説明

白色蛍光体

【課題】電子線を照射した際、青色蛍光体の他の蛍光体に対する発光強度比が減少することで色温度が減少しても、発光色の色合いを自然な昼光色に維持することが可能な白色蛍光体を提供する。
【解決手段】Y:Eu、及び、YS:Euのうち少なくとも1種の化合物を含む赤色蛍光体、
Al12:Tb、及び、Y(Al,Ga)12:Tbのうち少なくとも1種の化合物を含む緑色蛍光体、並びに、ZnS:Ag、Al、ZnS:Ag、Cl、及び、ZnS:Ag、Al、Clのうち少なくとも1種の化合物を含む青色蛍光体からなる蛍光体であって、全体の重量に対して前記青色蛍光体を50〜60重量%含み、前記緑色蛍光体と前記赤色蛍光体との重量比(前記緑色蛍光体の重量/前記赤色蛍光体の重量)が0.5〜2.0であり、前記蛍光体、前記緑色蛍光体及び前記青色蛍光体を構成する粒子の平均粒子径が3〜15μmであることを特徴とする白色蛍光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は白色蛍光体に関し、詳しくは白色蛍光体を用いた電界放出型光源(Field Emission Light:以下FELという)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子線励起型(カソードルミネッセンス)蛍光体の発光は、発光波長に偏りをもち、単一の蛍光体によって白色光を生じさせることが出来ない。このため、白色光を得るためには複数の蛍光体からの発光を混合させることが必要であり、TVのブラウン管などでは光の三原色にあたる赤色蛍光体(R)、緑色蛍光体(G)、及び、青色蛍光体(B)の三種類の蛍光体からの発光を混合させることにより白色を表示している。
【0003】
白色光を発生させる電界電子放出型光源としては、このブラウン管用蛍光体を混合して白色光を作り出すことが、発光効率や演色性の観点から望ましい。
【0004】
ブラウン管用の蛍光体としては、一般テレビ用には青色蛍光体としてZnS:Ag,Clが用いられ、緑色蛍光体としてZnS:Cu,Alが用いられ、赤色蛍光体としてYS:Euが用いられている。一方、一般テレビ用ブラウン管に比べて高い耐熱温度と大きな光量を必要とするプロジェクションテレビ用の蛍光体としては、青色蛍光体として硫化物蛍光体であるZnS:Ag,Alが使用され、緑色蛍光体としてYAG系蛍光体であるYAl12:Tb又はY(Al,Ga)12:Tbが使用され、赤色蛍光体として酸化イットリウム系蛍光体であるY:Euの蛍光体が使用されており、硫化物でない緑色蛍光体、赤色蛍光体については、一般テレビ用蛍光体に比べて耐久性が高いという特徴を有する。
【0005】
従って、白色FELは、ブラウン管に比べてより高い輝度が求められるためプロジェクションテレビ用の蛍光体を使用して白色蛍光体を作製することが望ましい。
また、その発光色については、一般の蛍光ランプについて定められているJIS規格(JIS Z 9112,(1990)「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」)の昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色のいずれかに対応し、その発光色はJIS規格によって定義される区分に属する座標をもつことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、プロジェクションテレビ用の蛍光体では、緑色蛍光体であるYAG系蛍光体、赤色蛍光体である酸化イットリウム系蛍光体に比べて、青色蛍光体のZnS系蛍光体は、発光効率は高いが温度消光の影響を受けやすい。
【0007】
このため、プロジェクションテレビ用蛍光体の混合によってFEL用蛍光体を作製する際に、発光初期の状態を基準にして混合比を決定すると、温度上昇に伴って青色蛍光体の発光強度が他の色に比べて小さくなるために、白色光の色度座標が大きく変化し、JIS規格で定められた蛍光ランプの白色光領域から外れてしまうことがある。
【0008】
また、耐久性についてもZnS系蛍光体は、YAG系蛍光体や酸化イットリウム系蛍光体に比べて劣るため、長期的な使用によって発光の色度が変化することでJISの定義範囲からずれてしまうことがあった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電子線を照射した際、時間の経過に従って、青色蛍光体の他の蛍光体に対する発光強度比が減少することで色温度が減少しても、発光色の色合いを自然な昼光色に維持することが可能な白色蛍光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の白色蛍光体は、
:Eu、及び、YS:Euのうち少なくとも1種の化合物を含む赤色蛍光体、
Al12:Tb、及び、Y(Al,Ga)12:Tbのうち少なくとも1種の化合物を含む緑色蛍光体、並びに、
ZnS:Ag、Al、ZnS:Ag、Cl、及び、ZnS:Ag、Al、Clのうち少なくとも1種の化合物を含む青色蛍光体からなる蛍光体であって、
全体の重量に対して上記青色蛍光体を50〜60重量%含み、
上記緑色蛍光体と上記赤色蛍光体との重量比(上記緑色蛍光体の重量/上記赤色蛍光体の重量)が0.5〜2.0であり、
上記赤色蛍光体、上記緑色蛍光体及び上記青色蛍光体を構成する粒子の平均粒子径が3〜15μmであることを特徴とする。
【0011】
上記白色蛍光体を構成する上記蛍光体において、例えば、「ZnS:Ag,Cl」とは、ZnSとAgとを必須成分として含み、Clを選択的に含む蛍光体を意味する。また、例えば、「ZnS:Ag,Al,Cl」とは、ZnSとAgとを必須成分として含み、Al及びClを選択的に含む蛍光体を意味する。すなわち、上記蛍光体は、カッコ内の最初に記載された元素を必須成分として含み、カッコ内の他の元素を選択的に含む。
【0012】
上記白色蛍光体では、青色蛍光体を50重量%以上含むため、電子線を照射した際、温度上昇に伴って青色蛍光体の発光強度が他の色に比べて小さくなるか、時間の経過に従って青色蛍光体の発光強度が他の色に比べて小さくなっても、その影響が小さく、赤色蛍光体と緑色蛍光体と青色蛍光体とにより発光色の色合いを自然な昼光色に維持することが可能である。
また、青色蛍光体の含有量が60重量%以内であるので、青色蛍光体の含有量が多すぎず、長期的な使用によって発光の色度が変化しても、JIS Z 9112に規定する昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色の範囲に留めることができる。
【0013】
青色蛍光体の含有量が50重量%未満であると、青色蛍光体の含有量が少ないため、温度上昇や時間の経過に伴って青色蛍光体の発光強度が小さくなると、その影響が大きく、発光色の色合いを自然な昼光色に維持することが難しくなる。
また、青色蛍光体の含有量が60重量%を超えると、青色蛍光体の含有量が多すぎるため、温度上昇や時間の経過に伴って青色蛍光体の発光強度が小さくなっても、青色蛍光体の影響が大きく、発光色の色合いを自然な昼光色とすることが難しい。
【0014】
また、緑色蛍光体と赤色蛍光体との重量比(緑色蛍光体の重量/赤色蛍光体の重量)が0.5〜2.0であるので、緑色蛍光体と赤色蛍光体とのバランスがとれており(後述する図1の色度座標点Y、Zの範囲内にあり)、これに青色蛍光体が加わることにより、所定の時間が経過した後、白色光とすることができる。
緑色蛍光体と赤色蛍光体との重量比が上記範囲を外れると、緑色蛍光体と赤色蛍光体とのバランスが崩れるため、所定の時間が経過した際、白色光の範囲の外の発光となる。
【0015】
本発明の白色蛍光体では、上記赤色蛍光体、上記緑色蛍光体及び上記青色蛍光体を構成する粒子の平均粒子径が3〜15μmであるので、形成する塗膜の緻密度をある程度高く保つことができるとともに、発光効率が低下するのを抑制することができる。
【0016】
本発明の白色蛍光体において、電子線を照射したときの初期の発光の色度座標点が、CIE1931色度図上の座標で表示すると、青色蛍光体の色度座標点B(0.14〜0.17,0.024〜0.07)と色度座標点P(0.327, 0.367)と色度座標点Q(0.475,0.428)とを直線的に結ぶことにより形成される三角形PBQの内側に存在することが望ましい。
【0017】
CIE1931色度図とは、CIE(国際照明委員会)で規定した色度図であり、光の色をxyの平面座標で表示したものである。上述したJIS Z 9112に規定する昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色も、CIE1931色度図上で表示することができる。
【0018】
電子線を照射したときの初期の発光の色度座標点が上記した三角形PBQの内側にあると、電界電子放出素子からの電子線を照射した際、蛍光体の温度が上昇したり、時間を経るに従って青色蛍光体の発光が低減しても、発光色が昼光軌跡からのずれが少なく、人間にとって自然な白色光にすることができる。
電子線を照射したときの初期の発光とは、電子線を照射し始めてから30分以内の発光をいう。
【発明の効果】
【0019】
本発明の白色蛍光体は、上記のように構成されているので、長期的な使用により、青色蛍光体の発光が低減しても、発光色が昼光軌跡からのずれが少なく、FELによる発光を人間にとって自然な白色光にすることができ、FELの商品耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、青色蛍光体ZnS:Ag,Al、緑色蛍光体Y(Al, Ga)12:Tb、赤色蛍光体Y:EuのCIE1931色度図上の点と、JIS Z 9112 1990によって定められる昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色の色度図上の区分を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例1で得られた白色蛍光体の発光の輝度と色温度の時間の経過による変化を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例1で得られた白色蛍光体の時間の経過によるCIE1931色度図上の変化を示すグラフである。
【図4】図4は、比較例1で得られた白色蛍光体の時間の経過によるCIE1931色度図上の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第一実施形態)
以下、本発明の白色蛍光体の一実施形態について、図面を用いて説明する。
本発明の白色蛍光体は、Y:Eu、及び、YS:Euのうち少なくとも1種の化合物を含む赤色蛍光体、
Al12:Tb、及び、Y(Al,Ga)12:Tbのうち少なくとも1種の化合物を含む緑色蛍光体、並びに、
ZnS:Ag、Al、ZnS:Ag、Cl、及び、ZnS:Ag、Al、Clのうち少なくとも1種の化合物を含む青色蛍光体からなる蛍光体であって、
全体の重量に対して上記青色蛍光体を50〜60重量%含み、
上記緑色蛍光体と上記赤色蛍光体との重量比(上記緑色蛍光体の重量/上記赤色蛍光体の重量)が0.5〜2.0であり、
上記赤色蛍光体、上記緑色蛍光体及び上記青色蛍光体を構成する粒子の平均粒子径が3〜15μmであることを特徴とする。
【0022】
図1は、青色蛍光体ZnS:Ag,Al、緑色蛍光体Y(Al, Ga)12:Tb、赤色蛍光体Y:EuのCIE1931色度図上の点と、JIS Z 9112 1990によって定められる昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色の色度図上の区分を示すグラフである。
【0023】
加法混色におけるグラスマンの法則により、CIE1931色度図(以下、単に色度図ともいう)上の座標が点Rである赤色蛍光体の発光と点Gである緑色蛍光体の発光との混色光の色度図上の座標は、点Rと点Gとを結ぶ線分X上にあり、混合量を変えれば線分X上でさまざまな混色が可能となる。
【0024】
最終的には、上記した赤色蛍光体の発光と緑色蛍光体の発光との混色光に青色蛍光体の発光とを加えることにより、白色光を作る訳であるが、具体的には、以下のような考え方で三種混合を行なう。
すなわち、蛍光体の混合組成を、緑色蛍光体と赤色蛍光体のみで混合したときの蛍光体の発光の色度座標上の点が、青色蛍光体の色度図上の点Bと光源色区分の端点である点P、及び、点Bと光源色区分の端点である点Qと通る∠PBQで区切られた範囲(線分X上の点Y,Zの間)となるように緑色蛍光体と赤色蛍光体とを混合する。さらにその混合物に青色蛍光体を追加することで、三種混合の白色蛍光体の発光初期段階における発光の色度座標を三角形の領域PQB内とすることが可能となる。
【0025】
点P、Qは、色度図上の座標で表示すると、色度座標点P(0.327, 0.367)、色度座標点Q(0.475,0.428)となる。
∠PBQで区切られた範囲としたのは、三種混合の白色蛍光体の時間経過による色度図上の変化が∠PBQの角度の範囲内となるように移動していく可能性が高いからである。
【0026】
色度座標点Bは、蛍光体の種類により異なるが、長時間経過した際に、昼白色、白色の範囲に発光が収まるためには、色度座標点B(0.14〜0.17,0.024〜0.07)となるのが好ましい。
【0027】
このとき、線分X上の点Y,Zの間となるように、赤色蛍光体の発光と緑色蛍光体の発光との混色光を作るためには、緑色蛍光体と赤色蛍光体との重量比(上記緑色蛍光体の重量/上記赤色蛍光体の重量)が0.5〜2.0であることが望ましい。
また、全体の重量に対して、上記青色蛍光体を50〜60重量%を含むように、その混合量を調整することが好ましい。
【0028】
このような手法で混合された蛍光体は、発光初期段階においてその色度座標の点は、JIS規格(JIS Z 9112 1990「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」)の昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色のいずれの区分よりも色度座標において左下方に位置する。しかしながら、ZnS系蛍光体に属する青色蛍光体は、YAG系蛍光体や酸化イットリウム系蛍光体に比べて温度消光の影響を受けやすく、また寿命も短いため次第に赤色蛍光体と緑色蛍光体のみで発光させたときの色度座標に向かって直線的に移動していく。
【0029】
この青色蛍光体の発光における温度消光や寿命による輝度低減に関し、ある程度輝度が低減した後の輝度変化は緩やかなものとなるため、あらかじめ輝度低減分を見越した上で青色蛍光体の重量比を決定することで、JIS規格Z9112 1990で区分される昼白色、白色等の領域内において安定に発光させることが可能となる。
【0030】
また、青色蛍光体発光低減による色度座標変化の傾きは、青色蛍光体の色度座標と、赤色蛍光体と緑色蛍光体の混合比を調整することで可能であり、この傾きを昼光軌跡に近づけることで青色蛍光体の発光低減による色合いの変化を最小限におさえることが可能となる。
本発明では、全体の重量に対し、青色蛍光体を50〜60重量%含むことが望ましい。
【0031】
また、蛍光体は、粒子径が小さいほど、蛍光体の層を形成する際に使用する蛍光体の量を少なくすることができ、形成される塗膜の緻密度も粒子径が小さいほうが高くなる。しかし、一方で粒子径が大きいほど発光効率は高くなる。これは蛍光体の表面には内部よりより発光効率の低い層があり、小さい粒子の場合、電子線が低効率な層を通過する確率が高くなるからである。
【0032】
本発明の白色蛍光体では、上記赤色蛍光体、上記緑色蛍光体及び上記青色蛍光体を構成する粒子の平均粒子径が3〜15μmであるので、形成する塗膜の緻密度をある程度高く保つことができるとともに、発光効率が低下するのを抑制することができる。
上記蛍光体を構成する粒子の平均粒子径が3μm未満であると、発光効率が低下してしまう。一方、上記蛍光体の平均粒子径が15μmを超えると、発光効率は高くなるが、緻密性の高い蛍光体の層を形成するのが難しくなり、良好な塗膜を形成するのが難しくなる。
【0033】
本発明の白色蛍光体の製造方法は特に限定されず、従来から行われている蛍光体を含むスラリをスプレー塗布するスプレー塗布法、沈降法、ドクターブレード法等を用いることができる。沈降法、ドクターブレード法等を用いる場合には、スラリーをよく、混練することが望ましい。
【0034】
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
昼光色、昼白色で発光させるためのFEL用白色蛍光体を作製する際、青色蛍光体としてZnS:Ag,Al (直径中間値:9.6μm)、緑色蛍光体としてY(Al,Ga)12:Tb (直径中間値:7.2μm)、赤色蛍光体としてY:Eu(直径中間値:8.2μm) を使用した。なお、直径中間値は、平均粒子径ともいう。
【0036】
総重量に対する重量パーセントをそれぞれ、青色蛍光体51重量%、緑色蛍光体26.2重量%、赤色蛍光体を22.8重量%とし、緑色蛍光体と赤色蛍光体との重量比(緑色蛍光体重量/赤色蛍光体重量)=1.15とし、これを珪酸カリウムを100g/L含むカリ水ガラス水溶液(東京応化工業株式会社製 オーカシールB)中で混合してスラリーとし、これをアルミニウム製の陽極にスプレー塗布することにより蛍光板を作製した。
【0037】
(白色蛍光体の発光スペクトルの時間経過による変化の測定)
次に、この蛍光板に真空中で電界電子放出素子からの電子線をパルス的に照射することで励起発光させ、その発光強度ならびにそのスペクトルの経過時間変化を、分光輝度計(株式会社トプコン製 トプコンSR−3)を用いて3分ごとに計測を行った。パルス電流の印加方法は、6kVの電圧で出力させた直流高圧電源からの高圧スイッチを電界電子放出素子に接続し、高圧スイッチを繰り返し周波数500Hz、オン/オフ比2%で駆動させることで駆動電圧をパルス化した。蛍光体への電子線照射密度は、高圧スイッチがオンの時で0.4mA/cmであった。
【0038】
図2は、実施例1で得られた白色蛍光体の発光の輝度と色温度の経過時間変化を示すグラフであり、図3は、上記白色蛍光体の時間経過によるCIE1931色度図上の変化を示すグラフである。
【0039】
図2に示すグラフより明らかなように、経過時間とともに、輝度と色温度が低下してきている。これは発光スペクトルにおいて低波長側にピークをもつ青色蛍光体が、緑色蛍光体や赤色蛍光体に比べて大きいことを示している。また、時間の経過とともに、青色蛍光体の発光の光の低減速度は緩やかとなり、それに合わせて全体の発光輝度ならびに色温度の変化もゆるやかとなっている。
【0040】
また、図3より明らかなように、発光開始時では青色蛍光体の発光強度が大きいために、色度図上においても青色蛍光体の色度x=0.145、y=0.06に近く、昼光色からずれていた。しかし、青色蛍光体が弱まることで緑色蛍光体、赤色蛍光体の発光強度比で決まる色度図上の点に向かって次第に移動していくことで、昼光色、昼白色、白色の領域で発光するようになった。この後は、殆ど移動しないと考えられる。
【0041】
(比較例1)
総重量に対する各蛍光体の重量パーセントを、それぞれ、青色蛍光体51重量%、緑色蛍光体37.5重量%、赤色蛍光体を11.5重量%と変え、緑色蛍光体と赤色蛍光体との重量比(緑色蛍光体重量/赤色蛍光体重量)=3.26と変えたほかは、実施例1と同様にして、白色蛍光体を作製し、白色蛍光体の発光スペクトルの時間経過による変化を測定した。
【0042】
図4は、その結果、すなわちCIE1931色度図上の時間経過による変化を示すグラフである。
比較例1では、緑色蛍光体と赤色蛍光体との重量比(緑色蛍光体重量/赤色蛍光体重量)が3.26であるために、時間が経過し、青色蛍光体が弱まるに従って、昼光色、昼白色、白色の領域から離れていき、白色とは言えない発光色となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
:Eu、及び、YS:Euのうち少なくとも1種の化合物を含む赤色蛍光体、
Al12:Tb、及び、Y(Al,Ga)12:Tbのうち少なくとも1種の化合物を含む緑色蛍光体、並びに、
ZnS:Ag、Al、ZnS:Ag、Cl、及び、ZnS:Ag、Al、Clのうち少なくとも1種の化合物を含む青色蛍光体からなる蛍光体であって、
全体の重量に対して前記青色蛍光体を50〜60重量%含み、
前記緑色蛍光体と前記赤色蛍光体との重量比(前記緑色蛍光体の重量/前記赤色蛍光体の重量)が0.5〜2.0であり、
前記赤色蛍光体、前記緑色蛍光体及び前記青色蛍光体を構成する粒子の平均粒子径が3〜15μmであることを特徴とする白色蛍光体。
【請求項2】
電子線を照射したときの初期の発光の色度座標点が、CIE1931色度図上の座標で表示すると、色度座標点B(0.14〜0.17,0.024〜0.07)と色度座標点P(0.327, 0.367)と色度座標点Q(0.475,0.428)とを直線的に結ぶことにより形成される三角形PBQの内側に存在する請求項1に記載の白色蛍光体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−162697(P2012−162697A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26153(P2011−26153)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(509033169)高知FEL株式会社 (13)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】