説明

白色硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体のパッケージ

【課題】光線反射率が高く、耐熱耐光性が良好な硬化物を与える白色硬化性組成物を提供
すること。
【解決手段】(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくと
も2個含有する化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、
(C)ヒドロシリル化触媒、(D)有機シロキサンにより表面処理された酸化チタン、を
必須成分として含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂組成物
全体に占める(D)成分の量が10重量%以上であることを特徴とする白色硬化性樹脂組
成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は白色硬化性組成物およびそれを用いた半導体のパッケージおよびそれを用いて
製造された半導体部品に関するものであり、更に詳しくは、光線反射率が高い白色硬化性
組成物およびそれを用いた発光ダイオード用のパッケージおよびそれを用いて製造された
発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオードとしてはパッケージを用いた表面実装タイプのものが製造されて
いるが、そのパッケージ用材料としては、セラミック、ポリアミド樹脂あるいはポリエス
テル樹脂等が主として用いられている。
【0003】
ところが、セラミックをパッケージ用材料として用いた場合には、セラミックの成型加
工性がよくなく一般に工業的な適用性が狭くなる。また、発光ダイオードの製造にはパッ
ケージ内にエポキシ樹脂等の封止剤(モールド材)を充填することが一般的であるが、そ
の場合、セラミックとエポキシ樹脂等の封止剤との線膨張係数の差が大きいため、熱応力
等により封止剤にクラックが発生して発光ダイオードの信頼性を低下させるという問題も
ある。さらに、セラミックは光線反射率が低く発光ダイオードとしての光取り出し効率が
低下してしまうという問題もある。
【0004】
ポリアミド樹脂をパッケージ用材料として用いた場合には、ポリアミド樹脂は耐光劣化
により着色するという問題があるため長期使用するとパッケージ表面での反射率が低下し
て発光ダイオードの輝度が低下するといった問題がある。また、ポリアミド樹脂の耐光劣
化のため封止剤との接着性が低下して、発光ダイオードの信頼性を低下させるという問題
もある。
【0005】
ポリエステル樹脂をパッケージ用材料として用いた場合には、耐熱性が十分でないため
に耐はんだリフロー性に乏しく、工業的な適用性に制限があるという問題がある。
【0006】
一方、耐光性に優れる樹脂として、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1
分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含
有する化合物、ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する樹脂組成物を用いた発光ダ
イオードのパッケージが提案されている(特許文献1)。しかし、光線反射率を高くする
という点においてさらに改善の余地を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−146191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、光線反射率が高く、耐熱耐光性が良好な硬化物を与える白色
硬化性組成物を提供することであり、それを用いた発光ダイオードのパッケージおよびそ
れを用いて製造された発光ダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、(A)SiH基と反応性を
有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物、(B)1分子中
に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)有機
シロキサンにより表面処理された酸化チタン、を必須成分とし、硬化性樹脂組成物全体に
占める(D)成分の量が10重量%以上とすることによって上記課題を解決できることを
見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有
する化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒド
ロシリル化触媒、(D)有機シロキサンにより表面処理された酸化チタン、を必須成分と
して含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂組成物全体に占め
る(D)成分の量が10重量%以上であることを特徴とする白色硬化性樹脂組成物(請求
項1)であり、
(D)成分の平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載
の白色硬化性樹脂組成物(請求項2)であり、
(A)成分が有機骨格を有することを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の白色硬
化性樹脂組成物(請求項3)であり、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の白色硬化性樹脂組成物からなる発光ダイオード
のパッケージ用白色硬化性樹脂組成物(請求項4)であり、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の白色硬化性樹脂組成物を硬化してなり、表面の
波長470nmの光線反射率が90%以上である成形体(請求項5)であり、
請求項4に記載の白色硬化性樹脂組成物を用いて成形したことを特徴とする発光ダイオ
ード用のパッケージ(請求項6)であり、
請求項6に記載の発光ダイオード用のパッケージを用いて製造された発光ダイオード(
請求項7)である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の硬化性樹脂組成物を用いれば、光線反射率が高く、耐熱耐光性が良好な硬化物
を与える白色硬化性組成物を得ることができ、光取り出し効率が高く、長期間使用しても
光取り出し効率が低下しない優良な発光ダイオードを作成できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の白色硬化性樹脂組成物は、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結
合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSi
H基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)有機シロキサンにより表面処
理された酸化チタン、を必須成分として含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物であ
って、硬化性樹脂組成物全体に占める(D)成分の量が10重量%以上であることを特徴
とする白色硬化性樹脂組成物である。以下、各成分について説明する。
【0014】
((A)成分)
(A)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2
個含有する化合物であれば特に限定されない。
((A)成分の骨格)
(A)成分の骨格としてはシロキサンであってもよい。この場合、具体的にはビニル基
を有するシロキサン化合物、ポリシロキサンを例示することができ、例えば、
(CH=CH)SiO(4−n−m)/2
(式中、Rは水素原子、水酸基、メチル基あるいはフェニル基から選ばれる基であり、n
、mは0≦n<4、0<m≦4、0<n+m≦4を満たす数)で表される化合物であり、
より具体的には、末端基あるいは側鎖基としてビニル基を有するポリジメチルシロキサン
、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニ
ルシロキサンや、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラ
ビニルシクロテトラシロキサンなどを挙げることができる。
【0015】
強度が高くなりやすい、接着性が高くなりやすいという点においては、(A)成分とし
ては有機骨格を有するものが好ましい。
【0016】
有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機
グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構
成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好まし
い。シロキサン単位を含むものの場合は、半導体のパッケージとリードフレームや封止樹
脂との接着性が低くなりやすいという問題がある。
【0017】
(A)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる

【0018】
((A)成分が重合体の場合の例)
有機重合体系の(A)成分としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリ
アリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル
酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、
ポリイミド系の骨格を有するものを挙げることができる。
【0019】
これらのうち、ポリエーテル系重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオ
キシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレ
ン共重合体等が挙げられる。さらに具体的な例を示すと、
【0020】
【化1】

【0021】
(式中、R、Rは構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲン以外の元素を含まない炭素数1〜6の2価の有機基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
等が挙げられる。
【0022】
その他の重合体としては、例えばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸
、ヘキサヒドロフタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコー
ルとの縮合またはラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体、エチレン−プ
ロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポ
リクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレ
ン等との共重合体、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレン、アクリロニトリル等との共
重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニ
トリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系(飽和炭化水
素系)重合体、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーをラジカル重合し
て得られるポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアク
リル酸エステルと酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等と
のアクリル酸エステル系共重合体、前記有機重合体中でビニルモノマーを重合して得られ
るグラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ε−アミノカプロラクタムの開環重合に
よるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によるナイロン66、ヘ
キサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610、ε−アミノウンデカ
ン酸の重縮合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン
12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系
重合体、例えばビスフェノールAと塩化カルボニルより重縮合して製造されたポリカルボ
ネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェ
ノール樹脂系)骨格としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノ
ール樹脂、アンモニアレゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹
脂などが挙げられる。
【0023】
これらの重合体骨格に、炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基を導入して(A)成
分とすることができる。
【0024】
この場合、炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基は分子内のどこに存在してもよい
が、反応性の点から側鎖または末端に存在する方が好ましい。
【0025】
アルケニル基を前記重合体骨格に導入する方法については、種々提案されているものを
用いることができるが、重合後にアルケニル基を導入する方法と重合中にアルケニル基を
導入する方法に大別することができる。
【0026】
重合後にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、末端、主鎖あるいは側鎖に水酸基、アルコキシド基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有する有機重合体に、その官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物を反応させることによりアルケニル基を末端、主鎖あるいは側鎖に導入することができる。上記官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド等のC3〜C20の不飽和脂肪酸、酸ハライド、酸無水物等やアリルクロロホルメート(CH=CHCHOCOCl)、アリルブロモホルメート(CH=CHCHOCOBr)等のC3〜C20の不飽和脂肪族アルコール置換炭酸ハライド、アリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ブテニル(クロロメチル)エーテル、1−ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼン、アリルイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
また、エステル交換法を用いてアルケニル基を導入する方法がある。この方法はポリエ
ステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基をエステル交換触媒を用いて
アルケニル基含有アルコール又はアルケニル基含有フェノール誘導体とエステル交換する
方法である。アルコール残基との交換に用いるアルケニル基含有アルコール及びアルケニ
ル基含有フェノール誘導体は、少なくとも1個のアルケニル基を有し少なくとも1個の水
酸基を有するアルコール又はフェノール誘導体であれば良いが、水酸基を1個有する方が
好ましい。触媒は使用してもしなくても良いが、チタン系および錫系の触媒が良い。
【0028】
上記化合物の例としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、3−ブテン−1−オ
ール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オー
ル、7−オクテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オール、2
−(アリルオキシ)エタノール、ネオペンチルグリコールモノアリルエーテル、グリセリ
ンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールエタ
ントリアリルエーテル、ペンタエリストールテトラアリルエーテル、1,2,6−ヘキサ
ントリオールトリアリルエーテル、ソルビタントリアリルエーテル、
【0029】
【化2】

【0030】
などが挙げられる。この中でも、入手の容易さから、アリルアルコール、ビニルアルコー
ル、3−ブテン−1−オール、2−(アリルオキシ)エタノール、および
【0031】
【化3】

【0032】
が好ましい。
【0033】
さらに、上記アルコール又はフェノール誘導体の酢酸エステル等のエステル化物とポリ
エステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分をエステル交換触媒を用いてエステル交換し
ながら、生成するポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基の酢
酸エステル等の低分子量エステル化物を減圧脱揮等で系外に留去する方法でアルケニル基
を導入する方法もある。
【0034】
また、リビング重合によりメチル(メタ)アクリレート等の重合を行った後、リビング
末端をアルケニル基を有する化合物によって停止させる方法により末端にアルケニル基を
導入することもできる。
【0035】
重合中にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、ラジカル重合法で本発明に用
いる(A)成分の有機重合体骨格を製造する場合に、アリルメタクリレート、アリルアク
リレート等の分子中にラジカル反応性の低いアルケニル基を有するビニルモノマーや、ア
リルメルカプタン等のラジカル反応性の低いアルケニル基を有するラジカル連鎖移動剤を
用いることにより、有機重合体骨格の側鎖や末端にアルケニル基を導入することができる

【0036】
(A)成分としては、分子量は特に制約はないが、100〜100,000の任意のも
のが好適に使用でき、アルケニル基含有有機重合体であれば500〜20,000のもの
が特に好ましい。分子量が500以下では可とう性の付与等の有機重合体の利用による特
徴が発現し難く、分子量が100,000以上ではアルケニル基とSiH基との反応によ
る架橋の効果が発現し難い。
【0037】
((A)成分が単量体の場合の例)
有機単量体系の(A)成分としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼ
ン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系
の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0038】
((A)成分の炭素−炭素二重結合)
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内の
どこに存在してもよい。
【0039】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されない
が、下記一般式(I)
【0040】
【化4】

【0041】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適で
ある。また、原料の入手の容易さからは、
【0042】
【化5】

【0043】
で示される基が特に好ましい。
【0044】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(I
I)
【0045】
【化6】

【0046】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐
熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0047】
【化7】

【0048】
で示される脂環式の基が特に好ましい。
【0049】
((A)成分の炭素−炭素二重結合と骨格の結合基)
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合して
いてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基とし
ては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、
O、S、およびハロゲン以外の元素を含まないものが好ましい。これらの置換基の例とし
ては、
【0050】
【化8】

【0051】
【化9】

【0052】
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって
1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0053】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル
基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2
−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキ
シ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、
2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−ア
リルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0054】
【化10】

【0055】
が挙げられる。
【0056】
((A)成分の具体例)
有機重合体系の(A)成分の具体的な例としては、1,2−ポリブタジエン(1、2比
率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフ
ェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0057】
【化11】

【0058】
(式中、RはHまたはCH、R、Rは構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲン以外の元素を含まない炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
【0059】
【化12】

【0060】
(式中、RはHまたはCH、R、Rは炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
【0061】
【化13】

【0062】
(式中、RはHまたはCH、R、Rは炭素数1〜20の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
【0063】
【化14】

【0064】
(式中、RはHまたはCH、R、R9は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
【0065】
【化15】

【0066】
(式中、RはHまたはCH、R10、R11、R12は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、l、pは1〜300の数を表す。)
等が挙げられる。
【0067】
有機単量体系の(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、
【0068】
【化16】

【0069】
【化17】

【0070】
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換え
たもの等が挙げられる。
【0071】
(A)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、
低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタ
ジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シク
ロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、ト
リシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシク
ロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられ
る。
【0072】
((A)成分の好ましい要件)
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を
有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが
好ましく、1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008m
ol以上含有するものがさらに好ましい。
【0073】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当
たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが
好ましく、3個以上であることがより好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグ
ラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
【0074】
(A)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個
以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがよ
り好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基
を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有しているこ
とがより好ましい。
【0075】
(A)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく
成形性、取扱い性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく
、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
【0076】
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、
粘度としては23℃において1000ポイズ未満のものが好ましく、300ポイズ未満の
ものがより好ましく、30ポイズ未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によっ
て測定することができる。
【0077】
(A)成分としては、耐光性がより高いという観点から、フェノール性水酸基および/
あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、
フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含ま
ないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環
、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノ
ール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等
のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等によ
り置換された基を示す。
【0078】
また、特に耐光性が良好であるという観点からは、芳香環の(A)成分中の成分重量比
が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重
量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないもので
ある。
【0079】
得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、(A)成分としては
ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、トリアリルイソシ
アヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテ
ル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、
2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,
4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
【0080】
((A)成分の好ましい構造1)
(A)成分としては、耐熱性および耐光性が特に高いという観点からは、下記一般式(
III)
【0081】
【化18】

【0082】
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
【0083】
上記一般式(III)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうると
いう観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10
の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさ
らに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基

【0084】
【化19】

【0085】
等が挙げられる。
【0086】
上記一般式(III)のRとしては、パッケージとリードフレームあるいは封止剤と
の接着性が良好になりうる、あるいは得られるパッケージの力学強度が高くなり得るとい
う観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜
50の一価の有機基であることが好ましく、
【0087】
【化20】

【0088】
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好
ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
【0089】
【化21】

【0090】
等が挙げられる。
【0091】
上記一般式(III)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性が良好になりうるとい
う観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素
数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基で
あることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グ
リシジル基、
【0092】
【化22】

【0093】
等が挙げられる。
【0094】
上記一般式(III)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つの
のうち少なくとも1つが
【0095】
【化23】

【0096】
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記
一般式(IV)
【0097】
【化24】

【0098】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1
〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(V)
【0099】
【化25】

【0100】
(式中Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のRおよびRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
【0101】
上記一般式(V)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが
、得られるパッケージの耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは
炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10
の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機
基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0102】
【化26】

【0103】
等が挙げられる。
【0104】
上記一般式(V)のRとしては、得られるパッケージの耐熱性が良好になりうるとい
う観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、
Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭
素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例
としては、
【0105】
【化27】

【0106】
が挙げられる。
【0107】
上記一般式(V)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好である
という観点からは、水素原子が好ましい。
【0108】
ただし、上記のような一般式(III)で表される有機化合物の好ましい例においても
、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有するこ
とは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい

【0109】
以上のような一般式(III)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
【0110】
【化28】

【0111】
等が挙げられる。
【0112】
((A)成分の好ましい構造2)
また、(B)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(A)成分の揮発性が低
くなり、得られるパッケージからのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(A
)成分の例として上記したような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分
子中に少なくとも2個含有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物と、SiH基を
有する化合物(β)との反応物も好ましい。
【0113】
((β)成分)
(β)成分は、SiH基を有する化合物であり、SiH基を有する鎖状及び/又は環状
のポリオルガノシロキサンもその例である。
【0114】
具体的には、例えば
【0115】
【化29】

【0116】
【化30】

【0117】
が挙げられる。
【0118】
ここで、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含
有する有機化合物との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(VI)
【0119】
【化31】

【0120】
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、
1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0121】
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、O以外の構成元素を含ま
ないものが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさら
に好ましい。
【0122】
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであること
が好ましい。
【0123】
(β)成分のその他の例として、ビスジメチルシリルベンゼンなどのSiH基を有する
化合物をあげることができる。
【0124】
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが
可能である。
【0125】
(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する
有機化合物と(β)成分の反応)
次に、本発明の(A)成分として、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1
分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応して得る
ことができる化合物を用いる場合の、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1
分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関し
て説明する。
【0126】
尚、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有す
る有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(A)成分を含む複数
の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(A)成分を分離することなく混合
物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
【0127】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有
機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の、SiH基と反応性を有する炭
素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分の混合比
率は、特に限定されないが、反応中のゲル化が抑制できるという点においては、一般に、
混合するSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有
する有機化合物中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混
合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、X/Y≧2であることが好ましく
、X/Y≧3であることがより好ましい。また(A)成分の(B)成分との相溶性がよく
なりやすいという点からは、10≧X/Yであることが好ましく、5≧X/Yであること
がより好ましい。
【0128】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0129】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
【0130】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニル
シロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併
用してもよい。
【0131】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
【0132】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1,2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
【0133】
反応させる場合のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくと
も2個含有する有機化合物、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとるこ
とができるが、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2
個含有する有機化合物に触媒を混合したものを、(β)成分に混合する方法が好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機
化合物、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)
成分と触媒を混合したものにSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に
少なくとも2個含有する有機化合物を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β)成
分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
【0134】
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より
好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃
である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高い
と実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続
的に温度を変化させてもよい。
【0135】
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
【0136】
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
【0137】
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
【0138】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有
機化合物と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応のSiH基と反応
性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物あるいは
/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得
られる(A)成分が揮発分を有さないため(B)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によ
るボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、
活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場
合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり
、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
【0139】
以上のような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも
2個含有する有機化合物と(β)成分の反応物である(A)成分の例としては、ビスフェ
ノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反
応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの
反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反
応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの
反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロ
キサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメ
チルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルノルボルネンとビスジメチルシリルベンゼ
ンとの反応物等を挙げることができる。
【0140】
((A)成分のその他の反応性基)
(A)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基として
は、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート
基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している
場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高く
なりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ
基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反
応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0141】
((A)成分の混合)
(A)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0142】
(B成分)
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。
【0143】
(B)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば
特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中
に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
【0144】
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状
及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、(A)成分との相溶性が良いという
観点からは、さらに、下記一般式(VI)
【0145】
【化32】

【0146】
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、
1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0147】
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるもので
あることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさら
に好ましい。
【0148】
一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7
−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0149】
(B)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、より流動性を
発現しやすいという観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。この場合、好まし
い分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは
1,000、さらに好ましくは700である。
【0150】
(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0151】
((B)成分の好ましい構造)
(A)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(B)成分の揮発性が低くなり
得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(B)成分は、S
iH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(
α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(β)を、ヒドロシリル化
反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
【0152】
((α)成分)
ここで(α)成分は上記した(A)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素
二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と同じもの(α1)も用いるこ
とができる。(α1)成分を用いると得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高
い硬化物となりやすい。
【0153】
その他、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機
化合物(α2)も用いることができる。(α2)成分を用いると得られる硬化物が低弾性
となりやすい。
【0154】
((α2)成分)
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1
個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性が
よくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマー
やポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)
を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むも
のであることが好ましい。
【0155】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定さ
れず、分子内のどこに存在してもよい。
【0156】
(α2)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類できる。
【0157】
重合体系化合物としては例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系
、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリア
クリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂
系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
【0158】
また単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナ
フタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合
物、シリコン系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0159】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されな
いが、下記一般式(I)
【0160】
【化33】

【0161】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適で
ある。また、原料の入手の容易さからは、
【0162】
【化34】

【0163】
で示される基が特に好ましい。
【0164】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(
II)
【0165】
【化35】

【0166】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐
熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0167】
【化36】

【0168】
で示される脂環式の基が特に好ましい。
【0169】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(α2)成分の骨格部分に直接結合し
ていてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基と
しては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と
相溶性がよくなりやすいという点においては、構成元素としてC、H、N、O、S、およ
びハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
【0170】
【化37】

【0171】
【化38】

【0172】
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって
1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0173】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル
基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2
−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキ
シ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、
2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−ア
リルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0174】
【化39】

【0175】
が挙げられる。
【0176】
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウン
デセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−
1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペ
ンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセ
ン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシク
ロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系
化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニル
トルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合
物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリ
ンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−
ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼ
ン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレー
ト、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリ
メチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合
物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポ
リプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の
炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメ
タクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリ
ゴマー類等も挙げることができる。
【0177】
(α2)成分の構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のも
のを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、混合物の粘度が低くなり成形性
が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2
以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
【0178】
(α2)成分のガラス転位温度が存在する場合はこれについても特に限定はなく種々の
ものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、ガラス点
移転温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、
0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレー
ト樹脂等が挙げられる。逆に得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガ
ラス転位温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ま
しく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好まし
い。ガラス転位温度は動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めるこ
とができる。
【0179】
(α2)成分としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、炭化
水素化合物であることが好ましい。この場合好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい
炭素数の上限は10である。
【0180】
(α2)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基とし
ては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネー
ト基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有してい
る場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高
くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキ
シ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、
反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的にはモノアリ
ルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタク
リレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0181】
上記のような(α1)成分あるいは/および(α2)成分としては単一のものを用いて
もよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0182】
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物であり、鎖状及び
/又は環状のポリオルガノシロキサンもその例である。
【0183】
具体的には、例えば
【0184】
【化40】

【0185】
【化41】

【0186】
が挙げられる。
【0187】
ここで、(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(VI)
【0188】
【化42】

【0189】
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、
1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0190】
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0191】
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであること
が好ましい。
【0192】
(β)成分のその他の例として、ビスジメチルシリルベンゼンなどのSiH基を有する
化合物をあげることができる。
【0193】
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが
可能である。
【0194】
((α)成分と(β)成分の反応)
次に、本発明の(B)成分として、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応して
得ることができる化合物を用いる場合の、(α)成分と(β)成分とのヒドロシリル化反
応に関して説明する。
【0195】
尚、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(B)成分を含む
複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(B)成分を分離することなく
混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
【0196】
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(α)成分と(β)成分の
混合比率は、特に限定されないが、得られる(B)成分と(A)成分とのヒドロシリル化
による硬化物の強度を考えた場合、(B)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般
に混合する(α)成分中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)
と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好
ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。また(B)成分の(A)成分との相溶性
がよくなりやすいという点からは、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであ
ることがより好ましい。
【0197】
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0198】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
【0199】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0200】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
【0201】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1,2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
【0202】
反応させる場合の(α)成分、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をと
ることができるが、(α)成分に触媒を混合したものを、(β)成分に混合する方法が好
ましい。(α)成分、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難で
ある。(β)成分と触媒を混合したものに(α)成分を混合する方法をとる場合は、触媒
の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
【0203】
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より
好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃
である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高い
と実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続
的に温度を変化させてもよい。
【0204】
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
【0205】
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反
応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トル
エン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタ
ン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として
用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソ
ラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
【0206】
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
【0207】
(α)成分と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応の(α)成分
あるいは/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することに
より、得られる(B)成分が揮発分を有さないため(A)成分との硬化の場合に揮発分の
揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱
揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱
揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100
℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
【0208】
以上のような、(α)成分と(β)成分の反応物である(B)成分の例としては、ビス
フェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン
の反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサ
ンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン
の反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサ
ンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラ
シロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テト
ラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテルと1,3,5,7
−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−
テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレー
トと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルノルボルネ
ンとビスジメチルシリルベンゼンとの反応物等を挙げることができる。
【0209】
((A)成分と(B)成分の混合)
(A)成分と(B)成分の組合せについては(A)成分の例として挙げたものおよびそ
れらの各種混合物/(B)成分の例として挙げたものおよびそれらの各種混合物、の各種
組み合わせを挙げることができる。
【0210】
(A)成分と(B)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限りは特に限定されない
が、(B)成分中のSiH基の数(Y)の(A)成分中の炭素−炭素二重結合の数(X)
に対する比において、好ましい範囲の下限はY/X≧0.3、より好ましくはY/X≧0
.5、さらに好ましくはY/X≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y/X、より
好ましくは2≧Y/X、さらに好ましくは1.5≧Y/Xである。好ましい範囲からはず
れた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
【0211】
((C)成分)
(C)成分はヒドロシリル化触媒である。
【0212】
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0213】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
【0214】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0215】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
【0216】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
【0217】
((D)成分)
(D)成分は有機シロキサンにより表面処理された酸化チタンである。
【0218】
(D)成分の酸化チタンとしては種々のものを用いることができ、アナターゼ型であっ
てもルチル型であってもよいが、光触媒作用がなく組成物が安定になりやすいという点で
はルチル型であることが好ましい。
【0219】
(D)成分の酸化チタンの平均粒径としても種々のものが用いられるが、組成物の流動
性が高いという点では0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であるこ
とがより好ましい。また、得られる硬化物の光線反射率がより高くなりやすいという点に
おいては、1.0μm以下のものが好ましく、0.25μm以下のものがより好ましい。
平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
【0220】
(D)成分の酸化チタンの製造方法としても硫酸法、塩素法などいずれの方法により製
造されたものも使用できる。
【0221】
(D)成分の酸化チタンの表面処理については少なくとも有機シロキサン処理で処理されている必要があるが、その場合の有機シロキサン処理剤としては種々のものが適用される。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、あるいはそれらの共重合体などのポリシロキサン類、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、などのシクロシロキサン類、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシランなどのクロロシラン類、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するシラン類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するシラン類、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基を有するシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシラン類、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキル基を有するシラン類、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のその他のシラン類等の各種シラン類で例示されるシランカップリング剤や、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどを挙げることができる。これらの表面処理剤としては炭素−炭素二重結合を含まないものであることが好ましく、炭素−炭素二重結合を含むと耐熱性が低下しやすくなる。また、有機シロキサン以外の表面処理を併用することも可能であり、Al、Zr、Zn等で処理することもできる。
【0222】
表面処理の方法としても各種方法を適用することができ、湿式法、乾式法、液相法、気
相法等、種々の方法が例示できる。
【0223】
(D)成分の酸化チタンの量としても種々適用できるが、硬化性樹脂組成物全体に占め
る(D)成分の量が10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることが
より好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましい
【0224】
(無機充填材)
本発明の硬化性樹脂組成物には無機充填材を使用してもよく、無機充填材を添加すると
強度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化したりするのに有効である。
【0225】
無機充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈
降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系
無機充填材、アルミナ、ジルコン、有機シロキサンで表面処理されていない酸化チタン、
窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊
維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タル
ク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸
カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等の無機充填材をはじめとして、エポ
キシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用あるいは/および提案されている無機
充填材等を挙げることができる。無機充填材としては、半導体素子へダメージを与え難い
という観点からは、低放射線性であることが好ましい。
【0226】
無機充填材は適宜表面処理してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチ
ルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。
【0227】
この場合のカップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シラン
カップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基
を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基
としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基
、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基
が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に
好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好まし
く、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0228】
好ましいシランカップリング剤としては、上記したようなシラン類が例示できる。
【0229】
その他にも無機充填材を添加する方法が挙げられる。例えばアルコキシシラン、アシロ
キシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チ
タン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明
の組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無
機充填材を生成させる方法も挙げることができる。
【0230】
以上のような無機充填材のうち硬化反応を阻害し難く、線膨張係数の低減化効果が大き
く、リードフレームとの接着性が高くなりやすいという観点からは、シリカ系無機充填材
が好ましい。さらに、成形性、電気特性等の物性バランスがよいという点において溶融シ
リカが好ましく、パッケージの熱伝導性が高くなり易く放熱性の高いパッケージ設計が可
能になるという点においては結晶性シリカが好ましい。より放熱性が高くなり易いという
点ではアルミナが好ましい。また、パッケージ樹脂の光の反射率が高く、得られる発光ダ
イオードの光取りだし効率が高くなりやすいという点においては、有機シロキサンで表面
処理されていない酸化チタンが好ましい。その他、補強効果が高くパッケージの強度が高
くなり易いという点においてはガラス繊維、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウムが好ま
しい。
【0231】
無機充填材の平均粒径や粒径分布としては、エポキシ系等の従来の封止材の充填材とし
て使用あるいは/および提案されているものをはじめ、特に限定なく各種のものが用いら
れるが、通常用いられる平均粒径の下限は0.1μm、流動性が良好になりやすいという
点から好ましくは0.5μmであり、通常用いられる平均粒径の上限は120μm、流動
性が良好になりやすいという点から好ましくは60μm、より好ましくは15μmである

【0232】
無機充填材の比表面積についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あ
るいは/および提案されているものをはじめ、各種設定できる。
【0233】
無機充填材の形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種のものが用いられる。
アスペクト比も種々のものが用いられる。得られる硬化物の強度が高くなりやすいという
点においてはアスペクト比が10以上のものが好ましい。また、樹脂の等方性収縮の点か
らは繊維状よりは粉末状が好ましい。あるいは、高充填時にも成形時の流れ性がよくなり
易いという点においては球状のものが好ましい。
【0234】
これら無機充填材は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0235】
((D)成分および無機充填材)
(D)成分および無機充填材の量は特に限定されないが、硬化性樹脂組成物全体に占め
る(D)成分および無機充填材の合計の量が85重量%以上であることが好ましく、90
重量%以上であることがより好ましい。(D)成分および無機充填材の量が少ないと、強
度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化するという効果が得られにくくなる。
【0236】
(D)成分あるいは/および無機充填材の混合の順序としては、各種方法をとることが
できるが、組成物の中間原料の貯蔵安定性が良好になりやすいという点においては、(A
)成分に(C)成分および無機充填材を混合したものと、(B)成分を混合する方法が好
ましい。(B)成分に(C)成分あるいは/および無機充填材を混合したものに(A)成
分を混合する方法をとる場合は、(C)成分存在下あるいは/および非存在下において(
B)成分が環境中の水分あるいは/および無機充填材との反応性を有するため、貯蔵中等
に変質することもある。また、反応成分である(A)成分、(B)成分、(C)成分がよ
く混合され安定した成形物が得られやすいという点においては、(A)成分、(B)成分
、(C)成分を混合したものに無機充填材を混合することが好ましい。
【0237】
(D)成分あるいは/および無機充填材を混合する手段としては、従来エポキシ樹脂等
に用いられあるいは/および提案されている種々の手段を用いることができる。例えば、
2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、
プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。これら
のうち、高充填であっても無機充填材の十分な分散性が得られやすいという点においては
、3本ロール、溶融混練機が好ましい。無機充填材の混合は、常温で行ってもよいし加熱
して行ってもよい。また、常圧下に行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。高充填であ
っても無機充填材の十分な分散性が得られやすいという点においては、加熱状態で混合す
ることが好ましく、無機充填材表面の塗れ性を向上し十分な分散性が得られやすいという
点においては減圧状態で混合することが好ましい。
【0238】
(添加剤)
本発明の白色硬化性樹脂組成物には種々の添加剤を添加することができる。
【0239】
(硬化遅延剤)
本発明の硬化性樹脂組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロ
シリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延
剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、
窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわ
ない。
【0240】
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸tert−ブチル等が例示される。
【0241】
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベ
ンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブ
チン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
【0242】
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは50モルである。
【0243】
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0244】
(接着性改良剤)
本発明の組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一
般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノ
ール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、
α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリ
イソシアネート等を挙げることができる。
【0245】
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等
が挙げられる。
【0246】
カップリング剤の例は、上記したものと同じである。
【0247】
カップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]10
0重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部
であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量
が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合が
ある。
【0248】
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル
型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジル
エーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオ
キシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポ
キシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)
−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−
シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート
、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート
等を挙げることができる。
【0249】
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]10
0重量部に対しての好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、
好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ない
と接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0250】
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使
用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0251】
また、本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、さら
にシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能
である。このようなシラノール縮合触媒としては特に限定されないが、ほう素系化合物あ
るいは/およびアルミニウム系化合物あるいは/およびチタン系化合物が好ましい。シラ
ノール縮合触媒となるアルミニウム系化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシ
ド、sec−ブトキシアルミニウムジイソフロポキシド、アルミニウムトリsec−ブト
キシド等のアルミニウムアルコキシド類:、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソ
プロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM(川
研ファインケミカル製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド)、
アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネート
ビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート類等が例示でき、取扱い性の
点からアルミニウムキレート類がより好ましい。シラノール縮合触媒となるチタン系化合
物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシ
チタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチ
レングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
【0252】
シラノール縮合触媒となるほう素系化合物としては、ほう酸エステルが挙げられる。ほ
う酸エステルとしては下記一般式(VII)、(VIII)で示されるものを好適に用い
ることが出来る。
【0253】
【化43】

【0254】
【化44】

【0255】
(式中Rは炭素数1〜48の有機基を表す。)
【0256】
ほう酸エステルの具体例として、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルト
リオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレ
ート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−
sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリ
ノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メ
トキシエトキサイドを好適に用いることができる。
【0257】
これらほう酸エステルは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良
い。混合は事前に行なっても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
【0258】
これらほう酸エステルのうち、容易に入手でき工業的実用性が高いという点からは、ほ
う酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリノルマルブチルが好ましく、なかでもほ
う酸トリメチルがより好ましい。
【0259】
硬化時の揮発性を抑制できるという点からは、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう
酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメ
チルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう
酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほ
う酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが好ましく、なかでもほう酸ノルマルトリ
オクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマ
ルブチルがより好ましい。
【0260】
揮発性の抑制、および作業性がよいという点からは、ほう酸トリノルマルブチル、ほう
酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、なかでもほう酸トリノル
マルブチルがより好ましい。
【0261】
高温下での着色性が低いという点からは、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチルが好ま
しく、なかでもほう酸トリメチルがより好ましい。
【0262】
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるい
は/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限
は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、
より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が
多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0263】
また、これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい

【0264】
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化
合物を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このよう
なシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラ
ン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチル
トリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
【0265】
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるい
は/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限
は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、
より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が
多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0266】
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい

【0267】
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸
類あるいは/および酸無水物類を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定
化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
【0268】
【化45】

【0269】
、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
【0270】
これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有
し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点に
おいては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好
ましいカルボン酸類あるいは/および酸無水物類としては、例えば、
【0271】
【化46】

【0272】
、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
【0273】
カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、
カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての
好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量
の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効
果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0274】
また、これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類は単独で使用してもよく、2
種以上併用してもよい。
【0275】
本発明の組成物には、上記のシラン化合物を使用することができる。シラン化合物は、
リードとの密着性向上に寄与し、パッケージとリードの界面からの水分の浸入の防止に効
果的である。これを例示すると、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン
、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキ
シシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等が挙げられ、中でも特にジメチルジメトキ
シシランが好ましい。
【0276】
(熱硬化性樹脂の硬化物)
熱硬化樹脂は樹脂を硬化させたものを、粉砕して粒子状態で混合してもよい。熱硬化性
樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の
下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあ
ってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物
の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下
であることが好ましい。
【0277】
(熱可塑性樹脂)
本発明の組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも
可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチル
メタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、
ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化
成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレート
と他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレ
ート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチル
シクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹
脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビ
ニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重
合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学
社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)
、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社
製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタ
ル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステ
ル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂
、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン
樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴ
ム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
【0278】
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるい
は/およびSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという
点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/および
SiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0279】
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基とし
ては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネー
ト基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が
高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有している
ことが好ましい。
【0280】
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、(A)成分や(B)成分との相溶
性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが
好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となり
やすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、10
0000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合
物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下
であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさら
に好ましい。
【0281】
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成
物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組
成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化
物が脆くなりやすいし、多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなりやすい。
【0282】
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いて
もよい。
【0283】
熱可塑性樹脂は(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混
合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して
分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(
A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好まし
い。この場合も、熱可塑性樹脂を(A)成分あるいは/および(B)成分に直接溶解させ
てもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状
態あるいは/および混合状態としてもよい。
【0284】
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平
均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系
の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬
化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が
10%以下であることが好ましい。
【0285】
(老化防止剤)
本発明の組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフ
ェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止
剤等が挙げられる。
【0286】
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から
入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
【0287】
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボ
ン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスル
フィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化
合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチ
オ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
【0288】
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0289】
(ラジカル禁止剤)
本発明の組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
【0290】
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0291】
(紫外線吸収剤)
本発明の組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
【0292】
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0293】
(溶剤)
本発明の組成物は溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
【0294】
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルム
が好ましい。
【0295】
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用
量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ない
と、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料
に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利
用価値が低下する。
【0296】
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもで
きる。
【0297】
(発光ダイオードのための添加剤)
さらに、本発明の組成物には必要に応じて、種々の発光ダイオード特性改善のための添
加剤を添加してもよい。添加剤としては例えば、発光素子からの光を吸収してより長波長
の蛍光を出す、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体
等の蛍光体や、特定の波長を吸収するブルーイング剤等の着色剤、光を拡散させるための
酸化チタン、酸化アルミニウム、メラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミ
ン樹脂等のような拡散材、アルミノシリケート等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化
ボロン等の金属窒化物等の熱伝導性充填材等を挙げることができる。
【0298】
発光ダイオード特性改善のための添加剤は均一に含有させても良いし、含有量に傾斜を
付けて含有させてもよい。
【0299】
(離型剤)
本発明の組成物には成形時の離型性を改良するために種々の離型剤を添加してもよい。
【0300】
離型剤としては、従来使用されている各種のものが用いられる。例えば、金属石鹸、ワ
ックス類等が挙げられる。ここでいう金属石鹸とは、一般に長鎖脂肪酸と金属イオンが結
合したものであり、脂肪酸に基づく無極性あるいは低極性の部分と、金属との結合部分に
基づく極性の部分を一分子中に合わせて持っていれば使用できる。長鎖脂肪酸としては、
例えば炭素数1〜18の飽和脂肪酸、炭素数3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン
酸などが挙げられる。これらの中では、入手性が容易であり工業的実現性が高いという点
からは炭素数1〜18の飽和脂肪酸が好ましく、さらに、離型性の効果が高いという点か
らは炭素数6〜18の飽和脂肪酸がより好ましい。金属イオンとしては、アルカリ金属、
アルカリ土類金属の他に亜鉛、コバルト、アルミニウム、ストロンチウム等が挙げられる
。金属石鹸をより具体的に例示すれば、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステア
リン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、オレイン酸リチウム、2−エチルヘキサン酸リチ
ウム、ステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸
ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
リウム、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、オレイン酸カリ
ウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシス
テアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、2−エチ
ルヘキサン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カ
ルシウム、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸カルシ
ウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリ
ウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オレイ
ン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸
鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸マンガン、リシノー
ル酸バリウム、などが例示される。これらの金属石鹸の中では、入手性が容易であり、安
全性が高く工業的実現性が高いという点からステアリン酸金属塩類が好ましく、特に経済
性の点から、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛か
らなる群から選択される1つ以上のものが最も好ましい。
【0301】
この金属石鹸の添加量としては特に制限はないが、好ましい量の下限は組成物全体10
0重量部に対して0.025、より好ましくは0.05重量部であり、好ましい量の上限
は組成物全体100重量部に対して5重量部、より好ましくは4重量部である。添加量多
すぎる場合は硬化物の物性の低下をきたし、少なすぎると金型離型性が得られないことが
ある。
【0302】
ワックス類としては、天然ワックス、合成ワックス、酸化または非酸化のポリオレフィ
ン、ポリエチレンワックス等が例示できる。
【0303】
尚、離型剤を添加しなくても十分な離型性が得られる場合には離型剤は用いない方がよ
い。
【0304】
(その他添加剤)
本発明の組成物には、その他、着色剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化
剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ
性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑
剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤
、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調
整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0305】
(Bステージ化)
本発明の組成物は、各成分および添加剤等の配合物をそのまま用いてもよいし、加熱等
により部分的に反応(Bステージ化)させてから使用してもよい。Bステージ化すること
により粘度調整が可能であり、トランスファー成形性を調整することもできる。また、硬
化収縮をより抑制する効果もある。
【0306】
(組成物性状)
本発明の組成物としては上記したように各種組み合わせのものが使用できるが、トラン
スファー成形などによる成形性が良好であるという点においては、組成物としては150
℃以下の温度で流動性を有するものが好ましい。
【0307】
組成物の硬化性については、任意に設定できるが、成形サイクルが短くできるという点
においては120℃におけるゲル化時間が120秒以内であることが好ましく、60秒以
内であることがより好ましい。また、150℃におけるゲル化時間が60秒以内であるこ
とが好ましく、30秒以内であることがより好ましい。また、100℃におけるゲル化時
間が180秒以内であることが好ましく、120秒以内であることがより好ましい。
【0308】
この場合のゲル化時間は、以下のようにして調べられる。設定温度に調整したホットプ
レート上に厚み50μmのアルミ箔を置き、その上に組成物100mgを置いてゲル化す
るまでの時間を測定してゲル化時間とする。
【0309】
組成物が使用される製造工程において、組成物中へのボイドの発生および組成物からの
アウトガスによる工程上の問題が生じ難いという観点においては、硬化中の重量減少が5
重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1%以下で
あることがさらに好ましい。
【0310】
硬化中の重量減少は以下のように調べられる。熱重量分析装置を用いて封止剤10mg
を室温から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して、減少した重量の初期重量の割
合として求めることができる。
【0311】
また、電子材料等として用いた場合にシリコーン汚染の問題を起こし難いという点にお
いては、この場合の揮発成分中のSi原子の含有量が1%以下であることが好ましい。
【0312】
(硬化物性状)
本発明の白色硬化性樹脂組成物を成形硬化すれば白色の成形体得ることができるが、硬
化して得た白色成形体としては、表面の波長470nmの光線反射率が90%以上である
ことが好ましく、95%以上であることがより好ましく、97%以上であることがさらに
好ましく、99%以上であることが特に好ましい。表面の光線反射率は以下のように測定
することができる。PETフィルムを離型フィルムとして用い、所定の温度条件でプレス
成形にてボイドのない0.5mm厚の成形体を作成する。得られた成形体に必要に応じて
所定の後硬化を実施する。得られた成形体について積分球を設置した分光光度計を用いて
470nmの全反射を測定することにより求めることができる。
【0313】
耐熱性が良好であるという観点からは、組成物を硬化させて得られる硬化物のTgが1
00℃以上となるものが好ましく、150℃以上となるものがより好ましい。
【0314】
この場合、Tgは以下のようにして調べられる。3mmx5mmx30mmの角柱状試
験片を用いて引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温
速度5℃/分の条件にて測定した動的粘弾性測定(アイティー計測制御社製DVA−20
0使用)のtanδのピーク温度をTgとする。
【0315】
また、リードフレーム等にイオンマイグレーション等の問題が生じ難く信頼性が高くな
るという点においては、硬化物からの抽出イオン含有量が10ppm未満であることが好
ましく、5ppm未満であることがより好ましく、1ppm未満であることがさらに好ま
しい。
【0316】
この場合、抽出イオン含有量は以下のようにして調べられる。裁断した硬化物1gを超
純水50mlとともにテフロン製容器(テフロンは登録商標)に入れて密閉し、121℃
、2気圧、20時間の条件で処理する。得られた抽出液をICP質量分析法(横河アナリ
ティカルシステムズ社製HP−4500使用)によって分析し、得られたNaおよびKの
含有量の値を、用いた硬化物中の濃度に換算して求める。一方同じ抽出液をイオンクロマ
ト法(ダイオネクス社製DX−500使用、カラム:AS12−SC)によって分析し、
得られたClおよびBrの含有量の値を、用いた硬化物中の濃度に換算して求める。以上
のように得られたNa、K、Cl、Brの硬化物中の含有量を合計して抽出イオン含有量
とする。
【0317】
硬化物の線膨張係数としては、特に制約はないが、リードフレーム等の金属やセラミッ
ク等との接着性が良好になりやすいという点においては、線膨張係数は100℃において
50ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましい。また
、封止樹脂等の有機材料との接着性が良好になりやすいという点においては、線膨張係数
は100℃において70ppm以上であることが好ましく、100ppm以上であること
がより好ましい。また、硬化時、硬化後、熱試験時にパッケージと封止剤との間に応力が
発生しにくく信頼性が高くなりやすいという点においては、封止剤と近い線膨張係数およ
び線膨張係数の温度依存性を有することが好ましい。
【0318】
(発光ダイオードのパッケージ)
本発明で言う発光ダイオードのパッケージとは、発光ダイオード素子から出た光が照射
されるように設計されたものであり、さらに好ましくは発光ダイオード素子から出た光を
反射させて外部に取出すように設計されたものである。その形状等には特に制約はない。
例えば、発光ダイオード素子を搭載するための凹部を有する形状のものでもよいし、単に
平板状のものであってもよい。本発明の発光ダイオードのパッケージの表面は平滑であっ
てもよいし、エンボス等のような平滑でない表面を有していてもよい。
【0319】
形状についても特定されないが、半導体のパッケージが実質的に金属の片面に樹脂が成
形されている形状を有する場合(MAPタイプ)において特に本発明の効果が得られやす
い。
【0320】
(成形方法)
本発明で言う半導体パッケージの成形方法としては各種の方法が用いられる。例えば、
射出成形、トランスファー成形、RIM成形、キャスティング成形、プレス成形等、熱可
塑性樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に一般に用いられる各種成形方法が用いられる
。これらの内、成形サイクルが短く成形性が良好であるという点においてはトランスファ
ー成形が好ましい。成形条件も任意に設定可能であり、例えば成形温度についても任意で
あるが、硬化が速く成形サイクルが短く成形性が良好になりやすいという点においては1
00℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上の温度が好ま
しい。上記のような各種方法によって成形した後、必要に応じて後硬化(アフターキュア
)することも任意である。後硬化した方が耐熱性が高くなり易い。
【0321】
(発光ダイオード素子)
本発明で言う発光ダイオードの各種の発光ダイオード素子としても、特に限定なく従来
公知の発光ダイオードに用いられる発光ダイオード素子を用いることができる。
【0322】
発光ダイオード素子のサイズ、個数についても特に限定なく用いることができる。
【0323】
発光ダイオード素子の発光出力としては特に限定なく任意のものを用いることができる
が、20mAにおいて1mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果が顕著であり、
20mAにおいて4mW以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、
20mAにおいて5mW以上の発光素子を用いた場合にさらに本発明の効果が顕著である

【0324】
発光ダイオード素子の発光波長は紫外域から赤外域まで種々のものを用いることができ
るが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に特に本発明の効果が顕著
である。
【0325】
用いる発光ダイオード素子は一種類で単色発光させても良いし、複数用いて単色或いは
多色発光させても良い。
【0326】
(リード)
本発明の半導体に用いられるリード端子としては、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましく、リード端子の電気抵抗としては、300μΩ−cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ−cm以下である。これらのリード端子材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅や、これらに金、銀、ニッケル、パラジウム等をメッキしたもの等が挙げられる。これらのリード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
【0327】
(封止剤)
本発明の半導体の封止剤としては各種のものを用いることができ、例えば従来用いられ
るエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等の封止樹脂
を用いることができる。また、特開2002−80733、特開2002−88244で
提案されているような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少な
くとも2個有する脂肪族系有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化
合物、およびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性組成物からなる封止剤を用いてもよく
、この封止剤を用いる方が、パッケージ樹脂との接着性が高いという点、および透明性が
高く本発明のパッケージの耐光性が高いという効果が顕著であるという点において、好ま
しい。
【0328】
一方、樹脂封止を用いず、ガラス等でカバーしてハーメチック封止により封止すること
も可能である。
【0329】
また発光ダイオードや受光素子の場合などにおいてはさらにレンズを適用することも可
能であり、封止剤をレンズ形状に成形してレンズ機能を持たせることも可能である。
【0330】
(発光ダイオードの用途)
本発明の半導体は従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、ロジック
、メモリーなどのLSI、各種センサー、受発光デバイスなどをあげることができる。ま
た、半導体が発光ダイオードの場合も従来公知の各種の用途に用いることができる。具体
的には、例えば液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、
信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙
げることができる。
【実施例】
【0331】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるもの
ではない。
(酸化チタン)
【0332】
【表1】

【0333】
(合成例1)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。このフラスコに
トルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440g
を入れ、120℃のオイルバス中で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート200
g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt
%含有)1.44mlの混合液を50分かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間
加温、攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及び
トルエンを減圧留去した。H−NMRの測定によりこのものは1,3,5,7−テトラ
メチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応し
た以下の構造を有するものであることがわかった。
【0334】
【化47】

【0335】
(合成例2)
2Lオートクレーブにトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラ
シロキサン240gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪
拌した。アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171g及び白金ビニルシロキサ
ン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.049gの混合液を90分かけて
滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて40分反応、H−NMRでアリ
ル基の反応率が95%以上であることを確認した。トリアリルイソシアヌレート17g、
トルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイ
ソシアヌレート66g、トルエン66g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(
白金として3wt%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から
4時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却によ
り反応を終了した。1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応率は
0.8%だった。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトル
エンとアリルグリシジルエーテルの副生物(アリルグリシジルエーテルのビニル基の内転
移物(シス体およびトランス体))が合計5,000ppm以下となるまで減圧留去し、
無色透明の液体を得た。H−NMRの測定によりこのものは1,3,5,7−テトラメ
チルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がアリルグリシジルエーテル及びトリアリ
ルイソシアヌレートと反応したものであり平均的に以下の構造を有するものであることが
わかった。
【0336】
【化48】

【0337】
(a+b=3、c+d=3、e+f=3、a+c+e=3.5、b+d+f=5.5)
(配合例1、2)
表2の内容に従って各成分を配合して組成物AおよびBを調製した。
【0338】
【表2】

【0339】
(実施例1、2および比較例1、2、3)
表3の内容に従って各成分を混合して本発明の白色硬化性樹脂組成物とした。
【0340】
(測定例1)
PETフィルムを離型フィルムとし、内寸法が80mmx50mmであり厚み0.5m
mのステンレス鋼(SUS304)製の長方形型枠を用いて、150℃/5分の条件でプ
レス成形した。作成した長方形板状のプレス成形体をオーブン中で150℃/1時間、1
80℃/0.5時間の条件で後硬化させた。得られた成形体について積分球を設置した分
光光度計(日本分光(株)製、紫外可視分光光度計V−560)を用いて470nmの全
反射を測定した。また、この成形体を180℃の熱風循環オーブンで4時間加熱処理した
後、上記と同様にして470nmの全反射を測定した。以上の結果を表3に示した。
【0341】
【表3】

【0342】
表に示されるとおり、実施例1と比較例1及び3、実施例2と比較例2とを比較するこ
とにより、本発明の硬化性組成物を用いれば、光線反射率が高く、かつ耐熱試験後の光線
反射率も高いことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有
する化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒド
ロシリル化触媒、(D)有機シロキサンにより表面処理された酸化チタン、を必須成分と
して含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂組成物全体に占め
る(D)成分の量が10重量%以上であることを特徴とする白色硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(D)成分の平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載
の白色硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)成分が有機骨格を有することを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の白色硬
化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の白色硬化性樹脂組成物からなる発光ダイオード
のパッケージ用白色硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の白色硬化性樹脂組成物を硬化してなり、表面の
波長470nmの光線反射率が90%以上である成形体。
【請求項6】
請求項4に記載の白色硬化性樹脂組成物を用いて成形したことを特徴とする発光ダイオ
ード用のパッケージ。
【請求項7】
請求項6に記載の発光ダイオード用のパッケージを用いて製造された発光ダイオード。

【公開番号】特開2011−225871(P2011−225871A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81752(P2011−81752)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】