説明

白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材

【課題】優れた反射性を実現することができ、しかも耐熱性と、良好な製膜安定性、特に製品外観を損ねたり、延伸製膜時の破断トラブルの発生を防ぐことができる白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材を提供すること。
【解決手段】シクロオレフィン系樹脂を含有してなり、その内部に微細な空洞を有する樹脂層Aの少なくとも片面に、シクロオレフィン系樹脂を含有してなる樹脂層Bが積層された2層以上の構成を備え、前記樹脂層Aの空隙率が、樹脂層Bのそれよりも大きいことを特徴とする白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板などの構成部材として好適に使用することができる白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置をはじめ、照明器具、照明看板など、多くの分野で反射材が使用されている。最近では、特に液晶表示装置の分野において装置の大型化及び表示性能の高度化が進み、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させることが求められ、そのために反射材に対して、より一層優れた光反射性(単に「反射性」ともいう)が求められるようになってきている。
【0003】
フィルムに反射性を発現させる方法としては、フィルム構成樹脂にこれと非相溶な熱可塑性樹脂を混合することにより、フィルム中に微細な空洞を形成する方法のほか、フィルムに白色顔料を含有させる方法が知られている。(特許文献1参照)
【0004】
さらに、近年LEDなどの高温発熱を伴う光源を備えた液晶表示装置、照明器具、及び照明看板などが使用されており、そのために反射材にはより一層優れた耐熱性も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3617535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載のフィルムのように、白色顔料を多量に含有するケースでは、生産工程で白色顔料が押出機やTダイ等の口金内壁面に付着して凝集堆積し、この堆積物が間欠的に溶融樹脂組成物と共に押し出されて「プレートアウト現象」を起こしたり、口金リップに付着、堆積して「メヤニ」を発生する。このメヤニは、フィルム表面のブツとなって製品外観を損ねたり、延伸製膜時には破断の起点となって破断トラブルを発生させる原因となる。
【0007】
そこで本発明は、優れた反射性を実現することができ、しかも耐熱性と製膜安定性に優れた白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、シクロオレフィン系樹脂を含有してなり、その内部に微細な空洞を有する樹脂層Aの少なくとも片面に、シクロオレフィン系樹脂を含有してなる樹脂層Bが積層された2層以上の構成を備え、前記樹脂層Aの空隙率が、樹脂層Bのそれよりも大きいことを特徴とする白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、第1の本発明は、シクロオレフィン系樹脂を含有してなり、その内部に微細な空洞を有する樹脂層Aの少なくとも片面に、シクロオレフィン系樹脂を含有してなる樹脂層Bが積層された2層以上の構成を備え、前記樹脂層Aの空隙率が、樹脂層Bのそれよりも大きいことを特徴とする白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材である。
【0010】
第1の本発明において、前記樹脂層Aの空隙率は、5%以上70%以下であることが好ましい。
【0011】
また、第1の本発明において、前記樹脂層Aは、シクロオレフィン系樹脂と、有機充填材及び/又は無機充填剤とを主たる構成成分とする樹脂組成物からなることが好ましい。このような樹脂組成物を用いれば、シクロオレフィン系樹脂と有機充填剤及び/又は無機充填剤との屈折率差による屈折散乱のほか、シクロオレフィン系樹脂と有機充填剤及び/又は無機充填剤の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに有機充填剤及び/又は無機充填剤の周囲に形成される空洞と有機充填剤及び/又は無機充填剤との屈折率差による屈折散乱などから光反射性を得ることができるので、薄肉でも優れた反射性を得ることができる。また、前記樹脂組成物に含有される有機充填剤は、シクロオレフィン系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂であることが好ましく、さらに樹脂組成物は、相溶化剤として、少なくとも変性スチレン系樹脂を含有してなることが好ましい。また前記樹脂組成物に含有される無機充填剤は、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、前記有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量は、樹脂層Aの全体質量に対して10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
【0012】
さらに、第1の本発明において、樹脂層Bは、シクロオレフィン系樹脂と、有機充填材及び/又は無機充填剤と含有してなり、これら充填剤の含有量が樹脂層Aのそれよりも少ない樹脂組成物からなることが好ましい。
【0013】
また、第1の本発明において、反射材の少なくとも片面は、波長615nm、545nm、440nmの光に対して、それぞれ93%以上、95%以上、97%以上の光反射率を有することが好ましい。
【0014】
第2の本発明は、液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板の構成部材として使用される白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材である。
【0015】
第3の本発明は、第1又は第2の本発明の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材を、金属板又は樹脂板に積層してなる構成を備えた反射板である。
【0016】
第3の本発明において、液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板の構成部材として使用されることが好ましい。
【0017】
ここで、反射材のとり得る形態としては、特に限定されるものではないが、フィルム状、あるいはシート状であることが好ましい。
なお、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内部に微細な空洞を有する樹脂層Aの少なくとも片面に、樹脂層Aよりも空隙率の低い任意の空洞を有した樹脂層B(空隙率が0%であってもよい)を積層させた構成とすることによって、優れた反射性を実現することができ、しかも耐熱性と製膜安定性にも優れた白色シクロオレフィン系樹脂反射板を提供することができ、この白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材は、例えば、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の構成部材として好適に利用することができる。また、白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材を、金属板や樹脂板に積層(ラミネート)して反射板とすることでも、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の構成部材として好適に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例として、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の構成部材として使用される反射材及び反射板について説明する。
【0020】
本明細書において「主たる構成成分(以下「主成分」という」と表現した場合、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるのが通常である。
また、本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
【0021】
<白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材>
第1の本発明である白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材としては、シクロオレフィン系樹脂を含有してなり、その内部に微細な空洞を有する樹脂層Aの少なくとも片面に、シクロオレフィン系樹脂を含有してなる樹脂層Bが積層された2層以上の構成を備え、前記樹脂層Aの空隙率が、樹脂層Bのそれよりも大きいものであれば、特に制限されるものではなく、樹脂層Aの空隙率を樹脂層Bのそれよりも大きくすることによって、製膜安定性良く、高い反射性を備える反射材とすることが可能となる。
【0022】
(空隙率)
樹脂層Aの空隙率は、すなわち樹脂層A内部に占める空洞の体積部分の割合は、樹脂層Bのそれよりも大きいことを要するが、5%以上70%以下の範囲であることが好ましく、10%以上60%以下であることがより好ましい。樹脂層Aの空隙率が5%以上であれば十分に反射性能を高めることができ、また空隙率が70%以下であれば、反射材の機械的強度が確保され、例えばフィルム状反射材の製造中にフィルムが破断したり、使用時に耐熱性等の特性が不足したりすることがない。
なお、例えばフィルム状の反射材内部に、フィルムを延伸して空洞を含有させる場合の空隙率は、下記式に代入して求めることができる。
空隙率(%)={(延伸前のフィルムの密度−延伸後のフィルムの密度)/延伸前のフィルムの密度}×100
【0023】
樹脂層A及び/又はBの内部の空洞は、例えば、樹脂組成物を溶融しフィルム状に製膜した後、これを延伸することにより形成することができる。これは、延伸した時にベース樹脂と有機充填剤及び/又は無機充填剤との延伸挙動が異なるからである。すなわち、ベース樹脂に適した延伸温度で延伸を行えば、マトリックスとなるベース樹脂は延伸されるが、有機充填剤及び/又は無機充填剤はそのままの状態でとどまろうとするため、ベース樹脂と各充填剤との界面が剥離して、空洞が形成される。従って、各充填剤の種類と量、並びに延伸倍率などを調整することによって、樹脂層A及び/又はBの内部の空隙率を制御することができる。また、樹脂層A及び/又はBを形成する樹脂組成物に、発泡剤を添加して発泡させることによっても樹脂層A及び/又はBの内部に空洞を形成することができるので、この場合は、発泡剤の種類と量などを調整することによって、樹脂層A及び/又はBの内部の空隙率を制御することができる。
【0024】
(シクロオレフィン系樹脂)
樹脂層A及びBは、シクロオレフィン系樹脂を含有してなるが、このシクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンホモポリマー、シクロオレフィンコポリマーのいずれをも包含するものとする。
シクロオレフィン系樹脂とは、主鎖が炭素−炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物である。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(シクロオレフィン)を単量体として用いることで導入される。
シクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィンの付加(共)重合体又はその水素添加物(1)、シクロオレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物(2)、シクロオレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物(3)に分類される。
【0025】
シクロオレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン;シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の1環のシクロオレフィン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環のシクロオレフィン;
【0026】
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環のシクロオレフィン;
【0027】
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環のシクロオレフィン;
【0028】
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン; ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体などの多環のシクロオレフィンが挙げられる。これらのシクロオレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0029】
シクロオレフィンと共重合可能なα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜8のエチレン又はα−オレフインなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
シクロオレフィン又はシクロオレフィンとα−オレフィンとの重合方法及び得られた重合体の水素添加方法に、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0031】
本発明においては、シクロオレフィン系樹脂として市販製品を用いることができる。特に限定されるものではないが、例えば日本ゼオン社製の「ゼオノア(登録商標)」(化学名;環状オレフィンの開環重合体の水素添加物)、三井化学社製の「アペル(登録商標)」(エチレンとテトラシクロドデセンの付加共重合体)やポリプラスチックス社製の「TOPAS(登録商標)」(エチレンとノルボルネンの付加共重合体)等が挙げられる。この中でも、日本ゼオン社製の「ゼオノア(登録商標)」(化学名;環状オレフィンの開環重合体の水素添加物)及び/又はポリプラスチックス社製の「TOPAS(登録商標)」(エチレンとノルボルネンの付加共重合体)を用いると、高い反射性能を有する反射材が得られるので特に好ましい。
【0032】
(樹脂層Aの有機充填剤)
樹脂層Aに用いることのできる有機充填剤としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等の熱架橋性樹脂粉末や、シクロオレフィン系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂(以下非相溶樹脂という)から選ばれた少なくとも一種を挙げることができるが、少なくとも非相溶樹脂を含む有機充填剤を用いるのが好ましい。ここで非相溶樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、中でもポリカーボネート系樹脂が好ましい。
また2種類以上の非相溶樹脂を併用してもよい。
【0033】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂を挙げることができるが、特に定めるものではなく、広く公知のものを採用できる。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂としては、二価フェノールと、ホスゲン、炭酸エステル化合物等のカーボネート前駆体とを反応させることによって製造するものが挙げられる。例えば、塩化メチレン等の溶媒中において、二価フェノールとホスゲン等のカーボネート前駆体との反応により、あるいは溶媒の存在下又は不存在下、二価フェノールと炭酸エステル化合物等のカーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって得ることができる。
【0034】
二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、好ましくは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、特にビスフェノールAが挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、又はハロホルメート等が挙げられ、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価のフェノールのジハロホルメート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0035】
なお、樹脂層Aに用いる芳香族ポリカーボネート系樹脂は、前記二価フェノールの1種を用いたホモポリマーであってもよく、また2種以上を用いたコポリマーであってもよい。さらに、多官能性芳香族化合物を前記二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。さらには、各種のポリカーボネート樹脂の2種以上の混合物であってもよい。
【0036】
ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、ベース樹脂への分散性を考慮すると、MFR(温度:300℃、荷重:1.20kgf)が、20〜80g/10min程度、特に30〜70g/10minであるのが好ましい。
なお、本発明において、MFRは、ISO−1133に規定される方法に基づいて測定したものである。ただし、測定は、かっこ内に示した各条件で測定することを意味している。
ポリカーボネート系樹脂のMFRが小さ過ぎると、ベース樹脂に分散したときの粒径が粗くなってしまい、延伸成形性を低下させるので好ましくない。一方、ポリカーボネート系樹脂のMFRが大き過ぎると、溶融成形による反射材の作製が不安定になる恐れがある。
【0037】
樹脂層Aにおいて、シクロオレフィン系樹脂からなる母相(マトリックス)内部に、非相溶樹脂が分散相として散在した状態になり、その際、当該分散相の平均径が、0.1μm〜5μmの範囲であるのが好ましく、特に0.5μm〜3μmの範囲であるのがさらに好ましい。
分散相の大きさが0.1μm以上であれば、延伸により反射材内部に形成される空洞の大きさが可視光領域の光を反射するのに十分なものとなる。また、分散相の大きさが5μm以下であれば、延伸により形成される空洞とシクロオレフィン系樹脂との界面の面積を充分に確保できるので、本反射材に高反射性を付与することができるので好ましい。さらに、分散相の大きさが5μm以下であれば、その周囲に形成される空洞が緻密になり、機械的強度とともに延伸成形性が向上するので好ましい。
分散相の大きさは、樹脂組成物Aを溶融製膜する際の押出機の押出温度や押出機のスクリュー回転数を調整することによっても制御することができるほか、相溶化剤の種類と量により制御することができる。
【0038】
有機充填剤の含有割合は、反射材の光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、樹脂層A全体の質量に対して1〜30質量%であるのが好ましく、3〜15質量%であるのがさらに好ましい。有機充填剤の含有割合が1質量%以上であれば、光反射性と耐熱性を同時に実現することができて好ましい。また、有機充填剤の含有割合が30質量%以下であれば、反射材に優れた延伸成形性を確保することができる。
【0039】
(樹脂層Aの相溶化剤)
樹脂層Aに用いることのできる相溶化剤としては、少なくとも変性スチレン系樹脂を含有してなるものが好ましく、例えばスチレン系樹脂と共役ジエン系炭化水素との共重合体、及びこれら共重合体の水素添加物、又はこれらに極性基を導入した共重合体を挙げることができる。
スチレン系樹脂としては、α−メチルスチレン等のスチレン系同族体等も用いることができる。また共役ジエン系炭化水素としては、1,3−ブタジエン、1,4−ブタジエン、1,2−イソプレン、1,4−イソプレン、1,3−ペンタジエン等が用いられ、これらは水素添加誘導体であってもよい。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。スチレン系樹脂−共役ジエン系炭化水素共重合体は、上記例示した各々の共重合体を単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記スチレン系樹脂と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体に極性基を導入したものとしては、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPS等が代表的に挙げられる。これらの共重合体は、各々単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
本発明においては、少なくとも変性スチレン系樹脂を含有してなる相溶化剤として市販製品を用いることができる。特に限定されるものではないが、旭化成ケミカル社製の「タフプレン(登録商標)」(スチレン−ブタジエンブロック共重合体)、旭化成ケミカル社製の「タフテックH(登録商標)」(スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導体)、クレイトンジャパン社製の「クレイトンG(登録商標)」(スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導体)、JSR社製の「ダイナロン(登録商標)」(スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加誘導体)、クラレ社製の「セプトン(登録商標)」(スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加誘導体)、クラレ社製の「ハイブラー(登録商標)」(スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体エラストマー)、等が挙げられる。
【0041】
相溶化剤の含有量は、反射材の光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、樹脂層A全体の質量に対して0.5〜10質量%であるのが好ましく、1〜5質量%であるのがさらに好ましい。相溶化剤の含有割合が0.1質量%以上であれば、非相溶樹脂の分散相の大きさを適度に制御するのに効果的であり、製膜時にブツ・メヤニの発生を抑制したり、延伸時の破断を防止したりするのに好ましい。また、相溶化剤の含有割合が10質量%以下であれば、本反射材に優れた光反射性を付与することができる。また、押出、製膜工程全般にわたって悪影響を及ぼさないので好ましい。
【0042】
(樹脂層Aの無機充填剤)
樹脂層Aに用いることのできる無機充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも一種を挙げることができ、中でも炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム及び酸化チタンの群より選ばれる1種又は2種以上の組合せからなる混合物が好ましい。
得られる反射材の光反射性を勘案すれば、ベース樹脂との屈折率差が大きいものが好ましい。すなわち、無機充填剤としては屈折率が大きいもの、基準としては1.6以上のものが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛又は酸化チタンを用いることが好ましく、中でも屈折率が高い酸化チタンが特に好ましい。但し、長期耐久性を勘案すると、酸やアルカリに対して安定な硫酸バリウムも特に好ましいものである。
【0043】
酸化チタンは、他の無機充填剤に比べて屈折率が顕著に高く、ベース樹脂との屈折率差を顕著に大きくすることができるため、他の充填剤を使用した場合よりも少ない配合量で優れた反射性を得ることができる。また酸化チタンを用いることにより、反射材の厚みを薄くしても高い光反射性を得ることができる。
従って、少なくとも酸化チタンを含む充填剤を用いるのが好ましく、この場合、酸化チタンの量は、有機充填剤及び/又は無機充填剤の合計質量の30%以上とするのが好ましい。
【0044】
樹脂層Aに用いる酸化チタンとしては、アナターゼ型やルチル型のような結晶型の酸化チタンが好ましく、その中でもベース樹脂との屈折率差が大きいという観点から、屈折率が2.7以上の酸化チタンが好ましい。この点で、ルチル型酸化チタンが好ましい。
【0045】
また、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いるのが特に好ましい。ここで、高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタン、すなわち、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ない酸化チタンの意である。
【0046】
高純度酸化チタンとしては、例えば塩素法プロセスにより製造されるものを挙げることができる。
塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、先ず四塩化チタンを生成させ、次いでこの四塩化チタンを酸素で燃焼させることにより、高純度酸化チタンを得ることができる。
酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
【0047】
樹脂層Aに用いる酸化チタンとしては、不活性無機酸化物から形成された不活性無機酸化物層を表面に備えたものが好ましい。酸化チタンの表面を不活性無機酸化物で被覆処理することにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、酸化チタンの光触媒作用によって反射材が劣化するのを防ぐことができる。
不活性無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類を用いるのが好ましい。これらの不活性無機酸化物を用いれば、酸化チタンを用いた場合に発揮する高い光反射性を損なうことなく反射材の耐光性を高めることができる。また、2種類以上の不活性無機酸化物を併用することがさらに好ましく、中でもシリカを必須とする組み合わせが特に好ましい。
【0048】
不活性無機酸化物層は、酸化チタン全体質量の0.5〜7質量%、特に1〜5質量%を占めるのが好ましい。不活性無機酸化物層が0.5質量%以上であれば、高い反射性を維持するのが容易となるので好ましい。また不活性無機酸化物層が5質量%以下であれば、シクロオレフィン系樹脂への分散性が良好となり、均質な反射材が得られるので好ましい。なお不活性無機酸化物層が酸化チタン全体質量に占める割合は、表面処理後の酸化チタンの全質量中に占める、表面処理に使用した不活性無機酸化物の全質量の割合(百分率で示す)で求められる。
【0049】
さらに、無機充填剤、特に酸化チタンは、ベース樹脂への分散性を向上させるために、有機化合物から形成された有機化合物層を表面に備えているものが好ましい。
当該有機化合物層は、例えば、シロキサン化合物、シランカップリング剤、多価アルコール、チタンカップリング剤、アルカノールアミン又はその誘導体、及び高級脂肪酸又はその金属塩等の有機化合物などで、酸化チタンの表面或いは上記不活性無機酸化物層の表面を被覆処理するようにして形成することができる。特にシロキサン化合物、多価アルコール、及びシランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の有機化合物で被覆処理表するのが好ましい。これら2種類以上の化合物を組合せて使用してもよい。これらの有機化合物は、酸化チタン表面の水酸基と物理的吸着又は化学的に反応することにより、酸化チタンの疎水性、分散性及び樹脂との親和性を向上させることができる。
【0050】
有機化合物層は、酸化チタン全体質量の0.01〜5質量%、特に0.05〜3質量%、中でも特に0.1〜2質量%を占めるのが好ましい。
有機化合物層が酸化チタン全体の0.01質量%以上を占めれば、酸化チタンの水分吸着を防いで酸化チタン粒子の凝集を妨げることができるので、酸化チタンの分散性を向上させることができる。酸化チタンの分散性が向上すれば、ベース樹脂と酸化チタンとの界面の面積が充分に確保されるので、フィルムに高い光反射性を付与することができる。一方、有機化合物層が酸化チタン全体の5質量%以下であれば、酸化チタン粒子の滑性が適切になり、安定した押出し及び製膜が可能になる。
有機化合物層が酸化チタン全体質量に占める割合は、表面処理後の酸化チタンの全質量中に占める、表面処理に使用した有機化合物の全質量の割合(百分率で示す)で求められる。
【0051】
なお、酸化チタン以外の無機充填剤を用いる場合には、この無機充填剤は、ベース樹脂への分散性を向上させるために、無機充填剤の表面が、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理が施されたものを使用するのが好ましい。
【0052】
無機充填剤の粒径は、0.05μm〜15μmであるのが好ましく、より好ましくは0.1μm〜10μm、中でも0.3μm〜10μmがより好ましい。無機充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、ベース樹脂への分散性が良好で、均質な反射材を得ることができる。さらに、0.3μm以上であれば、反射材の粗表面化に伴い光散乱反射が生じて、得られる反射材の反射指向性が小さくなり好ましい。また、粒径が15μm以下であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面が緻密に形成されて、高反射性の反射材を得ることができる。
無機充填剤として酸化チタンを用いる場合には、その粒径は0.1μm〜1.0μmであるのが好ましく、0.2μm〜0.5μmであるのがさらに好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、ベース樹脂への分散性が良好で、均質な反射材を得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1.0μm以下であれば、ベース樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されて、反射材に高反射性を付与することができる。
【0053】
なお、本発明においては、前記の如く例示した有機充填剤と無機充填剤とを組み合わせて使用してもよい。
有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量は、反射材の光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、樹脂層A全体の質量に対して10〜70質量%であるのが好ましく、20〜60質量%であるのがさらに好ましい。
有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量が10質量%以上であれば、ベース樹脂と有機充填剤及び/又は無機充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、反射材に高反射性を付与することができる。また、有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量が70質量%以下であれば、反射材に必要な機械的性質を確保することができる。
【0054】
(樹脂層Aの他の成分)
樹脂層Aは、その効果を損なわない範囲内で、他の樹脂(「他成分樹脂」という)を含有してもよい。また、前記効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤及びその他の添加剤を含有してもよい。
【0055】
(樹脂層Aの形態)
樹脂層Aは、フィルムからなる層であっても、溶融樹脂組成物を押出或いは塗布などによって(フィルムを形成することなく)薄膜形成してなる層であってもよい。また、フィルムからなる場合、そのフィルムは未延伸フィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよいが、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られる延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
【0056】
(樹脂層B)
シクロオレフィン系樹脂を含有してなる樹脂層Bは、その空隙率がA層よりも小さいものであり、このような樹脂層Bを樹脂層Aと積層することにより、反射材の製膜安定性をさらに高めることができる。なお、樹脂層Aの内部には微細な空洞を含有することが必要とされるが、樹脂層Bの内部には必ずしも空洞を含有する必要はなく、任意であり、空洞を有する場合にあっては空隙率が樹脂層Aよりも小さいことを要する。
すなわち、有機充填材及び/又は無機充填材の含有量を、光反射性と製膜安定性等の点から最適な範囲とした樹脂組成物Bからなる樹脂層Bを設けることにより、生産工程での口金リップ部のメヤニの付着、堆積を抑制することができる。ひいては、メヤニが反射材表面のブツとなって製品外観を損ねたり、延伸製膜時には破断の起点となって破断トラブルを発生させたりすることを防ぐことができる。
【0057】
樹脂層Bに用いることができるシクロオレフィン系樹脂としては、樹脂層Aに用いることができるシクロオレフィン系樹脂と同様であり、好ましい種類も同様である。
【0058】
(樹脂層Bの充填剤)
また樹脂層Bは、シクロオレフィン系樹脂と、有機充填材及び/又は無機充填剤とを含んでなる樹脂組成物から形成することもできる。樹脂層Bに用いることができる有機充填剤及び無機充填剤としては、樹脂層Aに用いることができる有機充填剤及び無機充填剤が挙げられる。
樹脂層Bにおける有機充填剤及び/又は無機充填材の合計含有割合は、樹脂層Aにおけるそれよりも少ないことが好ましく、機械的物性、製膜安定性等を考慮すると、樹脂層B全体の質量に対して0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがさらに好ましい。有機充填剤及び/又は無機充填材の合計含有割合が0.1質量%以上であれば、フィルム間の滑り性が付与されて所謂巻きズレによって傷が生じるのを防ぐことができるので好ましい。また、有機充填剤及び/又は無機充填材の合計含有割合が10質量%以下であれば、反射材に優れた製膜安定性を確保することができる。
【0059】
(樹脂層Bの他の成分)
樹脂層Bは、その効果を損なわない範囲内で、他の樹脂(「他成分樹脂」という)を含有してもよい。また、前記効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤及びその他の添加剤を含有してもよい。
【0060】
(樹脂層Bの形態)
樹脂層Bは、フィルムからなる層であっても、溶融樹脂組成物を押出或いは塗布などによって(フィルムを形成することなく)薄膜形成してなる層であってもよい。また、フィルムからなる場合、そのフィルムは未延伸フィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよいが、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られる延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
【0061】
(積層構成)
本発明の反射材の積層構成としては、樹脂層Aの少なくとも片面に樹脂層Bを設けた2層以上の構成を備えていればよいから、樹脂層A及び樹脂層B以外に他の層を積層してなる構成であってもよい。
【0062】
積層構成としては、例えば、樹脂層Aの片面に樹脂層Bを設けた2層の積層構成を挙げることができる。この際、光が照射される側(反射使用面側)から、樹脂層A/樹脂層B、樹脂層B/樹脂層Aの順に積層することが考えられるが、光が照射される側(反射使用面側)から樹脂層B/樹脂層Aの順に積層するのが好ましい。
その他の積層構成としては、例えば、樹脂層Aの両面に樹脂層Bを設けた3層の積層構成を挙げることができる。
また、樹脂層A及び樹脂層B以外に他の層を備えてもよいし、樹脂層A及び樹脂層Bの各層間に他の層が介在してもよい。例えば、樹脂層A、樹脂層B間に接着層が介在してもよい。
【0063】
(厚み)
本発明の反射材の厚みは、特に限定されるものではないが、30μm〜1500μmであるのが通常は好ましく、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜1000μm程度の範囲内であるのが好ましい。
例えば小型、薄型の反射板用途の反射材としては、厚みが30μm〜200μmであるのが好ましい。かかる厚みの反射材を用いれば、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
他方、大型液晶テレビ等の反射材としては、厚みが75μm〜1000μmであるのが好ましい。
【0064】
なお、樹脂層Aと樹脂層Bの厚み比率は20:1〜1:1、特に15:1〜3:1、中でも特に12:1〜5:1であるのが好ましい。樹脂層Aと樹脂層Bの厚み比率が20:1よりも樹脂層Bの厚み比率が大きければ、良好な製膜安定性が得られるので好ましい。また樹脂層Aと樹脂層Bの厚み比率が1:1よりも樹脂層Bの厚み比率が小さければ、反射特性に悪影響を及ぼすことがないので好ましい。
【0065】
(反射率)
本発明の反射材の少なくとも片面の反射率は、波長615nm、545nm、440nmの光に対して、それぞれ93%以上、95%以上、97%以上を有することが好ましく、さらにそれぞれ95%以上、97%以上、99%以上を有することが特に好ましい。かかる反射性能を有するものであれば、反射フィルムとして良好な反射特性を示し、この反射フィルムを組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が黄色味を帯びることなく、精彩性が良好になる。
【0066】
(製造方法)
次に、本反射材の製造方法について一例を挙げて説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。
【0067】
先ず、シクロオレフィン系樹脂に、必要に応じて有機充填剤及び/又は無機充填剤、その他の添加剤等を配合して樹脂組成物Aを作製する。具体的には、シクロオレフィン系樹脂に有機充填剤及び/又は無機充填剤を加え、さらに相溶化剤等の添加剤を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度で混練することにより樹脂組成物Aを得ることができる。
但し、有機充填剤及び/又は無機充填剤、添加剤等を、別々のフィーダー等により所定量をシクロオレフィン系樹脂に添加することにより樹脂組成物Aを得ることもできる。また、有機充填剤及び/又は無機充填剤、添加剤等を予めシクロオレフィン系樹脂に高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチとシクロオレフィン系樹脂とを混合して所望の濃度の樹脂組成物Aとすることもできる。
【0068】
他方、シクロオレフィン系樹脂に、必要に応じて有機充填剤及び/又は無機充填剤、その他の添加剤等を配合して樹脂組成物Bを作製する。具体的には、シクロオレフィン系樹脂に、必要に応じて有機充填剤及び/又は無機充填剤、さらに酸化防止剤等の添加剤を加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度で混練することにより樹脂組成物Bを得ることができる。
但し、有機充填剤及び/又は無機充填剤、添加剤等を、別々のフィーダー等により所定量をシクロオレフィン系樹脂に添加することにより樹脂組成物Bを得ることもできる。また、有機充填剤及び/又は無機充填剤、添加剤等を予めシクロオレフィン系樹脂に高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチとシクロオレフィン系樹脂とを混合して所望の濃度の樹脂組成物Bとすることもできる。
【0069】
次に、上記の樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを、それぞれ別々の押出機に供給し、それぞれ所定の温度以上に加熱して溶融させる。押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要であるが、例えばシクロオレフィン系樹脂の場合は、押出温度は200℃〜270℃の範囲が好ましい。その後、溶融した樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを2種3層用のTダイに合流させ、Tダイのスリット状の吐出口から積層状に押出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。この際、押出機の押出温度や押出機のスクリュー回転数を調整することによって有機充填剤及び/又は無機充填剤の分散相の大きさを制御することができる。
【0070】
得られたキャストシートは、少なくとも1軸方向に1.1倍以上延伸するのが好ましい。
延伸することにより、有機充填剤及び/又は無機充填剤を核とした空洞が樹脂層A内部及び樹脂層B内部に形成され、シートの光反射性をさらに高めることができて好ましい。これは新たにシクロオレフィン系樹脂と空洞、空隙と有機充填剤及び/又は無機充填剤との界面が形成されるため、これらの界面で生じる屈折散乱の効果が増えるためと考えられる。
【0071】
さらに2軸方向に延伸するのが好ましい。2軸延伸することにより、樹脂層A及び樹脂層Bの空隙率は高くなり、シートの光反射性を高めることができるからである。また、シートを1軸延伸したのみでは、形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされたものとなり円盤状形態になる。すなわち、2軸延伸することによって、シクロオレフィン系樹脂と有機充填剤及び/又は無機充填剤との界面の剥離面積が増大し、シートの白化が進行し、その結果、シートの光反射性を高めることができる。さらにまた、2軸延伸するとシートの収縮方向に異方性がなくなるので、シートに耐熱性を向上させることができ、また、シートの機械的強度を増加させることもできる。
【0072】
2軸延伸の延伸順序は特に制限されることはなく、例えば、同時2軸延伸でも逐次延伸でも構わない。延伸設備を用いて、溶融製膜した後、ロール延伸によってMDに延伸した後、テンター延伸によってTDに延伸しても良いし、チューブラー延伸等によって2軸延伸を行ってもよい。
【0073】
上記の場合の延伸倍率は、面積倍率として2倍以上に延伸することが好ましく、4倍以上に延伸することが更に好ましい。面積倍率において2倍以上に延伸することにより10%以上の空隙率を実現することができ、4倍以上に延伸することにより30%以上の空隙率を実現することができる場合がある。
【0074】
キャストシートを延伸する際の延伸温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)程度から(Tg±30℃)の範囲内の温度であることが好ましく、具体的には100℃〜160℃であることが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時にシートが破断することがなく、製膜安定性の高いシートを得ることができる。また延伸配向が高く、空隙率を大きくできるので、高い反射率を有するシートを得ることができる。
【0075】
上記延伸後、必要に応じて適宜な方法及び条件で熱処理してもよい。
【0076】
(用途)
本発明の反射材は、例えばシート形状のまま大型液晶テレビ等の反射材として使用する場合に有用であるが、金属板(例えばアルミ板やステンレス板、亜鉛メッキ鋼板など)又は樹脂板に被覆した反射板としても好適に用いることができる。この反射板は、例えば液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。
以下に、このような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
【0077】
(反射板の製造方法)
反射材を金属板又は樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等があり、特に限定されるものではない。例えば、金属板又は樹脂板(まとめて「金属板等」という)の反射材を貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射材を貼り合わせることができる。
かかる方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射材を貼り合わせる金属板等の表面に、乾燥後の接着剤膜厚が2μm〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板等の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射材を被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。
【実施例】
【0078】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、実施例に示す測定値及び評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
【0079】
(測定及び評価方法)
(1)空隙率(%)
延伸前の反射材の密度(「未延伸反射材密度」と表記する)と延伸後の反射材の密度(「延伸反射材密度」と表記する)とを測定し、下記式に代入して反射材の空隙率を求めた。
空隙率(%)={(未延伸反射材密度−延伸反射材密度)/未延伸反射材密度}×100
【0080】
(2)反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長615nm、545nm及び440nmの光に対する反射率を測定した。
なお、測定前に、アルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
【0081】
(3)製膜性(メヤニ、ブツ防止性)
反射材を押出成形する際に、口金リップ部のメヤニ付着状態とキャストシート表面のブツ発生状態を観察した。下記評価基準に基づいて、メヤニ、ブツ防止性の評価を行った。ただし、記号「○」及び「△」は実用レベル以上である。
評価基準:
「〇」 押出開始6時間後で、リップ部にメヤニの付着は認められず、キャストシート表面にブツも認められなかった。
「△」 押出開始6時間後で、リップ部の一部にメヤニが認められるが、キャストシート表面にはブツの発生は認められなかった。
「×」 押出開始3時間後で、リップ部全幅にわたってメヤニが認められ、キャストシート表面に滴上のブツが認められる。
【0082】
[実施例1]
(樹脂層Aの樹脂組成物Aの作製)
シクロオレフィン系樹脂A(TOPAS8007F04、Tg=78℃:ポリプラスチックス社製)、シクロオレフィン系樹脂B(TOPAS6013F04、Tg=138℃:ポリプラスチックス社製)、ポリカーボネート系樹脂(ユーピロンH4000:三菱エンジニアリングプラスチックス社製)、及び変性スチレン系樹脂含有相溶化剤(ダイナロン4630P:JSR社製)のペレットと、ルチル型酸化チタン(KRONOS2230:KRONOS社製)とを、16:35:7:2:40の質量割合で混合した後、250℃に加熱された二軸押出機を用いてペレット化して、樹脂組成物Aを作製した。
【0083】
(樹脂層Bの樹脂組成物Bの作製)
シクロオレフィン系樹脂A(TOPAS8007F04、Tg=78℃:ポリプラスチックス社製)、シクロオレフィン系樹脂B(TOPAS6013F04、Tg=138℃:ポリプラスチックス社製)のペレットと、ルチル型酸化チタン(KRONOS2230:KRONOS社製)とを、29:70:1の質量割合で混合した後、250℃に加熱された二軸押出機を用いてペレット化して、樹脂組成物Bを作製した。
樹脂組成物A及びBとも、シクロオレフィン系樹脂のTgを120℃に調節するために、シクロオレフィン系樹脂Aとシクロオレフィン系樹脂Bとを前記の質量割合で混合した。
【0084】
(フィルム状反射材の作製)
樹脂組成物A、Bを各々別々の230℃に加熱された押出機A及びBに供給し、各押出機において230℃で溶融混練した後、2種3層用のTダイに合流させ、樹脂層B/樹脂層A/樹脂層Bの3層構成となるようにシート状に押出し、冷却固化して積層シートを形成した。得られた積層シートを、温度120℃でMDに2倍ロール延伸した後、さらに135℃でTDに3倍テンター延伸することで二軸延伸を行い、厚さ230μm(樹脂層A:190μm、樹脂層B:20μm)の反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、空隙率、反射率、メヤニ・ブツ防止性の評価を行った。
【0085】
ここで、空隙率は、樹脂層A内部及び樹脂層Bの内部それぞれについて評価を行った。
樹脂層A内部の空隙率については、樹脂組成物Aを押出機Aに供給して、上記操作にしたがって、樹脂層Aのみの単層フィルム(厚さ190μm)を得て、評価を行った。樹脂層B内部の空隙率については、樹脂組成物Bを押出機Bに供給して、上記操作にしたがって、樹脂層Bのみの単層フィルム(厚さ40μm)を得て、評価を行った。
【0086】
[実施例2]
実施例1の樹脂組成物Bの作製において、シクロオレフィン系樹脂A(TOPAS8007F04、Tg=78℃:ポリプラスチックス社製)、シクロオレフィン系樹脂B(TOPAS6013F04、Tg=138℃:ポリプラスチックス社製)のペレットと、シリカ(サイロホービック702:富士シリシア社製)とを、30:69.7:0.3の質量割合で混合した点を除いて、実施例1と同様にして厚さ230μm(樹脂層A:190μm、樹脂層B:20μm)の反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った
【0087】
[実施例3]
実施例1の樹脂組成物Bの作製において、シクロオレフィン系樹脂A(TOPAS8007F04、Tg=78℃:ポリプラスチックス社製)、シクロオレフィン系樹脂B(TOPAS6013F04、Tg=138℃:ポリプラスチックス社製)のペレットを、30:70の質量割合で混合した点を除いて、実施例1と同様にして厚さ230μm(樹脂層A:190μm、樹脂層B:20μm)の反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った
【0088】
[比較例1]
(樹脂組成物Aの作製)
シクロオレフィン系樹脂A(TOPAS8007F04、Tg=78℃:ポリプラスチックス社製)、シクロオレフィン系樹脂B(TOPAS6013F04、Tg=138℃:ポリプラスチックス社製)、ポリカーボネート系樹脂(ユーピロンH4000:三菱エンジニアリングプラスチックス社製)、及び変性スチレン系樹脂含有相溶化剤(ダイナロン4630P:JSR社製)のペレットと、ルチル型酸化チタン(KRONOS2230:KRONOS社製)とを、16:35:7:2:40の質量割合で混合した後、250℃に加熱された二軸押出機を用いてペレット化して、樹脂組成物Aを作製した。
【0089】
(フィルム状反射材の作製)
樹脂組成物Aを230℃に加熱された押出機Aに供給し、押出機において230℃で溶融混練した後、Tダイよりシート状に押出し、冷却固化してシートを形成した。得られたシートを、温度120℃でMDに2倍ロール延伸した後、さらに135℃でTDに3倍テンター延伸することで二軸延伸を行い、厚さ200μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0090】
【表1】

【0091】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜3及び比較例1のフィルム状反射材は、615nm、545nm、440nmの波長の光に対する反射率が93%、95%、97%以上で、高い光反射性を有していることがわかった。また、実施例1〜3のフィルム状反射材のメヤニ、ブツ防止性は良好で、製膜安定性に優れていることがわかった。
一方、比較例1のフィルム状反射材は、メヤニ、ブツ防止性の点で、実施例1〜3のフィルム状反射材に劣ることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロオレフィン系樹脂を含有してなり、その内部に微細な空洞を有する樹脂層Aの少なくとも片面に、シクロオレフィン系樹脂を含有してなる樹脂層Bが積層された2層以上の構成を備え、
前記樹脂層Aの空隙率が、樹脂層Bのそれよりも大きいことを特徴とする白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項2】
前記樹脂層Aの空隙率が、5%以上70%以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項3】
前記樹脂層Aが、シクロオレフィン系樹脂と、有機充填材及び/又は無機充填剤とを主たる構成成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1又は2記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項4】
前記樹脂組成物に含有される有機充填剤が、シクロオレフィン系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項3記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項5】
さらに樹脂組成物が、相溶化剤として、少なくとも変性スチレン系樹脂を含有してなることを特徴とする請求項4に記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項6】
前記樹脂組成物に含有される無機充填剤が、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項7】
前記有機充填剤及び/又は無機充填剤の含有量が、樹脂層Aの全体質量に対して10質量%以上70質量%以下であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項8】
樹脂層Bが、シクロオレフィン系樹脂と、有機充填材及び/又は無機充填剤と含有してなり、これら充填剤の含有量が樹脂層Aのそれよりも少ない樹脂組成物からなることを特徴とする請求項3〜7のいずれか記載の白色オレフィン系樹脂反射材。
【請求項9】
反射材の少なくとも片面が、波長615nm、545nm、440nmの光に対して、それぞれ93%以上、95%以上、97%以上の光反射率を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項10】
液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板の構成部材として使用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の白色積層シクロオレフィン系樹脂反射材を、金属板又は樹脂板に積層してなる構成を備えた反射板。
【請求項12】
液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板の構成部材として使用されることを特徴とする請求項11に記載の反射板。

【公開番号】特開2010−243817(P2010−243817A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92828(P2009−92828)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】