説明

白色硬化性樹脂組成物及びその樹脂組成物の硬化物、並びに当該硬化物を有する反射板

【課題】酸化チタン等の白色顔料の配合により得られる反射率を更に向上させることのできる白色硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】光硬化性成分と、光重合開始剤と、酸化チタンと、発泡剤を含むことを特徴とする白色硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年、照明器具や携帯端末、パソコン、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライト等において、その光源として発光ダイオード(LED)やエレクトロルミネセンス(EL)を使用することが増えている。そして、これらの光源から発せられる光を効率的に利用することを目的として、光反射性を有する反射板が使用されている。この反射板としては、反射板となる基材自体が光反射性を有しているものと、基材に光反射性を有する樹脂組成物を塗布し、これに光を照射等することにより硬化させた硬化物(シート等)を形成することで反射板とするものがある。本発明は、このような光反射性を有する樹脂組成物であって、基材に塗布して反射板を形成するのに用いられる白色樹脂組成物と、当該組成物を硬化させて得られる硬化物と、当該硬化物からなるLEDやEL等の反射板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記反射板の形成に使用される白色樹脂組成物には、光反射性を付与する目的で酸化チタン等の白色顔料を配合することが多い。この場合、樹脂組成物への酸化チタンの配合量を増やせば、当然ながら当該樹脂組成物の反射率は向上する。しかし、このような方法による反射率の向上にも限界があり、逆に、酸化チタンの配合量が一定量を超えると、当該樹脂組成物の反射率は却って低下する。その理由としては、酸化チタン自体の吸収があるためであり、酸化チタンをさらに配合しても、白色樹脂組成物及びこれを用いて形成する硬化物の反射率の向上には限界があった。
【0003】
上記問題を解決する方法として、不活性粒子を0.001〜5重量%含有するポリエステル層(A)と、不活性粒子を5〜40重量%含有させることにより白色化されているかあるいは内部に微細な気泡を有するポリエステル層(B)とを、これらが交互になるように5層以上積層する積層白色ポリエステルフィルムが開示されている(特許文献1参照)。
この積層白色ポリエステルフィルムは、不活性粒子として、例えば酸化チタン等の白色顔料を含有するA層と、白色顔料を含有する若しくは発泡剤等により発生させた微細な気泡を含むB層を複数積層することにより、当該フィルムの反射率を向上させるものである。
しかし、このフィルムを形成するためには、積層未延伸フィルムを製造した後、加熱等を行いながらこれを一定の条件の下で延伸しなければならず、また何層ものポリエステル層を積層する必要があり、形成に時間及びコスト等を要する。更にこのようなフィルムを基材の表面に貼り付けて用いる場合、例えば使用箇所に合わせたフィルムの切断、開孔等が容易ではないという問題がある。特に、当該フィルムを用いて、LED等の発光素子を実装するプリント配線板の基板にパターンを形成するためには、加工等の手間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−137350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題を解消するためになされたものであり、その主たる目的は、酸化チタン等の白色顔料の配合により得られる反射率を更に向上させることのできる塗布可能な液状の白色硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、当該樹脂組成物を用いて形成した硬化物、及び当該硬化物を有する反射板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下のような特徴を有する。
即ち、本発明の特徴の一つは、光硬化性成分と、光重合開始剤と、酸化チタンと、発泡剤を含むことを特徴とする白色硬化性樹脂組成物である。
【0008】
本発明において、上記白色硬化性樹脂組成物は、前記酸化チタンの配合量が当該樹脂組成物に含まれる不揮発成分の配合量に対して40〜80質量%であることが好ましい。
【0009】
また、本発明において、上記白色硬化性樹脂組成物は、前記光硬化性成分が感光性樹脂及び反応性希釈剤の少なくとも一方であることが好ましい。またこの場合、当該反応性希釈剤は、感光性モノマー及び有機溶剤の少なくとも一方であることが好ましい。
【0010】
更に本発明においては、前記発泡剤は熱分解型発泡剤及び白色樹脂組成物に含まれる樹脂成分と反応して気体を放出する化合物の少なくとも一方であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、上記白色硬化性樹脂組成物を基材に塗布してその塗膜を形成し、当該塗膜を光硬化し、当該光硬化した塗膜を加熱することにより当該塗膜に含まれる発泡剤を反応させて形成することを特徴とする白色硬化性樹脂組成物の硬化物である。
【0012】
更に本発明の他の特徴は、上記白色硬化性樹脂組成物を基材に塗布してその塗膜を形成する工程と、当該塗膜を光硬化する工程と、当該光硬化した塗膜を加熱することにより当該塗膜に含まれる発泡剤を反応させる工程からなることを特徴とする白色硬化性樹脂組成物の硬化物の形成方法である。
かかる本発明の白色硬化性樹脂組成物は、先ず光を照射して硬化させる。その後、加熱により、当該樹脂組成物に含まれる発泡剤が熱に反応し、硬化物の中に気泡を発生させる。ここで、当該硬化物に含まれる酸化チタンの光の屈折率と、硬化した光硬化性樹脂の屈折率と、気泡の屈折率の大きさは、以下の不等号で表される。そして、成分の屈折率の差と、反射率は比例する。
酸化チタンの屈折率>硬化した光硬化性樹脂の屈折率>気泡の屈折率
即ち、本発明の白色硬化性樹脂組成物は、発泡剤を含有することにより、硬化物に含まれる成分の屈折率と酸化チタンの屈折率との差を増大させることができ、酸化チタンの配合により得られる反射率を更に向上させることができる。
また、熱により硬化する組成物や、本発明の組成物でも光を照射させて硬化させずに、発泡剤を作用させるために加熱した場合は、発生した気泡は塗膜の外に脱泡されてしまい、反射率を向上させる効果はほとんど生じない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、酸化チタン等の白色顔料の配合により得られる反射率を更に向上させることのできる塗布可能な液状の白色硬化性樹脂組成物を得ることができる。
また、当該樹脂組成物を用いて形成した硬化物、及び当該硬化物を有する反射板を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を詳述する。尚、本発明が当該実施形態に限定されないことはもとよりである。
【0015】
上述のとおり、本発明の白色硬化性樹脂組成物は、これを基材に塗布してその塗膜を形成し、当該塗膜を光硬化し、当該光硬化した塗膜を加熱して当該塗膜に含まれる発泡剤を反応させて形成することにより、気泡を含む硬化物を形成することができる。
【0016】
上記基材としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布又は不繊布エポキシ、ガラス布又は紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた積層板、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等、並びに回路が形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板等を使用することができる。
【0017】
また、本発明の白色硬化性樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法が挙げられる。そして、例えば溶剤等で当該樹脂組成物を塗布方法に適した粘度に調整し、これを上記塗布方法により基材上に塗布し、約60〜100℃の温度で当該樹脂組成物に含まれる溶剤を揮発して乾燥させることにより、塗膜を形成できる。
【0018】
また、上記塗膜の光硬化に用いられる光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を利用することができる。その他、電子線、α線、β線、γ線、X線、中性子線等も利用できる。
【0019】
更に、発泡剤を反応させて気泡を発生させるための加熱方法としては、例えば熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い、乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法や、ノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いることができる。
【0020】
以下、本発明の白色硬化性樹脂組成物について説明する。
【0021】
<光硬化性成分>
本発明の白色硬化性樹脂組成物に用いる光硬化性成分としては、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の作用を受けて分子間架橋により硬化する樹脂が挙げられる。この光硬化性成分としては、感光性樹脂及び反応性希釈剤の少なくとも一方を使用することが好ましい。
【0022】
前記感光性樹脂としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等のエチレン性不飽和結合やプロパルギル基等の感光性基を有する樹脂、例えば側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、不飽和カルボン酸変性エポキシ樹脂等が挙げられる。特に、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有するものであって、以下の(1)〜(4)の少なくとも1つが好ましい。
(1)エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の全エステル化物。
(2)ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エステル化物(1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物。
(3)エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分エステル化物。
(4)ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エステル化物(3)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物。
尚、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタアクリレートを総称する用語であり、他の類似の表現についても同様とする。
【0023】
また、前記反応性希釈剤としては、本発明の白色硬化性樹脂組成物の粘度を調整して作業性を向上させるとともに、架橋密度を上げ、密着性等を有する塗膜を得るために使用する液状感光性化合物が挙げられる。この反応性希釈剤は、感光性モノマー及び有機溶剤の少なくとも一方であることが好ましい。
【0024】
前記感光性モノマーとしては、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物等が使用される。
分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールのジアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物若しくはプロピレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物若しくはプロピレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの多価アクリレート類;及びメラミンアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類等が挙げられる。
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、グリセリンジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類等が挙げられる。
またグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ビスフェノールAグリシジルエーテルジアクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリアクリレート等;その他、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類等が挙げられる。これらの感光性モノマーは、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0025】
また前記有機溶剤としては、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤等を使用することができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。このような有機溶剤は、単独で又は複数種の混合物として用いることができる。
【0026】
<光重合開始剤>
上記光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類; アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1 ,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−1−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−2−メチル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類; 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−{(4−メチルフェニル)メチル}−1−{4−(4-モルフォルニル)フェニル}−1−ブタノン等のアミノアセトフェノン類; 2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類; アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4,4 ’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類又はキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドや、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール系化合物;2,4−ビス( トリクロロメチル)−6−(p−メトキシ−フェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン等のハロメチル−s−トリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−[−4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)9H−カルバゾ−ル−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル等のモノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。このような光重合開始剤は、単独で又は複数種の混合物として用いることができる。
【0027】
<酸化チタン>
本発明の白色硬化性樹脂組成物には、酸化チタンとしてアナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンのどちらも用いることができる。マーキングパターンの光劣化を抑制できる点から、特にルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。アナターゼ型酸化チタンはルチル型酸化チタンと比較して紫外線領域と可視光領域の境界付近の反射率が高いため、白色度と反射率の点では、アナターゼ酸化チタンの方が白色顔料としては望ましい。しかし、アナターゼ型酸化チタンは光触媒活性を有するため、この光活性により光硬化・熱硬化性組成物に含まれる樹脂の変色を引き起こすことがある。これに対して、ルチル型酸化チタンはアナターゼ型酸化チタンと比較して白色度は若干劣るものの、光触媒活性を殆ど有さないため、上記樹脂の劣化を抑えることができ、安定したマーキングパターンを得ることができる。
【0028】
上記ルチル型酸化チタンとしては、具体的には、タイペークR−820、タイペークR−830、タイペークR−930、タイペークR−550、タイペークR−630、タイペークR−670、タイペークR−680、タイペークR−780、タイペークR−850、タイペークCR−50、タイペークCR−57、タイペークCR−80、タイペークCR−90、タイペークCR−93、タイペークCR−95、タイペークCR−97、タイペークCR−60、タイペークCR−63、タイペークCR−67、タイペークCR−58、タイペークCR−85、タイペークUT771(以上、石原産業(株)製)、タイピュアR−100、タイピュアR−101、タイピュアR−102、タイピュアR−103、タイピュアR−104、タイピュアR−105、タイピュアR−108、タイピュアR−900、タイピュアR−902、タイピュアR−960、タイピュアR−706、タイピュアR−931(以上、デュポン(株)製)、TITON R−25、TITON R−21、TITON R−32、TITON R−7E、TITON R−5N、TITON R−61N、TITON R−62N、TITON R−42、TITON R−45M、TITON R−44、TITON R−49S、TITON GTR−100、TITON GTR−300、TITON D−918、TITON TCR−29、TITON TCR−52、TITON FTR−700(以上、堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0029】
また、上記アナターゼ型酸化チタンとしては、TA−100、TA−200、TA−300、TA−400、TA−500(以上、富士チタン工業(株)製)、タイペークA−100、タイペークA−220、タイペークW−10(以上、石原産業(株)製)、TITANIX JA−1、TITANIX JA−3、TITANIX JA−4、TITANIX JA−5(以上、テイカ(株)製)、KRONOS KA−10、KRONOS KA−15、KRONOS KA−20、KRONOS KA−30(以上、チタン工業(株)製)、A−100、A−100、A−100、SA−1、SA−1L(以上、堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0030】
酸化チタンの配合量は、本発明の白色硬化性樹脂組成物に含まれる不揮発成分の配合量に対して40〜80質量%である。当該酸化チタンの配合量が80重量%を超えると、本発明の白色硬化性樹脂組成物の光硬化性が低下し、硬化深度が低くなるので好ましくない。一方、上記酸化チタンの配合量が40質量%未満であると、本発明の白色硬化性樹脂組成物の隠ぺい力が小さくなり、十分な反射率を有する硬化物を得難くなるので好ましくない。
【0031】
<発泡剤>
本発明の白色硬化性樹脂組成物に用いられる発泡剤としては、熱分解型発泡剤や組成物中の樹脂成分と反応して気体を放出する化合物が望ましい。熱分解型発泡剤としては、例えば分解されて炭酸ガスを発生する熱分解型無機発泡剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等)、分解されて窒素ガスを発生する熱分解型発泡剤(アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、アゾビスイソブチロニトリル、p−トルエンスルホニルヒドラジド、5−フェニルテトラゾール、ヒドラゾジカルボンアミド、ビステトラゾールジアンモニウム、ビステトラゾールピペラジン等が挙げられる。これらの市販品としては、セルマイクA、セルマイクCシリーズ(C−1、C−2,C−121、CE、C−22、C−191)、セルマイクSシリーズ(S、SX、SX−H)、セルマイク142、セルマイク266、セルマイク306、セルマイク417、セルマイク494、セルマイク496、(三協化成株式会社製)ビニホールシリーズ(AC#K3、AC#R、AC#3、AC−2F、AC#93、AC#23−K2、AC#3C−K2、FE−905、ST#78、S−326、AC#LQ、FE−512、AC#3/セルペースト101、ST#70、AC#911、DW#6、AC#99、SE#30、FE−788)、セルラーシリーズ(DKW、D、L−70、L−80、L−85、GX−N、GX、CK#54)、ネオセルボンシリーズ(N#7000、N#1000S、N#5000、N#1000N、N#1000SW、N#5000W、SB#51N#1000M/セルペースト101)、エクセラーシリーズ(S−537、PC#3、Q#25(E)、Q#25、AK#2)、スパンセルシリーズ(S−619、#81、DS#25、ZA#72、発泡剤KS、SZ#44)、セルボンシリーズ(FE−507、FE−507R、SC−855、SC−P、SC−K、SC−850、SC−53、SC−495、SC−810)、セルテトラシリーズ(BHT−2NH、BHT−PIPE、P5T)、(永和化成工業)が挙げられる。また、白色樹脂組成物に含まれる樹脂成分と反応して気体を放出する化合物としては、イソシアネート化合物等が挙げられる。例えばイソシアネート化合物は組成物中のカルボキシル基と反応させると炭酸ガスを発生する。これらの発泡剤は、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。また発泡剤の配合量は、全組成物に対して0.05〜5質量部であることが好ましい。より好ましい配合量の範囲は、全組成物に対して0.1〜3質量部である。
【0032】
本発明の白色硬化性樹脂組成物は、その硬化物に耐熱性が要求される場合、硬化物に耐熱性を付与する目的でエポキシ化合物を配合することができる。エポキシ化合物としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業(株)製のTEPIC−H(S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体)や、TEPIC(β体と、S−トリアジン環骨格面に対し1個のエポキシ基が他の2個のエポキシ基と異なる方向に結合した構造をもつα体との混合物)等)等の複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂等の希釈剤に難溶性のエポキシ樹脂や、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂等の希釈剤に可溶性のエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0033】
また前記エポキシ化合物を本発明の白色硬化性樹脂組成物に配合する場合、硬化物の熱劣化による変色を少なくする目的で酸化防止剤を併せて配合することができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物が好ましいが、これに限定されるものではない。ヒンダードフェノール系化合物としては、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業(株)製);MARK AO−30、MARK AO−40、MARK AO−50、MARK AO−60、MARK AO−616、MARK AO−635、MARK AO−658、MARK AO−15、MARK AO−18、MARK 328、MARK AO−37(以上いずれも(株)ADEKA製);イルガノックス245、イルガノックス259、イルガノックス565、イルガノックス1010、イルガノックス1035、イルガノックス1076、イルガノックス1081、イルガノックス1098、イルガノックス1222、イルガノックス1330、イルガノックス1425WL(以上いずれもBASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0034】
前記酸化防止剤を本発明の白色硬化性樹脂組成物に配合する場合、その配合量は、光硬化性成分とエポキシ樹脂等の熱硬化成分の合計100質量部に対して好ましくは0.4〜25質量部、より好ましくは0.8〜15質量部である。当該酸化防止剤の配合量が0.4質量部未満の場合、硬化物の熱劣化による変色防止効果が少ない。
【0035】
また、本発明の白色硬化性樹脂組成物には、硬化触媒を配合することができる。この熱硬化触媒としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。市販されている熱硬化触媒としては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。
【0036】
更に、本発明の白色硬化性樹脂組成物には、前記酸化チタンの分散性、沈降性の改善を目的として、分散剤を配合することができる。分散剤としては、ANTI−TERRA−U、ANTI−TERRA−U100、ANTI−TERRA−204、ANTI−TERRA−205、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−108、DISPERBYK−109、DISPERBYK−110、DISPERBYK−111、DISPERBYK−112、DISPERBYK−116、DISPERBYK−130、DISPERBYK−140、DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−180、DISPERBYK−182、DISPERBYK−183、DISPERBYK−185、DISPERBYK−184、DISPERBYK−2000、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2009、DISPERBYK−2020、DISPERBYK−2025、DISPERBYK−2050、DISPERBYK−2070、DISPERBYK−2096、DISPERBYK−2150、BYK−P104、BYK−P104S、BYK−P105、BYK−9076、BYK−9077、BYK−220S(ビックケミー・ジャパン(株)製)、ディスパロン2150、ディスパロン1210、ディスパロンKS−860、ディスパロンKS−873N、ディスパロン7004、ディスパロン1830、ディスパロン1860、ディスパロン1850、ディスパロンDA−400N、ディスパロンPW−36、ディスパロンDA−703−50(楠本化成(株)製)、フローレンG−450、フローレンG−600、フローレンG−820、フローレンG−700、フローレンDOPA−44、フローレンDOPA−17(共栄社化学(株)製)等が挙げられる。
【0037】
上記目的を達成するため、分散剤の配合量は、酸化チタン100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部とするのがよい。
【0038】
更に、本発明の白色硬化性樹脂組成物には、その硬化物の光劣化の減少を目的としてヒンダードアミン系光安定剤を配合することができる。
【0039】
このヒンダードアミン系光安定剤としては、チヌビン622LD、チヌビン144;CHIMASSORB 944LD、CHIMASSORB 119FL(以上いずれもBASFジャパン(株)製);MARK LA−57、LA−62、LA−67、LA−63、LA−68(以上いずれも(株)ADEKA製);サノールLS−770、LS−765、LS−292、LS−2626、LS−1114、LS−744(以上いずれも三共ライフテック(株)製)等が挙げられる。
【0040】
当該ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、光硬化性成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0041】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、チオキサントン系等の光重合増感剤、重合禁止剤、増粘剤、レベリング剤、カップリング剤、難燃助剤等を配合することができる。
【0042】
以下に、本発明の白色硬化性樹脂組成物の使用例として、当該樹脂組成物を用いて製造する反射板について説明する。
【0043】
光硬化性成分と、光重合開始剤と、酸化チタンと、発泡剤を含む本発明の白色硬化性樹脂組成物を塗布方法に適した粘度に調整する。
【0044】
次に、粘度調整した上記樹脂組成物を、基材に、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、又はロールコート法等の方法により塗布する。その後、基材に塗布した上記樹脂組成物に含まれる有機溶剤を70〜90℃の温度で揮発乾燥させて、塗膜を形成する。
【0045】
その後、上記塗膜に対して高圧水銀灯等によりUV照射を行い、これを光硬化させる。そして、当該光硬化した塗膜を熱風循環乾燥炉により100〜200℃の温度で加熱して当該塗膜に含まれる発泡剤を反応させて気泡を含む硬化物を形成することにより、本発明の反射板を製造することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、以下において特に断りのない限り、「部」は質量部を意味する。
【0047】
組成物例1〜7ついて、表1に示す割合にて各成分を配合して攪拌し、これを3本ロールミルにて分散して各組成物を得た。
【0048】
【表1】

<光硬化性成分>
Z250:カルボキシル基含有アクリレート(ダイセル・サイテック(株)製)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
<光重合開始剤>
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
<酸化チタン>
CR−95:酸化チタン(石原産業製)
<発泡剤>
NaHCO:重曹(炭酸水素ナトリウム)
21S−75E:ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ(株)製)
SZ#44:スパンセルSZ#44(永和化成工業(株)製)
<酸化防止剤>
1010:イルガノックス1010(BASFジャパン(株)製)
<有機溶剤>
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0049】
組成物例1〜7の各組成物について、150mm×75mmのガラス板にスクリーン印刷にて膜厚が20μmになるように塗布した。その後、これを乾燥させて塗膜を形成し、積分球装置(JASCO社製V−670 ILN−725型)を用いて420nmにおける当該塗膜の反射率を測定した。この測定値を初期値とした。そしてその後、上記塗膜を熱風循環式乾燥炉で150℃で60分間加熱して各組成物の硬化物を形成した。当該加熱後の硬化物の反射率を初期値の測定と同様の条件で測定した。初期値と加熱後の測定における数値をそれぞれ表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
表2に示すとおり、発泡剤を含む組成物例1〜3、5〜7についても、加熱により発泡剤を発泡させても発泡した気泡が加熱中に塗膜中から脱泡してしまうため、初期値と加熱後の反射率の測定値にはほぼ変化が見られなかった。
【0052】
次に、組成物例1〜7の各組成物について、150mm×75mmのガラス板にスクリーン印刷にて膜厚が20μmになるように塗布した。その後、これを乾燥させて塗膜を形成し、積分球装置(JASCO社製V−670 ILN−725型)を用いて420nmにおける塗膜の反射率を測定した。この測定値を初期値とした。そしてその後、メタルハライドランプを用いて500mJ/cmの積算光量で当該塗膜に光照射し、次いで、光照射後の塗膜を熱風循環式乾燥炉により170℃で10分間加熱して各組成物の硬化物を形成した。当該加熱後の硬化物の反射率を初期値の測定と同様の条件で測定した。初期値と加熱後の測定における数値をそれぞれ表3に示す。
【0053】
【表3】

【0054】
表3に示すとおり、光重合開始剤を含み光硬化組成物と発泡剤を含む組成物例1〜3について、塗膜に光照射を行うことでこれを光硬化し、次いで光硬化後の塗膜を加熱して発泡剤を発泡させることで、発泡した気泡が塗膜中から脱泡するのを防ぎ、加熱後の反射率を大きく向上させることができた。一方で、酸化チタンを組成物例1よりも多く配合した組成物例4は、発泡剤を含まないことから塗膜に気泡が発生していない。よってその加熱後の反射率は初期値とほぼ変わらず、更に組成物例4の加熱後の反射率は組成物例1の加熱後の反射率よりもその値が小さいことがわかる。つまり、発泡剤を配合した組成物を光硬化及び加熱することにより、発泡剤から発砲した気泡を含むようにした硬化物は、酸化チタンを大幅に増量して形成した硬化物よりもその反射率を向上させることができる。また組成物例5、6は、硬化物が発泡剤から発泡した気泡を含むために加熱後の反射率は初期値より向上するものの、酸化チタンを配合していないことから、高い数値の反射率は得られなく、組成物例7は光重合開始剤を含まないために、光照射により塗膜が硬化せず発泡剤から発泡された気泡が塗膜から脱泡されたため、気泡の発生による効果が得られていない。
【0055】
以上から、本発明の白色硬化性樹脂組成物は、当該樹脂組成物を用いて形成した硬化物について、酸化チタンの配合により得られる反射率を更に向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性成分と、光重合開始剤と、酸化チタンと、発泡剤を含むことを特徴とする白色硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の白色硬化性樹脂組成物であって、前記酸化チタンの配合量が当該樹脂組成物に含まれる不揮発成分の配合量に対して40〜80質量%であることを特徴とする白色硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記光硬化性成分が感光性樹脂及び反応性希釈剤の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白色硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記反応性希釈剤が感光性モノマー及び有機溶剤の少なくとも一方であることを特徴とする請求項3に記載の白色硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記発泡剤が熱分解型発泡剤及び白色樹脂組成物に含まれる樹脂成分と反応して気体を放出する化合物の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の白色硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の白色硬化性樹脂組成物を基材に塗布してその塗膜を形成し、当該塗膜を光硬化し、当該光硬化した塗膜を加熱することにより当該塗膜に含まれる発泡剤を反応させて形成することを特徴とする白色硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれに記載の白色硬化性樹脂組成物を基材に塗布してその塗膜を形成する工程と、
当該塗膜を光硬化する工程と、
当該光硬化した塗膜を加熱することにより当該塗膜に含まれる発泡剤を反応させる工程からなることを特徴とする白色硬化性樹脂組成物の硬化物の形成方法。

【公開番号】特開2012−214557(P2012−214557A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79337(P2011−79337)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591021305)太陽ホールディングス株式会社 (327)
【Fターム(参考)】