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白金薬剤と結合されたポリマー
説明

白金薬剤と結合されたポリマー

ポリマーにプラチナ化合物が結合した種々の生体適合性ポリマーが調製される。このようなポリマーは、種々の薬物、生体分子及び造影剤の送達の用途に有用である。また、対象の治療、診断及び/又は造影するための該ポリマーの使用方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国仮出願第60/916857号(名称「白金薬剤と結合されたポリマー
」、2007年5月9(その内容すべては参照により本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する。
【0002】
ここに主として開示されるものは、白金化合物が結合された生体適合性ポリマー及びその製造方法である。ここに記載されるポリマー複合体は、種々の薬物、生体分子及び造影剤の送達の用途に有用である。さらに、対象の治療、診断、及び/又は造影のためここに記載のポリマー複合体を使用する方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
種々の系が、薬物、生体分子、及び造影剤の送達に使用されている。例えば、そのような系には、カプセル、リポソーム、ミクロ粒子、ナノ粒子、及びポリマーがある。
【0004】
種々のポリエステル系の生物分解性系が研究されその特徴を調べられている。ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸、及びそれらの共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)は、薬物送達の用途に対する設計及び性能についてよく特徴が調べられている生体材料のいくつかである。Uhrich,K.E.;Cannizzaro,S.M.;Langer,R.S.及びShakeshelf,K.M.“Polymeric Systems for Controlled Drug Release,”Chem.Rev.1999,99,3181−3198及びPanyam J.Labhasetwar V.“Biodegradable nanoparticles for drug and gene delivery to cells and tissues,”Adv.Drug.Deliv.Rev.2003,55,329−47参照。また、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPMA)も薬物送達用ポリマーの調製に広く使用されている。ポリオルトエステルをベースとする生物分解性系も研究されている。Heller,J.;Barr,J.:Ng,S.Y.;Abdellauoi,K.S.及びGurny,R.“Poly(ortho esters):synthesis,characterization,properties and uses.”Adv.Drug Del.Rev.2002,54,1015−1039参照。ポリ無水物系も研究されている。そのようなポリ無水物は、典型的に生体適合性であり、また代謝産物として生体から排除される相対的に無毒の化合物にインビボで分解され得る。Kumar,N.;Langer,R.S.及びDomb,A.J.“Polyanhydrides:an overview,”Adv.Drug Del.Rev.2002,54,889−91参照。
【0005】
アミノ酸系ポリマーも可能性のある新規な生体材料源として考えられている。良好な生体適合性を有するポリアミノ酸が、低分子量の化合物を送達するため研究されている。比較的少ない数のポリグルタミン酸及び共重合体が、薬物送達の候補材料として特定されている。Bourke,S.L.及びKohn,J.“Polymers derived from the amino acid L−tyrosine:polycarbonates,polyarylates and copolymers with poly(ethylene glycol).”Adv.Drug Del.Rev.2003,55,447−466参照。
【0006】
投与された疎水性の抗癌剤並びに治療蛋白質及びポリペプチドは、しばしばバイオアベイラビリティが低いという問題を生じる。そのような低いバイオアベイラビリティの原因は、疎水性薬物と水溶液との二相性溶液が不適合であるということ及び/又はそれらの分子が酵素的分解によって血液循環から速やかに除去されるということである。投与される蛋白質及びその他の小分子薬剤の効力を高める手法の一つは、投与される薬剤にポリマー例えばポリエチレングリコール(PEG)を結合させることを伴うものである。そのようなポリマーはインビボで酵素的分解に対して保護をもたらすことができる。そのような「PEG誘導体化」はしばしば循環時間を向上させ、従って投与される薬剤のバイオアベイラビリティを向上させる。
【0007】
しかしPEGはある点において欠点を有している。例えば、PEGは線状ポリマーであるため、枝分れポリマーに比べてPEGによりもたらされる立体保護は限られている。PEGの別の欠点は、それが一般的に2つの末端において誘導体化を受けやすいということである。このことは、PEGに結合し得る他の機能的分子(例えば特定の組織への蛋白質又は薬物の送達に有用なもの)の数を制限する。
【0008】
ポリグルタミン酸(PGA)は、疎水性抗癌剤を可溶化するため選択できる別のポリマーである。PGAに結合された多くの抗癌剤が報告されている。Chun Li.“Poly(L−glutamic acid)−anticancer drug conjugates.”Adv.Drug Del.Rev.,2002,54,695−713参照。しかし、現在FDAによって承認されているものはない。
【0009】
パクリタキセル(太平洋イチイの樹皮から抽出された)は、卵巣癌及び乳癌の治療に対してFDAが承認した薬物である。Wani他,“Plant antitumor agents.VI.The isolation and structure of taxol,a novel antileukemic and antitumor agent from Taxus brevifolia,”J.Am.Chem.Soc.1971,93,2325−7。しかし、他の抗癌剤と同様、パクリタキセルは、その疎水性及び水溶液不溶性のため、バイオアベイラビリティが低いという問題がある。パクリタキセルを可溶化する方法の一つは、それをクレモホールELと無水エタノールとの混合物(1:1、v/v)中に製剤化するということである。Sparreboom他,“Cremophor EL−mediated Alteration of Paclitaxel Distribution in Human Blood:Clinical Pharmacokinetic Implications,”Cancer Research,1999,59,1454−1457。この製剤はTaxol(登録商標)(Bristol−Myers Squibb)として現在商品化されている。パクリタキセルを可溶化する別の方法は、高剪断のホモジナイズを使用した乳化によるものである。Constantinides他,“Formulation Development and Antitumor Activity of a Filter−Sterilizable Emulsion of Paclitaxel,”Pharmaceutical Research 2000,17,175−182。最近、ポリマー−パクリタキセル複合体が、いくつかの臨床試験に進んでいる。Ruth Duncan“The Dawning era of polymer therapeutics,”Nature Reviews Drug Discovery 2003,2,374−360。さらに最近、パクリタキセルは、ヒトアルブミン蛋白質を用いてナノ粒子に製剤化され、臨床研究に使用されている。Damascelli他,“Intraarterial chemotherapy with polyoxyethylated castor oil free paclitaxel,incorporated in albumin nanoparticles(ABI−007):Phase II study of patients with squamous cell carcinoma of the head and neck and anal canal:preliminary evidence of clinical activity.”Cancer,2001,92,2592−602、及びIbrahim他,“Phase I and pharmacokinetic study of ABI−007,a Cremophor−free,protein−stabilized,nanoparticle formulation of paclitaxel,”Clin.Cancer Res.2002,8,1038−44。この製剤は現在Abraxane(登録商標)(American Pharmaceutical Partners,Inc.)として商品化されている。
【0010】
白金系薬剤のような親水性抗癌剤は、癌の治療に有効なもう1つの種類の臨床上認められている薬物である。しかし、それらの薬物は、毒性のため、臨床での使用が依然として限られている。多くのシスプラチン誘導体が治療用として研究されてきたが、ほとんどが成功していない。白金薬剤を使用する1つの手法として、白金薬剤を巨大分子又はポリマーに結合させる手法がある。米国特許第5965118号(HPMA−オリゴペプチド−Pt);第6692734号(HPMA−オリゴペプチド−アミドマロネート−Pt);第5985916号(ジアミド−ジアミンポリマー−Pt);第7166733号(アミドマロネート−Pt複合体);Haag他,“Polymer therapeutics: Concept and application,”Agnew.Chem.Int.Ed.,2006,45,1198−1215;Duncan,Ruth,“The Dawning Era of Polymer Therapeutics,”Nature Reviews Drugs Discovery,2003,2,347−360参照。白金薬剤を使用するもう1つの手法として、それを高分子ミセル中に組み込む手法がある。Nishiyama他,“Preparation and characterization of size−controlled polymeric micelle containing cis−dichlorodiammineplatinum(II) in the core,”Journal of Controlled Release,74(2001)83−94;Nishiyama他,“Novel cisplatin−incorporated polymeric micelles can eradicate solid tumors in mice,”Cancer Research,63,December 15,2003,8977−8983;Uchino他,“Cisplatin−incorporating polymeric micelles(NC−6004) can reduce nephrotoxicity and neurotoxicity of cisplatin in rats,”British Journal of Cancer,93(2005),678−687参照。しかし、ポリマー−白金複合体が溶解性を高め全身毒性を低減する手法として提案されてきた一方で、臨床研究への移行に成功したものはほとんどなく、またインビボで顕著な効果を示したものもほとんどなかった。失敗の原因は、生体適合性の欠如、提案された担体の毒性、抗腫瘍活性の欠如、及び/又はその他の問題であった。従って、癌治療用の白金薬剤を製剤しかつ利用する有効な方法を見出すことが依然として求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、白金含有化合物(例えば白金を含む薬物)に結合できる一連の新規なポリグルタミン酸塩−アミノ酸を発見した。相当数の作用因子、例えば造影剤、標的化剤、及び/又はその他の薬物も、また、このポリグルタミン酸塩−アミノ酸に結合させることができる。ある実施形態において、このポリマー及び得られる複合体は、ある特定の組織(例えば腫瘍組織)及び/又はある特定の受容体に優先的に蓄積し、従って、薬物(例えば、白金含有抗癌剤を含む抗癌剤)及び/又は造影剤を体の特定の部位(例えば腫瘍)に送達するのに有用である。ある特定の実施形態において、このポリマー及び得られるポリマー複合体は、ナノ粒子を形成することができる。該ナノ粒子は、水系において分子レベルで造影剤、標的化剤、磁気共鳴造影剤、及び/又は薬物を分散して効果的に可溶化し、それにより機能性及び/又はバイオアベイラビリティを高める。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに示す実施形態は、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有することができるポリマー複合体、に関する。式中、A、A、A、A、A及びAはそれぞれ独立して酸素又はNRとすることができ、ここでRは水素又はC1−4アルキルとすることができ;R、R、R、R、R及び各Rはそれぞれ独立して水素、C1−10アルキル基、C6−20アリール基、アンモニウム基、アルカリ金属、多座配位子、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体、白金を含む基、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基及び安定剤を含む基からなる群から選択されることができ;R、R、R、R、R及びRのうち、少なくとも1つは白金を含む基であり;m、n及びoはそれぞれ独立して1又は2とすることができ、s、t及びuはそれぞれ独立して0又は≧1であり、ここで、s、t及びuの合計は≧1以上とすることができる。
【0013】
ここに示す別の実施形態は、式(V)の繰り返し単位を有するポリマー反応物を溶媒に溶解又は部分的に溶解させて、溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を調製すること、式中、zは独立して1又は2であり、A及び各Aは酸素であり、かつR11及びR12はそれぞれ独立して水素、アンモニウム及びアルカリ金属からなる群から選択される;及び該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、白金を含む基を有する第2の反応物と反応させること、を有する、ポリマー複合体を製造する方法、に関する。
【0014】
ここに記載する別の実施形態は組成物に関する。該組成物は、ここに記載されるポリマー複合体を含むことができ、そして製薬上許容される賦形剤、担体、及び希釈剤から選択される少なくとも1つをさらに含む。
【0015】
ここに記載する別の実施形態は、病気又は症状の治療又は寛解が必要な哺乳動物にここに記載される有効量のポリマー複合体を投与することを有することができる病気又は症状を治療又は寛解する方法、に関する。
【0016】
別の実施形態により、ここに記載される有効量のポリマー複合体を哺乳動物に投与することを有する病気又は症状を診断する方法が提供される。
【0017】
別の実施形態により、ここに記載される有効量のポリマー複合体と組織の一部を接触させることを含む組織の一部を造影する方法が提供される。
【0018】
これらの及び他の実施形態を以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
特に断らない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書で引用するすべての特許、出願、出願公開公報、及び他の刊行物は、特に断らない限り、参照によりそれらの内容すべてが本明細書に組み込まれる。本明細書において一つの用語に対して複数の定義が存在する場合、特に断らない限り、この章における定義を優先する。
【0020】
用語「エステル」は、その通常の意味を有するものとして本明細書で使用されており、従って、式−(R)−COOR’(式中、R及びR’は独立してアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基(環炭素を介して結合)、及び複素脂環式基(環炭素を介して結合)からなる群から選択され、かつnは0又は1である)の化学部位を含む。
【0021】
用語「アミド」は、その通常の意味を有するものとして本明細書で使用されており、従って、式−(R)−C(O)NHR’又は−(R)−NHC(O)R’(式中、R及びR’は独立してアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基(環炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環式基(環炭素を介して結合)からなる群から選択され、かつnは0又は1である)の化学部位を含む。アミドは、本明細書に示す薬物分子に結合されたアミノ酸又はペプチド分子中に含まれてもよく、従ってプロドラッグを形成してもよい。
【0022】
本明細書に開示する化合物上の任意のアミン、ヒドロキシ、又はカルボキシル側鎖は、エステル化又はアミド化することができる。この目的を達成するため使用する手法及び特定の基は、当業者の知るところであり、参照文献、例えばGreene及びWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley & Sons,New York,NY,1999(その内容すべてが本明細書に組み込まれる)において容易に見出すことができる。
【0023】
本明細書で使用するとき、「アルキル」は、完全に飽和の(二重結合又は三重結合がない)炭化水素基を含む線状又は枝分れの炭化水素鎖を指す。アルキル基は1〜20の炭素原子を有してもよい(ここで「1〜20」などの数の範囲を示す場合は必ず、所定の範囲内にある各整数を指している。例えば、「1〜20の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、・・・そして最高20個までの炭素原子からなってもよいことを意味する。なお、この定義は、数の範囲を指定しない場合の用語「アルキル」に対してもあてはまる)。アルキル基は1〜10の炭素原子を有する中位のサイズのアルキルであってもよい。またアルキル基は1〜5の炭素原子を有する低級アルキルとすることもできる。化合物のアルキル基は「C〜Cアルキル」等のように呼ぶことができる。単なる例示であるが、「C〜Cアルキル」はアルキル鎖中に1〜4の炭素原子が存在することを示しており、すなわちアルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びt−ブチルから選ばれる。典型的なアルキル基にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0024】
アルキル基は置換されていてもよく置換されていなくてもよい。置換されている場合、1つ又は複数の置換基は、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護されたC−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル(例えばモノハロアルキル、ジハロアルキル、及びトリハロアルキル)、ハロアルコキシ(例えばモノハロアルコキシ、ジハロアルコキシ、及びトリハロアルコキシ)、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、及びアミノ(一置換アミノ基及び二置換アミノ基を含む)、並びにそれらの保護された誘導体からそれぞれ独立して選択される一種以上の基である。ある置換基が「必要に応じて置換」と記載される場合、その置換基は上記置換基のいずれか1つによって置換されていてよい。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「アリール」は、完全に非局在化されたπ電子系を有する炭素環(すべて炭素)の単環式又は多環式芳香環系を指す。アリール基の例にはベンゼン、ナフタレン、及びアズレンがあるが、これらに限定されない。本発明のアリール基は、置換されていてもよく置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基が特に示されていない限り、水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護されたC−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル(例えばモノハロアルキル、ジハロアルキル、及びトリハロアルキル)、ハロアルコキシ(例えばモノハロアルコキシ、ジハロアルコキシ、及びトリハロアルコキシ)、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、及びアミノ(一置換アミノ基及び二置換アミノ基を含む)、並びにそれらの保護された誘導体から独立して選択される一種以上の基である1つ又は複数の置換基によって置換されている。
【0026】
「常磁性金属キレート」は、配位子が常磁性金属イオンに結合している錯体である。その例には1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)−Gd(III)、DOTA−イットリウム−88、DOTA−インジウム−111、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)−Gd(III)、DTPA−イットリウム−88、DTPA−インジウム−111があるが、これらに限定されない。
【0027】
「多座配位子」は、2つ以上の結合点を介して、例えば配位共有結合により、金属イオンにそれ自身を結合させることができる配位子である。多座配位子の例には、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、(1,2−エタンジイルジニトリロ)四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン、2,2’−ビピリジン(bipy)、1,10−フェナントロリン(phen)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、2,4−ペンタンジオン(acac)、及びエタン二酸(ox)があるが、これらに限定されない。
【0028】
「保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体」は、適当な保護基で保護された酸素原子(例えばカルボキシル基の単結合酸素原子)を含む多座配位子である。適当な保護基には低級アルキル基、ベンジル基、及びシリル基があるがこれらに限定されない。
【0029】
「安定剤」は、バイオアベイラビリティを高め、かつ/又は加水分解酵素に対してより耐性にし免疫原性を低くすることによってインビボでの担体−薬物複合体の半減期を延ばす置換基である。典型的な安定剤はポリエチレングリコール(PEG)である。
【0030】
当然のことながら、1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が特に示されていない場合、各中心は、独立してR配置若しくはS配置、又はその両方である。従って、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であってもよいし、あるいは立体異性体の混合物であってもよい。また当然のことながら、1つ以上の二重結合を有する本明細書に記載の任意の化合物でE又はZとして定義し得る幾何異性体をもたらすものにおいて、各二重結合は独立してE若しくはZ又はその両方であってもよい。同様に、すべての互変異性型を含むことも意図するところである。
【0031】
一つの実施形態として、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有することができるポリマー複合体を提供する。
【化1】

(式中、各A、A、A、A、A及びAは独立して酸素又はNRとすることができ、ここでRは水素又はC1−4アルキルとすることができる;R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素、C1−10アルキル基、C6−20アリール基、アンモニウム基、アルカリ金属、多座配位子、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体、白金を含む基、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、及び安定剤を含む基からなる群から選択され;R、R、R、R、R及びRのうち、少なくとも1つは白金を含む基とすることができ、m、n及びoはそれぞれ独立して1又は2とすることでき、s、t及びuはそれぞれ独立して0又は≧1であり、ここで、s、t及びuの合計は≧1以上とすることができる。)
【0032】
白金を含む基は、白金を含む任意の化合物であることができる。一実施形態において、白金を含む基は、抗癌剤が含有する。一実施形態において、該抗癌剤は、シスプラチン(cDDP又はシス−ジアミンジクロロ白金(II))、カルボプラチン、オキサリプラチン及びそれらの組み合わせから選択することができる。
【0033】
シスプラチンは、広範な症状の治療に使用される。例えば、シスプラチンは、精巣腫瘍、卵巣腫瘍、及び頭頚部腫瘍の治療に使用することができる。カルボプラチンは、シスプラチン類似体であり、シスプラチンのクロリド配位子が1,1−シクロブタン−ジカルボン酸キレートで置換されたものである。オキサリプラチンは、別のシスプラチン類似体であり、シスプラチンのアンモニア配位子がトランス−1R,2R−ジアミノシクロヘキサン(1R,2R−DACH)キレートで置換され、クロリド配位子がシュウ酸キレートで置換されたものである。これらの小分子白金錯体をここに記載されるポリマーに結合させることによって、白金薬剤の腫瘍組織への標的化が可能な形態が得られる。
【0034】
白金を含む基は、種々の態様でポリマーに結合させることができる。一実施形態において、R、R、R、R、R及びRの1つのみを、白金を含む基とすることができる。別の一実施形態において、白金を含む基は、A、A、A、A、A及びAの2つ以上に結合させることができる。例えば、白金を含む基は、AとAの両方、AとAの両方、又はAとAの両方に結合させることができる。一実施形態において、sを1以上とすることができ、かつt及びuを0とすることができる。一実施形態において、白金を含む基は、A及びAに結合させることができる。例えば、式(I)の繰り返し単位は、以下の構造を有することができる。
【化2】

(式中、各Rは独立してモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアリールアミン、及びジアリールアミンから選択することができる。)
【0035】
別の一実施形態において、R、R、R、R、R及びRの2つ以上が白金を含む基であってもよく、ここで該白金を含む基は、式(I)、(II)及び(III)の1つより多い繰り返し単位に存在する。一実施形態において、s+tは2以上とすることができる。一実施形態において、白金を含む基は、A及びAに結合させることができる。別の一実施形態において、白金を含む基は、A及びAに結合させることができる。別の一実施形態において、白金を含む基は、A及びAに結合させることができる。白金を含む基が式(I)と式(II)の両方に結合する一実施形態において、uは≧1とすることができる。一実施形態において、R及びRの少なくとも1つを、薬物を含む基とすることができ、ここで白金を含む基と薬物を含む基とは同じものではない。一実施形態において、R及びRの少なくとも1つは、多座配位子、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、及び安定剤を含む基から選択することができる。
【0036】
一実施形態において、ポリマー複合体は、架橋可能な単位を含むことができる。一実施形態において、架橋可能な単位は、反応により別のポリマー鎖又は側鎖と共有結合を形成できるものである。一実施形態において、架橋可能な単位は、白金を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、架橋単位を含むことができる。一実施形態において、架橋単位は、1つのポリマー鎖又は側鎖と別のポリマー鎖又は側鎖との間で共有結合を形成することができる。一実施形態において、架橋単位は白金を含むことができる。
【0037】
一実施形態において、s+tは2以上とすることができ、uは0とすることができ、R、R、R、及びRの少なくとも1つは白金を含む基とすることができ、かつR、R、R、及びRの少なくとも1つは薬物を含む基とすることができ、ここで該白金を含む基と該薬物を含む基とは同じものではない。
【0038】
一実施形態において、s+tは2以上とすることができ、uは0とすることができ、R、R、R、及びRの少なくとも1つは白金を含む基とすることができ、かつR、R、R、及びRの少なくとも1つは多座配位子、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、及び安定剤を含む基から選択することができる。
【0039】
一実施形態において、s+t+uは3とすることができる。一実施形態において、R及びRはそれぞれ独立して水素、C1−10アルキル基、C6−20アリール基、アンモニウム基、及びアルカリ金属から選択することができる。
【0040】
他の種々の繰り返し単位が、式(I)、式(II)及び(III)から選ばれる繰り返し単位のうち少なくとも1つを有するポリマー複合体に含まれてもよい。一実施形態において、ポリマー複合体は以下の式(IV)の繰り返し単位をさらに含むことができる。
【化3】

(式中、各Rは水素、アンモニウム又はアルカリ金属とすることができる。)R基が水素であるとき、式(IV)の繰り返し単位はグルタミン酸の繰り返し単位である。
【0041】
ポリマーに結合される白金の量は、広範囲に変わり得る。一実施形態においてポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する白金の質量比(ポリマー複合体中に占める白金の量の重量の割合)で、約0.5%〜約50%(重量/重量)の範囲の量の白金を含むことができる。一実施形態においてポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する白金の量の質量比で、約1%〜約40%(重量/重量)の範囲の量の白金を含むことができる。一実施形態においてポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する白金の質量比で、約1%〜約30%(重量/重量)の範囲の量の白金を含むことができる。一実施形態においてポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する白金の質量比で、約1%〜約20%(重量/重量)の範囲の量の白金の量を含むことができる。一実施形態においてポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する白金の質量比で、約1%〜約10%(重量/重量)の範囲の量の白金を含むことができる。
【0042】
一実施形態において、ポリマー複合体は作用因子、多座配位子及び多座配位子前駆体のうち、少なくとも1つを含むことができる。一実施形態において、作用因子は薬物、標的化剤、光造影剤、磁気共鳴造影剤、及び安定剤からなる群から1つ以上選択することができる。
【0043】
薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、多座配位子を含む基、多座配位子前駆体を含む基、安定剤を含む基及び白金を含む基の1つ以上を、多くの異なる方法でポリマーに結合させることができる。ある実施形態において、上記化合物は、ポリマー(例えば式(I)、(II)及び/又は(III)の繰り返し単位)に直接結合させることができる。一実施形態において、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、多座配位子を含む基、多座配位子前駆体を含む基、安定剤を含む基及び白金を含む基の1つ以上を、ポリマーに直接結合させることができる。一実施形態において、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、多座配位子を含む基、多座配位子前駆体を含む基、安定剤を含む基及び白金を含む基の1つ以上を、該作用因子又は薬物の酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び/又は炭素原子を介してポリマーに直接結合させることができる。他の実施形態において、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、多座配位子を含む基、多座配位子前駆体を含む基、安定剤を含む基及び白金を含む基の1つ以上は、リンカー基をさらに有することができる。一実施形態において、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、多座配位子を含む基、多座配位子前駆体を含む基、安定剤を含む基の1つ以上が、リンカー基をさらに有することができる。一実施形態において、白金を含む基が、リンカー基をさらに有することができる。リンカー基は、例えば作用因子(あるいは作用因子からなる化合物)をポリマーに結合する基である。一実施形態において、上記化合物の1つ以上を、リンカー基を介して、ポリマー(例えば式(I)、(II)及び/又は(III)の繰り返し単位)に結合させることができる。リンカー基は比較的小さなものとすることができる。例えば、リンカー基は、アミン、アミド、エーテル、エステル、ヒドロキシル基、カルボニル基、又はチオールエーテル基からなることができる。一方、リンカー基は比較的大きなものとすることができる。例えば、リンカー基は、アルキル基、エーテル基、アリール基、アリール(C1−6アルキル)基(例えばフェニル−(CH1−4−)、ヘテロアリール基、又はヘテロアリール(C1−6アルキル)基からなることができる。一実施形態において、リンカーは−NH(CH1−4−NH−とすることができる。他の一実施形態において、リンカーは−(CH1−4−アリール−NH−とすることができる。リンカー基は、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、多座配位子を含む基、多座配位子前駆体を含む基、安定剤を含む基及び白金を含む基の1つ以上の任意の適当な位置に結合させることができる。例えば、リンカー基は、上記化合物の1つの炭素に、水素の代わりに結合させることができる。リンカー基は、当業者に知られた方法を用いて上記化合物に付加することができる。
【0044】
作用因子は任意の種類の活性化合物を含んでいてよい。一実施形態において、作用因子は光造影剤を含んでいてよい。好ましい実施形態において、光造影剤は、アクリジン色素、クマリン色素、ローダミン色素、キサンテン色素、シアニン色素、及びピレン色素から選択される1種以上とすることができる。例えば、具体的な光造影剤には、Texas Red、Alexa Fluor(登録商標)色素、BODIPY(登録商標)色素、フルオレセイン、Oregon Green(登録商標)色素、及びRhodamine Green(商標)色素(これらは市販されているか又は当業者に知られた方法により容易に調製される)が含まれ得る。
【0045】
別の実施形態において、作用因子は薬物を含むことができる。一実施形態において、作用因子は抗癌剤を含むことができる。一実施形態において、抗癌剤はタキサン、カンプトテカ、及びアントラサイクリンから選択することができる。作用因子がタキサンを含む場合、タキサンはパクリタキセル又はドセタキセルであることが好ましい。パクリタキセルは、パクリタキセルのC2’炭素を介して酸素原子において式(I)の繰り返し単位、式(II)の繰り返し単位又は式(III)の繰り返し単位に結合させることができる。あるいは又はそれに加えて、パクリタキセルは、パクリタキセルのC7炭素を介して酸素原子において式(I)の繰り返し単位、式(II)の繰り返し単位又は式(III)の繰り返し単位のうち少なくとも1つに結合させることができる。抗癌剤がカンプトテカの場合、それはカンプトテシンであることが好ましい。一実施形態において、抗癌剤がアントラサイクリンの場合、それはドキソルビシンとすることができる。
【0046】
別の実施形態において、作用因子は標的化剤であってよい。好ましい実施形態において、標的化剤はアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド、フィブロネクチン、葉酸、ガラクトース、アポリポ蛋白質、インスリン、トランスフェリン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、及び抗体から選択される1種以上とすることができる。他の好ましい実施形態において、標的化剤は、α,β−インテグリン、葉酸、アシアロ糖蛋白質、低密度リポ蛋白質(LDL)、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、上皮細胞増殖因子(EGF)受容体、及び抗体受容体から選択される受容体と相互作用し得る。一実施形態において、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチドは環状(fKRGD)である。
【0047】
別の実施形態において、作用因子は磁気共鳴造影剤を含むことができる。一実施形態において、磁気共鳴造影剤は常磁性金属化合物を含むことができる。例えば、磁気共鳴造影剤はGd(III)化合物を含んでいてよい。一実施形態において、Gd(III)化合物は以下から選択することができる。
【化4】

及び
【化5】

【0048】
別の実施形態において、作用因子は安定剤を含むことができる。好ましい実施形態において、安定剤はポリエチレングリコールである。
【0049】
別の実施形態において、ポリマー複合体は多座配位子を含むことができる。一実施形態において、多座配位子は、常磁性金属と反応して磁気共鳴造影剤を形成できるものであってよい。多座配位子は、数個のカルボン酸基及び/又はカルボキシレート基を含んでいてよい。一実施形態において、多座配位子は以下から選択することができる。
【化6】

及び
【化7】

式中、各R及びR10は独立して水素、アンモニウム、又はアルカリ金属とすることができる。
【0050】
別の実施形態において、ポリマー複合体は、多座配位子前駆体を含むことができる。そのような実施形態において、多座配位子の酸素原子は、適当な保護基により保護される。適当な保護基には低級アルキル基、ベンジル基、及びシリル基があるが、これらに限定されない。保護基を有する多座配位子前駆体の一例を以下に示す。
【化8】

【0051】
一実施例において、m、n、又はoのうち少なくとも1つは1であり得る。一実施例において、m、n、又はoのうち少なくとも1つは2であり得る。
【0052】
ある実施形態においては、ここに記載するポリマーはアルカリ金属(例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb))を含有する。一実施形態においてアルカリ金属はナトリウム又はカリウムとすることができる。一実施形態において、アルカリ金属はナトリウムとすることができる。
【0053】
ポリマー中に存在する1つ又は複数の作用因子(例えば標的化剤、光造影剤、磁気共鳴造影剤及び/又は安定剤)の量は、広範囲に変わり得る。また、ポリマー中に存在する配位子又は配位子前駆体の量も広範囲に変わり得る。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比(1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の重量がポリマー複合体中に占める割合)で、約0.1%〜約50%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比で、約1%〜約40%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比で、約1%〜約30%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比で、約1%〜約20%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比で、約1%〜約10%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比で、約5%〜約40%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比で、約10%〜約30%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比で、約20%〜約40%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体に対する1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体の質量比で、約30%〜約50%(重量/重量)の範囲の量の1つ又は複数の作用因子、配位子及び/又は配位子前駆体を含むことができる。
【0054】
式(I)の繰り返し単位、式(II)の繰り返し単位及び式(III)の繰り返し単位を少なくとも2つ含むポリマーは、2種以上の異なる繰り返し単位を含む共重合体である。また、式(I)の繰り返し単位式(II)の繰り返し単位及び式(III)の繰り返し単位を少なくとも一つ含むポリマーは、式(I)、式(II)及び式(III)ではない他の繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。式(I)の繰り返し単位、式(II)の繰り返し単位及び式(III)の繰り返し単位の数は、それぞれ独立して選択され、広範囲に変わり得る。一実施形態において、式(I)の繰り返し単位、式(II)の繰り返し単位及び式(III)の繰り返し単位の数は、約50〜約5000の範囲内、例えば約100〜約2000の範囲内とすることができる。
【0055】
ポリマー複合体における繰り返し単位総数に対する式(I)の繰り返し単位の割合は、広範囲に変わり得る。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約100モル%までの式(I)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約99モル%の式(I)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約50モル%の式(I)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約30モル%の式(I)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約20モル%の式(I)の繰り返し単位を含むことができる。別の実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約10モル%の式(I)の繰り返し単位を含むことができる。
【0056】
ポリマー複合体における繰り返し単位総数に対する式(II)の繰り返し単位の割合は、広範囲に変わり得る。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約100モル%までの式(II)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約99モル%の式(II)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約50モル%の式(II)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約30モル%の式(II)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約20モル%の式(II)の繰り返し単位を含むことができる。別の実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約10モル%の式(II)の繰り返し単位を含むことができる。
【0057】
同様に、ポリマー複合体における繰り返し単位総数に対する式(III)の繰り返し単位の割合は、広範囲に変わり得る。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約100モル%までの式(III)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約99モル%の式(III)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約50モル%の式(III)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約30モル%の式(III)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約20モル%の式(III)の繰り返し単位を含むことができる。別の実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約10モル%の式(III)の繰り返し単位を含むことができる。
【0058】
別の実施形態において、ポリマーは式(IV)の繰り返し単位を含むことができる。同様に、ポリマー複合体における繰り返し単位総数に対する式(IV)の繰り返し単位の割合は、広範囲に変わり得る。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約99モル%までの式(IV)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約99モル%の式(IV)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約50モル%の式(IV)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約30モル%の式(IV)の繰り返し単位を含むことができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約20モル%の式(IV)の繰り返し単位を含むことができる。別の実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマー複合体における繰り返し単位の総モルに対して、約1モル%〜約10モル%の式(IV)の繰り返し単位を含むことができる。
【0059】
一実施形態において、ここに記載されるポリマー複合体(例えば式(I)、式(II)及び/又は式(III)の単位を有するポリマー複合体)は、PPARγを活性化できる作用因子をさらに有することができる。その適当な作用因子には、ロシジタグロン(rosizitaglone)及びピオグリタゾンがあるが、これらに限定されるものではない。PPARγを活性化できる作用因子は、種々の方法でここに記載のポリマー複合体に含ませることができる。例えば、PPARγを活性化できる作用因子は、ポリマー複合体(例えば式(I)、式(II)、及び/又は式(III)の単位を有するポリマー複合体)に、直接共有結合させることができ、又は、ここに記載されるようなリンカー基を介して共有結合させることができる。一方、PPARγを活性化できる作用因子は、ここに記載されるポリマー複合体のポリマーマトリックス中に共有結合によらずに封入又は部分的に封入することができる。
【0060】
一実施形態において、白金化合物は、ここに記載されるポリマー複合体のポリマーマトリックス中に共有結合によらずに封入又は部分的に封入することができる。例えば、ここに記載されるポリマー複合体は、種々の形態で存在することができ、例えば、粒子、フレーク、棒状体、繊維、フィルム、泡、懸濁物(液体又は気体中の)、ゲル、固体又は液体の形態で存在することができる。これら種々の形態の大きさ及び形は、限定されない。遊離の共有結合されていない白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチン)は、マトリックスを形成するここに記載のポリマー複合体と混合することができ、そしてその中に共有結合によらずに封入又は部分的に封入することができる。
【0061】
一実施形態において、1つ又は複数の作用因子の量、及び式(I)、式(II)及び/又は式(III)の繰り返し単位のパーセント量を選択することによって、得られるポリマー複合体の溶解度を有利に制御できる。例えば、いくつかの実施形態において、1つ又は複数の作用因子及び式(I)、式(II)及び/又は式(III)の繰り返し単位のパーセント量を選択することにより、目的とする特定のpH及び/又はpH範囲においてポリマー複合体を可溶性(又は不溶性)にすることができる。いくつかの実施形態では、溶解度を制御するためポリマーの分子量も選択することができる。当業者は、本明細書の記載に従って、日常的な実験により、所望の溶解特性を有するポリマー複合体をもたらすような1つ又は複数の作用因子の適当な量及び種々の繰り返し単位の適当なパーセント量を特定することができる。そのような溶解度の制御は、用途に応じて有利となり得る。例えば、ここに記載されるポリマー複合体の実施形態を用いることにより、溶解度が低い抗癌薬の選択した組織への送達を向上させることができ、好ましくは、望ましくない副作用を低減することができ、かつ/又は対象が抗癌薬投与を受けなければならない頻度を減らすことができる。
【0062】
また、1つ又は複数の作用因子並びに式(I)、(II)及び/又は(III)の繰り返し単位のパーセント量を選択することによって、同じ1つ又は複数の作用因子を実質的に同じ量で含む比較のポリグルタミン酸複合体の溶解度よりも高いポリマー複合体の溶解度をもたらすことができる。一実施形態において、ポリマー複合体の溶解度は、比較のポリグルタミン酸複合体の溶解度よりも高くすることができる。溶解度の測定は、約22℃において0.9wt%のNaCl水溶液中ポリマー複合体を5mg/mL以上含むポリマー複合体溶液を調製し、その光学的透明度を測定することによって行うことができる。光学的透明度は、例えば、目視観測により、又は当業者に知られた適当な計器を使用する方法により、濁度を測定することによって決定することができる。得られる溶解度を同様に調製したポリグルタミン酸複合体溶液と比較することで、より広いpH値の範囲において光学的透明度がより高いことが明らかになれば、溶解度が向上したことがわかる。従って、約22℃において0.9wt%のNaCl水溶液中ポリマー複合体を5mg/mL以上含むポリマー複合体の試験溶液が、比較のポリグルタミン酸複合体の試験溶液と比べて、より広いpH範囲においてより高い光学的透明度を有する場合、ポリマー複合体の溶解度は、実質的に同じ量の作用因子及び/又は薬物を含む比較のポリグルタミン酸複合体の溶解度よりも高い。当業者に明らかなとおり、「比較の」ポリグルタミン酸複合体は対照材料であり、そこにおいて、複合体のポリマー部分は、比較の対象となっているポリマー複合体(式(I)、式(II)及び/又は式(III)の繰り返し単位を有する)とほぼ同じ分子量を有する。
【0063】
ポリマー複合体は1つ以上のキラル炭素原子を含み得る。キラル炭素(アステリスクで示すことができる)は、R(rectus(右旋))配置又はS(sinister(左旋))配置をとることができ、従って、繰り返し単位は、ラセミ体、エナンチオマー、又はエナンチオマー過剰とすることができる。本明細書の別の個所で使用する記号「n」及び「」(キラル炭素を指定)も、特に断らない限り、上記と同じ意味を有する。
【0064】
式(I)、式(II)、及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリマーは、種々の方法で調製することができる。一実施形態において、ポリマー反応物を溶媒に溶解又は部分的に溶解させることにより、溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を調製することができる。次いで、溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、第2の反応物と反応させて、中間生成物を形成することができ、又は、ある実施形態において式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリマーを形成することができる。一実施形態において、第2の反応物は、白金を含む基を有することができる。一実施形態において、白金を含む基は、シスプラチンを含む基とすることができる。一実施形態において、白金を含む基は、カルボプラチンを含む基とすることができる。一実施形態において、白金を含む基は、オキサリプラチンを含む基とすることができる。一実施形態において、シスプラチンを含む基、カルボプラチンを含む基及びオキサリプラチンを含む基の種々の組み合わせを、ここに記載されるポリマーに結合させることができる。
【0065】
ポリマー反応物は、式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位を少なくとも一つ含むポリマーを形成することができる任意の適当な材料を含むことができる。一実施形態において、ポリマー反応物は以下の式(V)の繰り返し単位を含む。
【化9】

(式中、zは独立して1又は2とすることができ、A及び各Aは酸素であり、かつR11及びR12はそれぞれ独立して水素、アンモニウム及びアルカリ金属からなる群から選択されることができる。)
【0066】
溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物は、第2の反応物と反応させることができ、第2の反応物は白金を含む基を有する。一実施形態において、第2の反応物は、ヒドロキシ及びアミンからなる群から選択される置換基を有することができる。
【0067】
一実施形態において、白金を含む基は抗癌剤であり得る。一実施形態において、白金を含む基はシスプラチンであり得る。一実施形態において、白金を含む基はカルボプラチンであり得る。一実施形態において、白金を含む基はオキサリプラチンであり得る。
【0068】
遊離の(共有結合されていない)白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチン)とここに記載されるポリマー複合体との混合物を、種々の方法で調製することができ、それにより例えば、共有結合によらずに白金化合物の一部又は全部が封入された又は部分的に封入されたマトリックスを形成することができる。そのような混合物は、例えば、結合された薬物と結合されていない薬物の両方を含むことができる。ポリマー複合体は、白金を有する基との混合物を調製するため、種々の溶媒に溶解又は部分的に溶解することができる。一実施形態において、溶媒は、親水性溶媒(例えば極性溶媒)を含むことができる。適当な極性溶媒には、プロトン性溶媒、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ギ酸、及び酢酸がある。他の適当な極性溶媒には、非プロトン酸、例えばアセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、及び1,4−ジオキサンがある。一実施形態において、溶媒は水性溶媒(例えば水)とすることができる。
【0069】
溶媒へのポリマー複合体の溶解又は部分的な溶解は、従来の機械的手法を用いてさらに促進することができる。例えば、ポリマー複合体を溶媒中で振とう又は撹拌することにより溶解又は部分的溶解をもたらすことができる。一実施形態において、ポリマーと溶媒は、超音波処理される。超音波処理は、音のエネルギー、例えば超音波エネルギーを印加してサンプル中の粒子を撹拌する作用である。超音波処理は、例えば超音波槽又は超音波プローブを用いて行うことができる。ポリマーが溶解される程度は、機械的振とう又は撹拌の強さ及び時間を変えることにより、又は超音波処理の条件を変えることにより制御することができる。振とう、撹拌、又は超音波処理は、任意の時間にわたって行うことができる。例えば、混合物を、数秒〜数時間の範囲の時間、超音波処理することができる。一実施形態において、ポリマー複合体は、約1分〜約10分の範囲の時間、溶媒中で超音波処理される。一実施形態において、ポリマー複合体は、溶媒中で約5分間、超音波処理される。
【0070】
一実施形態において、白金を含む基は、ポリマー複合体溶液に添加することができる。白金を含む基は、それをポリマー複合体と混合する前に、種々の溶媒中に溶解又は部分的に溶解してもよいし、そうでなくともよい。白金を含む基が溶媒に溶解又は部分的に溶解する場合、溶媒は親水性溶媒(例えば極性溶媒)を含むことができる。適当な極性溶媒には、プロトン性溶媒、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ギ酸、酢酸及びアセトンがある。他の適当な極性溶媒には、非プロトン酸、例えばアセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサンがある。一実施形態において、白金を含む基をアルコールに溶解又は部分的に溶解することができる。一実施形態において、白金を含む基をエタノールに溶媒又は部分的に溶解することができる。
【0071】
白金を含む基を例えばピペットを用いてポリマー複合体溶液に添加した後、さらなる撹拌を行うことができる。例えば、ポリマー複合体と白金を含む基の溶液を、振とう又は撹拌してもよい。一実施形態において、ポリマー複合体と白金を含む基の溶液を超音波処理することができる。振とう、撹拌、又は超音波処理は、任意の時間にわたって行うことができる。例えば、混合物を、数秒〜数時間の範囲の時間、超音波処理することができる。一実施形態において、ポリマー複合体と白金を含む基の溶液を、約1分〜約10分の範囲の時間、超音波処理することができる。一実施形態において、ポリマー複合体と白金を含む基の溶液を、約5分間、超音波処理することができる。
【0072】
一実施形態において、ポリマー複合体と白金を含む基は、それらのいずれかを溶媒に溶解する前に、互いに混合することができる。一実施形態において、溶媒又は複数の溶媒の混合物を、ポリマー複合体と白金を含む基の混合物に添加することができる。溶媒又は複数の溶媒の混合物を、ポリマー複合体と白金を含む基に添加した後、ポリマー複合体と白金を含む基の一方又は両方を溶解又は部分的に溶解することができる。溶媒又は複数の溶媒の混合物は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、及び1,4−ジオキサンの1つ以上を含有することができる。一実施形態において、複数の溶媒の混合物は、アルコールと水を含有する。一実施形態において、複数の溶媒の混合物は、エタノールと水を含有する。
【0073】
次いで、必要に応じて、白金を含むポリマー複合体は分離及び/又は精製してもよい。当業者に知られた適当な方法を用いて、白金を含むポリマー複合体を分離及び/又は精製することができる。次いで、組成物を当業者に知られた任意の適当な方法によって乾燥することができる。例えば、一実施形態において、組成物は凍結乾燥される。組成物を凍結乾燥する条件は様々となり得る。一実施形態において、混合物は、約−30℃〜約−10℃の範囲にある温度で凍結乾燥される。また一実施形態において、混合物は、約−20℃の温度で凍結乾燥される。一旦、組成物を必要に応じて分離かつ乾燥した場合、次いで組成物を適当な条件において保存することができる。例えば、上述したような凍結乾燥に適する温度で組成物を保存してもよい。
【0074】
一実施形態において、溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、第3の反応物と反応させることができる。第3の反応物との反応は、溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を第2の反応物と反応させる前に、それとほぼ同時に、又はその後に、行うことができる。第3の反応物には、種々の化合物があり得る。一実施形態において、第3の反応物は、作用因子を含む基を含むことができる。作用因子は、任意の活性化合物とすることができる。例えば、作用因子は、薬物、標的化剤、光造影剤、磁気共鳴造影剤、安定剤及びPPARγを活性化する作用因子(例えばロシジタグロン及びピオグリタゾン)からなる群から選択することができる。ある実施形態において、第3の反応物は、多座配位子又は保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、第3の反応物は、PPARγを活性化する作用因子(例えばロシジタグロン及びピオグリタゾン)を含むことができる。一実施形態において、第3の反応物は、置換基を有することができる。該置換基は、ヒドロキシ及びアミンから選択することができる。
【0075】
一実施形態において、溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、第4の反応物と反応させることができる。第3の反応物との反応は、溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を第4の反応物と反応させる前に、それとほぼ同時に、又はその後に、行うことができる。第4の反応物には、種々の化合物があり得る。一実施形態において、第4の反応物は、作用因子を含む基を含むことができる。作用因子は、任意の活性化合物とすることができる。例えば、作用因子は、薬物、標的化剤、光造影剤、磁気共鳴造影剤、安定剤、及びPPARγを活性化する作用因子(例えばロシジタグロン及びピオグリタゾン)からなる群から選択することができる。ある実施形態において、第3の反応物は、多座配位子又は保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体を含むことができる。一実施形態において、第4の反応物は、PPARγを活性化する作用因子(例えばロシジタグロン及びピオグリタゾン)を含むことができる。一実施形態において、第4の反応物は、置換基を有することができる。該置換基は、ヒドロキシ及びアミンから選択することができる。
【0076】
一部の実施形態において、薬物は抗癌剤であり得る。一実施形態において、抗癌剤はタキサン、カンプトテカ、及びアントラサイクリンから選択することができる。一実施形態において抗癌剤はタキサンを含むことができる。タキサンはパクリタキセル及びドセタキセルから選択され得る。パクリタキセルは、いくつかの方法によりポリマーに結合させることができる。一実施形態において、パクリタキセルは、C2’炭素に結合する酸素原子において式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位の少なくとも1つに結合させることができる。別の実施形態において、パクリタキセルは、C7−炭素に結合する酸素原子において式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位の少なくとも1つに結合させることができる。一実施形態において、抗癌剤がカンプトテシンのようなカンプトテカとすることができる。一実施形態において、抗癌剤がドキソルビシンのようなアントラサイクリンとすることができる。一実施形態において、薬剤を含む群と白金を含む群は同じではない。
【0077】
一実施形態において、標的化剤は、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド、フィブロネクチン、葉酸、ガラクトース、アポリポ蛋白質、インスリン、トランスフェリン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、及び抗体から選択されることができる。一実施形態において、標的化剤は、α,β−インテグリン、葉酸、アシアロ糖蛋白質、低密度リポ蛋白質(LDL)、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、上皮細胞増殖因子(EGF)受容体、及び抗体受容体から選択される受容体と相互作用することができる。一部の実施形態において、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチドは環状(fKRGD)とすることができる。
【0078】
一実施形態において、光造影剤は、アクリジン色素、クマリン色素、ローダミン色素、キサンテン色素、シアニン色素、及びピレン色素から選択され得る。一実施形態において、安定剤はポリエチレングリコールとすることができる。
【0079】
一実施形態において、作用因子を含む化合物は磁気共鳴造影剤を含むことができる。別の実施形態において、磁気共鳴造影剤は常磁性金属化合物を含むことができる。作用因子を含む化合物はGd(III)化合物を含むことが好ましい。例えば、Gd(III)化合物には以下のものがある。
【化10】

及び
【化11】

【0080】
一実施形態において、多座配位子をポリマーに結合させてもよい。任意の適当な多座配位子を用いることができる。一実施形態において、多座配位子は、常磁性金属と反応して磁気共鳴造影剤を形成できるものとすることができる。例えば、多座配位子は、数個のカルボン酸基及び/又はカルボキシレート基を含むことができる。例えば、以下の構造の多座配位子をポリマーに結合させることができる。
【化12】

及び
【化13】

式中、各R及びR10は独立して水素、アンモニウム、又はアルカリ金属である。
【0081】
別の実施形態において、保護基を有する多座配位子前駆体をポリマーに結合させてもよい。そのような前駆体は、その酸素原子が1つ又は複数の適当な保護基により保護されている。適当な保護基には低級アルキル基、ベンジル基、及びシリル基があるが、これらに限定されない。保護基を有する多座配位子前駆体の一例を以下に示す。
【化14】

【0082】
一部の実施形態において、溶解されたポリマー反応物又は部分的に溶解されたポリマー反応物は、第3の反応物との反応の前に第2の反応物の少なくとも一部と反応させることができる。一実施形態において、第2の反応物の少なくとも一部を加えた後生成する中間化合物は、第3の反応物を加える前に分離することができる。別の実施形態では、第2の反応物を加えた後生成する中間化合物を分離することなく、第3の反応物を加えることができる。他の実施形態において、溶解されたポリマー反応物又は部分的に溶解されたポリマー反応物は、第3の反応物との反応とほぼ同時に第2の反応物の少なくとも一部と反応させられる。一実施形態において、溶解されたポリマー反応物又は部分的に溶解されたポリマー反応物は、第3の反応物との反応の後に、第2の反応物の少なくとも一部と反応させることができる。一実施形態において、第3の反応物の少なくとも一部を添加した後にできる中間化合物を、第2の反応物を添加する前に分離してもよい。
【0083】
一実施形態において、ポリマー複合体を調製する方法は、溶解されたポリマー反応物又は部分的に溶解されたポリマー反応物をカップリング剤の存在下で第2の反応物及び/又は第3の反応物と反応させることを含むことができる。任意の適当なカップリング剤を用いることができる。一実施形態において、カップリング剤は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1’−カルボニル−ジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)、N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HATU)、2−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−[(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP(登録商標))、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBroP(登録商標))、2−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、及びベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)から選択される。
【0084】
反応を起こさせることができる任意の適当な溶媒を用いることができる。一実施形態において、溶媒は極性非プロトン性溶媒とすることができる。例えば、溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピリドン(NMP)、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)から選択することができる。
【0085】
別の実施形態において、反応は、溶解されたポリマー反応物又は部分的に溶解されたポリマー反応物を触媒の存在下で反応させることをさらに含んでもよい。反応を促進する任意の触媒を用いることができる。一実施形態において、触媒は4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を含むことができる。
【0086】
一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位のうち少なくとも1つを含むポリマーは、ポリグルタミン酸及びアミノ酸(例えばアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸)から開始して生成させることができる。一方、別の実施形態において、ポリマーは、まずポリグルタミン酸出発材料を塩の形に変換することにより調製することができる。ポリグルタミン酸の塩形は、ポリグルタミン酸を適当な塩基(例えば重炭酸ナトリウム)と反応させることにより得ることができる。アミノ酸部位は、ポリグルタミン酸の側鎖カルボン酸基に結合させることができる。ポリグルタミン酸の重量平均分子量は、広範囲に変わり得るが、約10000〜約500000ダルトンが好ましく、約25000〜約300000ダルトンがより好ましい。そのような反応を用いてポリ−(γ−L−アスパルチル−グルタミン)又はポリ−(γ−L−グルタミル−グルタミン)を調製することができる。
【0087】
一実施形態において、アミノ酸は、ポリグルタミン酸に結合させる前に、保護基によって保護される。この反応に適する保護アミノ酸部位の一例は、以下に示すL−アスパラギン酸ジ−t−ブチルエステル塩酸塩である。
【化15】

【0088】
ポリグルタミン酸とアミノ酸との反応は、任意の適当な溶媒の存在下で行うことができる。一実施形態において、溶媒は非プロトン性溶媒とすることができる。好ましい実施形態において、溶媒はN,N’−ジメチルホルムアミドである。
【0089】
一実施形態において、カップリング剤、例えばEDC、DCC、CDI、DSC、HATU、HBTU、HCTU、PyBOP(登録商標)、PyBroP(登録商標)、TBTU、及びBOPを用いることができる。他の実施形態において、ポリグルタミン酸とアミノ酸は、触媒(例えばDMAP)を用いて反応させることができる。
【0090】
反応終了後、アミノ酸の酸素原子が保護されている場合、公知の方法(例えば適当な酸(例えばトリフルオロ酢酸)を用いる方法)を用いて保護基を除去することができる。必要に応じて、ポリグルタミン酸とアミノ酸との反応により得られるポリマーを、酸形のポリマーを適当な塩基溶液(例えば重炭酸ナトリウム溶液)で処理することにより、塩形にすることができる。
【0091】
ポリマーは、当業者に知られた方法によって回収かつ/又は精製することができる。例えば溶媒は、適当な方法(例えば回転蒸発)によって除去することができる。さらに、反応混合物をろ過して酸性水溶液に加え、沈殿を生成させることができる。次いで得られた沈殿をろ過し、水で洗浄することができる。
【0092】
一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位から選択される少なくとも1つを含むポリマーは、上述した式(IV)の繰り返し単位をさらに含むこともできる。(1)式(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位から選択される少なくとも1つと、(2)式(IV)の繰り返し単位を含むポリマーを形成する一つの方法は、ポリグルタミン酸から出発し、それを、ポリグルタミン酸に対して1.0当量未満の量のアミノ酸(例えばアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸)と反応させることによるものである。例えば、一実施形態において、ポリグルタミン酸に対して0.7当量のアミノ酸をポリグルタミン酸と反応させることができ、その結果、得られるポリマーの繰り返し単位の約70%がアミノ酸を含む。上述したとおり、適当な保護基を用いてアミノ酸の酸素原子を保護することができる。一実施形態において、アミノ酸はL−アスパラギン酸又はL−グルタミン酸とすることができる。別の実施形態において、アミノ酸の酸素原子はt−ブチル基により保護することができる。アミノ酸の酸素原子を保護した場合、公知の方法(例えば適当な酸(例えばトリフルオロ酢酸)による方法)を用いて保護基を除去することができる。
【0093】
白金、作用因子、多座配位子、及び/又は酸素原子が保護された多座配位子前駆体を含む基をポリマー酸又はその塩形に結合させることは、種々の方法によって(例えば、白金、作用因子、多座配位子、及び/又は酸素原子が保護された多座配位子前駆体を含む基を種々のポリマーに共有結合させることにより)行うことができる。ポリグルタミン酸及び/又はその塩から得られたポリマーに上述した基を結合させる一つの方法は、熱(例えば、マイクロ波法を使用することによる熱)を使用することによるものである。一方、結合は室温で行ってもよい。通常当業者に知られた又は本明細書に記載された適当な溶媒、カップリング剤、触媒、及び/又は緩衝剤を用いてポリマー複合体を形成することができる。ポリグルタミン酸と同様に、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマーの塩形又は酸形のいずれも、ポリマー複合体を形成するための出発材料として用いることができる。
【0094】
式(I)、式(II)及び式(III)から選択される繰り返し単位のうち少なくとも1つ並びに式(IV)の繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)に結合させることができる適当な作用因子には、薬物、光剤、標的化剤、磁気共鳴造影剤(例えば常磁性金属化合物)、安定剤、多座配位子、及び保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体があるが、これらに限定されない。
【0095】
一実施形態において、本発明に記載するポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)は、例えば本明細書に記載されるような光造影剤と結合させることができる。一実施形態において、光造影剤はTexas Red−NH(テキサスレッド−NH)とすることができる。
【化16】

【0096】
特定の一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマーは、DCC、テキサスレッド−NH色素、ピリジン、及び4−ジメチルアミノピリジンと反応させることができる。この混合物はマイクロ波法を用いて加熱される。一実施形態において、反応は、約100℃〜150℃の範囲の温度まで加熱されることができる。別の実施形態において、材料の加熱時間は5〜40分とすることができる。必要に応じて、反応混合物を室温まで冷却することができる。当業者に知られた適当な方法を用いてポリマー複合体を分離かつ/又は精製することができる。例えば、反応混合物をろ過して酸性水溶液に投入することができる。生成する沈殿物があれば、次いでそれをろ過し、水で洗浄することができる。必要に応じて、沈殿物を任意の適当な方法により精製することができる。例えば、沈殿物をアセトン中に移して溶解させることができ、そして得られた溶液を再度ろ過して重炭酸ナトリウム溶液に投入することができる。必要に応じて、得られた反応溶液をセルロース膜を用いて水中で透析することができ、そしてポリマーを凍結乾燥して分離することができる。
【0097】
一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)は、他の薬物(例えば抗癌剤)に結合させることができる。一実施形態において、抗癌剤はタキサン、カンプトテカ及び/又はアントラサイクリンとすることができる。一実施形態において、抗癌剤はタキサン(例えばパクリタキセル又はドセタキセル)である。他の実施形態において、ポリマーに結合された抗癌剤はカンプトテカ(例えばカンプトテシン)である。一部の実施形態において、ポリマーに結合された抗癌剤はアントラサイクリン(例えばドキソルビシン)である。他の実施形態において、ポリマーに結合された抗癌剤はパクリタキセルである。一実施形態において、パクリタキセルは、C2’−酸素原子においてポリマーに結合させることができる。別の実施形態において、パクリタキセルは、C7−酸素原子においてポリマーに結合させることができる。別の実施形態において、ポリマーは、C2’−酸素原子のみによってポリマーに結合されたパクリタキセルを含む。さらに別の実施形態において、ポリマーは、C7−酸素原子のみによってポリマーに結合されたパクリタキセルを含む。さらに別の実施形態において、ポリマーは、C2’結合パクリタキセル基とC7結合パクリタキセル基との両方を有する。
【0098】
一実施形態において、抗癌剤は、テキサス−レッドについて上述した方法を用いて、本発明に記載するポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)に結合させることができる。
【0099】
一実施形態において、パクリタキセルを、好ましくはカップリング剤(例えばEDC及び/又はDCC)及び触媒(例えばDMAP)の存在下で、溶媒(例えばDMFなどの非プロトン性溶媒)中、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)と反応させることができる。さらなる試薬(例えばピリジン又はヒドロキシベンゾトリアゾール)を用いてもよい。一実施形態において、反応は0.5〜2日間行うことができる。当業者に知られた適当な方法を用いてポリマー複合体を分離かつ/又は精製することができる。例えば、反応混合物を酸性溶液に注入して沈殿を形成することができる。形成される沈殿があれば、次いでそれをろ過し、水で洗浄することができる。必要に応じて、沈殿を任意の適当な方法により精製することができる。例えば、沈殿物をアセトン中に移して溶解させることができ、そして得られた溶液を再度ろ過して重炭酸ナトリウム溶液に投入することができる。必要に応じて、得られた反応溶液をセルロース膜を用いて水中で透析することができ、そしてポリマーを凍結乾燥して分離することができる。得られるポリマー中のパクリタキセルの含量は、UV分光測定法により測定することができる。
【0100】
一方、作用因子を含む化合物は、アミノ酸(例えばグルタミン酸及び/又はアスパラギン酸)と反応させることができ、そこにおいて作用因子を含む化合物は該アミノ酸に結合される(例えば共有結合される)。次いで、アミノ酸−作用因子化合物をポリグルタミン酸又はその塩と反応させてポリマー複合体を形成することができる。一実施形態において、パクリタキセルをグルタミン酸と反応させて、グルタミン酸の側鎖カルボン酸基にパクリタキセルが共有結合する化合物を形成することができる。次いでグルタミン酸−パクリタキセル化合物を、ポリグルタミン酸又はその塩と反応させて、ポリマー複合体を形成することができる。一実施形態において、パクリタキセルをアスパラギン酸と反応させて、アスパラギン酸の側鎖カルボン酸基にパクリタキセルが共有結合した化合物を形成する。次いでアスパラギン酸−パクリタキセル化合物を、ポリグルタミン酸又はその塩と反応させて、ポリマー複合体を形成することができる。必要に応じて、公知の分離法(例えばHPLC)を用い、C2’−酸素によりアミノ酸に結合したパクリタキセルを、C7−酸素によりアミノ酸に結合したパクリタキセルから分離することができる。
【0101】
ポリマー複合体の形成の後、ポリマーに共有結合していない遊離の作用因子があれば、その量を測定してもよい。例えば、薄層クロマトグラフィ(TLC)を用いて、パクリタキセルに結合したポリマーの組成物中に遊離のパクリタキセルが実質的に残存しないことを確認してもよい。遊離の白金が実質的に存在しないことを確認するために、当業者に知られた他の方法を用いてもよい。
【0102】
一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)を、多座配位子に結合させることができる。適当な多座配位子には、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、(1,2−エタンジイルジニトリロ)四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン、2,2’−ビピリジン(bipy)、1,10−フェナントロリン(phen)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、2,4−ペンタンジオン(acac)、及びエタン二酸(ox)があるが、これらに限定されない。通常当業者に知られた及び/又は本明細書に記載された適当な溶媒、カップリング剤、触媒、及び/又は緩衝剤を用いてポリマー複合体を形成することができる。別の実施形態において、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマーを、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体に結合させることができる。ポリグルタミン酸と同様に、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマーの塩形又は酸形のいずれも、ポリマー複合体を形成するための出発材料として用いることができる。
【0103】
一実施形態において、多座配位子はDTPAである。別の実施形態において、多座配位子はDOTAである。一実施形態において、DTPAなどの多座配位子(保護された酸素原子を有する又は有しない)を、好ましくはカップリング剤(例えばDCC)及び触媒(例えばDMAP)の存在下で、溶媒(例えばDMFなどの非プロトン性溶媒)中、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマーと反応させることができる。保護基が存在する場合、適当な方法を用いて除去することができる。例えば、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体(例えば酸素原子がt−ブチル基により保護されたDTPA)を有するポリマー複合体を、トリフルオロ酢酸などの酸で処理することができる。保護基を除去した後、酸を回転蒸発により除去することができる。一実施形態において、DTPAを適当な塩基で処理してカルボン酸−OH基の水素原子を除くことができる。一部の実施形態において塩基は重炭酸ナトリウムとすることができる。
【0104】
一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)を標的化剤に結合させることができる。例示的な標的化剤には、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド、フィブロネクチン、葉酸、ガラクトース、アポリポ蛋白質、インスリン、トランスフェリン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、及び抗体があるが、これらに限定されない。標的化剤として、特定の受容体と相互作用するものを選ぶことができる。例えば、標的化剤として、以下の受容体の1種以上と相互作用するものを選ぶことができる:α,β−インテグリン、葉酸、アシアロ糖蛋白質、低密度リポ蛋白質(LDL)、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、上皮細胞増殖因子(EGF)受容体、及び抗体受容体。一実施形態において、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチドは環状(fKRGD)とすることができる。
【0105】
本発明に記載するポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)の塩形又は酸形のいずれも、標的化剤を有するポリマー複合体を形成するための出発材料として用いることができる。一実施形態において、標的化剤を、好ましくはカップリング剤(例えばDCC)及び触媒(例えばDMAP)の存在下で、溶媒(例えばDMFなどの非プロトン性溶媒)中、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマーと反応させることができる。ポリマー複合体の形成後、ポリマーに共有結合していない遊離の作用因子がいくらかあるかどうか測定してもよい。例えば、薄層クロマトグラフィ(TLC)を用いて遊離の標的化剤が実質的に存在しないことを確認してもよい。当業者に知られた適当な方法を用いてポリマー複合体を分離かつ/又は精製することができる(例えば凍結乾燥)。
【0106】
一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)を、磁気共鳴造影剤に結合させることができる。一実施形態において、磁気共鳴造影剤はGd(III)化合物を含むことができる。磁気共鳴造影剤を形成する方法の一つは、多座配位子を含むポリマー複合体と常磁性金属とを反応させることによるものである。適当な常磁性金属には、Gd(III)、インジウム−111、及びイットリウム−88があるが、これらに限定されない。例えば、DTPAを含むポリマー複合体を、緩衝溶液中、Gd(III)で数時間処理することができる。当業者に知られた適当な方法を用いてポリマー複合体を分離かつ/又は精製することができる。例えば、得られた反応溶液をセルロース膜を用いて水中で透析することができ、そしてポリマーを凍結乾燥して分離することができる。常磁性金属の量を、誘導結合プラズマ発光分光(ICP−OES)測定により定量してもよい。
【0107】
一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマー)を安定剤に結合させることができる。一部の実施形態において、安定剤はポリエチレングリコールである。一つの方法において安定剤を、好ましくはカップリング剤(例えばDCC)及び触媒(例えばDMAP)の存在下で、溶媒(例えばDMFなどの非プロトン性溶媒)中、ポリグルタミン酸及び/又はその塩並びにアミノ酸から得られたポリマーと反応させることができる。反応の経過を任意の適当な方法(例えばTLC)により測定することができる。得られたポリマー複合体を、当業者に知られた方法(例えば透析)を用いて精製することができる。
【0108】
ポリマー複合体を用いて、白金化合物、造影剤、標的化剤、磁気共鳴造影剤及び/又は薬物を選択された組織に送達することができる。例えば、テキサスレッド色素を含むポリマー複合体を用いて、選択された組織に造影剤を送達することができる。一実施形態において、式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー複合体を用いて、癌などの病気又は症状を治療又は寛解することができる。一実施形態において、本明細書に記載されるポリマー複合体を用いて、病気又は症状(例えば癌)を診断することができる。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されるポリマー複合体を用いて、組織の部分を造影することができる。一部の実施形態において、病気又は症状は、癌、例えば肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫であり得る。一実施形態において、病気又は症状は、肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍から選択される腫瘍であり得る。一実施形態において、造影された組織は、肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍から選択される組織であり得る。
【0109】
本明細書に記載されるポリマーは、水溶液中でナノ粒子にしてもよい。同様に、ポリマー複合体(例えば、ポリマー及び薬物や必要に応じて他の作用因子を含んだポリマー複合体)をナノ粒子にすることができる。そのようなナノ粒子を用いて、薬物を選択された組織に選択的に送達することができる。
【0110】
一実施形態により、ここに記載されるポリマー複合体と、製薬上許容される賦形剤、担体、及び希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つとを含むことができる組成物が提供される。一部の実施形態において、本明細書に開示される化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)のプロドラッグ、代謝産物、立体異性体、水和物、溶媒和物、多形体、及び製薬上許容される塩が提供される。
【0111】
「プロドラッグ」は、インビボで親薬物に変換される薬剤を指す。プロドラッグはしばしば有用である。なぜなら、親薬物よりもプロドラッグの方が投与しやすい場合があるからである。例えば、親薬物はそうではないのに対し、プロドラッグを経口投与により生物学的に利用可能にすることができる。またプロドラッグは、医薬組成物において親薬物よりも高い溶解度を有することができる。限定されないが、プロドラッグの例として、細胞膜での移動を容易にするためエステル(プロドラッグ)として投与される化合物がある。細胞膜において水溶性は移動に不利である一方、プロドラッグが一旦細胞の内部に入ると、代謝によって加水分解されカルボン酸(活性体)となり、そこでは水溶性が有利となる。プロドラッグのさらなる例は、酸基に結合された短いペプチド(ポリアミノ酸)であろう。酸基において該ペプチドは代謝され、活性部位を外に出す。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための在来法は、例えばDesign of Prodrugs(H.Bundgaard,Elsevier編,1985)(参照によりその内容すべてが本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0112】
用語「プロドラッグエステル」は、生理的条件下で加水分解されるいくつかのエステル形成基のいずれかを付加することにより形成される本開示の化合物の誘導体を指す。プロドラッグエステル基の例には、ピバロイルオキシメチル基、アセトキシメチル基、フタリジル基、インダニル基、及びメトキシメチル基、さらには当該技術において知られた他の基、例えば(5−R−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基がある。プロドラッグエステル基の他の例は、例えばT.Higuchi及びV.Stella,in “Pro−drugs as Novel Delivery Systems”,Vol.14,A.C.S.Symposium Series,American Chemical Society(1975)、及び“Bioreversible Carriers in Drug Design:Theory and Application”,E.B.Roche編,Pergamon Press:New York,14−21(1987)(カルボキシル基を含む化合物に対しプロドラッグとして有用なエステルの例を提供している)に存在する。なお上述した各文献は、参照によりその内容すべてが本明細書に組み込まれる。
【0113】
用語「製薬上許容される塩」は、化合物の塩であって、投与される生体に顕著な刺激を引き起こさず、また該化合物の生物活性及び特性を損なわないものを指す。一部の実施形態において、該塩は、化合物の酸付加塩である。医薬塩は、化合物を無機酸(例えば、ハロゲン化水素酸(例えば塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、リン酸など)と反応させることにより得ることができる。また医薬塩は、化合物を有機酸(脂肪族又は芳香族のカルボン酸又はスルホン酸(例えば酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、又はナフタレンスルホン酸)と反応させることにより得ることもできる。また医薬塩は、化合物を塩基と反応させて塩(例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩)、有機塩基(例えばジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C〜Cアルキルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン)の塩、及びアミノ酸(例えばアルギニン、リシンなど)との塩)を形成することにより得ることもできる。
【0114】
医薬製剤の製造が、医薬賦形剤と塩の形態の有効成分との混合を伴う場合、塩基性でない医薬賦形剤(すなわち、酸性又は中性の賦形剤)を使用することが望ましい。
【0115】
種々の実施形態において、本明細書に開示される化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)は、単独で用いることができ、本明細書に開示される他の化合物と組み合わせて用いることができ、あるいは、本明細書に記載される治療分野において活性である1種以上の他の薬剤と組み合わせて用いることができる。
【0116】
別の態様において、本開示は、1つ以上の生理学的に許容される界面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤、滑沢剤、懸濁剤、製膜物質、コーティング助剤、又はそれらの組み合わせと、本明細書に開示される化合物(例えば白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)とを含む医薬組成物に関する。治療用途のため許容される担体又は希釈剤は、製薬技術においてよく知られており、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)(参照によりその内容すべてが本明細書に組み込まれる)に記載されている。保存剤、安定剤、色素、甘味料、香料、矯味矯臭剤などを医薬組成物に加えてもよい。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルを保存剤として添加することができる。さらに、抗酸化剤及び懸濁剤を使用してもよい。種々の実施形態において、アルコール類、エステル類、硫酸化脂肪族アルコールなどを界面活性剤として用いることができ、スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸性炭酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどを賦形剤として用いることができ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などを滑沢剤として用いることができ、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油、大豆を懸濁剤又は滑剤として用いることができ、酢酸フタル酸セルロース(炭水化物(例えばセルロース又は糖)の誘導体として)あるいは酢酸メチル−メタクリル酸エステル共重合体(ポリビニルの誘導体として)を懸濁剤として用いることができ、そして可塑剤(例えばフタル酸エステル等)を懸濁剤として用いることができる。
【0117】
用語「医薬組成物」は、本明細書に開示される化合物(例えば白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)と他の化学成分(例えば希釈剤又は担体)との混合物を指す。医薬組成物は、化合物の生体への投与を容易にする。化合物を投与する手法は当該技術において多数存在し、例えば、経口投与、注射投与、エアゾール投与、非経口投与、及び局所投与があるが、これらに限定されない。また医薬組成物は、化合物を無機酸又は有機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など)と反応させることにより得ることもできる。
【0118】
用語「担体」は、化合物の細胞又は組織への取り込みを容易にする化合物を指す。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生体の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを促進するため、一般的に使用される担体である。
【0119】
用語「希釈剤」は、水中に希釈される化合物であって、目的の化合物(例えば白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)を溶解するとともに、該化合物の生物学的活性形を安定化するものを指す。当該技術において緩衝溶液に溶解された塩は希釈剤として利用される。一般的に使用される緩衝溶液の1つは、リン酸緩衝生理食塩水である。それはヒトの血液の塩条件を模倣しているからである。緩衝塩は低濃度で溶液のpHを制御できるので、緩衝希釈剤は化合物の生物学的活性をほとんど変化させない。用語「生理学的に許容される」は、化合物の生物学的活性及び特性を損なわない担体又は希釈剤を指している。
【0120】
本明細書に記載される医薬組成物は、それ自体で、あるいは、それを併用療法のように他の活性な成分と混合した医薬組成物として、又はそれを適当な担体又は希釈剤と混合した医薬組成物として、ヒトに投与することができる。本願の化合物を製剤化し投与するための手法は、“Remigton’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,PA,第18版,1990に見出すことができる。
【0121】
投与の適当な経路には、例えば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、局所投与、又は腸内投与、非経口送達(筋内注射、皮下注射、静脈注射、骨髄内注射、さらには、クモ膜下注射、直接的心室内注射、腹腔内注射、鼻腔内注入、又は眼内注射を含む)がある。別の実施形態において、化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)は、持効性又は制御放出性の剤形(所定の速度での長期投与、適時投与、間欠投与のためのデポ注射剤、浸透ポンプ、丸剤、経皮(エレクトロトランスポートを含む)パッチ等を含む)で投与することもできる。
【0122】
医薬組成物は、それ自体公知の方法、例えば、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠調製、研和、乳化、カプセル化、封入、又は錠剤化の方法により製造することができる。
【0123】
医薬組成物は、活性化合物を医薬的に使用可能な製剤に加工するのを容易にする賦形剤及び助剤を含む生理学的に許容される1つ以上の担体を用いて通常の方法により調製することができる。適切な製剤は、選択される投与経路による。周知の手法、担体、及び賦形剤の任意のものを当該技術(例えば上記Remington’s Pharmaceutical Sciences)において適切かつ妥当なように使用することができる。
【0124】
注射剤は、通常の形態(溶液又は懸濁液として)で、注射の前に溶液又は懸濁液にするのに適当な固体の形態で、あるいは乳剤として、調製することができる。適当な賦形剤には、例えば水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩などがある。さらに必要に応じて、注射可能な医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤、pH緩衝剤などを含んでもよい。生理学的に適合する緩衝剤には、ハンクス溶液、リンゲル液、あるいは生理的塩類緩衝液があるが、これらに限定されない。必要に応じて、吸収促進製剤(例えばリポソーム類)を利用してもよい。
【0125】
経粘膜投与のため、透過させるべき障壁に適する浸透剤を製剤に使用することができる。
【0126】
非経口投与(例えばボーラス注射又は連続点滴)のための医薬製剤には、水溶性形態の活性化合物の水溶液がある。さらに活性化合物の懸濁液を適当な油性注射懸濁剤として調製してもよい。適当な親油性溶媒又は媒体には、脂肪油(例えばゴマ油)あるいは他の有機油(例えば大豆油、グレープフルーツ油又は扁桃油)、あるいは合成脂肪酸エステル(例えばオレイン酸エチル又はトリグリセリド)、あるいはリポソーム類がある。水性注射懸濁剤は、懸濁剤の粘度を上げる物質(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストラン)を含んでもよい。必要に応じて、懸濁剤は、適当な安定剤、又は高濃度の溶液の調製を可能にするよう化合物の溶解度を上げる適当な物質をさらに含むこともできる。注射用製剤は、単位剤形(例えばアンプル又は反復投与容器)で保存剤を添加して提供することができる。組成物は、油性媒体又は水性媒体中の懸濁剤、溶液、又は乳剤のような形態をとることができ、また、製剤化剤(例えば懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤)を含んでもよい。一方、使用前、有効成分は、適当な賦形剤(例えば滅菌発熱性物質除去蒸留水)を用いて構成するため、粉末の形態であってもよい。
【0127】
経口投与のため、当該技術においてよく知られた製薬上許容される担体と活性化合物とを合わせることにより、化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)を容易に製剤にすることができる。そのような担体は、本発明の化合物を、治療すべき患者が経口摂取できるよう、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などの製剤にすることを可能にする。経口用医薬製剤は、活性化合物を固体の賦形剤と合わせ、得られた混合物を必要に応じて粉砕し、そして必要に応じて適当な助剤を加えた後、顆粒の混合物を加工して錠剤又は糖衣錠の核を得ることにより、得ることができる。適当な賦形剤には、特に、充填剤、例えば糖類(ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む)、セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)がある。必要に応じて、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩(例えばアルギン酸ナトリウム)を加えてもよい。糖衣錠核は適当なコーティングが施されている。この目的のため、高濃度の糖溶液を用いることができ、該糖溶液は、必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適当な有機溶媒又は溶媒混合物を含むことができる。識別のためあるいは活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるため、錠剤又は糖衣錠のコーティングに染料又は顔料を添加することができる。この目的のため、高濃度の糖溶液を用いることができ、該糖溶液は、必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適当な有機溶媒又は溶媒混合物を含むことができる。識別のためあるいは活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるため、錠剤又は糖衣錠のコーティングに染料又は顔料を添加することができる。
【0128】
経口で使用できる医薬製剤には、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル剤、さらにはゼラチン及び可塑剤(例えばグリセロール又はソルビトール)からなるソフトシールドカプセル剤がある。プッシュ−フィットカプセル剤は、有効成分と合わせて充填剤(例えばラクトース)、結合剤(例えばデンプン)、及び/又は滑剤(例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム)、及び必要に応じて安定剤を含むことができる。ソフトカプセル剤において、活性化合物は、適当な液体(例えば脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコール)に溶解又は懸濁することができる。さらに安定剤を加えてもよい。全ての経口投与用製剤がその投与に適した用量となっていることが望ましい。
【0129】
口腔投与のため、組成物は通常の方法で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態をとることができる。
【0130】
吸入による投与のため、化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)は、適当なプロペラント(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適当なガス)の使用とともに加圧容器又はネブライザから供給できるエーロゾルスプレーの形態で送達することが有利である。加圧エーロゾルの場合、計測量を送るバルブを設けることにより、用量単位を決めることができる。吸入器又は噴霧器で使用するための例えばゼラチンからなるカプセル及びカートリッジを、化合物と適当な粉末基剤(例えばラクトース又はデンプン)との粉末混合物を含むよう調製することができる。
【0131】
眼内、鼻腔内、及び耳介内の送達を含む使用のための製薬技術においてよく知られた種々の医薬組成物がさらに本明細書に開示される。これらの使用のための適当な浸透剤は当該技術において一般的に知られている。眼内送達用の医薬組成物には、水溶性形態の(例えば点眼剤)又はゲランガムにおける活性化合物の眼科用水性液剤(Shedden他,Clin.Ther.,23(3):440−50(2001))又はヒドロゲル(Mayer他,Ophthalmologica,210(2):101−3(1996))、眼軟膏剤、懸濁性点眼剤(例えば液体の担体媒質中に懸濁されたミクロ粒子、薬物含有小ポリマー粒子(Joshi,A.,J.Ocul.Pharmacol.,10(1):29−45(1994))、脂質溶解性製剤(Alm他,Prog.Clin.Biol.Res.,312:447−58(1989))、ミクロスフェア(Mordenti,Toxicol.Sci.,52(1):101−6(1999))、並びに眼球インサートがある。上記参考文献はすべて参照によりその内容が本明細書に組み込まれる。そのような適当な医薬製剤は、多くの場合そして好ましくは、安定性及び快適性のため、滅菌され、等張性となり、かつ緩衝されるよう調製される。また鼻腔内送達用の医薬組成物には、滴剤及びスプレー剤があり、それらは多くの場合、正常な線毛作用の維持を確保するため多くの点で鼻の分泌物をシミュレートして調製される。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)(参照によりその内容はすべて本明細書に組み込まれる)に開示されるように、また当業者によく知られているとおり、適当な製剤は、多くの場合そして好ましくは、等張性であり、pH5.5〜6.5を維持するようわずかに緩衝されており、また多くの場合そして好ましくは、抗菌性の保存剤及び適当な薬物安定剤を含むものである。耳介内送達用の医薬組成物には、懸濁剤及び耳の局所的塗布のための軟膏剤がある。そのような耳用製剤のための一般的な溶媒には、グリセリン及び水がある。
【0132】
また化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)は直腸用組成物(例えば座剤又は保持用浣腸剤(例えばカカオ脂又は他のグリセリドなどの通常の座剤基剤を含む))に調製することができる。
【0133】
上記製剤に加えて、化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)は、デポ製剤として調製することもできる。そのような長時間作用型の製剤は、移植により(例えば皮下又は筋内で)あるいは筋肉注射により投与することができる。従って、例えば、化合物は、適当なポリマー材料又は疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)を用いて、あるいはイオン交換樹脂を用いて、あるいはゆるやかに溶解する誘導体として(例えばゆるやかに溶解する塩として)製剤化される。
【0134】
疎水性化合物に対して適当な医薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水性相を含む共溶媒系とすることができる。使用される一般的な共溶媒系の一つはVPD共溶媒系であり、これは3%w/vベンジルアルコール、8%w/v非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標)、及び65%w/vポリエチレングリコール300、無水エタノール(規定の体積まで仕上げる)の溶液である。当然のことながら、共溶媒系の組成は、その溶解性及び毒性の性質を損なうことなく顕著に変えることができる。また、共溶媒成分の種類を変えてもよい。例えば、他の低毒性で非極性の界面活性剤をポリソルベート80(商標)の代わりに使用してもよく、ポリエチレングリコールのフラクションサイズを変えてもよく、他の生体適合性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン)をポリエチレングリコールの代わりに使用してもよく、また他の糖類又は多糖類をデキストロースの代わりとしてもよい。
【0135】
一方、疎水性医薬化合物に対して他の送達系を使用してもよい。リポソーム及び乳剤は、疎水性薬物用の送達ビヒクル又は担体のよく知られた例である。通常代償として毒性が高くなるが、ある特定の有機溶媒(例えばジメチルスルホキシド)を用いることもできる。さらに、化合物は、徐放系(例えば治療剤を含む固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリックス)を用いて送達することができる。種々の徐放性材料が確立されており、当業者によく知られるところである。徐放性カプセル剤は、その化学的性質に応じて、化合物を数時間又は数週間〜最高100日以上の間放出する。治療剤の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、蛋白質の安定化のためさらなる戦略を用いてもよい。
【0136】
細胞内に投与することを目的とする薬剤は、当業者によく知られた手法を用いて投与することができる。例えば、そのような薬剤はリポソームに封入することができる。リポソーム形成時に水溶液中に存在するすべての分子は、水性の内部に組み込まれる。リポソームの内容物は、外の微小環境から保護されるとともに、リポソームは細胞膜と融合するため、効率的に細胞質中に送達される。リポソームを組織特異的抗体で被覆してもよい。リポソームは、所望の器官を標的化するようになり、所望の器官によって選択的に取り込まれる。一方、小さな疎水性有機分子は、直接細胞内に投与してもよい。
【0137】
追加の治療薬又は診断薬を医薬組成物に組み込んでもよい。その代わりに又はそれに加えて、医薬組成物は、他の治療薬又は診断薬を含む他の組成物と組み合わせてもよい。
【0138】
化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)又は医薬組成物は、任意の適当な手段により患者に投与することができる。限定されないが、投与方法の例には、特に以下のものがある:(a)経口経路による投与(その投与には、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、スプレー剤、シロップ剤、又は他のそのような剤形による投与がある)、(b)非経口経路による投与(例えば、直腸、膣、尿道内、眼内、鼻腔内、又は耳介内。その投与には、水性懸濁剤、油性製剤などとして、あるいは、点滴、スプレー剤、座剤、軟膏、軟膏剤などとしての投与がある)、(c)注射による投与(皮下、腹腔内、静脈内、筋内、皮内、眼窩内、包内、脊椎内、胸骨内などであって、注入ポンプによる送達を含む)、(d)局部的投与(例えば、腎臓又は心臓の部分に直接注入(例えばデポ移植により))、並びに(e)局所的投与(活性化合物を生きた組織に接触させるため当業者が妥当と考えるもの)。
【0139】
投与に適する医薬組成物には、その目的を達成するのに有効な量で有効成分が含まれる組成物がある。本明細書に開示の化合物の用量として必要とされる有効な量は、投与の経路、治療される動物(ヒトを含む)の種類、及び対象となる特定の動物の身体的性質による。用量は、所望の効果を得るため調整することができるが、体重、食生活、並存する薬物治療、当業者が認識するであろう他の要因による。より具体的には、有効な量は、病状を防ぎ、軽減し、又は改善するのに有効な化合物の量、又は、治療される対象の生存を延ばすのに有効な化合物の量を意味する。有効な量の決定は、特に本明細書の詳細な開示に照らして、当業者に十分可能な範囲の事項である。
【0140】
当業者に容易に理解されるとおり、インビボで有用な投与すべき用量及び特定の投与形態は、年齢、体重、治療される哺乳動物の種類、使用される特定の化合物、及びそれらの化合物を使用する特定の用途による。当業者は日常的な薬理学的方法を用いて、有効な用量のレベル(すなわち所望の結果を得るために必要な用量のレベル)を決定することができる。典型的に、生成物をヒトの臨床用途に用いる場合、より低い用量レベルから始め、所望の効果が得られるまで、用量レベルを上げていく。一方、確立された薬理学的方法を用いて、本方法により特定される組成物の有効な用量及び投与経路を確立するため、可能なインビトロ研究を採用してもよい。
【0141】
非ヒト動物の研究では、可能性のある生成物の使用は、より高い投与量レベルから始められ、所望の効果がもはや得られなくなるか又は有害な副作用が消えるまで投与量が減らされる。投与量は、所望の効果及び治療指標に応じて、広い範囲で変わる可能性がある。典型的には、投与量は、約10マイクログラム/kg〜100mg/kg体重、好ましくは約100マイクログラム/kg〜10mg/kg体重とすることができる。一方、投与量は、当業者に明らかなとおり、患者の表面積に基づき算出することができる。
【0142】
医薬組成物についての的確な製剤、投与経路、及び投与量は、患者の症状を見て、個々の医師が選択することができる(例えばFingl他,1975,“The Pharmacological Basis of Therapeutics”(参照によりその内容すべてが本明細書に組み込まれる)参照、特にCh.1,p.1参照)。典型的には、患者に投与される組成物の用量範囲は、患者の体重kgあたり0.5〜1000mgとすることができる。投薬は、患者の必要に応じて、1日又は2日以上のうちに1回又は一連の2回以上の投与とすることができる。少なくともある症状に対していくつかの化合物のヒトへの投与量が確立されている場合、本発明は、それと同じ投与量を用いるか、あるいは、確立されたヒトへの投与量の約0.1%〜500%、より好ましくは約25%〜250%を用いることができる。新たに見出された医薬組成物の場合のようにヒトへの投与量が確立していない場合、適切なヒトへの投与量は、ED50又はID50の値から推測することができ、あるいは、動物での毒性試験及び効力試験により限定されるように、インビトロ又はインビボの試験から得られる他の適切な値から推測することができる。
【0143】
なお、担当の医師は、毒性や臓器不全に起因してどのようにそしていつ投与を終了、中止、又は調整すべきか理解するはずである。逆に、担当の医師は、臨床反応が十分でない(毒性を除いて)場合、より高いレベルに治療を調整することも理解するはずである。目的とする疾患の処置における用量の大きさは、治療すべき症状の重症度及び投与経路によって変わってくる。例えば、症状の重症度は、部分的に、標準の予後評価法によって評価することができる。さらに、用量、場合によっては投薬頻度も、個々の患者の年齢、体重、及び反応による。獣医学においては、上述したことに相当するプログラムを用いることができる。
【0144】
的確な投与量は薬物ごとに決定することになるが、多くの場合、投与量に関していくらかの一般化を行うことができる。例えば、成人の患者に対する1日の投薬計画は、経口用量で各有効成分0.1mg〜2000mg、好ましくは1mg〜500mg、例えば5〜200mgとすることができる。他の実施形態において、静脈内、皮下、又は筋内の用量で、各有効成分0.01mg〜100mg、好ましくは0.1mg〜60mg、例えば1〜40mgが使用される。製薬上許容される塩を投与する場合、投与量は遊離ベースとして算出することができる。一部の実施形態において、組成物は1日1〜4回投与される。一方、本発明の組成物は、連続的な静脈内点滴により、好ましくは各有効成分1日1000mgまでの用量で投与することができる。当業者に明らかなとおり、ある特定の状況では、特に進行性の病気又は感染を有効かつ積極的に治療するため、上述した好ましい投与量範囲を超えた、あるいははるかに超えた量で、本開示の化合物を投与する必要がある場合がある。一部の実施形態において、化合物は、連続的な治療期間の間、例えば1週間以上、あるいは、数か月又は数年、投与されることとなる。
【0145】
投与量及び投与間隔は、調節作用が持続するのに十分な活性成分の血漿濃度、すなわち最小有効濃度(MEC)が得られるよう、個々に調節することができる。MECは、各化合物によって変わるが、インビトロのデータから推定することができる。MECを達成するのに必要な投与量は、個々の性質及び投与経路による。しかしながら、HPLCアッセイ又はバイオアッセイを使用して血漿濃度を測定することができる。
【0146】
MEC値を用いて投与間隔を決定することもできる。期間の10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%の間、MECより高い血漿濃度が維持される投薬計画を用いて組成物を投与することが望ましい。
【0147】
局所的投与又は選択的摂取の場合、薬物の有効な局所的濃度は、血漿濃度と無関係であり得る。
【0148】
投与される組成物の量は、治療される対象、対象の体重、苦痛の重症度、処方する医師の投与方法及び診断方法によって変わる場合がある。
【0149】
本明細書に開示される化合物(例えば、白金含有ポリマー複合体及び/又はそれが有する作用因子)は、公知の方法を用いて効力及び毒性に関し評価することができる。例えば、特定の化合物の毒性、又は、ある特定の化学部位が共通する化合物のサブセットの毒性は、細胞株(例えば哺乳動物の細胞株、好ましくはヒトの細胞株)に対するインビトロの毒性を測定することによって、特定することができる。そのような試験の結果は、多くの場合、動物(例えば、哺乳動物、より具体的にはヒト)における毒性の予測となる。一方、動物モデル(例えばマウス、ラット、ウサギ、又はサル)において特定の化合物の毒性を、公知の方法を用いて調べることができる。特定の化合物の効力は、いつくかの認められた方法、例えばインビトロの方法、動物モデル、又はヒトの臨床試験を用いて確立することができる。ほぼすべての種類の病気(例えば癌、心臓血管の疾患、及び種々の免疫不全があるがこれらに限定されない)についてインビトロモデルの存在が認められる。同様に、そのような症状を治療する化学物質の効力を確立するため、可能な動物モデルを使用してもよい。効力を調べるためのモデルを選択する場合、適当なモデル、用量、及び投与経路、並びに投薬計画を選択するよう、通常の技術水準により当業者を導くことができる。もちろんヒトの臨床試験を用いてヒトにおける化合物の効力を調べることもできる。
【0150】
必要に応じて、組成物は、有効成分を含有する1つ以上の単位剤形を含むことができるパック又はディスペンサ装置において提供してもよい。例えばパックは、金属又はプラスチックの箔、例えばブリスターパックを含んでよい。パック又はディスペンサ装置は、投与のための説明書が付随されている場合がある。またパック又はディスペンサは、医薬の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形式で容器に関する通知が付随されている場合もある。そのような通知は、ヒト又はヒト以外の動物に投与するための薬物の形態を該機関が承認していることを反映するものである。そのような通知は、例えば、処方薬又は承認された製品への挿入物について米国食品医薬品局が認めた表示とすることができる。また、適合する医薬担体中に製剤化される本発明の化合物を含む組成物は、表示される症状の治療のため、調製され、適当な容器に収容され、そして表示を付与することができる。
【0151】
式(I)の繰り返し単位を有するポリマー及びコポリマーは、多くの異なる用途を有することができる。一実施形態により疾患又は症状を治療又は寛解する方法が提供され、該方法は、疾患又は症状の治療又は寛解が必要な哺乳動物にここに記載される1つ以上のポリマー複合体の有効量又はここに記載される医薬組成物の有効量を投与することを有する。別の実施形態により、疾患又は症状を治療又は寛解するため、ここに記載される1つ以上のポリマー複合体の有効量又はここに記載される医薬組成物の有効量を使用することが提供される。一実施形態において、疾患又は症状は、肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍から選択されるものである。一実施形態において、疾患又は症状は、肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫から選択されるものである。一実施形態において、病気又は症状を治療又は寛解する方法は、有効量のここに記載されるポリマー複合体(例えば式(I)、式(II)及び/又は式(III)の単位を有するポリマー複合体)を投与することを含むことができ、またロシジタグロンを含み得る有効量の作用因子を投与することをさらに含むことができる。別の一実施形態において、病気又は症状を治療又は寛解する方法は、有効量のここに記載されるポリマー複合体(例えば式(I)、式(II)及び/又は式(III)の単位を有するポリマー複合体)を投与することを含むことができ、またPPARγを活性化できる有効量の作用因子(例えばロシジタグロン及びピオグリタゾン)を投与することをさらに含むことができる。
【0152】
ポリマー複合体及びPPARγを活性化できる作用因子の投与は、種々の方法で行うことができる。例えば、ある実施形態において、ポリマー複合体は、PPARγを活性化できる作用因子(例えばロシジタグロン及びピオグリタゾン)の前に投与することができる。他の実施形態において、ポリマー複合体は、PPARγを活性化できる作用因子の前に投与することができる。さらに他の実施形態において、ポリマー複合体は、PPARγを活性化できる作用因子とほぼ同時に投与することができる。一実施形態において、ポリマー複合体と、PPARγを活性化できる作用因子(例えばロシジタグロン及びピオグリタゾン)とは、単一の剤形で投与することができる。別の一実施形態において、ポリマー複合体と、PPARγを活性化できる作用因子とは、別々の剤形で投与することができる。また、ここに記載されるようなポリマー複合体と、PPARγを活性化できる作用因子とは、同じ方法(例えば共に経口)で投与することができる。また、ここに記載されるようなポリマー複合体と、PPARγを活性化できる作用因子とは、異なる方法で投与することができる(例えば1つを経口投与し、もう1つを静脈内に投与することができる)。
【0153】
一実施形態により疾患又は症状を診断する方法が提供され、該方法は、疾患又は症状の診断が必要な哺乳動物にここに記載される1つ以上のポリマー複合体の有効量又はここに記載される医薬組成物の有効量を投与することを有する。別の実施形態により、疾患又は症状を診断するため、ここに記載される1つ以上のポリマー複合体の有効量又はここに記載される医薬組成物の有効量を使用することが提供される。一実施形態において、疾患又は症状は、肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍から選択されるものである。一実施形態において、疾患又は症状は、肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫から選択されるものである。
【0154】
一実施形態により組織の一部を造影する方法が提供され、該方法は、ここに記載される1つ以上のポリマー複合体の有効量又はここに記載される医薬組成物の有効量を組織の一部に接触させることを有する。別の実施形態により、組織の一部を造影するため、ここに記載される1つ以上のポリマー複合体の有効量又はここに記載される医薬組成物の有効量を使用することが提供される。いくつかの実施形態において、造影される組織は、肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及び/又はメラノーマ腫瘍からの組織とすることができる。
【0155】
実施例
本明細書に記載される実施形態をさらに説明するため以下の実施例を提供するが、それらは本発明の技術範囲を限定するものではない。
【0156】
(材料)
分子量の異なるポリ−L−グルタミン酸ナトリウム塩(多角度光散乱(MALS)に基づく平均分子量41400(PGA(97k))、17600(PGA(44k))、16000(PGA(32k))、及び10900(PGA(21k))ダルトン);N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC);ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt);ピリジン;4−ジメチルアミノピリジン(DMAP);N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF):ガドリニウム−酢酸;クロロホルム;カンプトテシン及び重炭酸ナトリウムを、Sigma−Aldrich Chemical Companyから購入した。ポリ−L−グルタミン酸塩は、2N塩酸溶液を用いてポリ−L−グルタミン酸に変換した。トリフルオロ酢酸(TFA)はBioscienceから購入した。L−グルタミン酸ジ−t−ブチルエステル塩酸塩(H−Glu(OtBu)−OtBu・HCl)、N−α−CBZ−L−グルタミン酸α−ベンジルエステル(Z−Glu−OBzl)は、Novabiochem(ラホーヤ、カリフォルニア州)から購入した。パクリタキセル及びドキソルビシンは、PolyMed(ヒューストン、テキサス州)から購入した。化学薬品p−NH−Bn−DPTA−ペンタ−(t−Buエステル)は、Macrocyclics(ダラス、テキサス州)から購入した。H NMRはJoel(400MHz)より入手したものであり、粒子径はZetalPals(Brookhaven Instruments Corporation)によって測定した。マイクロ波による化学処理はBiotageにおいて行った。ポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)と多角度光散乱(MALS)検出器(Wyatt Corporation)とを組み合わせて測定した。
【0157】
ポリ−(γ−L−グルタミル−グルタミン)を、ポリグルタミン酸ナトリウム塩から、米国特許出願公開2007−0128118号(2006年12月1日出願、参照によりその内容すべてが本明細書に組み込まれる)に記載された手順に従って調製した。米国特許出願第11/566141号は、特に本明細書に記載されるポリマー(例えばポリ−(γ−L−グルタミル−グルタミン)、ポリ−(γ−L−アスパルチル−グルタミン)、ポリ−(γ−L−グルタミル−グルタミン)−ポリ−L−グルタミン酸、及びポリ−(γ−L−アルパルチル−グルタミン)−ポリ−L−グルタミン酸)の合成を説明する目的のため、その内容すべてが本明細書に組み込まれる。ポリマーの平均分子量は、下記のシステム及び条件(以下、MALS検出器を用いたHeleosシステムと呼ぶ)を使用して測定した。
(SEC−MALS分析条件)
HPLSシステム:Agilent1200
カラム:Shodex SB 806M HQ(プルランに対する排除限界は20000000である。粒子径:13ミクロン、サイズ(mm)ID×長さ;8.0×300)
移動相:1×DPBS又はDPBS中1%LiBr(pH7.0)
流速:1ml/分
MALS検出器:WyattからのDAWN HELEOS
DRI検出器:WyattからのOptilab rEX
オンライン粘度計:WyattからのViscoStar
ソフトウェア:WyattからのASTRA5.1.9
サンプル濃度:1〜2mg/ml
注入量:100μl
ポリマーのdn/dc値:0.185を測定に使用した。
実際のサンプルを流す前にBSAを対照として使用した。
【0158】
細胞毒性MTT試験(細胞の生死判別)のためのスルホローダミンB色素は、Molecular Imaging Products Company(ミシガン州)から購入した。ポリ−(β−アスパルチル−グルタミン)−パクリタキセル複合体(PGA−21−G−パクリタキセル−20及びPGA−32−G−パクリタキセル−20)及びポリ−(γ−L−グルタミル−グルタミン)を、米国特許公開第2007−0128118号に記載される手順に従って合成した。ポリマー−パクリタキセル複合体中のパクリタキセルの含量は、メタノール中既知濃度のパクリタキセルを用いて作成した検量線に基づき、UV/可視分光測定法(Lambda Bio 40、パーキンエルマー)により見積もった(λ=228nm)。ポリ−L−グルタメート−パクリタキセル複合体(PGA−PTX)の合成を、先の文献に報告されているとおり行った。Li他,“Complete regression of well−established tumors using a novel water−soluble poly(L−glutamic acid)−paclitaxel conjugate,”Cancer Research 1998,55,2404−2409参照(それらの内容はこの引用によりそっくり本明細書に記載されたものとする)。
【0159】
実施例1
(PGA−21−G−パクリタキセル−20を使用したシスプラチンの製剤)
PGA−21−G−パクリタキセル−20(92mg)を蒸留水(3mL)に溶解した。この試料を5分間超音波処理した。次いで、シスプラチン(8mg)のエタノール(0.4mL)溶液を、ピペットを用いて試料中に添加した。次いで溶液の混合物をさらに5分間超音波処理した。得られた混合物を、凍結乾燥し、そしてさらなる実験まで−20℃で保存した。
【0160】
実施例2
(PGA−Gを使用したシスプラチンの製剤)
ポリ−(γ−L−グルタミル−グルタミン)(100mg)を蒸留水(3mL)に溶解した。次いで、この試料を5分間超音波処理した。シスプラチン(11mg)のエタノール(0.4mL)溶液を、ピペットを用いて試料中に添加した。次いで溶液の混合物をさらに5分間超音波処理した。得られた混合物を、凍結乾燥し、そしてさらなる実験まで−20℃で保存した。
【0161】
当業者に明らかなとおり、多数の種々の変更が、本発明の精神を逸脱することなく可能である。従って、当然のことながら、本発明の形態は、単に例示であって本発明の技術的範囲を限定しようとするものではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)、式(II)及び式(III)から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリマー複合体。
【化1】

(式中、A、A、A、A、A及びAはそれぞれ独立して酸素又はNRであり、ここでRは水素又はC1−4アルキルであり、
、R、R、R、R及び各Rはそれぞれ独立して水素、C1−10アルキル基、C6−20アリール基、アンモニウム基、アルカリ金属、多座配位子、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体、白金を含む基、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基及び安定剤を含む基からなる群から選択され、
、R、R、R、R及びRのうち、少なくとも1つは白金を含む基であり、
m、n及びoはそれぞれ独立して1又は2であり、
s、t及びuはそれぞれ独立して0又は≧1であり、ここで、s、t及びuの合計は≧1以上である。)
【請求項2】
該白金を含む基がリンカー基をさらに有する、請求項1のポリマー複合体。
【請求項3】
sが1以上であり、かつt及びuが0である、請求項1又は2のいずれかのポリマー複合体。
【請求項4】
該白金を含む基がA及びAの両方に結合する、請求項1〜3のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項5】
該式(I)の繰り返し単位が以下の構造を有する、請求項4のポリマー複合体:
【化2】

(式中、各Rは独立してモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアリールアミン及びジアリールアミンからなる群から選択される。)
【請求項6】
s+tが2以上であり、かつ該白金を含む基がA及びAの両方に結合する、請求項1又は2のいずれかのポリマー複合体。
【請求項7】
s+tが2以上であり、かつ該白金を含む基がA及びA4の両方に結合する、請求項1又は2のいずれかのポリマー複合体。
【請求項8】
s+tが2以上であり、かつ該白金を含む基がA及びAの両方に結合する、請求項1又は2のいずれかのポリマー複合体。
【請求項9】
該ポリマー複合体が架橋単位を有する、請求項1〜8のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項10】
該架橋単位が白金を有する、請求項9のポリマー複合体。
【請求項11】
s+tは2以上であり、
uは0であり、
、R、R及びRの少なくとも1つは白金を含む基であり、かつR、R、R、及びRの少なくとも1つは薬剤を含む基であり、該白金を含む基と薬剤を含む基は同じではない、請求項1〜10のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項12】
s+tは2以上であり、
uは0であり、
、R、R及びRの少なくとも1つは白金を含む基であり、かつR、R、R及びRの少なくとも1つは多座配位子、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基及び安定剤を含む基からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項13】
s+t+uが3以上である、請求項1〜12のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項14】
及びRはそれぞれ独立して水素、C1−10アルキル基、C6−20アリール基、アンモニウム基、アルカリ金属を含む基からなる群から選択される、請求項13のポリマー複合体。
【請求項15】
さらに式(IV)の繰り返し単位を有する請求項1〜14のいずれか1項のポリマー複合体。
【化3】

(式中、R8は水素、アンモニウム又はアルカリ金属である。)
【請求項16】
該ポリマー複合体が、該ポリマー複合体に対する白金の質量比で、約0.5%〜約50%(重量/重量)の範囲の総量の白金を含む、請求項1〜15のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項17】
該ポリマー複合体が、該ポリマー複合体に対する白金の質量比で、約1%〜約40%(重量/重量)の範囲の総量の白金を含む、請求項1〜15のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項18】
該ポリマー複合体が、該ポリマー複合体に対する白金の質量比で、約1%〜約30%(重量/重量)の範囲の総量の白金を含む、請求項1〜15のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項19】
該ポリマー複合体が、該ポリマー複合体に対する白金の質量比で、約1%〜約20%(重量/重量)の範囲の総量の白金を含む、請求項1〜15のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項20】
該ポリマー複合体が、該ポリマー複合体に対する白金の質量比で、約1%〜約10%(重量/重量)の範囲の総量の白金を含む、請求項1〜15のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項21】
薬物は抗癌剤である、請求項1〜20のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項22】
抗癌剤はタキサン、カンプトテカ及びアントラサイクリンからなる群から選択される、請求項21のポリマー複合体。
【請求項23】
タキサンはパクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項22のポリマー複合体。
【請求項24】
パクリタキセルは、C2’炭素に結合される酸素原子において式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位に結合される、請求項23のポリマー複合体。
【請求項25】
パクリタキセルは、C7炭素に結合される酸素原子において式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位に結合される、請求項23のポリマー複合体。
【請求項26】
カンプトテカはカンプトテシンである、請求項22のポリマー複合体。
【請求項27】
アントラサイクリンはドキソルビシンである、請求項22のポリマー複合体。
【請求項28】
標的化剤はアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド、フィブロネクチン、葉酸、ガラクトース、アポリポ蛋白質、インスリン、トランスフェリン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、及び抗体からなる群から選択される、請求項1〜27のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項29】
標的化剤は、α,β−インテグリン、葉酸、アシアロ糖蛋白質、低密度リポ蛋白質(LDL)、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、上皮細胞増殖因子(EGF)受容体、及び抗体受容体からなる群から選択される受容体と相互作用する、請求項1〜27のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項30】
光造影剤はアクリジン色素、クマリン色素、ローダミン色素、キサンテン色素、シアニン色素及びピレン色素からなる群から選択される、請求項1〜29のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項31】
磁気共鳴造影剤はGd(III)化合物を含む、請求項1〜30のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項32】
Gd(III)化合物は以下の
【化4】

を含む、請求項31のポリマー複合体。
【請求項33】
Gd(III)化合物は以下の
【化5】

を含む、請求項31のポリマー複合体。
【請求項34】
多座配位子が以下の
【化6】

(式中、各Rは独立して水素、アンモニウム又はアルカリ金属である。)
を含む、請求項1〜33のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項35】
多座配位子が以下の
【化7】

(式中、各R10は独立して水素、アンモニウム又はアルカリ金属である。)
を含む、請求項1〜33のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項36】
保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体は以下の
【化8】

を含む、請求項1〜35のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項37】
安定剤はポリエチレングリコールである、請求項1〜36のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項38】
m、n及びoの群のうち、少なくとも1つが1である、請求項1〜37のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項39】
m、n及びoの群のうち、少なくとも1つが2である、請求項1〜38のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項40】
アルカリ金属がナトリウムである、請求項1〜39のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項41】
PPARγを活性化する作用因子をさらに含み、該PPARγを活性化する因子が、ロシジタグロン及びピオグリタゾンからなる群から選択される、請求項1〜40のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項42】
PPARγを活性化する作用因子が、ポリマー複合体に結合される、請求項41のポリマー複合体。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体と、製薬上許容される賦形剤、担体、及び希釈剤から選択される少なくとも1つとを含む、組成物。
【請求項44】
以下の式(V)の繰り返し単位を有するポリマー反応物を溶媒に溶解又は部分的に溶解させて、溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を調製すること:
【化9】

(式中、zは独立して1又は2であり、
及び各Aは酸素であり、かつ
11及びR12はそれぞれ独立して水素、アンモニウム及びアルカリ金属からなる群から選択される)、及び
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、白金を含む基を有する第2の反応物と反応させることを含む、請求項1のポリマー複合体を製造する方法。
【請求項45】
該第2の反応物が、ヒドロキシ及びアミンからなる群から選択される置換基を有する、請求項44の方法。
【請求項46】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を第3の反応物と反応させることをさらに含み、該第3の反応物が、多座配位子、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、安定剤を含む基及びPPARγを活性化する作用因子からなる群から選択される少なくとも1つを有する、請求項44又は45の方法。
【請求項47】
該第3の反応物が、ヒドロキシ及びアミンからなる群から選択される置換基を有する、請求項46の方法。
【請求項48】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、該第3の反応物と反応させる前に、該第2の反応物の少なくとも一部と反応させることを含む、請求項46又は47の方法。
【請求項49】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、該第3の反応物と反応させるとほぼ同時に、該第2の反応物の少なくとも一部と反応させることを含む、請求項46又は47の方法。
【請求項50】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、該第3の反応物と反応させた後に、該第2の反応物の少なくとも一部と反応させることを含む、請求項46又は47の方法。
【請求項51】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を第4の反応物と反応させることをさらに含み、該第4の反応物が、多座配位子、保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体、薬物を含む基、標的化剤を含む基、光造影剤を含む基、磁気共鳴造影剤を含む基、安定剤を含む基及びPPARγを活性化する作用因子からなる群から選択される少なくとも1つを有する、請求項44〜50のいずれか1項の方法。
【請求項52】
該第4の反応物が、ヒドロキシ及びアミンからなる群から選択される置換基を有する、請求項51の方法。
【請求項53】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、該第4の反応物と反応させる前に、該第3の反応物の少なくとも一部と反応させることを含む、請求項51又は52の方法。
【請求項54】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、該第4の反応物と反応させるとほぼ同時に、該第3の反応物の少なくとも一部と反応させることを含む、請求項51又は52の方法。
【請求項55】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物を、該第4の反応物と反応させた後に、該第3の反応物の少なくとも一部と反応させることを含む、請求項51又は52の方法。
【請求項56】
該薬物を含む基と該白金を含む基とが同じものではない、請求項51〜55のいずれか1項の方法。
【請求項57】
薬物は抗癌剤である、請求項46〜56のいずれか1項の方法。
【請求項58】
抗癌剤はタキサン、カンプトテカ及びアントラサイクリンからなる群から選択される、請求項57の方法。
【請求項59】
タキサンはパクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項58の方法。
【請求項60】
パクリタキセルは、C2’炭素に結合される酸素原子において式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位に結合される、請求項59の方法。
【請求項61】
パクリタキセルは、C7炭素に結合される酸素原子において式(I)、式(II)及び式(III)の繰り返し単位に結合される、請求項59の方法。
【請求項62】
カンプトテカはカンプトテシンである、請求項58の方法。
【請求項63】
アントラサイクリンはドキソルビシンである、請求項58の方法。
【請求項64】
標的化剤はアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド、フィブロネクチン、葉酸、ガラクトース、アポリポ蛋白質、インスリン、トランスフェリン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、及び抗体からなる群から選択される、請求項46〜63のいずれか1項の方法。
【請求項65】
標的化剤は、α,β−インテグリン、葉酸、アシアロ糖蛋白質、低密度リポ蛋白質(LDL)、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、上皮細胞増殖因子(EGF)受容体、及び抗体受容体からなる群から選択される受容体と相互作用する、請求項46〜63のいずれか1項の方法。
【請求項66】
光造影剤はアクリジン色素、クマリン色素、ローダミン色素、キサンテン色素、シアニン色素、及びピレン色素からなる群から選択される、請求項46〜65のいずれか1項の方法。
【請求項67】
磁気共鳴造影剤はGd(III)化合物を含む、請求項46〜66のいずれか1項の方法。
【請求項68】
Gd(III)化合物は以下の
【化10】

を含む、請求項67の方法。
【請求項69】
Gd(III)化合物は以下の
【化11】

を含む、請求項67の方法。
【請求項70】
多座配位子が以下の
【化12】

(式中、各Rは独立して水素、アンモニウム又はアルカリ金属である。)
を含む、請求項46〜69のいずれか1項の方法。
【請求項71】
保護された酸素原子を有する多座配位子前駆体は以下の
【化13】

を含む、請求項46〜69のいずれか1項の方法。
【請求項72】
多座配位子が以下の
【化14】

(式中、各R10は独立して水素、アンモニウム又はアルカリ金属である。)
を含む、請求項46〜69のいずれか1項の方法。
【請求項73】
安定剤はポリエチレングリコールである、請求項46〜72のいずれか1項の方法。
【請求項74】
該溶解した又は部分的に溶解したポリマー反応物をカップリング剤の存在下で反応させることをさらに含む、請求項44〜73のいずれか1項の方法。
【請求項75】
カップリング剤は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1’−カルボニル−ジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)、N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HATU)、2−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−[(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、2−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、及びベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)からなる群から選択される、請求項74の方法。
【請求項76】
溶媒は極性非プロトン性溶媒である、請求項44〜75のいずれか1項の方法。
【請求項77】
極性非プロトン性溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピリドン(NMP)、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)からなる群から選択される、請求項76の方法。
【請求項78】
溶解された又は部分的に溶解されたポリマー反応物を触媒の存在下で反応させることをさらに含む、請求項44〜77のいずれか1項の方法。
【請求項79】
触媒は4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)である、請求項78の方法。
【請求項80】
病気又は症状の治療又は寛解が必要な哺乳動物に有効量の請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は有効量の請求項43の医薬組成物を投与することを含む、病気又は症状を治療又は寛解する方法。
【請求項81】
病気又は症状は肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍からなる群から選択される、請求項80の方法。
【請求項82】
病気又は症状は肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫からなる群から選択される、請求項80の方法。
【請求項83】
ロシジタグロンを含む基及びピオグリタゾンを含む基から選択される1種以上の化合物を投与することをさらに含む、請求項80〜82のいずれか1項の方法。
【請求項84】
病気又は症状の診断が必要な哺乳動物に、有効量の請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は有効量の請求項43の医薬組成物を投与することを含む、病気又は症状を診断する方法。
【請求項85】
病気又は症状は肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍からなる群から選択される、請求項84の方法。
【請求項86】
病気又は症状は肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫からなる群から選択される、請求項84の方法。
【請求項87】
有効量の請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は有効量の請求項43の医薬組成物を組織の一部と接触させることを含む、組織の一部を造影する方法。
【請求項88】
該ポリマー複合体が静脈内投与される、請求項80〜87のいずれか1項の方法。
【請求項89】
病状の又は症状の治療用又は寛解用医薬を調製するための請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は請求項43の医薬組成物の使用。
【請求項90】
病気又は症状は肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍からなる群から選択される、請求項89の使用。
【請求項91】
病気又は症状は肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫からなる群から選択される、請求項89の使用。
【請求項92】
ロシジタグロンを含む基及びピオグリタゾンを含む基から選択される1種以上の化合物を投与することをさらに含む、請求項89〜91のいずれか1項の使用。
【請求項93】
病気又は症状を診断するための請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は請求項43の医薬組成物の使用。
【請求項94】
病気又は症状は肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍からなる群から選択される、請求項93の使用。
【請求項95】
病気又は症状は肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫からなる群から選択される、請求項93の使用。
【請求項96】
組織の一部を造影するための請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は請求項43の医薬組成物の使用。
【請求項97】
病気又は症状は肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍及び卵巣腫瘍からなる群から選択される、請求項96の使用。
【請求項98】
該ポリマー複合体が静脈内投与される、請求項89〜97のいずれか1項の使用。
【請求項99】
疾患又は症状の治療又は寛解ための請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は請求項43の医薬組成物。
【請求項100】
病気又は症状は肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍からなる群から選択される、請求項99のポリマー複合体。
【請求項101】
病気又は症状は肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫からなる群から選択される、請求項99のポリマー複合体。
【請求項102】
ロシジタグロンを含む基及びピオグリタゾンを含む基から選択される1種以上の化合物を投与することをさらに含む、請求項99〜101のいずれか1項のポリマー複合体。
【請求項103】
病状又は症状を診断するための請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は請求項43の医薬組成物。
【請求項104】
病気又は症状は肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、及びメラノーマ腫瘍からなる群から選択される、請求項103のポリマー複合体。
【請求項105】
病気又は症状は肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、及び黒色腫からなる群から選択される、請求項103のポリマー複合体。
【請求項106】
組織の一部を造影するための請求項1〜42のいずれか1項のポリマー複合体又は請求項43の医薬組成物。
【請求項107】
組織は肺腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍及び卵巣腫瘍からなる群から選択される、請求項106のポリマー複合体。


【公表番号】特表2010−528122(P2010−528122A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507678(P2010−507678)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/063128
【国際公開番号】WO2008/141111
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】