説明

白色発光装置及び照明器具

【課題】Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体と該蛍光体の励起源であるLED素子とを備える白色発光装置において、発光効率を低下させることなくMn4+付活フッ化物錯体蛍光体の使用量を低減させる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】該課題に対し、白色発光装置は、蛍光体がLED素子と空間を介して配置され、青色LED素子と、該青色LED素子により励起される蛍光体として、黄色蛍光体および/または緑色蛍光体と、赤色蛍光体とを備え、該赤色蛍光体がMn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤色発光するMn4+付活フッ化物錯体蛍光体と、該蛍光体の励起源であるLED(発光ダイオード)素子とを備える白色発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体としてMn4+付活フッ化物錯体蛍光体が知られている(特許文献1)。この種の蛍光体が放出する光には主発光ピーク波長(通常、620〜640nm)よりも長波長の成分、つまり、視感度の低い深赤色成分が殆ど含まれない。また、この種の蛍光体は波長490nm以上の光、つまり、緑色蛍光体あるいは黄色蛍光体が発する光を、殆ど吸収しない。これらの性質は、高効率化が望まれる照明用白色LED用の赤色蛍光体が備えるべき性質として理想的なものといえる。実際に、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体であるK2TiF6:Mnを、広帯域黄色蛍光体Tb3Al512:Ceと共に用いた、温白色光を放出する高効率の白色LEDが報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3576756号公報
【特許文献2】米国特許公開2006/0169998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等も、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体であるKSNAF(詳細は後述する。)と黄色蛍光体YAG:Ceを用いて温白色光を放出する白色LEDを試作し、優れた発光効率を示すものが得られることを確認した。この試作では、KSNAFとYAG:Ceの粉末を液状シリコーン樹脂に添加したペーストを用いて青色LED素子を封止したが、目的の色度を得るにはシリコーン樹脂中にKSNAFを高濃度に添加する必要があり、そのために、ペーストの粘度は極めて高いものとなった。
【0005】
このようなペーストの高粘度化は、輸送性の低下(流動性、計量性などの低下に基づく)、糸引きの発生、脱泡の困難化、蛍光体の均一分散の困難化などを通して、白色LEDの製造効率を低下させる。従って、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体の使用量を削減できれば、該蛍光体を用いた白色LEDをより効率よく製造することができると考えられる。
【0006】
また、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体の製造には高価なフッ素化合物を使用することから、該蛍光体の使用量を減らすことにはコスト上のメリットもある。
【0007】
そこで、本発明は、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体と該蛍光体の励起源であるLED素子とを備える白色発光装置において、発光効率を低下させることなくMn4+付活フッ化物錯体蛍光体の使用量を低減させる技術を提供することを、主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は以下に存する。
(1) 青色発光するLED素子と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを含有する樹脂組成物を備える白色発光装置であって、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
該赤色光を放射する蛍光体が、少なくともMn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含み、
該樹脂組成物中に含まれる該Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の総量に対する、該Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である白色発光装置。
(2) LED素子と、該LED素子が発した光を波長変換して青色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを含有する樹脂組成物を備える白色発光装置であって、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
該赤色光を放射する蛍光体が、少なくともMn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含み、
該樹脂組成物中に含まれる該Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の総量に対する、該Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である白色発光装置。
(3) 前記Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体の発光ピーク波長をλR1nm、前記Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の発光ピーク波長をλR2nmとしたとき、λR1−20≦λR2≦λR1+30である、(1)または(2)に記載の白色発光装置。
(4) 前記Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の発光スペクトルにおける最大ピーク波長が600〜630nmの範囲に存する、(3)に記載の白色発光装置。
(5) 前記Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体がKSFまたはKSNAFである、(3)または(4)に記載の白色発光装置。
(6) 前記Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体がSryCa1-yAlSiN3:E
uである、(3)〜(5)のいずれかに記載の白色発光装置。
(7) 前記黄色光を放射する蛍光体は、(Y1-u,Gdu3(Al1-vGav512:Ce,Eu蛍光体(但し、u及びvはそれぞれ、0≦u≦0.3、及び0≦v≦0.5)、又は、Ca1.5xLa3-xSi611:Ce(但し、xは、0≦x≦1)である、(1)〜(6)のいずれかに記載の白色発光装置。
(8) 前記Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体が樹脂ペーストの硬化物中に分散されている、(1)〜(7)のいずれかに記載の白色発光装置。
(9) 前記樹脂ペーストのベース樹脂がシリコーン樹脂である、(8)に記載の白色発光装置。
(10) 放出する白色光の相関色温度が1600〜4000Kの範囲内である、(1)〜(9)のいずれかに記載の白色発光装置。
(11) 放出する白色光の相関色温度が2500〜3500Kの範囲内である、(1)〜(9)のいずれかに記載の白色発光装置。
(12) 前記樹脂組成物中に含まれるMn4+付活フッ化物錯体蛍光体の配合比率が10重量%以上、50重量%以下であり、
前記樹脂組成物中に含まれるEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の配合比率が0.1重量%以上、5.0重量%以下である(1)〜(11)のいずれかに記載の白色発光装置。
(13) 青色発光するLED素子と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して赤色光を発光する蛍光体とを備えるか、あるいは、LED素子と、該LED素子が発した光を波長変換して青色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを備える、白色発光装置において、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
前記赤色光を放射する蛍光体が第1の透光性マトリックス中に分散されたMn4+付活フッ化物錯体蛍光体および第2の透光性マトリックス中に分散されたEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含み、
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の総量に対する、該Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である、白色発光装置。
(14) 前記第1の透光性マトリックスの屈折率が前記第2の透光性マトリックスの屈折率よりも低い、(13)に記載の白色発光装置。
(15) 前記Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を除く全ての蛍光体が、前記第2の透光性マトリックス中に分散されている、(14)に記載の白色発光装置。
(16) 前記第1の透光性マトリックスが樹脂ペーストの硬化物である、(13)〜(15)のいずれかに記載の白色発光装置。
(17) 前記樹脂ペーストのベース樹脂がシリコーン樹脂である、(16)に記載の白色発光装置。
(18) 前記シリコーン樹脂の屈折率が1.45未満である、(17)に記載の白色発光装置。
(19) 放出する白色光の相関色温度が1600〜4000Kの範囲内である、(13)〜(18)のいずれかに記載の白色発光装置。
(20) 放出する白色光の相関色温度が2500〜3500Kの範囲内である、(13)〜(19)のいずれかに記載の白色発光装置。
(21) 青色発光するLED素子と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを含有する樹脂組成物を備える白色発光装置であって、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
該赤色光を放射する蛍光体が、少なくとも、最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が20nm以下である狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が80nm以上である広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体を含み、
該樹脂組成物中に含まれる該狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の総量に対する、該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である白色発光装置。
(22) LED素子と、該LED素子が発した光を波長変換して青色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを含有する樹脂組成物を備える白色発光装置であって、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
該赤色光を放射する蛍光体が、少なくとも、最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が20nm以下である狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が80nm以上である広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体を含み、
該樹脂組成物中に含まれる該狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の総量に対する、該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である白色発光装置。
(23) 前記樹脂組成物中に含まれる該狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の配合比率が10重量%以上、50重量%以下である(21)または(22)に記載の白色
発光装置。
(24) 前記樹脂組成物中に含まれる該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の配合比率が0.1重量%以上、5.0重量%以下である(21)〜(23)のいずれかに記載の白色発光装置。
(25) (1)〜(24)のいずれかに記載の白色発光装置を備える照明器具。
【発明の効果】
【0009】
上記に本発明の要旨として記した実施形態によれば、発光効率を低下させることなく、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体等の狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体と該蛍光体の励起源であるLED素子とを備える高演色な白色発光装置におけるMn4+付活フッ化物錯体蛍光体等の狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の使用量を低減させることができ、ひいては、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体等の狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体を含有する樹脂組成物の粘度を適切な範囲にすることにより生産効率の高い白色発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る白色発光装置の断面構造を示す。
【図2】本発明の実施形態に係る白色発光装置の断面構造を示す。
【図3】本発明の実施形態に係る白色発光装置の断面構造を示す。
【図4】本発明の実施形態に係る白色発光装置の断面構造を示す。
【図5】KSNAF蛍光体の発光スペクトルを示す。
【図6】SCASN蛍光体の発光スペクトルを示す。
【図7】本発明の実施例1に係る白色LEDの発光スペクトルを示す。
【図8】色度図(CIE 1931)である。
【図9】本発明の実施例のシミュレーションに係る白色発光装置において、混合光の比率を変化させた場合の演色性の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明および本明細書においては、光色の黒体輻射軌跡からの偏差Duvが−20〜+20の範囲に含まれる光を、白色光と呼ぶものとする。Duv(=1000duv)の定義はJIS Z 8725:1999「光源の分布温度及び色温度・相関色温度測定方法」による。
【0012】
本発明は、その一実施形態において、蛍光体と該蛍光体の励起源であるLED素子とを備える白色発光装置を提供するものである。この白色発光装置は、青色発光するLED素子と、該LED素子が発する光により直接的または間接的に励起され、波長変換して黄色光を放射する蛍光体(以下、黄色蛍光体ともいう)および赤色光を放射する蛍光体(以下、赤色蛍光体ともいう)を備え、青色LED素子、黄色光を放射する蛍光体および赤色光を放射する蛍光体がそれぞれ発する光を含む合成光である白色光を放出するものであり得る。あるいは、この白色発光装置は、青色より短波長の光を発するLED素子、例えば、近紫外LED素子や紫色LED素子と、該LED素子が発する光により直接的または間接的に励起され、波長変換して青色光を放射する蛍光体(以下、青色蛍光体ともいう)、黄色光を放射する蛍光体および赤色光を放射する蛍光体を備え、該青色光を放射する蛍光体、黄色光を放射する蛍光体および赤色光を放射する蛍光体がそれぞれ発する光を含む合成光である白色光を放出するものでもあり得る。これらの白色発光装置は、黄色蛍光体に代えて、あるいは、黄色蛍光体に加えて、LED素子が発する光により直接的または間接的に励起され、波長変換して緑色光を放射する蛍光体(以下、緑色蛍光体ともいう)を備え得る。
【0013】
本発明に係る白色発光装置には、GaN系半導体、ZnO系半導体、SiC系半導体な
ど、各種の半導体で発光構造を形成したLED素子を用いることができる。LED素子は、砲弾型パッケージ、SMD型パッケージなどのパッケージに固定してもよいし、チップ・オン・ボード型発光装置の場合のように回路基板上に直接固定してもよい。LED素子と蛍光体との光学的な結合の形態に限定はなく、両者の間は単に透明な媒体(空気を含む)で充たされているだけであってもよいし、あるいは、レンズ、光ファイバ、導光板、反射ミラーのような光学素子が両者の間に介在していてもよい。
【0014】
本発明に係る白色発光装置には、好ましくは粒子状の蛍光体が用いられるが、限定されるものではなく、例えば、一部の蛍光体はセラミック組織中に蛍光体相を含有する発光セラミックであってもよい。粒子状の蛍光体を固定化するには、ポリマーを分散媒とする透光性マトリックス中に分散させるのが一般的であるが、適宜な部材の表面に電着その他の方法で堆積させてもよい。蛍光体粒子が透光性マトリックス中に分散された構造は、典型的には、粒子状の蛍光体を分散させた樹脂ペーストを硬化させることにより形成される。このようなペーストの硬化物がLED素子を埋め込んだ構造の他、かかる硬化物がLED素子の表面の一部を膜状に覆った構造、かかる硬化物からなるフィルムがLED素子から離れた場所に配置された構造など、種々の構造が採用可能である。
【0015】
(実施形態1)
図1に、本発明の実施形態1に係る白色発光装置の断面を模式的に示す。この図に示す白色発光装置10は、パッケージ11に設けられた凹部の底面上に固定された青色LED素子12と、青色LED素子12を封止する波長変換層13とを備えている。波長変換層13の内部には、粒子状の黄色蛍光体および赤色蛍光体(図示せず)が略均一に分散されている。
【0016】
図示は省略するが、パッケージ11には周知の配線パターンが付与されている。青色LED素子12は440〜470nmに発光ピーク波長を有しており、その材料や構造は特に限定されないが、例えば、InGaNを発光層に用いた窒化ガリウム系のLED素子である。青色LED素子の発光ピーク波長は、好ましくは、波長変換層13中に分散されるMn4+付活フッ化物錯体蛍光体の励起スペクトルのピーク波長との差が5nm以内となるように定められる。青色LED素子12の数は複数であってもよい。
【0017】
パッケージ11に付与された配線パターンを通して青色LED素子12に電流を印加すると、青色LED素子12が発光するとともに、この発光を吸収して黄色蛍光体および赤色蛍光体がそれぞれ発光する。その結果、青色LED、黄色蛍光体および赤色蛍光体がそれぞれ発する異なる色の光が混合されてなる白色光が、白色発光装置10から放出される。
【0018】
波長変換層13中に分散される黄色蛍光体は、その発光色が、図8に示すxy色度図(CIE 1931)における「YELLOW GREEN」、「GREENISH YELLOW」、「YELLOW」または「YELLOWISH ORANGE」に区分される蛍光体である。黄色蛍光体の主発光ピーク波長は通常530nm以上、好ましくは540nm以上、特に好ましくは550nm以上であり、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、特に好ましくは580nm以下である。
【0019】
青色光を吸収して発光する、あらゆる種類の有機または無機の黄色蛍光体が使用できるが、耐久性の点で優れているのは無機蛍光体である。中でも、Ce3+を付活剤とし、ガーネット型酸化物結晶を母体とする一般式(Y1-u,Gdu3(Al1-vGav512:Ce,Eu(但し、u及びvはそれぞれ、0≦u≦0.3、及び0≦v≦0.5)で表される蛍光体、例えば、(Y,Gd)3Al512:Ce、Tb3Al512:Ceなど、あるいは、Ce3+を付活剤とし、ランタンケイ素窒化物結晶を母体とする蛍光体、例えば、La3
Si611:Ce、Ca1.5xLa3-xSi611:Ce(但し、xは0≦x≦1である)な
どが推奨される。これらの黄色蛍光体は、青色光により効率よく励起される。(Ba、Sr、Ca)2SiO4:Eu、αサイアロン:EuのようなEu2+を付活剤とする黄色蛍光体は、青色光だけでなく、近紫外光や紫色光でも効率よく励起することができる。
【0020】
波長変換層13中には、黄色蛍光体の代わりに、あるいは黄色蛍光体に加えて、緑色蛍光体を分散させることもできる。ここでいう緑色蛍光体は、その発光色が、図8に示すxy色度図(CIE 1931)における「GREEN」または「YELLOWISH GREEN」に区分される蛍光体である。緑色蛍光体の主発光ピーク波長は通常500nm以上、好ましくは510nm以上、特に好ましくは520nm以上であり、また、通常580nm以下、好ましくは570nm以下、特に好ましくは560nm以下である。
【0021】
青色光を吸収して発光する、あらゆる種類の有機または無機の緑色蛍光体が使用できるが、耐久性の点で優れているのは無機蛍光体である。中でも、Eu2+またはCe3+を付活剤とするものが推奨される。Eu2+を付活剤とする緑色蛍光体には、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類ケイ酸窒化物またはサイアロンからなる結晶を母体とするものがある。アルカリ土類ケイ酸塩結晶を母体とするものの具体例には、(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si27:Euなどがある。ア
ルカリ土類ケイ酸窒化物結晶を母体とするものの具体例には、(Ba,Ca,Sr)3
6122:Eu、(Ba,Ca,Sr)3Si694:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si222:Euなどがある。サイアロン結晶を母体とするものの具体例には、β−サイ
アロン:Eu、Sr3Si13Al3221:Eu、Sr5Al5Si21235:Euなどがある。この種の緑色蛍光体は、青色光でも、また、近紫外光や紫色光でも、効率よく励起することができる。
【0022】
Ce3+を付活剤とする緑色蛍光体には、ガーネット型酸化物結晶を母体とする緑色蛍光体、例えばCa3(Sc,Mg)2Si312:Ceや、アルカリ土類金属スカンジウム酸
塩結晶を母体とする緑色蛍光体、例えばCaSc24:Ceがある。この種の緑色蛍光体は、青色光により効率よく励起される。
【0023】
波長変換層13中に分散される赤色蛍光体は、その発光色が、図8に示すxy色度図(CIE1931)における「RED」、「REDDISH ORANGE」または「ORANGE」に区分される蛍光体である。赤色蛍光体には、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体と、Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体とが用いられる。赤色蛍光体として少量のEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を併用することにより、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体のみを用いた場合と比べて発光効率を殆ど低下させることなく、波長変換層13中に添加するMn4+付活フッ化物錯体蛍光体の量を大幅に削減することができる。この効果は、白色発光装置10が放出する白色光が、赤色成分を多く含む温白色光(色温度1600〜4000K、好ましくは2500〜3500K)であるとき、顕著なものとなる。
【0024】
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、Mn4+を付活剤とし、アルカリ金属、アミンまたはアルカリ土類金属のフッ化物錯体塩を母体結晶とする蛍光体である。母体結晶を形成するフッ化物錯体には、配位中心が3価金属(B、Al、Ga、In、Y、Sc、ランタノイド)のもの、4価金属(Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Re、Hf)のもの、5価金属(V、P、Nb、Ta)のものがあり、その周りに配位するフッ素原子の数は5〜7である。
【0025】
好ましいMn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、アルカリ金属のヘキサフルオロ錯体塩を母体結晶とするA2MF6:Mn(AはLi、Na、K、Rb、Cs、NH4から選ばれる一
種以上;MはGe、Si、Sn、Ti、Zrから選ばれる一種以上)である。中でも特に
好ましいのは、AがK(カリウム)またはNa(ナトリウム)から選ばれる1種以上で、MがSi(ケイ素)またはTi(チタン)であるもの、例えば、K2SiF6:Mn(KSF)、KSFの構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したKSNAF(K2Si1-xNaxAlx6:Mn)、K2TiF6:Mn(KTF)などである

【0026】
KSNAFは、KSFの構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したものである。KSFまたはKSNAFは、原料化合物としてK2SiF6、A3
lF6、NaF、KF、K2MnF6、KMnO4、K2MnCl6などを用い、これらを所定の割合でフッ化水素酸中に添加して攪拌下に溶解させて反応させ、その後、蛍光体の貧溶媒を添加して、蛍光体を析出させる方法(貧溶媒析出法)により製造することができる。この方法は、特許文献1に記載の方法と同様にして行ってもよいが、更に、貧溶媒の添加速度を遅くすることにより、より粒子径の大きな高輝度のものを得ることができる。
【0027】
貧溶媒析出法でKSFまたはKSNAFを製造する場合に採用し得る、原料化合物の組み合わせを以下に例示する。
1)K2SiF6とK2NaAlF6とK2MnF6との組み合わせ。
2)K2SiF6とK3AlF6とNaFとK2MnF6との組み合わせ。
3)K2SiF6とK3AlF6とNa3AlF6とK2MnF6との組み合わせ。
4)K2SiF6とKFとNa3AlF6とK2MnF6との組み合わせ。
5)K2SiF6とK2NaAlF6とKMnO4との組み合わせ。
6)K2SiF6とK3AlF6とNaFとKMnO4との組み合わせ。
7)K2SiF6とK3AlF6とNa3AlF6とKMnO4
8)K2SiF6とKFとNa3AlF6とKMnO4との組み合わせ。
9)K2SiF6とK2MnCl6との組み合わせ。
10)K2SiF6とK3AlF6とNaFとK2MnCl6との組み合わせ。
11)K2SiF6とK3AlF6とNa3AlF6とK2MnCl6との組み合わせ。
【0028】
Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の具体例には、(Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu、(Ca,Sr,Ba)2Si58:Eu、SrAlSi47:Eu、(CaAlSiN31-x(Si(3n+2)/4nO)x:Euなどがある。(CaAlSiN31-x(Si(3n+2)/4nO)x:Euは、CaAlSiN3とSi(3n+2)/4nOが固溶化した結晶を母体とすることから、ここではアルカリ土類ケイ窒化物蛍光体とみなしている。
【0029】
Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体は、発光スペクトルの最大ピーク波長が600〜630nmの範囲に存在することが好ましい。このようなEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体は、演色性が高く、かつ、赤色蛍光体としての視感度が高いため、発光効率が高い発光装置を形成することができることとなり好ましい。
【0030】
赤色蛍光体として波長変換層13に含まれる、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体は、そのピーク波長が特定の関係であることが好ましい。具体的には、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体の発光ピーク波長をλR1nm、上記Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の発光ピーク波長をλR2nmとしたとき、λR1−20≦λR2≦λR1+30であることが好ましい。さらにλR1−20≦λR2≦λR1であることが好ましい。このような要件を満たす赤色蛍光体は、演色性が高く、かつ、赤色蛍光体としての視感度が高いため、発光効率が高い白色発光装置が達成できる。
【0031】
波長変換層13のベース材料には、透明な樹脂を用いることができる。樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、より具体的には、メタアクリル樹脂(ポリメタアクリル酸メチルなど)、スチレン樹脂(ポリスチレン、スチ
レン−アクリロニトリル共重合体など)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系樹脂(エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートなど)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などが例示される。
【0032】
波長変換層13のベース材料は、少なくともMn4+付活フッ化物錯体蛍光体と、Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体とを含有して、樹脂組成物を構成する。
該樹脂組成物中に、赤色蛍光体として少量のEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を併用することにより、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体のみを用いた場合と比べて発光効率を殆ど低下させることなく、波長変換層13中に添加するMn4+付活フッ化物錯体蛍光体の量を大幅に削減することができる。具体的には、該樹脂組成物中に含まれる該Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の総量に対する、該Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下であることで効果を奏する。Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率は0.5重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましく、2.0重量%以上であることがさらに好ましい。また、14.0重量%以下であることが好ましく、10.0重量%以下であることがより好ましく、6.0重量%以下であることがさらに好ましい。
【0033】
また、樹脂組成物中に含まれるMn4+付活フッ化物錯体蛍光体の配合比率は、10重量%以上、50重量%以下であることが好ましく、15重量%以上、40重量%以下であることがより好ましく、16重量%以上30重量%以下であることがさらに好ましい。
また、樹脂組成物中に含まれるEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の配合比率は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上であり、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下、さらに好ましくは2.0重量%以下である。
【0034】
また本発明では、上記説明したように、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体の配合比率を低下させることができるため、樹脂組成物の粘度は適当なものとなる。粘度が高すぎると、樹脂組成物をスパチュラですくってパッケージに移そうとすると、目的量の滴下が完了するまでに長時間(10秒以上)を要する。また、ディスペンサーを用いて通常の圧力で分注できなかったり、圧力を上げるとノズルから飛び散ったりし、白色発光装置の製造効率を低下させる。粘度が低すぎると発光装置製造時のハンドリングが難しい。
【0035】
また別の態様としては、波長変換層13のベース材料は、少なくとも最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が20nm以下である狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体と、最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が80nm以上である広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体とを含有して、樹脂組成物を構成する。
該樹脂組成物中に、赤色蛍光体として狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光対に加え、少量の該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体を併用することにより、該狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体のみを用いた場合と比べて発光効率を殆ど低下させることなく、波長変換層13中に添加する狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の量を大幅に削減することができる。具体的には、該樹脂組成物中に含まれる該狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および広帯域の発光スペクトルを有する赤色物蛍光体の総量に対する、該広帯域の発光スペクトルを有する赤色物蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下であることで効果を奏する。広帯域の発光スペクトルを有する赤色物蛍光体の含有比率は0.5重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましく、2.0重量%以上であることがさらに好ましい。また、14.0重量%以下であることが好ましく、10.0重量%以下であることがより好ましく
、6.0重量%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
また、樹脂組成物中に含まれる狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の配合比率は、10重量%以上、50重量%以下であることが好ましく、15重量%以上、40重量%以下であることがより好ましく、16重量%以上30重量%以下であることがさらに好ましい。
また、樹脂組成物中に含まれる広帯域の発光スペクトルを有する赤色物蛍光体の配合比率は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上であり、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下、さらに好ましくは2.0重量%以下である。
【0037】
また本発明では、上記説明したように、狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の配合比率を低下させることができるため、樹脂組成物の粘度は適当なものとなる。粘度が高すぎると、樹脂組成物をスパチュラですくってパッケージに移そうとすると、目的量の滴下が完了するまでに長時間(10秒以上)を要する。また、ディスペンサーを用いて通常の圧力で分注できなかったり、圧力を上げるとノズルから飛び散ったりし、白色発光装置の製造効率を低下させる。粘度が低すぎると発光装置製造時のハンドリングが難しい。
【0038】
広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体は、発光スペクトルの最大ピーク波長が600〜630nmの範囲に存在することが好ましい。このような広帯域赤色物蛍光体は、演色性が高く、かつ、赤色蛍光体としての視感度が高いため、発光効率が高い発光装置を形成することができることとなり好ましい。
【0039】
赤色蛍光体として波長変換層13に含まれる、狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および広帯域の発光スペクトルを有する赤色物蛍光体は、そのピーク波長が特定の関係であることが好ましい。具体的には、狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の発光ピーク波長をλR3nm、上記広帯域の発光スペクトルを有する赤色物蛍光体の発光ピーク波長をλR4nmとしたとき、λR3−40≦λR4≦λR3+10であることが好ましい。このような要件を満たす赤色蛍光体を含むことで、演色性が高く、かつ、赤色蛍光体としての視感度が高いため、発光効率が高い白色発光装置が達成できる。
【0040】
最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が20nm以下である狭帯域赤色蛍光体としては、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体、一般式(La1-x-y,Eux,Lny22Sで表され、Liを含有することを特徴とする紫外線
乃至は青色光励起用赤色発光蛍光体(但し、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)、下記の化学式(1)で示される、マンガン付活の深赤色(600nm〜670nm)蛍光体
(k−x)MgO・xAF 2・GeO 2:yMn4+・・・(1)
(ただし、式中、kは2.8〜5の実数であり、xは0.1〜0.7の実数であり、yは0.005〜0.015の実数であり、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)等が挙げられる。
最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が80nm以上である広帯域の発光スペクトルを有する赤色物蛍光体としては、Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体、Ba3MgSi28:Eu2+,Mn2+等が挙げられる。
【0041】
特に、照明など大出力が必要とされる用途向けの場合には、耐熱性や耐光性等を目的としてケイ素含有化合物を波長変換層13のベース材料に使用することが好ましい。ケイ素含有化合物とは、分子中にケイ素原子を有する化合物をいい、例えば、ポリオルガノシロ
キサン等の有機材料(シリコーン系材料)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料を挙げることができる。中でも、透明性、接着性、ハンドリングの容易さ、機械的・熱的応力の緩和特性に優れる等の点から、シリコーン系材料が好ましい。シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、硬化機構によって、縮合型、付加型、ゾルゲル型、光硬化型などの種類がある。
【0042】
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は母体が含フッ素化合物であるため、一般に、低い屈折率を有する。特に、ヘキサフルオロケイ酸塩を母体とするものの屈折率は低く、母体結晶の屈折率で近似すると、KSFの屈折率は1.34、(NH42SiF6:Mnの屈折率
は1.37となる。よって、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体の粒子に対して外部から入射する励起光が、表面で強く反射されないように、波長変換層13のベース材料は、1.45以下の低い屈折率を有することが望ましい。推奨されるベース材料として、ジメチルシリコーン系のシリコーン樹脂が挙げられる。波長変換層13中には光拡散材を添加してもよい。
【0043】
(変形実施形態1)
変形実施形態1では、実施形態1における青色LED素子12が近紫外または紫色LED素子に置き換えられるとともに、波長変換層13中に青色蛍光体が添加される。この青色蛍光体は、その発光色が、図8に示すxy色度図(CIE 1931)における「PURPULISH BLUE」、「BLUE」または「GREENISH BLUE」に区
分される蛍光体である。青色蛍光体の主発光ピーク波長は通常430nm以上、好ましくは440nm以上であり、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、特に好ましくは460nm以下である。
【0044】
近紫外光または紫色光を吸収して発光する、あらゆる種類の有機または無機の青色蛍光体が使用できるが、耐久性の点で優れているのは無機蛍光体である。中でも、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類アルミン酸塩またはアルカリ土類ハロリン酸塩からなる結晶を母体とする青色蛍光体、例えば、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)5(PO43Cl:Euなどが推奨される。
【0045】
変形実施形態1において、青色蛍光体は、近紫外または紫色LED素子の発光を吸収して発光する。波長変換層13中にCe3+を付活剤とする黄色蛍光体または緑色蛍光体が含まれる場合、これらの蛍光体は主として青色蛍光体の発光を吸収して発光する。Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体も同様である。一方、波長変換層13中に含まれるEu2+を付活剤とする蛍光体(Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含む)は、近紫外または紫色LED素子の発光と、青色蛍光体の発光の両方を吸収して発光する。このように、一部の蛍光体がLED素子により間接的に励起されることから、変形実施形態1に係る白色発光装置の発光効率は、実施形態1の白色発光装置よりも劣ったものとなる傾向がある。一方、青色蛍光体は青色LED素子よりもブロードな発光バンドを有することから、演色性の点では、変形実施形態1に係る白色発光装置の方が実施形態1の白色発光装置よりも優れたものとなる傾向がある。
【0046】
(実施形態2)
図2に、本発明の実施形態2に係る白色発光装置の断面を模式的に示す。この図に示す白色発光装置20は、パッケージ21に設けられた凹部の底面上に固定された青色LED素子22と、その上に空間24を介して配置された第1波長変換層23aと、その上に積層された第2波長変換層23bとを備えている。第1波長変換層23aおよび第2波長変換層23bは、それぞれ、透光性マトリックス中に粒子状の蛍光体が分散された構成を有している。第1波長変換層23aに分散される蛍光体は、赤色発光するMn4+付活フッ化物錯体蛍光体を含む。第2波長変換層23bに分散される蛍光体は、赤色発光するEu2+
付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含む。黄色蛍光体は、どちらの波長変換層に含有させてもよいが、屈折率の観点からMn4+付活フッ化物錯体蛍光体を含有しない波長変換層に含有させることが好ましい。第2波長変換層23bには、黄色蛍光体に代えて、あるいは黄色蛍光体に加えて、緑色蛍光体を分散させることができる。
【0047】
空間24は空洞であってもよいが、その一部を透光性の充填材で充填してもよく、好ましくは、その全部を透光性の充填材で充填する。充填材には、実施形態1において波長変換層13のベース材料として例示した材料を用いることができる。
【0048】
青色LED素子22、第1波長変換層23aおよび第2波長変換層23bにそれぞれ含有される蛍光体については、実施形態1と同じものが用いられる。また、第1波長変換層23aおよび第2波長変換層23bの透光性マトリックスには、実施形態1において波長変換層13のベース材料として例示した材料を用いることができる。
【0049】
白色発光装置20の製造は、次の手順で行うことができる。
1)Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を透光性マトリックス中に分散した組成物からなるシート成形体Aを作製する。
2)黄色蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を透光性マトリックスに分散した組成物からなるシート成形体Bを作製する。
3)シート成形体Aとシート成形体Bとを重ねて接着した積層シートを作製する。
4)パッケージ21の凹部内に青色LED素子22を固定する。
5)凹部を塞ぐようにパッケージ21の上部に上記3)で作製した積層シートを接着する。シート成形体Aが第1波長変換層23a、シート成形体Bが第2波長変換層23bとなる。積層シートはいずれの面を外側に向けてパッケージ21に接着してもよく、図2の例とは逆に、第1波長変換層23a側を外側としてもよい。
【0050】
上記手順において、例えば、第1波長変換層23aおよび第2波長変換層23bの透光性マトリックスのベースに熱硬化性樹脂を用いる場合、シート成形体Aとシート成形体B作製する段階では熱硬化性樹脂を完全に硬化させないで、積層シートを形成する段階で完全に硬化させることにより、2つのシート成形体を強く接合させることができる。また、第1波長変換層23aおよび第2波長変換層23bの透光性マトリックスのベースに熱可塑性樹脂を用いる場合には、この熱可塑性樹脂の軟化温度以上でプレス加工を行うことにより、2つのシート成形体を強く接合させることができる。
【0051】
前述のようにMn4+付活フッ化物錯体蛍光体は低い屈折率を有することから、第1波長変換層23aの透光性マトリックスにはベースとして屈折率の低い樹脂を用いることが望ましい。推奨される樹脂として、例えば、屈折率1.41を有するジメチルシリコーン樹脂が市販されている。
【0052】
一方、第2波長変換層23bには、Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体が分散され、Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体は無機蛍光体である。また、その他分散される黄色蛍光体および/または緑色蛍光体も好ましくは無機蛍光体である。無機蛍光体の屈折率は低いものでも1.6以上であり、例えば、YAG:Ceでは1.90である。従って、蛍光体が放出する光が蛍光体粒子の内部に強くトラップされないために、第2波長変換層23bの透光性マトリックスは、第1波長変換層23aの透光性マトリックスよりも屈折率が高いことが望ましい。
【0053】
第2波長変換層23bの透光性マトリックスは、屈折率が1.50より高いことが好ましい。エポキシ樹脂では屈折率1.53〜1.57のものが入手可能である。また、ジフェニルジメチル系やフェニルメチル系のシリコーン樹脂では、屈折率1.52のものが入
手可能である(例えば、信越化学工業株式会社製SCR−1011)。その他、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂なども1.50より高い屈折率を有している。また、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などは、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等からなる高屈折率無機ナノ粒子を添加することによって、その屈折率を1.8程度まで高くすることができることが知られている。ただし、透光性マトリックスの屈折率が蛍光体の屈折率を上回ると、蛍光体の表面で励起光が反射されることにより効率が低下する可能性がある。
【0054】
また、屈折率の観点から、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を除く全ての蛍光体が、屈折率の高い第2の透光性マトリックス中に分散されていることが好ましい。
【0055】
(変形実施形態2)
変形実施形態2では、実施形態2における第1波長変換層23aと第2波長変換層23bが、図3に示すように、ガラスまたはポリマーからなる透明フィルム25の表面に横並びに形成される。
【0056】
(実施形態3)
図4に、本発明の実施形態3に係る白色発光装置の断面を模式的に示す。この図に示す白色発光装置30は、パッケージ31に設けられた凹部の底面上に固定された青色LED素子32と、この青色LED素子32を封止するように形成された第1波長変換層33aと、その上に積層された第2波長変換層33bと、更にその上に積層された第3波長変換層33cとを備えている。第1波長変換層33a、第2波長変換層33bおよび第3波長変換層33cは、それぞれ、透光性マトリックス中に粒子状の蛍光体が分散された構成を有している。第1波長変換層33aに分散される蛍光体は、赤色発光するEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体である。第2波長変換層33bに分散される蛍光体は、黄色蛍光体および/または緑色蛍光体である。第3波長変換層33cに分散される蛍光体は、赤色発光するMn4+付活フッ化物錯体蛍光体である。
【0057】
青色LED素子32と、第1波長変換層33a、第2波長変換層33bおよび第3波長変換層33cにそれぞれ含有される蛍光体については、実施形態1と同じものが用いられる。第1波長変換層33a、第2波長変換層33bおよび第3波長変換層33cのそれぞれは、蛍光体を分散した樹脂ペーストをパッケージ31の凹部内に注ぎ込み、硬化させることにより形成される。樹脂ペーストのベースは、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂である。
【0058】
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体が分散される第3波長変換層33cの透光性マトリックスには、ベースとして屈折率の低い樹脂、例えば、ジメチルシリコーン樹脂が用いられる。Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体が分散される第1波長変換層33aの透光性マトリックスの屈折率は、好ましくは、第3波長変換層33cのそれよりも高くされる。また、第2波長変換層33bには好ましくは無機蛍光体が分散され、透光性マトリックスの屈折率は好ましくは第3波長変換層33cのそれよりも高くされる。第1波長変換層33a、第2波長変換層33bおよび第3波長変換層33cのそれぞれの透光性マトリックスの屈折率をn1、n2、n3としたとき、n1>n2>n3とすることにより、青色LED素子31が発する光や、第1波長変換層33aで生じる光が、第3波長変換層33cの表面を通して外部に抽出され易くなるので、発光効率が良好となる。
【0059】
(実験例)
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲が具体的な実施例に限定されるものではない。
発光ピーク波長を450nmに有する350μm角のInGaN系青色LED素子1個を3528SMD型PPA樹脂パッケージに実装し、蛍光体を分散させたシリコーン樹脂組成物で封止することにより、相関色温度約2700Kの白色光を放出する白色LEDを作製した。組成物のベースであるシリコーン樹脂は低屈折率型であり、屈折率を1.41以上1.45未満の範囲に有する。
【0060】
本実験例で用いたKSNAFは、次の手順により合成した。まず、3.4712gのK2MnF6と1.3252gのNaFを、H2SiF6水溶液(33重量%)40mlとフッ化水素酸(47.3重量%)160mlとの混合溶液に溶解させた溶液(溶液A)を調製し、次に、この溶液Aを、18.92gのKHF2と8.16gのK3AlF6をフッ化水
素酸(47.3重量%)320mlに溶解させた溶液(溶液B)に添加した。溶液Bを26℃に保ち、攪拌しながら、溶液Aを添加することにより、黄色い結晶が析出した。この黄色い結晶を、No.5Cの濾紙で濾過した後、50mlのエタノールで3回洗浄し、150℃で2時間乾燥することにより、蛍光体(KSNAF)19.6gを得た。
【0061】
本発明の実施例に係る白色LEDでは、黄色蛍光体としてY3Al512:Ce(略称YAG)、La3Si611:Ce(略称LSN)、赤色蛍光体としてKSNAF、KSFおよびSrxCa1-xAlSiN3:Eu(略称SCASN)を用いた。一方、比較例に係る
白色LEDでは、黄色蛍光体には実施例と同様にYAGまたはLSNを使用したが、赤色蛍光体にはKSNAFまたはKSFとSCASNのいずれか一方のみを用いた。すなわち、比較例1および3ではKSNAFまたはKSFのみを用い、比較例2および4ではSCASNのみを用いた。表1に、実施例および比較例で使用した各蛍光体の発光特性を示す。図5および図6には、KSNAFおよびSCASNの発光スペクトルをそれぞれ示す。SCASNの発光ピーク波長617nmは、KSNAFの最大発光ピーク波長631nmより14nm短波長側にあり、かつ、KSNAFが最大発光ピークの短波長側に有する比較的ブロードな発光バンドのピーク波長613nmよりも長波長側に位置している。
【0062】
【表1】

【0063】
表2には、実施例および比較例に係る白色LEDの作製に用いたシリコーン樹脂組成物における、各蛍光体の配合比を示す。
【0064】
【表2】

【0065】
表2が示すように、相関色温度が約2700Kの白色LEDを作製するのに、赤色蛍光体としてKSNAF、又は、KSFのみを用いた比較例1および3では、シリコーン樹脂組成物中のKSNAFの配合比を38.4wt%、KSFの配合比を31.7wt%まで高くする必要があった。それに対し、実施例1および実施例2では、僅かな量のSCASNを併用することにより、KSNAFの配合比を11.5wt%、KSFの配合比を24.7wt%まで低くすることができた。それに伴い、実施例1および2で白色LEDの封止に用いたシリコーン樹脂ペーストの粘度は、比較例1および3で用いたものに比べて大幅に低下した。
【0066】
表3には、実施例1〜2、比較例1〜比較例4のそれぞれに係る白色LEDについて、20mAの電流を印加したときの発光特性を示す。図7には実施例1に係る白色LEDの発光スペクトルを示す。
【0067】
【表3】

【0068】
表3に示す変換効率は、白色LEDの光束(20mA印加時)を、シリコーン樹脂組成物で封止する前に測定した、3528SMD型PPA樹脂パッケージに実装した青色LED素子のベアチップ出力(20mA印加時)で割った値である。表3が示すように、実施例1〜2、比較例1〜4のそれぞれに係る白色LEDの変換効率は殆ど同じであるが、平均演色評価数Raを指標とする白色LEDの演色性は、比較例1、3が最も良好であり、その次に良好なのが実施例1、2、最も悪いのが比較例2、4である。実施例1、2の白色LEDの平均演色評価数Raは82であるから、住宅、ホテル、レストラン、店舗、オフィス、学校、病院、精密作業を行う工場などの照明に要求される水準を充たしている。それに対し、赤色蛍光体にKSNAF、又は、KSFを用いていない比較例2、4の白色LEDの演色性は、この水準には達していない。
【0069】
次に、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の総量に対する、Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率を変化させた場合における、演色性の変化についてシミュレーションを行った。シミュレーションは、各白色LEDサンプルについて印加電流20mAで測定した発光スペクトルを用いて次のように行った。まず、比較例3の、LSNと赤色蛍光体としてKSFを100%用いた白色LEDと、比較例4の、LSNと赤色蛍光体としてSCASNを100%用いた白色LEDに相当する白色発光装置とを、1種類ずつ選び、それぞれの発光スペクトルを、n:(10−n)という比率で足し合わせることにより合成スペクトルを作成した。そして、作成した合成スペクトルに対応するCIE色度座標値(x,y)、相関色温度Tcp、平均演色評価数Raを計算により求めた。なお、上記比率におけるnを1から9の範囲で1ずつ変化させることにより、2種類の白色LEDの光束比を変化させることを模擬した。
【0070】
LSN+赤色蛍光体としてKSF100%とした白色LED(n=0の場合、比較例5)と、LSN+SCASN100%とした白色LED(n=10の場合、比較例9)のそれぞれの発光スペクトルの割合を変化させた各種組合せについて、混合光の演色性がどのように変化するかを、上記シミュレーションを含む方法により調べた結果を下記表4、表5及び図9に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0073】
本願発明の白色発光装置は、電球、ダウンライト、ライン照明などの照明器具に用いることができる。
【符号の説明】
【0074】
10、20、30 白色発光装置
11、21、31 パッケージ
12、22、32 青色LED素子
13 波長変換層
23a、33a 第1波長変換層
23b、33b 第2波長変換層
33c 第3波長変換層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色発光するLED素子と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを含有する樹脂組成物を備える白色発光装置であって、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
該赤色光を放射する蛍光体が、少なくともMn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含み、
該樹脂組成物中に含まれる該Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の総量に対する、該Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である白色発光装置。
【請求項2】
LED素子と、該LED素子が発した光を波長変換して青色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを含有する樹脂組成物を備える白色発光装置であって、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
該赤色光を放射する蛍光体が、少なくともMn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含み、
該樹脂組成物中に含まれる該Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の総量に対する、該Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である白色発光装置。
【請求項3】
前記Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体の発光ピーク波長をλR1nm、上記Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の発光ピーク波長をλR2nmとしたとき、λR1−20≦λR2≦λR1+30である、請求項1または2に記載の白色発光装置。
【請求項4】
前記Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の発光スペクトルにおける最大ピーク波長が600〜630nmの範囲に存する、請求項3に記載の白色発光装置。
【請求項5】
前記Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体がKSFまたはKSNAFである、請求項3または4に記載の白色発光装置。
【請求項6】
前記Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体がSryCa1-yAlSiN3:Euであ
る、請求項3〜5のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項7】
前記黄色光を放射する蛍光体は、(Y1-u,Gdu3(Al1-vGav512:Ce,Eu蛍光体(但し、u及びvはそれぞれ、0≦u≦0.3、及び0≦v≦0.5)、又は、Ca1.5xLa3-xSi611:Ce(但し、xは、0≦x≦1)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項8】
前記Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体が樹脂ペーストの硬化物中に分散されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項9】
前記樹脂ペーストのベース樹脂がシリコーン樹脂である、請求項8に記載の白色発光装置。
【請求項10】
放出する白色光の相関色温度が1600〜4000Kの範囲内である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項11】
放出する白色光の相関色温度が2500〜3500Kの範囲内である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項12】
前記樹脂組成物中に含まれるMn4+付活フッ化物錯体蛍光体の配合比率が10重量%以上、50重量%以下であり、
前記樹脂組成物中に含まれるEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の配合比率が0.1重量%以上、5.0重量%以下である請求項1〜11のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項13】
青色発光するLED素子と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して赤色光を発光する蛍光体とを備えるか、あるいは、LED素子と、該LED素子が発した光を波長変換して青色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを備える、白色発光装置において、
前記赤色光を放射する蛍光体が第1の透光性マトリックス中に分散されたMn4+付活フッ化物錯体蛍光体および第2の透光性マトリックス中に分散されたEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含み、
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体およびEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の総量に対する、該Eu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下であり、
前記第1及び第2の透光性マトリックスは、前記LED素子と空間を介して配置される、白色発光装置。
【請求項14】
前記第1の透光性マトリックスの屈折率が前記第2の透光性マトリックスの屈折率よりも低い、請求項13に記載の白色発光装置。
【請求項15】
前記Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を除く全ての蛍光体が、前記第2の透光性マトリックス中に分散されている、請求項14に記載の白色発光装置。
【請求項16】
前記第1の透光性マトリックスが樹脂ペーストの硬化物である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項17】
前記樹脂ペーストのベース樹脂がシリコーン樹脂である、請求項16に記載の白色発光装置。
【請求項18】
前記シリコーン樹脂の屈折率が1.45未満である、請求項17に記載の白色発光装置。
【請求項19】
放出する白色光の相関色温度が1600〜4000Kの範囲内である、請求項13〜18のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項20】
放出する白色光の相関色温度が2500〜3500Kの範囲内である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項21】
青色発光するLED素子と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該青色発光するLED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを含有する樹脂組成物を備える白
色発光装置であって、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
該赤色光を放射する蛍光体が、少なくとも、最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が20nm以下である狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が80nm以上である広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体を含み、
該樹脂組成物中に含まれる該狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の総量に対する、該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である白色発光装置。
【請求項22】
LED素子と、該LED素子が発した光を波長変換して青色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して黄色光を放射する蛍光体および/または緑色光を放射する蛍光体と、該LED素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する蛍光体とを含有する樹脂組成物を備える白色発光装置であって、
前記樹脂組成物は、前記LED素子と空間を介して配置され、
該赤色光を放射する蛍光体が、少なくとも、最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が20nm以下である狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および最大発光ピークが600nm以上660nm以下であり、赤色発光ピークの半値全幅が80nm以上である広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体を含み、
該樹脂組成物中に含まれる該狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体および該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の総量に対する、該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の含有比率が、0.5重量%以上14.0重量%以下である白色発光装置。
【請求項23】
前記樹脂組成物中に含まれる該狭帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の配合比率が10重量%以上、50重量%以下である請求項21または22に記載の白色発光装置。
【請求項24】
前記樹脂組成物中に含まれる該広帯域の発光スペクトルを有する赤色蛍光体の配合比率が0.1重量%以上、5.0重量%以下である請求項21〜23のいずれか一項に記載の白色発光装置。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の白色発光装置を備える照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−178574(P2012−178574A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86634(P2012−86634)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【分割の表示】特願2011−227050(P2011−227050)の分割
【原出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】