説明

白金錯体、その製造方法と応用

【課題】 余分に変圧器の設置を避け、回路の設置のコストを低く抑え、回路の設置の体積と重量を減らすことができる。
【解決手段】 ヘキサクロロ白金酸とキレート剤を溶剤の中に入れて混合させ、ヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-をキレート剤と反応させ、通式Pt[R]2+の白金錯体を形成させる。Rはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エチレンジアミン、1,10‐フェナントロリンおよび2,2'‐ビピリジンの内の一個である。白金錯体が白金に還元される還元段階と還元された白金に対して乾燥を行う乾燥段階を含む白金触媒を製造する。その他に、ヘキサクロロ白金酸、キレート剤と担体を溶剤の中に混合して反応させて白金錯体を形成させ、再び担体に吸い付けられる白金錯体を白金/担体に還元させ、さらに還元された白金/担体に対して乾燥を行うことにより、白金/担体触媒を獲得する白金/担体触媒を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錯体とその応用に関するもので、特に白金錯体、この白金錯体の製造方法並びにこの白金錯体を利用して製造する白金触媒の製造方法、さらに上記白金錯体を利用して製造する白金/担体触媒の製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
白金は室温において強酸または強アルカリと反応せず、空気中においても酸素またはイオウを含む化合物と結合せず、そして一般的な高温下であっても、その化学的性質は依然として安定性を保持することができる。現在、石油化学工業とエネルギー工業において、白金は主に一種の触媒剤(白金触媒)として用いられている。石油化学工業において、白金触媒は石油の生産量の増加に役立つことができる。大部分の石油精製所では、表面に白金の触媒を塗布した触媒設備を有しており、白金触媒の触媒を経て、上記触媒設備を経た気化油を必要とする形式に転化することができる。その他に、大多数の自動車に配備される排気ガスの浄化器は、白金とパラジウム(Pd)の合金の塗布層を触媒とするセラミック体によって一酸化炭素と未燃焼の炭化水素を無害の二酸化炭素と水蒸気に転化することができる。
【0003】
エネルギー工業において、周知のように、現在、世界では石油の産出量が枯渇してしまう恐れがあって、燃料電池の発展を期して商業用途として提供することは広く重視されている。燃料電池はグリーン・エネルギーの主な出所と注目されており、燃料電池から排出されるものは無害の二酸化炭素、水と空気だけである。
【0004】
現在、イオン交換膜燃料電池 (PEMFC、proton exchange membrane fuel cell) はすでに広く重視されて開発されてきており、重点的な開発技術の一つであると言われている。そして燃料電池による発電は、主に外界から入力される水素と酸素などの燃料(Fuels)をエネルギーの源とし、さらに上記燃料電池の電極の中に白金触媒の材質を加え、上記白金触媒の触媒の作用を通じて電気化学の反応を行うことにより、電気的なエネルギーを生じさせる。このような電気化学的反応は陽極の水素を水素イオンと電子に分解させ、さらに陰極の酸素、水素イオンと電子を結合して水になる。もし、上記白金触媒の比表面積を高めることができれば、上記白金触媒の触媒の能力を高めることができ、さらに単位面積中の水素と酸素の反応量を高めることができると同時に、電流の密度を高めることができる。
【0005】
しかし、白金は自然界においてはずっと均質の形式で存在するものであり、そして均質の形式で存在する白金粒子の比表面積では触媒が比表面積に対しての要求を符合することができないため、さらに進んで加工を行わなければ、ナノ粒子の白金触媒を獲得することができない。このようにして、白金触媒の表面積を高めることができ、さらに白金触媒の使用量を低く抑えることができる。
【0006】
従来の白金触媒の製造方法では、ヘキサクロロ白金酸(chloroplatinic acid, H2PtCl6・6H2O)をナノメートル級の白金触媒を製造するのに主要な出所とする。ヘキサクロロ白金酸は通常として白金を過量の塩酸を含んだ王水または過量の塩素ガスを含んだ塩酸に溶けさせた後、濃縮してから獲得するもので、その内に上記王水は体積比が1:3の濃硝酸と濃塩酸の混合液からなる。王水で白金をスムーズに溶解することができるのは、塩素イオンによって安定した白金錯イオン [PtCl6]2-を誘発して生成することができるからである。その溶解反応は、3Pt + 16H + 4NO3 + 18Cl → 3[PtCl6]2- + 4NO + 8H2Oである。従来の白金触媒の製造方法では通常としてヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-を硝酸ナトリウム(NaNO3)と温度500℃で反応させて亜酸化白金(PtO)を得る。それから、再び還元段階を経て、亜酸化白金を560℃まで加熱分解して白金触媒を得る。
【0007】
上述した従来の白金触媒の製造方法では、直接ヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-を硝酸ナトリウムと酸化還元反応を生じさせることにより、亜酸化白金(PtO)を生成させる。しかし、亜酸化白金(PtO)中の+2価の白金イオンの間では任意に集中して結合し易くなることにより、従来の白金触媒の製造方法では白金イオン間の結合数を有効に制御することができず、そのため、上記還元段階を完成した後に獲得できる白金触媒の粒子が大き過ぎるという問題点があり、そして白金触媒の粒子の分布範囲が広くなり過ぎるため、白金触媒の比表面積と均一性を有効に高めることができず、さらに白金触媒の安定性と触媒の能力に影響を及ぼしてしまうという問題があった。
【0008】
上述した従来の白金触媒の製造方法を改良するべく、従来の白金/担体触媒の製造方法では、白金触媒を担体上に付着させることにより、成白金/担体触媒を形成させ、そして白金を導電する担体上に分散させることにより、白金/担体触媒の触媒能力と安定性を高め、さらに白金/担体触媒の接触面積を増加し、圧力を受ける能力を増加しようとしている。
【0009】
近年、カーボンブラックを担体とする白金/カーボンブラック触媒(Pt/Cナノメートル触媒)が研究されており、白金/カーボンブラック触媒は分散性が比較的よいという利点を有し、さらに粒子が比較的細かく、コストが比較的安いなどの利点を有し、現在では主にイオン交換膜タイプの燃料電池に応用されているのが実状である。
【0010】
従来の白金/カーボンブラック触媒の製造方法では、ヘキサクロロ白金酸を水中に溶けさせ、再び適量のカーボンブラックを加えて担体とし、そして均一に撹拌した後、溶剤を乾くように蒸し、それから再び還元段階において、水素を利用して還元を行うことにより、白金/カーボンブラック触媒を形成させる。
【0011】
しかし、従来の白金/カーボンブラック触媒の製造方法では、ヘキサクロロ白金酸をカーボンブラックに加えて直接上記の還元段階を行うことにより、依然として上述したように白金イオン間では不均一に集中して結合し易くなるため、上記還元段階を完成した後に獲得できる白金/カーボンブラック触媒の粒子の分布範囲が広くなり過ぎ、そして局部的に固まり易く、そのため、上記白金/カーボンブラック触媒の粒子分布が不均一になり、さらに上記白金/カーボンブラック触媒の比表面積を有効に高めることができず、上記白金/カーボンブラック触媒の触媒の能力に影響を及ぼしてしまうという問題があった。
【0012】
また、従来の白金/カーボンブラック触媒の製造方法として、例えば中華民国公告第565471号で提案された「高性能白金触媒の製造方法」があり、それは主にカーボンブラック担体を、先ず高温の黒鉛化処理を経て、再び白金触媒を処理されたカーボンブラックの上に吸い付けさせることにより、分散が均一で粒子が比較的小さい白金/カーボンブラック触媒を獲得しようしている。その製造工程は、ヘキサクロロ白金酸を水中に溶けさせ、再び順序に従って炭酸ナトリウムの溶液と亜硫酸水素ナトリウムの溶液をヘキサクロロ白金酸の溶液の中に加え、それから再び炭酸ナトリウムの溶液を加えることにより、沈殿物(Na6Pt(SO3)4)を形成させ、次いで沈殿物(Na6Pt(SO3)4)を水中に溶けさせ、さらにイオンの交換樹脂の中に加え、この時に+2価の白金イオンを獲得し、それから処理されたカーボンブラックを加え、均一に撹拌させた後、還元段階において過酸化水素(H22)を還元剤として加え、再び乾燥段階を利用して沈殿物をろ過して乾かし、最後に温度200℃から250℃の間の水素で還元処理を行うようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】中華民国公告第565471号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した中華民国公告第565471号の白金/カーボンブラック触媒の製造方法ではヘキサクロロ白金酸を反応物として直接反応を行うため、依然として上述したように白金イオンの間では不均等に集中して結合し易く、さらに白金/カーボンブラック触媒による白金の粒子の分布範囲が広くなり過ぎると共に局部的に固まり易いため、分散性がよくないなどの問題点があり、そして白金/カーボンブラック触媒の比表面積と触媒の能力に影響及ぼしてしまうとの問題があった。また、数種類の溶剤を添加して還元を行わなければならないため、製造工程において相対的に複雑なものになる。また、上記従来の白金/カーボンブラック触媒の製造方法では、カーボンブラックと白金の相互間の影響力は白金の粒子の分散性、成長と構成に影響を与える主なキーであると認識されているため、カーボンブラックと白金の相互間の影響力を重視するものであり、事実上、いかにして白金の粒子の分布範囲を集中させるように有効に制御できるかは、白金/カーボンブラック触媒の触媒の能力を有効に高め、そして燃料電池の電流密度とパワーを高めることにつながるものである。
【0015】
本発明はこのような問題点に鑑みて発明されたものであって、その第一の目的とするところは、白金錯体はキレート剤で白金イオンを被覆して形成させることにより、白金錯体の穩定性を増やすことができる白金錯体を提供することである。
【0016】
本発明の第二の目的は、白金錯体によって白金イオン間で結合反応が生じるのを避けることができる白金錯体の製造方法を提供することである。
【0017】
本発明の第三の目的は、白金触媒の粒子の分布範囲を小さくすることにより、白金触媒の粒子の均一性を増やすことができる白金触媒の製造方法を提供することである。
【0018】
本発明の第四の目的は、触媒の比表面積を増やすことにより、白金触媒の触媒の能力を高めることができる白金触媒の製造方法を提供することである。
【0019】
本発明の第五の目的は、白金/担体触媒の粒子の分布範囲を小さくすることにより、白金/担体触媒の粒子の均一性を増やすことができる白金/担体触媒の製造方法を提供することである。
【0020】
本発明の第六の目的は、白金/担体触媒の粒子の分散性を増やすことができる白金/担体触媒の製造方法を提供する。
【0021】
本発明の第七の目的は、白金/担体触媒の比表面積を増やして触媒の能力を高めることができる白金/担体触媒の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した原因に基づいて、本発明はヘキサクロロ白金酸をキレート剤と先に反応させることによって白金錯体を形成させる。上記白金錯体は上記キレート剤で白金イオンを被覆することにより、白金イオン間では結合し難くなり、自然に積み重なることができるため、形成された白金錯体は均一に溶剤の中に分散することができ、そして上述した白金イオン間が不均等に集中して結合し易いという問題点を克服することができる。上記白金錯体が白金触媒または白金/カーボンブラック触媒の製作に応用されると、触媒の粒子の分布範囲が集中し、さらに触媒の比表面積を高めることができる。
【0023】
上記目的を達成するために、本発明による白金錯体は、通式がPt[R]2+で、その内、Rはジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline)および2,2'−ビピリジン(2,2'-Bipyridine)の内の一個からなる。
【0024】
また、本発明による白金錯体の製造方法は、以下のようになるものである。すなわち、ヘキサクロロ白金酸とキレート剤を溶剤の中に入れて混合させることにより、ヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-をキレート剤と反応させて白金錯体を形成させる。
【0025】
また、本発明による白金触媒の製造方法は、以下のようになるものである。キレート段階、還元段階および乾燥段階を含む。キレート段階は、ヘキサクロロ白金酸とキレート剤を溶剤の中に入れて混合させて白金錯体の溶液を形成させることにより、白金錯体溶液中のヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-をキレート剤と反応させて共同で白金錯体を形成させる。還元段階は、還元剤を上記白金錯体の溶液の中に加えて共同で懸濁液を形成させることにより、白金錯体を白金に還元させる。乾燥段階は、懸濁液の内に還元された白金に対して乾燥を行うことにより、白金触媒を獲得する。
【0026】
さらに、本発明による白金/担体触媒の製造方法は、以下のようになるものである。キレート段階、還元段階および乾燥段階を含む。キレート段階はヘキサクロロ白金酸、キレート剤と担体を溶剤の中に入れて混合させて担体を含んだ白金錯体の溶液を形成させることにより、白金錯体の溶液の中のヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-をキレート剤と反応させて共同で白金錯体を形成させ、そして担体の上に吸い付けさせる。還元段階は還元剤を白金錯体の溶液の中に加えて共同で懸濁液を形成させることにより、担体の上に吸い付けられる白金錯体を白金/担体に還元させる。乾燥段階は懸濁液の内に還元された白金/担体に対して乾燥を行うことにより、白金/担体触媒を獲得する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の白金錯体によれば、白金錯体はキレート剤で白金イオンを被覆して形成させることにより、白金錯体の穩定性を増やすことができるという利点がある。
【0028】
本発明の白金錯体の製造方法によれば、白金錯体によって白金イオンの間で結合の反応が生じるのを避けることができるという利点がある。
【0029】
本発明の白金触媒の製造方法によれば、白金触媒の粒子の分布範囲を小さくすることにより、白金触媒の粒子の均一性を増やすことができるという利点がある。
【0030】
本発明の白金触媒の製造方法によれば、触媒の比表面積を増やすことにより、白金触媒の触媒の能力を高めることができるという利点がある。
【0031】
本発明の白金/担体触媒の製造方法によれば、白金/担体触媒の粒子の分布範囲を小さくすることにより、白金/担体触媒の粒子の均一性を増やすことができるという利点がある。
【0032】
本発明の白金/担体触媒の製造方法によれば、白金/担体触媒の粒子の分散性を増やすことができるという利点がある。
【0033】
本発明の白金/担体触媒の製造方法によれば、白金/担体触媒の比表面積を増やして触媒の能力を高めることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の実施例の白金触媒の製造方法のブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の分離段階を有する白金触媒の製造方法のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施例の白金/担体触媒の製造方法のブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施例の分離段階を有する白金/担体触媒の製造方法のブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施例の白金/担体触媒(Pt/C-dien)の粒子の分布図である。
【図6】図6は、本発明の実施例の白金/担体触媒(Pt/C-trien)の粒子の分布図である。
【図7a】第7a図は、本発明の実施例の白金/担体触媒(Pt/C-en-1)の粒子の分布図で、その内に白金がカーボンブラックを占めるモル比は0.33mmolである。
【図7b】第7b図は、本発明の実施例の白金/担体触媒(Pt/C-en-1)の粒子の分布図で、その内に白金がカーボンブラックを占めるモル比は0.67mmolである。
【図7c】第7c図は、本発明の実施例の白金/担体触媒(Pt/C-en-1)の粒子の分布図で、その内に白金がカーボンブラックを占めるモル比は1mmolである。
【図8】図8は、本発明の実施例の白金/担体触媒(Pt/C-bpy)の粒子の分布図である。
【図9a】図9aは、本発明の実施例の白金の含有量が21%の白金/担体触媒(Pt/C-phen)の粒子の分布図である。
【図9b】図9bは、本発明の実施例の白金の含有量が30%の白金/担体触媒(Pt/C-phen)の粒子の分布図である。
【図10a】図10aは、本発明の実施例でジエチレントリアミンをキレート剤としての白金/担体触媒の低倍率のTENの説明図である。
【図10b】図10bは、本発明の実施例でジエチレントリアミンをキレート剤としての白金/担体触媒の中倍率のTENの説明図である。
【図10c】図10cは、本発明の実施例でジエチレントリアミンをキレート剤としての白金/担体触媒の高倍率のTENの説明図である。
【図10d】図10dは、本発明の実施例でジエチレントリアミンをキレート剤としての白金/担体触媒の選択区域の電子回折図(SADP)である。
【図11a】図11aは、本発明の実施例でトリエチレンテトラミンをキレート剤としての白金/担体触媒の低倍率のTENの説明図である。
【図11b】図11bは、本発明の実施例でトリエチレンテトラミンをキレート剤としての白金/担体触媒の中倍率のTENの説明図である。
【図11c】図11cは、本発明の実施例でトリエチレンテトラミンをキレート剤としての白金/担体触媒の高倍率のTENの説明図である。
【図11d】図11dは、本発明の実施例でトリエチレンテトラミンをキレート剤としての白金/担体触媒の選択区域の電子回折図(SADP)である。
【図12a】図12aは、本発明の実施例でエチレンジアミンをキレート剤としての白金/担体触媒の低倍率のTENの説明図である。
【図12b】図12bは、本発明の実施例でエチレンジアミンをキレート剤としての白金/担体触媒の中倍率のTENの説明図である。
【図12c】図12cは、本発明の実施例でエチレンジアミンをキレート剤としての白金/担体触媒の高倍率のTENの説明図である。
【図12d】図12dは、本発明の実施例でエチレンジアミンをキレート剤としての白金/担体触媒の選択区域の電子回折図(SADP)である。
【図13a】図13aは、本発明の実施例で2,2'−ビピリジンをキレート剤としての白金/担体触媒の低倍率のTENの説明図である。
【図13b】図13bは、本発明の実施例で2,2'−ビピリジンをキレート剤としての白金/担体触媒の中倍率のTENの説明図である。
【図13c】図13cは、本発明の実施例で2,2'−ビピリジンをキレート剤としての白金/担体触媒の高倍率のTENの説明図である。
【図13d】図13dは、本発明の実施例で2,2'−ビピリジンをキレート剤としての白金/担体触媒の選択区域の電子回折図(SADP)である。
【図14a−14k】図14a〜14kは、本発明の実施例で1,10−フェナントロリンをキレート剤としての白金の含有量が21.4%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。
【図15a−15k】図15a〜15kは、本発明の実施例で1,10−フェナントロリンをキレート剤としての白金の含有量が30%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。
【図16a−16i】図16a〜16iは、本発明の実施例でトリエチレンテトラミンをキレート剤としての白金の含有量が15.5%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。
【図17a−17j】図17a〜17jは、本発明の実施例でトリエチレンテトラミンをキレート剤としての白金の含有量が30%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。
【図18a−18j】図18a〜18jは、本発明の実施例で2,2'‐ビピリジンをキレート剤としての白金の含有量が18.7%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。
【図19a−19i】図19a〜19iは、本発明の実施例で2,2'−ビピリジンをキレート剤としての白金の含有量が30.2%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。
【図20】図20は、本発明の実施例の白金/担体触媒のXRDのテストの比較図である。
【図21】図21は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-bpy)のXRDのテストの比較図である。
【図22】図22は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-phen)のXRDのテストの比較図である。
【図23】図23は、本発明の実施例の白金/担体触媒のCV曲線のテストの比較図である。
【図24】図24は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-bpy)のCV曲線のテストの比較図である。
【図25】図25は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-phen)のCV曲線のテストの比較図である。
【図26】図26は、本発明の実施例の白金/担体触媒の電圧とパワーのテストの比較図である。
【図27】図27は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-bpy)の電圧とパワーのテストの比較図である。
【図28】図28は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-phen)の電圧とパワーのテストの比較図である。
【図29】図29は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-trien)の安定度のテストの図である。
【図30】図30は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-en)の安定度のテストの図である。
【図31】図31は、本発明の実施例の白金/担体触媒の(Pt/C-phen)の安定度のテストの図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0036】
本発明は白金錯体を調製して形成させ、そして上記白金錯体をさらに白金触媒または白金/担体触媒の製造方法に応用することができる。
【0037】
1.本発明の白金錯体の製造方法
本発明の白金錯体の製造方法は、キレート段階を含む。上記キレート段階はヘキサクロロ白金酸(chloroplatinic acid, H2PtCl6・6H2O)をキレート剤(chelating agent)と溶剤の中に入れて白金錯体の溶液を形成させ、そしてヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-を上記キレート剤と反応させることにより、白金イオンは上記キレート剤の中に被覆されて白金錯体として形成される。上記溶剤は選択的に水、エチルアルコール、エーテルとアセトンなどからなることができ、例えば本発明の溶剤は選択的に水またはエチルアルコールの水溶液からなる。本発明のキレート剤は選択的にジエチレントリアミン(diethylenetriamine,NH2CH2CH2NHCH2CH2NH2)、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine,NH2CH2CH2NHCH2CH2NHCH2CH2NH2)、エチレンジアミン(ethylenediamine,NH2CH2CH2NH2)、1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline,C1282)、フェナントロリン(phenanthroline,C1282)、2,2'−ビピリジン(2,2'-Bipyridine,C1082)またはビピリジン(bipyridine,C1082)などからなることができる。また、説明を容易にするために、本説明においてはdiethylenetriamineを“dien”と、triethylenetetramineを“trien”と、ethylenediamineを“en”と、bipyridineを“bpy”と、そしてphenanthrolineを“phen”と略称する。
【0038】
さらに詳しく言えば、上述した本発明の白金錯体の製造方法のキレート段階S1において、上記キレート剤と白金は好ましくは1:1から3:1までのモル比で上記溶剤の中に混合を行うことにより、上記ヘキサクロロ白金酸が溶液の中で分解される白金錯イオン [PtCl6]2-は上記キレート剤と反応を行い、そして本発明の白金錯体を形成する。例えば、上記キレート剤はジエチレントリアミン(diethylenetriamine)からなる時、上記キレート剤と白金のモル比は好ましくは1:1から2:1までであり、そしてヘキサクロロ白金酸および上記溶剤との反応で生成される白金錯体はPt[dien]22+である。上記キレート剤はトリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)からなる時、上記キレート剤と白金のモル比は好ましくは1:1から1.5:1までであり、そして反応で生成される白金錯体はPt[trien]2+である。上記キレート剤はエチレンジアミン(ethylenediamine)からなる時、反応で生成される白金錯体はPt[en]2+である。上記キレート剤は2,2'−ビピリジン(2,2'-bipyridine)からなる時、ヘキサクロロ白金酸および上記溶剤との反応で生成される白金錯体はPt[bpy]22+である。上記キレート剤は1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline)からなる時、ヘキサクロロ白金酸および上記溶剤との反応で生成される白金錯体はPt[phen]22+である。その中に、キレート剤はエチレンジアミン、2,2'−ビピリジンと1,10−フェナントロリンからなる時、キレート剤と白金のモル比は好ましくは2:1から3:1までである。このようにして、本発明の白金錯体を調製することができる。
【0039】
その他に、本発明の白金錯体の製造方法において、ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤との間の混合をさらに均一になるようにするべく、上記キレート段階S1において、上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤は好ましくは撹拌の方式で混合を行い、その中に上記溶剤は持続的に撹拌を行うものであり、それから再びヘキサクロロ白金酸を上記キレート剤と上記溶剤の中に入れて混合させ、そして好ましくは磁石で持続的な撹拌を行う。それから、ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を溶剤に入れた後、他に超音波で振動させることにより、ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を上記溶剤の中においてさらに均一に混合することができる。超音波での振動は好ましくは4時間から6時間まで行い、4時間が最適である。
【0040】
これにより、上述した本発明の白金錯体の製造方法は上記キレート剤の種類が異なるに従って、反応によって生成される異なる白金錯体を前駆物質の錯体とする。白金イオンそのものは還元し易く、さらに白金オンの間は結合し易いため、白金イオンの間の互いの結合の個数は異なるようになる。しかし、本発明では上記キレート剤を利用して白金イオンを被覆することにより、白金イオン間では結合し難くなり、自然に積み重なることができるため、形成された白金錯体は均一に溶剤の中に分散することができ、そして均一に分散される白金錯体の溶液が形成される。ここまで至って、本発明の上記白金錯体の製造方法を完成し、本発明の白金錯体を形成することができる。
【0041】
本発明の白金錯体の製造方法は、白金を中心の陽イオンとし、上記キレート剤は配位数の違いに従って異なる選択を採用することができるため、上述したキレート剤とは限らない。錯体を形成するのは1個の金属原子または陽イオンを中心とし、そしてその空原子価軌道を利用して孤立電子対(lone pair、または未共用電子対と称する。)を有する陰イオンまたは極性分子と互いに結合させることにより、複雜の帯電荷または中性の原子団を形成させる。配位子の定義は中心金属原子または陽イオンと結合する周囲の分子またはイオンである。配位子は主に3種類に分けられる。(1)中性分子:極性分子に満足しなければならず、そして未結合の電子対を有することで、例えば:NH3、H2O、COであり、(2)陰イオン:全てが配位子として可能であり、(3)陽イオン:NO+を除いて、一般として全て配位子としてできない。配位子はまた単座配位子、多座配位子として分けられ、単座配位子と中心金属原子または陽イオンと互いに結合する場所はただ一ヶ所だけであり、例えば NH3、F、Cl、CO、CN、H2Oなどである。多座配位子と中心金属原子または陽イオンと互いに結合する場所は一ヶ所だけではない。多座配位子と金属原子または陽イオンが形成される錯体をキレート(chelate)と称する。“キレート”はすなわち環になるとの意味合いである。キレートを形成する第一の条件としてキレート剤には2個または2個以上の電子対の配位原子(主にN、O、Sなどの原子)を提供できることが必要である。多座配位子の中の二座配位子は6対の孤立電子対を提供して中心原子と結合することができ、例えばシュウ酸根(C242-)、エチレンジアミン(H2NCH2CH2NH2、enと略称する)、炭酸根(CO32-)、酒石酸根(C4462-)、硫酸根(SO42-)である。多座配位子の中の六座基配位子は、6対の孤立電子対を提供して中心原子と結合(すなわち中心原子と結合する場所は六ヶ所)することができ、例えば エチレンジアミン四酢酸根(ethylenediaminetetraacetate、EDTAと略称する)である。キレートを形成する第二の条件として、各2個の電子対を提供できる配位原子は2個または3個のその他の原子を隔ていなければならず、それによって安定した五員環または六員環を形成することができる。配位数の定義は中心原子が吸引する未共用電子対の数または中心原子と配位子が互いに結合する場所の原子の総数である。同じ種類の金属原子またはイオンでは異なる種類の錯体を形成するかもしれず、故にその配位数は一定で変わらないとは限らない。そのため、上述の錯体(キレート)の形成条件に符合するキレート剤は全て本発明の白金錯体の製造方法に応用される。
【0042】
2.本発明の白金錯体
上述した本発明の白金錯体の製造方法を経て獲得される白金錯体の通式はPt[R]2+で、その内、Rはジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline)および2,2'−ビピリジン(2,2'-Bipyridine)の内の一個からなり、それによってそれぞれPt[dien]2+、Pt[trien]2+、Pt[en]2+、[Pt(bpy)2]2+と [Pt(phen)2]2+の白金錯体を形成する。そのように、本発明の白金錯体は溶液の中に均一に分散できるとの特点を有するため、さらに自動車のコンバーターなどに応用することができる。
【0043】
上述した白金錯体の製造方法によって製造される白金錯体の均一な分散性がよいため、さらに白金触媒の製作に応用することにより、白金触媒の均一な分散性を高めることができる。
【0044】
3.本発明の白金触媒の製造方法
図1は本発明の実施例の白金触媒の製造方法のブロック図である。図1を参照すると、本発明の白金触媒の製造方法はキレート段階S1、還元段階S2および乾燥段階S3を含むことにより、白金触媒を製造することができる。
【0045】
上記キレート段階S1において、ヘキサクロロ白金酸(chloroplatinic acid,H2PtCl6・6H2O)とキレート剤(chelating agent)を溶剤の中に入れて混合させて白金錯体の溶液を形成させ、そしてヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-と上記キレート剤を反応させて白金錯体を形成させる。本発明の白金触媒の製造方法におけるキレート段階S1は前述と同じであるため、ここではその説明を割愛する。
【0046】
本発明の白金触媒の製造方法の還元段階S2において、還元剤を上記白金錯体の溶液の中に加えて共同で懸濁液を形成させることにより、上記白金錯体を白金のナノ粒子に還元させる。さらに詳しく言えば、上記還元剤は選択的にホルムアルデヒドからなり、上記ホルムアルデヒドとヘキサクロロ白金酸のモル比は好ましくは20:1であり、そして上記ホルムアルデヒドを還元剤として利用し、上記白金錯体の溶液中の白金錯体を白金に還元させ、さらに上記白金錯体の溶液は上記懸濁液に形成される。その他に、上記キレート剤と白金のモル比は還元の能力と白金のナノ粒子の大きさに影響を及ぼすキーポイントである。上記キレート剤が多過ぎると、比較的上記白金のナノ粒子に還元し難くなる。キレート剤が少な過ぎると、粒子の大きさが均一な白金のナノ粒子を得ることができない。そのため、各キレート剤と白金のモル比は好ましくは1:1から3:1までの間に保たれる。
【0047】
その他に、白金イオンがアルカリ性の溶液の中における還元能力は酸性の溶液の中における還元能力よりも強いため、アルカリ性の溶液の中において還元される白金触媒のナノ粒子がさらに均一になる。このように、上記還元段階S2において、好ましくは上記還元剤を加えた後、他にアルカリ性の溶液を上記懸濁液の中にゆっくり加え、上記懸濁液のpH値が7より大きくなるまで加え続け、そして上記アルカリ性の溶液は好ましくは水酸化ナトリウム(NaOH)の溶液からなり、そして上記水酸化ナトリウム(NaOH)の溶液の濃度は好ましくは0.5Mである。本発明のpH値は好ましくはpH12から14までであり、pH14が最適である。
【0048】
上述のように、上記懸濁液のpH値がpH7より大きくなるまで調整し終えた後、好ましくは他に上記懸濁液に対して超音波による振動を行うことにより、混合はさらに均一になり、そして上記超音波による振動の時間は好ましくは0.2時間から5時間までであり、0.5時間が最適である。
【0049】
また、上記還元剤を上記白金錯体の溶液に加えた後、好ましくは他にマイクロ波で上記懸濁液に対して加熱を行い、そしてマイクロ波の加熱時間は好ましくは3から30分間で、6分間が最適であり、マイクロ波のパワーは好ましくは700Wである。本発明ではマイクロ波を利用して快速的な高温を提供することにより、白金の粒子はさらに均一に分散し、そして転換の効率を増やすことができる。
【0050】
上記懸濁液に対してマイクロ波による加熱を行った後、好ましくは他に上記懸濁液を室温で自然に冷却させることにより、還元後の白金のナノ粒子の大きさはさらに均一になり、そして初歩的に沈殿させることができる。
【0051】
上記乾燥段階S3において、還元された白金に対して乾燥を行うことにより、白金触媒を獲得する。さらに詳しく言えば、本実施例では上記懸濁液の内の沈殿物(還元された白金)を取り出した後、上記沈殿物を真空のオーブンの中に置いて乾燥を行う。乾燥の温度範囲は好ましくは373Kから423Kまでの間である。上記乾燥温度が373Kより低い時、上記還元された白金の中に残留する溶剤は揮発し難くなる。反対に、上記乾燥温度が423Kより高い時、上記還元された白金の中の白金は高温によって分解されて消失してしまう。乾燥の時間は好ましくは1時間から24時間まで、そして乾燥後は白金触媒を獲得することができ、そして本発明の白金触媒の製造方法によって獲得される白金触媒は望ましい丸い球状に形成される。ここまで至って、本発明の白金触媒の製造方法を完成する。
【0052】
図2は本発明の実施例の分離段階を有する白金触媒の製造方法のブロック図である。図2を参照すると、本発明の白金触媒の製造方法において上記還元段階S2を完成した後、好ましくは他に分離段階S21を行ってから、再び上記乾燥段階S3を行う。上記分離段階S21は上記還元された白金を上記懸濁液の中から分離させた後、再び上記乾燥段階S3を行う。さらに詳しく言えば、本実施例は上記懸濁液に対して遠心分離を行うことにより、上記還元された白金は沈殿し、そして上記懸濁液の中から分離される。そして好ましくは他にエチルアルコールと脱イオン水を利用して上記沈殿物(還元された白金)を洗浄する。かくして、上記還元された白金は上記懸濁液の中からさらに完全に分離される。
【0053】
上述した本発明の白金触媒の製造方法では、上記キレート段階S1の中にキレート剤によって白金イオンを上記キレート剤の中に被覆させて上記白金錯体を形成させ、それぞれの白金錯体の中心白金イオン相互の結合能力を低く下げさせることにより、上記白金錯体は上記溶剤の中に均一に分散され、さらにそれぞれの白金錯体の中心白金イオン間の結合力を低く下げさせることにより、中心白金イオン間の結合数を有効に制御することができる。そのため、白金触媒のナノ粒子の分散性を高めることにより、白金触媒のナノ粒子は均一に成長することができる。
【0054】
その他に、白金触媒の分散性を増やし、さらに白金触媒の触媒の能力と安定性を高めるべく、白金を担体の上に付着させて白金/担体触媒を形成させることができる。そして白金/担体触媒によって触媒の接触面積を増やすとともに、圧力を受ける能力を高めることができる。このように、本発明の白金錯体をさらに白金/担体触媒の調製に応用することができる。
【0055】
4.本発明の白金/担体触媒の製造方法
図3は本発明の実施例の白金/担体触媒の製造方法のブロック図である。図3を参照すると、本発明の白金/担体触媒の製造方法はキレート段階S1’、還元段階S2’および乾燥段階S3’を含むことにより、白金/担体触媒を調製することができる。
【0056】
本発明の白金/担体触媒の製造方法のキレート段階S1’は、ヘキサクロロ白金酸、キレート剤と担体を溶剤の中に置きいれて混合させて含担体を含んだ白金錯体の溶液を形成させることにより、上記白金錯体の溶液の中のヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-と上記キレート剤を反応させて白金錯体を形成させ、そして上記担体の上に吸い付けさせる。さらに詳しく言えば、上記キレート剤と溶剤は前述と同じであるため、ここでは再び叙述しない。その中に、上記担体は好ましくは選択的に多孔性材料からなり、さらに低孔性担体と多孔性担体と区分する。低孔性担体は例えばガラス粉末、カーボンブラック、酸化亜鉛、チタン石と炭化ケイ素などである。多孔性担体は例えば珪藻土、軽石、礬土、苦土、活性炭とシリカなどである。本発明において好ましくはカーボンブラックと二酸化ケイ素などからなる。また、本発明において白金の担体としてカーボンブラックからなるのが最適であり、それによって白金の比表面積を高めるとともに、白金の分散性を増やすことができる。そしてカーボンブラックを担体として使用すると、後続の製造工程で獲得できる触媒が燃料電池に運用される時の使用量を低く抑えることができ、さらに製造コストを低く抑えることができる。
【0057】
本発明では選択的に先ずヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を上記溶剤に加えてから再び上記担体を添加するが、勿論先ず上記担体を上記溶剤に加えてから再び上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を添加することもでき、或いはヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤と上記担体を同時に上記溶剤の中に加えることもできる。このように、上記ヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-と上記キレート剤を反応させて共同で上記白金錯体を形成させた後、上記担体の表面に付着させることができ、さらに均一に分散することができるため、上記白金錯体の分散性をさらに増やすことができる。完成後は直接上記還元段階S2’を行うことができる。
【0058】
或いはまた、上記担体を上記溶剤に加える前、好ましくは塩酸(HCl)で上記担体を洗浄することにより、上記担体の上の金属不純物を除去し、それから脱イオン水で担体を洗浄し、上記担体上の塩化物の不純物を除去する。これにより、白金は上記担体の上にさらに均一に分散されるため、塩化物によって白金に形成されるナノ粒子の大きさに悪影響を及ぼしてしまうのを避けることができる。また、上記担体が上記溶剤の中に均一に分散して固まらないようにするべく、上記担体を上記溶剤に加える前、先ず上記担体を無水アルコールの中に加えて均一に混合させて担体の溶液を形成させ、再び上記担体の溶液を上記溶剤の中に加える。これにより、後続の還元された白金を担体の中に均一に分散させることができるため、さらにナノ粒子の分布が狭い白金/担体触媒を獲得することができる。
【0059】
上述したとおり、上記キレート段階S1’において、上記溶剤を撹拌し続け、再びヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤と上記担体を上記溶剤の中に入れて混合させ、それからヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤と上記担体が溶剤に入れられた後、他に超音波による振動方式でヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤と上記担体を上記溶剤の中にさらに均一になるように混合させる。この超音波による振動の時間は4時間から6時間までであり、4時間が最適である。
【0060】
再び図3を参照すると、本発明の白金/担体触媒の製造方法の還元段階S2’において、還元剤を上記白金錯体の溶液の中に加えて共同で懸濁液を形成させることにより、上記担体の上に吸い付けられる白金錯体を白金/担体に還元させる。上記還元剤は前述と同様であるため、ここでは再び叙述しない。さらに詳しく言えば、上記還元剤を添加することにより、上記白金錯体の溶液の中に上記担体の上に吸い付けられる白金錯体を白金/担体に還元させ、そして上記白金/担体は上記懸濁液の中において沈殿物を形成させる。それから直接上記乾燥段階S3’を行うことができる。その中に、上記還元段階S2’において好ましくは他に上記懸濁液のpH値をpH7より大きくなるまで調整し、そして超音波による振動を行い、マイクロ波の方式で加熱を行い、さらに上記懸濁液を室温で自然に冷却を行うなどの段階は前述と同様であるため、ここでは再び叙述しない。
【0061】
本発明の白金/担体触媒の製造方法の乾燥段階S3’において、上記還元された白金/担体に対して乾燥を行うことにより、白金/担体触媒を獲得する。さらに詳しく言えば、本実施例は上記懸濁液の内の沈殿物(還元された白金/担体)を取り出した後、上記沈殿物を真空のオーブンの中に置いて乾燥を行う。乾燥の温度範囲と時間は前述のとおりである。そして乾燥後は白金/担体触媒を獲得することができ、本発明の白金/担体触媒の製造方法によって獲得される白金/担体触媒は好ましい丸い球状に形成される。ここまで至って、本発明の白金/担体触媒の製造方法を完成する。本発明によって形成される白金/担体触媒のナノ粒子は均一に分散され、そして白金/担体触媒のナノ粒子の分布範囲が狭く、粒子の大きさも一致したものになる。
【0062】
図4は本発明の実施例の分離段階を有する白金/担体触媒の製造方法のブロック図である。図4を参照すると、本発明の白金/担体触媒の製造方法において上記還元段階S2’を完成した後、好ましくは他に分離段階S21’を行ってから、再び上記乾燥段階S3’を行う。上記分離段階S21’は上記還元された白金/担体を上記懸濁液の中から分離させた後、再び上記乾燥段階S3’を行う。さらに詳しく言えば、本実施例は上記懸濁液に対して遠心分離を行うことにより、上記還元された白金/担体の沈殿は比較的完全になり、そして上記懸濁液の中から分離される。そして好ましくは他にエチルアルコールと脱イオン水を利用して上記沈殿物(還元された白金/担体)を洗浄する。このように、上記還元された白金/担体は上記懸濁液の中からさらに完全に分離される。
【0063】
5.本発明の白金/担体触媒の製造方法の詳細な実施例
本発明の第一実施例の白金/担体触媒の製造方法と調製される白金/担体触媒は好ましくはカーボンブラックを担体とし、そして後続における説明の便利性を図るべく、カーボンブラックを担体とする白金触媒をPt/C-xと略称する。その中に、xは上記キレート剤の種類を表し、上記キレート剤の配位数は2、3または4などからなることができる。本発明の白金/担体触媒の製造方法は上記キレート剤の種類と配位数によって異なる白金錯体を調製することができる。
【0064】
本発明の第一実施例の白金/担体触媒の製造方法の中に上記キレート段階S1’において、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)をキレート剤とし、そして水を溶剤とし、さらに450ミリグラムのVulcan XC-72のカーボンブラックを担体とする。上記溶剤は持続的に撹拌を行い、そして再び上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を上記溶剤の中に入れて混合させ、反応させることによって白金錯体Pt[dien]2+を獲得する。その中に上記キレート剤の用量は18ミリグラムで、そしてヘキサクロロ白金酸の用量は26.1mlである。
【0065】
上記担体は選択的に6Mの塩酸(HCl)と水でカーボンブラックの上の不純物質を除去した後、先ず約10ミリリットルの無水アルコールと均一に混合させ、再び上記溶剤の中に加えて共同で白金錯体の溶液を形成させることにより、カーボンブラックは0.2mmolの白金錯体Pt[dien]2+を含む。ヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤とカーボンブラックは超音波による振動により、上記白金錯体の溶液が充分に混合されて糊状物に形成され、そして白金がカーボンブラックを占める重量パーセントは約15%である。好ましくはカーボンブラックを白金錯体と4時間充分に混合させる。
【0066】
次いで、ホルムアルデヒドを還元剤として上記還元段階S2を行う。ホルムアルデヒドの用量は好ましくは濃度37%で5.2ミリミットルである。ホルムアルデヒドを上記糊状物の中に加えて懸濁液を形成させる。ホルムアルデヒドとヘキサクロロ白金酸のモル比は好ましくは20:1である。それから再びpH値を調整し、25ml、0.5Mの水酸化ナトリウム(NaOH)の溶液を上記懸濁液の中にゆっくり加え、上記懸濁液のpH値がpH14のアルカリ性になるまで加える。それから再び超音波を利用して30分間振動した後、再び懸濁液を電子レンジの中に入れて700Wのパワーで6分間マイクロウェーブで加熱し、それから再び懸濁液を室温で自然に冷却させることにより、担体の上に吸い付けられた白金錯体は還元を経て白金/担体に形成され、そして上記懸濁液の中に沈殿される。
【0067】
それから、再び上記分離段階S21を行い、上記分離段階S21を利用して沈殿される白金/担体を遠心分離の方式で上記溶液の中から分離させ、そして上記白金/担体は好ましくは他にエチルアルコールと脱イオン水を利用して洗浄することができる。最後に上記乾燥段階S3を行い、上記白金/担体を温度範囲が約373Kから423Kまでの間の真空のオーブン中に置いて乾燥を行うことにより、白金/担体触媒(Pt/C触媒と略称する)を獲得することができる。本発明の白金/担体触媒のナノ粒子は好ましくは面心立方(fcc)の結晶構造に形成される。
【0068】
図5は本発明の実施例の白金/担体触媒(Pt/C-dien)の粒子の分布図である。図5を参照すると、本発明の第一実施例によって製造される白金/担体触媒(Pt/C-dien)のナノ粒子の分布範囲は1.5nmから3.7nmまでの間であり、そして平均の粒径は2.5nmで、その標準差は0.5nmである。本発明の白金/担体触媒のナノ粒子の分布範囲は集中しかつ分散性がよい。その他に、図10a〜図10cを参照すると、異なる倍率のTEM図から知ることができるように、白金のナノ粒子が一致し、かつ均一に担体カーボンブラックの中に分布される。粒子の分布は任意の区域から300粒子を選んで測定し、そしてシェレル(Scherrer)方程式を利用して平均の粒子の大きさを計算した。
【0069】
本発明の第二実施例の白金/担体触媒の製造方法において、その製造方法は第一実施例と同じであり、その差は上記キレート段階S1’の中にトリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)をキレート剤としてヘキサクロロ白金酸と反応させ、白金錯体Pt[trien]2+、を形成させることである。上記キレート剤の用量は25ミリグラムで、そしてヘキサクロロ白金酸の用量は26.1mlである。その他の段階は本発明の第一実施例の白金/担体触媒の製造方法を参照し、ここでは再び新たに叙述しない。図6を参照すると、本発明の第二実施例によって製造される白金/担体触媒(Pt/C-trien)の ナノ粒子の分布範囲は1.1nmから2.5nmまでの間であり、そして平均の粒径は1.7nmで、その標準差は0.3nmである。本発明の白金/担体触媒のナノ粒子の分布範囲は集中しかつ分散性がよい。その他に、図11a〜図11cを参照すると、異なる倍率のTEM図から知ることができるように、白金のナノ粒子は一致しかつ均一に上記担体カーボンブラックの中に分布される。
【0070】
本発明の第三実施例の白金/担体触媒の製造方法において、その製造方法は第一実施例と同じであり、その差は上記キレート段階S1’の中にエチレンジアミン(triethylenetetramine)をキレート剤としてヘキサクロロ白金酸と反応させ、白金錯体Pt[en]22+を形成させることである。上記キレート剤の用量は20ミリグラムで、そしてヘキサクロロ白金酸の用量は26.1mlである。その他の段階は本発明の第一実施例を参照し、ここでは改めて叙述しない。図7aを参照すると、本発明の第三実施例によって製造される白金/担体触媒のナノ粒子の分布範囲は1.3nmから2.7nmまでの間であり、そして平均の粒径は2.0nmで、その標準差は0.3nmである。本発明の白金/担体触媒のナノ粒子の範囲は集中しかつ分散性がよい。その他に、図12a〜図12cを参照すると、異なる倍率のTEM図から知ることができるように、白金のナノ粒子が一致し、かつ均一に上記担体カーボンブラックの中に分布される。
【0071】
表1は、異なる白金/担体触媒(Pt/C)のナノ粒子の大きさ、粒子の分布範囲と白金の含有量の相対関係である。
【表1】

【0072】
表1と図5、6、7の結果から知ることができるように、白金/担体触媒の平均のナノ粒子の大きさは順序に従ってPt/C-ETEK(一般の商用触媒)>Pt/C-dien>Pt/C-en>Pt/C-trienである。その中に、白金/担体触媒(Pt/C-trien)は相対的に比較的狭い粒子の大きさの分布を有し、さらに白金/担体触媒(Pt/C-dienとPt/C-en)よりさらに小さい粒子を有する。平均のナノ粒子の大きさは上記キレート剤の中の窒素の配位数と関係を有する。白金錯体の中は1個または複数個の五員環または六員環を含むため、比較的高い生成定数(formation constant)を有し、そしてそれによって形成される錯体も比較的安定である。白金錯体Pt[trien]2+は中心白金イオン、3個の五員環と4個の窒素原子が結合してなる。白金錯体Pt[dien]2+は中心白金イオン、2個の五員環と3個の窒素原子が結合してなる。Pt[trien]2+の熱力学の安定性(thermodynamic stable)はPt[dien]2+より約103倍高い。熱力学の安定性は還元の速度に影響を及ぼすとともに、粒子の大きさと粒子の分布にも影響を及ぼす。Pt[trien]2+の還元の速度はPt[dien]2+よりさらに遅いため、形成される白金のナノ粒子と粒子の分布はPt[dien]2+より小さい。
【0073】
その中に、白金/担体触媒中の白金の含有量は誘導結合プラズマ分光器(Inductively-Coupled Plasma spectroscope,ICP‐AES)で計測して得た。その中に、1グラムの市販の固体ヘキサクロロ白金酸(Hexachloroplatinic acid,H2PtCl6,99.995%)を100ミリミットルの脱イオン水で希釈して得られるヘキサクロロ白金酸の溶液に加え、そしてIPCで計測することにより上記ヘキサクロロ白金酸の溶液の白金含有量は431.7ミリグラムであると知ることができた。
【0074】
本発明の第四実施例の白金/担体触媒の製造方法において、その製造方法は第一実施例と同じであり、450ミリグラムのVulcan XC-72カーボンブラックを担体とする。その違いは上記キレート段階S1’においてエチレンジアミン(ethylenediamine,NH2CH2CH2NH2)をキレート剤とし、そして上記キレート剤とヘキサクロロ白金酸をエチルアルコール水溶液の中に置き入れ、白金錯体Pt[en]2+を形成させることである。その中に、白金がカーボンブラックに相対する含有量はそれぞれ0.33mmol、0.67mmolと1mmolであり、そして上記キレート剤が白金に相対する比は2:1である。上記エチルアルコール水溶液の中のエチルアルコールと水の比は好ましくは1:4である。その他の段階は第一実施例を参照し、ここでは改めて叙述しない。
【0075】
表2は同じキレート剤で異なる白金の含有量の中に触媒の粒子に対する影響を表す。白金がカーボンブラックを占めるモル比はそれぞれ0.33、0.67および1mmolに従って、獲得できる白金/担体触媒はそれぞれPt/C-en-1白金/担体触媒、Pt/C-en-2白金/担体触媒とPt/C-en-3白金/担体触媒で表す。Pt/C-ETEKは一般の商用触媒で、本発明の白金/担体触媒の製造方法で製造される白金/担体触媒では粒子の大きさまたは粒子の分布範囲は全て商用触媒より良好である。その他に、本発明の白金/担体触媒の製造方法を利用して製造される白金/担体触媒では、白金の含有量を多く上げても依然として均一に分布して固まらない白金/担体触媒を獲得することができる。図7a〜7cを参照すると、粒子の分布図と表2から知ることができるように、本発明の第四実施例によって製造される白金/担体触媒(Pt/C-en-1、 Pt/C-en-2、 Pt/C-en-3)のナノ粒子の分布範囲は集中しかつ分散性がよい。
【0076】
表2は、同じキレート剤(ethylenediamine)で、白金の含有量の不同に基づく白金/担体触媒のナノ粒子大きさ、粒子の分布範囲と生産量の相対関係である。
【表2】

【0077】
本発明の第五実施例の白金/担体触媒の製造方法において、その製造方法は第一実施例と同じであり、その違いは上記キレート段階S1’の中に2,2'−ビピリジン(2,2'-Bipyridine)をキレート剤としてヘキサクロロ白金酸と反応させ、白金錯体Pt[bpy]2+を形成させることである。その中に上記キレート剤の用量は52ミリグラムで、そしてヘキサクロロ白金酸の用量は26.1mlである。その他の段階は本発明の第一実施例の白金/担体触媒の製造方法を参照し、ここでは再び新たには叙述しない。図8を参照すると、本発明の第五実施例によって製造される白金/担体触媒(Pt/C-bpy)の平均の粒径は1.92nmで、その標準差は0.4nmである。その他に、図13a〜図13cを参照すると、異なる倍率のTEM図から知ることができるように、白金のナノ粒子が一致し、かつ均一に上記担体カーボンブラックの中に分布される。
【0078】
本発明の第六実施例の白金/担体触媒の製造方法において、その製造方法は第一実施例と同じであり、その違いは上記キレート段階S1’の中に1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline)をキレート剤としてヘキサクロロ白金酸と反応させ、白金錯体Pt[phen]2+を形成させることである。その中に上記キレート剤の用量は60ミリグラムで、そしてヘキサクロロ白金酸の用量は26.1mlである。その他の段階は本発明の第一実施例の白金/担体触媒の製造方法を参照し、ここでは再び新たに叙述しない。本発明の第六実施例によって製造される白金/担体触媒(Pt/C-phen)の平均の粒径は1.6nmで、その標準差は0.22nmである。
【0079】
本発明の第七実施例の白金/担体触媒の製造方法において、その製造方法は第一実施例と同じであり、その違いは上記キレート段階S1’において1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline)をキレート剤としてヘキサクロロ白金酸を反応させ、白金錯体Pt[phen]22+を形成させることである。その中に、白金がカーボンブラックに相対する含有量はそれぞれ0.33mmol、0.67mmolと1mmolである。その他の段階は第一実施例を参照し、ここでは再び新たに叙述しない。白金がカーボンブラックを占めるモル比はそれぞれ0.33、0.67と1mmolに従って、獲得できる白金/担体触媒はそれぞれPt/C-en-1、Pt/C-en-2とPt/C-en-3で表す。
【0080】
表3と図9a、9bを参照すると、本発明の第七実施例によって製造される白金/担体触媒(Pt/C-phen)は白金の含有量が21.4%または30%であっても、全てナノ粒子の分布範囲が集中しかつナノ粒子が均等に分散された白金/担体触媒を獲得することができる。本発明の白金/担体触媒は透過形電子顕微鏡(transmission electron microscope,TEM)によって白金が上記担体に分散される状況を観察し、そして白金の粒子の大きさを計測することができる。図14a〜14kを参照すると、それらは白金の含有量が21.4%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。他に、図15a〜15kを参照すると、それらは白金の含有量が30%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。図から知ることができるように、白金の含有量を多く上げても依然として均一に分布して固まらない白金/担体触媒を獲得することができ、そして白金は上記担体カーボンブラックの中に均一に分散される。
【0081】
表3は、同じキレート剤(1,10-phenanthroline)で、白金の含有量の不同に基づく白金/担体触媒のナノ粒子の大きさ、粒子の分布範囲と生産量の相対関係である。
【表3】

【0082】
本発明の第八実施例の白金/担体触媒の製造方法において、その製造方法は第一実施例と同じであり、その違いは上記キレート段階S1’においてトリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)をキレート剤としてヘキサクロロ白金酸を反応させ、白金錯体Pt[trien]22+を形成させることである。その中に、白金がカーボンブラックに相対する含有量はそれぞれ0.33mmol、0.67mmolと1mmolである。その他の段階は第一実施例を参照し、ここでは再び新たに叙述しない。
【0083】
図16a〜16iを参照すると、それらは白金の含有量が15.5%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。他に、図17a〜17jを参照すると、それらは白金の含有量が30%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。図から知ることができるように、白金の含有量が15.5%または30%であっても、白金/担体触媒のナノ粒子は全て均一に分散し、そして粒子寸法の分布範囲が集中しかつ均一に分散され、白金の含有量を多く上げても依然として粒子の分散性がよい白金/担体触媒を獲得することができる。その他に、表4から知ることができるように、異なる白金の含有量でも全て粒子の分布範囲が狭くかつ粒子が小さい白金/担体触媒を獲得することができる。
【0084】
表4は、異なる白金の含有量の白金/担体触媒(Pt/C)のナノ粒子の大きさ、粒子の分布範囲と白金の含有量の相対関係である。
【表4】

【0085】
本発明の第九実施例の白金/担体触媒の製造方法において、その製造方法は第一実施例とは同じであり、450ミリグラムのVulcan XC-72カーボンブラックを担体とする。その違いは上記キレート段階S1’において2,2'−ビピリジン(2,2'-Bipyridine)をキレート剤とし、そして上記キレート剤とヘキサクロロ白金酸をエチルアルコール水溶液の中に置き入れ、白金錯体Pt[(bpy)2]2+を形成させることである。その中に、白金がカーボンブラックに相対する含有量はそれぞれ0.33mmol、0.67mmolと1mmolであり、そして上記キレート剤(2,2'-Bipyridine)が白金に相対する比は2:1である。上記エチルアルコール水溶液の中のエチルアルコールと水の比は好ましくは1:4である。その他の段階は第一実施例を参照し、ここでは再び新たに叙述しない。
【0086】
白金がカーボンブラックを占めるモル比はそれぞれ0.33、0.67と1mmolに従って、獲得できる白金/担体触媒はそれぞれPt/C-en-1白金/担体触媒、Pt/C-en-2白金/担体触媒とPt/C-en-3白金/担体触媒で表す。表5を参照すると、本発明の白金/担体触媒の製造方法を利用して製造される白金/担体触媒では、白金の含有量を多く上げても依然として均一に分布して固まらない白金/担体触媒を獲得することができる。図18a〜18jを参照すると、それらは白金の含有量が18.7%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。他に、図19a〜19iを参照すると、それらは白金の含有量が30.2%の異なる区域の白金/担体触媒のTENの説明図である。図に示すように、白金の含有量が18.7%または30.2%であっても、白金/担体触媒のナノ粒子は全て均一に分散し、そして粒子の分布範囲が集中しかつ分散性がよく、白金の含有量を多く上げても依然として粒子が均一に分布して一箇所に固まらない白金/担体触媒を獲得することができる。
【0087】
表5は、同じキレート剤(2,2'-Bipyridine)で、白金の含有量の不同に基づく白金/担体触媒のナノ粒子の大きさ、粒子の分布範囲と生産量の相対関係である。
【表5】

【0088】
その他に、本発明の白金/担体触媒では白金/担体触媒をイオン交換膜燃料電池 ( PEMFC、proton exchange membrane fuel cell)に応用することができ、白金/担体触媒をデュポン製品のNafion(登録商標)212の燃料電池の膜と結合し、そして燃料電池の膜電極装置(Membrane electrode assembly,MEA)を製造する。その詳細な方法では本発明で製造されるPt/C触媒を溶剤(例えば、エチルアルコールまたはイソプロピルアルコール)に入れ、さらにデュポンから購入するNafionの溶液(5wt.%)を加えて撹拌させ、均一な混合液を形成させ、それから再び吹き付け器で上記混合液をカーボン布の基材の上に塗布する。本発明によって製造されるPt/C触媒は単一の電極だけ運用することができ、または陽極と陰極に同時に運用することができる。好ましくは本発明のPt/C触媒をそれぞれ2個のカーボン布の基材上に塗布し、再びデュポンの製品のNafion 212の燃料電池の膜を2個のカーボン布の基材の間に置き、それから従来の熱圧方式でカーボン布の基材をNafion 212の燃料電池の膜と結合させる。一般的に温度135℃、圧力50kg/cm2で90秒間行うことができる 。
【0089】
6.選択エリアの電子回折パターン(selected area electron diffraction patterns,
SADP)
それぞれの図10d、11d、12dと13dを参照すると、異なるキレート剤のPt/C触媒をそれぞれPt/C-dien、Pt/C-trien、Pt/C-enおよびPt/C-bpyと略称し、そして電子回折の分析を行い、それぞれの図の白金は面心立方(fcc)の構造を有するとともに、高度な結晶を有する。
【0090】
7.X−ray 回折テスト(X-ray diffractometer,XRD)
その他に、本発明の白金/担体触媒に対してX−Ray回折のテストを行う。その平均の白金の粒子の大きさはデバイシェレル(Debye-Scherrer)の方程式を利用し、計算して得られる。図20〜図21を参照すると、それぞれ異なるキレート剤によって製造されるPt/C触媒に対してエックス線による回折分析のテストを行う。そしてテストの結果から知ることができるように、25度の回折の特性のピークは(002)で、本発明のカーボンブラック(Vulcan XC-72)は六角の構造であることを表し、白金の回折の特性のピークはそれぞれ39度、46度、66度と81度に表示され、そしてそれぞれ(111)、(200)と(311)の面において本発明によって獲得されるPt/C触媒は面心立方(fcc)の構造になるように表示される。
【0091】
8.CV(サイクリックボルタモグラム)曲線の電気テスト
本発明のPt/C触媒を従来の商用のPt/C-ETEK(DeNora)触媒と比較すると、テスト用のサンプルの製造方法は先ず20ミリグラムの触媒、120μlのエチルアルコールと20μlの重量パーセントが5%の商用Nafion溶液(デュポン)を混合させ、そして超音波による振動を約30分間行うことによって糊状の溶液を獲得し、それから約25μlの上記糊状の溶液をカーボン素材の電極(面積が約0.066cm2)に塗布し、そして室温で乾燥させ、電極の表面に薄い膜を形成させることにより、触媒を電極に塗布する段階を完成する。商用Pt/C-ETEK触媒のテスト用のサンプルの製造方法も上述と同様である。電気テストについては、80mlと0.5Mの硫酸で行い、そして温度は25℃である。電気テストを行う前に窒素を通して電極の活性化を賦活する。電圧が0〜1.2Vの範囲内でCV(cyclic voltammogram)曲線を獲得し、そしてAg/AgClを対照の電極とする。
【0092】
本発明の実施例で使用されるキレート剤はそれぞれジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline)および2,2'−ビピリジン(2,2'-Bipyridine)で、そして獲得される白金錯体分別はそれぞれPt[dien)]2+、Pt[trien]2+およびPt[en]22+、[Pt(phen)2]2+、[Pt(bpy)2]2+と命名し、形成される白金/担体触媒はそれぞれPt/C-dien、Pt/C-trien、Pt/C-en、Pt/C-phenおよびPt/C-bpyと命名する。図23のCVの関係図から知ることができるように、本発明はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンとエチレンジアミンをキレート剤として製造されるPt/C-dien、Pt/C-trienとPt/C-en触媒は、商用のPt/C-ETEK触媒より電気的特性がよい。活性比の表面積の大きさはPt/C-trien>Pt/C-en>Pt/C-dienである。その他に、図24と図25のCVの関係図から知ることができるように、本発明において2,2'−ビピリジンと1,10−フェナントロリンをキレート剤として製造されるPt/C触媒もまた商用のPt/C-ETEK触媒より電気的特性がよく、活性比の表面積は商用のPt/C-ETEKより大きいため、本発明の白金/担体触媒の触媒能力は商用のPt/C-ETEKより良好であると評価することができる。
【0093】
9.単電池(single cell)テスト
MEA特性を計測するべく、単電池を0.5Vの操作電圧でMEAを操作する。24時間の燃料電池の条件で安定した電流密度と極性化曲線(polarization curves)を獲得することができる。その結果は図26〜図28に示すように、図から知ることができるように、本発明のPt/C触媒は商用のPt/C-ETEK触媒より電気的特性がよく、そして白金の重量が担体の重量の12%しか占めていない時、電流密度は白金の含有量が40%の商用のPt/C-ETEK触媒の四分の一にすでに達している。
【0094】
その他に、図29〜図31を参照すると、図から知ることができるように、本発明の白金/担体の電気的安定性がよい。
【0095】
10.本発明の達成できる効果
本発明の白金錯体はキレート剤で白金イオンを被覆して形成することにより、白金錯体の安定性を増やすことができる。
【0096】
本発明の白金錯体の製造方法において、上記キレート段階S1で上記白金錯体の製造方法によって白金イオンの間の結合と反応を有効に制御することができるため、白金イオンの分散性を高めることができる。
【0097】
本発明の白金触媒の製造方法において、上記キレート段階S1で本発明の白金触媒の製造方法によって白金触媒の粒子の大きさを有効に制御することができるため、白金触媒の粒子の分布範囲が狭く、さらに分散の均一性を高めることができる。
【0098】
本発明の白金触媒の製造方法において、上記キレート段階S1で本発明の白金触媒の製造方法によって粒子の分布範囲が均一になる白金触媒のナノ粒子を獲得することができるため、白金触媒の比表面積を増やすことができるとともに、白金触媒の触媒の能力を高めることができる。
【0099】
本発明の白金/担体触媒の製造方法において、上記キレート段階S1’で本発明の白金/担体触媒の製造方法によって白金/担体触媒の粒子の大きさを有効に制御することができるため、白金/担体触媒の粒子の分布範囲が狭く、さらに分散の均一性を増やすことができる。
【0100】
本発明の白金/担体触媒の製造方法において、上記キレート段階S1’で白金イオンがキレート剤の中に被覆されることにより、本発明の白金/担体触媒の製造方法の白金イオン間は結合がし難く、そして高い含有量の白金を有する白金錯体も均一に担体の中に分散されるため、白金/担体触媒の粒子の分散性を高めることができる。
【0101】
本発明の白金/担体触媒の製造方法において、上記キレート段階S1’で本発明の白金/担体触媒の製造方法によって粒子の分布が均一になる白金/担体触媒のナノ粒子を獲得することができるため、白金/担体触媒の比表面積を増やすことができるとともに、白金触媒の触媒の能力を高めることができる。
【0102】
本発明は、その精神と必須の特徴事項から逸脱することなく他のやり方で実施することができる。従って、本明細書に記載した好ましい実施例は例示的なものであり、限定的なものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通式がPt[R]2+で、その内、Rはジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline)および2,2'−ビピリジン(2,2'-Bipyridine)の内の一個からなることを特徴とする白金錯体。
【請求項2】
ヘキサクロロ白金酸とキレート剤を溶剤の中に入れて混合させることにより、上記ヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-を上記キレート剤と反応させて白金錯体を形成させることをことを特徴とする白金錯体の製造方法。
【請求項3】
上記キレート剤を上記溶剤の中に入れて混合させる前、上記キレート剤は予めジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エチレンジアミン、1,10−フェナントロリンおよび2,2'−ビピリジンの内の一個から選択することを特徴とする請求項2に記載の白金錯体の製造方法。
【請求項4】
上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を上記溶剤の中に入れて混合させることは、その混合の過程において上記溶剤を持続的に撹拌することを特徴とする請求項2または3に記載の白金錯体の製造方法。
【請求項5】
上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を上記溶剤に入れた後、超音波で上記溶剤を振動させることを特徴とする請求項2または3に記載の白金錯体の製造方法。
【請求項6】
上記超音波で振動させる時間は4時間から6時間までであることを特徴とする請求項5に記載の白金錯体の製造方法。
【請求項7】
上記キレート剤と白金のモル比は1:1から3:1までの間であることを特徴とする請求項2または3に記載の白金錯体の製造方法。
【請求項8】
上記キレート剤は予めジエチレントリアミンから選択し、上記キレート剤と白金のモル比は1:1から2:1までの間であることを特徴とする請求項3に記載の白金錯体の製造方法。
【請求項9】
上記キレート剤は予めトリエチレンテトラミンから選択し、上記キレート剤と白金のモル比は1:1から1.5:1までの間であることを特徴とする請求項3に記載の白金錯体の製造方法。
【請求項10】
上記キレート剤は予めエチレンジアミン、2,2'−ビピリジンまたは1,10−フェナントロリンのその内の一個から選択し、上記キレート剤と白金のモル比は2:1から3:1までの間であることを特徴とする請求項3に記載の白金錯体の製造方法。
【請求項11】
キレート段階、還元段階および乾燥段階を含む白金触媒の製造方法であって、上記キレート段階はヘキサクロロ白金酸とキレート剤を溶剤の中に入れて混合させて白金錯体の溶液を形成させることにより、上記白金錯体の溶液の中のヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-を上記キレート剤と反応させて共同で白金錯体を形成させ、上記還元段階は還元剤を上記白金錯体の溶液の中に加えて共同で懸濁液を形成させることにより、上記白金錯体を白金に還元させ、乾燥段階は上記懸濁液内に還元された白金に対して乾燥を行うことにより、白金触媒を獲得することを特徴とする白金触媒の製造方法。
【請求項12】
上記キレート剤を上記溶剤の中に入れて混合させる前、上記キレート剤は予めジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エチレンジアミン、1,10−フェナントロリンおよび2,2'−ビピリジンの内の一個から選択することを特徴とする請求項11に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項13】
上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を上記溶剤の中に入れて混合させることは、その混合の過程において上記溶剤を持続的に撹拌することを特徴とする請求項11または12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項14】
上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を上記溶剤に入れた後、他に超音波で上記溶剤を振動させることを特徴とする請求項11または12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項15】
上記超音波で振動する時間は4時間から6時間までであることを特徴とする請求項14に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項16】
上記還元剤を上記白金錯体の溶液に加える前、上記還元剤は予め選択的にホルムアルデヒドからなることを特徴とする請求項11または12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項17】
ホルムアルデヒドとヘキサクロロ白金酸のモル比は20:1であることを特徴とする請求項16に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項18】
上記還元段階の中に上記還元剤を上記白金錯体の溶液の中に加えて共同で上記懸濁液を形成させた後、他にアルカリ性の溶液を加えることによって上記懸濁液のpH値を7より大きくなるまで調整する段階を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項19】
上記懸濁液のpH値を7より大きくなるまで調整する段階は、上記懸濁液のpH値を12から14まで調整する段階を含むことを特徴とする請求項18に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項20】
上記アルカリ性の溶液を上記懸濁液に加える前、上記アルカリ性の溶液は予め選択的に水酸化ナトリウム(NaOH)からなることを特徴とする請求項18に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項21】
上記懸濁液のpH値を調整した後、他に超音波で上記懸濁液を振動させることを特徴とする請求項18に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項22】
上記超音波で振動する時間は0.2時間から5時間までであることを特徴とする請求項21に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項23】
上記還元段階の中に上記還元剤を上記白金錯体の溶液に加えた後、他に上記懸濁液に対して加熱を行い、再び上記乾燥段階を行うことを特徴とする請求項11または12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項24】
上記懸濁液に対して加熱を行う段階は、マイクロ波の方式で上記懸濁液に対して加熱を行う段階を含むことを特徴とする請求項23に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項25】
加熱上記懸濁液を加熱した後、他に上記懸濁液を冷却し、再び上記乾燥段階を行うことを特徴とする請求項23に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項26】
上記還元段階を完成した後、他に分離段階を行うことにより、上記還元された白金を上記懸濁液の中から分離させた後、再び上記乾燥段階を行うことを特徴とする請求項11または12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項27】
上記キレート剤と白金のモル比は1:1から3:1までの間であることを特徴とする請求項11または12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項28】
上記キレート剤は予めジエチレントリアミンから選択し、上記キレート剤と白金のモル比は1:1から2:1までの間であることを特徴とする請求項12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項29】
上記キレート剤は予めトリエチレンテトラミンから選択し、上記キレート剤と白金のモル比は1:1から1.5:1までの間であることを特徴とする請求項12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項30】
上記キレート剤は予めエチレンジアミン、2,2'−ビピリジンまたは1,10−フェナントロリンのその内の一個から選択し、上記キレート剤と白金のモル比は2:1から3:1までの間であることを特徴とする請求項12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項31】
上記乾燥段階を執行する温度は373Kから423Kまでであることを特徴とする請求項11または12に記載の白金触媒の製造方法。
【請求項32】
キレート段階、還元段階および乾燥段階を含む白金/担体触媒の製造方法であって、上記キレート段階はヘキサクロロ白金酸、キレート剤と担体を溶剤の中に入れて混合させて担体を含んだ白金錯体の溶液を形成させることにより、上記白金錯体の溶液の中のヘキサクロロ白金酸の白金錯イオン [PtCl6]2-を上記キレート剤と反応させて共同で白金錯体を形成させ、そして上記担体の上に吸い付けさせ、上記還元段階は還元剤を上記白金錯体の溶液の中に加えて共同で懸濁液を形成させることにより、上記担体の上に吸い付けられる白金錯体を白金/担体に還元させ、乾燥段階は上記懸濁液の内に還元された白金/担体に対して乾燥を行うことにより、白金/担体触媒を獲得することを特徴とする白金/担体触媒の製造方法。
【請求項33】
上記キレート剤を上記溶剤の中に入れて混合させる前、上記キレート剤は予めジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エチレンジアミン、1,10−フェナントロリンおよび2,2'−ビピリジンの内の一個から選択することを特徴とする請求項32に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項34】
上記ヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤と上記担体を上記溶剤の中に入れて混合させて形成される上記担体を含んだ白金錯体の溶液に、上記ヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤と多孔性材料からなる上記担体を上記溶剤の中に入れて混合させて形成される上記担体を含んだ白金錯体の溶液を含むことを特徴とする請求項32に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項35】
上記ヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤と上記担体を上記溶剤の中に入れて混合させることは、その混合の過程において上記溶剤を持続的に撹拌することを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項36】
上記ヘキサクロロ白金酸、上記キレート剤と上記担体を上記溶剤に入れた後、他に超音波で上記溶剤を振動させることを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項37】
上記超音波で振動を執行する時間は4時間から6時間までであることを特徴とする請求項36に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項38】
上記還元剤を上記白金錯体の溶液に加える前、上記還元剤は予め選択的にホルムアルデヒドからなることを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項39】
ホルムアルデヒドとヘキサクロロ白金酸のモル比は20:1であることを特徴とする請求項38に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項40】
上記還元段階の中に上記還元剤を上記白金錯体の溶液の中に加えた後、他にアルカリ性の溶液を加えることによって上記懸濁液のpH値を7より大きくなるまで調整する段階を含むことを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項41】
上記懸濁液のpH値を7より大きくなるまで調整する段階は、上記懸濁液のpH値を12から14まで調整する段階を含むことを特徴とする請求項40に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項42】
上記アルカリ性の溶液を上記懸濁液に加える前、上記アルカリ性の溶液は予め選択的に水酸化ナトリウム(NaOH)からなることを特徴とする請求項40に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項43】
上記懸濁液のpH値を調整した後、他に超音波で上記懸濁液を振動させることを特徴とする請求項40に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項44】
上記超音波で振動する時間は0.2時間から5時間までであることを特徴とする請求項43に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項45】
上記還元段階の中に上記還元剤を上記白金錯体の溶液に加えた後、他に上記懸濁液に対して加熱を行い、再び上記乾燥段階を行うことを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項46】
上記懸濁液に対して加熱を行う段階は、マイクロ波で上記懸濁液に対して加熱を行う段階を含むことを特徴とする請求項45に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項47】
加熱上記懸濁液を加熱した後、他に上記懸濁液を冷却し、再び上記乾燥段階を行うことを特徴とする請求項45に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項48】
上記還元段階を完成した後、他に分離段階を行うことにより、上記還元された白金/担体を上記懸濁液の中から分離させ、その後再び上記乾燥段階を行うことを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項49】
上記キレート剤と白金のモル比は1:1から3:1までの間であることを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項50】
上記キレート剤は予めジエチレントリアミンから選択し、上記キレート剤と白金のモル比は1:1から2:1までの間であることを特徴とする請求項33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項51】
上記キレート剤は予めトリエチレンテトラミンから選択し、上記キレート剤と白金のモル比は1:1から1.5:1までの間であることを特徴とする請求項33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項52】
上記キレート剤は予めエチレンジアミン、2,2'−ビピリジンまたは1,10−フェナントロリンのその内の一個から選択し、上記キレート剤と白金のモル比は2:1から3:1までの間であることを特徴とする請求項33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項53】
上記乾燥段階の温度は373Kから423Kまでであることを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項54】
上記キレート段階の中に予め上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を上記溶剤に加えた後、再び上記担体を添加することを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項55】
上記キレート段階の中に予め上記担体を上記溶剤に加えた後、再び上記ヘキサクロロ白金酸と上記キレート剤を添加することを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。
【請求項56】
上記キレート段階の中に予め上記担体を無水アルコールと混合させ、再び上記溶剤の中に加えることを特徴とする請求項32または33に記載の白金/担体触媒の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図14d】
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【図14e】
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【図14f】
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【図14g】
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【図14h】
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【図14i】
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【図14j】
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【図14k】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図15d】
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【図15e】
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【図15f】
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【図15g】
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【図15h】
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【図15i】
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【図15j】
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【図15k】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図16d】
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【図16e】
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【図16f】
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【図16g】
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【図16h】
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【図16i】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【図17d】
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【図17e】
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【図17f】
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【図17g】
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【図17h】
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【図17i】
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【図17j】
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【図18a】
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【図18b】
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【図18c】
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【図18d】
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【図18e】
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【図18f】
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【図18g】
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【図18h】
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【図18i】
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【図18j】
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【図19a】
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【図19b】
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【図19c】
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【図19d】
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【図19e】
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【図19f】
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【図19g】
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【図19h】
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【図19i】
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【公開番号】特開2011−136993(P2011−136993A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285032(P2010−285032)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(502250743)國立成功大學 (16)
【Fターム(参考)】