すなわち四極子)を有することを特徴とする白色発光化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は白色発光化合物に関し、さらに詳しくは一つの低分子有機化合物であって白色発光を可能とする白色発光化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、有機発光化合物を使用して白色発光させるには、例えばR、G及びBの各色を発する三種の発光化合物、青に発光する青発光化合物と黄色に発光する黄色発光化合物との二種の発光化合物、又は青に発光する青発光化合物と橙色に発光する橙色発光化合物との二種の発光化合物等を使用する必要があった。例えば赤色発光化合物、緑色発光化合物及び青色発光化合物を適宜の割合で混合して得られる混合物に適宜のエネルギー例えば紫外線を照射することにより混合物中の各化合物から赤、緑及び青の光を発光させ、これらの色の混合混色の結果として白色発光が実現されていた。
【0003】
従来の白色発光物質はこのように複数の異なる色を発光させる発光化合物を混合していた。
【0004】
しかしながら、三種の発光化合物それぞれは耐久性、発光特性等が相違するのであるから、初期において混色による白色発光が実現されていても、時間の経過とともに混合物中のいずれかの発光化合物が劣化し、又は発光特性が変化するなどして白色の発光とはならず、場合によっては青い発光となり、また場合によっては黄色、又は青色等の発光となる。
【0005】
また、白色発光をさせるために複数の発光化合物を調合することは非常に煩雑である。例えば複数の発光化合物はそれぞれ発光特性が相違するのであるから、当量で混合するわけにはいかず、微妙に調合量を工夫する必要があり、このような工夫は実に煩雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、一つの低分子有機化合物であって、青色(B)と黄色(Y)との発色、青色(B)と橙色との発色、又は青色と緑色と赤色との発色を同時に起こさせることにより白色を発光させることのできる白色発光化合物を提供することにある。この発明の課題は、一つの低分子有機化合物であって白色を発光させることのできる白色発光化合物の原理的特徴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、C2h対称群に属する分子構造を有し、その分子構造の中心に芳香環骨格を有し、分子内に互いに反対方向且つ並列である少なくとも2個の双極子(すなわち四極子)を有することを特徴とする白色発光化合物であり、
請求項2は、前記芳香環骨格がベンゼン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造又はペンタセン構造である前記請求項1に記載の白色発光化合物であり、
請求項3は、前記双極子が、前記分子構造における短軸方向に存在する置換基によりもたらされる前記請求項1に記載の白色発光化合物であり、
請求項4は、前記双極子が、前記分子構造における短軸方向に存在し、電子押し出し基により双極子モーメントが強化されてなる前記請求項1に記載の白色発光化合物であり、
請求項5は、前記分子構造における長軸方向に電子押し出し基が結合してなる前記請求項1に記載の白色発光化合物であり、
請求項6は、蛍光スペクトルが360nm以上500nm未満の領域に存在するピークと520nm以上700nm以下の領域に存在するピークとを有する前記請求項1に記載の白色発光化合物である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、一つの低分子有機化合物であって、エネルギー例えば電界エネルギー又は光エネルギー例えば紫外線照射や、360nm以上のLED照射による光発光に利用することができ、しかも白色に発光する白色発光化合物が提供される。この発明に係る白色発光化合物は、有機EL素子に利用することができる。前記有機EL素子は電界エネルギーの付与により白色に発光し、しかも経時的な白色の劣化例えば初期には白色発光であったが時間の経過とともに白以外の色に劣化しにくくて超寿命である。
【0009】
このように一つの低分子化合物でありながら、白色発光が可能になる理由は、以下のようであると考えられる。
【0010】
この白色発光化合物は群論にいうC2h対称群に属する分子構造を有し、かつその分子構造の中心に芳香環骨格を有する。この芳香環骨格はπ電子を有するので、外部からエネルギーが与えられることによりπ-π*励起を生じる。このπ-π*励起におけるHOMOとLUMOとのエネルギー順位間隔が、少なくとも2個の双極子により狭められる。そして互いに反対のベクトル方向を有する少なくとも2個の双極子により余剰共鳴効果が生じ、HOMOからLUMOへの遷移を容易にし、励起π電子がHOMOに戻るときに短軸方向における長波長側の発光を生じ、また第2HOMOからLUMOに遷移した励起π電子がHOMOに戻るときに長軸方向における短波長側の発光を生じ、結果として二つの吸収ピークを生ぜしめる。換言すると、この発明に係る白色発光化合物は、その短軸方向での遷移により520nm以上700nm以下領域での蛍光スペクトルピークを示し、長軸方向での遷移により360nm以上500nm以下領域での蛍光スペクトルピークを示す。二種の蛍光スペクトルピークを有するこの白色発光化合物は、光エネルギー又は電界エネルギーにより、白色発光を生じさせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明に係る白色発光化合物は、分子の中心にプレーナーな(平面型な)芳香環を有する。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環及びペンタセン環等を挙げることができる。これら芳香環は、芳香環における全ての炭素原子が同一平面上にあり、その炭素原子にπ電子が共役して存在する。なお、芳香環の他の例としてキナクリドン骨格及びフルオレン骨格をも挙げることができる。
【0012】
この白色発光化合物は、その分子内に少なくとも2個の、かつ互いに反対のベクトル方向にある双極子を有する。双極子はその原子団における電気陰性度が異なる原子により誘起されている。これら双極子は、電子供与性基によりその双極性が強められる。この白色発光化合物は、このような双極子を発生させるために、少なくとも2個以上の同種の電子供与性基または電子吸引性基を前記芳香環に結合させる。
【0013】
前記芳香環に電子供与性基及び/又は電子吸引性基は、双極子が互いに反対方向にむくように、芳香環に結合される。
【0014】
前記電子供与性基として、例えばアルキルオキシ基、アリールアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアリールオキシ基等を挙げることができる。
【0015】
前記アルキルオキシ基としては、炭素数1〜10のアルキル基の末端炭素又は内部炭素に酸素が結合してなるアルキルオキシ基をあげることができる。前記アリールアルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、ナフチルメチロキシ基、アントリルメチロキシ基当を挙げることができる。前記アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基等を挙げることができる。前記アルキルアリールオキシ基としては、メチルフェニルオキシ基等のアルキルフェニルオキシ基、アルキルナフチルオキシ基等を挙げることができる。
【0016】
前記電子吸引性基として、シアノ基、カルボニル基、第4級アンモニウムイオン基等を挙げることができる。
【0017】
前記電子供与性基及び/又は電子吸引性基が前記芳香環に結合する位置は、分子構造がC2hの対称群となるように決定される。前記芳香環に電子供与性基及び/又は電子吸引性基が結合し、かつC2hの対称群に属する基本分子構造の一例を以下に説明する。
【0018】
この白色発光化合物の基本分子構造の一例は、分子構造の中心にベンゼン環が存在し、1位及び4位に同じ電子供与性基が結合し、2位及び5位に同じ電子吸引性基が結合する構造である。この白色発光化合物における基本分子構造の他の一例は、分子構造の中心にナフタレン環が存在し、1位及び4位に同じ電子供与性基が結合し、2位及び5位に同じ電子吸引性基が結合する。基本分子構造としては、前記ナフタレン環の代わりにアントラセン環、テトラセン環及びペンタセン環が存在してもよい。また、よく、これらの環に結合する2個の同じ電子供与性基の結合位置及び2個の同じ電子吸引性基の結合位置は、分子構造全体がC2hの対称群となり、しかも双極子が互いに反対方向になるように決定される。
【0019】
なお、芳香環に結合する置換基は、前記基本分子構造に示されるように、電子供与性基と電子吸引性基との組合せに限らず、電子供与性基のみが結合してもよく、また電子吸引性基のみが結合してもよい。一般には、電子供与性基が芳香環に結合するとベンゼン環上のπ電子の軌道が広がる傾向を示し、それが故に白色蛍光の輝度が大きくなる。一方電子吸引性基が芳香環に結合すると白色蛍光の輝度が小さくなる傾向がある。
【0020】
この発明の白色発光化合物のうち好適な白色発光化合物の構造を式(1)に示す。
【0021】
【化1】
【0022】
但し、前記式(1)において、Xは単結合又はメチレン基を示し、Arはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、テトラセニル基、ペンタセニル基等の芳香族基又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。前記Arが芳香族基である場合、これらの芳香族基には炭素数が1〜10のアルキル基が置換していてもよい。2基のArは同一である。
【0023】
式(1)で示される白色発光化合物は、以下のようにして合成することができる。
【0024】
【化2】
但し、前記反応式において、Halはハロゲン原子を示す。
上記反応はWillamson合成法を利用し、上記反応式においてハロゲンの代表として示されている臭素をニトリル基(−CN)に置換する反応は、KCN、CuCN等のシアン化金属塩を反応させる反応であり、周知である。
【0025】
上記したように、分子内に芳香環を有し、電子供与性基及び/又は電子吸引性基を少なくとも2基有することにより互いに反対方向の双極子を有し、分子構造全体としてC2hの対象群に属する化合物は、電気的エネルギー又は光エネルギーの付与により芳香環におけるπ電子がπ-π*遷移を起こしてHOMOからLUMOへとπ電子がジャンプし、LUMOからHOMOへの励起π電子の電子移動及び第2HOMOからLUMOへと遷移した励起π電子がLUMOからHOMOへの電子移動により、二つの蛍光スペクトルピークを有する蛍光を発する。この二つの蛍光スペクトルピークのうち一つは360nm以上500nm以下に存在し、他の一つは400nm以上700nm以下に存在する。この白色発光化合物が二つのピークを有する蛍光を発すると、青色発光と緑乃至赤の発光との混色により、白発光と認識される。
【0026】
なお、蛍光スペクトルは日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計による。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
以下の反応式に従って1,5−ジ(3−ヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンを以下のようにして合成した。
【0028】
【化3】
【0029】
1,5−ジヒドロキシナフタレン93g(0.581モル)と酢酸930mLとヨウ素結晶9〜14粒の適当数とを2Lの三口フラスコに入れた。この三口フラスコの内容物をオイルバスにて80℃に加熱した。その温度にて三口フラスコの内容物に臭素200gを添加し、三口フラスコ内を撹拌しつつ3時間80℃に維持した。前記3時間が経過してから、三口フラスコの内容物を常温にまで冷却し、次いで前記内容物を濃縮し、得られた濃縮物をアセトンで再結晶することにより、固形物70gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図1)及びIRチャート(図2)から、この固形物は1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0030】
この1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレン30g(9.435×10−2モル)と1−ブロモ−2−エチルヘキシル72.88g(9.435×10−2モルの4倍モル)と炭酸カリウム78gとシクロヘキサノン500mLとを1Lの三口フラスコ内に収容した。この三口フラスコ内を窒素雰囲気にした。
【0031】
この三口フラスコの内容物を160℃に加熱しながら15時間の反応を行った。反応終了後に、三口フラスコの内容物を氷水に投入し、水に浮かんだ油状物をクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液に5%苛性ソーダ液を添加して全体を激しく振った。その後にクロロホルム抽出液を濃縮し、精製操作により固形物40gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図3)及びIRチャート(図4)から、この固形物は1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0032】
この1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレン25g(4.61×10−2モル)とCuCN10.73g(4.61×10−2モルの2.6倍モル)と乾燥したDMF200mLとを1Lのナスフラスコに収容した。
【0033】
このナスフラスコの内部を窒素雰囲気にしたまま、このナスフラスコの内容物を170℃に加熱しながら13時間の反応を行った。反応終了後に、ナスフラスコの内容物を冷却し、氷水に投入し、得られた油状物含有水性液を濾過し、濾液を水洗し、固形物を得た。この固形物をエチレンジアミン150mLと水300mLとの混合液に投入し、30分間の撹拌を行った。撹拌後、その液にクロロホルムを加えてクロロホルム抽出を行った。クロロホルム抽出液を濃縮し、通常の精製操作により固形物8.5gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図5)及びIRチャート(図6)から、この固形物は1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンと同定した。
【0034】
なお、同定された前記固形物をDMACに溶解して試料液を調製した。この試料液を、日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、以下の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルチャートを図7に示した。
【0035】
測定条件
測定モード 波長スキャン
励起波長 365nm
蛍光開始波長 350nm
蛍光終了波長 700nm
スキャンスピード 1200nm/分
励起側スリット 5.0nm
蛍光側スリット 5.0nm
同定された前記固形物をクロロホルムに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図8に、また、同定された前記固形物をトルエンに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図9に、示した。
【0036】
(実施例2)
以下の反応式に従って1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンを以下のようにして合成した。
【0037】
【化4】
【0038】
前記実施例1におけるのと同様にして合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレン0.3g(9.43×10−4モル)と9−メチル−10−クロロメチルアントラセン0.8g(9.43×10−4モルの三倍モル)と炭酸カリウム1.555gとシクロヘキサノン30mLとを100mLの三口フラスコ内に収容した。この三口フラスコ内を窒素雰囲気にした。
【0039】
この三口フラスコの内容物を160℃に加熱しながら15時間30分間の反応を行った。反応終了後に、三口フラスコの内容物を氷水に投入し、水に浮かんだ油状物をクロロホルムにて抽出した。得られたクロロホルム抽出液に5%苛性ソーダ水溶液を加えて得られる溶液全体を激しく震盪した。その溶液全体を静置することにより二層に分離させ、分離したクロロホルム溶液を取り出し、このクロロホルム溶液を濃縮し、通常の精製操作により固形物0.75gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図10)及びIRチャート(図11)から、この固形物は1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0040】
この1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレン0.75g(1.22×10−3モル)とCuCN0.284g(1.22×10−3モルの2.6倍モル)と乾燥したDMF200mLとを1Lのナスフラスコに収容した。
【0041】
このナスフラスコの内部を窒素雰囲気にしたまま、このナスフラスコの内容物を170℃に加熱しながら15時間の反応を行った。反応終了後に、このナスフラスコの内容物を濃縮し、得られた濃縮物を水に投入し、水と濃縮物との混合物を濾過し、固形分を得た。この固形分をエチレンジアミン50mLと水100mLとの混合物に添加し、得られた混合物を30分間撹拌した。撹拌後にクロロホルム抽出を行い、クロロホルム抽出液を濃縮し、通常の精製操作により固形物50mgを得た。この固形物についてのNMRチャート(図12)及びIRチャート(図13)から、この固形物は1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンと同定した。
【0042】
なお、同定された前記固形物をクロロホルムに溶解して試料液を調製した。この試料液を、日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、前記実施例1におけるのと同様の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルチャートを図14に示した。
【0043】
同定された前記固形物をDMAcに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図15に、また、同定された前記固形物をトルエンに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図16に、示した。
【0044】
(実施例3)
以下の反応式に従って1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを以下のようにして合成した。
【0045】
【化5】
【0046】
前記実施例1におけるのと同様にして合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレン10g(3.14×10−2モル)と1−クロロメチル−ナフタレン22.4g(3.14×10−2モルの4倍モル)と炭酸カリウム26gとシクロヘキサノン250mLとを1Lの三口フラスコ内に収容した。この三口フラスコ内を窒素雰囲気にした。
【0047】
この三口フラスコの内容物を160℃に加熱しながら14時間の反応を行った。反応終了後に、三口フラスコの内容物を濃縮し、得られた濃縮物を水に投入した。水と濃縮物との混合物にクロロホルムを添加してクロロホルム抽出を行い、クロロホルム抽出液を2%苛性ソーダ水溶液で洗浄し、さらに水で3回洗浄し、硫酸ソーダで乾燥した後に、エバポレータで大部分の溶媒を除去し、さらに真空乾燥することにより固形物18gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図17)及びIRチャート(図18)から、この固形物は1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0048】
この1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレン20g(3.339×10−2モル)とCuCN9g(3.339×10−2モルの3倍モル)と乾燥したDMF400mLとを1Lのナスフラスコに収容した。
【0049】
このナスフラスコの内部を窒素雰囲気にしたまま、このナスフラスコの内容物を170℃に加熱しながら14時間の反応を行った。反応終了後に、ナスフラスコ内にある反応生成液を氷水に投入し、得られた油状物含有水性液を濾過し、濾液を水洗し、固形物を得た。この固形物をエチレンジアミン150mLと水300mLとの混合液に投入し、30分間の撹拌を行った。撹拌後、その液にクロロホルムを加えてクロロホルム抽出を行った。クロロホルム抽出液を濃縮し、通常の精製操作により固形物6gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図19)及びIRチャート(図20)から、この固形物は1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンと同定した。
【0050】
同定された前記固形物をDMAcに溶解して試料液を調製した。この試料液を、日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、前記実施例1におけるのと同様の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルチャートを図21に示した。
【0051】
同定された前記固形物をクロロホルムに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図22に、また、同定された前記固形物をトルエンに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図23に、示した。
(実施例4)
以下の反応式に従って1,4−ジ[(9−メチルアントリル−10)メチルオキシ−2,5−ジシアノナフタレンを以下のようにして合成した。
【0052】
【化6】
【0053】
1,5−ジヒドロキシナフタレン93g(0.581モル)と酢酸930mLとヨウ素結晶9〜14粒の適当数とを2Lの三口フラスコに入れた。この三口フラスコの内容物をオイルバスにて80℃に加熱した。その温度にて三口フラスコの内容物に臭素200gを添加し、三口フラスコ内を撹拌しつつ4時間80℃に維持した。前記4時間が経過してから、三口フラスコの内容物を常温にまで冷却し、次いで前記内容物を濃縮し、得られた濃縮物をアセトンで再結晶することにより、固形物300gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図24)及びIRチャート(図25)から、この固形物は1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0054】
この1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレン0.3g(9.434×10−4モル)と1−クロロメチルピレン0.8g(9.434×10−4モルの3倍モル)と炭酸カリウム0.755gとシクロヘキサノン30mLとを1Lの三口フラスコ内に収容した。この三口フラスコ内を窒素雰囲気にした。
【0055】
この三口フラスコの内容物を160℃に加熱しながら14時間の反応を行った。反応終了後に、三口フラスコの内容物を氷水に投入し、水に浮かんだ油状物をクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液に5%苛性ソーダ液を添加して全体を激しく振った。その後にクロロホルム抽出液を濃縮し、精製操作により固形物0.75gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図26)及びIRチャート(図27)から、この固形物は1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0056】
この1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレン0.75g(9.69×10−4モル)とCuCN0.2244g(9.69×10−4モルの2.6倍モル)と乾燥したDMF100mLとを1Lのナスフラスコに収容した。
【0057】
このナスフラスコの内部を窒素雰囲気にしたまま、このナスフラスコの内容物を175℃に加熱しながら14時間の反応を行った。反応終了後に、ナスフラスコの内容物を冷却し、氷水に投入し、得られた油状物含有水性液を濾過し、濾液を水洗し、固形物を得た。この固形物をエチレンジアミン50mLと水100mLとの混合液に投入し、30分間の撹拌を行った。撹拌後、その液にクロロホルムを加えてクロロホルム抽出を行った。クロロホルム抽出液を濃縮し、通常の精製操作により固形物0.05gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図28)及びIRチャート(図29)から、この固形物は1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタリンと同定した。
【0058】
同定された前記固形物をHCエンに溶解して試料液を調製した。この試料液を、日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、前記実施例1におけるのと同様の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルチャートを図30に示した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、実施例1にて合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図2】図2は、実施例1にて合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図3】図3は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図4】図4は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図5】図5は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンを示すNMRチャートである。
【図6】図6は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンを示すIRチャートである。
【図7】図7は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図8】図8は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図9】図9は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図10】図10は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図11】図11は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図12】図12は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを示すNMRチャートである。
【図13】図13は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを示すIRチャートである。
【図14】図14は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図15】図15は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図16】図16は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図17】図17は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図18】図18は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図19】図19は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図20】図20は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図21】図21は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図22】図22は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図23】図23は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図24】図24は、実施例4にて合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図25】図25は、実施例4にて合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図26】図26は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図27】図27は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図28】図28は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを示すNMRチャートである。
【図29】図29は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを示すIRチャートである。
【図30】図30は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【技術分野】
【0001】
この発明は白色発光化合物に関し、さらに詳しくは一つの低分子有機化合物であって白色発光を可能とする白色発光化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、有機発光化合物を使用して白色発光させるには、例えばR、G及びBの各色を発する三種の発光化合物、青に発光する青発光化合物と黄色に発光する黄色発光化合物との二種の発光化合物、又は青に発光する青発光化合物と橙色に発光する橙色発光化合物との二種の発光化合物等を使用する必要があった。例えば赤色発光化合物、緑色発光化合物及び青色発光化合物を適宜の割合で混合して得られる混合物に適宜のエネルギー例えば紫外線を照射することにより混合物中の各化合物から赤、緑及び青の光を発光させ、これらの色の混合混色の結果として白色発光が実現されていた。
【0003】
従来の白色発光物質はこのように複数の異なる色を発光させる発光化合物を混合していた。
【0004】
しかしながら、三種の発光化合物それぞれは耐久性、発光特性等が相違するのであるから、初期において混色による白色発光が実現されていても、時間の経過とともに混合物中のいずれかの発光化合物が劣化し、又は発光特性が変化するなどして白色の発光とはならず、場合によっては青い発光となり、また場合によっては黄色、又は青色等の発光となる。
【0005】
また、白色発光をさせるために複数の発光化合物を調合することは非常に煩雑である。例えば複数の発光化合物はそれぞれ発光特性が相違するのであるから、当量で混合するわけにはいかず、微妙に調合量を工夫する必要があり、このような工夫は実に煩雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、一つの低分子有機化合物であって、青色(B)と黄色(Y)との発色、青色(B)と橙色との発色、又は青色と緑色と赤色との発色を同時に起こさせることにより白色を発光させることのできる白色発光化合物を提供することにある。この発明の課題は、一つの低分子有機化合物であって白色を発光させることのできる白色発光化合物の原理的特徴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、C2h対称群に属する分子構造を有し、その分子構造の中心に芳香環骨格を有し、分子内に互いに反対方向且つ並列である少なくとも2個の双極子(すなわち四極子)を有することを特徴とする白色発光化合物であり、
請求項2は、前記芳香環骨格がベンゼン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造又はペンタセン構造である前記請求項1に記載の白色発光化合物であり、
請求項3は、前記双極子が、前記分子構造における短軸方向に存在する置換基によりもたらされる前記請求項1に記載の白色発光化合物であり、
請求項4は、前記双極子が、前記分子構造における短軸方向に存在し、電子押し出し基により双極子モーメントが強化されてなる前記請求項1に記載の白色発光化合物であり、
請求項5は、前記分子構造における長軸方向に電子押し出し基が結合してなる前記請求項1に記載の白色発光化合物であり、
請求項6は、蛍光スペクトルが360nm以上500nm未満の領域に存在するピークと520nm以上700nm以下の領域に存在するピークとを有する前記請求項1に記載の白色発光化合物である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、一つの低分子有機化合物であって、エネルギー例えば電界エネルギー又は光エネルギー例えば紫外線照射や、360nm以上のLED照射による光発光に利用することができ、しかも白色に発光する白色発光化合物が提供される。この発明に係る白色発光化合物は、有機EL素子に利用することができる。前記有機EL素子は電界エネルギーの付与により白色に発光し、しかも経時的な白色の劣化例えば初期には白色発光であったが時間の経過とともに白以外の色に劣化しにくくて超寿命である。
【0009】
このように一つの低分子化合物でありながら、白色発光が可能になる理由は、以下のようであると考えられる。
【0010】
この白色発光化合物は群論にいうC2h対称群に属する分子構造を有し、かつその分子構造の中心に芳香環骨格を有する。この芳香環骨格はπ電子を有するので、外部からエネルギーが与えられることによりπ-π*励起を生じる。このπ-π*励起におけるHOMOとLUMOとのエネルギー順位間隔が、少なくとも2個の双極子により狭められる。そして互いに反対のベクトル方向を有する少なくとも2個の双極子により余剰共鳴効果が生じ、HOMOからLUMOへの遷移を容易にし、励起π電子がHOMOに戻るときに短軸方向における長波長側の発光を生じ、また第2HOMOからLUMOに遷移した励起π電子がHOMOに戻るときに長軸方向における短波長側の発光を生じ、結果として二つの吸収ピークを生ぜしめる。換言すると、この発明に係る白色発光化合物は、その短軸方向での遷移により520nm以上700nm以下領域での蛍光スペクトルピークを示し、長軸方向での遷移により360nm以上500nm以下領域での蛍光スペクトルピークを示す。二種の蛍光スペクトルピークを有するこの白色発光化合物は、光エネルギー又は電界エネルギーにより、白色発光を生じさせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明に係る白色発光化合物は、分子の中心にプレーナーな(平面型な)芳香環を有する。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環及びペンタセン環等を挙げることができる。これら芳香環は、芳香環における全ての炭素原子が同一平面上にあり、その炭素原子にπ電子が共役して存在する。なお、芳香環の他の例としてキナクリドン骨格及びフルオレン骨格をも挙げることができる。
【0012】
この白色発光化合物は、その分子内に少なくとも2個の、かつ互いに反対のベクトル方向にある双極子を有する。双極子はその原子団における電気陰性度が異なる原子により誘起されている。これら双極子は、電子供与性基によりその双極性が強められる。この白色発光化合物は、このような双極子を発生させるために、少なくとも2個以上の同種の電子供与性基または電子吸引性基を前記芳香環に結合させる。
【0013】
前記芳香環に電子供与性基及び/又は電子吸引性基は、双極子が互いに反対方向にむくように、芳香環に結合される。
【0014】
前記電子供与性基として、例えばアルキルオキシ基、アリールアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアリールオキシ基等を挙げることができる。
【0015】
前記アルキルオキシ基としては、炭素数1〜10のアルキル基の末端炭素又は内部炭素に酸素が結合してなるアルキルオキシ基をあげることができる。前記アリールアルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、ナフチルメチロキシ基、アントリルメチロキシ基当を挙げることができる。前記アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基等を挙げることができる。前記アルキルアリールオキシ基としては、メチルフェニルオキシ基等のアルキルフェニルオキシ基、アルキルナフチルオキシ基等を挙げることができる。
【0016】
前記電子吸引性基として、シアノ基、カルボニル基、第4級アンモニウムイオン基等を挙げることができる。
【0017】
前記電子供与性基及び/又は電子吸引性基が前記芳香環に結合する位置は、分子構造がC2hの対称群となるように決定される。前記芳香環に電子供与性基及び/又は電子吸引性基が結合し、かつC2hの対称群に属する基本分子構造の一例を以下に説明する。
【0018】
この白色発光化合物の基本分子構造の一例は、分子構造の中心にベンゼン環が存在し、1位及び4位に同じ電子供与性基が結合し、2位及び5位に同じ電子吸引性基が結合する構造である。この白色発光化合物における基本分子構造の他の一例は、分子構造の中心にナフタレン環が存在し、1位及び4位に同じ電子供与性基が結合し、2位及び5位に同じ電子吸引性基が結合する。基本分子構造としては、前記ナフタレン環の代わりにアントラセン環、テトラセン環及びペンタセン環が存在してもよい。また、よく、これらの環に結合する2個の同じ電子供与性基の結合位置及び2個の同じ電子吸引性基の結合位置は、分子構造全体がC2hの対称群となり、しかも双極子が互いに反対方向になるように決定される。
【0019】
なお、芳香環に結合する置換基は、前記基本分子構造に示されるように、電子供与性基と電子吸引性基との組合せに限らず、電子供与性基のみが結合してもよく、また電子吸引性基のみが結合してもよい。一般には、電子供与性基が芳香環に結合するとベンゼン環上のπ電子の軌道が広がる傾向を示し、それが故に白色蛍光の輝度が大きくなる。一方電子吸引性基が芳香環に結合すると白色蛍光の輝度が小さくなる傾向がある。
【0020】
この発明の白色発光化合物のうち好適な白色発光化合物の構造を式(1)に示す。
【0021】
【化1】
【0022】
但し、前記式(1)において、Xは単結合又はメチレン基を示し、Arはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、テトラセニル基、ペンタセニル基等の芳香族基又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。前記Arが芳香族基である場合、これらの芳香族基には炭素数が1〜10のアルキル基が置換していてもよい。2基のArは同一である。
【0023】
式(1)で示される白色発光化合物は、以下のようにして合成することができる。
【0024】
【化2】
但し、前記反応式において、Halはハロゲン原子を示す。
上記反応はWillamson合成法を利用し、上記反応式においてハロゲンの代表として示されている臭素をニトリル基(−CN)に置換する反応は、KCN、CuCN等のシアン化金属塩を反応させる反応であり、周知である。
【0025】
上記したように、分子内に芳香環を有し、電子供与性基及び/又は電子吸引性基を少なくとも2基有することにより互いに反対方向の双極子を有し、分子構造全体としてC2hの対象群に属する化合物は、電気的エネルギー又は光エネルギーの付与により芳香環におけるπ電子がπ-π*遷移を起こしてHOMOからLUMOへとπ電子がジャンプし、LUMOからHOMOへの励起π電子の電子移動及び第2HOMOからLUMOへと遷移した励起π電子がLUMOからHOMOへの電子移動により、二つの蛍光スペクトルピークを有する蛍光を発する。この二つの蛍光スペクトルピークのうち一つは360nm以上500nm以下に存在し、他の一つは400nm以上700nm以下に存在する。この白色発光化合物が二つのピークを有する蛍光を発すると、青色発光と緑乃至赤の発光との混色により、白発光と認識される。
【0026】
なお、蛍光スペクトルは日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計による。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
以下の反応式に従って1,5−ジ(3−ヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンを以下のようにして合成した。
【0028】
【化3】
【0029】
1,5−ジヒドロキシナフタレン93g(0.581モル)と酢酸930mLとヨウ素結晶9〜14粒の適当数とを2Lの三口フラスコに入れた。この三口フラスコの内容物をオイルバスにて80℃に加熱した。その温度にて三口フラスコの内容物に臭素200gを添加し、三口フラスコ内を撹拌しつつ3時間80℃に維持した。前記3時間が経過してから、三口フラスコの内容物を常温にまで冷却し、次いで前記内容物を濃縮し、得られた濃縮物をアセトンで再結晶することにより、固形物70gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図1)及びIRチャート(図2)から、この固形物は1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0030】
この1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレン30g(9.435×10−2モル)と1−ブロモ−2−エチルヘキシル72.88g(9.435×10−2モルの4倍モル)と炭酸カリウム78gとシクロヘキサノン500mLとを1Lの三口フラスコ内に収容した。この三口フラスコ内を窒素雰囲気にした。
【0031】
この三口フラスコの内容物を160℃に加熱しながら15時間の反応を行った。反応終了後に、三口フラスコの内容物を氷水に投入し、水に浮かんだ油状物をクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液に5%苛性ソーダ液を添加して全体を激しく振った。その後にクロロホルム抽出液を濃縮し、精製操作により固形物40gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図3)及びIRチャート(図4)から、この固形物は1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0032】
この1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレン25g(4.61×10−2モル)とCuCN10.73g(4.61×10−2モルの2.6倍モル)と乾燥したDMF200mLとを1Lのナスフラスコに収容した。
【0033】
このナスフラスコの内部を窒素雰囲気にしたまま、このナスフラスコの内容物を170℃に加熱しながら13時間の反応を行った。反応終了後に、ナスフラスコの内容物を冷却し、氷水に投入し、得られた油状物含有水性液を濾過し、濾液を水洗し、固形物を得た。この固形物をエチレンジアミン150mLと水300mLとの混合液に投入し、30分間の撹拌を行った。撹拌後、その液にクロロホルムを加えてクロロホルム抽出を行った。クロロホルム抽出液を濃縮し、通常の精製操作により固形物8.5gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図5)及びIRチャート(図6)から、この固形物は1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンと同定した。
【0034】
なお、同定された前記固形物をDMACに溶解して試料液を調製した。この試料液を、日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、以下の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルチャートを図7に示した。
【0035】
測定条件
測定モード 波長スキャン
励起波長 365nm
蛍光開始波長 350nm
蛍光終了波長 700nm
スキャンスピード 1200nm/分
励起側スリット 5.0nm
蛍光側スリット 5.0nm
同定された前記固形物をクロロホルムに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図8に、また、同定された前記固形物をトルエンに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図9に、示した。
【0036】
(実施例2)
以下の反応式に従って1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンを以下のようにして合成した。
【0037】
【化4】
【0038】
前記実施例1におけるのと同様にして合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレン0.3g(9.43×10−4モル)と9−メチル−10−クロロメチルアントラセン0.8g(9.43×10−4モルの三倍モル)と炭酸カリウム1.555gとシクロヘキサノン30mLとを100mLの三口フラスコ内に収容した。この三口フラスコ内を窒素雰囲気にした。
【0039】
この三口フラスコの内容物を160℃に加熱しながら15時間30分間の反応を行った。反応終了後に、三口フラスコの内容物を氷水に投入し、水に浮かんだ油状物をクロロホルムにて抽出した。得られたクロロホルム抽出液に5%苛性ソーダ水溶液を加えて得られる溶液全体を激しく震盪した。その溶液全体を静置することにより二層に分離させ、分離したクロロホルム溶液を取り出し、このクロロホルム溶液を濃縮し、通常の精製操作により固形物0.75gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図10)及びIRチャート(図11)から、この固形物は1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0040】
この1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレン0.75g(1.22×10−3モル)とCuCN0.284g(1.22×10−3モルの2.6倍モル)と乾燥したDMF200mLとを1Lのナスフラスコに収容した。
【0041】
このナスフラスコの内部を窒素雰囲気にしたまま、このナスフラスコの内容物を170℃に加熱しながら15時間の反応を行った。反応終了後に、このナスフラスコの内容物を濃縮し、得られた濃縮物を水に投入し、水と濃縮物との混合物を濾過し、固形分を得た。この固形分をエチレンジアミン50mLと水100mLとの混合物に添加し、得られた混合物を30分間撹拌した。撹拌後にクロロホルム抽出を行い、クロロホルム抽出液を濃縮し、通常の精製操作により固形物50mgを得た。この固形物についてのNMRチャート(図12)及びIRチャート(図13)から、この固形物は1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンと同定した。
【0042】
なお、同定された前記固形物をクロロホルムに溶解して試料液を調製した。この試料液を、日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、前記実施例1におけるのと同様の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルチャートを図14に示した。
【0043】
同定された前記固形物をDMAcに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図15に、また、同定された前記固形物をトルエンに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図16に、示した。
【0044】
(実施例3)
以下の反応式に従って1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを以下のようにして合成した。
【0045】
【化5】
【0046】
前記実施例1におけるのと同様にして合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレン10g(3.14×10−2モル)と1−クロロメチル−ナフタレン22.4g(3.14×10−2モルの4倍モル)と炭酸カリウム26gとシクロヘキサノン250mLとを1Lの三口フラスコ内に収容した。この三口フラスコ内を窒素雰囲気にした。
【0047】
この三口フラスコの内容物を160℃に加熱しながら14時間の反応を行った。反応終了後に、三口フラスコの内容物を濃縮し、得られた濃縮物を水に投入した。水と濃縮物との混合物にクロロホルムを添加してクロロホルム抽出を行い、クロロホルム抽出液を2%苛性ソーダ水溶液で洗浄し、さらに水で3回洗浄し、硫酸ソーダで乾燥した後に、エバポレータで大部分の溶媒を除去し、さらに真空乾燥することにより固形物18gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図17)及びIRチャート(図18)から、この固形物は1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0048】
この1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレン20g(3.339×10−2モル)とCuCN9g(3.339×10−2モルの3倍モル)と乾燥したDMF400mLとを1Lのナスフラスコに収容した。
【0049】
このナスフラスコの内部を窒素雰囲気にしたまま、このナスフラスコの内容物を170℃に加熱しながら14時間の反応を行った。反応終了後に、ナスフラスコ内にある反応生成液を氷水に投入し、得られた油状物含有水性液を濾過し、濾液を水洗し、固形物を得た。この固形物をエチレンジアミン150mLと水300mLとの混合液に投入し、30分間の撹拌を行った。撹拌後、その液にクロロホルムを加えてクロロホルム抽出を行った。クロロホルム抽出液を濃縮し、通常の精製操作により固形物6gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図19)及びIRチャート(図20)から、この固形物は1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンと同定した。
【0050】
同定された前記固形物をDMAcに溶解して試料液を調製した。この試料液を、日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、前記実施例1におけるのと同様の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルチャートを図21に示した。
【0051】
同定された前記固形物をクロロホルムに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図22に、また、同定された前記固形物をトルエンに溶解して調製した試料液を前記と同様にして測定した蛍光スペクトルチャートを図23に、示した。
(実施例4)
以下の反応式に従って1,4−ジ[(9−メチルアントリル−10)メチルオキシ−2,5−ジシアノナフタレンを以下のようにして合成した。
【0052】
【化6】
【0053】
1,5−ジヒドロキシナフタレン93g(0.581モル)と酢酸930mLとヨウ素結晶9〜14粒の適当数とを2Lの三口フラスコに入れた。この三口フラスコの内容物をオイルバスにて80℃に加熱した。その温度にて三口フラスコの内容物に臭素200gを添加し、三口フラスコ内を撹拌しつつ4時間80℃に維持した。前記4時間が経過してから、三口フラスコの内容物を常温にまで冷却し、次いで前記内容物を濃縮し、得られた濃縮物をアセトンで再結晶することにより、固形物300gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図24)及びIRチャート(図25)から、この固形物は1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0054】
この1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレン0.3g(9.434×10−4モル)と1−クロロメチルピレン0.8g(9.434×10−4モルの3倍モル)と炭酸カリウム0.755gとシクロヘキサノン30mLとを1Lの三口フラスコ内に収容した。この三口フラスコ内を窒素雰囲気にした。
【0055】
この三口フラスコの内容物を160℃に加熱しながら14時間の反応を行った。反応終了後に、三口フラスコの内容物を氷水に投入し、水に浮かんだ油状物をクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液に5%苛性ソーダ液を添加して全体を激しく振った。その後にクロロホルム抽出液を濃縮し、精製操作により固形物0.75gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図26)及びIRチャート(図27)から、この固形物は1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンと同定した。
【0056】
この1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレン0.75g(9.69×10−4モル)とCuCN0.2244g(9.69×10−4モルの2.6倍モル)と乾燥したDMF100mLとを1Lのナスフラスコに収容した。
【0057】
このナスフラスコの内部を窒素雰囲気にしたまま、このナスフラスコの内容物を175℃に加熱しながら14時間の反応を行った。反応終了後に、ナスフラスコの内容物を冷却し、氷水に投入し、得られた油状物含有水性液を濾過し、濾液を水洗し、固形物を得た。この固形物をエチレンジアミン50mLと水100mLとの混合液に投入し、30分間の撹拌を行った。撹拌後、その液にクロロホルムを加えてクロロホルム抽出を行った。クロロホルム抽出液を濃縮し、通常の精製操作により固形物0.05gを得た。この固形物についてのNMRチャート(図28)及びIRチャート(図29)から、この固形物は1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタリンと同定した。
【0058】
同定された前記固形物をHCエンに溶解して試料液を調製した。この試料液を、日立製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、前記実施例1におけるのと同様の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルチャートを図30に示した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、実施例1にて合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図2】図2は、実施例1にて合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図3】図3は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図4】図4は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図5】図5は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンを示すNMRチャートである。
【図6】図6は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンを示すIRチャートである。
【図7】図7は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図8】図8は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図9】図9は、実施例1にて合成された1,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図10】図10は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図11】図11は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図12】図12は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを示すNMRチャートである。
【図13】図13は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを示すIRチャートである。
【図14】図14は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図15】図15は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図16】図16は、実施例2にて合成された1,5−ジ[(9−メチル−アントリル−10−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図17】図17は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図18】図18は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図19】図19は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図20】図20は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図21】図21は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図22】図22は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図23】図23は、実施例3にて合成された1,5−ジ[(ナフチル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【図24】図24は、実施例4にて合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図25】図25は、実施例4にて合成された1,5−ジヒドロキシ−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図26】図26は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すNMRチャートである。
【図27】図27は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジブロモナフタレンを示すIRチャートである。
【図28】図28は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを示すNMRチャートである。
【図29】図29は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンを示すIRチャートである。
【図30】図30は、実施例4にて合成された1,5−ジ[(ピレニル−1−)メチルオキシ]−2,6−ジシアノナフタレンの蛍光スペクトルを示すチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C2h対称群に属する分子構造を有し、その分子構造の中心に芳香環骨格を有し、分子内に互いに反対方向且つ並列である少なくとも2個の双極子を有することを特徴とする白色発光化合物。
【請求項2】
前記芳香環骨格がベンゼン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造又はペンタセン構造である前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項3】
前記双極子が、前記分子構造における短軸方向に存在する置換基により形成される前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項4】
前記双極子が、前記分子構造における短軸方向に存在し、電子押し出し基により双極子モーメントが強化されてなる前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項5】
前記分子構造における長軸方向に電子押し出し基が結合してなる前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項6】
蛍光スペクトルが360以上500nm以下の領域に存在するピークと520nm以上700nm以下の領域に存在するピークとを有する前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項1】
C2h対称群に属する分子構造を有し、その分子構造の中心に芳香環骨格を有し、分子内に互いに反対方向且つ並列である少なくとも2個の双極子を有することを特徴とする白色発光化合物。
【請求項2】
前記芳香環骨格がベンゼン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造又はペンタセン構造である前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項3】
前記双極子が、前記分子構造における短軸方向に存在する置換基により形成される前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項4】
前記双極子が、前記分子構造における短軸方向に存在し、電子押し出し基により双極子モーメントが強化されてなる前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項5】
前記分子構造における長軸方向に電子押し出し基が結合してなる前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【請求項6】
蛍光スペクトルが360以上500nm以下の領域に存在するピークと520nm以上700nm以下の領域に存在するピークとを有する前記請求項1に記載の白色発光化合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2007−210955(P2007−210955A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33121(P2006−33121)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504108875)ヒロセエンジニアリング株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504108875)ヒロセエンジニアリング株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]